2025年 桜花賞の予想

■重馬場でスピード色の強い馬が活躍

 昨日の浦和は馬場コンディション不良で開催中止。本日は重馬場でスピード色の強い逃げ、先行馬が活躍。(9)ツウエンティフォー、(11)リヴェルベロ、(1)ホーリーグレイルなど、逃げ馬や2番手候補が揃った中でハナ必須のツウエンティフォーが逃げるとなると、ペースは上がりそうだが、それでもスピード色の強い先行馬に期待したい。

浦和11R 桜花賞 ダ1600m
 ◎ (6)エイシンマジョカ
 ○ (7)プラウドフレール
 ▲ (3)ウィルシャイン
 注 (5)フリーダム
 △ (1)ホーリーグレイル
 △ (10)ゼロアワー
 △ (8)エスカティア
結論 馬連6-7,3,5,1,10,8 (14:14:8:6:6:2) 複勝6 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (6)エイシンマジョカ

 デビュー当初は門別1000m~1200mで逃げ、先行してそれなりには走れていたが、「差し」を覚えてさらに上昇。秋のネクストスター門別3着、エーデルワイス賞2着と人気以上の走りを見せた。

 2走前のエーデルワイス賞では5番枠からやや出遅れたが、促して中団やや後方内目を追走。道中はハーフブルーの大逃げで縦長の展開になったが、じわっと挽回して中団内目から3角手前で最内に誘導。

 3~4角で押し上げ開始し、好位に上がって直線へ。序盤で馬群を捌きながら外に誘導して4番手に上がる。ラスト1Fでバテた2頭をかわしてミリアッドラヴに迫ったが2馬身半差の2着までだった。

 2走前は前後半3F34秒5-38秒6のかなりのハイペース。差し馬に有利な展開だったが、3~4角の最内から押し上げ、メンバー断トツの上がり3Fタイムを記録したことは評価できる。また、このレースの勝ち馬ミリアッドラヴは次走の全日本2歳優駿の勝ち馬でもあるだけに、2馬身半差でも仕方ない。

 本馬はこれだけの実績がありながらも前走の東京2歳優駿牝馬では距離が不安視されたのか(?)、4番人気と案外と人気がなかったが、3着に善戦。前走は内有利の馬場で前後半4F49秒6-52秒9のかなりのハイペースの好位の外を追走し、4角で前のエスカティアが外に膨れたアオりを受けながらも、最後まで踏ん張れていた。

 今回はそこからの始動戦になるが、前走では最後の直線で甘さを見せていたことから、前走よりも馬場が軽く、距離が短くなる点が好ましい。それでありながらまた今回も6番人気と案外と人気がないので期待する。

○ (7)プラウドフレール

 暮れの東京2歳優駿牝馬とこのレースの前哨戦、ユングフラウ賞を連勝。前走となるユングフラウ賞えは、大外12番枠から五分のスタートを切り、押して好位の外を追走。道中も緩みない流れを好位の外で進め、3~4角の3頭分外から一気に押し上げて4角でもう先頭。直線では(9)ツウエンティフォーとの差をじわじわ広げたが、最後に(10)ゼロアワーに迫られ、1馬身半差で勝利した。

 前走は前後半3F36秒9-37秒7。けっしてペースが速くなかったが、3~4角の外から一気に動いたこともあって最後にゼロアワーに迫られた。それでも東京2歳優駿牝馬とユングフラウ賞ともににゼロアワーを撃破したことは評価できる。

2025年 金鯱賞&スプリングSの予想

■逃げ馬有利の舞台もペースが鍵

 2016年まで12月上旬に開催されていたが、17年に3月の中京開幕週に移行(20年除く)。21年は重馬場で行われるなど、雨に見舞われることも多く、本日も朝の時点で重馬場だ。

 この開催は最終日に高松宮記念が行われるため、芝の悪化した箇所は広範囲にわたって張り替えられており、完全な良馬場なら高速馬場となる。そのうえ中京芝2000mは、ゴール手前の急勾配の途中からスタートして、向正面半ばまで坂を上っていくコース形態。このためペースが上がりにくい。

 実際に2021年に10頭立て10番人気のギベオンが逃げ切ったように、逃げ馬が大活躍。過去8回で逃げ馬は1着2回、2着3回、3着1回という活躍ぶり。一方、追込馬の3着以内は23年と24年のプログノーシスのみ。逃げ有利、追込苦戦の傾向がはっきりと出ている。

 ただし、逃げ馬が活躍した年は全てややスロー~かなりのスローペース。平均ペースまで上がった昨年は前が崩れて、差し、追込馬のワン、ツーだった。今年は折り合いに課題のある(5)デシエルトの逃げが予想され、平均ペース以上になると見ている。さらに馬場悪化となると、逃げ、先行馬に素直に飛びつけず、本命馬は「差し馬」という結論に至った。

中京11R 金鯱賞 芝2000m
 ◎ (6)クイーンズウォーク
 ○ (2)ホウオウビスケッツ
 ▲ (5)デシエルト
 注 (8)プログノーシス
 △ (3)ライラック
 △ (7)ディープモンスター
 △ (9)ラヴェル
 △ (10)マイネルモーント
結論 馬連6-2,5,8,3,7,9,10 (14:10:10:4:4:4:4) 複勝6 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (6)クイーンズウォーク

 昨秋のローズSの勝ち馬。この時は2番枠からまずまずのスタートを切って、いったん好位の内目を取り、そこからコントロールしながら控えていく形。

 道中ではやや掛かりながら中団内目を進んでいたが、道中でごちゃつき外目に誘導され3角を迎えた。3~4角で徐々に進出し、4角出口でさらに外へ誘導されると、直線序盤でじわじわ伸びて3列目に上がり、ラストはそのまま突き抜けて1馬身半差で完勝した。

 ここでは11番人気の逃げ馬セキトバイーストが3着に粘ったように、前有利の展開。ここで末脚の違いを見せつけたことは価値が高い。

 本番の秋華賞はローズSから一転、セキトバイーストの大逃げでかなりのハイペースとなった。本馬は3番枠からスタート後に大きく躓いて後手を踏み、道中で捲って行く形。3、4角で大外をぶん回したことも影響して最後はもう脚がなく、15着と大失速した。

 秋華賞はひどい騎乗だったが、行きっぷりが悪かったのは休養明けで自己最高指数を記録した後の一戦で、疲れによるものが大きい。

 そこから立て直された前走の小倉牝馬Sは、9番枠からまずまずのスタートを切った。しかしこれが災いして、激流の好位外を進むことになった。結果、ラスト1Fで外差し勢に飲み込まれてしまったが、叩かれての今回は前進が期待できる。

 本馬は成長期の4歳馬。前走で激流に乗って6着に敗れた以上、ここは脚をタメてくるはず。川田将雅騎手が(8)プログノーシスではなく、こちらを選んだことで想定以上に人気だが、ローズS時のように中団から末脚を生かす形なら有力だ。

○ (2)ホウオウビスケッツ

 昨夏の函館記念で初重賞制覇を達成。同レースは12番枠から五分のスタートだったが、二の脚で楽に逃げ馬アウスヴァールの外2番手に取り付いた。1~2角では手綱を抑えてコントロールし、道中は同馬から2馬身半ほど離れた2番手を追走した。

 3角ではアウスヴァールと3馬身差だったが、3~4角で徐々に差を詰めながら外に誘導し、4角で一気に並びかけた。直線序盤で抜け出すと、ラスト1Fで突き抜けて3馬身半差で圧勝した。

 この函館記念は前後半5F59秒6-59秒6の平均ペース。一つ前の巴賞を逃げ切り勝ちした後の一戦から控えたことでやや掛かってはいたが、道中で逃げ馬から離れた単独2番手になったことで折り合いもつき、自己最高指数を記録した。

 また3着アウスヴァールと4着サヴォーナが後にオールカマーで2着、4着と善戦したように、意外とハイレベルな一戦だった。出走馬の近5走では、プログノーシスが優勝した昨年の金鯱賞に次ぐ2番目の指数を記録している。

