2024年 チャンピオンズCの予想

■今年はハイペースの可能性

 ジャパンカップダートから『チャンピオンズC』と名前を改め、中京ダ1800mで行われるようになって今年で11年目。2014年は前後半5F62秒3-60秒6の極端なスロー、2015年は同60秒2-62秒4と一転してハイペースだった。以降は良馬場で前半4F48秒中盤から49秒台後半の、ややスロー~平均ペースの範囲内となっている。これは他場のダ1800m戦と比較すると遅い。

 このレースのペースが上がりにくいのは、上り坂の途中からスタートするコース設定に加え、最初のコーナーまでの距離が約300mと短いことが影響している。前半が遅く、向正面でもペースが上がらない場合は、3角手前の下り坂から一気にペースアップするケースが多い。前半のペースが上がりにくいのがこのレースの特徴だ。

 しかし、テンが速く、外から被されたくないクラウンプライドが1番枠を引き、その外にレモンポップ、ミトノオーと逃げ馬が2頭。その他にもペプチドナイル、ドゥラエレーデ、テーオードレフォン、スレイマンなど、手強い先行馬も多数いる。今年は1角までに隊列が決まらず、極端なハイペースになった2015年のような展開も視野に入れて予想する。

中京11R チャンピオンズC ダ1800m
 ◎ (16)ガイアフォース
 ○ (10)アーデルアステリア
 ▲ (2)レモンポップ
 △ (3)ハギノアレグリアス
 △ (5)ペイシャエス
 △ (8)ウィルソンテソーロ
 △ (9)テーオードレフォン
 △ (12)サンライズジパング

結論 馬連16-10,2,3,5,8,9,12 (15:10:5:5:5:5:5) 複勝16 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (16)ガイアフォース

 今年のフェブラリーSではダート初挑戦ながら2着と好走し、ダート適性の高さを証明した。同レースでは7番枠から五分のスタートを切って押していったが、内からやや強引に外に出ようとしたドゥラエレーデの影響で、オメガギネスとともに外に押し出される不利があった。そこから中目に切り替えて、中団やや前目を追走した。

 3角で前のオメガギネスを意識して追い、3~4角では中団中目で包まれてしまったが、同馬の後ろを通って出口で外に誘導。やや窮屈だったが、立て直して追われると伸びはじめ、ラスト1Fではタガノビューティーの外からしぶとく伸び、同馬とセキフウの3頭による2着争いをクビ差で制した。

 今回はダート2戦目。デビューからベストでない条件を使われていると、最適条件を使われた際の伸びしろが大きい傾向がある。一昨年の当コラムでもそれを理由にジュンライトボルトを本命に推して1着。さかのぼれば2018年8番人気2着のウェスタールンドも同様だった。

 今回は16番枠と痛恨の大外枠だが、ハイペースにより縦長の隊列が予想され、それほど大きなロスが生じない可能性が高い。フェブラリーSでは砂を被ってやや嫌がる素振りを見せていたが、初ダートとしては及第点だったことからも、ここは本命に推す。

○ (10)アーデルアステリア

 昨年の名鉄杯など、中京ダ1800mで4勝をあげるコース巧者。その名鉄杯では9番枠から五分のスタートを切って中団やや後方からの追走。道中で前2頭が飛ばして隊列が縦長になったが、向正面でも中団やや後方の揉まれない位置で我慢できた。

 3~4角でペースダウンすると、大外から手応え良く中団まで上がって4角出口でさらに外へ。直線序盤でじわじわ伸びてラスト2Fで2番手に上がると、早めに抜け出したメイクアリープをゴールまで数メートルのところで捉えてクビ差で勝利した。

 メイクアリープは後のみやこS2着馬、4馬身差で3着のニューモニュメントは、昨年の川崎記念3着と、昨年の名鉄杯はリステッド競走としてはレベルが高いレースだった。この時はやや時計の掛かる馬場で前後半4F48秒4-後半4F50秒7のかなりのハイペース。展開に恵まれての勝利だったが、今回も展開に恵まれる可能性がある。

 本馬は3走前のエンプレス杯で先行して6着に敗れているように、前に行くともろい面があるが、差す競馬では、前有利の展開を後方から進めた昨年のチャンピオンズC以外で崩れていない。

 昨年はJBCレディスクラシックを大目標にした後の一戦だったが、今年は同レースを回避して、チャンピオンズCが目標というローテーションなのも好ましい。近走もスパーキングレディーC1着、強豪相手のレディスプレリュードでも3着と順調そのものだけに、ここは穴馬に推す。

▲ (2)レモンポップ

 昨年のフェブラリーSを完勝してGⅠ初制覇。その後、昨秋のマイルCS南部杯では圧巻の走りを見せて優勝した。

 昨秋のマイルCS南部杯では3番枠からまずまずのスタートを切り、ハナを主張。道中はコントロールして後続を引き付けながら逃げて、2番手外のイグナイターとクビ差で3角へ。3~4角で後続を引き離し、イグナイターに4馬身差をつけつつ直線に入ると、序盤の上り坂を楽な手応えで駆け上がり、後ろをどんどん突き放して独走。次走でJBCスプリントを優勝するイグナイターに2秒差という大差での圧勝だった。

 初めて逃げたここで衝撃の自己最高指数を記録。逃げるのがベストであることを証明した。二度の海外遠征で二桁着順に敗れているのは、テンの速い馬が多く、逃げられなかったことが主な要因だろう。

 昨年のチャンピオンズCは、休養明けで自己最高指数を記録した後の“疲れ残り”の一戦。大外15番枠からまずまずのスタートの後、外にヨレるロスがあったが、同型馬不在の構成を利して思い切って逃げたことで、前走から大幅に指数を下げながらも勝利をおさめた。

 今年のマイルCS南部杯は1番枠。前走マイル戦でテンの速いレースをしている(4)ペプチドナイルにハナを奪われる可能性もあると見ていたが、五分のスタートから押してハナを取り切ったことで、外から同馬に競られながらも3/4差で勝利することができた。

 前年のマイルCS南部杯当日は超高速馬場だったが、今年は一転して時計の掛かる馬場状態。昨年よりも走破タイムが2秒1遅いが、昨年同レースに次ぐ、高指数を出した。

 チャンピオンズCも昨年のようにすんなりハナを主張できれば好走が可能だが、今年は(1)クラウンプライドの外2番枠。さらに、外には同型馬の(11)ミトノオーもいる。他にも先行馬が多数で、ハナを切れない可能性もある。

 ただ、逃げられなかったとしても、昨年のフェブラリーSや今年のさきたま杯優勝時の指数を出す走りはできるはず。本命にするのは怖いが、大きく評価を落とすこともできない。

△ (3)ハギノアレグリアス

 2022年秋の阪神ダ1800mのOP・太秦Sを勝利すると、その後、ダートグレードで4戦連続連対と安定した走りを見せた馬。2023年の帝王賞では4着に敗れたが、緩みない流れを中団外から3角で一気に仕掛けて先頭列に並びかけて行く早仕掛けで、ラスト1Fで甘くなったもの。そこから立て直されたシリウスSでは巻き返して優勝した。

 そのシリウスSでは14番枠からやや出遅れたが、そこからコントロールして中団外目を追走。向正面でペースが上がったが、そこで外からじわっと上がって3角へ。

 3~4角では中団外目で仕掛けをワンテンポ待って、4角で中目を通して直線で外へ。3列目から追い出されると2番手に上がり、ラスト1Fで先頭のアイコンテーラーとは約1馬身半差だったが、それを捉え切って1馬身1/4差で完勝した。

 その次走のチャンピオンズCは6着敗退。前有利の展開で中団外々を回ったというのも敗因のひとつだが、休養明けのシリウスSで自己最高指数を記録した反動によるものが大きい。

 その後、再び休養してからはひと息だったが、前走のシリウスSでは1着。1番枠から好スタートを切って、好位の最内を追走。道中はややハイペースで流れたが、3列目の最内で我慢。

 3~4角で前のオメガギネスがひとつ外に誘導したが、本馬は上手く最内のスペースを拾いながら同馬の後ろから2列目で直線へ。序盤でオメガギネスの後ろから上手く進路を作って追い出されると、ラスト1Fでじわじわ同馬との差を詰めて1馬身1/4差の勝利した。

 前走では昨年のシリウスSほどの指数を記録できなかったが、復調しているはず。前走は逃げ馬不在、先行馬手薄で勝ちに行く競馬をしたが、本来の差しなら通用していい。

△ (5)ペイシャエス

 2走前のエルムSでダートグレード3勝目を達成した馬。そのエルムSは9番枠から五分のスタートだったが、二の脚ですっと先行争いに加わっていく。先行争いではやや見劣り、好位中目におさめて追走。道中も好位中目で我慢させて3角へ。

 3~4角で前が仕掛けるとやや置かれ始めたが、押して4角では鞭も入れて何とか挽回して2列目の内、(6)ドゥラエレーデの後ろから直線に向いた。序盤でじわじわ伸びて先頭列の間を割ると、ラスト1Fでもしぶとく伸び続けてドゥラエレーデを捉え、クビ差で勝利した。

 このレースでは逃げる(11)ミトノオーにドゥラエレーデが競りかければ、ペースが上がる可能性もあると見ていたが、ドゥラエレーデが同馬に並びかけて共存する形となり、前後半4F49秒3-48秒8とペースが上がらず、展開に恵まれる形となった。

 前走の武蔵野Sでは一転して前後半4F45秒8-50秒2と、かなりのハイペース。ここでは9番枠から五分のスタートを切り、軽く押して2列目の内を追走し、最終的には前から離れた3列目の内を進んだ。

 3~4角で前との差が詰まり、4角で外に誘導されるとスムーズに2列目の外で直線へ。直線序盤で内のエンペラーワケアに蓋をして抜け出し先頭に立った。ラスト2Fでも先頭を維持していたが、ラスト1Fで馬群をさばいてきたエンペラーワケアにかわされ、さらに外の2頭にも差されて、1馬身+ハナ+1馬身差の4着に敗れた。

 前走はスタミナが不足する休養明け。前半ではそこまで無理をさせなかったが、最後の直線では先頭に立つのが早過ぎた。ただ、本馬はメンバー最速の上がりをあまり使ったことがないように、差していいタイプではない。もっと最後の仕掛けを遅らせる意識で乗れればチャンスはある。

△ (8)ウィルソンテソーロ

 交流重賞路線で地道に地力をつけ、昨秋のチャンピオンズCで2着に好走した馬。同レースでは7番枠からアオって出遅れ、後方内目からの追走。道中で内目から進出して3角へ。3~4角で中目に誘導し、4角出口で外に誘導。直線序盤で軽く追われながらさらに外へ。ラスト1F手前で外に出し切るとグングン伸びて、逃げ粘る(2)レモンポップに1馬身1/4差まで迫った。

 このレースは内が有利な馬場状態で、前後半4F48秒8-49秒7の平均ペース。後方内目を上手く立ち回り、4角出口で上手く外に誘導されたことが好走要因だ。直線序盤で反応が甘く、外に出るのがやや遅れたところはあったが、ほぼ完璧な立ち回りだった。

 その次走の東京大賞典では逃げて2着、今年のドバイワールドCは4着。その後の帝王賞やコリアCでも善戦するが2着止まりだったように、なかなか勝ち切れないところがあった。

 しかし、前走のJBCクラシックで悲願のGⅠ級競走を制覇。10番枠からまずまずのスタートだったが二歩目で躓いて、無理はせずに中団外目を追走。スタンド前でもペースが遅かったが、そこで好位から2列目の中目を取って、逃げるウィリアムバローズの後ろから向正面に入る。ここで仕掛けて2列目の内に誘導して3角へ。

 3角で最内から一気に抜け出し、4角ではそのまま突き抜けて3馬身のリードを奪うと、直線でも4馬身、5馬身と差を広げる。ラストでメイショウハリオに1馬身ほど差を詰められたが、それでも余裕を持って4馬身差で圧勝した。

 JBCクラシックは前半5Fが64秒4と遅かったが、3角から一気に動いて、長くいい脚を使って自己最高指数での勝利。ただ、国内で無敗だったクリソベリルがJBCクラシック優勝後のここで4着に敗れてしまったように、数々のJBCクラシック優勝馬が続くチャンピオンズCでは善戦するものの、馬券圏内に入っていない。

