2020年 マーチステークス

マ―チSには「1番人気は勝てない」というジンクスがあります。2009年に1番人気に支持されたエルポワールシチーこそ9年ぶりに優勝しましたが、それ以降は全く勝てていません。連対したのも2016年に1番人気に支持されたバスタータイプだけ。

昨年は、前々走のボルックスSで逃げて4馬身差の圧勝したテイオーエナジーが1番人気に支持されましたが、2列目のインから直線で明確に詰まって位置を下げ、10着に敗れました。一見、アンビリバボーな敗戦のようですが…前走の佐賀記念ではハイペースで逃げたことを考慮しても大敗の3着だったあたりから、調子落ちしていた感があります。馬の手応えがひと息だったから、逃げすに2列目のインを狙い、道中で外に出せるタイミングがあってもスルーしたのでしょう。

このようにマーチSはハンデ重賞ということもあって、ここが目標ではなく流動的に出走してくることがほとんどです。「それほど調子良くないけど、相手もそんなに強くないから使ってみるか…」、「ハンデが軽いから、とりあえず出走」、「実績馬でハンデ重いけど、負けてもハンデのせいにできるから、まっ、いいかぁ~」という具合です。

あのエルポワールシチーでさえも、同年の平安S・2着、フェブラリーS・4着の実績馬でありながら、そこまで速いラップを刻んだわけでもないのに、ラスト1Fで急失速。ダイショウジェット、サトノコクオー、トーセンアーチャーなどに0.2秒差まで追い詰められるギリギリセーフの勝ち方でした。これも前走のフェブラリーSが大目標だったことと、トップハンデ57.5㎏が影響したのでしょう。さて、今年の1番人気はどの馬か? 

また、このレースが日曜日に行われていれば不良発表で高速ダートは確定的でしたが、火曜日となれば回復してくることでしょう。現時点では重発表ですが、マーチSの頃には稍重、場合によっては良まで回復するのではないのでしょうか。中山の場合、そもそも時計が掛かるので、稍重発表でも他場の良くらいまで時計を要します。少なくとも日曜日ほど前に行ける馬が楽ではないので、そこも考慮して予想を組み立てたほうがいいでしょう。

2020年 毎日杯・日経賞

●毎日杯

かつての毎日杯は、NHKマイルCの前哨戦の意味合いを持ち、2008年のディープスカイ、2010年のダノンシャンティなどが、このレースを制して、NHKマイルCも制しました。しかし、近年は多様化。2013年のキズナや2016年のスマートオーディンのように、ここから京都新聞杯、そして日本ダービーを目指す馬もいれば、2017年のアルアインのように、ここから皐月賞を目指す馬もいます。要は、この先の何かしらのG1を目指すための、賞金加算のレースです。

しかし、1つだけ共通して言えるのは、過去10年の連対馬20頭中18頭がキャリア2~5戦目以内の馬ということ。キャリア5戦以上で優勝したのは、2011年のレッドディヴィスのみ。しかし、同馬にはシンザン記念勝ちの実績がありました。キャリア5戦目以上の馬は大きな上昇は見込めないだけに、それまでに実績がないと厳しいということなのでしょう。

一方、キャリアが1戦で2着と好走したのは昨年のウーリリで、前年11月の京都芝1800mの新馬戦を、好指数「-3」(新馬戦としてはかなり優秀)で勝利していた馬でした。新馬戦で高い素質を見せ、休養中にさらに成長したことで、ここでもいきなり通用したのでしょう。キャリア1戦馬を狙うのであれば、新馬戦で好指数をマークした、いわゆる素質の高いタイプに限定されます。

また、毎日杯が行われる阪神芝外1800mは、Uターンコース。スタートして最初の3コーナーまで約665mもあるために、逃げたい馬が集うと隊列争いが激しくなり、オーバーペースが発生することもあります。しかし、逃げ馬不在や、逃げ馬が1頭の場合はそこまでペースが上がりません。昨年のランスオブプラーナのように、マイペースで逃げ切ることもあります。

ただし、そこまでペースが上がらなくても、最後の約600m~ゴール手前の約200mまでが下り坂のコースだけに、その下りで勢いに乗せて、ラスト1Fの急坂を楽に上がれる差し、追い込み馬のほうが有利でしょう。実際にこのレースでは、キズナやスマートオーディンが追い込みで勝利しており、逃げて3着以内の馬がランスオブプラーナ1頭に対して、追い込みは1着2回、2着2回、3着3回の好成績。逃げと追い込み馬の3着以内を比較すると、断然に追い込み馬のほうが活躍していることから、このレースでは後半型の馬を中心視するのが好ましいでしょう。

