■狙いは“真ん中か、そのやや後ろ”
過去10年の弥生賞でややハイペースになったのは、逃げ馬が大逃げを打ってマカヒキの後方一気が決まった2016年のみ。反対にかなりのスローペースが5回ある。
昨年の勝ち馬コスモキュランダのように、向正面でマクって一発を狙う馬が出現して平均ペースまで上がる年もあるが、基本的にはトライアルらしくスローペースの傾向だ。
脚質別成績では差し馬が6勝。それらの大半は末脚の違いを見せつけた馬たち。2、3着馬を見ると先行馬も台頭してくるが、ここも中団あたりの馬が良く、真ん中かそれよりやや後ろから末脚を発揮する馬が活躍している。このラインより上のエリアが無料で表示されます。
中山11R 弥生賞 芝1800m
◎ (6)ジュタ
○ (7)アロヒアリイ
▲ (12)クラウディアイ
△ (2)ナグルファル
△ (11)ミュージアムマイル
△ (8)ファウストラーゼン
△ (9)アスクシュタイン
結論 馬連6-7,12,2,11,8,9 (10:10:10:10:5:5) 複勝6 (50)
■有力馬と評価ポイント
◎ (6)ジュタ
デビュー2戦目のホープフルSで4着に善戦。ここでは16番枠からやや出遅れ、内の馬との接触もあったが、立て直してコントロールしながら好位の外まで挽回。道中は極端なスローで、向上面では好位の中目で包まれた状況でコントロールしていたが、外からファウストラーゼンがマクったことで中団に下がって3角を迎えた。
3角では外から押し上げてクロワデュノールをマークしたが、4角では同馬に置かれてしまう。それでも好位列を維持し、直線序盤で追われてしぶとく伸びたがまだ3列目。ラスト1Fでもじわじわ伸びて4着を死守した。
前後半5F61秒4-59秒1のかなりのスローペースを考えると、向上面のポジションダウンは痛手。そのぶん3角から仕掛けていけなければならなくなったが、最後までしぶとさを見せられていた。
続く前走では若駒Sを勝利。ここでは9番枠から五分のスタートを切り、じわっと先行して好位の外を追走。向正面で外からミッキーゴールドがマクって一気にペースが上がったが、ワンテンポ待って同馬を追いかけ、4番手で3角を迎える。
3~4角でペースダウンすると中目から進出。しかし、4角で被されたため内へ。すると直線序盤は前3頭が壁になり、仕掛けを待たされてしまう。それでも中目を捌いて一気に抜け出すとラスト1Fで外のミッキーゴールドとの叩き合いを半馬身差で振り切った。
前走はラスト1Fで甘くなった。これは向正面半ばでマクリが発生したことで一気にペースアップし、ラスト2Fで先頭と早めに仕掛けた影響もあったとみている。
本馬はデビューから上昇一途。G1好走後は、先週のチューリップ賞のビップデイジーのように、取りこぼすのが常道だが、前走でしっかり結果を出したことに好感が持てる。折り合い面に問題がなく、もう一列下げれば最後の甘さも解消されるだろう。今回の本命馬だ。
○ (7)アロヒアリイ
キャリア2戦1勝、同舞台の1勝クラス戦2着からの臨戦となる。東京芝2000mの新馬戦では1番枠から出遅れを挽回し、好位の中目からラスト1Fで後続に2馬身半差をつける完勝。その新馬戦の内容が評価され、前走は断然の1番人気(単勝1.6倍)に支持されたが2着に敗れた。
前走は11番枠から出遅れ、促して中団の外目まで挽回。道中は前2頭が競り合ってハイペースになったが、本馬は離れた中団でサトノラポールをマークする形で進めた。
3~4角で前が苦しくなり、一気にペースダウン。ここで中団中目から押して2列目付近まで上がったが、前のサトノラポールもやや減速したことで前が壁に。4角で外に誘導しようにもゴーソーファーにフタをされて動けず、ブレーキをかけながら4角出口でようやく外に誘導した。
直線序盤では3列目に上がり、ラスト1Fで前は捉えたが、4角で勢いに乗せて前に出られたゴーソーファーとの差を詰め切ることはできず。3/4馬身差で敗れた。
ブレーキしてからトップスピードに乗せるには、時間が掛かるもの。スピードに乗せえている間にゴーソーファーに前に出られた形だった。ゴーソーファーと立場が逆なら、本馬が勝っていた可能性も十分あった。ここでの巻き返しに期待したい。
▲ (12)クラウディアイ