 この点を考えると割り引く必要はあるが、序盤で躓くなど決してスムーズではなかったなかで、優勝したことは評価できる。一昨年は、JBCクラシック覇者テーオーケインズを無印にしたが、ウィルソンテソーロは幅広い展開に対応できることもあり、消しにはできない。

△ (9)テーオードレフォン

 前走の福島民友Cを重賞通用レベルの指数で勝利した馬。レースでは2番枠からまずまずのスタートを切ったが、外のスマートサニー、ミラクルティアラを行かせて好位の内につけ、道中では前にスペースを作って追走。向正面でサンテックスが捲ってペースが上がったが、そこでワンテンポ仕掛けを待ってスペースを維持して3角へ。

 3~4角では最短距離を通って4角出口で2頭分外に誘導。序盤でしぶとく伸びて先頭列に並びかけ、ラスト1Fでそのまま抜け出して3馬身半差で完勝した。

 前走は前に行きたい馬が多く、それらを行かせて終始、最短距離を通る形。完璧な立ち回りではあったが、前後半4F48秒5-49秒7のややハイペースをラスト1Fで加速して勝利したことは評価できる。

 今回は前走で自己最高指数を記録した後に加え、相手強化の一戦になるが、前走で折り合う競馬で結果を出したことは、逃げ、先行馬多数のここでは強みになるだろう。(2)レモンポップが自分の型に持ち込めずに敗れることがあれば、通用の余地がありそうだ。

△ (12)サンライズジパング

 ホープフルSで3着後は長らく芝路線を使われていたが、一線級が相手では苦しく、3走前の不来方賞から再びダート路線へ。2走前のジャパンダートクラシックは、休養明けの不来方賞でジャパンダートクラシックの出走権を絞り取りにいった疲れで、直前まで出走未定だったが、何とか出走にこぎつけて3着に善戦。

 2走前は2列目の内でフォーエバーヤングにプレッシャーを掛けて行く消耗度の高い競馬で、最後の直線序盤で早々と手応えが怪しくなったが、それでも離されたとはいえ3着を死守したのは地力があればこそ。

 前走のみやこSでは1着。大外15番枠からやや出遅れ、そこから軽く促して中団の外を追走。道中は押しながらの追走でやや忙しそうだったが、3角手前の上り坂でじわっと押し上げて3角へ。

 3~4角では好位の外々からから追っつけて鞭も入って必死に食らいついて3番手に上がって直線へ。直線序盤でじわじわ伸びて3番手まで上がり、ラスト1Fでしぶとく伸びて先頭のアウトレンジを捉えて半馬身差で勝利した。

 前走は重馬場でもそこまで好走ダートではなかったが、追走に忙しさを見せていた。前が残る展開なら届かなかった可能性が高かったが、ここはラスト1Fで前が失速する展開になったことで差すことができた。

 本馬は本質的には地方のタフな馬場の2000mがベスト。中央のダ1800mはベストではないが、今回は前走時より時計が掛かることや前走同様、自由に動ける外枠は好ましい。また、ここも展開に恵まれる可能性が高いと見ている。また今回は前走で自己最高指数を記録した後の一戦になるが、成長期の3歳馬だけにここでさらに前進する可能性もありそうだ。

推定3番人気 (4)ペプチドナイル

 今年のフェブラリーSで11番人気の低評価をくつがえして優勝した馬。このレースは9番枠からまずまずのスタートを切って先行し、2列目につけた。4頭併走状態の内から3頭目を追走していたところ、3角手前で一番外の(8)ウィルソンテソーロが2番手に上がり、好位の外から3角へ。

 3~4角で好位の外から進出して、直線序盤で追われると2列目に上がる。ラスト2Fで追われて先頭列に並びかけると、ラスト1Fで抜け出し、2着争いを尻目に1馬身1/4差で完勝した。

今年のフェブラリーSは国内トップクラスが世界最高の優勝賞金1,000万ドル(約14億1,400万円)を誇るサウジCに出走していたことで、歴代のフェブラリーSと比較してもメンバーが手薄だった。ただ、本馬は昨夏の大沼SとマリーンSを連勝した際と同等の好指数で優勝しており、決してフロックではない。

 前走のマイルCS南部杯ではレモンポップと小差の2着。ここでは14番枠からまずまずのスタートを切り、内のレモンポップの出方をうかがいながらコントロールして同馬の外2番手を追走した。

 3~4角で2番手外から軽く仕掛けて、4角では3番手以下を離しながら同馬に食らいついて3/4差。直線序盤でも追われて最後まで食らいついたが、差は詰まらず、3/4差のままゴールした。しかし、3着キタノヴィジョンには5馬身差を付け、自己最高指数を更新している。

 前後半46秒9-49秒0のかなりのハイペースに持ち込んでの2着。今年のフェブラリーSも前後半4F45秒6-50秒1の超ハイペースを好位から押し切って勝利しているように、ハナにこだわる馬ではないが消耗戦に持ち込んでこその馬なのだろう。ただし、消耗戦で能力を発揮してしまうと次走では疲れを残しやすいもの。前走で自己最高指数を記録した後のここは評価を下げたい。

2024年 京阪杯の予想

■B→Cコース替わりで外差し有利

 今週からB→Cコースに替わった。昨日の京都芝1200mの2勝クラスで前後半3F34秒3-33秒9のスローペースでも内の先行馬が総壊滅しているように、中目よりも外から差せる馬が有利になっている。

 京都芝1200mはスタートから3角に向かって坂を上るコースで、前半のペースが上がりにくいコースだが、ここは逃げ、先行馬がそれなりに揃った。

 テンの速い(15)チェイスザドリーム、ゲートが決まればハナを主張していく(13)テイエムスパーダ。さらには(10)グランテスト、(16)マメコ、内には(1)ウインカーネリアン、(3)ビッグシーザーなど、先行馬も多い。

 ここは前半3F33秒台半ばから後半まで上がる可能性が高いと見て、中目よりも外から差せる馬を中心に予想を組み立てた。

京都12R 京阪杯 芝1200m
 ◎ (12)エイシンスポッター
 ○ (2)ヴェントヴォーチェ
 ▲ (6)アグリ
 注 (11)カンチェンジュンガ
 △ (4)プルパレイ
 △ (10)グランテスト
 △ (13)テイエムスパーダ
 △ (16)マメコ
結論 馬連12-2,6,11,4,10,13,16 (15:10:10:5:4:3:3) 複勝12 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (12)エイシンスポッター

 2走前のキーンランドCの2着馬。2走前は4番枠から五分のスタートを切ったが、やや位置を下げて後方からの追走。そこから軽く促して最内に切り込み、中団まで上がって3角へ。

 3~4角では最内からナムラクレアをマークしながら3列目まで押し上げて直線へ。序盤でひとつ外に誘導してサトノレーヴの後ろを取って、ラスト1Fでしぶとく伸び、大外一気のオオバンブルマイとの2着争いをハナ差で制した。

 ここは内枠でJ.モレイラ騎手に乗り替わったこともあり、角田大河騎手が騎乗していた頃よりも積極的な競馬。ラスト1Fでやや甘くなったが、2着を死守した辺りに地力強化を感じさせた。

 前走のスプリンターズSは2走前に自己最高指数タイを記録した後の一戦。前後半3F32秒1-34秒9の緩みない流れを出遅れて、追走に忙しい競馬になったこともあって9着に敗れた。

 本馬は京都芝1400mの安土城SでキーンランドC2着時と同等の指数で勝利しているように、芝1400mがベスト。しかし、一昨年に京都芝1200mの鞍馬Sを勝利し、昨年の京阪杯でも3着に善戦しているように、前半3Fが速くならない京都芝1200mは向いている。

 昨年の京阪杯は6番枠から出遅れて後方3番手から。3~4角でも後方内目を追走していたため、最後の直線で馬場の良い外に出し切れず、中団馬群を切り捌いて上がってきたが、届かずの3着だった。

 それでも昨年はメンバー最速の上がり3F32秒2で追い込んでおり、そこから地力を付けた今年は、昨年よりも上の着順が狙える。外差し有利の12番枠というのも昨年より好条件で本命馬とした。

○ (2)ヴェントヴォーチェ

 3走前の2023年のオーシャンSで重賞2勝目を挙げた馬。同レースでは9番枠から五分のスタートを切り、軽く促して中団の外目で脚を温存した。3~4角で前がペースをコントロールしている状況下で外から押し上げ、4角出口では楽な手応えで2列目の外まで上がって直線へ。直線序盤ですっと伸びて先頭に立ち、3/4差ほど前に。ラスト1Fではしっかりと抜け出して2馬身差で完勝した。

 前々走の2023年高松宮記念では、休養明けに好走した疲れで進みが悪く、3角手前から内にモタれ気味の苦しそうな競馬。結果、8着に敗れた。その後、繋靱帯を痛めて休養し、前走のスプリンターズSは1年6ヵ月ぶりの一戦。

 前走は多くの馬が引退に追い込まれた不治の病からの復帰戦。全盛期の能力を失っていることが多いが、前走では16着だったが着差は1.4秒差と案外とやれた。この中間の追い切りでも良化気配を見せており、2番枠だが一変を期待したい。

▲ (6)アグリ

 昨年1月の京都芝1200m戦、シルクロードSの2着馬。ここでは13番枠から五分のスタートを切り、軽く促して中団外目を追走。3~4角で中目に誘導して仕掛けを待ち、4角ではオタルエバーの後ろから直線へ。序盤で捌いて外へ誘導し、3列目付近まで上がる。ラスト1Fで早めに抜け出したルガルに対して一頭だけしぶとく差を詰めて2番手に上がったが、3馬身差で完敗した。

 しかし、ルガルは今年のスプリンターズSの覇者。ここではそのスプリンターズSを上回る指数を記録しており、アグリもウインマーベルと3/4差だった5走前のシルクロードSと変わらない指数で走っている。

 元所属していた安田隆行厩舎の引退で使い詰めにされた後の長期休養明けのCBC賞では見せ場のない17着に敗れたが、そこから立て直されたスワンSでは10着(着差は0.5秒)に巻き返している。それもしつこく先行争いに絡んで逃げ馬の外2番手を追走してのこの着差だから復調していると言える。

 ここは1200m戦。昨年のシルクロードS時のように、差す競馬で巻き返しを期待したい。

2024年 ジャパンCの予想

■内枠有利の舞台

 過去10年で馬番1番が【3-3-1-3】、2番が【3-1-1-5】。馬番1~6番までで9勝している。中盤でもペースが落ちにくく走破タイムが速くなるので、外枠の馬は海外馬で最後にジャパンCを勝ったアルカセットのように、1角で内に入れないと勝ち負けするのは難しい。

 ただ、今回は逃げ馬不在で一昨年のように5F通過61秒前後のスローペースが予想されるだけに、ゲートが甘く、後方からの追走になる(3)ドウデュースや(4)ジャスティンパレスは良くない枠に入ったと見ている。

東京12R ジャパンC 芝2400m
 ◎ (9)チェルヴィニア
 ○ (1)ゴリアット
 ▲ (7)シンエンペラー
 注 (4)ジャスティンパレス
 △ (5)シュトルーヴェ
 △ (6)ダノンベルーガ
 △ (10)ドゥレッツァ
 △ (4)スターズオンアース
結論 馬連9-1,7,4,5,6,10,4 (10:10:10:5:5:5:5) 複勝9 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (9)チェルヴィニア

 長期休養明けの桜花賞では13着に敗れたが、オークスと秋華賞を連勝。秋華賞では5番枠から五分のスタートを切り、コントロールしながら中団中目を追走。道中ではセキトバイースト、そこから離れてクリスマスパレードと前2頭が後続を離していく展開。向正面でクイーンズウォークが上がってきたが、そこでも中団中目を維持した。

 3~4角では3番手以下の鞍上の手が動いて前を追いかけたが、本馬はほぼ馬なりでその流れに乗って仕掛けを待つ。4角でようやく鞍上のC.ルメール騎手の手が動いたが、進路を作り切れずにワンテンポ待って直線へ。直線序盤で中目のスペースを拾って2列目まで上がり、ラスト1Fで先頭列をさばいて突き抜け、1馬身3/4差で完勝した。