 本馬はその後の毎日王冠2着、天皇賞(秋)3着。ともにマークが薄く、スローペースで逃げられたことも好走要因ではあるが、逆にペースを落とし過ぎたため、勝ち馬の決め手に屈した面もある。

 前走の中山金杯はスタミナが不足しがちな休養明け。また大外18番枠からやや掛かってハイペースで逃げるクリスマスパレードに絡んでいったため9着に失速。前走は天皇賞(秋)を大目標にした後の一戦でもあり、仕方のない敗戦だった。

 今回は函館記念の時のように平均ペース前後の2番手で行ければ上位争い濃厚も、前走時のようにハイペースになる可能性も視野に入れて対抗評価とした。ただし、ハイペースになっても(5)デシエルトに競って行かなければ、前走のように崩れることはないと見ている。

▲ (5)デシエルト

 近2走の芝で本格化。2走前アンドロメダSは6番枠からまずまずのスタートを切り、押して二の脚で楽にハナを取り切った。そこからはコントロールして折り合い重視で進めていたが、それでも後続と差を広げて3角に入った。

 3角下りではペースを上げて大逃げの形。後続が追い上げてくるものの、4角で仕掛けリードを維持して5馬身差で直線へ。直線序盤でもその差を維持し、ラスト1Fではロードデルレイに差を詰められたが、3馬身半差で圧勝した。

 前走の中日新聞杯は8番枠から五分のスタートを切り、押して内のタマモブラックタイのハナを叩き、内に切れ込んでペースを引き上げた。1~2角で鞍上がペースを落とそうとしたが抑えきれず。向上面では少し掛かりながらペースを引き上げ、やや差を広げて1馬身半差のリードで3角を迎えた。

 3角で少し我慢して3~4角で徐々に差を広げ、4角で促して2馬身半差のリードを保って直線へ。直線序盤で追われてリードを広げ2馬身半差。ラスト1Fで追ってくる各馬を問題とせず、2馬身差で完勝した。

 本馬は3年前のダービーでは、14番枠からかなり押して内の先行馬を制しハナを主張するなど、かなり掛かって暴走したことがある。

 当時と比べるとかなり折り合いに新境を見せている。しかし、テンにもっさりしたところがあり、2走前のようにスムーズにハナへ行けないときは、押して気性にスイッチが入り、ペースを平均以上に引き上げてしまう可能性がある。

 そのため今回、内に同型馬の(2)ホウオウビスケッツがいることが厄介だ。本馬は前走も掛かってハイペースで逃げたことを考えると素直に評価できないが、コントロールしての逃げなら令和のサイレンススズカになれる可能性もある。

注 (8)プログノーシス

 一昨年の札幌記念で今回のメンバーでは断トツのGⅠ勝ち負けレベルの指数を記録。その時は13番枠からやや出遅れてふらつく場面があり、無理せず後方付近からの追走。道中も前3頭が飛ばしてペースは緩みなく流れたが、本馬は向正面で中目を捌いて押し上げ、一気に好位まで進出した。

 3~4角ではそのままの勢いで外に誘導しながら2番手に上がり、馬場の悪化した最内から先に先頭に立ったトップナイフを追撃して1馬身半差ほどで直線へ。直線序盤で同馬に並びかけると、ラスト1Fで抜け出して4馬身差で完勝した。

 一昨年の札幌記念はタフな馬場で逃げ馬が多数出走。そのためオーバーペースとなり、先行馬が総壊滅する展開。またこの週はA→Cコース替わりで最後の直線で外に誘導した馬が猛威を奮っていた。つまり、ここでのプログノーシスは追い込み有利の展開に恵まれただけでなく、完璧なコース取りで自己最高指数を記録した。

 本馬は昨年の本レースも勝利。昨年は4番枠から五分のスタートを切り、コントロールして後方馬群の内目を追走。道中はドゥレッツァをマークしてじわっと押し上げ、中団内目まで進出。3角手前で上手く同馬の内に入り、3角では3列目付近に付けた。

 3~4角では最内を通り、4角出口で中目を狙ったが前が壁。直線序盤で進路を内に切り替えてすっと抜け出し、一気に先頭に立ち2馬身差。ラスト1Fでさらに突き抜け5馬身差で圧勝した。

 昨年は珍しく前が競り合って前半が速い流れ。道中のペースが落ちたタイミングで中団内目まで押し上げ、3~4角でもほぼロスなく立ち回り、直線序盤も上手く捌いていた。ここでは末脚の違いを見せつけたが、いわゆる神騎乗でもあった。

 前走の有馬記念は超絶スローペースで前有利の展開。出遅れは想定内としても、道中でポジションを上げなかったことで、生涯で初めて掲示板に載ることが出来なかった。

 今回は前走より相手緩和もどうしても後方からになるだけに、展開と押し上げのタイミングに大きく左右される。2022年の中日新聞杯(中京芝2000m)で最後方から届かず4着に敗れたことを忘れてはいけない。

△ (3)ライラック

 2022年のエリザベス女王杯2着馬。同レースでは15番枠から出遅れ。軽く促して中団で進めていたが、狭くなったこともあり、控えて後方待機策を選択。道中は後方2番手の外目で進めて、3角ではジェラルディーナを徹底マーク。

 4角で同馬が仕掛けると、それを追い駆けて中団外まで上がり、直線序盤でしぶとく伸びて2列目付近。最後までジェラルディーナとの差は詰められなかったが、ラスト1Fで先頭に立ったウインマリリンに並びかけての同着だった。

 このエリザベス女王杯は「重」で外差し有利の馬場。ペースも速く展開に恵まれての勝利だった。しかし、時計の掛かる馬場で展開に恵まれれば、それくらい走れる馬である。

 近2走のエリザベス女王杯やAJCCでも、展開に恵まれたとはいえないなかで、中団やや後方を立ち回って6着、5着に善戦。想定よりも上がりが掛かるようであれば、内差し一発がありそうだ。

△ (7)ディープモンスター

 稍重で行われた2023年のアンドロメダSの勝ち馬。同レースでは大外16番枠から好スタートを決め、馬なりで好位直後の外まで進出。道中は前に壁が作れず、かなり掛かっていたが、向上面で中団馬群の中目に入れる折り合いがついて3角を迎える。

 3~4角では中目を通し、4角で外からテーオーソラネルが上がってくると、同馬を行かせて同馬を行かせてその後ろから直線へ。直線序盤で追いながら同馬の外へ誘導すると、じわじわ伸び始め、ラスト1Fで一気に伸びて1馬身半差で勝利した。

 このアンドロメダSは前後半5F59秒4-59秒8の平均ペース。外枠が響いて折り合いを欠いていたが、この日はタフな馬場で差し馬天国だったこともあって、自己最高指数を記録した。

 本馬は重賞をまだ勝っていないが、昨年は小倉大賞典で3着、チャレンジCで2着に善戦。2走前のチャレンジCでは、(9)ラヴェルには完敗だったが、3~4角で好位列が凝縮する中で、後方から中団の外目のスペースを拾って押し上げ、ラスト1Fでラヴェルと4馬身ほどあった差を、1馬身3/4差まで詰めてきた。

 2走前はラヴェルが早め先頭に立ってやや甘くなったところがあったが、ラヴェルが休養明けの一戦であることを考えると、対ラベルに対しては逆転の可能性もある。また本馬はそこまで“キレる”タイプではないので、時計が掛かる馬場でより良いタイプだ。

△ (9)ラヴェル

 デビュー2戦目のアルテミスSは後方から3~4角でリバティアイランドに蓋をしながら先に動き、同馬を完封した素質馬。古馬になってからはスランプだったが、2走前のエリザベス女王杯で2着。前走チャレンジCで重賞2勝目を挙げ、完全復活を遂げた。

 前走は9番枠から出遅れて外に誘導。しかし、外に出し切るのが難しく、中団中目のスペースを軽く促して拾う形。道中も(10)マイネルモーントの後ろの中団中目を走り、3角手前で同馬の内から押し上げ3角を迎えた。

 3~4角では好位の中目のスペースを拾い、4角でセイウンハーデスの後ろから2列目まで押し上げ直線で外に誘導。直線序盤で追われるとすっと抜け出して1馬身差。ラスト1Fで△(7)ディープモンスターらに迫られたが、問題とせず1馬身3/4差で完勝した。