●日経賞

日経賞は先週の阪神大賞典同様に天皇賞(春)の前哨戦。2008年のマイネルキッツ、2013-2014年のフェノーメノがここをステップに天皇賞(春)を制しているものの、ここ4年間は本番での3着以内はゼロと、重要性が薄らいでいます。これは3年前より大阪杯がG1に昇格され、ステイヤーは阪神大賞典とステップに、キタサンブラックのような実績馬は大阪杯から始動するケースが増えたからでしょう。

また、日経賞は有馬記念と同じアップダウンの激しい中山芝2500mで行われるため、しばしばスローペースが発生します。しかし、同じスローペースでも下級条件は、シンプルな上がり勝負(末脚比べ)になることが多いのに対して、上級条件は中山の短い直線を考慮して仕掛けのタイミングが早くなる傾向があります。実際にこのレースの過去10年を見ても、上がり勝負となったのは、小頭数9頭立てでゴールドアクターとサウンズオブアースがハナを譲りあった2016年くらいです。

2014年の優勝馬ウインバリアシオンのように、追い込み馬は向こう正面の下り坂である程度勢いに乗せて、3~4コーナーの外から位置を押し上げてくる傾向があり、逃げ、先行馬もそれを意識して早めに動いているケースが多く、結局、持久力も問われてるレースになっています。つまり、長距離適性に疑問がある馬が通用していないことがほとんどということです。

また、2017年のこのレースで前年の有馬記念の3着馬ゴールドアクター(1番人気)や前年の菊花賞の2着馬レインボーライン(2番人気)が馬群に沈み、2018年にも菊花賞馬キセキ(1番人気)や前年の阪神大賞典3着&京都記念2着トーセンバジル(2番人気)が、見事に馬群に沈んだように、今回が始動戦の馬は苦戦しています。休養明けで不足するのは、スタミナですから、このレースがいかに持久力も問われているかの象徴でもあります。

そもそも前哨戦は、実績馬にとっては叩き台のため、人気に応えられないことがままありますが、先週の阪神大賞典のキセキのように、スタミナが問われるレース、長距離戦ほど凡退率がアップする傾向。それだけに今年も休養明けの実績馬エタリオウよりも、今年レースを使われている馬を中心視するのが好ましいでしょう。

2020年 スプリングS・阪神大賞典

●スプリングステークス

スプリングSは、過去10年で2011年のオルフェーヴル、2013年のロゴタイプ、2015年のキタサンブラック、2017年のエポカドーロなど、4頭の皐月賞馬を輩出しているレース。また、昨年はこのレースで7着に敗れて皐月賞出走権を逃したロジャーバローズが、京都新聞杯2着を得て、ダービー馬となりました。

今年は東京スポーツ杯2歳Sを、世代最高指数「-20」で制したコントラチェクや、朝日杯フーチュリティSを次点の指数「-18」で制したサリオスなど、2歳にして古馬オープン級の馬たちが集っているため、それらを上回るパフォーマンスで主役の座を勝ち取るのは至難の技。

しかし、ホープフルSの2着馬ヴェルトライゼンデや上がり馬が集い、戦前の段階の評価としては弥生賞ディープインパクト記念以上のメンバーが集いました。今年の弥生賞は、サトノフラッグがホープフルSの3着馬ワーケアを撃破しているように、終わってみれば意外とハイレベルの指数「-17」でしたが、スプリングSはそれを上回る馬が誕生するのか(?)、今から楽しみでなりません。

また、今開催は中山芝1800mで中山記念、中山牝馬Sが行われ、今週はフラワーC、スプリングSが行われます。先週の中山牝馬Sは大雪の影響で例外的に消耗戦となりましたが、前記4レースを総合的にペースが上がりやすい順にあげると、中山記念、中山牝馬S、スプリングS、フラワーCになります。これについてはフラワーCの傾向でもお伝えしました。

古馬トップクラスが集う中山記念は、ほとんどの馬が2コーナーの急坂の下り(おおよそ3.5~4F目)で減速させないため(序盤が極端なスローペースだと、この地点で勢いに乗せる場合もある)、道悪にでもならない限り、向こう上面で大きくペースが緩むことはほどんどありません。それゆえに最初の1コーナーまでの距離が約205mと短く、前半で急坂を上るコースながら、前が潰れることもしばしばあります。