 超高速馬場で前後半5F57秒1-60秒0の激流。上がりが掛かって差し、追い込み馬に向く展開ではあったが、ラスト1Fで加速したことから、距離が延びてこそ良さを感じさせる。

 桜花賞では出遅れて追走に忙しさを見せ、そこから大幅距離延長となったオークスで一変したことからも、今回くらいの距離がベストなのだろう。トップクラスが相手となるとやや実績不足だが、3歳馬の成長力と軽斤量54kgに期待して本命馬とした。

○ (1)ゴリアット

 今夏のKG6世&QESで1番人気の(8)オーギュストロダンを破って優勝し、大波乱を起こした馬。KG6世&QESでは6番枠から五分のスタートを切ったが、コントロールしながら位置を下げて中団の外を追走。道中は前に壁を作って2角を過ぎる。

 次の直線の上り坂では馬なりで上がって3角で中目を通って壁を置いたまま直線へ。ラスト2Fで外に誘導して追い出されると、しぶとく伸びて先頭に1馬身半差、ラスト1Fでさらに差を広げて2馬身1/4差で完勝した。

 ここは前後半5F60秒30-62秒80のかなりのハイペース。アスコットの芝2390mはスタートから約800mで約22mも坂を下るため、どうしてもハイペースになる。序盤でハイペースに巻き込まれないように位置を下げていったにせよ、ラスト2Fで先頭に立って、後の凱旋門賞馬ブルーストッキングや後のBCターフの覇者レベルスロマンスの追撃を振り切ったことは評価できる。

 その後、脚元の膿瘍(うみがたまった状態)でオイロパ賞を回避したが、休養明けで不良馬場の前走コンセイユドパリ賞でも勝利。ここではKG6世&QESとは全く流れが違う、極端なスローペースを2列目の内を追走し、3角の下りで外に誘導。直線序盤ですっと先頭に立って半馬身差で押し切っており、幅広い展開に対応できたことも収穫だ。

 本馬は折り合いに課題があって出世が遅れたが、その能力は確か。また前走はかなりのスローペースで能力を出し切っておらず、叩かれての前進が期待できる。

 確かに日本の馬場に対応できる保証はない。しかし、実質、欧州最強馬であり、今回は1番枠に恵まれた。ここ2戦はC.スミヨン騎手に乗り替わって上手く前に馬を置く形でレースを進めて結果を出しており、ここで外の何かを行かせて上手く好位の内を追走できればチャンスがありそうだ。

▲ (7)シンエンペラー

 今夏の愛チャンピオンSの3着馬。ここでは3番枠から五分のスタートだったが、二の脚が速く好位の外を追走。道中も外目を追走していたが、外からエコノミクスとオーギュストロダンに蓋をされ、包まれてしまう。

 3~4角でも包まれて、直線序盤でも進路がない状態。ラスト1Fで進路を確保するといい脚で前に迫ったが、クビ+3/4差の3着だった。ここは前後半5F60秒83-62秒05のかなりのハイペースで、ラスト1Fでは前がやや甘さを見せているが、さすがにラスト1Fで仕掛けたのでは遅かった。

 この愛チャンピオンSは好内容だったと見ている。本馬も折り合いに課題があって、ホープフルSや日本ダービーで2着、3着と善戦するものの勝ち切れなかった面はあるが、そこが解消された感のある内容だった。

 前走の凱旋門賞は休養明け好走後の一戦で、馬場がタフになった影響もあり12着に大敗。凱旋門賞後の日本のレースで好走するのは厳しいという意見もあるが、それは凱旋門賞で好走した馬の話だ。敗退した馬は、タップダンスシチーなど数々の馬が一変している。かつてジャパンCで好走した外国馬も、凱旋門賞敗退からの巻き返しがとても多い。シンエンペラーは現状ではやや能力が足りないが、3歳馬の成長力を見せることができれば通用していい。

注 (4)ジャスティンパレス

 昨年の天皇賞(春)で悲願のGⅠ制覇を達成。このレースはタイトルホルダーが逃げて主導権を握り、前半~中盤が速かったが2周目の3角手前で同馬が故障して下がったことで13秒台前半と大きくペースが緩んだ。

 本馬は1番枠から五分のスタートを切り、積極的に促していったが、ひとつ外のディープモンスターの方が速く、そこで控えて中団やや前目を追走。1~2角でディープボンドの後ろを選択し、そこから同馬をマーク。

 3角手前で一気にペースダウンすると、そこでディープボンドを追い駆け、楽な手応えで進出。4角では同馬の外に誘導して2列目。直線序盤ですっと加速して先頭に立って1馬身差、ラスト1Fでディープボンドとの差を広げて2馬身差で完勝した。

 ここでは3角手前から上手く押し上げたことが功を奏しての優勝で、自己最高指数を記録した。その後は中距離路線に矛先を向け、宝塚記念3着、天皇賞(秋)は2着、そして暮れの有馬記念では小差の4着に善戦。

 今年はドバイ遠征後の宝塚記念こそ10着と崩れたが、前走の天皇賞(秋)では巻き返して4着。ただし、ここでは11番枠から出遅れて後方からの追走となり、最後の直線序盤では後方中目で進路がない状態。ラスト2Fでやや外に誘導しても進路を確保できず、そこから内目に進路を切り替え、ラスト1Fでしぶとく伸び始めたがさすがに厳しく、ホウオウビスケッツにクビ差に迫ったところがゴールだった。

 本馬はゲートにも二の脚にも甘さがあるので、逃げ馬不在で内枠だとまた最後の直線で進路取りに苦労する可能性が高い。同じことが(3)ドウデュースにも言えるが、前走で不完全燃焼だっただけに、同馬よりも余力を残せているだろう。警戒したい。

△ (5)シュトルーヴェ

 今年に入って3勝クラスのJCベストレース記念とG2の日経賞、目黒記念を3連勝した馬。目黒記念では後の京都大賞典の覇者シュヴァリエローズを撃破しているが、特にGⅡの上位常連馬が集った日経賞勝ちが強かった。

 日経賞では6番枠から出遅れ後方2番手を追走。スタンド前でも最内で我慢。向上面でアドマイヤハレーが動いてペースアップすたが、ここでワンテンポ待って、中団中目に上がって3角へ。

 3~4角でも中団中目を通し、直線序盤で中団馬群の中目から伸びる。伸び始めは地味だったが、ラスト1Fで前が苦しくなったところを、しぶとく伸びて半馬身差で勝利した。

 このレースでは前半が遅く、スタンド前ではマテンロウレオが後続に10馬身ほど離していたが、向上面ではあまり差がなくなっているように、中山芝2500mとしては仕掛けが速かった。結果、前後半5F60秒0-60秒7でまとめており、逃げ馬にも、追い込み馬にもチャンスがある展開だった。

 本馬は内田博幸騎手のダメ騎乗(出遅れをかなり押して挽回するが、1角を結局ブレーキしながら入り、さらに4角で外へ誘導する際に蓋をされ、直線序盤で馬のバランスが崩れて後方に下がるロス)だった5走前の日本海特別を除けば、ほとんどのレースでメンバー最速の上がり3Fを記録している。目黒記念のようなかなりのスローペースでも、後方から差し切れるトップスピードがある点が魅力だ。前走の宝塚記念では状態が悪く11着に大敗したが、立て直しに成功していればここも通用していい。

△ (6)ダノンベルーガ

 2走前のドバイターフでは3着。10番枠から出遅れ、押して挽回して行く形に。道中は中団中目でコントロールして我慢させ、3~4角では包まれる格好になったが、直線序盤で狭い内のスペースを突くとラスト2Fは馬群をさばきながら中目に誘導。その間に外のファクトゥールシュヴァルとナミュールに抜け出された。ラスト1Fでその2頭に食らいついたが、3/4馬身差で敗れた。

 前半5Fを58秒ほど(日本の計測法なら、あと1秒ほど速い)で通過するかなり速い流れ。3~4角のペースダウンで内の馬は包まれる形となり、そこで外から挽回した2頭がワンツーという結果。

 本馬は一線級相手の中距離戦では最後に甘さを見せて勝ち切れない面もあったが、ここではラスト2F11秒2-11秒3ほどの流れを残り100mでも前2頭にしぶとく食らいついており、甘さを見せていない。昨年のドバイターフでも2着と好走しているが、今年は当時よりも前で進めており、しぶとさという意味では今年の内容の方が上だった。

 そこから長期休養明けの前走、天皇賞(秋)では、戦前の段階から堀宣行調教師が「仕上がりが遅れている」とコメントしていた。実際に10番枠から五分のスタートを切ったが、外にヨレて接触し、2角でもつまずくなど、リズムの悪い競馬で14着に敗れた。

 この中間も美浦ウッドで必死に追われてもピッチは上がってこなかったが、陣営は「フルカップのヴァイザー(ブリンカーの一種)を着用したが、逆効果だった」と述べており、今回はブリンカーを外すようだ。近2走のように前半でポジションを取りにいく競馬でなければ巻き返しがあって不思議ない。

△ (10)ドゥレッツァ

 未勝利勝ちから破竹の5連勝で菊花賞を制した上がり馬。菊花賞は大外17番枠からやや出遅れたが、そこから先行して1周目の3角手前でじわっとハナを取り切った。スタンド前でペースを落として外をチラッと見て、1~2角でさらに1F13秒台までぺースを落とし、2角で外から並びかけてくるパクスオトマニカを行かせた。向正面で外からリビアングラスも上がって2列目に最内で3角へ。

 3~4角でペースアップして行く中で最短距離を通って4角で前2頭の間を縫ってスッと外に出し、先頭のリビアングラスと3/4差で直線へ。直線では同馬もしぶとかったが、ラスト1F手前でかわし、外から迫るタスティエーラも突き放して3馬身半差で完勝した。

 菊花賞はC.ルメール騎手の天才的な騎乗が光った。また、あれだけの出入りの激しい競馬をノーブレーキでやれてしまう技術にも感服した。ただステイヤー色の強い、スタミナが豊富な馬でなければああいう競馬はできないだろう。

 近走は不振ではあるが、ここは立て直されての一戦。逃げ馬不在のここで逃げ、先行して展開に恵まれれば一発がありそうだ。

△ (4)スターズオンアース

 昨年のジャパンCの3着馬。17番枠からまずまずのスタートを切って、しっかり先行。3番イクイノックスの直後をリバティアイランドと併走した。3~4角でペースが落ちない状況でリバティアイランドのひとつ外からイクイノックスを追いかけ、直線序盤で追われると伸びが地味。リバティアイランドにすぐに前に出られたが、徐々に差を詰めて同馬に1馬身差に迫った。

 超高速馬場で前後半57秒6-60秒7のかなりのハイペース。外枠だったので終始リバティアイランドの外を追走する形になったが、枠が逆でキレあるリバティアイランドよりも先に動いていれば、逆転の可能性もあったと感じさせる内容だった。

 続く有馬記念ではドウデュースから半馬身差の2着。同レースでは大外16番枠からトップスタートを決め、2番手を追走して結果を出した。大外16番枠は絶望的であることで有名な有馬記念で、抜群のスタートを切ってイン前の競馬。例年は中盤の1~2角でペースが落ちるが、昨年は緩まなかった。それでもスターズオンアースはしっかりペース落として息を入れ、平均ペースに対応できた。

 上手く乗られてはいたが、ジャパンCで好走した後の有馬記念でも好走できるのは地力があればこそ。ただ有馬記念では気合が乗ってこない本馬に対して、鞍上が過剰なほど返し馬を行なっていたことから、無理をさせてしまったのでないか。もし、そうならこの後、不振になると見ていて、復帰戦の前走ドバイシーマクラシックでは見せ場のない8着に敗れた。今回は長期休養明けの一戦だが、まだ復調していない可能性もある。

 また内枠有利のジャパンCで大外14番枠を引いてしまった。今回は逃げ馬不在の一戦だけに、有馬記念のように積極的に出していけば逃げる形になってしまうはず。逃げることを嫌う川田将雅騎手なら、それはやらないだろう。そうなると外々を回るロスを作りかねないが、状態さえ戻っていればそれでも上位争いに加われるだろう。

