2025年 葵S+アハルテケS

■中よりも外から差せる馬が有利

 2018年より重賞に昇格し、今年で8回目となるが第1回目は3番枠のゴールドクイーン(8番人気)と1番枠のラブカンプー(6番人気)の行った、行ったが決まり、大波乱の幕開けとなったように、前と内から押し切りやすい傾向となっている。

 実際にオープン時代から、京都で行われた過去10年の葵Sを見ても逃げ馬が4勝、2着2回、先行馬が3勝、2着3回と前を行く馬が活躍している。ただし、今年は競馬開催中の連日の雨の影響で時計が掛かり、馬場の内側も傷んで中よりも外から差せる馬が活躍している。

 ここは(6)ベイビーキッスに外から折り合い難のいレイピアや、(10)サウスバンクが絡んでいく展開が予想され、京都芝1200mとしてはそれなりにペースが上がる可能性が高い。よってここは例年の傾向から一転して“差せる馬”を本命馬とした。

京都11R 葵S 芝1200m
 ◎ (3)ニタモノドウシ
 ○ (11)カンシン
 ▲ (9)ダンツエラン
 注 (2)ウイントワイライト
 △ (10)サウスバンク
 △ (1)カワキタマナレア
 △ (5)ワース
 △ (6)ベイビーキッス
 △ (7)モジャーリオ
 △ (8)アブキールベイ
結論 馬連3-11,9,2,10,1,5,6,7,8 (10:10:10:5:3:3:3:3:3) 複勝3 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (3)ニタモノドウシ

 デビューから2連勝、クローバー賞では当時の世代最高指数で勝利した実力馬。そのクローバー賞は7番枠から五分のスタート。すぐに2角があり、内の先行馬の出方をうかがいながら好位の外を確保する。道中はコントロールしながらミリオンローズをマークし、5番手で3角に入った。

 3~4角では先団馬群との差を詰め、4角で4頭分外から2列目に並びかけて直線へ。直線序盤で先に追われたミリオンローズの前に出て先頭に立つと、ラスト1Fで抜け出して2馬身差で完勝した。

 昨年の札幌芝の良馬場時は異例の高速馬場が続いており、10日目の前走でも高速馬場。2歳日本レコードを記録しているが、前後半3F36秒0-34秒9のスローペースで前有利の展開だった。

 2走前の朝日杯FSは前有利の展開を出遅れ、後方馬群の中目で折り合いに専念する競馬。最後の直線であまり伸びない内を突いたこともあり9着に敗れた。

 休養明けの前走、ファルコンSも内と前有利の馬場&展開で出遅れ、かなり掛かって中団やや後方から3~4角で4頭分外を回るロスを作って15着に凡退したが、今回は叩かれての変わり身が見込める一戦。

 気性難でありながら、前に行けるスピードもない本馬にとって時計の掛かる芝1200mはベストの条件。意外と人気だが本命に推す。
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東京11R アハルテケS ダ1600m
 ◎ (2)ウェイワードアクト
 ○ (12)アサヒ
 ▲ (15)タガノエスコート
 注 (3)レディントン
 △ (16)カズプレスト
 △ (1)エルゲルージ
 △ (13)サルヴァトーレ
 △ (9)ハチメンロッピ
 △ (10)ナチュラルハイ
結論 馬連2-12,15,3,16,1,13,9,10 (10:10:10:6:5:5:2:2) 複勝2 (50)

■有力馬と評価コメント

◎ (2)ウェイワードアクト

 デビュー2戦目の青竜S(3歳OP・東京ダ1600m)でいきなり3着した素質馬。その後着実に上昇し、近4走はすべて連対と充実している。

 4走前の錦秋S(3勝クラス・東京ダ1600m)でも3番枠から出遅れ、内の馬が外にヨレたのも重なって中団やや後方、最内からの追走となったが、最後の直線序盤でインのとても狭いところを捌いて2列目に上がり、ラスト1Fで最内からすっと抜け出して勝利している。

 ここでは大外をスムーズに質待っ割ったジョディーズマロンに対してクビ差まで詰められたが、内を捌いて上がった辺りに性能の高さを感じさせた。

 本来はダ1600mならば好位が取れる馬。逃げ、先行馬が手薄のここは、好位の最内が取れるだろう。今回は休養明けだが展開に恵まれる可能性が高く、本命馬とした。

2025年 プラチナCの予想

■初日の800mでレコードが飛び出した超高速馬場

 浦和は初日の800m戦、田草月特別(B2B3)で46秒0のレコードが記録され、2日目の早苗月特別(B1B2)の1400mでも1分26秒3の超高速決着だった。徐々に馬場が回復していはいるが、高速馬場で基本的に内と前が有利な傾向は大きく変わらないだろう。差し馬は内々を立ち回らないと最後の直線で伸びてこれていない。

 ここは(4)シーサーベントの逃げが濃厚の組み合わせ。同馬は2月のOP・梅花賞(浦和1400m)で(11)ロードグラリオに捲られて4着に失速したが、ここは逃げ、先行馬が多数の一戦。1番枠からトップスタートを切ってハナを主張したが、レベルフォーにプレッシャーをかけられ、同馬を競り落としたところで(11)ロードグラリオにプレッシャーをかけられて苦しくなったもの。

 今回は梅花賞時よりも同型馬が手薄。ここは楽に逃げられる可能性が高く、(11)ロードグラリオが外枠を嫌ってハナを主張すれば昨年10月のA2・ミズナラ賞時のように控える選択もあると見ている。何れにせよ、そこまでペースは上がらず、内と前有利な決着になると見て予想した。

浦和11R プラチナC ダ1400m
 ◎ (5)イグザルト
 ○ (4)シーサーペント
 ▲ (2)ギャルダル
 △ (11)ロードグラディオ
 △ (8)ティントレット
 △ (10)カールスバート
結論 馬連5-4,2,11,8,11 (14:14:10:8:4) 複勝5 (50)

■有力馬と評価コメント

◎ (5)イグザルト

 2走前のフジノウェーブ記念では7馬身差で楽勝。ここでは7番枠から五分のスタートだったが、二の脚ですっと先行し、好位の外3番手を追走。3~4角で徐々に進出し、4角で楽な手応えで2列目に上がって直線へ。序盤で追われて抜け出し、1馬身ほど前に出ると、ラスト1Fでは突き放す一方だった。

 本馬は中央時代からダ1400~1600mを得意としており、昨年2月の白嶺S(3勝クラス・東京ダ1600m)では、後方有利の展開をコスタノヴァよりも前の位置で進めて同馬と2馬身半差の2着の実績がある。

 本馬はその後はスタートが悪くなり、しばらく不振だったが、南関東移籍後はゲートが改善され、近走では1400mなら好位を取ることも可能。枠も5番枠と外過ぎず、今の浦和にも対応できるだろう。

 前走の東京スプリントでは0秒1差の4着。ダートグレードで好走すると、次走で疲れが残ることもしばしばあるが、前走は1番枠で最短距離を通せたことで強豪相手の1200mに対応したところがあり、ある程度、余力を残せていると見ている。

○ (4)シーサーペント

 2023年11月から浦和の1400m~1500mで6連勝した浦和巧者。昨年5月のA2・五月特別では1番枠のエンテレケイアなどの強豪相手に5着に敗れたが、その後2連勝で6走前の浦和スプリントOP(浦和ダ1400m)を勝利した。

 ここでは3番枠からトップスタートを決め、スピードの違いで楽にハナを取り切り、道中はコントロールして3角手前からペースアップ。最後の直線でじわじわ差を広げて3馬身差で完勝した。ここは前後半3F35秒4-36秒5の平均ペースで逃げての圧勝だった。

 本馬は2走前のOP・梅花賞(浦和1400m)では、(11)ロードグラリオに捲られて4着に失速したが、ここは逃げ、先行馬が多数の一戦。1番枠からトップスタートを切ってハナを主張したが、レベルフォーにプレッシャーをかけられ、同馬を競り落としたところで(11)ロードグラリオにプレッシャーをかけられて苦しくなったもの。

 今回は梅花賞時よりも内と前が有利な馬場で同型馬が手薄。ここは楽に逃げられる可能性が高く、(11)ロードグラリオが外枠を嫌ってハナを主張すれば、3走前のミズナラ賞時のように控える選択もあると見ている。本馬はスピードの違いでハナに立つことが多いだけで、これまで2、3番手に控える競馬にも対応できている。

▲ (2)ギャルダル

 2023年1月と2月に川崎1600mの大師OPと多摩川OPを連勝し、続く大井1400mのフジノウェーブ記念で初重賞制覇を達成。昨年は2月の川崎マイラーズCで2着し、次走のフジノウェーブ記念では二連覇目を達成した。

 昨年のフジノウェーブ記念は7番枠からトップスタートを決めて内から前を主張する馬を行かせて、好位の外6番手を追走。3角手前で外から2列目4番手に上がり、3~4角で3頭分外から直線へ。序盤で2番手から先頭に立った(9)オメガレインボーとの差をじわじわ詰めて2番手に上がり、ラスト1Fでもしぶとく伸びて同馬をアタマ差で捉え切った。

 ここは前後半3F36秒1-39秒4のかなりのハイペース。当時は勢いがあった(9)オメガレインボーを撃破し、4着の(7)サヨノグローリーに5馬身3/4差で勝利したことは評価できる。

 6走前のOP・トパーズS(大井1400m)は◎(5)イグザルトに5馬身も離されてしまっているが、当時は馬体重12Kg増だったように、休養明け初戦の東京盃で体を絞り、楽をさせた後の一戦。もともとの能力はイグザルトと比較しても大きく見劣りしない。

 本馬は今年の川崎マイラーズC2着後はしばらく不振だったが、前走のDIRT IS TCK.賞(OP・大井1400m)ではわりと楽に2番手を追走と、良かった頃の前進気勢を見せていた。今回はこの中間の追い切りの動きもよく、復調を見せているだけに3番に推す。

△ (11)ロードグラディオ

 2走前のOP・梅花賞(浦和ダ1400m)で4馬身差で圧勝した馬。ここでは大外8番枠から五分のスタートを切り、じわっと先行して好位の外3番手を追走。向上面で早めに○(4)シーサーペントにプレッシャーをかけに行き、3~4角で競り落として1馬身半差ほどのリード直線へ。直線で追い上げる(3)ルコルセール、(7)サヨノグローリーらを尻目に余裕を持っての圧勝だった。

 ここでは前後半3F36秒0-38秒0のかなりのハイペース。展開に恵まれた(3)ルコルセールや(7)サヨノグローリー等を相手に完勝している。

 本馬は前走の隅田川OPでも逃げ切り勝ちを決めているが、4走前の準重賞・トワイライトC(浦和ダ1400m)でも好位の外から早め先頭に立って勝利しているように、浦和1400mが得意。ただし、今回は11番枠と外目の枠に入り、中途半端に先行すると外々を回るロスが生じることもあり、評価を下げた。

△ (8)ティントレット

 5走前の北海道スプリントCで3着。ここでは3番枠から出遅れ、後方2番手を追走。道中で後方馬群の後ろに追いつくと、3~4角の中目から徐々に位置を上げ、4角出口で外に誘導。直線序盤でしぶとく伸びて中団に上がり、ラスト1Fでチカッパには離されたが、早め先頭に立ったエートラックスとの差はじわじわ詰めて3着に健闘した。

 ここは前後3F35秒1-37秒5のかなりのハイペースで後方有利の展開に恵まれて3着。本馬は前走のA2・日本橋賞(大井1200m)でも2列目の外を追走して勝利しているように、1200mがベスト。しかし、本日の浦和はダートが軽く、スプリンターでも対応が可能。前に行ける強みを活かしての食い込みを警戒したい。

△ (10)カールスバート

 昨年6月のA2・千葉日報賞スプリント(船橋ダ1200m)では、△(11)ロードグラディオを撃破し、次走の習志野きらっとスプリント2着、その後の船橋記念2着のスワーヴシャルルと1馬身差に健闘した馬。

 ここでは大外9番枠から好スタートを切ったが、内の各馬が速いので、じわっと下げて中団、最終的には後方2列目の外で進めた。3角手前から動いて2頭分外から押し上げ、直線序盤では3列目の外付近。最後の直線ではしぶとく伸び続け、最後に(11)ロードグラディオを差し切り、クビ差の2着だった。

 (11)ロードグラディオは1200mはやや忙しいが、それでも同馬を捉え切ったことは評価できる。本馬はその後も1200mを中心に使われているが、テンの脚が遅く、4走前のA2・スノードロップスプリント(船橋1200m)のように、内枠を利して距離ロスなく、ある程度前の位置を取れないと苦しい。

 4走前は前後半3F34秒8-38秒2のかなりのハイペースを積極的に位置を取りに行っての勝利だった。2走前のフジノウェーブ記念では、3番枠からまずまずのスタートを切りながらも距離延長を意識し、控えて中団内目を立ち回ったことが裏目。4走前の内容から、ある程度前の位置を取っていければ一発あると見ている。