デビュー2戦目、休養明けの京都2歳Sで3着と好走。ここでは5番枠から五分のスタートを切り、好位の中目を追走していたが、1角の入口で狭くなり、後方に下がった。道中は中団やや後方で折り合って進めた。
3~4角ではエリキングをマークしていたが、4角で同馬が動かず、その外を狙おうとしたところで外からジョバンニにフタをされてしまう。そこでは仕掛けを我慢し、直線序盤で追われて馬群を割って伸びると2列目に上がった。
ラスト1Fでも踏ん張っていたが、外のエリキングとジョバンニの2頭には突き抜けられ、2列後ろの3着までだった。
しかし、序盤の不利を挽回して3着に善戦したことは評価できる。また、2着馬ジョバンニは次走ホープフルSでも2着と健闘したように、ハイレベル戦でもあった。
本馬も前走はホープフルSで5着。ここでは休養明け好走の反動で指数を下げた。それでも捲って3着の(8)ファウストラーゼンと2馬身半差、4着◎(6)ジュタとは1馬身半差と大崩れしなかったところに成長を感じる。ここで一発あっても不思議なく、侮れない一頭だ。
△ (2)ナグルファル
2戦2勝馬。前走のエリカ賞では2番枠からトップスタートを決めたが、外のイガッチを行かせてその外2番手に。3角手前の上り坂でペースが緩んだが、しっかりと折り合って1馬身3/4差ほど離れた位置で我慢した。
3~4角でも仕掛けを待ち、4角でペースが一気に上がったところで追われて先頭に並びかける。序盤ですっと伸びて抜け出し、1馬身ほど前に出ると、ラスト1Fでそのまま突き抜けて4馬身差で圧勝した。
本馬は前走と同舞台の新馬戦でハナへ行きたがっていたが、前走ではかなりのスローペースをしっかり折り合って勝利。折り合いに進境を見せたことが圧勝につながった。
前走は指数も大幅に上昇させ、(11)ミュージアムマイルの前走(朝日杯FS2着時)に次ぐ指数を記録。今回はそこから休養させて成長を促しての一戦になる。
このメンバーでも実力上位だが、完成度の高い馬で大きな成長は期待しにくい。前走からいくらかでも成長していればチャンスがあるか、という評価になる。
△ (11)ミュージアムマイル
昨年12月、京都芝1600mで行われた朝日杯FSで2着と好走。同レースでは4番枠から出遅れ、後方2番手からの追走となったが、内目のスペースを拾って一気に押し上げて3角は好位の最内につける。
4角は2列目内のスペースを拾って直線で外に誘導。序盤で3番手から2番手に上がったが、アドマイヤズームには突き離され、ラスト1Fで食らいつくも2馬身半差で完敗した。
前走は前後半4F48秒0-46秒1とマイル戦としてはペースが遅く、馬群が凝縮して横に広がっていったことで内のスペースが空いた。そこで位置取りを挽回できたことが好走につながった面もあるが、出遅れを一気に挽回しても最後までバテなかったのは地力があればこそ。後半ラスト2Fでアドマイヤズームに離されたのはトップスピードの差だろう。
出遅れ癖がありキレないタイプなので、距離が長くなるのは間違いなくいいはず。今回は始動戦で目標はこの先だが、2走前の黄菊賞(京都芝2000m)のように中団くらいで運んで3~4角から仕掛けていければ、上位争いに加われる可能性は高い。
△ (8)ファウストラーゼン
昨年暮れのホープフルSでは17番人気を覆しての3着。今回のメンバーでは最先着だ。
前走は11番枠からやや出遅れ、押して追走したが内と外から挟まれて最後方の外へ。接触したこともあって馬自身がひどく掛かり、コントロールに苦労して1角を迎えた。
向正面に入ると大外に誘導、一気にマクって先頭のジュンアサヒソラに並びかけて3角へ。3~4角もそのままの勢いでコーナーを回り、4角でジュンアサヒソラにプレッシャーをかけ、4角ではしっかり先頭を取り切った。
直線序盤はしぶとく踏ん張っていたが、外のクロワデュノールに並ばれるとラスト1Fでは甘くなり、最後はジョバンニにもかわされて3着だった。
前走は折り合いを欠いて無理なマクりのようにも見えたが、向正面で手が動いており、レース後のコメントからも最序盤の不利で最後方に下がってからの騎乗は意図的だったようだ。
向正面でペースが落ちたところで上手くマクれたことと、ブリンカー着用でレースに集中できるようになったのが好走の要因だろう。デビューからの2戦はレースでフラつくところもあったが、前走ではそれが解消されていた。