迷って消しの馬 (12)ソールオリエンス

 クラシック三冠で活躍しながらも、古馬になってからの成長力を欠いていたが、2走前の宝塚記念では皐月賞馬の意地を見せて2着と健闘した。

 宝塚記念は9番枠から五分のスタートを切り、促しながら無理なく中団外目からの追走。向正面ではペースが上がらなかったが、後方2番手まで下げ、3~4角の下り坂でペースが上がっていくなか、中目を通って外に誘導しながら直線へ。直線序盤で大外のブローザホーンの内から3列目まで上がり、ラスト1Fでは先に抜け出したブローザホーンが内にササって進路がやや狭くなる場面もあったが、立て直してベラジオオペラ、プラダリアとの2着争いをクビ差で制した。

 重馬場で外差し有利の馬場。本馬はコーナリングが苦手なところがあり、向正面で位置を下げ切って3~4角のロスを小さくし、直線で馬場の良い外へと上手く乗られていた。皐月賞、宝塚記念と重馬場で連対しているが、宝塚記念では上がり3F34秒5でも対応していることから道悪巧者ではないだろう。また、菊花賞や有馬記念の敗戦から長距離よりも中距離でこそと見る。

 休養明けの前走、天皇賞(秋)ではレース上がり3F33秒5と極端に上がりが速く、前に有利な競馬となって能力を出し切れなかったが、ひと叩きされての前進が期待できる。

 ただ、レベルが高いとは言えない4歳世代。今秋の天皇賞(秋)で同世代のライバルタスティエーラが2着に好走したが、今回は当時よりも相手が強い。チャンスがあるとすれば、休養明けの実績馬が復活しなかった時だろう。

推定1番人気馬 (3)ドウデュース

 昨年の有馬記念の覇者。有馬記念では5番枠から出遅れて後方からの追走。スタンド前でもペースが遅かったが、前のヒートオンビートを壁にして後方の外で折り合う。向正面で動いた前のヒートオンビートをコントロールしながら追いかけ、3角で同馬の外に誘導した。

 3~4角で4頭分外から楽に押し上げて2列目の外から直線へ。直線序盤で△(4)スターズオンアースの外からしぶとく伸びて2馬身差まで追い詰めた。ラスト1Fで先に逃げたタイトルホルダーを競り落とし、食らいつくスターズオンアースに半馬身差をつけて勝利した。

 この有馬記念は前半5F60秒4と速くはないが、タイトルホルダーが中盤で緩めなかったことで後半が速くならなかった。差し馬にも十分チャンスがある展開だったが、3~4角でロスを作りながらも最後までしぶとかったことは評価できる。

 今春のドバイターフは4番枠から出遅れて中団まで挽回し、3~4角で窮屈になってブレーキを掛けながら進出。ラスト1Fまでは進路がなく、脚を余す形で5着。2走前の宝塚記念は4番枠からスタートを決めたことで外から被せられて後方列の中目を追走。3角までに位置を下げ切れず、直線まで馬場の悪化した内を通って6着と連敗した。

 前走の天皇賞(秋)では、直近の2戦で不利が重なり、能力を出し切っていないことや相手が楽な点から、ベストな距離ではないが本命候補とした。7番枠からやや出遅れて挟まれかけ、後方2番手まで下げ、3角では外に誘導し直線勝負の形。ラスト1Fで前が甘くなったところを一気に差し切って1馬身1/4差で勝利している。

 前走ではある程度の能力を出し切っているが、超高速馬場で前後半5F59秒9-57秒4とかなりのスローペースで前有利の展開になったことで、有馬記念時ほどの指数では走っていない。目標はあくまでも有馬記念だろうが、ここもある程度は走れそうだ。ただし今回は3番枠。ドバイターフのようになりかねない枠の並びなので消すことにした。

2024年 兵庫ジュニアGPの予想

■もっともレベルが高かった1勝クラスは?

 JRA勢5頭のうち、2勝を挙げているのは(12)コスモストームのみ。このレースは中央の2勝馬が活躍する舞台だが、前々走のヤマボウシ賞では(7)ハッピーマンに先着を許している。

 今回出走の中央馬が経由している1勝クラスのヤマボウシ賞、プラタナス賞、なでしこ賞のレベルの序列付けをしっかり把握することがこのレースのポイントとなりそうだ。

園田11R 兵庫ジュニアGP ダ1400m
 ◎ (7)ハッピーマン
 ○ (6)コパノヴィンセント
 ▲ (12)コスモストーム
 注 (11)ベラジオドリーム
 △ (2)ヤマニンシュラ
 △ (4)ラピドフィオーレ
結論 馬複7-6,12,11,2,4 (20:10:10:6:4) 複勝7 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (7)ハッピーマン

 京都ダ1200mの新馬戦では、8番枠から出遅れたが、そこから促して好位列の中目の後ろまで挽回。加速がつきすぎたところから抑えたので道中ではやや折り合いを欠いたが、レースの流れに乗ってからはスムーズだった。

 3角で内に入れて砂を被りながら好位の中目まで上がり、4角出口で外に誘導。直線序盤で追い出されると手応え良く一気に先頭に並びかける。ラスト1Fで突き抜けて2着に3馬身半差、3着に7馬身差をつけて圧勝した。

 上がり3Fタイムの36秒8は、同日3Rの3歳未勝利戦を8馬身差で勝利し、1クラス上の指数を記録したゼンカイパイロと同等の数字。2歳新馬戦としてはかなり優秀なタイムだ。

 ラスト2Fは12秒5-12秒4。ダート新馬戦で最後まで加速したことは高く評価できる。スタート後のロスを考慮すれば、今回の指数以上に強いと評価できる。

 前走のヤマボウシ賞は4着。ここでは大外10番枠で五分のスタートを切ったが、前に壁が作れずに行きたがっていたが、がっちり抑えて序盤は中団の外。道中で好位の外まで上がって3角へ。3~4角で3頭分外を回るロスを作りながらも直線序盤で3番手まで上がったが、ラスト1Fでクレーキングに差されて4着に敗れた。

 前走ではアメリカンビキニと0.6秒差と完敗ではあったが、同馬は小倉ダ1000mの新馬戦で逃げて同日の同距離2勝クラスを上回る走破タイム(指数自体は同日2勝クラスと同等)で勝利したほどの馬。そのアメリカンビキニを大外枠から負かしに行っての4着ならば評価できるし、実際に(12)コスモストームを撃破している。

 今回は前に壁が作れる7番枠。スムーズに立ち回っての上位争いを期待する。

〇 (6)コパノヴィンセント

 中山ダ1200mの新馬戦では12番枠から好スタートを切り、そこから先行争い加わっていく形。先行4頭の併走状態だったので、3角手前で一列下げて2列目の最内で直線へ。序盤で前のウインレアリゼが下がって包まれ、進路がない状態だったが、ラスト1Fで進路をこじ開けて抜け出し、1馬身半差で勝利した。

 本馬が新馬戦で記録した指数は、最後の直線での不利もあり、平凡なものだったが、ここで能力を出し切れなかったことで、前走のプラタナス賞で上昇。

 前走は5番枠。外のウインハルモニアの方が好スタートだったが、押して2番手で追走。道中はスローペースで逃げるメルキオルをぴったりマークで進めた。直線序盤では同馬との差は1馬身程度で射程圏内だったが残り300m辺りからどんどん差を広げられ、5馬身差で敗れた。

 ここではラスト2Fの上がり勝負となった中で、メルキオルに差を広げられ、サトノタワーにもハナ差まで詰め寄られる形。ラストで甘さを見せた辺りに、1600mよりも1400mでこそを感じさせた。1400mのここは前走以上に走れる可能性が高い。

▲ (12)コスモストーム

 前走で1勝クラスのなでしこ賞を勝利した馬。前走は10番枠からトップスタートを切ったが、芝部分でやや置かれて道中は2列目の外付近を追走。3角手前で砂を被らないように先頭列3頭の外に誘導。4角でも3頭分外を回って直線へ。直線序盤で先頭列に並びかけ、ラスト1Fで先頭に立つとそのまま抜け出して2馬身差で完勝した。

 前走は前後半3F34秒5-39秒0のハイペース。最後の直線では前3頭がバテたところを差す形になってはいるが、後続にも差を詰めさせていない。

 ちなみに兵庫ジュニアGPは前走で1勝クラスを勝利した馬が活躍している。2戦2勝馬で一度でも逃げて着差1.0秒差以内だった馬は、2014年のキャプテンシップ(1番人気・6着)、2016年のネコワールド(3番人気・6着)、2022年のトレド(1番人気・競走中止)とことごとく敗れているが、それらを除く前走1勝クラス勝ち馬の過去10年の成績は、【7・4・2・0】と複勝率100%となっている。

 ただし、今年に関してはなでしこ賞<プラタナス賞<ヤマボウシ賞の序列でレベルが高く、なでしこ賞の3着馬は次走のオキザリス賞で7着に敗れている。本馬はヤマボウシ賞時は内枠で揉まれ弱さを見せた面もあり、今回の大外12番枠も歓迎であるが、1番人気に支持されるほど盤石でもない。

注 (11)ベラジオドリーム

 前走のネクストスター門別で2着と好走した馬。前走は8番枠からまずまずのスタートを切って、内の出方を窺いながらじわっと先行策。道中は好位の外を追走した。3角で外から前2頭に並びかけ、3頭併走で直線へ。序盤で先頭に立ったが、ラスト1Fで前に出られて1馬身差で敗れた。

 前走は前後半3F35秒4-38秒1のかなりのハイペース。差し馬有利の展開となった中で、先行策から押し切ったことは高評価できる。本馬は2走前のサッポロクラシックCでも2番枠から押し出されるように逃げ、最後の直線で甘さを見せて2着に敗れたが、今回はここ2戦よりも先行馬が多数。前半である程度脚を溜めての一発に期待したい。

△ (2)ヤマニンシュラ

 中京ダ1400mの未勝利戦を逃げ切り勝ちした馬。ここでは3番枠からかなり押してハナを主張。道中も緩みないペースで逃げて1馬身差で直線へ。ラスト2Fでリードを広げたが、ラスト1Fっで甘くなり、モレポブラーノに半馬身差まで詰め寄られた。

 前走は前後半3F35秒3-37秒6。悪い内容ではないが、先行馬多数の今回は、前走以上にペースが速くなると見て評価を下げた

△ (4)ラピドフィオーレ

 前走のネクストスター園田で逃げて2着。前走は4番枠からかなり押して先頭へ。加速がつきすぎたところから抑えたので、掛かり気味に逃げた。3角からキングスピカにプレッシャーをかけられ、直線序盤でこれを振り切ったものの、最後にオケマルに差されて半馬身差だった。

 ここでは体が前のめりになるほど折り合いが悪く、4角でもやや外に膨らむスムーズさを欠く内容。まだ幼さタップリの内容で2着は褒められる。まだレースぶりに良化の余地があり、一考したい。

2024年 ハイセイコー記念の予想

■やや中~外有利の馬場

 ここは前走で2番手で進めた馬が多く、逃げたいのは(6)シナノクーパー、(9)ヴァンディヴェールの2頭のみ。先行馬は(8)ニホンダイラ、(10)レーヌバンケット、(14)グリークトレジャー、(15)アクナーテン辺りになる。

 (11)スマイルマンボは二の脚が速いが、前走では行きたがるのをコントロールしており、前走からもう一列下げて乗る可能性が高い。ハイペースでもスマイルマンボを意識した騎乗で、極端なハイペースにはならないと見ている。

 また内よりも中から外が伸びており、一発は外目から差せる馬と見て予想を組み立てた。

大井11R ハイセイコー記念 ダ1600m
 ◎ (11)スマイルマンボ
 ○ (7)シビックドリーム
 ▲ (1)パルヴェニュー
 注 (2)ユウユウスキー
 △ (15)アクナーテン
 △ (16)ユメカイドウ
結論 馬連11-7,1,2,15,16 (18:18:10:2:2) 複勝(50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (11)スマイルマンボ

 門別ダ1100mの新馬戦の勝ちタイムが1分08秒8と破格。初めての大井1600m戦となった前走でも、ゴールドジュニアの覇者ランベリーを相手に7馬身差で圧勝した。

 前走は4番枠から好スタートを決め、外のラブミーメアリーが行くのを待って2番手を確保。道中はコントロールしながら2番手を追走し、3角手前でラブミーメアリーに並びかける。3~4角では持ったままで同馬と半馬身差。直線序盤で早々と先頭に立つと、ラスト1Fで一気に突き抜けて7馬身差で完勝した。

