2020年 フローラS・マイラーズC

●フローラS

フローラSは、みなさんもご存知のオークストライアル。このレースは桜花賞から中1週で行われるため、桜花賞組の参戦はほどんどありません。このためレベルが低い年もありますが、3年前の優勝馬モズカッチャン(次走オークス・2着)のように、遅れてデビューした大物が出現することもあります。

2016年のオークス2着馬チェッキーノも、2013年オークス3着馬デニムアンドルビーも、2010年に史上初のオークス同着を決めたサンテミリオンも、このレースの優勝馬です。今年の桜花賞はレベルが高かったものの道悪で消耗度が高く、上位馬は次走・オークスで余力を残しづらいレースとなっただけに、前記の馬たちのようなキャリア4戦以内の連続連対馬が勝てば、本番に繋がる可能性もあるでしょう。

また、フローラSのペース傾向は、いたってワンパターン。天皇賞(秋)と同じストレートが長い東京芝2000m戦は、本来、緩みないペースが発生しがちですが、フローラSはまだ体力のない3歳牝馬同士の対決。しばしばスローペースが発生し、前からの押し切りが決まっています。実際に過去10年を見ても、良馬場(高速馬場)で行われた年でハイペースになったことは一度もありません。(緩みの少ない流れとなった2016年度は良馬場発表も、午前中に雨の影響あり)

また、過去10年で1番人気を裏切った馬の5頭中4頭は、4コーナー9番手以下だった馬。該当馬は2017年ホウオウパヒューム、2016年ビッシュ、2014年マジックタイム、2011年ダンスファンタジア(ただし、この時は道悪で消耗戦)で、遡れば2009年ミクロコスモスもそうです。

もちろん、良馬場でも3コーナー9番手以下らかでも届く場合もありますが、その場合は2014年のサングレアルや昨年のヴィクトーリアのように内枠を利して終始内々でロスなくレースを運び、4コーナーで外目に持ち出すような乗り方でないと勝ち負けするのは容易ではないでしょう。確かに、一昨年のこのレースでは、サトノワルキューレの大外一気が決まりましたが、よほどの瞬発力の持ち主でないと厳しいものがあります。

今年の東京芝コースは例年ほどの超高速馬場ではありませんが、千両賞を逃げ切り勝ちしシャンドフルールが内枠を利しての逃げ。これに外からセントポーリア賞で2番手から勝利したショウナンハレルヤが内に切り込みながら、ここも2番手を狙って来るかというメンバー構成。ウインマリリンやスカイグルーヴなどの先行馬も出走しており、ある程度はレースが流れる可能性が高いですか、それでも平均ペースくらいで収まる公算大。そこを考えると、やはりある程度は前の位置を取れる馬を本命にするのがベストで、前か後ろかを問われれば、やはり前に行ける脚のある馬が優勢でしょう。

●マイラーズC

安田記念のステップレースの位置付けとなるマイラーズC。このレースは4月の阪神最終週から、4月の京都開幕週に舞台を移して、今年で9年目。しかし、京都に移してから、このレースの優勝馬で安田記念を制した馬は皆無。昨年のインティチャンプは、このレースをステップに安田記念を優勝していますが、同馬はこのレースで4着に敗れており、また、一昨年の2着馬モズアスコットも、マイラーズC・2着後に、オープンの安土城Sを叩いての安田記念終出走でした。

これは、なぜか? 良馬場ならば走破タイム1分32秒台は当然、1分31秒台でも平気で出るほどの超高速馬場で、スピードばかりが求められるからでしょう。前哨戦は無理をさせないことも大切ですが、「負荷」も求められます。つまり、心肺機能(スタミナ)の強化です。しかし、マイラーズCではスタミナを補えないのだから、本気で安田記念を勝ちたいのであれば、ここをステップにして勝ち負けするのはタブーでしょう。

それだけスピードが問われるレースだからこそ、コーナーロスは致命的。3年前のイスラボニータとエアスピネルの勝敗を分けたのも、終始インにこだわて騎乗したイスラボニータ&ルメール騎手と、外から来られて外に出しながらの競馬になったエアスピネル&武豊騎手の差。また、一昨年のこのレースを制したサングレイザーは、終始中団の内々でレースを進めて、直線で外に持ち出した福永騎手の完璧騎乗によるものでもありました。