2025年 ヴィクトリアマイル+栗東Sの予想

■外有利の馬場でも追込は届きにくい

 過去10年の勝ち馬は逃げ~中団までで7勝。差しは3勝しているが、追込の3着以内はゼロ。2着は逃げ~中団までが6回、3着は逃げ~中団までが9回だった。差し馬の2勝は2016年のストレイトガール(18頭立ての3角11番手)と2017年のアドマイヤリード(17頭立ての3角12番手)で、17年は雨の影響で外差し有利の馬場だった。

 日曜は本降りの土曜から馬場がどこまで回復するかにもよるが、先週のNHKマイルC時のように、逃げ馬が暴走してのよほどのハイペースにならないと追込馬が連対するのは難しい。まして先週が超高速馬場を考慮しても前半4F44秒9という、見たことない数字が飛び出しているだけに、今回騎乗する騎手たちも意識的にペースを落としてくるはずだ。

 ただし、土曜は内を空けて走っており、最後の直線で外へ誘導した馬が有利。馬場は内から乾くので、このレースまでに内が乾いている可能性もあるが、さすがに内有利にはならないと見ている。2017年に近い感覚で予想したい。

東京11R ヴィクトリアM 芝1600m
 ◎ (12)シランケド
 ○ (17)アスコリピチェーノ
 ▲ (5)ラヴェル
 △ (2)ステレンボッシュ
 △ (3)アルジーヌ
 △ (10)ボンドガール
 △ (15)ソーダズリング
 △ (9)アドマイヤマツリ
 △ (13)ビヨンドザヴァレー
結論 馬連12-17,5,2,3,10,15,9,13 (13:9:9:9:3:3:2:2) 複勝12 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (12)シランケド

 キャリア4戦目の紫苑Sでは、1勝クラスの身ながら3着に入った。その後、休養を挟んだ1勝クラスの戸畑特別では馬体重14kg増と成長した姿を見せて5馬身差で圧勝。ここではオープン通用級の指数を記録し、この時点で能力が本物、後に活躍することは必至だった。そこから成績を上げて、前走の中山牝馬Sでは初重賞制覇を達成した。

 前走は11番枠からやや出遅れ、押して挽回し好位を狙ったが、好位列が雁行状態で窮屈になり、一列下げて中団の外を追走。道中は中団の外でホーエリートをマークして進め、仕掛けを我慢させた。

 3~4角ではホーエリートの外から押し上げ、4角では同馬に張られて4頭分外を回るロスもあったが、直線序盤ですっと2列目に上がる。ラスト1Fで内のホーエリートとの叩き合いとなったが、アタマ差で振り切った。

 このレースは標準馬場で前後半4F48秒2-47秒5の平均ペースだが、レース最速がラスト5F目の11秒4。向正面で逃げ馬がペースを引き上げたことでやや差し馬に有利な展開ではあった。やや内有利の馬場を外々からロスを作りながらも最後までしぶとく粘った内容は高く評価できる。

 本馬はエンジンが掛かってからがしぶとく、本質的には中距離向きだが、もう一枚奥がある可能性を感じさせる。今回は12番枠と外目の枠で出遅れた場合には位置取りが悪くなりそうだが、最近は出遅れ癖がだいぶ改善されている。また昨日の外差し馬場を考慮すると、今回の12番枠も好ましく、本命に推す。

○ (17)アスコリピチェーノ

 デビューから3連勝で阪神JFを勝利した実績馬。その後、マイル路線を徹底して使われ、桜花賞、NHKマイルCで2着。昨秋の休養明け初戦、京成杯AHでは古馬を圧倒した。

 京成杯AHでは10番枠からやや出遅れ、そこから押して中団の中目を追走。コンクリード馬場で道中は内に入れたいところではあったが、入れられないまま3角に入った。

 3~4角の中間でペースが落ちると外から取りつき、4角で外目から押し上げて3列目で直線へ。直線序盤ですっと伸びて一気に先頭列付近まで上がり、ラスト1Fで突き抜けて1馬身1/4差で勝利した。

 ここは前後半4F45秒6-45秒2の平均ペース。脚質による大きな有利不利はないが、秋の中山開幕週の超高速馬場で内有利な状況のなか、一度も内に入れることなく4角で外から押し上げて勝利した内容は高く評価できる。

 今回のメンバーで実績、マイル適性は明確に上位。前走ではサウジアラビアに遠征し、1351ターフスプリントを勝利。ここも五分のスタートではあったがしっかり先行しており、マイル戦ならポジションを取っていけるはず。

 今回は前走時の疲れが取れているかがカギになるが、対抗に推す。

▲ (5)ラヴェル

 デビュー2戦目のアルテミスSでは後方から3~4角でリバティアイランドに蓋をしながら先に動き、同馬を完封した素質馬。その後、長期間不振だったが、昨秋のエリザベス女王杯で2着に入り、3走前のチャレンジCで重賞2勝目を挙げ、完全復活を遂げた。

 3走前は9番枠から出遅れて外を狙った。しかし、外に出し切るのが難しく、中団中目のスペースを軽く促して拾う形。道中もマイネルモーントの後ろの中団中目を走り、3角手前で同馬の内から押し上げ3角を迎えた。

 3~4角では好位の中目のスペースを拾い、4角でセイウンハーデスの後ろから2列目まで押し上げ直線で外に出た。直線序盤で追われるとすっと抜け出して1馬身差。ラスト1Fでディープモンスターらに迫られたが、問題とせず1馬身3/4差で完勝した。

 3走前は標準馬場で前後半5F58秒4-59秒8と緩みなく流れたが、出遅れを挽回して中団まで位置を上げ、早め先頭に立っての勝利ととても強い内容だった。ここでは今回のメンバーでは№.1の指数を記録している。

 2走前の金鯱賞は9番枠から出遅れて後方からの追走。道中も後方の外目で追走し、3~4角でも鞭を入れながら押し上げたが、動き切れずに9着敗退。スタミナが不足しがちな休養明けでかなりタフな馬場&激流になったことえ、息切れしてしまった。

 前走の大阪杯ではやや内有利のコンクリート馬場を3番枠から五分のスタートを切って中団の最内で進めていたが11着敗退。大阪杯では金鯱賞組が全滅しているように、各馬がタフな競馬をしたダメージが強く出たが、本馬は着差は0秒7着と牡馬の一線級を相手によく走れていた。

 本馬が3走前のチャレンジCで記録した指数は、今回は休養明け3戦目。本馬も中距離がベストの馬ではあるが、相手弱化のここで本領発揮なら通用していい。

△ (2)ステレンボッシュ

 昨年の桜花賞馬だが、オークス、秋華賞ではチェルヴィニアに完敗の2着、3着。しかし、秋華賞では出遅れて後方馬群の中目を追走する形となり、3~4角で包まれて直線序盤で前が壁。進路取りがスムーズではなかった。しかし、2走前の香港ヴァーズでは3着と成長力を見せた。

 2走前は13番枠から出遅れて、後方馬群の中目に突っ込んでいったが、結局最後方で外に誘導して進めていく。向上面でも最後方の外で動けずに3角に入った。

 3~4角で徐々にペースが上がっていく中で仕掛けて4角でややペースが落ちると、外からすっと押し上げて一気に2列目の外まで進出。直線序盤でいったん先頭に立ったが、さすがに甘くなり最後は3着争いで何とか踏ん張った。

 2走前は前後半5F63秒15-59秒29(日本の計測法なら、前半があと1秒速い)のかなりのスローペースで前有利の展開。後方からの追走となった時点で早めに仕掛けざるを得なかったのは仕方ないが、もう少し仕掛けを遅らせていれば、4,5着馬にしっかり差を付けられていたはず。またここの2着馬はこの路線の強豪ドバイオナーで、同馬と1馬身差ならば上々だ。

 休養明けの前走の大阪杯では惨敗。前走はコンクリート馬場のややハイペースで12番枠、終始中団外々を追走する形で、しんどい競馬になって13着に敗退した。ここは2走前の香港で好走した疲れもあったと見ている。

 本馬はゲート不安があり長らく中距離を使われていたが、桜花賞馬でもあるように本来はマイルでもやれる馬。桜花賞ではやや出遅れを中団外目まで挽回し、最後の直線では鋭く伸びて勝利している。当時よりも相手が強いここで出遅れられると厄介ではあるが、近走はスタートを決められるようになっているので警戒したい。

△ (3)アルジーヌ

 3走前に牡馬混合オープンのカシオペアSを勝利。ここでは8番枠から五分のスタートを切り、コントロールしながら先行策。ほぼ馬なりで好位の中目から追走した。道中では緩みなく流れたが、好位を維持したまま外に誘導して3角に入った。

 しかし、3~4角では前が雁行状態となったので、再び中目に誘導して直線へ。直線序盤で追われると一気に抜け出して2馬身のリードを奪った。ラスト1Fでトゥデイイズザデイをはじめとする外差し勢に詰め寄られたが、3/4馬身差で振り切った。

 この日は馬場の内が荒れており、本馬は上手く内を避けてレースを進めていた。標準馬場で前後半4F46秒1-46秒7の平均ペース。緩みなく流れて後方有利な展開を好位から早めに抜け出して勝利した内容はそれでも評価できる。

 本馬は前走、2走前で芝1600mを使われ、2走前はターコイズSを勝利。前走は阪神牝馬Sで2着とマイルもしっかり対応している。ただ、極端なスローペースで上がり3F33秒8の後半勝負となった京都芝1600mの2勝クラス時に4着と敗れたことがあるように、上がりの速い決着は得意ではない。

 前走の阪神牝馬Sもかなりのスローペースで上がりの速い決着だったが、1番枠からスタートして3角手前で最内から好位まで挽回できたこともあって、上がりの速い決着にも対応できた面がある。

 今回も3番枠と内目の枠。この並びなら好位~中団の内目が取れるだろう。今回は内が有利な状態ではないが、ある程度、前の位置が取れるという意味ではこの枠も悪くない。

△ (10)ボンドガール

 2走前の東京新聞杯で2着。2走前は4番枠から五分のスタートを切ったが、コントロールして中団内目を追走。道中も中団馬群の中目から折り合い重視で進めた。

 3~4角でも前2頭から離れた中団中目で仕掛けを待って、直線序盤で前のゴートゥファーストの後ろからスムーズに外に誘導し、楽々と4番手に上がる。ラスト2Fでさらに前との差を詰めたがまだ4番手。ラスト1Fで先頭のメイショウチタンを捉えたが、外からウォーターリヒトに差し切られてクビ差で敗れた。

 2走前は標準馬場で前後半4F46秒1-46秒5の平均ペース。脚質による大きな有利不利はないが、末脚型の本馬がいつもよりも早めに動いて押し切った内容に進化を感じさせた。

 本馬はNHKマイルCこそ、最後の直線で最内から先頭を狙ったところを○(17)アスコリピチェーノに寄られて窮屈になり、安全確保のために位置を下げて流し17着と崩れたが、それ以外は全て着差0秒3以内に善戦しているように、自在性があって安定感も抜群だ。

 前走の阪神牝馬Sは9番人気の(4)サフィラが2番手から抜け出して勝利しているように、超高速馬場でかなりのスローペース。前と内が有利な展開だった。本馬は10番枠からやや出遅れ、軽く促して中団の外を追走していたが、道中でやや折り合いに苦労して位置を下げたことが主な敗因。結果、3~4角で外々から押し上げる形となり、前を捉え切れなかった。

 前走は展開を考えれば5着でも仕方のない内容ではあったが、同じように出遅れて中団中目を追走したラヴァンダとの末脚比べで敗れた点はやや不安。ただ今回は前走よりも前走のような超高速馬場ではなく、ペースも上がる可能性が高いだけに軽視はできない。

△ (15)ソーダズリング

 デビュー当初は中距離路線を使われていたが、京都芝1600mで3勝クラスを勝利すると、次走のターコイズSで4着。ここでは内の馬にぶつけられ、やや掛かりながら中団馬群の中目を追走しての3着大接戦の4着に健闘し、古馬重賞でも通用の目途を立てた。すると次走の京都牝馬Sでは重賞初制覇を達成した。

 京都牝馬Sでは15番枠から五分のスタートを切り、無理なく中団の外を追走。道中も緩みなく流れっていたが、中団の外からある程度流れに乗って3角に入った。

 3~4角では中団の中目でワンテンポ仕掛けを待って、4角出口でスムーズに外に誘導。直線序盤で中団列からすっと伸びて先頭列まで上がり、ラスト1Fでナムラクレアとの叩き合いとなったが、クビ差で振り切った。

 ここはややタフな馬場で前後半4F34秒5-34秒5の平均ペースだが、緩みなく流れており、前へ行った馬には不利な展開。ここは展開に恵まれており、進路取りも完璧だった。

 本馬は2走前の阪急杯でも3着争いを制して3着に善戦しているように芝1400mがベスト。しかし、3走前の高松宮記念では追走一杯の14着に失速しているように、芝1200mよりは明確に芝1600m向きだ。

 超高速馬場のかなりのスローで、内と前が有利な展開となった前走の阪神牝馬Sは6着。ここでは4番枠からまずまずのスタートを切って好位を確保したが、位置を下げて外に誘導したことで、内枠の利を生かせずに6着敗退。△(10)ボンドガールほどではないが、本馬も3~4角で中団の外から押し上げていく苦しい競馬になっているだけに警戒した。