 前走はラスト2F13秒3-12秒9と加速して完勝。2着ランベリーは、ゴールドジュニアを大目標にした後の一戦で距離も長ったが、それを考慮しても素質の高さが窺える強い内容だった。

 また本馬は2走前のスピネル特別では、中団馬群の中から差す競馬で2着に善戦しており、揉まれる競馬にも対応できるはず。1番人気でも逆らいにくい。

2024年 アルゼンチン共和国杯&みやこSの予想

■極端な脚質の馬に厳しいレース

 過去10年で平均ペースになったのは2回のみ。残る8回は平均よりも遅いペースで、ハイペースになったことは1回もない。このため追込馬は厳しい戦いを強いられる。また距離が長くなるほど、スローペースであっても逃げ切るのは難しく、逃げ馬は1回も馬券に絡んでいない。

 一方、先行~中団が8勝。2着、3着も先行~中団がそれぞれ6回馬券に絡んでいる。つまり、ある程度の位置を取れる馬を中心視するのがベストだ。

東京11R アルゼンチン共和国杯 芝2500m
 ◎ (4)クロミナンス
 ○ (11)アドマイヤハレー
 ▲ (1)ミクソロジー
 △ (9)タイセイフェリーク
 △ (13)サヴォーナ
 △ (14)セレシオン
 △ (16)ショウナンバシット
結論 馬連4-11,1,9,13,14,16 (9:9:8:8:8:8) 複勝4 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (4)クロミナンス

 2走前に中山芝2500mの日経賞で2着。この時は10番枠からやや出遅れ、じわっと中団外目を追走。スタンド前では中団の外目で流れに乗り、向正面では逃げたマテンロウレオが後続を離していったが、戸崎圭太騎手らしくそこでは動かず、仕掛けを待つ形をとった。

 外からアドマイヤハレーにマクられると、そこでは軽く促してはいたが、3~4角の外々からロスの大きい競馬となり、位置を押し上げられないまま直線へ。直線序盤ではじわじわ伸びるもまだ3列目付近。ラスト1Fで前が甘くなったところを差し込んで、勝ち馬のシュトルーヴェに半馬身差まで迫った。

 3~4角でペースが上がってからの後追いとなり、距離ロスもあったが、ラスト1Fでアドマイヤハレーを追い駆けた馬たちが失速していることを考えると好判断だった。

 C.ルメール騎手に乗り替わった前走の目黒記念は3着。ここでは4番枠からまずまずのスタートを切り、そこからある程度押して積極策。しかし、ケイアイサンデラが後続を引き離して逃げたため、道中は離れた好位の外目で進め、実質は差し競馬となった。

 3~4角でケイアイサンデラがペースを落とすと、そこで取り付いて直線序盤で外に誘導。ラスト2F目で3列目から2列目に上がり、ラスト1Fでは内のシュヴァリエローズと競り合いに。外から一気にシュトルーヴェにかわされ、シュヴァリエローズにも競り負けてクビ+アタマ差の3着だった。

 ただし、シュヴァリエローズはその次走で京都大賞典を優勝しているように、芝2400~2500mではしぶとく強い馬。この相手に競ったことは評価したい。

 本馬は目立つほどの先行力はないが、ゲートも二の脚も悪くない。またキレ味もさほどないが、それでもメンバー上位の末脚で上がって来ることができている。弱点がなく、高水準の総合力で勝負するタイプ。このため近6走とも着差0.2秒以内という安定した走りができているのだろう。ここも崩れることは考えにくく、本命馬とした。

○ (11)アドマイヤハレー

 前々走の日経賞では、クロミナンスと小差の6着。8番枠から出遅れ、かなり掛かるのをなだめながら後方外を追走する形。向正面で一気に2番手に上がって3角へ。3~4角では逃げるマテンロウレオにプレッシャーをかけていったが、ラスト1Fで苦しくなって6着に敗れた。

 前々走は向正面でマクって逃げ馬にプレッシャーをかけていったことで一気にペースが上がり、前に行った馬には厳しい展開となった。そのなかで展開に恵まれたシュトルーヴェと0.4秒差、クロミナンスと0.3秒差なら悪くない。

 本馬は4走前の迎春Sでも大外8番枠から出遅れ、最後方からかなり掛かるのをなだめながらの追走となった。向正面で一気に2番手に上がり、3~4角で逃げたセイウンプラチナにプレッシャーをかける。しぶとく抵抗する同馬を直線序盤で競り落とし先頭に立ち、ラスト1Fで抜け出すと、外から迫る差し馬たちを振り切って1馬身半差で完勝した。

 このように、本馬は前の位置を取った際は好走している。また、田辺裕信騎手が騎乗した昨年3月の2勝クラス戦では、不良馬場のなかで出遅れを挽回して2番手を追走、そのまま2着に粘った実績もある。

 どうしても出遅れるところがあるが、先行勢が手薄の今回、折り合いの概念を捨ててそのまま行かせた時に一変する可能性がある。後方で待機させて酷く折り合いを欠くくらいなら、前半から行かせてみると面白いはずだ。

▲ (1)ミクソロジー

 4連勝で昨年2月のダイヤモンドSを優勝した馬。ダイヤモンドSは4番枠から好スタートを切ったが、そこから促されながらもじわっと下がり、好位直後の最内を追走。スタンド前でも無理なく進めて前にスペースを作り、スムーズに向正面を迎えた。

 向正面ではスタッドリーがマクったため一気にペースアップしたが、ここでワンテンポ待って中団最内で3角へ。3~4角では外を追走していたシルブロンが仕掛けて動き、本馬もその後ろから上手く外に誘導して直線を向いた。

 直線序盤では追われて2列目に上がり、残り300mではシルブロンをかわして先頭列。ラスト1Fでしぶとく粘るヒュミドールをクビ差で捉え切ってレコード勝ちした。

 このレースは向正面でかなり折り合いを欠いたスタッドリーが2番手まで進出したことで、逃げていたウインキートスと競り合う形となり、一気にペースアップしたことがレコード決着を演出した。つまり、マクられても脚をタメ続けていたミクソロジーは展開に恵まれての優勝だった。

 しかし、ここで能力を引き出されたことで疲れが残り、その後は休養。その間に蹄球をぶつけるアクシデントがあって蹄が化膿。以降は1年7ヵ月にも及ぶ長期休養を余儀なくされた。

 復帰初戦の前走オールカマーは11着。芝3400m→芝2200mと距離が短くなったことで追走に苦労して大きく敗れたが、逃げ馬と2番手がそのまま2着、3着に粘る前有利の展開で0.8秒差ならそこまで悪くない内容と言える。

 ベストはあくまでも長距離だが、芝2200m~2400mで1勝クラスと2勝クラスを連勝しているようにこなせない距離ではない。休養明けの前走で能力を出し切れなかったことで、叩いた前進も期待できる。前走で後方からレースをしているだけに、今回である程度、前の位置が取れるかの課題があるが、前走で芝2200mを使ったことで序盤からレースの流れに乗れればチャンスがある。

△ (9)タイセイフェリーク

 前走の昇仙峡S(東京芝2400m)の2着馬。前走は7番枠から五分のスタートを切り、コントロールしながら内に切れ込み、中団の内目を追走。向上面でも中団の内で我慢させて3角へ。3~4角で徐々に進出して4角で外に誘導。直線序盤もまだ中団だったが、ラスト2Fでじわじわ伸びて好位に上がり、ラスト1Fで一気に伸びて先頭へ。先頭に立ったところでややモタれ、そこを外からワイドエンペラーに差されてクビ差だった。

 前走は逃げ馬が3角から仕掛けてペースアップする展開。逃げ馬の早仕掛けに付き合った馬には厳しい展開だったが、この展開で3~4角からじわっと脚を使いながらも、最後にもうひと脚使って勝ち負けに持ち込んだことは評価できる。

 今回は3勝クラスの身でG2に挑む形となるが、前走指数はなかなか高く、重賞上位レベルのもの。それでありながらハンデは52Kgを恵まれた。ハンデの優位性を活かしての一発があっても不思議ない。

△ (13)サヴォーナ

 今年1月の日経新春杯では、後の天皇賞(春)2着馬で、宝塚記念を制するブローザホーンと小差の2着と好走した馬だ。

 日経新春杯は13番枠からやや出遅れたが、そこから促して先行策。1角で内に入れ、道中は好位の最内を追走した。

 3~4角では逃げるディアスティマの後ろから楽な手応えで最内を通すも4角では進路を作れず、やや窮屈になって仕掛けを待たされたが、直線序盤で進路ができると内からじわじわ先頭のサトノグランツに並びかける。ラスト1Fでサトノグランツをかわして先頭に立ったが、外からブローザホーンに差されて1馬身差の2着だった。

 この日経新春杯はタフな馬場でかなりのハイペース。前へ行った馬には厳しい流れで、上位入線馬の中では前半もっとも前の位置で進めたサヴォーナが一番強い内容だった。それを裏付けるように、このレースで自己最高指数を記録している。

 その後、芝3000m以上のレースでは指数を落としていることや、昨秋の神戸新聞杯(阪神芝2400m)で2列目の最内をスムーズに立ち回り2着に善戦したことから、本馬のベスト距離は芝2400m前後と見ている。

 前走オールカマーは逃げた10番人気アウスヴァール、2番手の12番人気リカンカブールが2着、3着に粘る前有利の展開で出遅れ。そこからしつこく促して好位の外、向正面で押し上げていったためにラスト1Fで甘くなり、レーベンスティールに差されて4着だった。

 本馬は末脚に優位性がないため、前走は無理に先行させた面もあるが、それでも崩れなかった点は評価できる。今回は休養明け2戦目となるが、前走をある程度の好指数で走っているので、ここでの大幅な前進は期待しにくいが、多少の前進はあると見ている。

△ (14)セレシオン

 前走の新潟記念はハナ差2着。ここでは7番枠から出遅れ、かなり押して出鞭まで入れたが、最後方からの追走となった。

 道中も最後方で内目を通し、3~4角で2列目の内まで上がって直線へ。序盤でかなり押されてもなかなか伸びなかったが、ラスト2F目で徐々に伸び始め、馬群をさばいていく。ラスト1Fではグンと伸び、早めに抜け出したシンリョクカにハナ差まで迫った。

 前走はエンジンがかかってからラスト2F目でスムーズにさばいて上がってきたが、アリスヴェリテが緩みないペースで逃げ、3~4角でもペースを落とさなかったことで、差し追込馬有利の展開となり恵まれた。今回は一転して追込馬が届きにくいレースだけに、そこは不安だ。

 ただ前走は3回新潟8日目の時計が掛かる馬場で、レースの前半3Fは35秒4と速かった。前半が遅くなる今回の舞台であれば、追走にそこまで苦労することはないだろう。

 はっきりと出遅れる面があり、内枠だと序盤で被されて位置を挽回できない可能性もあったが、外枠なら序盤で動いて挽回できる。絶望的な位置にはならないはずだ。エンジンがかかってから急追するタイプなので距離延長も好ましく、警戒はしておきたい。

△ (16)ショウナンバシット

 札幌芝2600mで2連勝した上がり馬。時計の掛かる洋芝で行われた前走タイランドCは、4番枠から好スタートを決めて押していったが、外の2頭が速く、控えて2列目の最内を追走した。

 スタンド前でも逃げ馬の後を離されずについて行き、向正面でも2列目の最内で我慢。しかし、3角手前で外からディナースタがマクってくると、そこからペースが上がる。

 3~4角の最内から仕掛け、4角では内の進路をさばいて直線序盤で先頭に。ラスト1Fで外から伸びたゴールデンスナップとの叩き合いとなったが、アタマ差で振り切って勝利した。

 前走はペースが上がった3~4角で最内をロスなく立ち回れたにせよ、3着のハヤヤッコには5馬身差をつけており、本馬が記録した指数はここではNo.1。この夏に一皮むけたようだ。

 ただ超高速馬場でかなりのスローペースとなった4走前のメトロポリタンSでは、2番手を上手く追走しながらも逃げたバトルボーンに完敗しての4着。さかのぼれば、同レース以上の超高速馬場となり、かなり速い上がりが求められた神戸新聞杯でも、末脚を生かす形で苦戦している。

 前走はタフな馬場で上がりの掛かる展開になったことが好走の要因であり、東京の高速馬場は課題。昨日のような時計が掛かる馬場ならこの馬の強みが活かされたが、良馬場まで回復するとさすがに割引が必要だ。また、前走の疲れも多少あるとは見ている、それでも芝2400m以上ではしっかり先行できるようになっているので、大崩れははなそうだ。
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■1角までの距離が短く、内枠有利の舞台

 このレースが行われる京都ダ1800mの舞台は、初角(1角)までの距離が286mと短く、外枠の馬は最初で外に張られ、その後に内に入れるのが難しくなる。

 このため京都開催時のみやこSの過去10年では、馬番1~4番が5勝、2着3回、3着2回と内枠が圧倒的に活躍している。特に馬場が軽くて速い時計の決着になると、その傾向が顕著。

 不良馬場で1分47秒8の決着となった2015年は、馬番1~4番が1~3着を独占。7番人気で優勝した2番枠のロワジャルダンを始め、馬券に絡んだ馬は全て4番人気以下だった。今年は重馬場。さて、結果はいかに?