しかし、まだ体力のない3歳牝馬同士の戦いとなるフラワーCは、騎手が2コーナーの急坂をゆっくり下ることを意識するので、向こう上面でペースが上がらず、昨年度のコントラチェックのように逃げ馬が楽々逃げ切ることもあります。

一方、スプリングSは3歳馬限定戦でも、牝馬よりは体力のある牡馬同士の戦いですから、フラワーCよりはペースが上がります。明確に2コーナーの下り坂でペースが緩み、どスローだったのは、逃げ馬が不在だった2015年のみ(優勝馬キタサンブラック)。それ以外の年はさほど緩まずに、平均ペース前後で決着しています。つまり、フラワーCは逃げ、先行馬が有利ですが、スプリングCは差し馬にも十分チャンスがあるということ。実力どおに決まることが多いです。それだけにここは実力重視で予想を組み立てたいです。


●阪神大賞典

阪神大賞典は、3年前に大阪杯がG1に昇格して以来、天皇賞(春)のステップレースとして一本化。一昨年のこのレースを制したレインボーラインが天皇賞(春)を制したように、近年は特に天皇賞(春)に繋がるレースとなっています。3年前もこのレースで連対したサトノダイヤモンドとシュヴァルグランが、天皇賞(春)でキタサンブラックの2着、3着と活躍しています。

このレースは当然、芝3000m戦だけあって長距離適性が問われます。実際に過去10年の連対馬20頭中9頭に芝3000m以上での実績がありました。該当馬は、2010年の優勝馬トウカイトリック、2011年の2着馬コスモメドウ、2012年の2着馬オルフェーヴル、2013年~2015年まで3連覇したゴールドシップ、2014年の2着馬アドマイヤラクティ、2017年の優勝馬サトノダイヤモンド、2017年の2着馬シュヴァルグラン。

つまり、今年の該当馬は菊花賞馬キセキとユーキャンスマイルということになりますが、この2頭は今回が始動戦。ここでは実力最上位ですが、スタミナが不足する休養明けで芝3000m戦となると、失速する可能性もあります。この実力上位の2頭が本来の力を出し切れなければ、高配当決着の可能性は十分あるでしょう。

最大の穴は、2015年に7番人気で2着と好走したデニムアンドルビーのような芝3000m以上を使われたことがない隠れステイヤーを見つけること。デニムアンドルビーはどのような馬だったかというと、デビューから序盤で置かれて、一度も先行したことがなく、ジャパンCではスローペースをロングスパートで2着と好走している実績馬でした。そう、このいい脚を持続させる、ロングスパートこそがステイヤーの証。そのことも踏まえ予想を組み立てたいです。

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2020年 フラワーカップ

今開催は中山芝1800mで中山記念、中山牝馬S、フラワーC、スプリングSと4つの重賞が行われます。先週の中山牝馬Sは大雪の影響で例外的に消耗戦となりましたが、前記4レースを総合的にペースが上がりやすい順にあげると、中山記念、中山牝馬S、スプリングS、フラワーCであることは先週の中山牝馬Sの傾向でお伝えしました。

古馬トップクラスが集う中山記念は、ほとんどの馬が2コーナーの急坂の下り(おおよそ3.5~4F目)で減速させないため(序盤が極端なスローペースだと、この地点で勢いに乗せる場合もある)、道悪にでもならない限り、向こう上面で大きくペースが緩むことはほどんどありません。それゆえに最初の1コーナーまでの距離が約205mと短く、前半で急坂を上るコースながら、前が潰れることもしばしばあります。

しかし、まだ体力のない3歳牝馬同士の戦いとなるフラワーCは、騎手が2コーナーの急坂をゆっくり下ることを意識するので、向こう上面でペースが上がらず、しばしば前残りが発生します。実際に過去10年(2011年度は阪神開催)で、昨年度のコントラチェックを始め、2009年のヴィーヴァヴォドカ、2015年のアルビアーノ、2016年のエンジェルフェイスの逃げ切りVが決まっています。

一方、差しが決まったのは、重馬場だった2013年のみ。それ以外は、逃げ馬か、先行馬が優勝しているだけに、今年も前に行ける馬を中心視するのが上策でしょう。

また、このレースは桜花賞に出生権利のない重賞路線馬と2勝馬と、前走で新馬、未勝利戦を勝ち上がったばかりの馬の対戦図式となります。2010年にチューリップ賞で包まれて4着に敗れたオウケンサクラが、このレースで巻き返して優勝したパターンもありますが、そのレベルの馬が出走してこない限りは、牡馬相手の芝1800m以上の2勝クラスを勝利した馬が優勢でしょう。