△ (9)アドマイヤマツリ

 上昇一途の4歳馬で前走の福島牝馬Sでは重賞初出走ながら勝利した。前走は1番枠からまずまずのスタートを切り、軽く促して好位の最内を確保。そこからやや掛かってはいたが、前にスペースを作ってコントロールしながら進め、前3頭からやや離れた好位の最内で3角に入った。

3角でもまだ仕掛けを待って、前のスペースを詰めていったが、4角で2列目の最内にいたアマイがタイミングよく外を選択。これによりほぼ最短距離を通ることができ、4角出口で前2頭の外に誘導して2列目の3番手で直線へ。直線序盤で追われて2番手争いに加わり、ラスト1Fで突き抜けて2馬身差で完勝した。

前走は高速馬場で前後半4F47秒2-47秒0の平均ペース。脚質による大きな有利不利はないが、内有利の馬場で4角まで最短距離を通り、4角出口でアマイが動いた後ろをついていき、そのまま一気に加速と完璧な騎乗だった。

本馬は新馬戦こそ7着に敗れているが、以降は連対率100%と安定感も勢いもある。ただ、前走があまりに完璧な騎乗だっただけに、ここでは前走以上を期待しにくい。

△ (13)ビヨンドザヴァレー

 3走前のターコイズSの2着馬。ここでは12番枠からまずまずのスタートを切り、促して先行し2列目の外を確保。道中でも内に入れられず、3角でも2頭分外から進出した。

 3~4角の中間地点でペースが落ちると、ここでコントロールし、4角でも仕掛けを待っていたが、外からドゥアイズが競ってくるとじわっと仕掛けて先頭列で直線へ。序盤で追われてしぶとく先頭のイフェイオンに並びかける。ラスト1Fでも踏ん張っていたが△(3)アルジーヌに差し切られて1馬身差の2着となった。

 ここは超高速馬場で前後半5F46秒3-46秒9の平均ペース。道中で緩みが生じており、前有利な展開ではあったが、内がやや有利の馬場状態で内に入れようと外枠から積極的に出して行ったにもかかわらず、一度も内に入れられなかったことは痛かった。

 本馬はその後の中山牝馬S、阪神牝馬Sでも着差0秒4差の4着に善戦。中山牝馬Sでは2番枠から好スタートを切って、じわっと下げて中団の最内を追走。ここは向正面で逃げ馬がペースを引き上げたことでやや差し馬に有利な展開になっており、中団に控えたことが吉と出た面があった。

 しかし、前走の阪神牝馬Sは2番枠からまずまずのスタートを切って、最終的には控えて2列目。内と前有利な展開&馬場を考えると絶好ポジションだったが、なぜか外に誘導し、好位の中目で包まれて位置取りが下がって4着と不完全燃焼だった。

 このように本馬は中距離路線組が多いここで積極的にポジションが取れる立ち位置ではあるが、ここで鞍上がその優位性を生かせるかが課題。ただ案外とペースが上がらず、鞍上が前走の敗因を糧に攻めの騎乗をした場合の一発が怖いので警戒することにした。

推定4,5番人気 (15)クイーンズウォーク

 古馬牡馬と初対戦となった前走の金鯱賞を勝利した。前走では6番枠から五分のスタートを切り、楽に先行して2列目の外で進めていたが、デシエルトが飛ばしていったので、3番手を追走。道中は2番手のホウオウビスケッツをマークする形で進めた。

 3角でひとつ外の3番手で仕掛けを待って、4角出口で馬場の良い外に誘導して直線へ。序盤で追われてややもたついていたが、じわじわ差を詰めて先頭とは3馬身差ほど。ラスト1Fでグンと伸びて内のホウオウビスケッツをハナ差で捉えて勝利した。

 前走はかなりタフな馬場で前後半5F58秒2-63秒1の超絶ハイペース。前へ行った馬にはかなり不利な展開だったが、後続を大きく離して逃げたデシエルト以外は実質差し競馬だった。本馬は展開に恵まれる形で自己最高指数を記録しての勝利だった。

 稍重馬場で時計が掛かった昨秋のローズSを勝利しているように、時計の掛かる中距離がベスト。超高速馬場のマイル戦だと、後方から進めたクイーンC時のように、位置取りに苦労しそうだ。クイーンCでは前がバテたことで差し切ったが、古馬一線級が相手だと、前もそうそうバテないだろう。

 また金鯱賞組は大阪杯で全滅したように、タフな馬場&ハイペースでの激走は次走でダメージを残しやすいもの。その金鯱賞で自己最高指数を記録した後の一戦となると、成長期の4歳馬でも疲れが出る可能性がある。
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京都11R 栗東S ダ1400m
 ◎ (7)ジャスティンアース
 ○ (13)バトルクライ
 ▲ (14)アルファマム
 △ (8)ニシキギミッチー
 △ (12)エミサキホコル
 △ (9)サトノフェニックス
 △ (1)スマートサニー
 △ (3)コンティノアール
結論 馬連7-13,14,8,12,9,1,3 (10:10:10:10:4:3:3) 複勝7 (50)

■トップスピードが速い馬が有利

 昨日は不良だったが、本日は回復化の傾向。現時点で重馬場で脚抜きが良く、トップスピード比べとなっている。

 今回は5月の越後Sで外枠から押してハナを主張し、オーバーペースで逃げて13着に失速した(2)サウンドアレグリアの陣営が「控える」とコメント。

 そうなるとゲート次第で(6)アドバンスファラオが逃げそうだが、コーラルS時は平均ペースの逃げだったことから、ここもさほどペースが上がりそうもない。他が逃げてもテンの脚がそこまで速くないので、穴馬はある程度、前の位置からもうひと脚が使える馬となりそうだ。

■有力馬と評価ポイント

◎ (7)ジャスティンアース

 デビューからすっと芝を使われていたが、2走前よりダートに路線転向して2連勝。前走の門司Sでは10番枠からまずまずのスタートを切り、外から前を主張する2頭を行かせて好位の中目を追走。道中で外に誘導し、そこからコントロールして2列目の外付近に控えて3角に入った。

 3~4角で3頭分外からしわっと上がって直線へ。序盤で追われるとすっと先頭に立ってアタマ差ほど前に出ると、ラスト1Fでそのまま抜け出して1馬身差で勝利した。

 前走は標準馬場で前後半3F35秒4-36秒8のややハイペース。差し有利の展開を先行して外から勝ちにいっての完勝だった。

 本馬は2走前も1番枠で砂を被りながらも怯まずに外に誘導しながらスピードに乗せて勝利。2走前も前走も上がり3F最速を記録しているように、かなりのダート適性の高さと能力を感じさせる。ダート3戦目でここもトップスピードの速さを活かして突破する可能性が高いと見て本命に推す。

○ (13)バトルクライ

 2023年の根岸Sの3着馬。同レースでは14番枠からやや出遅れ、じわっと挽回して中団の外を追走。道中は淡々と流れたが、ある程度促して3角に入った。

 3~4角でも中団外目からじわっと進出して直線へ。序盤で外のタガノビューティーに食らいついて、ラスト2Fで2番手に争いに加わった。ラスト1Fでタガノビューティーを競り落としたが、外からギルデッドミラーにかわされて同馬と3/4差の3着となった。

 ここは前後半3F34秒6-35秒9のかなりのハイペースで後方有利の展開。この日は外差し有利の馬場でもあり、本馬は展開と馬場に恵まれての3着だった。

 本馬はその次走のOP・欅Sでも休養明けながら勝利。その後、右前骨折判明が判明。手術するほどまでに至り、1年1ヵ月にも及ぶ長期休養が余儀なくされた。

 そこから復帰するとしばらくスランプだったが、前走のOP・オアシスSでは久々に勝利して復調をアピール。前走はハイペースを中団外から差す形で展開に恵まれた面があったが、バトゥーキやハビレ等の追い込みを封じたことは評価できる。

 今回はトップハンデ58.5Kgを背負うことになるが、全盛期に近い走りができればここでも通用するはず。

2025年 5/11・平城京S+橘Sの予想

■逃げ馬不在で先行馬を狙う

 昨日は重馬場で高速ダート。内と前が有利だったが本日は回復傾向。外差しも台頭しだしているが、ここは何が何でも逃げたい馬は不在。おそらく外枠でもテンの速い(14)サンライズアリオンが逃げて、内から(7)ジューンアヲニヨシ辺りが抵抗していく形になりそうだが、同馬も逃げたくないので極端にペースは上がらないだろう。

 今回の出走各馬が経由している仁川S、総武S、吾妻小富士OPなどよりも遅いペースで前が楽な展開になると見て予想した。

京都11R 平城京S 芝1400m
 ◎ (15)メイクアリープ
 ○ (3)マリアナトレンチ
 ▲ (7)ジューンアヲニヨシ
 注 (11)クールミラボー
 △ (9)メイショウユズルハ
 △ (10)クラヴィコード
 △ (13)タイセイドレフォン
 △ (14)サンライズアリオン
 △ (16)ホールシバン
結論 馬連15-3,7,11,9,10,13,14,16 (10:10:10:4:4:4:4:4) 複勝15 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (15)メイクアリープ

 6走前の三宮Sでは、好位の内から後のJpn1で2勝のキンズソードに最後までしつこく抵抗してハナ差の2着。5走前の名鉄杯でもその後の交流重賞で3勝のアーテルアストレアとハナ差の2着になるなど、強豪とぶつかってきた馬。

 3走前のみやこSでは2着。ここでは7番枠から五分のスタートだったが、二の脚を利かせて好位の中目を追走。向上面で外に誘導して3角に入った。

 3角で4頭分外から押し上げてロスを作ったが、4角では2番手に上がって内に切り、先頭のペプチドナイルと2馬身半差で直線へ。序盤でペプチドナイルにクビ差まで迫り、ラスト1Fで同馬をかわすかとのところで外から一気にセラフィックコールに差され、3馬身差で敗れた。

 ここは前後半4F48秒8-49秒7。ややハイペースを考慮してもセラフィックコールには完敗の内容だったが、同馬は後のダイオライト記念を2連覇したほどの実力の持ち主で、エンジンが掛かったらどこまでも突き抜けるような馬だ。

 評価すべきは、後のG2・Jpn2で2連覇で先週のかしわ記念でも2着となった3着馬ウィリアムバローズを3/4差で振り切ったことだろう。

 1年1ヵ月の長期休養明けとなった前走のボルックスSは心房細動で競走中止したが、今回はそこから立て直されての一戦で変わり身が期待できる。
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京都10R 橘S 芝1400m
 ◎ (3)ムイ
 ○ (4)スリールミニョン
 ▲ (10)フードマン
 △ (1)モンテシート
 △ (5)サウスバンク
 △ (6)ドゥアムール
結論 馬連3-4,10,1,5,6 (15:10:10:10:5) 複勝3 (50)

■京都芝は外差し有利

 フィリーズレビューを前半3F33秒2の激流にした(6)ドゥアムールが出走。その他、芝1200m出先行して結果を出した(5)サウスバンク、(10)フードマンなども出走しており、ハイペースが予想される。

 また、京都芝は内が荒れてきており、外差し有利の馬場になっているだけに、ここは差し馬に期待したい。

■有力馬と評価ポイント

◎ (3)ムイ

 小倉芝1200mの新馬戦と阪神芝1400mの3歳1勝クラスを連勝した馬。2走前の3歳1勝クラスでは、7番枠から出遅れたが、促して後方2列目の外を追走。3~4角でじわっと押し上げ、4角出口で大外に誘導して直線へ。序盤で追われてしぶとく伸びて中団まで上がり、ラスト1Fで甘くなった前をまとめてかわして1馬身3/4差で勝利した。

 ここは高速馬場で前後半3F33秒6-35秒4のややハイペース。2着馬にしっかり差を付け、なかなか強い勝ち方だった。

 前走のニュージーランドTは、10番枠から外の馬と接触して後手を踏み、能力を出し切れずに12着敗退。デビューからの2戦は末脚を生かす競馬をしていた馬なので、スタミナ不足で距離も応えたのだろう。実績のある芝1400mで巻き返しを期待する。

2025年 NHKマイルの予想

■超高速馬場で追込は苦しいか?