京都11R みやこS ダ1800m
 ◎ (1)プロミストウォリア
 ○ (3)ドゥラエレーデ
 ▲ (15)サンライズジパング
 △ (4)ミッキーヌチバナ
 △ (9)ハピ
 △ (5)デリカダ
 △ (6)ダンテバローズ
 △ (13)アウトレンジ
結論 馬連1-3,15,4,9,5,6,13 (15:15:5:5:4:3:3) 複勝1 (50)]

■有力馬と評価ポイント

◎ (1)プロミストウォリア

 骨折による長期休養明けから2022年10月に復帰し、怒涛の5連勝で東海S、アンタレスSを優勝した馬。4走前の東海Sは時計の掛かる馬場で前後半4F50秒2-48秒6のかなりのスローペースで逃げ切り勝ち。3走前のアンタレスSは一転して、超高速馬場で前後半4F47秒5-後半4F50秒1の緩みない超ハイペースで逃げ切りを決めた。

 3走前は12番枠から五分のスタートだったが、そこから押してハナを主張し、主導権を握った。しかし、終始メイショウカズサにマークされていたためにペースを緩められずに激流に。3~4角で手が動いてメイショウカズサとの差を1馬身半差に広げて直線へ。序盤でそのまま突き放して2馬身半差。ラスト1Fでも踏ん張り、ヴァンヤールに半馬身差まで詰められたが押し切った。

 3走前はとてもしぶとい内容で、自己最高指数を記録。前々走の帝王賞では3走前よりも楽な展開でありながら、逃げ切れずの5着だったが、これは疲れによるものが大きい。

 本馬は前々走後、再び長期休養となったが、始動戦の前走エルムSでは大外14番枠だったこともあり、無理して前に行かせず、好位の外を追走。結果、終始外々を回るロスを作って7着に敗れた。

 今回は前々走から立て直されての一戦。逃げ馬の本馬にとっては歓迎の1番枠を引き当てた。今回は同型馬(12)ミトノオーが出走しているが、同馬は外枠。1角まで286mのこの舞台なら、本馬がハナを切る可能性が高い。

 またミトノオーに終始マークされる形になったとしても、調子さえ取り戻していれば超高速馬場を味方に上位争いに加われると見ている。肝心の調子はどうかというと、この中間、栗東坂路で本数を出して負荷をかけていることから、休養明けではあるが、調子は悪くなさそうだ。

○ (3)ドゥラエレーデ

 昨年のチャンピオンズCの3着馬。ここでは5番枠から五分のスタートだったが、しっかり促されて先行策。外のレモンポップが内に切れ込むと、その外に誘導して2番手を確保。道中は同馬をマークし、3~4角で軽く仕掛けて同馬と半馬身差で直線へ。序盤でレモンポップに差を広げられたが、内から迫るテーオーケインズを退け、最後は外からウィルソンテソーロに差されて1馬身1/4差+クビ差となった。

 チャンピオンズCは内有利の馬場で、前後半4F48秒8-49秒7のややハイペース。やや前有利の展開を上手くレモンポップの外2番手を追走しており、完璧に近い騎乗だった。

 その次走の東京大賞典もスタートで躓いたが、すぐに立て直して逃げるウィルソンテソーロの外2番手を追走して小差の3着。前々走のエルムSでもハナを主張した(12)ミトノオーの外からプレッシャーをかけに行ってクビ差の2着と、ダート1800m~2000mで2番手の外でレースを進めた時は、まず、崩れていない。前に行って持久力を活かしてこそなのだろう。

 今回は(12)ミトノオーや(13)アウトレンジがいるので、2番手を取るのは難しいが、4,5番手の内には行けるだろう。好位の内をロスなく立ち回れれば、上位争いに加われると見る。

▲ (15)サンライズジパング

 ホープフルSで3着後は長らく芝路線を使われていたが、一線級が相手では苦しく、前々走の不来方賞から再びダート路線へ。前々走では7番枠から五分のスタートだったが、そこから押して先行策。じわっとスピードに乗せて好位の外を追走した。道中も2列目の外で進めて3角へ。

 3~4角でも楽な手応えで2列目の外からじわっと押し上げ、4角では鞭も入れたが、逃げるカシマエスパーダにやや置かれて1馬身差。それでも直線序盤でしぶとく伸び続けで同馬に並びかけ、ラスト1Fで抜け出して3馬身差の完勝だった。ここで鳳雛Sを重賞レベルの指数を記録したカシマエスパーダを撃破した内容は評価できる。

 前走のジャパンダートクラシックは、休養明けの不来方賞でジャパンダートクラシックの出走権を絞り取りにいった疲れで、直前まで出走未定だったが、何とか出走にこぎつけて3着に善戦。2列目の内でフォーエバーヤングにプレッシャーを掛けて行く消耗度の高い競馬で、最後の直線序盤で早々と手応えが怪しくなったが、それでも離されたとはいえ3着を死守したのは地力があればこそ。

 今回は休養明け3戦目で近走からの上積みが期待できる。しかし、今回は大外15番枠と、先行馬の本馬にとって最悪の枠に入ってしまった。ただでさえ1800mは忙しい距離で終始外々を回るロスを強いられた場合は苦しいが、どこかで上手く内目に入れられればチャンスがある。

2024年 京王杯2歳S&ファンタジーSの予想

■今年は雨の影響でペースが上がる?

 京王杯2歳Sが行われる東京芝1400mの舞台は、スタートして約60mから緩やかに坂を上り、350m地点ほどで3角を迎えるため、前半ペースが上がりにくいのがポイント。

 またこのレースは朝日杯FSの前哨戦であり、前走芝1200mで逃げて好走した馬たちが、ここで脚をタメて将来的にもっと長い距離もこなす工夫をしてくることがとても多い。

 昨年こそジャスパーノワールが大逃げを打って前後半3F34秒1-34秒9とややペースが上がったものの、一昨年までの過去10年は前半3Fが後半3Fよりも速くなったことがなかった。

 基本的にペースが上がりにくいレースだが、今年も馬場悪化の影響で前後半3F34秒5前後-35秒0前後まで上がる可能性が高い。そうなれば展開上は差し馬が有利。しかし、先行馬でも十分に押し切れるペースだ。それならばあの人気薄馬に期待したい。

東京11R 京王杯2歳S 芝1400m
 ◎ (5)エンドレスサマー
 〇 (6)ヒシアマン
 ▲ (7)パンジャタワー
 △ (3)エイシンワンド
 △ (11)マイネルチケット
結論 馬連5-6,7,3,11 (20:10:10:10) 複勝5 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (5)エンドレスサマー

 函館芝1200mの新馬戦では逃げて5馬身差で圧勝。ここで1クラス上でも通用する指数を記録すると、前々走の函館2歳Sでも3着と好走した。

 前々走では1番枠から五分のスタート、そこから押していったが、外のニシノラヴァンダが速く、その後ろを狙っていく。3角では2列目の内。3~4角でもニシノラヴァンダの後ろから最内を通し切って直線へ。序盤で2列目の内から捌いていくが、やや置かれてしまう。ラスト1Fで外からサトノカルナバルに差されたが、じわじわ伸びて前のニシノラヴァンダにアタマ差まで迫った。

 前走の小倉2歳Sは6着敗退。ここでは13番枠で前に行かず、控えると折り合いを欠いてしまった。また中京芝1200mで前後半3F34秒5-34秒5のスローペースとなり、前有利の展開に泣く形となった。

 しかし、ここは内枠を利して(13)シンフォーエバーの後ろの2番手、もしくは2列目の内を追走できる可能性が高く、巻き返しに期待したい。前の影響で速い上がりが求められないのも好ましい。
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■かなりタフな馬場で差し馬有利に

 ファンタジーSが行われる京都外回りの芝1400mの舞台は、スタートして約200m地点から3角にかけて急坂を上って行くコース。この週はA→Bコース替わりの影響もあり、前半のペースが上がりにくいのが特徴だ。

 またこのレースは阪神JFの前哨戦であり、前走芝1200m~芝1400m戦で逃げて好走した馬たちが、ここで脚をタメて将来的にもっと長い距離もこなす工夫をしてくることがとても多い。このため過去10年で逃げ馬が1勝、2着3回、先行馬が5勝、2着2回、3着3回と前に行ける馬たちが展開の後押しもあって活躍している。

 本日はA→Bコース替わりの影響で前半はなかなか前が止まらなかったが、ダートの京都8Rは取りやめになるほど雨が降って差し馬場に。芝がかなりタフになっているうえに、ここは芝1200m組が中心のメンバー構成になるので、コントロールしてもある程度、ペースが上がるはず。差し馬有利の展開になると見て予想した。

京都11R ファンタジーS 芝1400m
 ◎ (6)ハイファイスピード
 ○ (15)カワキタマナレア
 ▲ (3)ゴージャス
 △ (1)スリールミニョン
 △ (12)ダンツエラン
 △ (5)ウォーターガーベラ
 △ (9)ヴーレヴ―
 △ (10)キャッスルレイク
 △ (11)ウォーターエアリー
結論 馬連6-15,3,1,12,5,9,10,11 (10:8:8:8:4:4:4:4) 複勝6 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (6)ハイファイスピード

 中京芝1200mの新馬戦では出遅れて中団外まで挽回し、最後の直線半ばで小倉2歳S上位のエイシンワンド、クラスペディアが抜けたあと、3着に浮上。続く前走の中京芝1200mの未勝利戦では、3馬身差で圧勝した。

 前走でも3番枠からスタートの反応が悪く出遅れ、序盤で置かれたが、そこから挽回して後方3番手を追走。3角でも後方3番手の最内だったが、3~4角で押し上げながら好位列の後ろを通し、4角で外に誘導。直線序盤で2列目の外から残り300mで仕掛けると一気に先頭。ラスト1Fでさらに差を広げて3馬身差の圧勝だった。

 前走は時計が掛かる馬場で前後半3F34秒2-35秒3のハイペース。今回はそれ以上にペースが上がる可能性が高い。前走から1Fの距離延長でタフな馬場なら、近2走のように前半で無理のない追走ができるだろう。地力強化と展開に恵まれての一発に期待する。

○(15)カワキタマナレア

 札幌芝1200mの新馬戦、シンガポールTC賞(昨年までのすずらん賞)を連勝した馬。前走は4番枠から出遅れて後方からの追走。しかし、鞍上は新馬戦時のように慌てた様子はなく、中団馬群の後方中目でジックリ脚を溜めさせた。3~4角では馬群の一番外から進出、4角では大外。随分と距離ロスが大きく、直線序盤でもまだ中団だったが、ラスト1Fでしっかり脚を伸ばして1馬身3/4差で完勝した。

 本馬は新馬戦で上がり3Fタイム33秒8と素晴らしい瞬発力を披露。2着馬に3馬身半差、3着馬に7馬身半差をつけて好指数で圧勝した。この好内容の走りから、次は重賞に出てくると思っていたが、オープンに出走。ここなら明確に能力上位で、勝つのは当然として、どのように勝つか注目していたが、力の違いを見せる完勝だった。