今年の京都芝コースは、前開催が異常に時計を要していたこともあり、例年のような超高速馬場ではありません。京都芝1600mは最初の3コーナーまでの距離が715mと長く、逃げ、先行馬が集うとある程度ペースが上がりますが、今回の実績馬は前走で差し、追い込み競馬をした馬ばかり。逃げ、先行馬が手薄なだけにスローペースが濃厚でしょう。

また、今回で一番の実績馬は昨年の春秋のマイルG1を制したインディチャンプですが、昨春のこのレースや、昨春の毎日王冠のように、叩き台に徹してくるのか? いかにも叩き台の仕上げではありますが…同馬がぶっ飛ぶとなるといくらでも波乱の可能性がありそうです。

2020年 福島牝馬ステークス

福島牝馬Sはローカルで行われることもあり、注目度こそ高くないものの、阪神牝馬Sと並ぶヴィクトリアマイルのステップレース。阪神牝馬Sと比べるとレースの格が落ちる上に、こちらは愛知杯や中山牝馬S組などの中距離路線組が集うことが多く、超高速馬場でスプリント色も問われることが多い本番ヴィクトリアマイルにはあまり繋がっていません。

それでも過去に福島牝馬Sの2着馬デンコウアンジュ(11番人気)や5着馬ミナレット(18番人気)が、本番ヴィクトリアマイルで2着、3着と好走し、超高配当を演出しました。今年も福島牝馬Sから、本番でアドバルーンを打ち上げる馬が現れるのか? 穴馬発掘という意味でとても楽しみな一戦です。

また、阪神牝馬Sはヴィクトリマイルの前哨戦らしくスロー~平均ペースよりになりやすいのに対して、こちらは平均~ハイペースになりやすいのが特徴。これはカワキタエンカのような決め手よりも持久力を生かして逃げ、先行したい馬が時計の掛かる馬場を求めて多く出走してくるもの理由ですが、福島芝1800mのコース形態も影響しているはず。

福島芝1800mは、最初の1コーナーまでの距離が約305mとローカル競馬場ではもっとも長い上に、1コーナー手前から下り坂。このため逃げ、先行馬が集うと、前半ペースが上がります。標準馬場でも前半3F34秒台と極端にペースが速くなる場合があります。

福島芝1800mは、最初の1コーナーまでの距離が約305mとローカル競馬場の芝1800m戦としてはもとも長く、そのうえ福島芝コースは最後の直線が292m(Bコース使用時は、297.5m)と短いので、前がよほどバテないと直線一気が決まりません。このため後続馬も早仕掛けしてくるので、牝馬限定戦ながらハイペースになりやすく、総体的に逃げ馬よりも差し馬が有利の傾向です。

今年もモルフェオルフェを始めとする逃げ馬が揃った一戦。しかも、同馬は外枠でハーレムライン、ショウナンバビアナ辺りが続いて、内からアロハリリーやサラキアなどが抵抗して行くでしょうから、道悪の先週から馬場が回復しても、速い流れが濃厚。差し馬中心で予想を組み立てたいです。

2020年 アンタレスS・皐月賞

●アンタレスS

アンタレスSは、上半期の大一番・帝王賞に向けての出発点となるレース。2012年度よりマイラーズCと入れ替わる形で京都で行われるようになり、これまでにゴルトブリッツ、ホッコータルマエ、アウォーディーなどがこのレースを制して、同年の帝王賞た同年のG1を制しました。つまり、新星が誕生することがとても多いレースです。

このレースが行われる阪神ダ1800mは、最初の1コーナーまでの距離は約303m。スタートしてすぐにコーナーがあるので最短距離と立ち回れる内枠の馬が有利(揉まれ弱い馬にとっては、各馬が最序盤から内に切り込んでくるのでハナに行き切らないと不利)。最初の1コーナーまでの距離が約286mと短い、京都ダ1800m(代表レース:みやこS)と類似したコースとなっています。

みやこSといえば、昨年、大外枠のインティがハナに行けずに外を回った上に、無理に前に競り掛けてオーバーペースが発生。大敗したことが記憶に新しいです。それだけに今回、ハナへ行きたいメイショウワザシが大外枠に入ったことが、乱ペース発生の不安の種となるかもしれません。

しかし、この時期の阪神ダートは雨の影響でダートが軽いことが多く、多少のハイペースでも逃げ、先行馬が残れていることがポイント。2015年にはクリノスターオーとアジアンエクスプレスの行った、行ったが決まったこともありました。本日も不良馬場からの馬場回復で高速ダートが予想されるだけに、今年も前と内を主体に馬券を組み立てたいです。