 馬場で追込は苦しいか? 過去10年のうち、外差し有利の馬場だった2018年と、稍重でややハイペースだった23年は差し・追込馬が優勝しているが、それ以外は逃げ~中団までが8勝と前目が有利。

 2着や3着には差し・追込馬が計9回突っ込んできているが、東京芝は緩みなく流れた昨日のエプソムC(稍重)でレコードタイムが記録されたように、超高速馬場。1分32秒前後の高速決着が予想されるだけに、追込は苦しいと見る。

東京11R NHKマイルC 芝1600m
 ◎ (1)モンドデラモーレ
 ○ (8)アドマイヤズーム
 ▲ (15)アルテヴェローチェ
 注 (14)ティラトーレ
 △ (9)マイネルチケット
 △ (7)トータルクラリティ
 △ (2)ショウナンザナドゥ
 △ (3)チェルビアット
 △ (17)ヴーレヴー
結論 馬連1-8,15,14,9,7,2,3,17 (16:15:8:5:3:1:1:1) 複勝1 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (1)モンドデラモーレ

 デビュー1~2戦は中距離を使われていたが、マイル路線で素質が開花した。8月の札幌2歳S4着以来となった2走前のジュニアCでは馬体重20kg増で出走すると2着で、一気に指数を上昇。勝ち馬ファンダムは次走の毎日杯で強い勝ち方をした。

 2走前は10番枠から五分のスタートを切り、コントロールしながら好位の中目を追走。道中は好位の中目で我慢させて前のスペースを維持していたが、かなり掛かって3角手前で前のスペースを詰め切ってしまった。

 3~4角では進路がなくなりブレーキ気味。4角で外に誘導し、ファンダムの後ろから追われて3列目で直線へ。それまでがブレーキ気味だったこともあって直線序盤の伸びは地味だったが、追われて2列目に上がり、ラスト1Fでファンダムとの差を3/4馬身差まで詰めた。

 高速馬場で前後半4F47秒2-46秒3のややスローペース。やや前が有利な展開だった。折り合いを欠くことなく、スムーズにレースができていればファンダムを逆転した可能性もあったと感じさせる内容だった。

 そこから再び休養明けとなった前走のファルコンSでは2着。ここでは大外18番枠から出遅れ、中団の外目からの追走となった。道中で好位列が横に広がっていく展開を押し上げて好位の5頭分外から3角へ。

 3~4角でも好位列が雁行している状態の一番外。それを嫌って4角でやや追っつけて4角で内に切ったが、それでも4頭分外から2列目に上がって楽な手応えで直線へ。直線序盤で追われての反応は地味で外から一気に(4)ヤンキーバローズにかわされたが、ラスト1Fで意外と食らいついてクビ差に迫った。

 ここは標準馬場で前後半3F34秒4-35秒0。中盤で緩んでおらず、ややハイペースだったこともあり、ここでは折り合いもついていた。また、大外枠から3~4角でペースが落ちてはいないのにかなり外を回す距離損の大きい競馬で、並みの馬ならば大敗のパターンだった。

 本馬はここ2戦のレースぶりに反して人気がないが、強い相手とも戦っており、地力上位は明らか。ややスローペースの2走前はかなり掛かっていたが、GⅠのペースならば折り合いもつきやすいだろう。ここは本命に推す。

○ (8)アドマイヤズーム

 昨年の朝日杯FSを勝利し、2歳マイル王となった馬。同レースでは2番枠からまずまずのスタートを切り、軽く促して楽に先行。ペースが遅かったが、我慢させながら2番手外を追走した。道中も逃げ馬を見ながらコントロールして2番手外で折り合わせ、3角手前で強烈にペースが落ちても我慢させた。

 3~4角で外の各馬が我慢できずに絡んできたが、本馬はコントロールしながら先頭に並びかけて直線へ。直線序盤で追われて突き抜け2馬身半差。ラスト1Fで後の皐月賞馬ミュージアムマイルの追撃を許さず2馬身半差で完勝した。

 ここは標準馬場で前後半4F48秒0-46秒1とかなりのスローペース。前有利の展開に乗じての勝利ではあったが、2番手からメンバー最速の上がり3Fを記録しての勝利は高評価できる。

 復帰戦となった前走のニュージーランドTは朝日杯FSと比べると高速馬場でハイペース。逃げ馬から離れた好位の外目で進め、ラスト1Fでやや甘くなったところをイミグラントソングに差され、クビ差の2着に惜敗した。しかし、順当に体調面が上昇すれば通用するはず。

▲ (15)アルテヴェローチェ

 デビュー2戦目に東京芝1600mのサウジアラビアRCを優勝。休養明けで馬体重14kg増の朝日杯FSでは、先行勢が雁行状態の中目を追走したが、ペースが上がらずコントロールに苦労して中団まで下げ、包まれて3角では後方についた。結果、前有利の展開に泣く形で5着に敗れた。

 体が絞れた2走前のシンザン記念では2着。ここでは8番枠からまずまずのスタートを切って軽く促されていたが、内と外から来られたため、中団に下げて外に誘導した。そこから折り合い重視で進めて3角に入った。

 3角手前でさらに外に誘導し、3~4角で仕掛けて4角では外から押し上げながら2列目外で直線へ。直線序盤で大外に誘導して追われて伸びたが、内のリラエンブレムに来られてクビほど前に出られる。ラスト1Fでは同馬に離されたが、後続には2馬身半差をつけた。

 ここはややタフな馬場で前後半4F46秒8-47秒8のややハイペース。やや大味な競馬ではあったが、差し有利の展開に恵まれた面もあった。

 前走のチャーチルダウンズCでも休養明けながら2着。ここでは6番枠から駐立が整わず、2馬身も出遅れてしまった。そこから後方外目まで挽回し、道中では中団馬群の後ろで流れに乗って3角に入った。

 3~4角でも中団外から動いて、4角出口で大外に誘導して3列目で直線へ。直線序盤で追われてじわじわ伸びて2列目付近に上がり、ラスト1Fでは(5)ランスオブカオスには離されたが1馬身3/4差で2着に入った。

 大きく後手を踏んだ時点で後方からの追走に徹してもよかったが、急かして位置を取り過ぎた面があり、敗因の一つといってもいい。またこの日はBコース替わりで内がやや有利だったが、外から位置を挽回し、3~4角の外からも動いた時はさすがに苦しいかとも思ったが、案外がんばった。

 本馬は2走前に挟まれかけ、前走は出遅れて先行できていないが、サウジアラビアRC時のようにある程度、位置を取りに行っても問題のないタイプ。前走は駐立不良による出遅れで癖ではないので、ここはスタートを決める可能性が高いと見ている。これまでの実績は十分なだけに、叩かれての前進に期待する。

注 (14)ティラトーレ

 今年1月のフェアリーSでエリカエクスプレスの2着に健闘した馬。ここでは13番枠からまずまずのスタートを切って、外のニシノラヴァンダを行かせ、その後ろから押し上げて同馬の外2番手を追走。道中でもある程度は同馬を追い駆け、2番手の外を維持した。

 3~4角でも同馬の外から押し上げ、ニシノラヴァンダの手応えが怪しくなるとワンテンポ待って4角出口で仕掛けて先頭。ここで外からエリカエクスプレスに並ばれ、直線序盤で2番手に食い下がる。ラスト1Fでも踏ん張ったが2着までだった。

 ここは高速馬場で前後半4F45秒5-47秒3のかなりのハイペース。ここでは強豪エリカエクスプレスに完敗だったが、オーバーペースで逃げるニシノラヴァンダを追い駆けたわりにはよく踏ん張っていた。

 次走のクロッカスSでも2番枠から好スタートを決めて外の2頭を行かせ、コントロールして3番手を追走。3~4角でじわっと差を詰めて、4角で前2頭の外に誘導。直線序盤でじわっと仕掛け、ラスト2Fで追われるとしぶとく伸び、ラスト1Fで逃げ粘るクラスペディアに迫ったが、半馬身差までだった。

 ここは標準馬場で前後半3F36秒7-33秒6のかなりのスローペースで前有利の展開。フェアリーSから一転して脚をタメたことで、クラスペディアを捉えそこなった面がある。

 前走のフローラSはスタミナが不足しがちな休養明けで2Fの距離延長。緩みない流れをかなり掛かって好位の内目を追走したために15着に失速したが、叩いて最適距離のここは要注意だ。

△ (9)マイネルチケット

 昨秋の京王杯2歳Sの2着馬。ここでは11番枠からまずまずのスタートを切り、コントロールしながら2列目の外を追走。3角手前でやや位置を下げて前にスペースを作って4番手で3角に入った。

 3~4角で好位の中目で仕掛けを待って、中目を通し切って直線へ。序盤でしぶとく伸びて3番手に上がり、ラスト2Fで先頭。ラスト1Fでも踏ん張っていたが、外からパンジャタワーに差されてクビ差の2着となった。

 ここは高速馬場で前後半3F34秒9-34秒9。緩みなく流れており、前へ行った馬には厳しい展開だったが、先行策で3着(4)ヤンキーバローズに1馬身半差をつけたことは評価できる。

 本馬は3走前のサウジアラビアRCで3着、シンザン記念でも4着の実績があるように、マイルも許容範囲内の距離。休養中に成長していればここも通用するはず。

△ (7)トータルクラリティ

 京都芝1600mの新馬戦と新潟2歳Sを連勝した馬。その新潟2歳Sでは9番枠からまずまずのスタートを切り、コントロールして好位の外目を追走。道中は我慢させ、折り合いに専念した。

 3~4角でペースが落ちたが、ここでもコントロールして3列目の外。直線序盤で2列目から馬なりで上がり、ラスト2Fで追い出されると先頭。そこでややささり、この隙に外から(18)コートアリシアンに半馬身ほど前に出られてしまった。しかし、一騎打ちとなったラスト1Fで同馬を差し返して半馬身差で勝利した。

 ここは標準馬場で前後半4F47秒7-46秒5のかなりのスローペース。新潟開催10日目で外差し有利の馬場ではあったが、2歳8月の時点としては指数が高く、後に行われたサウジアラビアRCを上回る指数での勝利だった。

 秋に復帰してからは順調さを欠いて朝日杯FSでは13着、そこから立て直されたファルコンSでも10着と結果を出せていないが、この中間の追い切りではキビキビ動いており、初めてのブリンカー着用、休養明け2戦目で一変する可能性がある。驚くほど人気がないここは一考したい。

△ (2)ショウナンザナドゥ

 2走前のフィリーズレビューの勝ち馬。ここでは13番枠からやや出遅れれ、促して進めたが、外から被されて中団中目からの追走。道中も促して中団中目で進めていたが、3角で減速してブレーキする場面。

 3~4角でペースダウンしたがワンテンポ仕掛けを待って4角出口で外に誘導して直線へ。序盤ですっと伸びて3列目に上がり、ラスト1Fで前が甘くなったところを差し切って3/4差で勝利した。

 ここは高速馬場で前後半3F33秒2-35秒8の激流。先行馬壊滅の展開に恵まれての勝利だった。

 しかし、前走の桜花賞では逃げた1番人気のエリカエクスプレスが5着に敗れる逃げ、先行馬には厳しい流れを、好位で進めて10着大敗。2走前で1400m戦を使っていたことで、前にいったことが仇となっての敗戦だった。また、2走前に自己最高指数を記録した疲れもあったのだろう。

 本馬は桜花賞同様、緩みなく流れた阪神JFで先行して小差の4着に健闘しているように、マイルも許容範囲内の距離。ここで巻き返しがあっても不思議ない。

△ (3)チェルビアット

 2走前のフィリーズレビューの2着馬。ここでは14番枠から出遅れ、軽く促しながらも無理なく後方からの追走。道中ではやや掛かってはいたが、コントロールして後方中目で脚をタメた。

 3~4角でも後方中目から外に誘導し、上手く△(2)ショウナンザナドゥの後ろを取って直線へ。序盤で中団まで上がり、ラスト1Fでもしぶとく伸びてショウナンザナドゥに3/4差まで迫った。

 ここは高速馬場で前後半3F33秒2-35秒8の激流。先行馬壊滅の展開で、ここではショウナンザナドゥよりも展開に恵まれての2着だった。しかし、ここでは前半で追走に苦労しており、本馬はマイルがベストの感がある。

 前走の桜花賞は標準馬場で緩みなく流れて差し有利の展開。出遅れて後方馬群の中目を追走していたが、3角のペースダウンで進路を失って一列下がる不利。4角出口で大外に誘導したが、最後の直線で後方2番手ではさすがに苦しく、6着に敗れた。ここでは能力を出し切っていないだけに、巻き返しを警戒する。

△ (17)ヴーレヴー

 デビューから長らく芝1200~1400mを使われていたが、芝1600mのエルフィンSで一変して勝利した馬。エルフィンSでは8番枠からまずまずのスタートを切り、二の脚ですっと先頭に立ったが、コントロールされ内のラージギャラリーを行かせ、2番手の外を追走。道中もペースが遅く、やや掛かっていたが、我慢させながらやや位置を下げて1馬身ほど後ろの2番手外で3角に入った。

 3~4角でも持ったまま追走し、4角で軽く促して半馬身差ほどの差で直線へ。序盤で追い出されるとじわっと伸び、先頭に立ってクビ差ほど前に出る。ラスト1Fでそのまましぶとく伸び、外から食らいつくグローリーリンクを振り切って3/4差で勝利した。

 ここは雨と雪の影響による代替開催でタフな馬場ではあったが、前後半3F35秒3-34秒8のスローペース。前有利の展開に恵まれる形での勝利だった。しかし、りんどう賞やファンタジーSではテンに置かれていた本馬が、ポンとスタートを切って先頭に立った前進気勢に地力強化を感じさせた。

 前走の桜花賞は緩みない流れの中団最内と悪くない位置で進めていたが、8着に敗退。前走は休養明けのエルフィンSで好走した疲れもあったのだろう。本馬もここでの巻き返しを警戒したい。

推定2番人気 (6)イミグラントソング

 前走のニュージーランドTで○(8)アドマイヤズームを2着に下して勝利。前走では13番枠から五分のスタートを切り、無理なく中団の外目を追走。道中で後方の外に下げてプリティディーヴァをマークしながら3角に入った。