芝1800m以上の2勝クラスは、クラッシックを見据える強豪が集うレースで、そこを勝つとシンプルに強いと判断できる場合が多いからです。そうなると今回で該当するのは、シーズンズギフトやクリスティ、ショウナンハレルヤといった面々になりますが、今年はそれらが2014年の優勝馬バウンスシャッセ(前走・寒竹賞勝ち)や2016年の優勝馬ファンディーナ(前走・つばき賞勝ち)ほど、指数が断然の存在ではありません。そもそも何が1番人気になるのかしら定かではありませんが、波乱の可能性も十分あるでしょう。

2020年 フィリーズレビュー・金鯱賞

●フィリーズレビュー

フィリーズレビューが行われる阪神芝1400mは、先々週の「阪急杯の傾向」でもお伝えしたように、差し、追い込み馬が有利なコース。スタートしてすぐ最初の3コーナーを向かえる阪神芝1200mよりも最初の直線が1F長く、約443mもあるため、逃げ、先行馬が多く出走しているほど、ポジション争いが激化し、ペースが上がりやすくなります。

実際にこのレースの過去10年、全て平均ペース以上で決着しており、ハイペースが3度、超絶ハイペースが5度も出現。昨年は前走のさざんか賞を逃げて圧勝し、メンバー中NO.1のPP指数をマークしていた指数上の主役イベリスでさえも、このレースでは先行して4着に敗れています。(次走のアーリントンCで巻き返しV)

もっともイベリスが敗れた背景には、同馬は前走の芝1200mで結果を出したこともあり、距離延長を懸念して、逃げなかったのもあるでしょう。実際に前走で芝1200mを使っていた馬というのは、過去10年で29頭出走し、3着以内だった馬はゼロという成績。

これは前走芝1200m組はそのスピードに任せて前に行くか、距離延長を懸念して脚をタメるかというように、立ち回りに制約がついてしまうのが一番の理由でしょう。もちろん、展開にマッチすれば馬券圏内に突入しても不思議ありませんが、レース運びに制約がつくという意味では不利です。

逆に先行策から押し切って優勝した馬は、2012年のアイムユアーズ、2014年のベルカント、2016年のソルベイグなど後々の重賞、特にスプリント戦で活躍した馬ばかり。また、どの馬も前走で距離1400m以上のレースに出走しており、迷いのない位置取りができたことも勝因でしょう。

さて、今回は、逃げることで素質が開眼した最内枠のカリオストロがハナを主張する可能性が高いと見ていますが、外からさざんか賞を逃げ切り勝ちしたヴァラークラウンが競りかけていく公算大。フェアレストアやケープゴッドなどの先行馬も出走しているだけに、やはりハイペースが濃厚でしょう。カリオストロやケープゴッドが強いのは重々承知の上で、やっぱり前走で芝14100m以上を使割れている差し馬を中心視したいです。

●金鯱賞

金鯱賞は2017年から大阪杯へのトライアルレースとして生まれ変わり、今年より中京開幕週から2週繰り下げて行われるようになりました。2017年以降、ステファノス、ヤマカツエース、スワーヴリチャード、アルアインがここをステップにして大阪杯で3着以内に好走しているだけに、要注目でしょう。

さて、このレースの傾向はというと、中京芝2000mは前半でゴール前の直線の坂を上って、後半で坂を下るコースのため、前半スローの上がり勝負が発生しやすいコース。しかし、古馬一線級が集うこのレースは、大半の馬が3コーナーの下り坂で勢いに乗せて動くため、単調な前残りになることは稀。

前に行く馬も3コーナーからもうひと脚使えなければ厳しいものがあり、結局のところ、ある程度持久力も問われていることになります。つまり、前に行ったことにこしたことはなく、差しでも十分届きますが、3~4コーナーで差し馬の外から動かなければならない追い込み馬は苦戦するでしょう。

実際にこのレースが芝2000mで行われるようになった過去8年を見ても、追い込み馬の3着以内は一度もありません。この傾向は2週繰り下がって馬場が悪化したとしても、大きくは変わらないはず。しかも、今回で逃げるのは、まず、ダイワキャグニーですから、なおさらスローペースが濃厚でしょう。つまり、サートゥルナーリアは出遅れ癖いのある馬で、出遅れた場合が怖いのですが…楽に先行なら有力でしょう。