●皐月賞

かつては皐月賞トライアルの弥生賞やスプリングSで勝ち負けして、皐月賞馬となるのが主流でした。ナリタブライアン、ディープインパクト、オールフェーヴルなどの3冠馬は、全て弥生賞かスプリングSの覇者です。しかし、近年は共同通信杯を始めとする別路線組の活躍が目立ちます。

これはなぜか? ひとつの理由は皐月賞トライアルのレベル(決着指数が低い)こと、もうひとつの理由は、皐月賞トライアルを休養明けで勝ち負けしていることです。2017年、2019年は弥生賞、スプリングSのレベルが低く、別路線組が優勝したパターン。2015年は弥生賞のレベルがそれなりに高かったものの、優勝馬のサトノクラウンは休養明けでの激走となったために、皐月賞では二走ボケを起こしました。

これを今年に当てはめると、弥生賞馬のサトノフラッグは、サトノクラウンに該当しないか(?)ということです。サトノフラッグは弥生賞馬でホープフルSの3着、5着馬を降し、クラシック戦線の3強の一角として一気に名乗りを挙げましたが、裏を返せばそれだけハードなレースをしているということ。二走ボケを起こしても不思議ではありません。

一方、1コーナーまでの距離が405mと十分あり、ゴール前の急坂を2度も超える中山芝2000mで行われる皐月賞は、最短距離を立ち回った馬が断然有利の日本ダービーよりもフロックが利かず、強い馬が勝ち負けするコース。(極端なスローペースが発生しづらいらめ) 一般的なレース以上に、強さの裏付けがなければ、勝ち負けするのが難しいコースです。それだけに強さにローテーションの予想を加味しながら、予想を組み立てたいレースです。

2020年 アーリントンカップ

かつてオグリキャップが中央馬を相手に初勝利を飾ったことで有名なペガサスS。その後、アーリントンパークとの交換競走となり、名称が「アーリントンC」に変更。一昨年より2月から4月に移行し、NHKマイルCのトライアルレースに位置付けられました。

しかし、このレースは2月に行われていた頃よりも、NHKマイルCやクラシックに繋がらなくなくなりました。3月に行われていた頃は、2014年のミッキーアイルのような連勝馬、素質馬が通過点として出走してくることが多かったですが、この時期に移行してからは、ニュージ―ランドTや桜花賞から中1週で行われるため、トップクラスのマイラーが集まりづらいからでしょう。

今年も重賞ではやや足りなかった馬VS上がり馬の図式。朝日杯フューチュリティSの上位馬が上位人気に支持されていますが、同レースではビアンフェがオーバーペースで逃げたことで展開に恵まれ、上位着順を拾ったもの。それはグランレイのその後の成績を見れば一目瞭然で、決して実力断然の存在ではありません。それだけに他馬にも付け入る隙がありそうです。

また、このレースが行われる阪神芝1600mは、先週の桜花賞の傾向でもお伝えしたように、最初の3コーナーまでのストレートが約444mと長く、逃げ馬の出方次第では、スローペースにもハイペースにもなります。桜花賞は雨の影響で馬場悪化が著しい上に、スマイルカナが内から先手を主張したところ、外からレシステンシアが2番手に上がって競り掛けたことで、前が厳しい展開となりました。

しかし、今回は逃げると指数を上昇させるノルカソルカが最内枠に入ったことで、同馬の逃げが濃厚。これに外枠のロードベイリーフがどこまで競り掛けて行くですが、この2頭はどもに1勝馬。行き切って押し切れるだけの実力の裏付けがないので、平均ペースかやや速いくらいで収まると見ています。実際にこのレースは、逃げ、先行馬が手薄になることが多く、過去10年ともスローペース~平均ペースで決着しています。(ただし、全て良馬場)

配当妙味がある馬は、ある程度、前の位置を狙って行ける馬。昨年はイベイス本命で、バッチリ万馬券を当てたレースでもあるので、今年もどうにか当てたいレースですが、イベリスほど前走で厳しいレースをしている馬がいない(=ここが大目標の馬がいない)ことがネックかなあ?