 3~4角でプリティディーヴァは動いていったが、本馬は仕掛けを待った。4角でややペースが落ちるとプリティディーヴァの外に誘導し、仕掛けて中団で直線へ。直線序盤でじわじわ伸びて3列目に上がり、ラスト1Fでしぶとく伸び続け、先に仕掛けたアドマイヤズームを競り落としてクビ差で勝利した。

 ここは高速馬場で前後半4F45秒7-46秒7のややハイペース。差し馬有利の展開のなか、ラスト1Fでアドマイヤズームが休養明けでやや甘くなったところを差し切ったもの。一方、こちらはレースを順調に使われ、後方からでも4角でややペースが落ちたところで動いて、それほど脚も使わずに押し上げることができた。

 本馬は2走前の1勝クラス(東京芝1600m)では好位の外で進め、ラスト1Fで甘くなって3着。前走は末脚特化でかなり上手く乗られていただけに、さらなる相手強化となると不安はある。

2025年 青葉賞・天王山Sの予想

■芝2200m以上で連対実績のある馬が有利

 青葉賞は過去10年でかなりのスローペースが半数の5回。一方、ややハイペースになったことも3回あり、昨年のパワーホールのように逃げ馬が飛ばす場合も少なくない。このように東京芝2400mは日本を代表する舞台でチャンピオンを決するに相応しく、展開の振れ幅が広い。

 ただし、展開がどう転んでも有利なのは、芝2200m以上で連対実績がある馬だ。このタイプは折り合いに問題がないタイプが多く、展開に応じた走りができるのが強調材料。

 昨年の1着馬シュガークン(2番人気)も2着馬ショウナンラプンタ(7番人気)も3着馬デュアルウィルダー(4番人気)も前走で芝2200m以上を勝利していた。

 今年は京成杯で前2頭に競りかけ、前半3F35秒0と暴走ペースで逃げたガルダイヤが出走。毎日杯では同馬に恐れおののいて同型馬が控える形でマイペースで逃げて2着に粘ることができたが、ここはテンの脚の速い馬たちの出方ひとつで展開が変わりそう。

 そんなこんなで、ここは芝2200m以上で連対実績のある馬を中心視した。

東京11R 青葉賞 芝2400m
 ◎ (9)ファイアンクランツ
 ○ (11)レッドバンデ
 ▲ (10)エネルジコ
 注 (1)マテンロウバローズ
 △ (5)ホウオウアートマン
 △ (4)ゲルチュタール
 △ (12)スワローシチー
結論 馬連9-11,10,1,5,4,12 (15:15:10:4:3:3) 複勝9 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (9)ファイアンクランツ

 新馬戦では4角先頭からラスト1Fで加速する好内容で勝利し、札幌2歳Sで3着、東スポ杯2歳Sで4着とトップクラスと互角に戦ってきた馬。近2走は芝2200m以上を使われ善戦止まりだが、上がり3F最速タイムを記録できている。

 前走のすみれSでは3着。前走は3番枠からまずまずのスタートを切ったが、コントロールして控え、後方2番手からの追走。向正面でも後方2番手の内で折り合いに専念して進めた。

 3角で内から中目に、そして4各柄外に誘導して(5)ホウオウアートマンの後ろから中団外まで上がって直線へ。序盤でじわじわ伸びて3番手に上がり、ラスト1Fで前との差を詰めたが、2着ミラージュナイトにハナ差ほど届かなかった。

 前走は超高速馬場で前後半5F59秒5-59秒5の平均ペース。ジーティーアダマンには1馬身1/4差ほど離されているが、4着馬に5馬身差をつけており、上位3頭が強かった一戦だったといえる。

 2走前のゆりかもめ賞では前後半5F63秒5-59秒2の超絶スローペースで上がりの速い決着を、3~4角の中団中目で包まれ、最後の直線で進路確保に遅れを取る不利。それでもラスト2Fで中目を捌いて2着に食い込んだように、この距離なら崩れにくい。
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京都11R 天王山S ダ1200m
 ◎ (3)サンライズアムール
 ○ (14)スマートフォルス
 ▲ (5)ステラフィオーレ
 △ (6)インユアパレス
 △ (4)ムーンプローブ
 △ (9)メズメライザー
 △ (13)ドンアミティエ
結論 馬連3-14,5,6,4,9,13 (15:10:10:5:5:5) 複勝3 (50)

■逃げ馬多数も京都ダ1200mなら極端なハイペースにはならない

 もともとテンの脚が速い(5)テラフィオーレがブリンカー着用で出走。(9)メズメライザーも前走の千葉Sと同様に砂を被らない番手を主張し、外から(11)エコロガイアも絡んでくるとなると、速い流れが予想される。

 しかし、前半で3角の頂上を目指して坂を上るコースだけに、ペースが上がっても前半3F34秒台半ばから後半くらいだろう。これくらいのペースならば、先行馬でも十分やれるはず。よって、ここは2列目の内目で立ち回れる馬を中心視した。

■有力馬と評価ポイント

◎ (3)サンライズアムール

 ダ1200m~1400mのオープン、リステッドで3勝の実績馬。2023年の京都ダ1200mのOP・藤森Sでは3番枠から五分のスタートだったが、押して好位の内目を追走。3~4角では2列目の内から2番手のヴァガボンドの後ろを通して直線で外に誘導。序盤で追われてすっと伸びて2列目。ラスト1Fでは先頭のヴァガモンドと1馬身半ほどあったが、突き抜けて2馬身半差で完勝した。

 この藤森Sは前後半3F34秒6-36秒3のかなりのハイペースだったが、先行策から突き抜け、(14)スマートフォルスを2着に下し、ダートグレードでも通用する指数で勝利。その後も栗東Sを逃げ切り、3走前のながつきSでも斤量59Kgを背負って好位の外から抜け出し、2馬身差半差で完勝している。

 休養明けの前走、千葉Sではスタート後に内の馬と接触し、ポジションを取るまでにやや苦労。前半でやや脚を使ったぶん、ラスト1Fで伸びてこれなかったが、着差0秒4差なら悪くない。この中間は坂路でも良化を示す動きができているだけに、ここは斤量60Kgでも通用すると見る。

2025年 桜花賞の予想

■重馬場でスピード色の強い馬が活躍

 昨日の浦和は馬場コンディション不良で開催中止。本日は重馬場でスピード色の強い逃げ、先行馬が活躍。(9)ツウエンティフォー、(11)リヴェルベロ、(1)ホーリーグレイルなど、逃げ馬や2番手候補が揃った中でハナ必須のツウエンティフォーが逃げるとなると、ペースは上がりそうだが、それでもスピード色の強い先行馬に期待したい。

浦和11R 桜花賞 ダ1600m
 ◎ (6)エイシンマジョカ
 ○ (7)プラウドフレール
 ▲ (3)ウィルシャイン
 注 (5)フリーダム
 △ (1)ホーリーグレイル
 △ (10)ゼロアワー
 △ (8)エスカティア
結論 馬連6-7,3,5,1,10,8 (14:14:8:6:6:2) 複勝6 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (6)エイシンマジョカ

 デビュー当初は門別1000m~1200mで逃げ、先行してそれなりには走れていたが、「差し」を覚えてさらに上昇。秋のネクストスター門別3着、エーデルワイス賞2着と人気以上の走りを見せた。

 2走前のエーデルワイス賞では5番枠からやや出遅れたが、促して中団やや後方内目を追走。道中はハーフブルーの大逃げで縦長の展開になったが、じわっと挽回して中団内目から3角手前で最内に誘導。

 3~4角で押し上げ開始し、好位に上がって直線へ。序盤で馬群を捌きながら外に誘導して4番手に上がる。ラスト1Fでバテた2頭をかわしてミリアッドラヴに迫ったが2馬身半差の2着までだった。

 2走前は前後半3F34秒5-38秒6のかなりのハイペース。差し馬に有利な展開だったが、3~4角の最内から押し上げ、メンバー断トツの上がり3Fタイムを記録したことは評価できる。また、このレースの勝ち馬ミリアッドラヴは次走の全日本2歳優駿の勝ち馬でもあるだけに、2馬身半差でも仕方ない。

 本馬はこれだけの実績がありながらも前走の東京2歳優駿牝馬では距離が不安視されたのか(?)、4番人気と案外と人気がなかったが、3着に善戦。前走は内有利の馬場で前後半4F49秒6-52秒9のかなりのハイペースの好位の外を追走し、4角で前のエスカティアが外に膨れたアオりを受けながらも、最後まで踏ん張れていた。

 今回はそこからの始動戦になるが、前走では最後の直線で甘さを見せていたことから、前走よりも馬場が軽く、距離が短くなる点が好ましい。それでありながらまた今回も6番人気と案外と人気がないので期待する。

○ (7)プラウドフレール

 暮れの東京2歳優駿牝馬とこのレースの前哨戦、ユングフラウ賞を連勝。前走となるユングフラウ賞えは、大外12番枠から五分のスタートを切り、押して好位の外を追走。道中も緩みない流れを好位の外で進め、3~4角の3頭分外から一気に押し上げて4角でもう先頭。直線では(9)ツウエンティフォーとの差をじわじわ広げたが、最後に(10)ゼロアワーに迫られ、1馬身半差で勝利した。

 前走は前後半3F36秒9-37秒7。けっしてペースが速くなかったが、3~4角の外から一気に動いたこともあって最後にゼロアワーに迫られた。それでも東京2歳優駿牝馬とユングフラウ賞ともににゼロアワーを撃破したことは評価できる。

2025年 金鯱賞&スプリングSの予想

■逃げ馬有利の舞台もペースが鍵

 2016年まで12月上旬に開催されていたが、17年に3月の中京開幕週に移行(20年除く)。21年は重馬場で行われるなど、雨に見舞われることも多く、本日も朝の時点で重馬場だ。

 この開催は最終日に高松宮記念が行われるため、芝の悪化した箇所は広範囲にわたって張り替えられており、完全な良馬場なら高速馬場となる。そのうえ中京芝2000mは、ゴール手前の急勾配の途中からスタートして、向正面半ばまで坂を上っていくコース形態。このためペースが上がりにくい。

 実際に2021年に10頭立て10番人気のギベオンが逃げ切ったように、逃げ馬が大活躍。過去8回で逃げ馬は1着2回、2着3回、3着1回という活躍ぶり。一方、追込馬の3着以内は23年と24年のプログノーシスのみ。逃げ有利、追込苦戦の傾向がはっきりと出ている。

 ただし、逃げ馬が活躍した年は全てややスロー~かなりのスローペース。平均ペースまで上がった昨年は前が崩れて、差し、追込馬のワン、ツーだった。今年は折り合いに課題のある(5)デシエルトの逃げが予想され、平均ペース以上になると見ている。さらに馬場悪化となると、逃げ、先行馬に素直に飛びつけず、本命馬は「差し馬」という結論に至った。

中京11R 金鯱賞 芝2000m
 ◎ (6)クイーンズウォーク
 ○ (2)ホウオウビスケッツ
 ▲ (5)デシエルト
 注 (8)プログノーシス
 △ (3)ライラック
 △ (7)ディープモンスター
 △ (9)ラヴェル
 △ (10)マイネルモーント
結論 馬連6-2,5,8,3,7,9,10 (14:10:10:4:4:4:4) 複勝6 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (6)クイーンズウォーク

 昨秋のローズSの勝ち馬。この時は2番枠からまずまずのスタートを切って、いったん好位の内目を取り、そこからコントロールしながら控えていく形。

 道中ではやや掛かりながら中団内目を進んでいたが、道中でごちゃつき外目に誘導され3角を迎えた。3~4角で徐々に進出し、4角出口でさらに外へ誘導されると、直線序盤でじわじわ伸びて3列目に上がり、ラストはそのまま突き抜けて1馬身半差で完勝した。

 ここでは11番人気の逃げ馬セキトバイーストが3着に粘ったように、前有利の展開。ここで末脚の違いを見せつけたことは価値が高い。

 本番の秋華賞はローズSから一転、セキトバイーストの大逃げでかなりのハイペースとなった。本馬は3番枠からスタート後に大きく躓いて後手を踏み、道中で捲って行く形。3、4角で大外をぶん回したことも影響して最後はもう脚がなく、15着と大失速した。

 秋華賞はひどい騎乗だったが、行きっぷりが悪かったのは休養明けで自己最高指数を記録した後の一戦で、疲れによるものが大きい。

 そこから立て直された前走の小倉牝馬Sは、9番枠からまずまずのスタートを切った。しかしこれが災いして、激流の好位外を進むことになった。結果、ラスト1Fで外差し勢に飲み込まれてしまったが、叩かれての今回は前進が期待できる。

 本馬は成長期の4歳馬。前走で激流に乗って6着に敗れた以上、ここは脚をタメてくるはず。川田将雅騎手が(8)プログノーシスではなく、こちらを選んだことで想定以上に人気だが、ローズS時のように中団から末脚を生かす形なら有力だ。

○ (2)ホウオウビスケッツ

 昨夏の函館記念で初重賞制覇を達成。同レースは12番枠から五分のスタートだったが、二の脚で楽に逃げ馬アウスヴァールの外2番手に取り付いた。1~2角では手綱を抑えてコントロールし、道中は同馬から2馬身半ほど離れた2番手を追走した。