 前走は前後半5F58秒4-59秒8と緩みなく流れたが、出遅れを挽回して中団までポジションを上げ、早め先頭に立っての勝利ととても強い内容だった。ただ近2走は2歳時のように前半で位置を取りに行かなくなったことが好走に繋がった面がある。

 スランプ期とは言え、一昨年の秋華賞では先行して11着に崩れている。また昨年3月の中山牝馬Sでも序盤で好位直後の外まで上がって11着に敗れた。また前記の2戦は稍重でスローペースを意識して動いたものだった。

 本レースは前有利な傾向があり、ペースが遅ければ前半から位置を取りに行く可能性もある。また今回は前走で自己最高指数を記録した後に楽をさせての始動戦。叩き台の印象が強いが、末脚に特化させる形なら通用していい。

△ (10)マイネルモーント

 今年の中山金杯2着馬。同レースは7番枠から出遅れて後方からの追走となったが、促して中目のスペースを拾って挽回。道中はパラレルヴィジョンを見ながら中団やや後方の内目を進んだ。

 3~4角で内目から中目のスペースを拾っていったが、4角でパラレルヴィジョンが外を選択すると、同馬の内を追走していたアルナシームが前に入ってきた。直線序盤で同馬の後ろから追われ、しぶとく伸びて3列目に上がり、ラスト1Fでアルナシームとの差はやや詰めたが、1馬身1/4差で2着までだった。

 中山金杯では○(2)ホウオウビスケッツに先着しているが、この時は同馬が外からクリスマスパレードに絡んで行ったことでペースが速くなり、差し馬に有利な展開だった。また4角で手応え抜群だったアルナシームの後ろを取ったことで、直線の進路取りに苦労せず、スムーズに着順を上げることができた。

 前走の白富士Sでは前半は逃げていたが、向正面で内からシュトラウスがハナを主張すると、スムーズに2番手に控え、3角で被され3列目の最内に下がっても、何の問題もなく最短距離を通って2着に善戦。このように本馬は操縦性が抜群で自在性があり、幅広い展開に対応できる強みがある。ただ今回は相手が強化される点が不安だ。

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■道悪の消耗戦は、前走で苦しい競馬をしている馬が有利

 スプリングSの過去10年では重馬場で行われたことが2021年と23年の2回。前記の2回は21年が平均ペース、23年がかなりのハイペースだったが、ともに上がり4F49秒5、3F37秒0~37秒2も要しており、今年もそれくらい掛かることが予想される。

 21年、23年ともに差し馬が勝利しているが、かなりのハイペースとなった23年は前走で1~2番手でレースを進めていた馬か、1着、2着、4着、5着とあわや掲示板を独占かという結果だったことを忘れてはいけない。

 今回は何が何でも逃げたい馬は不在だが、(1)ダノンセンチュリー、(4)ニホンピロデヴィン、(6)ジェットマグナム、(7)キングスコールと先行馬多数の組み合わせ。本番を見据えて控えたい馬もいるにせよ、馬場悪化の影響もあり、ハイペースになると見ている。

中山11R スプリングS 芝2000m
 ◎ (6)ジェットマグナム
 ○ (3)クモヒトツナイ
 ▲ (9)ピコチャンブラック
 △ (1)ダノンセンチュリー
 △ (7)キングスコール
 △ (8)マテンロウバローズ
 △ (10)フクノブルーレイク
結論 馬連6-3,9,1,7,8,10 (10:10:10:10:5:5) 複勝6 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (6)ジェットマグナム

 デビュー2戦目のコスモス賞では心房細動で1番人気を裏切り、大差の最下位に敗れたが、3走前の芙蓉Sではそこから巻き返しV。ここでは2番枠からまずまずのスタートを切り、軽く押してハナに立ったが、外からモルティフレーバーがハナを主張すると、同馬を行かせて外に誘導。道中のペースは遅かったが、先頭に立たないように手綱を抑え、2番手の外で折り合わせて進めた。

 3~4角でペースが上がっていく中で、コントロールしながらモルティフレーバーに並びかけ、直線序盤で追い出しを待ちながらも先頭。ラスト1Fで追われるとしぶとく伸び、後続の追撃を余裕を持って振り切り3/4差で勝利した。

 3走前は前後半5F61秒9-60秒7のスローペースで前有利の流れ。本馬は展開に恵まれての勝利だったが、ゲートも二の脚も良く、折り合いもついており、レース巧者ぶりが窺える内容だった。

 2走前にホープフルSはスタミナが不足する休養明けで7着敗退。ここでは2番枠から好スタートを決めて、やや掛かりながら2番手で進めていたが、向上面でファウストラーゼンに捲られて先行勢には苦しい展開。それでも先行馬で最先着した点は評価できる。

 前走のきさらぎ賞は逃げ馬不在。1番枠から五分のスタートだったが、前走から一転してかなりのハイペースで逃げてブービー9着に失速した。このレースの最下位馬は2番手を追走したウォーターガーベラだが、同馬は次走のチューリップ賞でハナ2着に巻き返している。

 つまり、きさらぎ賞はそれだけペースが厳しかったということ。本日の悪化した馬場に対応するためには、前走で苦しい競馬をしている点はプラス。個人的にはチューリップ賞の時に、当初はウォーターガーベラに本命◎の予定を、対抗○評価にしてしまった無念を晴らしたい気持ち。

 チューリップ賞の時に思ったのは、2~3歳重賞がインフレ気味に行われていることで、前哨戦でメンバーが揃わなくなっていることだ。本場も相手がそこまで手強くないので、キャリアの浅い馬の上昇力に食われなければやれるだろう。

○ (3)クモヒトツナイ

 1勝目を挙げるのに5戦を要したが、初勝利の前走がなかなか好内容だった馬。前走では3番枠から好スタートを決めて、軽く促していたが、外から(11)スナ―クピカソがハナを主張すると、コントロールして同馬を行かせ、2列目の最内を追走。道中のペースは遅くはないが、やや掛かって前にスペースを作り切れずに3角を迎えた。

 3~4角では当然包まれて、直線序盤で前が壁。外に誘導しようにも外からヴォラヴィアに蓋をされており、進路がない状態。ラスト1F手前でこじ開けると、ラスト1Fで一気に突き抜けて1馬身1/4差で勝利した。

 前走は平均ペース。直線序盤で進路がなく、脚が溜まったにせよ、ラスト1F最速を記録しての勝利だった。前走でタフな馬場を経験したことはここへ向けてプラスだ。

 タフな馬場の消耗戦で好走すると、次走に繋がらないこともあるが、前走はラスト1Fで加速しているように、余力があったはず。また2着だったスナ―クピカソが次走で未勝利戦を勝利し、ここに出走してきていることからも、本場もここで前進のパターンに期待する。

▲ (9)ピコチャンブラック

 2走前のアイビーSの2着馬。2走前は7番枠から五分のスタートを切り、二の脚ですっとハナを狙ったが、外からやや掛かったシルバーレインがハナを主張したので、同馬を行かせて2番手で進める。道中ではシルバーレインとの差を3馬身ほど作って3角を迎えた。

 3角では5馬身ほど離れていたが、最短距離から速めに追いかけて2馬身差で直線へ。直線序盤で追われてじわじわ伸び、ラスト2Fで同馬の外に誘導して先頭列まで上がったが、ラスト1Fでは内からマスカレードボールに抜け出され、1馬身半差で完敗した。

 ここではマスカレードボールに3番手でマークされたことで道中でペースを落とし、シルバーレインの単騎逃げを許す形になった。しかし、ラスト1Fで甘さを見せてしまった以上、道中で控えたことは正解で、マスカレードボールが強かった(次々走で共同通信杯勝ち)。

 前走のホープフルSは外枠で壁が作れずかなり掛かり、スムーズさを欠いて最後も追わずの13着大敗。ここはハイペースが予想されるだけに、折り合っての巻き返しを警戒する。