2020年 桜花賞

桜花賞はこれまで数々の1番人気馬が人気を裏切ってきました。2012年・ジョワードヴィーブル→6着、2013年・クロフネサプライズ→4着、2015年・ルージュバック→9着、2016年・メジャーエンブレム→4着、2017年・ソウルスターリング→3着、2018年・ラッキーライラック→2着。2019年・ダノンファンタジー→4着など。それもルージュバック、メジャーエンブレム、ソウルスターリン、ラッキーライラックは、単勝オッズ1.0倍台の断然人気馬です。

これらの共通項はというと、メジャーエンブレムを除いて、休養明けで前走の重賞を好走した馬たち。特に、前走で重賞を制した1番人気馬の桜花賞でのぶっ飛び率は、半端なものではものではありません。2015年は前走・休養明けできさらぎ賞を制したルージュバックと前走・休養明けでチューリップ賞を制したココロノアイ(2番人気)が10着に敗れて大波乱。

過去10年で休養明けでチューリップ賞を制して桜花賞馬となったのは2014年の1番人気馬ハープスターのみですが、同馬はそれまでのキャリアが4戦と浅い馬。桜花賞では指数を上昇させての優勝でした。(過去10年で休養明けで重賞を勝って、桜花賞馬となったのはハープスターだけ) 

確かに成長途上のキャリアの浅い段階でチューリップ賞を制した馬ならば、桜花賞を成長力で突破する場合がありますが、名馬でも休養明けで走り過ぎれば二走ボケを起こすことを証明しています。他に2010年に1番人気でアパパネが優勝していますが、同馬は前年の阪神ジュベナイルfの覇者でありながら、前走のチューリップ賞では、2着に敗れています。さて、今回で二走ボケを起こす馬はどの馬か?

また、桜花賞が行われる阪神マイルは、昨日の阪神牝馬Sの傾向でもお伝えしたように、最初の3コーナーまでのストレートが約444mと長く、逃げ馬の出方次第では、スローペースにもハイペースにもなります。昨日の阪神牝馬Sは、先行馬揃いではありましたが、逃げ馬はトロワゼトワルのみで、鞍上がハイペースを嫌う騎手だったこともあり、平均ペースで収まりました。

今回の桜花賞は、逃げ馬がスマイルカナ、レシステンシアの2頭。スマイルカナは馬群に入れた赤松賞、チューリップ賞が凡退の一方で、ハナへ行った場合は3戦3勝。特に緩みないペースで逃げたフェアリーSがしぶとく粘って優勝したこともあり、同馬は逃げ宣言。スマイルカナがハナへ行く気になれば、外枠のレスステンシアは逃げられないでしょう。

レシステンシアは折り合っても問題のない馬ですが、その場合はファンタジーS勝ちや前走のチューリップ賞3着の実績が示すようにトップクラスの一頭のパフォーマンスでしか走れない馬。一方、阪神ジュベナイルFでは圧勝しているように、玉砕逃げを打てばえげつなく強いです。それだけにスマイルカナに競って行く可能性が高く、馬場が悪化するほどハイペースになる可能性が高いでしょう。

レシステンシアが自分の型に嵌めなかった場合には、ほぼ横一線という力関係だけに荒れる要素は満載ですが、ハイペースが想定される以上、展開上有利なのは差し、追い込み馬。穴狙いをするのであれば、それらを本命にするのがもっとも有効と言えます。

2020年 ニュージ―ランドT・阪神牝馬S

●ニュージーランドT

ニュージーランドTは、先週のダービー卿チャレンジTと同じ中山芝1600mが舞台。中山芝1600mは高低差5.3mの最高地点からスタートして、3~4コーナーに向かって約4.5m下るコース。しかし、最初の2コーナーまでの距離が約240mと非常に短く、外枠の馬が序盤からスピードに乗せてペースを引き上げると2コーナーで外に膨らむことになります。このため先週のダービー卿CTのように、内枠の馬が競り合ってペースを引き上げない限り、序盤のペースはさほど上がりません。

ただし、序盤でペースが上がらない場合、後続馬が中山の最後の短い直線を意識して、向こう上面から動いて位置を上げてくるので、特に上級条件ほど緩みないペースが生まれやすい傾向。昨年のように馬場が急に高速化して、騎手が前へ行く意識が薄らいで、前を残らせてしまうような決着はそう多くはありません。

今回は内から万両賞を逃げて圧勝した、テンの速いカリオストロが逃げる可能性が高いですが、同馬がハナとなると他騎手が怯んでペースがそれほど上がらない可能性も…。もちろん、今回が初騎乗のヒューイットソン騎手がペースを引き上げなければ、ハーモニーマゼランやソングオブザハートが競って行く可能性もありますが、今回は逃げ、先行馬が内目の枠に入ったことで、スムーズに隊列形成が決まり、平均ペース前後で決着する確率が高いと見ています。