 3角ではアウスヴァールと3馬身差だったが、3~4角で徐々に差を詰めながら外に誘導し、4角で一気に並びかけた。直線序盤で抜け出すと、ラスト1Fで突き抜けて3馬身半差で圧勝した。

 この函館記念は前後半5F59秒6-59秒6の平均ペース。一つ前の巴賞を逃げ切り勝ちした後の一戦から控えたことでやや掛かってはいたが、道中で逃げ馬から離れた単独2番手になったことで折り合いもつき、自己最高指数を記録した。

 また3着アウスヴァールと4着サヴォーナが後にオールカマーで2着、4着と善戦したように、意外とハイレベルな一戦だった。出走馬の近5走では、プログノーシスが優勝した昨年の金鯱賞に次ぐ2番目の指数を記録している。

 本馬はその後の毎日王冠2着、天皇賞(秋)3着。ともにマークが薄く、スローペースで逃げられたことも好走要因ではあるが、逆にペースを落とし過ぎたため、勝ち馬の決め手に屈した面もある。

 前走の中山金杯はスタミナが不足しがちな休養明け。また大外18番枠からやや掛かってハイペースで逃げるクリスマスパレードに絡んでいったため9着に失速。前走は天皇賞(秋)を大目標にした後の一戦でもあり、仕方のない敗戦だった。

 今回は函館記念の時のように平均ペース前後の2番手で行ければ上位争い濃厚も、前走時のようにハイペースになる可能性も視野に入れて対抗評価とした。ただし、ハイペースになっても(5)デシエルトに競って行かなければ、前走のように崩れることはないと見ている。

▲ (5)デシエルト

 近2走の芝で本格化。2走前アンドロメダSは6番枠からまずまずのスタートを切り、押して二の脚で楽にハナを取り切った。そこからはコントロールして折り合い重視で進めていたが、それでも後続と差を広げて3角に入った。

 3角下りではペースを上げて大逃げの形。後続が追い上げてくるものの、4角で仕掛けリードを維持して5馬身差で直線へ。直線序盤でもその差を維持し、ラスト1Fではロードデルレイに差を詰められたが、3馬身半差で圧勝した。

 前走の中日新聞杯は8番枠から五分のスタートを切り、押して内のタマモブラックタイのハナを叩き、内に切れ込んでペースを引き上げた。1~2角で鞍上がペースを落とそうとしたが抑えきれず。向上面では少し掛かりながらペースを引き上げ、やや差を広げて1馬身半差のリードで3角を迎えた。

 3角で少し我慢して3~4角で徐々に差を広げ、4角で促して2馬身半差のリードを保って直線へ。直線序盤で追われてリードを広げ2馬身半差。ラスト1Fで追ってくる各馬を問題とせず、2馬身差で完勝した。

 本馬は3年前のダービーでは、14番枠からかなり押して内の先行馬を制しハナを主張するなど、かなり掛かって暴走したことがある。

 当時と比べるとかなり折り合いに新境を見せている。しかし、テンにもっさりしたところがあり、2走前のようにスムーズにハナへ行けないときは、押して気性にスイッチが入り、ペースを平均以上に引き上げてしまう可能性がある。

 そのため今回、内に同型馬の(2)ホウオウビスケッツがいることが厄介だ。本馬は前走も掛かってハイペースで逃げたことを考えると素直に評価できないが、コントロールしての逃げなら令和のサイレンススズカになれる可能性もある。

注 (8)プログノーシス

 一昨年の札幌記念で今回のメンバーでは断トツのGⅠ勝ち負けレベルの指数を記録。その時は13番枠からやや出遅れてふらつく場面があり、無理せず後方付近からの追走。道中も前3頭が飛ばしてペースは緩みなく流れたが、本馬は向正面で中目を捌いて押し上げ、一気に好位まで進出した。

 3~4角ではそのままの勢いで外に誘導しながら2番手に上がり、馬場の悪化した最内から先に先頭に立ったトップナイフを追撃して1馬身半差ほどで直線へ。直線序盤で同馬に並びかけると、ラスト1Fで抜け出して4馬身差で完勝した。

 一昨年の札幌記念はタフな馬場で逃げ馬が多数出走。そのためオーバーペースとなり、先行馬が総壊滅する展開。またこの週はA→Cコース替わりで最後の直線で外に誘導した馬が猛威を奮っていた。つまり、ここでのプログノーシスは追い込み有利の展開に恵まれただけでなく、完璧なコース取りで自己最高指数を記録した。

 本馬は昨年の本レースも勝利。昨年は4番枠から五分のスタートを切り、コントロールして後方馬群の内目を追走。道中はドゥレッツァをマークしてじわっと押し上げ、中団内目まで進出。3角手前で上手く同馬の内に入り、3角では3列目付近に付けた。

 3~4角では最内を通り、4角出口で中目を狙ったが前が壁。直線序盤で進路を内に切り替えてすっと抜け出し、一気に先頭に立ち2馬身差。ラスト1Fでさらに突き抜け5馬身差で圧勝した。

 昨年は珍しく前が競り合って前半が速い流れ。道中のペースが落ちたタイミングで中団内目まで押し上げ、3~4角でもほぼロスなく立ち回り、直線序盤も上手く捌いていた。ここでは末脚の違いを見せつけたが、いわゆる神騎乗でもあった。

 前走の有馬記念は超絶スローペースで前有利の展開。出遅れは想定内としても、道中でポジションを上げなかったことで、生涯で初めて掲示板に載ることが出来なかった。

 今回は前走より相手緩和もどうしても後方からになるだけに、展開と押し上げのタイミングに大きく左右される。2022年の中日新聞杯(中京芝2000m)で最後方から届かず4着に敗れたことを忘れてはいけない。

△ (3)ライラック

 2022年のエリザベス女王杯2着馬。同レースでは15番枠から出遅れ。軽く促して中団で進めていたが、狭くなったこともあり、控えて後方待機策を選択。道中は後方2番手の外目で進めて、3角ではジェラルディーナを徹底マーク。

 4角で同馬が仕掛けると、それを追い駆けて中団外まで上がり、直線序盤でしぶとく伸びて2列目付近。最後までジェラルディーナとの差は詰められなかったが、ラスト1Fで先頭に立ったウインマリリンに並びかけての同着だった。

 このエリザベス女王杯は「重」で外差し有利の馬場。ペースも速く展開に恵まれての勝利だった。しかし、時計の掛かる馬場で展開に恵まれれば、それくらい走れる馬である。

 近2走のエリザベス女王杯やAJCCでも、展開に恵まれたとはいえないなかで、中団やや後方を立ち回って6着、5着に善戦。想定よりも上がりが掛かるようであれば、内差し一発がありそうだ。

△ (7)ディープモンスター

 稍重で行われた2023年のアンドロメダSの勝ち馬。同レースでは大外16番枠から好スタートを決め、馬なりで好位直後の外まで進出。道中は前に壁が作れず、かなり掛かっていたが、向上面で中団馬群の中目に入れる折り合いがついて3角を迎える。

 3~4角では中目を通し、4角で外からテーオーソラネルが上がってくると、同馬を行かせて同馬を行かせてその後ろから直線へ。直線序盤で追いながら同馬の外へ誘導すると、じわじわ伸び始め、ラスト1Fで一気に伸びて1馬身半差で勝利した。

 このアンドロメダSは前後半5F59秒4-59秒8の平均ペース。外枠が響いて折り合いを欠いていたが、この日はタフな馬場で差し馬天国だったこともあって、自己最高指数を記録した。

 本馬は重賞をまだ勝っていないが、昨年は小倉大賞典で3着、チャレンジCで2着に善戦。2走前のチャレンジCでは、(9)ラヴェルには完敗だったが、3~4角で好位列が凝縮する中で、後方から中団の外目のスペースを拾って押し上げ、ラスト1Fでラヴェルと4馬身ほどあった差を、1馬身3/4差まで詰めてきた。

 2走前はラヴェルが早め先頭に立ってやや甘くなったところがあったが、ラヴェルが休養明けの一戦であることを考えると、対ラベルに対しては逆転の可能性もある。また本馬はそこまで“キレる”タイプではないので、時計が掛かる馬場でより良いタイプだ。

△ (9)ラヴェル

 デビュー2戦目のアルテミスSは後方から3~4角でリバティアイランドに蓋をしながら先に動き、同馬を完封した素質馬。古馬になってからはスランプだったが、2走前のエリザベス女王杯で2着。前走チャレンジCで重賞2勝目を挙げ、完全復活を遂げた。

 前走は9番枠から出遅れて外に誘導。しかし、外に出し切るのが難しく、中団中目のスペースを軽く促して拾う形。道中も(10)マイネルモーントの後ろの中団中目を走り、3角手前で同馬の内から押し上げ3角を迎えた。

 3~4角では好位の中目のスペースを拾い、4角でセイウンハーデスの後ろから2列目まで押し上げ直線で外に誘導。直線序盤で追われるとすっと抜け出して1馬身差。ラスト1Fで△(7)ディープモンスターらに迫られたが、問題とせず1馬身3/4差で完勝した。

 前走は前後半5F58秒4-59秒8と緩みなく流れたが、出遅れを挽回して中団までポジションを上げ、早め先頭に立っての勝利ととても強い内容だった。ただ近2走は2歳時のように前半で位置を取りに行かなくなったことが好走に繋がった面がある。

 スランプ期とは言え、一昨年の秋華賞では先行して11着に崩れている。また昨年3月の中山牝馬Sでも序盤で好位直後の外まで上がって11着に敗れた。また前記の2戦は稍重でスローペースを意識して動いたものだった。

 本レースは前有利な傾向があり、ペースが遅ければ前半から位置を取りに行く可能性もある。また今回は前走で自己最高指数を記録した後に楽をさせての始動戦。叩き台の印象が強いが、末脚に特化させる形なら通用していい。

△ (10)マイネルモーント

 今年の中山金杯2着馬。同レースは7番枠から出遅れて後方からの追走となったが、促して中目のスペースを拾って挽回。道中はパラレルヴィジョンを見ながら中団やや後方の内目を進んだ。

 3~4角で内目から中目のスペースを拾っていったが、4角でパラレルヴィジョンが外を選択すると、同馬の内を追走していたアルナシームが前に入ってきた。直線序盤で同馬の後ろから追われ、しぶとく伸びて3列目に上がり、ラスト1Fでアルナシームとの差はやや詰めたが、1馬身1/4差で2着までだった。

 中山金杯では○(2)ホウオウビスケッツに先着しているが、この時は同馬が外からクリスマスパレードに絡んで行ったことでペースが速くなり、差し馬に有利な展開だった。また4角で手応え抜群だったアルナシームの後ろを取ったことで、直線の進路取りに苦労せず、スムーズに着順を上げることができた。

 前走の白富士Sでは前半は逃げていたが、向正面で内からシュトラウスがハナを主張すると、スムーズに2番手に控え、3角で被され3列目の最内に下がっても、何の問題もなく最短距離を通って2着に善戦。このように本馬は操縦性が抜群で自在性があり、幅広い展開に対応できる強みがある。ただ今回は相手が強化される点が不安だ。

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■道悪の消耗戦は、前走で苦しい競馬をしている馬が有利

 スプリングSの過去10年では重馬場で行われたことが2021年と23年の2回。前記の2回は21年が平均ペース、23年がかなりのハイペースだったが、ともに上がり4F49秒5、3F37秒0~37秒2も要しており、今年もそれくらい掛かることが予想される。

 21年、23年ともに差し馬が勝利しているが、かなりのハイペースとなった23年は前走で1~2番手でレースを進めていた馬か、1着、2着、4着、5着とあわや掲示板を独占かという結果だったことを忘れてはいけない。

 今回は何が何でも逃げたい馬は不在だが、(1)ダノンセンチュリー、(4)ニホンピロデヴィン、(6)ジェットマグナム、(7)キングスコールと先行馬多数の組み合わせ。本番を見据えて控えたい馬もいるにせよ、馬場悪化の影響もあり、ハイペースになると見ている。

中山11R スプリングS 芝2000m
 ◎ (6)ジェットマグナム
 ○ (3)クモヒトツナイ
 ▲ (9)ピコチャンブラック
 △ (1)ダノンセンチュリー
 △ (7)キングスコール
 △ (8)マテンロウバローズ
 △ (10)フクノブルーレイク
結論 馬連6-3,9,1,7,8,10 (10:10:10:10:5:5) 複勝6 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (6)ジェットマグナム

 デビュー2戦目のコスモス賞では心房細動で1番人気を裏切り、大差の最下位に敗れたが、3走前の芙蓉Sではそこから巻き返しV。ここでは2番枠からまずまずのスタートを切り、軽く押してハナに立ったが、外からモルティフレーバーがハナを主張すると、同馬を行かせて外に誘導。道中のペースは遅かったが、先頭に立たないように手綱を抑え、2番手の外で折り合わせて進めた。

 3~4角でペースが上がっていく中で、コントロールしながらモルティフレーバーに並びかけ、直線序盤で追い出しを待ちながらも先頭。ラスト1Fで追われるとしぶとく伸び、後続の追撃を余裕を持って振り切り3/4差で勝利した。