2025年 フジノウェーブ記念の予想

■1400mでまさかの逃げ馬不在

 1400mでまさかの逃げ馬不在。テンが速いのはデュアリストだが、本馬は昨年5月のかきつばた記念(名古屋1500m)で逃げて5着に失速。以降は1200m以下を使われていることから、距離延長を懸念して逃げない可能性もある。

 正直、何が逃げるのかわからないが、実績馬は自ら勝ちに行かなければならないリスクを背負っており、人気を裏切る危険性もある。ここは自在性のある馬を本命馬とした。

 この状況を見ると、この路線で常にレースメイクをしてくれたエンテレケイアに頭が下がる思いだ。

大井11R フジノウェーブ記念 ダ1400m
 ◎ (5)ティントレット
 ○ (11)アウストロ
 ▲ (2)マックス
 注 (7)イグザルト
 △ (1)ギャルダル
 △ (6)デュアリスト
 △ (3)カールスバート
 △ (4)マザオ
結論 馬複5-11,2,7,1,6,3,4 (14:14:10:4:4:2:2) 複勝5 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (5)ティントレット

 2走前の北海道スプリントCで3着。ここでは3番枠から出遅れ、後方2番手を追走。道中で後方馬群の後ろに追いつくと、3~4角の中目から徐々に位置を上げ、4角出口で外に誘導。直線序盤でしぶとく伸びて中団に上がり、ラスト1Fでチカッパには離されたが、早め先頭に立ったエートラックスとの差はじわじわ詰めて3着に健闘した。

 2走前は前後3F35秒1-37秒5のかなりのハイペースで展開に恵まれて3着。そこから楽をさせた後の始動戦となった前走のウインタースプリントでは5着敗退。しかし、前走は前後半3F35秒0-37秒4のハイペースを先行して甘くなったもの。

 前走で厳しい流れを経験したことでスタミナが強化され、ここで前進が見込める。キャリアの浅い4歳馬だけに成長力も見込め、斤量が54Kgと軽い点も好ましい。2走前に差し形も収得し、幅広い展開に対応できる点も好ましく、本馬に推す。

○ (11)アウストロ

 2023年秋の復帰戦で馬体重24Kg増の成長した姿を見せると、そこから10戦8勝2着2回と躍進した馬。5、6走前に負けた相手もその後の南関重賞で3勝のエンテレケイアと今週の京成盃グランドマイラーズで2着のムエックス(今年1月の川崎マイラーズでは5馬身差の圧勝)だ。

 昨年12月のゴールドCでは、6走前に敗れたエンテレケイアを撃破。ここでは4番枠から五分のスタートを切り、押して先行策。1角手前で外に誘導して、道中は好位の外でスマイルウィをマークしながら進めた。

 3~4角で3頭分外からスマイルウをマークして押し上げ、2列目付近まで上がったが、4角でやや置かれて3列目で直線へ。そこからしぶとく伸び続けて、ゴール寸前で逃げ粘るエンテレケイアを差し切ってクビ差で勝利した。

 エンテレケイアは昨年のS1・習志野きらっとスプリントで逃げて6馬身差で圧勝したように、1000mがベストの快速馬。またここはスマイルウィが本来の能力を発揮できなかったが、アウストロは現状、1400m路線ではトップクラスの存在と言える。

 ただし、今回は逃げ馬不在で斤量58Kg。ゴールドC時のスマイルウィのように、勝ちに行って終いが甘くなる危険性も考慮し、対抗評価とした。

▲ (2)マックス

 3走前の東京盃で2着。ここでは3番枠からまずまずのスタートを切り、押して2列目の最内を追走。道中は先頭のエンテレケイアに離されないように進めて、3~4角でもペースが落ちていない中でキックバックを受けながら食らいついていく。

 直線序盤でエンテレケイアの外に誘導して進路が開くと、ラスト1Fで外のシャマルを制して内から先頭に立ったが、外からチカッパに差されて半馬身差だった。

 3走前にはJBCの前哨戦Weekを前に砂厚が10cm→9㎝に変更され、内有利の馬場だったが、それを考慮しても前後半3F34秒4-37秒6のかなりのハイペースを勝ちに行って2着に粘ったことは評価できる。

 2走前のJBCスプリントは、5番枠からやや出遅れて中団馬群の内目を追走していたが、3角で2列目に上がって外に出すタイミングがなく、最後の直線ではさらに砂厚が深く、伸びない内を通して6着敗退。行きっぷりが悪かったので、前走の兵庫GTでは無印にしたが、やはり調子が悪かったようで9着に大敗した。

 今回は前走から休ませ、立て直されての一戦。1200mがベストのタイプだが、1400mでも中央所属時を含めて4勝の実績があり、この距離が全くダメというわけではない。2番枠を利して上手く内目を立ち回れれば、上位争いに加わるチャンスはある。

2025年 弥生賞・大阪城Sの予想

■狙いは“真ん中か、そのやや後ろ”

 過去10年の弥生賞でややハイペースになったのは、逃げ馬が大逃げを打ってマカヒキの後方一気が決まった2016年のみ。反対にかなりのスローペースが5回ある。

 昨年の勝ち馬コスモキュランダのように、向正面でマクって一発を狙う馬が出現して平均ペースまで上がる年もあるが、基本的にはトライアルらしくスローペースの傾向だ。

 脚質別成績では差し馬が6勝。それらの大半は末脚の違いを見せつけた馬たち。2、3着馬を見ると先行馬も台頭してくるが、ここも中団あたりの馬が良く、真ん中かそれよりやや後ろから末脚を発揮する馬が活躍している。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

中山11R 弥生賞 芝1800m
 ◎ (6)ジュタ
 ○ (7)アロヒアリイ
 ▲ (12)クラウディアイ
 △ (2)ナグルファル
 △ (11)ミュージアムマイル
 △ (8)ファウストラーゼン
 △ (9)アスクシュタイン
結論 馬連6-7,12,2,11,8,9 (10:10:10:10:5:5) 複勝6 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (6)ジュタ

 デビュー2戦目のホープフルSで4着に善戦。ここでは16番枠からやや出遅れ、内の馬との接触もあったが、立て直してコントロールしながら好位の外まで挽回。道中は極端なスローで、向上面では好位の中目で包まれた状況でコントロールしていたが、外からファウストラーゼンがマクったことで中団に下がって3角を迎えた。

 3角では外から押し上げてクロワデュノールをマークしたが、4角では同馬に置かれてしまう。それでも好位列を維持し、直線序盤で追われてしぶとく伸びたがまだ3列目。ラスト1Fでもじわじわ伸びて4着を死守した。

 前後半5F61秒4-59秒1のかなりのスローペースを考えると、向上面のポジションダウンは痛手。そのぶん3角から仕掛けていけなければならなくなったが、最後までしぶとさを見せられていた。

 続く前走では若駒Sを勝利。ここでは9番枠から五分のスタートを切り、じわっと先行して好位の外を追走。向正面で外からミッキーゴールドがマクって一気にペースが上がったが、ワンテンポ待って同馬を追いかけ、4番手で3角を迎える。

 3~4角でペースダウンすると中目から進出。しかし、4角で被されたため内へ。すると直線序盤は前3頭が壁になり、仕掛けを待たされてしまう。それでも中目を捌いて一気に抜け出すとラスト1Fで外のミッキーゴールドとの叩き合いを半馬身差で振り切った。

 前走はラスト1Fで甘くなった。これは向正面半ばでマクリが発生したことで一気にペースアップし、ラスト2Fで先頭と早めに仕掛けた影響もあったとみている。

 本馬はデビューから上昇一途。G1好走後は、先週のチューリップ賞のビップデイジーのように、取りこぼすのが常道だが、前走でしっかり結果を出したことに好感が持てる。折り合い面に問題がなく、もう一列下げれば最後の甘さも解消されるだろう。今回の本命馬だ。

○ (7)アロヒアリイ

 キャリア2戦1勝、同舞台の1勝クラス戦2着からの臨戦となる。東京芝2000mの新馬戦では1番枠から出遅れを挽回し、好位の中目からラスト1Fで後続に2馬身半差をつける完勝。その新馬戦の内容が評価され、前走は断然の1番人気(単勝1.6倍)に支持されたが2着に敗れた。