ただし、前走は消耗度の高いレースになっており、ここは余力面で不安が残る。そのぶん、割り引いた。
△ (9)アスクシュタイン
デビュー2戦目のコスモス賞を圧勝した馬。そのコスモス賞では1番枠からトップスタートを決めてすんなりハナへ。1角で外に逃げようとして外に張ったが、2番手以下を離して逃げた。
3~4角で後続が懸命に手を動かしながら迫ってきたが、本馬は4角でもまだ持ったまま。直線序盤で追われると、後続に3馬身半ほど差を広げ、ラスト1Fではもう独走。結果は7馬身差の圧勝だった。
2歳OPクラスでこの着差の勝利は相当な指数を記録したと思ったが、計算すると指数は特に優秀なわけではなく、他馬が全く走らなかったことによる独走劇だったようだ。
本馬は函館芝1800mの新馬戦でも逃げ切り勝ちしているように、逃げてこそ。トップスピードで見劣るタイプだけに、コスモス賞のように飛ばして逃げるのがベストだ。
2走前の札幌2歳Sは、逃げたが相手が強くてリードを奪い切れず、後続にプレッシャーをかけられて苦しくなったもの。また前走のホープフルSは出遅れが全てと言っていい。休養中に成長し、ここでゲートを決めたならば逃げて上位食い込みがあっても不思議ない。
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阪神11R 大阪城S 芝1800m
◎ (4)ウエストナウ
○ (7)トーセンリョウ
▲ (5)グラティアス
△ (9)オールナット
△ (12)デビットバローズ
△ (13)サンストックトン
△ (3)ラインベック
△ (1)バレエマスター
結論 馬連4-7,5,9,12,13,3,1 (15:10:8:8:5:3:1) 複勝4 (50)
■逃げ馬不在も2列目候補は多数
昨年の大阪城Sで逃げて3着に粘った(10)ショウナンマグマはすっかり折り合い重視で前に行かなくなっており、逃げ馬不在。(3)ラインベックがハナを主張できる組み合わせだが、同馬は前走から2Fの距離延長になるので控える可能性もある。そうなると意欲の連闘策で前走で芝1800mを経験している(5)グラティアスが逃げることになりそうだ。
ここは逃げ馬不在だが、2列目候補は多数の組み合わせ。極端なスローはないにせよ、平均よりのスローペースにはなるだろう。先行馬が有利と見て予想した。
■有力馬と評価ポイント
◎ (4)ウエストナウ
デビュー2戦目の京都新聞杯で2着に健闘した素質馬。この京都新聞杯では5番枠からまずまずのスタートを切り、押してハナを主張し、取り切る。1角手前で自ら外に膨れるロスがあったが、そこからはコントロールして進め、向正面では顕著にペースを落とし、団子状態に。
3角の下りでじわっと仕掛けてペースを引き上げ、4角で外から2列目勢が並びかけると、一気に仕掛けて先頭を維持して直線へ。序盤でしぶとく踏ん張ってクビ差のリードを維持していたが、ラスト1Fで最内から捌いて上がったジューンテイクに差されてクビ差で敗れた。
このように本馬は前に行って揉まれない競馬をしてこそのタイプ。神戸新聞杯では前に行けず、4角出口で進路が狭くなってブレーキで立て直す場面もあって11着敗退。菊花賞では距離も長くて11着に大敗した。
しかし、前走の飛鳥Sでは2走前に芝1600m戦を使った効果で行きっぷりが一変。4番枠から五分のスタートだったが、押して二の脚で2番手を追走。道中は極端なスローだったが、ブリンカー効果で我慢が利いており、逃げ馬と3/4差で3角を迎える。
3~4角では逃げ馬にプレッシャーをかけながら押し上げて、先頭列で直線へ。序盤で抜け出してリードは1馬身半ほど。ラスト1Fでも本馬をマークして上がったミスターシーティーに食らいつかれたが、差を詰めさせずに1馬身半で勝利した。
前走は2番手から勝ちに行く競馬で、メンバー最速の上がり3Fを記録。京都新聞杯で上位のジューンテイク(その後の神戸新聞杯・2着)、ヴェローチェエラ(その後、3連勝で日経新春杯・4着)、アドマイヤテラ(後の菊花賞3着)等にはすっかり遅れを取ってしまったが、ここで遅れを取り戻してくれることを期待する。
○ (7)トーセンリョウ