 3走前は前後半5F61秒9-60秒7のスローペースで前有利の流れ。本馬は展開に恵まれての勝利だったが、ゲートも二の脚も良く、折り合いもついており、レース巧者ぶりが窺える内容だった。

 2走前にホープフルSはスタミナが不足する休養明けで7着敗退。ここでは2番枠から好スタートを決めて、やや掛かりながら2番手で進めていたが、向上面でファウストラーゼンに捲られて先行勢には苦しい展開。それでも先行馬で最先着した点は評価できる。

 前走のきさらぎ賞は逃げ馬不在。1番枠から五分のスタートだったが、前走から一転してかなりのハイペースで逃げてブービー9着に失速した。このレースの最下位馬は2番手を追走したウォーターガーベラだが、同馬は次走のチューリップ賞でハナ2着に巻き返している。

 つまり、きさらぎ賞はそれだけペースが厳しかったということ。本日の悪化した馬場に対応するためには、前走で苦しい競馬をしている点はプラス。個人的にはチューリップ賞の時に、当初はウォーターガーベラに本命◎の予定を、対抗○評価にしてしまった無念を晴らしたい気持ち。

 チューリップ賞の時に思ったのは、2~3歳重賞がインフレ気味に行われていることで、前哨戦でメンバーが揃わなくなっていることだ。本場も相手がそこまで手強くないので、キャリアの浅い馬の上昇力に食われなければやれるだろう。

○ (3)クモヒトツナイ

 1勝目を挙げるのに5戦を要したが、初勝利の前走がなかなか好内容だった馬。前走では3番枠から好スタートを決めて、軽く促していたが、外から(11)スナ―クピカソがハナを主張すると、コントロールして同馬を行かせ、2列目の最内を追走。道中のペースは遅くはないが、やや掛かって前にスペースを作り切れずに3角を迎えた。

 3~4角では当然包まれて、直線序盤で前が壁。外に誘導しようにも外からヴォラヴィアに蓋をされており、進路がない状態。ラスト1F手前でこじ開けると、ラスト1Fで一気に突き抜けて1馬身1/4差で勝利した。

 前走は平均ペース。直線序盤で進路がなく、脚が溜まったにせよ、ラスト1F最速を記録しての勝利だった。前走でタフな馬場を経験したことはここへ向けてプラスだ。

 タフな馬場の消耗戦で好走すると、次走に繋がらないこともあるが、前走はラスト1Fで加速しているように、余力があったはず。また2着だったスナ―クピカソが次走で未勝利戦を勝利し、ここに出走してきていることからも、本場もここで前進のパターンに期待する。

▲ (9)ピコチャンブラック

 2走前のアイビーSの2着馬。2走前は7番枠から五分のスタートを切り、二の脚ですっとハナを狙ったが、外からやや掛かったシルバーレインがハナを主張したので、同馬を行かせて2番手で進める。道中ではシルバーレインとの差を3馬身ほど作って3角を迎えた。

 3角では5馬身ほど離れていたが、最短距離から速めに追いかけて2馬身差で直線へ。直線序盤で追われてじわじわ伸び、ラスト2Fで同馬の外に誘導して先頭列まで上がったが、ラスト1Fでは内からマスカレードボールに抜け出され、1馬身半差で完敗した。

 ここではマスカレードボールに3番手でマークされたことで道中でペースを落とし、シルバーレインの単騎逃げを許す形になった。しかし、ラスト1Fで甘さを見せてしまった以上、道中で控えたことは正解で、マスカレードボールが強かった(次々走で共同通信杯勝ち)。

 前走のホープフルSは外枠で壁が作れずかなり掛かり、スムーズさを欠いて最後も追わずの13着大敗。ここはハイペースが予想されるだけに、折り合っての巻き返しを警戒する。

2025年 フジノウェーブ記念の予想

■1400mでまさかの逃げ馬不在

 1400mでまさかの逃げ馬不在。テンが速いのはデュアリストだが、本馬は昨年5月のかきつばた記念(名古屋1500m)で逃げて5着に失速。以降は1200m以下を使われていることから、距離延長を懸念して逃げない可能性もある。

 正直、何が逃げるのかわからないが、実績馬は自ら勝ちに行かなければならないリスクを背負っており、人気を裏切る危険性もある。ここは自在性のある馬を本命馬とした。

 この状況を見ると、この路線で常にレースメイクをしてくれたエンテレケイアに頭が下がる思いだ。

大井11R フジノウェーブ記念 ダ1400m
 ◎ (5)ティントレット
 ○ (11)アウストロ
 ▲ (2)マックス
 注 (7)イグザルト
 △ (1)ギャルダル
 △ (6)デュアリスト
 △ (3)カールスバート
 △ (4)マザオ
結論 馬複5-11,2,7,1,6,3,4 (14:14:10:4:4:2:2) 複勝5 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (5)ティントレット

 2走前の北海道スプリントCで3着。ここでは3番枠から出遅れ、後方2番手を追走。道中で後方馬群の後ろに追いつくと、3~4角の中目から徐々に位置を上げ、4角出口で外に誘導。直線序盤でしぶとく伸びて中団に上がり、ラスト1Fでチカッパには離されたが、早め先頭に立ったエートラックスとの差はじわじわ詰めて3着に健闘した。

 2走前は前後3F35秒1-37秒5のかなりのハイペースで展開に恵まれて3着。そこから楽をさせた後の始動戦となった前走のウインタースプリントでは5着敗退。しかし、前走は前後半3F35秒0-37秒4のハイペースを先行して甘くなったもの。

 前走で厳しい流れを経験したことでスタミナが強化され、ここで前進が見込める。キャリアの浅い4歳馬だけに成長力も見込め、斤量が54Kgと軽い点も好ましい。2走前に差し形も収得し、幅広い展開に対応できる点も好ましく、本馬に推す。

○ (11)アウストロ

 2023年秋の復帰戦で馬体重24Kg増の成長した姿を見せると、そこから10戦8勝2着2回と躍進した馬。5、6走前に負けた相手もその後の南関重賞で3勝のエンテレケイアと今週の京成盃グランドマイラーズで2着のムエックス(今年1月の川崎マイラーズでは5馬身差の圧勝)だ。

 昨年12月のゴールドCでは、6走前に敗れたエンテレケイアを撃破。ここでは4番枠から五分のスタートを切り、押して先行策。1角手前で外に誘導して、道中は好位の外でスマイルウィをマークしながら進めた。

 3~4角で3頭分外からスマイルウをマークして押し上げ、2列目付近まで上がったが、4角でやや置かれて3列目で直線へ。そこからしぶとく伸び続けて、ゴール寸前で逃げ粘るエンテレケイアを差し切ってクビ差で勝利した。

 エンテレケイアは昨年のS1・習志野きらっとスプリントで逃げて6馬身差で圧勝したように、1000mがベストの快速馬。またここはスマイルウィが本来の能力を発揮できなかったが、アウストロは現状、1400m路線ではトップクラスの存在と言える。

 ただし、今回は逃げ馬不在で斤量58Kg。ゴールドC時のスマイルウィのように、勝ちに行って終いが甘くなる危険性も考慮し、対抗評価とした。

▲ (2)マックス

 3走前の東京盃で2着。ここでは3番枠からまずまずのスタートを切り、押して2列目の最内を追走。道中は先頭のエンテレケイアに離されないように進めて、3~4角でもペースが落ちていない中でキックバックを受けながら食らいついていく。

 直線序盤でエンテレケイアの外に誘導して進路が開くと、ラスト1Fで外のシャマルを制して内から先頭に立ったが、外からチカッパに差されて半馬身差だった。

 3走前にはJBCの前哨戦Weekを前に砂厚が10cm→9㎝に変更され、内有利の馬場だったが、それを考慮しても前後半3F34秒4-37秒6のかなりのハイペースを勝ちに行って2着に粘ったことは評価できる。

 2走前のJBCスプリントは、5番枠からやや出遅れて中団馬群の内目を追走していたが、3角で2列目に上がって外に出すタイミングがなく、最後の直線ではさらに砂厚が深く、伸びない内を通して6着敗退。行きっぷりが悪かったので、前走の兵庫GTでは無印にしたが、やはり調子が悪かったようで9着に大敗した。

 今回は前走から休ませ、立て直されての一戦。1200mがベストのタイプだが、1400mでも中央所属時を含めて4勝の実績があり、この距離が全くダメというわけではない。2番枠を利して上手く内目を立ち回れれば、上位争いに加わるチャンスはある。

2025年 弥生賞・大阪城Sの予想

■狙いは“真ん中か、そのやや後ろ”

 過去10年の弥生賞でややハイペースになったのは、逃げ馬が大逃げを打ってマカヒキの後方一気が決まった2016年のみ。反対にかなりのスローペースが5回ある。

 昨年の勝ち馬コスモキュランダのように、向正面でマクって一発を狙う馬が出現して平均ペースまで上がる年もあるが、基本的にはトライアルらしくスローペースの傾向だ。

 脚質別成績では差し馬が6勝。それらの大半は末脚の違いを見せつけた馬たち。2、3着馬を見ると先行馬も台頭してくるが、ここも中団あたりの馬が良く、真ん中かそれよりやや後ろから末脚を発揮する馬が活躍している。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

中山11R 弥生賞 芝1800m
 ◎ (6)ジュタ
 ○ (7)アロヒアリイ
 ▲ (12)クラウディアイ
 △ (2)ナグルファル
 △ (11)ミュージアムマイル
 △ (8)ファウストラーゼン
 △ (9)アスクシュタイン
結論 馬連6-7,12,2,11,8,9 (10:10:10:10:5:5) 複勝6 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (6)ジュタ

 デビュー2戦目のホープフルSで4着に善戦。ここでは16番枠からやや出遅れ、内の馬との接触もあったが、立て直してコントロールしながら好位の外まで挽回。道中は極端なスローで、向上面では好位の中目で包まれた状況でコントロールしていたが、外からファウストラーゼンがマクったことで中団に下がって3角を迎えた。

 3角では外から押し上げてクロワデュノールをマークしたが、4角では同馬に置かれてしまう。それでも好位列を維持し、直線序盤で追われてしぶとく伸びたがまだ3列目。ラスト1Fでもじわじわ伸びて4着を死守した。

 前後半5F61秒4-59秒1のかなりのスローペースを考えると、向上面のポジションダウンは痛手。そのぶん3角から仕掛けていけなければならなくなったが、最後までしぶとさを見せられていた。

 続く前走では若駒Sを勝利。ここでは9番枠から五分のスタートを切り、じわっと先行して好位の外を追走。向正面で外からミッキーゴールドがマクって一気にペースが上がったが、ワンテンポ待って同馬を追いかけ、4番手で3角を迎える。

 3~4角でペースダウンすると中目から進出。しかし、4角で被されたため内へ。すると直線序盤は前3頭が壁になり、仕掛けを待たされてしまう。それでも中目を捌いて一気に抜け出すとラスト1Fで外のミッキーゴールドとの叩き合いを半馬身差で振り切った。

 前走はラスト1Fで甘くなった。これは向正面半ばでマクリが発生したことで一気にペースアップし、ラスト2Fで先頭と早めに仕掛けた影響もあったとみている。

 本馬はデビューから上昇一途。G1好走後は、先週のチューリップ賞のビップデイジーのように、取りこぼすのが常道だが、前走でしっかり結果を出したことに好感が持てる。折り合い面に問題がなく、もう一列下げれば最後の甘さも解消されるだろう。今回の本命馬だ。

○ (7)アロヒアリイ

 キャリア2戦1勝、同舞台の1勝クラス戦2着からの臨戦となる。東京芝2000mの新馬戦では1番枠から出遅れを挽回し、好位の中目からラスト1Fで後続に2馬身半差をつける完勝。その新馬戦の内容が評価され、前走は断然の1番人気(単勝1.6倍)に支持されたが2着に敗れた。

 前走は11番枠から出遅れ、促して中団の外目まで挽回。道中は前2頭が競り合ってハイペースになったが、本馬は離れた中団でサトノラポールをマークする形で進めた。

 3~4角で前が苦しくなり、一気にペースダウン。ここで中団中目から押して2列目付近まで上がったが、前のサトノラポールもやや減速したことで前が壁に。4角で外に誘導しようにもゴーソーファーにフタをされて動けず、ブレーキをかけながら4角出口でようやく外に誘導した。

 直線序盤では3列目に上がり、ラスト1Fで前は捉えたが、4角で勢いに乗せて前に出られたゴーソーファーとの差を詰め切ることはできず。3/4馬身差で敗れた。

 ブレーキしてからトップスピードに乗せるには、時間が掛かるもの。スピードに乗せえている間にゴーソーファーに前に出られた形だった。ゴーソーファーと立場が逆なら、本馬が勝っていた可能性も十分あった。ここでの巻き返しに期待したい。

▲ (12)クラウディアイ

 デビュー2戦目、休養明けの京都2歳Sで3着と好走。ここでは5番枠から五分のスタートを切り、好位の中目を追走していたが、1角の入口で狭くなり、後方に下がった。道中は中団やや後方で折り合って進めた。