 これで2戦2勝。2戦連続の上がり最速を記録しているが、荒っぽいレースぶりから今後は結果にムラが出そうだ。瞬発力は間違いなく重賞級だが、人気もあるここは対抗評価までとした。

2024年 天皇賞(秋)+カシオペアSの予想

■長らく逃げ切りが決まっていないレース
 
 天皇賞(秋)では1987年のニッポーテイオー以来、逃げ切りが決まっていない。記録上では1991年にプレクラスニーが「逃げて勝利」となっているが、これは1位入線したメジロマックイーンの降着によるものだった。

 これはAコースからBコースに替わるなかですでに内が悪化していることも多く、外差しが決まりやすいという点が大きい。また、2000mの距離ながらコーナーは3回で直線が長いため、ペースが緩みなく流れやすいことも理由のひとつだ。

 過去10年では先行馬が5勝しているが、その5頭はいずれもそれまでにGⅠ勝ちの実績があった。末脚型が圧倒的に有利な舞台だけに、今回も末脚型を中心視したい。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

東京11R 天皇賞(秋) 芝2000m
 ◎ (7)ドウデュース
 ○ (12)リバティアイランド
 ▲ (9)ホウオウビスケッツ
 △ (3)ステラヴェローチェ
 △ (8)キングズパレス
 △ (11)ジャスティンパレス
結論 馬連7-12,9,3,8,11 (20:18:4:4:4) 複勝7 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (7)ドウデュース

 2年前、高速馬場の日本ダービーではあのイクイノックスを倒した馬。同年秋のフランス遠征では、2戦ともかなりタフな馬場となって結果を出せなかったが、帰国初戦の京都記念では3馬身半差で圧勝した。

 昨年の天皇賞(秋)は出遅れて後方から進めた(11)ジャスティンパレスとプログノーシスが2着、3着に台頭する展開のなか、好スタートを決めて掛かりながらも積極的に3番手のイクイノックスを追いかけた。結果的に失速して7着に終わったが、東京芝2000mで1分55秒2という決着タイムからも分かるように、ペースが緩まない流れだった。それも長期休養明けで、太目残りでは敗戦も仕方ない。

 それでも、武豊騎手が鞍上に戻った有馬記念では、日本ダービーや京都記念時のように後方からレースを進め、3角外から進出して一気に2列目まで押し上げる形。そこから中目に切れ込み、スターズオンアースに並びかけて2列目の外で直線へ。ラスト1Fでは前2頭を差し切り、半馬身差で勝利した。この年の有馬記念は年末の中山芝としては時計が出ており、本馬は高速馬場で末脚を生かしてこそ、ということを改めて感じさせる内容だった。

 前々走のドバイターフは出遅れを中団まで挽回し、3~4角で窮屈になってブレーキを掛けながら進出。ラスト1Fまでは進路がなく、脚を余す形で敗れている。

 前走の宝塚記念はタフな馬場。4番枠からまずまずのスタートを切り、そこからコントロールして位置を下げにかかったが、外から被せられて下げ切れずに後方列の中目を追走することとなった。3角までに位置を下げ切れず、3~4角では馬場の悪化した内を狙うしかない形に。4角では4列目まで上がったが、最後の直線でも馬場の悪化した内を通って6着敗退。ここでも本来の能力を出し切れなかった。

 今回の天皇賞(秋)は当日も晴れの予報で、超高速馬場で行われる予想。近2走で能力を出し切っていないので、エネルギーは溜まっているだろう。1週前はCWで目一杯、直前はポリトラックという友道康夫厩舎の勝負調教をこなすことができた。距離適性も実績もあるので本命候補としたい。

○ (12)リバティアイランド

 昨年の三冠牝馬で、ジャパンCでも2着と好走した馬。ジャパンCでは1番枠からまずまずのスタートを切り、好位の内から中目に誘導しながら進めていく形に。道中は逃げ馬からかなり離れた3番手を取ったイクイノックスの後ろを取り、やや掛かり気味に追走した。

 3~4角でもイクイノックスをひたすらマークしながら最短距離を通り、3列目の4番手で直線へ。ラスト2Fでは一気に突き放されて3番手となったが、そこからもしぶとく伸び続けて2着に浮上した。イクイノックスには4馬身も離されたが、これは相手が怪物だっただけ。並みのGⅠならば勝ち負けできる指数を記録している。

 本馬は東京芝2400mのオークスで自己最高指数を記録、前記のジャパンCで2番目の指数を記録しているように、芝2400mがベストの馬だ。前走のドバイシーマクラシック(芝2410m)でも、中団外からしぶとく伸びて接戦の3着に善戦している。

 前走は3~4角で動いた2番手レベルスロマンスと3番手シャフリヤールがワンツーを決めたように、スローペースの直線勝負となった。前2頭を差せないことはともかく、ラスト1Fでジャスティンパレスにクビ差まで迫られたあたりにやや物足りなさも感じたが、スタミナが不足しがちな休養明けで日本のような高速馬場ではなかったことが影響していると見ている。

 今回は前走で芝2410m戦を後方から運んだ後の一戦となるので、高速馬場の東京芝2000mでレースの流れに乗れるかがカギとなるが、ゴチャつかない外目の枠に入れたのは好材料と言える。ここではトップクラスの末脚の持ち主で、上位争いに加わる可能性が高い。対抗評価だ。

▲ (9)ホウオウビスケッツ

 今夏の巴賞と函館記念を連勝した上がり馬。前々走の函館記念では12番枠から五分のスタートだったが、二の脚が速く楽に逃げ馬アウスヴァールの外2番手へ取り付いた。

 1~2角では手綱を抑えてコントロールし、道中はアウスヴァールから2馬身半ほど離れた2番手を追走していく。3角では同馬と3馬身差だったが、3~4角では徐々に差を詰めながら外に誘導、4角で一気に先頭に並びかける。直線序盤で抜け出すと、ラスト1Fで突き抜けて3馬身半差で圧勝した。

 逃げて勝利した巴賞から1Fの距離延長。前半のペースも速くなったが、ここでは逃げずに離れた2番手に控えたことも功を奏し、自己最高の指数を記録した。

 また、4馬身1/4差の3着アウスヴァールと4着サヴォーナが後にオールカマーで2着、4着と善戦したようにこの函館記念はハイレベルで、ホウオウビスケッツはリバティアイランドのジャパンC2着時と同等の指数を記録している。

 休養明けで高速馬場のなか行われた前走の毎日王冠は逃げ宣言をしていた(13)シルトホルンが控える形となったため、結果的に本馬がハナへ。かなりのスローペースで逃げて2着と無理をさせていないので、今回は前進が見込める。

 今回も逃げの手に出るのか、父の岩田康誠騎手が手綱を取る(5)ノースブリッジが逃げるのかは流れによって変わりそうだが、両騎手ともハイペースを好まない騎手の上に折り合いもつくので、ハイペースにはならない可能性が高いと見ている。

 天皇賞(秋)の過去10年で先行押し切りは全てGⅠ勝ちの実績がある馬。本馬にはその実績がないが、函館記念ではレベル次第でGⅠでも勝ち負けできる指数を記録している。先行策なら怖い一頭だ。

△ (3)ステラヴェローチェ

 3歳時の2021年は皐月賞3着、日本ダービー3着、神戸新聞杯1着など世代トップ級の能力を示してきた馬。菊花賞は休養明けかつ不良馬場の神戸新聞杯で自己最高指数を記録した反動もあり、勝ち馬タイトルホルダーから5馬身以上離された4着に敗れた。

 次走の有馬記念は9番枠から出遅れたが、そこから促して中団やや後方まで挽回。道中はエフフォーリアを徹底的にマークしながら中団の外で進め、3~4角の外から動いた同馬を追いかけて進出した。直線序盤は4列目付近の外。そこからじわじわ伸びて4番手に上がり、最後はクロノジェネシスとの叩き合いに。半馬身ほど敗れたが、4着に健闘した。

 前記の有馬記念はパンサラッサがかなりのハイペースで逃げたことで、中団やや後方でレースを進めた本馬は展開に恵まれた面はあった。しかし、○(13)リバティアイランド以外に目立った活躍がない現4歳馬が主力となる今回のメンバーなら、当時の能力を発揮できればここでも通用する。

 屈腱炎で1年7カ月の長期休養を余儀なくされたが、今年は大阪杯や札幌記念で中団からレースを進めて小差の4着、3着と善戦している。休養明け好走後の前走オールカマーでは、かなり掛かりながら好位馬群の外目を回るロスがありながら、最後の直線ではそれなりに伸びてきており、見せ場は作った。できればペースが上がって欲しいところではあるが、一発あっても不思議ない。

△ (8)キングズパレス

 3走前の新潟大賞典で2着。3走前は13番枠から五分のスタートを切ったが、二の脚が遅く、下がって後方からの追走。道中はペースが上がらず、ゆったりとした流れ。そこで中団の外まで進出、3~4角で外から押し上げていった。直線序盤では追われても伸びが地味だったが、ラスト2Fで徐々に伸び始めて2列目に、ラスト1Fでは逃げ切りを図るヤマニンサルバムを強襲したが、ハナ差及ばなかった。

 このレースは、次走で鳴尾記念を勝つヨーホーレイクが最内を立ち回って3着に敗れたように、外の方が伸びる馬場状態だった。よって、外々を回った3~4角のロスは致命的というわけでもなかった。しかし、道中で動いて勝ちに行ったことは好評価できる。

 その後はサマー2000シリーズの七夕賞で2着、新潟記念で3着し、存在感をアピール。本馬はゲート、二の脚ともに安定しているが、先行できるほど速くない。末脚も安定しているが、高速馬場で一線級を相手にメンバー最速で上がってこれるほど速くもない。

 武器がないので勝ち切れないのだが、弱点もやや右にモタれる多少ある程度で、目立った大きなものはない。総合力が高く、トップスピードが長く維持できる点は強み。ここも相手なりに走れそうなイメージがありながら11番人気と人気薄なので食指が動く。

△ (11)ジャスティンパレス

 昨年の天皇賞(春)で悲願のGⅠ制覇を達成。このレースはタイトルホルダーが逃げて主導権を握り、前半~中盤が速かったが2周目の3角手前で同馬が故障して下がったことで13秒台前半と大きくペースが緩んだ。

 本馬は1番枠から五分のスタートを切り、積極的に促していったが、ひとつ外のディープモンスターの方が速く、そこで控えて中団やや前目を追走。1~2角でディープボンドの後ろを選択し、そこから同馬をマーク。

 3角手前で一気にペースダウンすると、そこでディープボンドを追い駆け、楽な手応えで進出。4角では同馬の外に誘導して2列目。直線序盤ですっと加速して先頭に立って1馬身。ラスト1Fでディープボンドとの差を広げて2馬身差で完勝した。

 ここでは3角手前から上手く押し上げたことが功を奏しての優勝で、自己最高指数を記録した。その後は中距離路線に矛先を向け、宝塚記念3着、天皇賞(秋)は2着。

 昨年の天皇賞(秋)は、◎(7)ドウデュ―スや(10)ダノンベルーガに先着しているが、出遅れて後方2番手からの追走となったことで展開に恵まれたもの。このレースはドウデュ―スのコメントでも触れたように、ジャックドールのオーバーペースで先行馬にはかなり厳しい展開だった。

 前走の宝塚記念はスタミナが不足しがちな休養明けでタフな馬場。2番枠からまずまずのスタートを切ったが、挟まれかけて少し下がったが、そこから押されても進みが悪く、後方に下がってしまった。しかし、向上面で後方馬群の中目から好位中目まで押し上げたことで3~4角の一気のペースアップで苦しくなり、4角で馬場の良い外への誘導が難しく、直線は内のドウデュースのひとつ外の伸びないところを通って10着に敗れた。

 今回はそこから立て直されての一戦。超高速馬場の芝2000mでは後方からの追走になるだけに、勝ち負けは難しいかもしれないが、大勢が決まったところを突っ込んで3着、印上位馬に何かしらの破綻が起きて2着という決着はわりと現実的なもの。警戒しておきたい。

推定3番人気 (14)レーベンスティール

 エプソムCとオールカマーを連勝してここに臨む馬。前々走のエプソムCでは6番枠からまずまずのスタートを切り、じわっと仕掛けて好位中目を追走。向正面ではコントロールしながら位置を下げ、好位馬群の後方外に取り付く。