 前走は11番枠から出遅れ、促して中団の外目まで挽回。道中は前2頭が競り合ってハイペースになったが、本馬は離れた中団でサトノラポールをマークする形で進めた。

 3~4角で前が苦しくなり、一気にペースダウン。ここで中団中目から押して2列目付近まで上がったが、前のサトノラポールもやや減速したことで前が壁に。4角で外に誘導しようにもゴーソーファーにフタをされて動けず、ブレーキをかけながら4角出口でようやく外に誘導した。

 直線序盤では3列目に上がり、ラスト1Fで前は捉えたが、4角で勢いに乗せて前に出られたゴーソーファーとの差を詰め切ることはできず。3/4馬身差で敗れた。

 ブレーキしてからトップスピードに乗せるには、時間が掛かるもの。スピードに乗せえている間にゴーソーファーに前に出られた形だった。ゴーソーファーと立場が逆なら、本馬が勝っていた可能性も十分あった。ここでの巻き返しに期待したい。

▲ (12)クラウディアイ

 デビュー2戦目、休養明けの京都2歳Sで3着と好走。ここでは5番枠から五分のスタートを切り、好位の中目を追走していたが、1角の入口で狭くなり、後方に下がった。道中は中団やや後方で折り合って進めた。

 3~4角ではエリキングをマークしていたが、4角で同馬が動かず、その外を狙おうとしたところで外からジョバンニにフタをされてしまう。そこでは仕掛けを我慢し、直線序盤で追われて馬群を割って伸びると2列目に上がった。

 ラスト1Fでも踏ん張っていたが、外のエリキングとジョバンニの2頭には突き抜けられ、2列後ろの3着までだった。

しかし、序盤の不利を挽回して3着に善戦したことは評価できる。また、2着馬ジョバンニは次走ホープフルSでも2着と健闘したように、ハイレベル戦でもあった。

 本馬も前走はホープフルSで5着。ここでは休養明け好走の反動で指数を下げた。それでも捲って3着の(8)ファウストラーゼンと2馬身半差、4着◎(6)ジュタとは1馬身半差と大崩れしなかったところに成長を感じる。ここで一発あっても不思議なく、侮れない一頭だ。

△ (2)ナグルファル

 2戦2勝馬。前走のエリカ賞では2番枠からトップスタートを決めたが、外のイガッチを行かせてその外2番手に。3角手前の上り坂でペースが緩んだが、しっかりと折り合って1馬身3/4差ほど離れた位置で我慢した。

 3~4角でも仕掛けを待ち、4角でペースが一気に上がったところで追われて先頭に並びかける。序盤ですっと伸びて抜け出し、1馬身ほど前に出ると、ラスト1Fでそのまま突き抜けて4馬身差で圧勝した。

 本馬は前走と同舞台の新馬戦でハナへ行きたがっていたが、前走ではかなりのスローペースをしっかり折り合って勝利。折り合いに進境を見せたことが圧勝につながった。

 前走は指数も大幅に上昇させ、(11)ミュージアムマイルの前走(朝日杯FS2着時)に次ぐ指数を記録。今回はそこから休養させて成長を促しての一戦になる。

 このメンバーでも実力上位だが、完成度の高い馬で大きな成長は期待しにくい。前走からいくらかでも成長していればチャンスがあるか、という評価になる。

△ (11)ミュージアムマイル

 昨年12月、京都芝1600mで行われた朝日杯FSで2着と好走。同レースでは4番枠から出遅れ、後方2番手からの追走となったが、内目のスペースを拾って一気に押し上げて3角は好位の最内につける。

 4角は2列目内のスペースを拾って直線で外に誘導。序盤で3番手から2番手に上がったが、アドマイヤズームには突き離され、ラスト1Fで食らいつくも2馬身半差で完敗した。

 前走は前後半4F48秒0-46秒1とマイル戦としてはペースが遅く、馬群が凝縮して横に広がっていったことで内のスペースが空いた。そこで位置取りを挽回できたことが好走につながった面もあるが、出遅れを一気に挽回しても最後までバテなかったのは地力があればこそ。後半ラスト2Fでアドマイヤズームに離されたのはトップスピードの差だろう。

 出遅れ癖がありキレないタイプなので、距離が長くなるのは間違いなくいいはず。今回は始動戦で目標はこの先だが、2走前の黄菊賞(京都芝2000m)のように中団くらいで運んで3~4角から仕掛けていければ、上位争いに加われる可能性は高い。

△ (8)ファウストラーゼン

 昨年暮れのホープフルSでは17番人気を覆しての3着。今回のメンバーでは最先着だ。

 前走は11番枠からやや出遅れ、押して追走したが内と外から挟まれて最後方の外へ。接触したこともあって馬自身がひどく掛かり、コントロールに苦労して1角を迎えた。

 向正面に入ると大外に誘導、一気にマクって先頭のジュンアサヒソラに並びかけて3角へ。3~4角もそのままの勢いでコーナーを回り、4角でジュンアサヒソラにプレッシャーをかけ、4角ではしっかり先頭を取り切った。

 直線序盤はしぶとく踏ん張っていたが、外のクロワデュノールに並ばれるとラスト1Fでは甘くなり、最後はジョバンニにもかわされて3着だった。

 前走は折り合いを欠いて無理なマクりのようにも見えたが、向正面で手が動いており、レース後のコメントからも最序盤の不利で最後方に下がってからの騎乗は意図的だったようだ。

 向正面でペースが落ちたところで上手くマクれたことと、ブリンカー着用でレースに集中できるようになったのが好走の要因だろう。デビューからの2戦はレースでフラつくところもあったが、前走ではそれが解消されていた。

 ただし、前走は消耗度の高いレースになっており、ここは余力面で不安が残る。そのぶん、割り引いた。

△ (9)アスクシュタイン

 デビュー2戦目のコスモス賞を圧勝した馬。そのコスモス賞では1番枠からトップスタートを決めてすんなりハナへ。1角で外に逃げようとして外に張ったが、2番手以下を離して逃げた。

 3~4角で後続が懸命に手を動かしながら迫ってきたが、本馬は4角でもまだ持ったまま。直線序盤で追われると、後続に3馬身半ほど差を広げ、ラスト1Fではもう独走。結果は7馬身差の圧勝だった。

 2歳OPクラスでこの着差の勝利は相当な指数を記録したと思ったが、計算すると指数は特に優秀なわけではなく、他馬が全く走らなかったことによる独走劇だったようだ。

 本馬は函館芝1800mの新馬戦でも逃げ切り勝ちしているように、逃げてこそ。トップスピードで見劣るタイプだけに、コスモス賞のように飛ばして逃げるのがベストだ。

 2走前の札幌2歳Sは、逃げたが相手が強くてリードを奪い切れず、後続にプレッシャーをかけられて苦しくなったもの。また前走のホープフルSは出遅れが全てと言っていい。休養中に成長し、ここでゲートを決めたならば逃げて上位食い込みがあっても不思議ない。
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阪神11R 大阪城S 芝1800m
 ◎ (4)ウエストナウ
 ○ (7)トーセンリョウ
 ▲ (5)グラティアス
 △ (9)オールナット
 △ (12)デビットバローズ
 △ (13)サンストックトン
 △ (3)ラインベック
 △ (1)バレエマスター
結論 馬連4-7,5,9,12,13,3,1 (15:10:8:8:5:3:1) 複勝4 (50)

■逃げ馬不在も2列目候補は多数

 昨年の大阪城Sで逃げて3着に粘った(10)ショウナンマグマはすっかり折り合い重視で前に行かなくなっており、逃げ馬不在。(3)ラインベックがハナを主張できる組み合わせだが、同馬は前走から2Fの距離延長になるので控える可能性もある。そうなると意欲の連闘策で前走で芝1800mを経験している(5)グラティアスが逃げることになりそうだ。