 3~4角ではエリキングをマークしていたが、4角で同馬が動かず、その外を狙おうとしたところで外からジョバンニにフタをされてしまう。そこでは仕掛けを我慢し、直線序盤で追われて馬群を割って伸びると2列目に上がった。

 ラスト1Fでも踏ん張っていたが、外のエリキングとジョバンニの2頭には突き抜けられ、2列後ろの3着までだった。

しかし、序盤の不利を挽回して3着に善戦したことは評価できる。また、2着馬ジョバンニは次走ホープフルSでも2着と健闘したように、ハイレベル戦でもあった。

 本馬も前走はホープフルSで5着。ここでは休養明け好走の反動で指数を下げた。それでも捲って3着の(8)ファウストラーゼンと2馬身半差、4着◎(6)ジュタとは1馬身半差と大崩れしなかったところに成長を感じる。ここで一発あっても不思議なく、侮れない一頭だ。

△ (2)ナグルファル

 2戦2勝馬。前走のエリカ賞では2番枠からトップスタートを決めたが、外のイガッチを行かせてその外2番手に。3角手前の上り坂でペースが緩んだが、しっかりと折り合って1馬身3/4差ほど離れた位置で我慢した。

 3~4角でも仕掛けを待ち、4角でペースが一気に上がったところで追われて先頭に並びかける。序盤ですっと伸びて抜け出し、1馬身ほど前に出ると、ラスト1Fでそのまま突き抜けて4馬身差で圧勝した。

 本馬は前走と同舞台の新馬戦でハナへ行きたがっていたが、前走ではかなりのスローペースをしっかり折り合って勝利。折り合いに進境を見せたことが圧勝につながった。

 前走は指数も大幅に上昇させ、(11)ミュージアムマイルの前走(朝日杯FS2着時)に次ぐ指数を記録。今回はそこから休養させて成長を促しての一戦になる。

 このメンバーでも実力上位だが、完成度の高い馬で大きな成長は期待しにくい。前走からいくらかでも成長していればチャンスがあるか、という評価になる。

△ (11)ミュージアムマイル

 昨年12月、京都芝1600mで行われた朝日杯FSで2着と好走。同レースでは4番枠から出遅れ、後方2番手からの追走となったが、内目のスペースを拾って一気に押し上げて3角は好位の最内につける。

 4角は2列目内のスペースを拾って直線で外に誘導。序盤で3番手から2番手に上がったが、アドマイヤズームには突き離され、ラスト1Fで食らいつくも2馬身半差で完敗した。

 前走は前後半4F48秒0-46秒1とマイル戦としてはペースが遅く、馬群が凝縮して横に広がっていったことで内のスペースが空いた。そこで位置取りを挽回できたことが好走につながった面もあるが、出遅れを一気に挽回しても最後までバテなかったのは地力があればこそ。後半ラスト2Fでアドマイヤズームに離されたのはトップスピードの差だろう。

 出遅れ癖がありキレないタイプなので、距離が長くなるのは間違いなくいいはず。今回は始動戦で目標はこの先だが、2走前の黄菊賞(京都芝2000m)のように中団くらいで運んで3~4角から仕掛けていければ、上位争いに加われる可能性は高い。

△ (8)ファウストラーゼン

 昨年暮れのホープフルSでは17番人気を覆しての3着。今回のメンバーでは最先着だ。

 前走は11番枠からやや出遅れ、押して追走したが内と外から挟まれて最後方の外へ。接触したこともあって馬自身がひどく掛かり、コントロールに苦労して1角を迎えた。

 向正面に入ると大外に誘導、一気にマクって先頭のジュンアサヒソラに並びかけて3角へ。3~4角もそのままの勢いでコーナーを回り、4角でジュンアサヒソラにプレッシャーをかけ、4角ではしっかり先頭を取り切った。

 直線序盤はしぶとく踏ん張っていたが、外のクロワデュノールに並ばれるとラスト1Fでは甘くなり、最後はジョバンニにもかわされて3着だった。

 前走は折り合いを欠いて無理なマクりのようにも見えたが、向正面で手が動いており、レース後のコメントからも最序盤の不利で最後方に下がってからの騎乗は意図的だったようだ。

 向正面でペースが落ちたところで上手くマクれたことと、ブリンカー着用でレースに集中できるようになったのが好走の要因だろう。デビューからの2戦はレースでフラつくところもあったが、前走ではそれが解消されていた。

 ただし、前走は消耗度の高いレースになっており、ここは余力面で不安が残る。そのぶん、割り引いた。

△ (9)アスクシュタイン

 デビュー2戦目のコスモス賞を圧勝した馬。そのコスモス賞では1番枠からトップスタートを決めてすんなりハナへ。1角で外に逃げようとして外に張ったが、2番手以下を離して逃げた。

 3~4角で後続が懸命に手を動かしながら迫ってきたが、本馬は4角でもまだ持ったまま。直線序盤で追われると、後続に3馬身半ほど差を広げ、ラスト1Fではもう独走。結果は7馬身差の圧勝だった。

 2歳OPクラスでこの着差の勝利は相当な指数を記録したと思ったが、計算すると指数は特に優秀なわけではなく、他馬が全く走らなかったことによる独走劇だったようだ。

 本馬は函館芝1800mの新馬戦でも逃げ切り勝ちしているように、逃げてこそ。トップスピードで見劣るタイプだけに、コスモス賞のように飛ばして逃げるのがベストだ。

 2走前の札幌2歳Sは、逃げたが相手が強くてリードを奪い切れず、後続にプレッシャーをかけられて苦しくなったもの。また前走のホープフルSは出遅れが全てと言っていい。休養中に成長し、ここでゲートを決めたならば逃げて上位食い込みがあっても不思議ない。
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阪神11R 大阪城S 芝1800m
 ◎ (4)ウエストナウ
 ○ (7)トーセンリョウ
 ▲ (5)グラティアス
 △ (9)オールナット
 △ (12)デビットバローズ
 △ (13)サンストックトン
 △ (3)ラインベック
 △ (1)バレエマスター
結論 馬連4-7,5,9,12,13,3,1 (15:10:8:8:5:3:1) 複勝4 (50)

■逃げ馬不在も2列目候補は多数

 昨年の大阪城Sで逃げて3着に粘った(10)ショウナンマグマはすっかり折り合い重視で前に行かなくなっており、逃げ馬不在。(3)ラインベックがハナを主張できる組み合わせだが、同馬は前走から2Fの距離延長になるので控える可能性もある。そうなると意欲の連闘策で前走で芝1800mを経験している(5)グラティアスが逃げることになりそうだ。

 ここは逃げ馬不在だが、2列目候補は多数の組み合わせ。極端なスローはないにせよ、平均よりのスローペースにはなるだろう。先行馬が有利と見て予想した。

■有力馬と評価ポイント

◎ (4)ウエストナウ

 デビュー2戦目の京都新聞杯で2着に健闘した素質馬。この京都新聞杯では5番枠からまずまずのスタートを切り、押してハナを主張し、取り切る。1角手前で自ら外に膨れるロスがあったが、そこからはコントロールして進め、向正面では顕著にペースを落とし、団子状態に。

 3角の下りでじわっと仕掛けてペースを引き上げ、4角で外から2列目勢が並びかけると、一気に仕掛けて先頭を維持して直線へ。序盤でしぶとく踏ん張ってクビ差のリードを維持していたが、ラスト1Fで最内から捌いて上がったジューンテイクに差されてクビ差で敗れた。

 このように本馬は前に行って揉まれない競馬をしてこそのタイプ。神戸新聞杯では前に行けず、4角出口で進路が狭くなってブレーキで立て直す場面もあって11着敗退。菊花賞では距離も長くて11着に大敗した。

 しかし、前走の飛鳥Sでは2走前に芝1600m戦を使った効果で行きっぷりが一変。4番枠から五分のスタートだったが、押して二の脚で2番手を追走。道中は極端なスローだったが、ブリンカー効果で我慢が利いており、逃げ馬と3/4差で3角を迎える。

 3~4角では逃げ馬にプレッシャーをかけながら押し上げて、先頭列で直線へ。序盤で抜け出してリードは1馬身半ほど。ラスト1Fでも本馬をマークして上がったミスターシーティーに食らいつかれたが、差を詰めさせずに1馬身半で勝利した。

 前走は2番手から勝ちに行く競馬で、メンバー最速の上がり3Fを記録。京都新聞杯で上位のジューンテイク(その後の神戸新聞杯・2着)、ヴェローチェエラ(その後、3連勝で日経新春杯・4着)、アドマイヤテラ(後の菊花賞3着)等にはすっかり遅れを取ってしまったが、ここで遅れを取り戻してくれることを期待する。

○ (7)トーセンリョウ

 2走前にハイレベルな中日新聞杯で4着に健闘した馬。2走前は5番枠から五分のスタートを切り、無理をさせずに中団やや後方の最内を追走。道中も中団最内で前のマテンロウレオとのスペースを置いて進めた。

 3角手前で横の馬に前に入られまいと追っつけると、3角下りでマテンロウレオとのスペースを詰めてしまってそこから進路がない状態。4角でマテンロウレオの最内をこじ開けながら中団で直線へ。

 結局進路を作り切れず、序盤でマテンロウレオの後ろへ戻して外へ誘導。ラスト1Fを過ぎても進路を作れずに中目でまごついていたが、最後に2着争いまで突っ込んだが、アタマ+アタマ差の4着までだった。

 2走前はデシエルトが逃げてハイペース。ここでは本馬の前で進めていたマテンロウレオが3着だったように、イン差し有利の展開。マテンロウレオの後ろをそのまま通し切っていれば、決め手の差でもっと上の着順が狙えた可能性のあった内容だった。

 本馬は東京2000mで前後半5F62秒8-57秒7の極端なスローペースとなった3走前の甲斐路Sで中団外からじわじわ伸びてマイネルエンペラー(その後の日経新春杯・3着)を撃破して勝利しているように、スローでもやれる馬。

 前走の白富士Sは2走前に自己最高指数を記録した後の楽をさせた一戦で体も太く、末脚が不発したが、ここでの巻き返しを期待する。

▲ (5)グラティアス

 2023年10月のポートアイランドSでは、エアファンディタ(昨年のチャレンジC・3着)を撃破し、ドーブネ(昨年の中山記念・2着)に3/4差まで迫った実績がある馬。

 そのポートアイランドSでは、5番枠からまずまずのスタートを切り、押して外のワールドリバイバルと先行争い。最終的にはワールドリバイバルを行かせ、内のサブライムアンセムがひとく折り合いを欠いていたので控えて好位の外を追走。道中も好位の外からドーブネをマークして進めた。

 3~4角で押し上げて2列目の外から直線へ。序盤でドーブネの外に誘導してしぶとく伸び、先頭の同馬と3/4差。ラスト1Fでもしぶとく食らいついたが、ドーブネの差は詰まらず3/4差で敗れた。

 本馬は本質的にマイルは忙しいが、このポートアイランドSは稍重で時計が掛かっていたことで結果を出した。

 近2走は中距離路線を使われ崩れているが、前走の中山記念は超高速馬場の時計勝負に泣く形。能力を出し切っての敗戦ではないので、時計の掛かる阪神芝1800m戦のこの舞台で期待してみたい。前走は外枠から楽に2番手に行けたこともここへ向けては好材料だ。

△ (9)オールナット

 2走前の嵯峨野Sでは、次走で斑鳩S(3勝クラス)勝ちのタガノエルピーダを撃破して勝利した馬。2走前は2番枠からまずまずのスタートを切り、内から押してハナを主張したシュタールヴィントを行かせて2列目の最内を追走。道中はかなりのスロー。シュタールヴィントとのスペースを作って進めた。

 3~4角で前のスペースを潰して4角出口で仕掛け、直線序盤で前2頭の外に誘導。2頭に食らいついて、ラスト1Fですっと抜け出し、半馬身差で勝利した。

 前走は京都芝1800mで前後半5F47秒9-45秒5の極端なスローペースで2列目から最内をロスなく立ち回れたことが好走要因。前走の東京新聞杯は芝1600mで追走がやや忙しく、9着に敗退したが、ここもややスローが濃厚の組み合わせ。先行策でレースの流れに乗れれば通用していいはずだ。

△ (12)デビットバローズ

 昨年の大阪城Sの2着馬。この大阪城Sでは9番枠から好スタートを切り、列目の外を追走。中目からハナを主張したショウナンマグマに内と外から抵抗する馬がいて序盤のペースが速くなり、ここで3列目に下げた。

 道中はペースが落ち着き、4番手で3角に入ると、3~4角で再び2列目付近まで位置を上げて直線へ。序盤でしぶとく伸びて先頭列に並びかけ、ラスト1Fで抜け出したステラヴェローチェにアタマ差まで迫った。ここでは3着馬に2馬身差を付けており、ハンデ重賞なら通用レベルの指数を記録した。

 本馬はその後の新潟大賞典では4着、巴賞でも2着に善戦。2走前の函館記念は巴賞好走後の中1週が応えたようで本来の走りではなかったが、立て直された長期休養明けの前走、洛陽Sではハナ差2着に善戦。前走は去勢効果で好位の中目で揉まれる競馬でも対応できていた。今回は長期休養明け2戦目となるだけに、反動が出る危険性もあるが、スムーズに前進すれば通用の余地がある。