 3~4角でも好位の外からラケマーダの後ろを通り、4列目で直線へ。ラスト2Fですっと抜け出すと一気に先頭列まで上がり、ラスト1Fでしぶとく抜け出して2馬身差で完勝した。

 エプソムC当日は馬場の内側がやや荒れ、外差し有利の馬場だったが、向正面で位置を下げて上手く外に誘導したことで噛み合った面がある。また、本馬は折り合い面に課題があるが、平均ペースで流れて前に壁を作れたことで折り合いもスムーズだった。

 前走のオールカマーは4番枠からまずまずのスタートを切り、序盤は2列目の中目。外からリカンカブールが2番手に上がり、道中は3列目の中目でかなり掛かったが我慢させて追走した。

 3角で前にスペースを作り、4角でそのスペースを詰めていくも、そこで進路がない状態に。直線序盤で外への誘導が難しく、内に切れ込んでラスト1Fでは3列目。ラスト1Fでアウスヴァールの後ろから何とか馬群を捌き切ると、半馬身差で勝利した。

 前走は最後の直線で詰まって仕掛けが遅れたが、結果的にここへ余力を残すことができた。ただし、今回は相手強化で外枠。8番枠は過去20年で52頭が出走して連対ゼロという枠だが、フルゲートではないのでそこまで悪い枠ではないだろう。

 ただ前に壁を作りたいタイプで、壁が作れずに折り合いを欠いた時は不安なのと、一線級が相手となると、条件が整わないとまだ能力的に通用しないレベルと見ており、ここは消すことにした。
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京都11R カペラS 芝1800m
 ◎ (16)トランキリテ
 ○ (1)セオ
 ▲ (6)エスコーラ
 △ (2)トゥデイイズザデイ
 △ (4)ロングラン
 △ (5)コレペティトール
 △ (8)アルジーヌ
 △ (10)ニホンピロキーフ
 △ (11)ハーランズハーツ
 △ (12)ショウナンマグマ
結論 馬連16-1,6,2,4,5,8,10,11,12 (9:6;5:5:5:5:5

■有力馬と評価ポイント

◎ (16)トランキリテ

 3走前のOP・洛陽Sの2着馬。3走前は大外18番からやや出遅れ、進みも悪く、最後方からの追走。道中は前2頭が飛ばして隊列が縦長になっていく展開を、最後方列の外で脚を温存。3~4角でじわっと前との差を詰めながらもまた最後方列だったが、直線序盤で大外に誘導しながら追われるとじわじわ伸び始める。ラスト1Fで先に抜け出したドゥアイズとの差を詰めて半馬身差に迫った。

 3走前は前後半3F45秒5-47秒1のかなりのハイペース。しかし、ラスト2Fで11秒6-11秒5と加速する流れを、ラスト1Fでしっかりと差を詰めている。つまり、勝ち馬のドゥアイズもそうだが、マイルは追走に忙しいということ。このレースぶりから距離を延ばしたほうがいいと見ていたが、今回は初めて1800m戦に出走してきた。

 今回はリステッドでも手強い相手だが、昨日のスワンSで外差し勢が上位を独占したように、外差し有利の馬場状態。キレる脚が使えるタイプではないので、ある程度、レースの上がりが掛かっている点も好ましい。ここは一発を期待したい。

2024年 スワンS&アルテミスSの予想

■ペースが上がりにくい舞台

 スワンSが行われる京都芝1400mは、向正面からスタートして2F目から坂を上り、4F目で坂を下るコース。このため前半のペースが上がりにくく、京都開催時の過去10年(良~稍重開催時)の平均前半3Fは34秒8。芝1400m戦としてはかなり遅く、ややハイペースで決着したのは2018年のみとなっている。

 2018年は当日の5レ―スまでが稍重で時計の掛かる馬場。さらに先行争いが激化したこともあり、追込馬のロードクエストが優勝した。しかし、それ以外の良~稍重開催時は、平均よりもペースが遅く、逃げ馬が3勝、2着2回、3着1回と半数以上が馬券に絡んでいる。

 また先週は雨の影響があり、外差し有利の馬場だったが、今週は中目が伸びており、やや掘り返しのある内目もペース次第では粘れている。今回は先行タイプは多数もハナ必須の馬は不在。平均ペースの範囲内で収まる可能性が高いと見て、先行馬主体で予想した。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

京都11R スワンS 芝1400m
 ◎ (1)サーマルウインド
 ○ (4)クランフォード
 ▲ (9)ウインカーネリアン
 注 (11)シングザットソング
 注 (12)ダノンスコーピオン
 △ (2)ジョウショーホープ
 △ (6)オフトレイル
 △ (14)アグリ
結論 馬連1-4,9,11,12,2,6,14 (10:10:8:7:5:5:5) 複勝1 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (1)サーマルウインド

 不良馬場で行われた昨年4月の春興S(当時は3勝クラス)の覇者。この春興Sは2番枠から好スタートを切り、軽く促した程度で先頭へ。そのままハナを取り切ると淡々としたペースで逃げ、2番手と3/4差で3角へ。3~4角で2番手との差を2馬身まで広げて直線へ。直線序盤ではどんどん差を広げて5馬身差、ラスト1Fで最内から差し馬のドゥラモンドに差を詰められたが、余裕を持って4馬身で圧勝した。

 サーマルウインドはその後、芝1400mのリステッドの信越Sも勝利。ここでは13番枠から好スタートを決めて楽に先行争いから、抑えてコントロールしながら2列目の外を追走。最後の直線序盤で先頭列に並びかけ、ラスト1Fで抜け出して1馬身1/4差で勝利している。つまり、今回の距離も折り合う競馬も可能だ。

 前走の北九州記念は1番人気に支持されながらも12着に凡退。前々走のリステッド、春雷Sでサマースプリント王者でスプリンターズSでも1番人気に支持されたサトノブレーヴと接戦の2着に好走した疲れによる夏負けの影響もあったが、オーバーペースで逃げるピューロマジックを追い駆けすぎたのも敗因のひとつ。

 今回はそこから立て直されての一戦。CWの追い切り時計は地味目でも、外目を回って余裕を持たせており、良い動きだった。ペースが上がらなければ、ここは巻き返せると見る。
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■末脚を生かす馬が多く、ペースが上がりにくい

 このレースはA→Bコース替わりで外が伸びる馬場になることや、本番の阪神JFを意識して、末脚を生かす馬が多いことがポイント。2018年のライデンシャフトのようなハナ必須タイプが出走していない限り、まず平均ペースよりも遅い流れになる。

 このため将来のある馬が活躍する一方、2017年に13番人気のサヤカチャンが2着に逃げ粘るなど、前からの一発も決まっている。2019年も5番人気馬のビッククインバイオが逃げて3着、2022年は6番人気アリスヴェリテが逃げて3着だった。

 キャリアの浅い馬2歳馬は、まだ脚質が定まっていない馬も多く、急な脚質チェンジもあるが、それでも騎手自ら無理に行かせてバテさせるようなレースは基本的にはさせない。将来性を紡ぐことになるからだ。ここはそれも踏まえて予想したい。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

東京11R アルテミスS 芝1600m
 ◎ (5)ミリオンローズ
 ○ (8)ショウナンザナドゥ
 ▲ (10)カムニャック
 △ (1)ミストレス
 △ (2)ブラウンラチェット
 △ (3)マイエレメント
 △ (4)シホリーン
 △ (11)クレオズニードル
結論 馬連5-8,10,1,2,3,4,11 (15:10:5:5:5:5:5) 複勝5 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (5)ミリオンローズ

 6月の東京芝1600mの新馬戦では、1番枠から五分のスタート後に首を上げてしまったが、そこからすっと先行し、好位の最内を追走した。道中も逃げ馬の後ろで折り合ってスペースを作って進み、3~4角でじわっとスペースを潰して直線へ。

 直線序盤で逃げ馬の内からすっと抜け出し、ラスト2Fで先頭に立った。このまま独走かと思われたが、追ってくる馬たちの末脚が鋭く、ラスト1Fで詰め寄られてしまったが、なんとか半馬身差で押し切った。

 ミリオンローズの上がり3Fタイムは33秒4秒。これはなかなか優秀と言える。ラスト2F11秒0-10秒9は、以前の数字に均すならラスト1F11秒2か11秒3くらいの価値で、これもなかなか優秀と言えるだろう。

 またこの新馬戦では4着以下が離されており、最後に伸びてきた2着エンブロイダリー、3着クライスレリアーナの末脚にも光るものがあった。ミリオンローズが独走Vとならなかったのは、2頭の末脚が優秀だったからという評価で、実際にエンブロイダリー、クライスレリアーナは次走未勝利戦を好指数で圧勝している。

 この新馬戦は出走馬の質が高く、走破タイムが平凡なので疲れが残りにくく、次戦に繋がりやすい内容。よって、ミリオンローズも前走のクローバー賞では順当に上昇した。

 前走は4番枠から五分のスタートを切り、二の脚ですっと先行。しかし、内2頭の先行争いが激しく、2列目の外へ控えた。そこで掛かりコントロールにやや苦労する場面はあったが、向正面半ばでは折り合いもついていた。4角で仕掛けながら2番手に上がり、直線序盤で先頭。そこをニタモノドウシに捉えられ、2馬身差で敗れた。

 ニタモノドウシは6月の福島新馬戦で、芝1200m戦ながら大きく出遅れたが、最後の直線では鋭く伸びて、素晴らしい瞬発力を感じさせる勝利だった。今回の1、2着馬は他馬とは力差があり、戦前の段階から一騎打ちになることを予想していた。

 山崎的にはミリオンローズが勝利する可能性が高いと見ていたが、勝ったのはニタモノドウシ。この時点では現2歳世代芝部門指数最高値を記録した。ミリオンローズも負けはしたがしっかりとした指数で走っている。

 休養明けで20Kgの大幅馬体増で道中折り合いを欠く場面もあったことから、能力を出し切っての敗戦ではないだろう。現時点で6番人気と人気はないが、ここも期待したい。

○ (8)ショウナンザナドゥ

 前走の京都芝1600mの未勝利戦の勝ち馬。前走は4番枠から好スタート。内のコムーネの方がスタートは速かったが、ショウナンザナドゥの二の脚が速く、先頭に立ちそうになったが手綱を引っ張ってコムーネを先に行かせた。道中は2番手の外を追走、3~4角で再びコムーネに並びかけ4角で先頭へ。

 直線序盤ではショウナンザナドゥをマークして乗っていたゼンダンハヤブサが接近し2番手に上がったが、それでも2馬身、3馬身とどんどん差を広げた。最終的に2着ゼンダンハヤブサに5馬身差、3着馬に12馬身差をつけての圧勝だった。

 ショウナンザナドゥは6月京都の新馬開幕日の新馬戦でダノンフェアレディとマッチレースを演じた馬。ここでは2着ながら指数は1クラス上でも通用するほどの高指数を記録しており、当時の走りができればここも圧勝するのは当然だった。

 前走指数は前々走比でわずかに上昇。新馬戦好走馬は疲れが残って2戦目で凡走することも多々あるが、ショウナンザナドゥは前走の走り程度では疲れが残らない、潜在能力がとても高い馬であることを証明した。ここからもまだまだ伸びそうなだけに、対抗評価だ。

▲ (10)カムニャック

 前走の中京芝2000mの新馬戦では、1番枠からトップスタートを決めたが、そこから控えて後方2番手まで下げ、1角までに外に誘導した。道中は後方2番手で5F通過64秒1のスローペース。これで届くのかと思われたが、3角過ぎから外を回りながら位置を押し上げ、4角で好位の外と前を射程圏内に。

 4角出口でワンテンポ待ってさらに外に誘導されると、フットワークが大きくなり楽に抜け出してラスト1F標で先頭。そこから突き抜けて3馬身半差で勝利した。

 上がり3Fタイム33秒6はこの週の中京芝中距離では最速。ラスト2F10秒9-10秒9も高く評価ができる数字だ。本馬は牝馬でクラシックでは短い距離に対応する必要がある。芝1600mの今回で流れに乗れるかという不安がある。ここで脚を余す危険性もあると見て、ヒモ穴を加えているが、ここで能力上位は確かだ。