2020年 ファルコンS・中山牝馬S

●ファルコンステークス

中京競馬場が新装オープンし、ファルコンSが芝1400mで行われるようになって今年で8年目。過去8年の逃げ馬の着順はというと、2012年のエクセルシオール・17着、2013年のカシノランナウェイ・14着、2014年のネロ・8着、2015年のセカンドテーブル・9着、2016年のミスキララ・13着、2017年のレジーナフォルテ・15着、2018年モズスーパーフレア・5着、2019年スタークォーツ・9着とことごとく馬群に沈んでいます。(全て15~18頭立て)

過去8年の前半3F-後半3Fのレースラップは、2012年は34秒8-36秒8、2013年は34秒9-35秒5、2014年は33秒0秒-36秒3、2015年は34秒4-36秒9、2016年は33秒3-39秒7(極悪馬場)、2017年は34秒0-35秒3、2018年は34秒9-35秒5、2019年は34秒2-35秒0。中京はビックアーサーが優勝した2016年の高松宮記念当日以前は、かなり時計の掛かる馬場状態でしたが、それ以降も雨の影響を受けていることも多く、ハイペースの傾向。

つまり、ファルコンSは全体的な傾向として、逃げ、先行型が苦戦の傾向のレース。その一番の理由は、中京芝1400mという舞台が、スタートして約120mほど坂を上って、そこから4コーナー過ぎまで、一気に坂を下って行くコースだからでしょう。

また、この時期は3歳馬がレース経験を重ねたことで体力もついてくる時期。この先、スプリント路線に行くのか、マイル路線に行くのかも視野に入れて、逃げ、先行馬が行けるだけ、行かせるようなレースをさせるのも、このレースでハイペースが発生しやすい理由でしょう。

今回は先行馬が集った中で、ビアンフェ、デンタルバルーンの逃げ馬2頭が出走。おそらく二の脚が速く、前走ジャニアリーSで折り合いを欠きながら、5F57秒7で通過したデンタルバルーンが逃げ、朝日杯フューチュリティSを5F通57秒2のオーバーペースにしたビアンフェが競って行く形。当然、ハイペースが濃厚でしょう。

ビアンフェもデンタルバルーン底力がありますが、「道悪のハイペースで前から押し切れるか?」と聞かれたら、何とも言えない面があります。やはり中心にすべきは、差し馬でしょう


●中山牝馬ステークス

今開催は中山芝1800mで、中山記念、中山牝馬S、フラワーS、スプリングSと連続で重賞が行われます。前記4レースを総合的にペースが上がりやすい順にあげると、中山記念、中山牝馬S、スプリングS、フラワーCとなります。

古馬トップクラスが集う中山記念は、ほとんどの馬が2コーナーの急坂の下り(3.5~4F目)で減速させないため(序盤が極端なスローペースだと、この地点で勢いに乗せる場合もある)、道悪にでもならない限り、向こう上面で大きくペースが緩むことはほどんどありません。それゆえに最初の1コーナーまでの距離が約205mと短く、前半で急坂を上るコースながら、前が潰れることもしばしばあります。

しかし、まだ体力のない3歳牝馬同士の戦いとなるフラワーCは、騎手が2コーナーの急坂をゆっくり下ることを意識するので、向こう上面でペースが上がらず、しばしば前残りが発生します。これについては、来週のフラワーC時にお伝えしますが、その中間的なペースになるのが中山牝馬SとスプリングSです。

実際に中山牝馬Sの過去10年を見ても、逃げ馬不在で逃げ馬ではない馬が逃げた2013年、2016年、そして逃げ馬が貧弱だった2017年こそスロー~超スローペース。しかし、逃げ馬が出走し、逃げ馬がそれなりに強ければ(PP指数の赤い数字をマークしている馬)が出走していた場合には、全て平均~超ハイペースで決着しています。

今回は雨の影響で道悪が予想されますが、ここは差し、追い込み馬が揃っており、先行馬が手薄。逃げ馬もモルフェオルフェとコントラチェックの2頭です。それもモルフェオルフェの「逃げ宣言」に対して、コントラチェックは「2番手でもいい」と陣営がコメントしているだけに、道悪を加味しても平均ペースくらいで収まるのではないでしょうか。