 ここは逃げ馬不在だが、2列目候補は多数の組み合わせ。極端なスローはないにせよ、平均よりのスローペースにはなるだろう。先行馬が有利と見て予想した。

■有力馬と評価ポイント

◎ (4)ウエストナウ

 デビュー2戦目の京都新聞杯で2着に健闘した素質馬。この京都新聞杯では5番枠からまずまずのスタートを切り、押してハナを主張し、取り切る。1角手前で自ら外に膨れるロスがあったが、そこからはコントロールして進め、向正面では顕著にペースを落とし、団子状態に。

 3角の下りでじわっと仕掛けてペースを引き上げ、4角で外から2列目勢が並びかけると、一気に仕掛けて先頭を維持して直線へ。序盤でしぶとく踏ん張ってクビ差のリードを維持していたが、ラスト1Fで最内から捌いて上がったジューンテイクに差されてクビ差で敗れた。

 このように本馬は前に行って揉まれない競馬をしてこそのタイプ。神戸新聞杯では前に行けず、4角出口で進路が狭くなってブレーキで立て直す場面もあって11着敗退。菊花賞では距離も長くて11着に大敗した。

 しかし、前走の飛鳥Sでは2走前に芝1600m戦を使った効果で行きっぷりが一変。4番枠から五分のスタートだったが、押して二の脚で2番手を追走。道中は極端なスローだったが、ブリンカー効果で我慢が利いており、逃げ馬と3/4差で3角を迎える。

 3~4角では逃げ馬にプレッシャーをかけながら押し上げて、先頭列で直線へ。序盤で抜け出してリードは1馬身半ほど。ラスト1Fでも本馬をマークして上がったミスターシーティーに食らいつかれたが、差を詰めさせずに1馬身半で勝利した。

 前走は2番手から勝ちに行く競馬で、メンバー最速の上がり3Fを記録。京都新聞杯で上位のジューンテイク(その後の神戸新聞杯・2着)、ヴェローチェエラ(その後、3連勝で日経新春杯・4着)、アドマイヤテラ(後の菊花賞3着)等にはすっかり遅れを取ってしまったが、ここで遅れを取り戻してくれることを期待する。

○ (7)トーセンリョウ

 2走前にハイレベルな中日新聞杯で4着に健闘した馬。2走前は5番枠から五分のスタートを切り、無理をさせずに中団やや後方の最内を追走。道中も中団最内で前のマテンロウレオとのスペースを置いて進めた。

 3角手前で横の馬に前に入られまいと追っつけると、3角下りでマテンロウレオとのスペースを詰めてしまってそこから進路がない状態。4角でマテンロウレオの最内をこじ開けながら中団で直線へ。

 結局進路を作り切れず、序盤でマテンロウレオの後ろへ戻して外へ誘導。ラスト1Fを過ぎても進路を作れずに中目でまごついていたが、最後に2着争いまで突っ込んだが、アタマ+アタマ差の4着までだった。

 2走前はデシエルトが逃げてハイペース。ここでは本馬の前で進めていたマテンロウレオが3着だったように、イン差し有利の展開。マテンロウレオの後ろをそのまま通し切っていれば、決め手の差でもっと上の着順が狙えた可能性のあった内容だった。

 本馬は東京2000mで前後半5F62秒8-57秒7の極端なスローペースとなった3走前の甲斐路Sで中団外からじわじわ伸びてマイネルエンペラー(その後の日経新春杯・3着)を撃破して勝利しているように、スローでもやれる馬。

 前走の白富士Sは2走前に自己最高指数を記録した後の楽をさせた一戦で体も太く、末脚が不発したが、ここでの巻き返しを期待する。

▲ (5)グラティアス

 2023年10月のポートアイランドSでは、エアファンディタ(昨年のチャレンジC・3着)を撃破し、ドーブネ(昨年の中山記念・2着)に3/4差まで迫った実績がある馬。

 そのポートアイランドSでは、5番枠からまずまずのスタートを切り、押して外のワールドリバイバルと先行争い。最終的にはワールドリバイバルを行かせ、内のサブライムアンセムがひとく折り合いを欠いていたので控えて好位の外を追走。道中も好位の外からドーブネをマークして進めた。

 3~4角で押し上げて2列目の外から直線へ。序盤でドーブネの外に誘導してしぶとく伸び、先頭の同馬と3/4差。ラスト1Fでもしぶとく食らいついたが、ドーブネの差は詰まらず3/4差で敗れた。

 本馬は本質的にマイルは忙しいが、このポートアイランドSは稍重で時計が掛かっていたことで結果を出した。

 近2走は中距離路線を使われ崩れているが、前走の中山記念は超高速馬場の時計勝負に泣く形。能力を出し切っての敗戦ではないので、時計の掛かる阪神芝1800m戦のこの舞台で期待してみたい。前走は外枠から楽に2番手に行けたこともここへ向けては好材料だ。

△ (9)オールナット

 2走前の嵯峨野Sでは、次走で斑鳩S(3勝クラス)勝ちのタガノエルピーダを撃破して勝利した馬。2走前は2番枠からまずまずのスタートを切り、内から押してハナを主張したシュタールヴィントを行かせて2列目の最内を追走。道中はかなりのスロー。シュタールヴィントとのスペースを作って進めた。

 3~4角で前のスペースを潰して4角出口で仕掛け、直線序盤で前2頭の外に誘導。2頭に食らいついて、ラスト1Fですっと抜け出し、半馬身差で勝利した。

 前走は京都芝1800mで前後半5F47秒9-45秒5の極端なスローペースで2列目から最内をロスなく立ち回れたことが好走要因。前走の東京新聞杯は芝1600mで追走がやや忙しく、9着に敗退したが、ここもややスローが濃厚の組み合わせ。先行策でレースの流れに乗れれば通用していいはずだ。

△ (12)デビットバローズ

 昨年の大阪城Sの2着馬。この大阪城Sでは9番枠から好スタートを切り、列目の外を追走。中目からハナを主張したショウナンマグマに内と外から抵抗する馬がいて序盤のペースが速くなり、ここで3列目に下げた。

 道中はペースが落ち着き、4番手で3角に入ると、3~4角で再び2列目付近まで位置を上げて直線へ。序盤でしぶとく伸びて先頭列に並びかけ、ラスト1Fで抜け出したステラヴェローチェにアタマ差まで迫った。ここでは3着馬に2馬身差を付けており、ハンデ重賞なら通用レベルの指数を記録した。

 本馬はその後の新潟大賞典では4着、巴賞でも2着に善戦。2走前の函館記念は巴賞好走後の中1週が応えたようで本来の走りではなかったが、立て直された長期休養明けの前走、洛陽Sではハナ差2着に善戦。前走は去勢効果で好位の中目で揉まれる競馬でも対応できていた。今回は長期休養明け2戦目となるだけに、反動が出る危険性もあるが、スムーズに前進すれば通用の余地がある。

2025年 中山記念・チューリップ賞の予想

■Aコース替わり2日目で後方の脚質は不利

 過去10年のラップを見ると、かなりのスローペースが2回で、相当なハイペースも2回ある。舞台となる中山芝1800mはスタート後すぐに急坂を上がるため、基本的にペースが上がりにくい。しかしパンサラッサのような何が何でも逃げたいタフな馬が出走していたり、昨年のように降雨の影響で馬場が悪化したりするとハイペースになることがある。

 1回中山開催の後半7日間ではCコースを使用していたが、2回中山開催ではAコースから始まる。この影響もあり、過去10年で逃げ、先行が6勝、逃げ~中団では9勝と圧倒的に前が有利となっている。逃げ馬の3着以内は10頭中5回と多く、一方で差し、追い込みの3着以内は少ない。後方の脚質は不利の傾向だ。

 ※昨日のオーシャンSはトリガミで申し訳ありませんでした。本日は的中すれば複勝でも回収率はプラスという買い目ですm(__)m。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

中山11R 中山記念 芝2000m
 ◎ (3)ボーンディスウェイ
 ○ (8)ソウルラッシュ
 ▲ (1)シックスペンス
 注 (4)エコロヴァルツ
 △ (9)マテンロウスカイ
 △ (10)アルナシーム
 △ (11)グランディア
 △ (15)サイルーン
結論 馬連3-8,1,4,9,10,11,15 (10:10:10:10:6:2:2) 複勝3 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (3)ボーンディスウェイ