また、先週からBコース替わりとなりましたが、先週の日曜日も外の馬がそれほど伸びず、内枠の逃げ、先行馬の押し切りも決まっていました。それだけに円状コースの中山芝1600mらしく、内枠か内々を通した馬が有利になる公算大。フルゲート16頭立てだけに、外枠の差し馬、例えばシーズンズギフトのようなタイプは狙い下げたいです。

●阪神牝馬S

阪神牝馬Sはかつて芝1400mで行われていましたが、2016年度よりヴィクトリアマイルと同距離の芝1600mで行われるようになりました。これによりメンバーレベルがアップ。昨年のこのレースの覇者ミッキーチャームのように、中距離路線組が多く参戦し、遡ればミッキークインなど、それらの馬が多く活躍しています。

しかし、ほとんどの中距離路線馬は、マイル戦では楽に逃げ、先行するスピードがないので、芝1400m時代から一転してレースがスローペース化。重馬場で行われた2017年こそ前が崩れているものの、2016年、2018年ともに逃げ馬の逃げ切りが決まっています。ただし、桜花賞と同舞台である阪神マイルは、最初の3コーナーまでのストレートが約444mと長く、逃げ馬の出方次第ではハイペースにも転がる要素があります。

今回は昨秋の京成杯オータムHを逃げて楽勝したトロワゼトワルが逃げる可能性が高いですが、鞍上がハイペースの逃げを嫌う藤岡康騎手。京成杯オータムHのような大逃げはかまさないでしょう。しかし、先行馬多数のメンバー構成だけに、あまりペースを落とし過ぎれば、最初のストレートが長いコースだけに競られます。ここはさすがに平均ペースくらいまで、ペ―スが上がるのではないでしょうか。枠順による有利不利もないコースだけに、能力重視で予想を組み立てたいです。

競馬王5月号『中野省吾奮闘記』掲載

実は中野騎手には、日本人初のコロナ感染騎手になっていたかも〜なエピソードがありました…Σ(・ω・ノ)ノ!

4月8日発売の競馬王5月号『波乱万丈!中野省吾奮闘記~着地点を探して~』では、中野騎手が謎な四つん這い生活をする意味と近い将来の目標を掲載しています。

中野騎手、最近ふつーの人になったような気がしてましたが、やはり変人でした(;’∀’)


2020年 東京スプリント

今年のトゥインクルナイター開幕後、最初のダートグレードとなる東京スプリント。このレースはダートグレードとしては歴史が浅く、今回で12回目。かつて4月に行われていたJRAのプロキオンS(阪神ダ1400m)が夏場へ移行し、3月の黒船賞から5月のかきつばた記念まで短距離のダートグレードがなかったことから、3月に行われていた東京シティ盃が「東京スプリント」と名を改め、この時期に施行されるようになりました。

4月に行われる短距離のダートグレードはここだけ。そのうえダ1200m戦は前年のカペラS以来となり、この先も6月の北海道スプリントカップまで番組がありません。このため前年のG1・JBCスプリントがダ1200mで行われた年は特に、JBCスプリントの上位馬をはじめとする、ダ1400mよりもダ1200mでこそのトップスプリンターが集います。しかし、2017年のニシケンモノノフのように、前年のJBCスプリントの優勝馬でありながら、その後に順調さを欠いて通用しない場合もあります。

それでもやっぱり実績は重要……

続きはこちら!
https://umanity.jp/racedata/columndet_view.php?cid=12268

予想はこちら!
https://nar.umanity.jp/coliseum/coliseum_view.php?user_id=3100000007&race_id=2020040820010311

2020年 大阪杯

大阪杯はG1に昇格して今年で4年目。かつてのこのレースは天皇賞(春)の前哨戦のひとつでしたが、G1になって賞金は約2倍。天皇賞(春)では距離が長いという馬には、当然、ここが本番になります。しかし、ここから始動する馬は、さすがにここが本番ではないでしょう。

2017年のキタサンブラックは、前年のG1で2勝、2着1回、3着1回と実績断然、能力が抜きん出ていたので始動戦でも優勝しましたが、それでもそれまでG1・未勝利、前年の天皇賞(秋)の3着が最高というステファノスに0.1秒差まで詰め寄られました。キタサンブラックとしては凡走のPP指数で1着。つまり、ここから始動するワグネリアンはここが本番ではないということです。