2走前にハイレベルな中日新聞杯で4着に健闘した馬。2走前は5番枠から五分のスタートを切り、無理をさせずに中団やや後方の最内を追走。道中も中団最内で前のマテンロウレオとのスペースを置いて進めた。
3角手前で横の馬に前に入られまいと追っつけると、3角下りでマテンロウレオとのスペースを詰めてしまってそこから進路がない状態。4角でマテンロウレオの最内をこじ開けながら中団で直線へ。
結局進路を作り切れず、序盤でマテンロウレオの後ろへ戻して外へ誘導。ラスト1Fを過ぎても進路を作れずに中目でまごついていたが、最後に2着争いまで突っ込んだが、アタマ+アタマ差の4着までだった。
2走前はデシエルトが逃げてハイペース。ここでは本馬の前で進めていたマテンロウレオが3着だったように、イン差し有利の展開。マテンロウレオの後ろをそのまま通し切っていれば、決め手の差でもっと上の着順が狙えた可能性のあった内容だった。
本馬は東京2000mで前後半5F62秒8-57秒7の極端なスローペースとなった3走前の甲斐路Sで中団外からじわじわ伸びてマイネルエンペラー(その後の日経新春杯・3着)を撃破して勝利しているように、スローでもやれる馬。
前走の白富士Sは2走前に自己最高指数を記録した後の楽をさせた一戦で体も太く、末脚が不発したが、ここでの巻き返しを期待する。
▲ (5)グラティアス
2023年の阪神芝1800m戦、ポートアイランドSでエアファンディタ(昨年のチャレンジC・3着)を撃破し、ドーブネ(昨年の中山記念・2着)と小差の2着に健闘した馬。
そのポートアイランドSでは、5番枠からまずまずのスタートを切り、押して外のワールドリバイバルと先行争い。最終的にはワールドリバイバルを行かせ、内のサブライムアンセムがひとく折り合いを欠いていたので控えて好位の外を追走した。道中も好位の外からドーブネをマークして進めた。
3~4角で押し上げて2列目の外から直線へ。直線序盤でドーブネの外に誘導してしぶとく伸び、先頭の同馬と3/4差。ラスト1Fでもしぶとく食らいついたが、ドーブネの差は詰まらず、3/4差で敗れた。
本馬は本質的にマイルは忙しいが、このポートアイランドSは稍重で時計が掛かっていたことで結果を出した。
近2走は中距離路線を使われ崩れているが、前走の中山記念は超高速馬場の時計勝負に泣く形。能力を出し切っての敗戦ではないので、時計の掛かる阪神芝1800m戦のこの舞台で期待してみたい。前走はブリンカー着用で外枠から楽に2番手に行けたこともここへ向けては好材料だ。
△ (9)オールナット
2走前の嵯峨野Sでは、次走で斑鳩S(3勝クラス)勝ちのタガノエルピーダを撃破して勝利した馬。2走前は2番枠からまずまずのスタートを切り、内から押してハナを主張したシュタールヴィントを行かせて2列目の最内を追走。道中はかなりのスロー。シュタールヴィントとのスペースを作って進めた。
3~4角で前のスペースを潰して4角出口で仕掛け、直線序盤で前2頭の外に誘導。2頭に食らいついて、ラスト1Fですっと抜け出し、半馬身差で勝利した。
前走は京都芝1800mで前後半5F47秒9-45秒5の極端なスローペースで2列目から最内をロスなく立ち回れたことが好走要因。前走の東京新聞杯は芝1600mで追走がやや忙しく、9着に敗退したが、ここもややスローが濃厚の組み合わせ。先行策でレースの流れに乗れれば通用していいはずだ。
△ (12)デビットバローズ
昨年の大阪城Sの2着馬。この大阪城Sでは9番枠から好スタートを切り、列目の外を追走。中目からハナを主張したショウナンマグマに内と外から抵抗する馬がいて序盤のペースが速くなり、ここで3列目に下げた。
道中はペースが落ち着き、4番手で3角に入ると、3~4角で再び2列目付近まで位置を上げて直線へ。序盤でしぶとく伸びて先頭列に並びかけ、ラスト1Fで抜け出したステラヴェローチェにアタマ差まで迫った。ここでは3着馬に2馬身差を付けており、ハンデ重賞なら通用レベルの指数を記録した。
本馬はその後の新潟大賞典では4着、巴賞でも2着に善戦。2走前の函館記念は巴賞好走後の中1週が応えたようで本来の走りではなかったが、立て直された長期休養明けの前走、洛陽Sではハナ差2着に善戦。前走は去勢効果で好位の中目で揉まれる競馬でも対応できていた。今回は長期休養明け2戦目となるだけに、反動が出る危険性もあるが、スムーズに前進すれば通用の余地がある。