 3走前の東京芝2000m戦、オクトーバーS(L)の覇者。ここでは6番枠からまずまずのスタートを切り、押してハナ争いに加わったが、内外の2頭を行かせて、3番手で様子をうかがう。道中でもペースが緩まなかったので、そのまま3番手外を維持した。

 3~4角でペースが落ちると、外からじわっと仕掛けて4角で2番手に上がり、逃げ馬と1馬身1/4差で直線へ。直線序盤で先頭に立ち、ラスト2Fで追われるとしぶとく伸び、ラスト1Fでリードを広げて1馬身3/4差で完勝した。

 3走前は超高速馬場かつ逃げ、先行馬が手薄だったこともあって本命にしていたが、前後半5Fが58秒3-59秒1と想定よりもワンランク速いペースのなかでもがんばり抜いた。

 ブリンカー着用2戦目の3走前が本格化を感じさせる内容だったこともあり、2走前の中山金杯でも狙ったが、結果は3着。ホウオウビスケッツにプレッシャーをかけられて緩みないペースで逃げるクリスマスパレードらに2列目の外から食らいついていったため、最後に甘さを見せた。それでも先行勢では最先着しており、悪い内容ではない。

 前走のAJCCでは7着。前走は時計のかかる馬場にくわえ、コスモキュランダがマクったことで、例年のAJCCらしからぬタフな展開になった。本馬の主な敗因は大外18番枠から好位の外を追走し、向正面でマクったコスモキュランダを追いかけてしまったこと。終始外々を回るロスもあり、崩れても仕方のない内容だった。

 今回は近2走よりも逃げ、先行馬が手薄。コスモキュランダのようにマクる馬も不在だ。(7)メイショウチタンが逃げたとしても、同馬は距離不安があるので、よほどマテンロウスカイ辺りに競り掛けられない限り、ペースを引き上げないだろう。さらに開幕週で3番枠と内枠を引けた点も好ましく、好位の内目をロスなく立ち回っての食い込みに期待したい。

○ (8)ソウルラッシュ

 昨秋のマイルCSで悲願のGⅠ制覇を達成した馬。マイルCSでは、13番枠からやや出遅れ軽く押して行ったが、いつものように後方から。道中も後方馬群の中目で進めた。3~4角で中団馬群の中目のスペースを拾って進出し、4角でワンテンポ待って出口で馬場の良い外目に出た。

 直線序盤で好位列の外からさらに外の進路を取ってしぶとく伸び、先頭列付近へ。ラスト1Fで先頭のウインマーベルを捉えて抜け出し、2馬身半差での完勝だった。

 マイルCS当日は「外差し天国」。最後の直線で各馬が外に広がっていくなかで、上手く馬場の良い外に誘導しての勝利だった。前日の10Rまで雨が降り続いた影響もあり、やや時計がかかっていたが、マイルGⅠで2着馬に2馬身半も差をつけたことは高く評価できる。

 続く前走の香港マイルではヴォイッジバブルに押し切られたが、2着と崩れずに走れた辺りに、本馬の地力がうかがえる。しかも、前走は10番枠からやや出遅れて、後方からの競馬。ペースも速くなかったことから、せめて4角でもう一列前の位置にいれば、もっと際どい勝負になったと考えられる。

 京都芝1600mが舞台のマイルCSは、例年中距離馬が活躍する舞台。2、4着馬も芝1800m戦で活躍した馬たちだった。本馬はマイル戦ではテンに置かれる面があるが、一昨年のマイルCSはラスト1Fで加速し、昨年のマイルCSでもラスト1Fで突き抜けているように、距離の不安は感じない。ドバイに向けての始動戦になる点は減点材料だが、ここでは一枚上の存在。開幕週の差し馬であるが、対抗以下には落とせない。

▲ (1)シックスペンス

 これまで5戦4勝。前走の毎日王冠では古馬を撃破し、昨春のスプリングSに次ぐ、GⅡ・2勝目を挙げた。前走では11番枠からまずまずのスタートを切り、様子をうかがいながらじわっと先行策。ペースが遅いので、無理なく2列目の外付近を取る。道中もゆったりと流れていたが、しっかりとコントロールして前のエルトンバローズとのスペースを作り、4番手で3角へ。

 3~4角でもエルトンバローズをマークし、4角出口でスペースを詰め切って同馬の直後から直線。序盤で追い出されても反応はひと息で外からヨーホーレイクに並ばれる。しかし、ラスト2Fで鞭が入ると、同馬に抵抗してしぶとく伸び、ラスト1Fで先頭のホウオウビスケッツを捉えてクビ差で勝利した。

 ここは逃げたホウオウビスケッツが外から絡んでくるエルトンバローズに行かせようとして、手綱を引く場面もあり、前後半4F47秒5-45秒7のかなりのスローペース。前有利の展開に恵まれての勝利だった。

 相手強化のここは前走からさらなる成長が欲しいところではあるが、ここも実績のある芝1800m戦。さらに開幕週の1番枠で先行力もあるだけに、当然、チャンスはある。

注 (4)エコロヴァルツ

 昨年の皐月賞は3番枠から押していったがやや狭くなって、後方2番手まで下げて持ち味が行かせずに7着敗退。日本ダービーは不利な大外18番枠で、1角のロスと引き換えに逃げる選択をしたこと自体は悪くないが、極端なスローに持ち込んだことで、後続に早めに上がって来られ、逆に苦しくなって8着失速。

 菊花賞では15番枠から出遅れを挽回して逃げたが、スタンド前で中団最内まで下げ、3~4角では前が下がって後退する不利があっての9着敗退。このようにクラシック三冠では満足に走らせてもらえなかったが、T.マーカンド騎手に乗り替わった前走のディセンバーS(L)ではしっかり結果を出した。

 前走は2番枠からまずまずのスタートを切り、促して様子を見ながら2列目に最内を追走。道中では前2頭がやや差を広げる中で、離れた3列目の最内で進めた。

 3角手まで後続が仕掛けて上がってきたので、本馬もじわっと仕掛けて上手く最内から前と差を詰めて、4角で前2頭の外に誘導。直線序盤で並ぶ間もなく前をかわして3/4差ほど前に出る。ラスト1Fでそのまましぶとく踏ん張り、ジューンオレンジの追撃を1馬身1/4差で振り切った。

 ここでは内枠に恵まれたにせよ、ややスローペースを好位の最内をロスなく運んで4角で前2頭の外と、これまでの鬱憤を晴らすかのように上手く乗られていた。しかし、本馬は朝日杯FSでやや出遅れを挽回して位置を取りにいって、掛かりながら最後方付近まで下げるというチグハグな内容での2着に善戦するなどの2歳時の活躍から、能力の天井はもう少し上にあると見ている。

 つまり、前走で自己最高指数を記録しているが、前走の走りでダメージが出る可能性は低く、さらなる成長を見せる可能性もあるということ。今回も4番枠と内枠だけに、前走のように内枠の利と先行力を行かした走りを期待したい。

△ (9)マテンロウスカイ

 一昨年の5月のメイS(OP)で、サクラトゥジュール(その後、東京新聞杯を制し、京都金杯でも1着)の2着となり、重賞でも勝ち負けになる指数を記録した馬。同レースでは8番枠からまずまずのスタートを切り、二の脚でドーブネなど内外の各馬を楽に制してハナを主張。そこからも淡々と緩みないペースで逃げて、3角では2番手以下に4馬身差。

 3~4角でやや息を入れ、後続の仕掛けを待って2馬身差のリードで直線へ向いた。序盤で後続を離しにかかったが、内から捌いてきたサクラトゥジュールに食らいつかれ、ゴール寸前でクビ差捉えられた。しかし、後の重賞で活躍する3着エピファニー、4着ドーブネに3馬身差も差をつけた。

 そして昨年の中山記念では7番人気の低評価を覆して初重賞制覇を達成。同レースでは8番枠からまずまずのスタートを切り、先行争いに加わっていったが、最終的にはドーブネ、エエヤンに行かせて2列目の最内を確保という完璧な入り。道中もかなりのハイペースで展開した中、コントロールしながら前のスペースを維持して3角へ向かう。