2歳時のサフラン賞で逃げてコントラチェックを降したことがあるレッドアネモスが逃げたら、またひと味違うレースになりそうですが、津村騎手ですから、陣営から指示が出ていないと逃げないでしょう。前からの押し切りも視野に入れつつ、能力重視で予想を組み立てたいです。

2020年 名古屋大賞典の予想

名古屋大賞典の前後にJRAではハンデ戦のマーチSが行われますが、実績馬はハンデを背負わされることを嫌って、ここへ出走してくることが多いのが特徴。前年のG1通算5勝のエスポワールシチーも、2011年度はここから始動して、再びG1戦線に挑みました。

よって、主な対戦図式は、休養明けの実績馬vs佐賀記念の上位馬となります。佐賀記念の上位馬の成績も悪くないですが、相手がG1通用級の馬ならば、さすがに別格。2017年の川崎記念の優勝馬オールブラッシュこそ、このレースで人気を背負って馬群に沈みましたが、その年はドバイワールドカップを目指す馬が多く、川崎記念のレベルがあまりに低かった年。また、川崎記念は直後にG1・フェブラリーSが控えていることもあって、他のG1と比べるとレベルが低くなる傾向があります。

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2020年 ダイオライト記念の予想

ダートグレードでは名古屋グランプリに次ぐ、長距離2400mで行われるダイオライト記念。主に川崎記念の上位馬やフェブラリーSでは、距離不足の実績馬が集います。また、地方で行われるダートグレードは、1番人気が上位争いして、本命サイドで決着することがほとんど。ダイオライト記念は過去10年で1番人気の3着以内が6回と、けっこう人気に応えられていません。

それではこれまでにどのような馬が1番人気、それも単勝オッズ1.0倍台の断然の1番人気に支持され、人気を裏切ってきたのでしょうか? 傾向はいたってワンパターン。

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2020年 黒船賞の予想

黒船賞は、高知競馬で唯一のダートグレード競走。2008年には経営逼迫で休止したこともありましたが、そこから見事に盛り返し、今では盛大に開催されています。また、別定戦のダートグレードは、前年のJBCスプリント以来ということもあり、案外と前年のJBCスプリントの上位馬やフェブラリーS出走の実績馬が出走してくることも少なくありません。

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2020年 弥生賞ディープインパクト記念

今年より弥生賞を改め、“弥生賞ディープインパクト記念”と長ったらしいレース名称となったこのレース。しかし、小頭数なのは変わらずで、今年も昨年同様、朝日杯フーチュリティSの覇者サオリスとホープフルSの覇者コントレイルの2歳G1馬対決は、皐月賞まで持ち越されました。

もっともこれまで行われた現3歳世代の重賞で、一番指数が高かったのは、コントレイルが5馬身ぶっちぎった東京スポーツ杯2歳S。今年は目下2連勝のサトノフラグこそ出走しているものの、ホープフルSの敗者復活戦のようなレースだけに、とてもここから主役が現れるとは…。近年の大手牧場の使い分けにより、本当にこのレースは皐月賞の前哨戦としての権威を失いました。

また、昨日の重賞傾向でチューリップ賞はスローペースになりやすいことをお伝えしましたが、弥生賞も似たような傾向。中山芝2000m自体は、最初の1コーナーまでの距離は405mと長いため、テンの遅い馬でも行く気になれば逃げられるし、複数の逃げ馬が競り合えばハイペースにもなります。

しかし、前哨戦の場合、無理をさせたくない、折り合いに専念したい意識が働くため、基本的にペースが上がらないのが全体の傾向。実際にこのレースの過去10年でハイペースになったのは、マカヒキが差し切り勝ちを決めた2016年のみで(この年は逃げ馬が2頭出走)、それ以外は平均~スローペースです。

さて、今年はどうなるか? 不良馬場の未勝利戦で強烈な圧勝劇を見せたスタミナ豊富なパンサラッサの逃げが濃厚。いや、超高速馬場のエリカ賞で基礎スピード不足が証明されたパンサラッサは、行くことでしか道が開けないので、強気の逃げを打つでしょう。良馬場ならば近2走のように平均ペースよりもややハイペースを刻む可能性が高いと見ています。

同型のウインカーネリアンは、パンサラッサに競りかけたら死んでしまうことは百も承知なので、折り合って2番手。場合によっては離れた2番手でレースを運ぶ可能性が高いと見ています。おそらく縦長馬群になるので、能力どおりに決まる可能性が高いと見ています。ただ、今回は1番人気のサトノフラッグの実力が決して抜けた存在ではないので、それなりの配当妙味がありそうです。