ただし、今年は1番人気のダノンキングリーを始め、始動戦の前走でPP指数の最高値をマークした馬、それに準ずる指数をマークした馬が多数。休養明け好走後で好走した反動が出て、前走比で指数を下げても不思議ない状況下です。今回でどの馬が上積みがあるのか(?)を読むのが焦点となってくるでしょう。

また、大阪杯が行われる阪神芝2000mは、スタートしてから最初の1コーナーまでの距離は約325mと短いため、内枠有利の傾向。特に大阪杯は先週までAコース→今週Bコースに替わるため、なおさら内枠が有利になります。

実際に大阪杯がG1に昇格された2017年も2番枠のキタサンブラックと4番枠のステファノスのワン、ツー決着でした。また、2018年も大外15番枠から向こう上面で一気に先頭に立ち、内々と通ったスワーヴリチャードが優勝。2~3着馬も内目の枠から内々を追走した馬でした。また、昨年も前年の有馬記念の覇者ブラストワンピースが外目の枠から3~4コーナーの外を回して1番人気を裏切り、3番枠のアルアインが優勝。2番枠のワグネリアンが最短距離を追走して、長期休養明けながら3着と好走しています。

さらに阪神芝2000mは、スタート直後に上り坂があるため、あまりペースが速くならないのがポイント。特に近2年は逃げ馬不在だったこともあり、超絶スローペース。逃げ馬不在で先行馬に武豊騎手、ルメール騎手など、目標となる騎手がいなかった一昨年は、5F通過が61秒1の異常なスローペースで3コーナーに当たる5F目から一気にペースが上がり、ラスト4F目から1ハロン11秒台前半のロングスパート戦になりました。スローペースになるほど、3コーナー地点で前と内がより有利の決着になります。

さて、今年はどうかと言うと、ジナンボーが逃げる展開ならスローペースが濃厚でしょう。しかし、今回はロードマイウェイが最内枠に入り、スタートが上手い武豊騎手に乗り替わったことで、ハナを主張する可能性もあります。いや、こちらの可能性が高いかもしれません。武豊騎手は競られることを嫌ってスローペースで逃げることを嫌う騎手だけに、ロードマイウェイが逃げるとするならば、平均ペースまで上がるでしょう。今回はどちらが逃げても対応できる形で予想を組み立てたいです。

2020年 ダービー卿チャレンジT

ダービー卿チャレンジTは、ハンデ戦ながら、この先のマイラーズCや京王杯スプリングC、さらには安田記念へと繋がる一戦。このレースの優勝馬には、ショウワモダン(2010年)、トウケイヘイロー(2013年)、モーリス(2015年)のように、同年の安田記念や秋のG1戦線で活躍している馬もいます。上がり馬が勝てば、この先のG1レースが見えてくる場合もあります。

また、2010年にショウワモダン(2番手)とマイネルファルケ(1番手)と行った、行ったが決まっているように、中山芝1600m重賞としては珍しいほど、スローペースとなることがあります。先週Aコース→Bコースに替わることで、前週よりも馬場が高速化することが多いからでしょう。騎手は前週の感覚でレースをすることが多いので、結果、逃げ、先行馬を残らせてしまっているのです。

しかも、前回の火曜日の開催が雪の影響で稍重発表以上にタフな馬場でしたから、良馬場の今回は少なからずとも高速化するはず。それだけに前に行く馬は警戒したほうがいいでしょう。

また、秋の中山開幕週で超絶~超高速馬場で行われることが多い、京成杯オータムHほど顕著ではありませんが、インコースを通れる内枠の馬が活躍しているのも事実。2017年に優勝した3番枠のロジチャリスを始め、過去10年で4番人気以下で優勝した馬は、全て内枠か内々を通した馬でした。この辺りは、最初のコーナーで内に入れられないと、終始外々を回らされてしまうことになる円状コースの中山芝1600mの傾向どおりと言えます。

今回は逃げなければ持ち味が生きないトーラスジェミニに、逃げるとしぶとい大外のマイスタイル、2列目狙いのボンセリヴィーソ、前走から2Fの距離延長と1番枠で前に行く可能性が高いナインテイルズ、クルーガーと逃げ、先行馬が集いました。2番枠のストーミーシーも前走の東風S同様に、スタートを決められれば前に行くでしょう。

さすがにある程度はペースが上がると見ています。しかし、全体的な傾向としてBコースに替わることで、厚程度ペースが速くなっても前からの押し切りが決まっているだけに、前に行く馬を侮り過ぎないほうがいいでしょう。