 3~4角では先頭のドーブネとの差をじわっと詰めて4角で外に誘導、同馬と3/4差で直線へ。序盤で早々に並びかけると、ラスト1Fで抜け出して2馬身差で完勝した。ここでは全てが完璧。今年は当時よりも馬場が軽いので、同じことを期待するのは難しいが、本馬は1600mではやや距離が忙しく、1800mがベストという馬。今年も内の先行馬を制して2番手に行ければ面白い。

△ (10)アルナシーム

 前走の中山金杯で重賞2勝目を挙げた馬。前走では2番枠から好発を決め、押して主張し、先行争いに加わった。外のクリスマスパレードらが内に切れ込んでくるのを見ると、それらを行かせて中団の最内を追走。道中も中団の最内で我慢して3角へ。

 3~4角では中目のスペースを拾って押し上げ、4角で好位の外へ。直線序盤ですっと伸びて2列目に上がり、ラスト1Fでそのまましぶとく抜け出して1馬身1/4差で完勝した。

 本馬はあふれる前進気勢が影響して出世が遅れ、その気性からマイル路線で使われた。しかし、タフな馬場で行われた昨夏の中京記念(小倉芝1800m)で初重賞制覇を達成したように、上がりの速い芝マイルよりも上がりのかかる芝1800m~2000mがベストだ。

 ただ、前走はレースが緩みなく流れたことで昨夏の中京記念同様に前が崩れる展開だった。差し有利の展開に恵まれて、中京記念に並ぶ自己最高指数を記録。今回は余力の面で不安がある。

 くわえて、中山開幕週の今回は前がなかなか止まらず、前走ほど上がりのかかる決着にはならないと見ている。6走前の都大路S以降は1800m以上でも折り合いがスムーズで気性面の危うさを見せていないが、総合的には評価を下げたい。

△ (11)グランディア

 2走前の函館記念で2着。2走前は4番枠からまずまずのスタートを切ったが、ややフラついた。そこから立て直してコントロールし、狭い好位の内で我慢して追走。道中でじわっと下げて中団の最内で進めてオニャンコポンの後ろから3角へ。

 3~4角でも同馬をマークしていたが、4角で中目に誘導され、5番手から直線へ。直線序盤で追われて3番手に上がり、ラスト1Fでしぶとく伸びて前のアウスヴァールを捉えて、2着を確保した。

 本馬は折り合いに課題があり、2走前もややかかる面を見せていたが、上手く最内を立ち回り、4角で上手く中目に進路を切り替えたことで詰まることなく、スムーズに追走できた。

 4走前のスピカS(3勝クラス、中山芝1800m)では、ラスト1Fで加速して末脚一閃。後の中山金杯2着馬のマイネルモーントに完勝したように、ここに来て地力をつけているのは確か。

 休養明けの前走オクトーバーS(L)では、2走前に自己最高指数を記録したこともあり4着に敗れたが、そこから立て直されての出走となるここは、巻き返す可能性がある。

△ (15)サイルーン

 昨年3月に芝1600mの2勝クラスと、2勝クラスの春風Sを勝利した馬。春風Sでは12番枠からやや出遅れ、軽く促す程度だったが中団の外目まで上がった。道中でも中団の外で様子をうかがいながら、好位馬群から離れた位置で進めて3角へ。

 3~4角では中団中目からじわっと押し上げ、4角で外に誘導して勢いに乗せ3列目で直線。序盤でそのまま伸びて先頭とは半馬身差。ラスト1Fでしぶとく抜け出して1馬身差で勝利した。

 ここは3~4角の外から仕掛けて勢いに乗せ、ラスト1Fで加速して勝利となかなかみどころのある内容だった。前走のエプソムCでは中団中目からじわじわとしか伸びてこれずの4着だったが、スタミナが不足する休養明けで距離延長だったことを考えれば悪くない。

 また本馬は特に前走時は爪の状態が良くなかったようだが、しっかり休ませたことで回復している模様。堀調教師曰く、「これほど順調に仕上がったのはこれまでにない」とのこと。また、今回は大幅馬体増のようだが、爪が良くなって背中の傷みがなくなったので、体が増やせたとのこと。今回でこれまで以上の走りができるのであれば、通用の余地を残す。
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阪神11R チューリップ賞 芝1600m
 ◎ (5)フェアリーライク
 ○ (11)ウォーターガベラ
 ▲ (12)ルージュソリテール
 △ (2)クリノメイ
 △ (9)ビップデイジー
 △ (14)マイエレメント
 △ (1)ザラタン
 △ (3)ノクナレア
結論 馬連5-11,12,2,9,14,1,3 (10:10:10:10:4:3:3) 複勝5 (50)

■逃げ馬不在で先行馬も手薄な組み合わせ

 昨年のチューリップ賞はセキトバイーストが先行争いを制してハナを主張してハイペースとなり、1着、3着に追い込み馬が台頭する結果となった。しかし、これは稀なことで基本的にはトライアルらしく、スローの傾向だ。

 ただし、極端なスローペースになったことは過去10年で2回のみというのも事実で、過去の傾向からスローで決め打ちするのは危険だ。

 しかし、今年からは1週早まり、阪神の開幕週で行われる。また現在の阪神芝がかなり高速馬場で昨日は内と前ばかりが活躍していたことや、ここが逃げ馬不在で先行馬も手薄な組み合わせであることを考えると極端なスローペースも視野に入る。

 もしくは意外な馬が色気を持って逃げたり、先行したりして可笑しな展開になる危険性もあるが、ここは極端なスローペースで先行馬有利と決め打った。

■有力馬と評価ポイント

◎ (5)フェアリーライク

 前走の京都芝1800mの未勝利戦で、1クラス上の指数を記録した馬。前走は2番枠から五分のスタートを切り、様子をうかがっていたが、外の各馬を行かせてコントロールし、好位の最内を追走。道中は前が飛ばしていく展開を、やや離れた好位の最内をコントロールしながら進めた。

 3~4角では最内からじわっと押し上げ、レッドフェルメールの後ろを通し切って直線へ。序盤で同馬の外に誘導すると、3列目から一気に抜け出して3/4差ほど前に出る。ラスト1Fでしぶとく差を広げて4馬身差で圧勝した。ここは3~4角の立ち回りが完璧だったが、ラスト1Fでもび続けた内容は高評価できる。

 また本馬は中京芝2000mの新馬戦では出遅れて最後方からの追走となり、3~4角で中団中目で包まれて直線序盤で進路がない状態。ラスト2Fで外に誘導して進路を作ると、じわじわ伸び始めて、ラスト1Fでは強烈な末脚で2着に突っ込んでおり、素質が高い。

 新馬戦ではエンジンの掛かりが悪かったが、これは完成度の低さによるもの。前走ではある程度、改善されていたのでここは期待したい。

○ (11)ウォーターガーベラ

 シンザン記念で14番人気を覆して3着と健闘した馬。シンザン記念では15番枠から出遅れて、押していったが進まずに後方に下がる。道中も後方の最内で我慢して進め、マイネルチケットの後ろから3角へ。

 3~4角でもマイネルチケットの後ろで我慢し、直線序盤で中目に誘導したが、進路を作り切れずにさらに外へ誘導する形。ラスト1Fでしぶとく伸びて3着争いに加わり、マイネルチケットの内から同馬をハナ差で捉えて3着に浮上した。

 シンザン記念はタフな馬場でややハイペース。展開に恵まれた面もあっての波乱の演出だったが、本馬はデビュー2戦目の未勝利戦(中京芝1600m)でも速い流れの好位の外を追走してなかなかの好指数で完勝しており、それくらいやれても不思議ない能力の持ち主ではあった。

 ただし、今回のメンバーでも通用するかというと、展開に恵まれないと微妙な面がある。しかし、今回は前走のきさらぎ賞でオーバーペースで逃げるジェットマグナムを追い駆けての10着失速で、ここへ向けての臨戦過程は◎。前に行って持久力を活かしたいタイプだけに、シンザン記念と同距離に変わるのも好材料だ。先行策で再度の波乱の演出を期待する。