2019年 日本テレビ盃の予想

日本テレビ盃は、JBCクラシックの前哨戦。実績馬にとっては、この先のJBCクラシック→チャンピオンズC→東京大賞典へと続く始動戦になります。つまり、実績馬にとって、このレースの位置付けは叩き台。基本的には夏場に順調にレースを使われている上り馬が活躍しています。

しかし、上がり馬が出走してくることがそれほど多くないのも事実。特に、ブリーダーズゴールドCが牝馬限定戦へと様変わりした近年はその傾向がより強く、夏の上がり馬はこの後に行われるシリウスSや翌週の白山大賞典へと駒を進めることが多くなりました。休養明けの実績馬同士の対戦図式になることがとても多くなったのです。

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2019年 神戸新聞杯・オールカマー

●神戸新聞杯

セントライト記念は上がり馬が集う舞台に対して、神戸新聞杯は日本ダービーの上位馬が集う舞台。また、本番・菊花賞にも繋がるレースで、過去10年の菊花賞の優勝馬のうち、9頭がこのレースで3着以内の馬でした。今年もここから菊花賞馬が誕生するのか?

また、今年は皐月賞と日本ダービー上位のサートゥルナーリア、ヴェロックスの2強の牙城を覆せる馬が現れるのかも焦点となって来ます。優先出走権のある実績馬にとってトライアルは、いわば脚慣らしの一戦のようなもの。菊花賞本番はともかく、何としても出走権を手にしたい伏兵馬の一発は十分あるでしょう。

基本的にトライアルは「本番では能力不足だけど、ここでは足りるという馬を狙う」のがコツであり、該当馬がいなければ、実績馬が勝ち負けするというのが構図です。しかし、やみくもに上がり馬を勝っても馬券は当たりません。

神戸新聞杯のポイントは、今回が始動戦の馬が多いトライアルのため、あまりペースが上がらないこと。今年はともかく、近年の日本ダービーはスローペースになることが多いのですが、神戸新聞杯はそれ以上のスローペースになることが多いです。これが日本ダービーで上がり2位以内の瞬発力型の馬が活躍している理由でしょう。

該当馬は、2010年のエイシンフラッシュ(1着)、ローズキングダム(2着)、2011年のオルフェーヴル(1着)、ウインバリアシオン(2着)、2012年ゴールドシップ(1着)、2014年のワンアンドオンリー(1着)、2016年のサトノダイヤモンド(1着)、2018年のエタリオウ(2着)など。

また、前記該当馬が不在の場合は、しばしば逃げ馬が活躍しています。該当馬は、2009年のリーチザクラウン(2着)、2010年のビッグウィーク(3着)、2015年のリアファル(1着)、2018年のメイショウテッコン(3着)など。

ただし、この傾向は良馬場でのもの。天気予報どおりに雨が降って馬場が悪化すれば、多少なりともペースが上がるので、ただ瞬発力がある、スピードがある馬ばかりではなく、総合力(距離適性)が問われるレースになるでしょう。今回はどこまで馬場が悪化するかが定かではないので、前記事項に距離適性も絡めて予想を組み立てたいです。

●オールカマー

オールカマーは先週のセントライト記念と同距離コースで行われます。先週のセントライト記念の傾向で、「超スローペースが発生しやすい」と綴りましたが、想定よりも馬場が回復せず、重馬場になったことで平均ペースまで上がりました。もちろん、楽に先手を奪ったリオンリオンのハナをアトミックホースが奪ったのもあります。

スタートしてすぐコーナーならば、隊列がスムーズに形成されたのですが、中山芝2200mは最初の1コーナーまで約432mもあるので、それほどスピードがない馬でもハナを奪えるということが影響しているでしょう。このように最初のストレートが長いコースは、騎手の采配ひとつでペースが上がる場合もあるのですが、トライアルやステップレースは、どの陣営も無理をさせたくないので、スローペースになりやすい傾向があります。

また、今秋の中山は、開幕週の京成杯オータムHでレコードタイムを記録したように、超々高速馬場。中山芝コースも行った、行ったのオンパレードだったように、良馬場想定ならば4コーナーで前の位置が取れていないと厳しいものがあります。

今回せ逃げるのは、逃げなければ持ち味が生きないトニーファイブが濃厚ですが、同馬の実力では4コーナーまで息が持たない可能性大。4コーナーでどの馬が先頭にいて、2番手は何なのかを読み切ることが馬券のポイントとなるでしょう。

ちなみに他サイトでのものになりますが、オールカマーのコラムを掲載しているので、まだ、ご覧になっていない方は、ぜひ、ご一読ください<(_ _*)>。

https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=160581

2019年 セントライト記念

神戸新聞杯は日本ダービーの上位馬が集う舞台に対して、セントライト記念は上がり馬が集う舞台。セントライト記念は春の実績馬vs上がり馬という対戦図式になりますが、上がり馬に軍配が挙がることがほとんど。実際に今年も勢力図が覆りました。2歳時から活躍している日本ダービー5着のニシノデイジーらよりも、この夏の上がり馬のほうが能力値が上です。(セントライト記念のPP指数は山崎のTwitterで公開中)

また、セントライト記念が行われる中山芝2200mは、超スローペースが発生しやすいのが特徴。中山芝2200mは、スタートしてから高低差約5.3mの最高地点(1コーナー)を目指し、後半で最低地点まで下って行くコース。このため前半のペースが上がりすらいことや、本番・菊花賞に向けての前哨戦になるので、無理なレースをさせて消耗させないのが理由でしょう。

さて、今年はどうかというと、リオンリオンに横山典騎手が乗っている以上、前走のダービーのように序盤から無理をさせない可能性が高いでしょう。リオンリオンは出脚が速くないけど、前に行って持久力を生かさないとダメという馬。出脚の遅い馬は、無理に押して行くとダービーのように完全アウトになるので、おそらく内枠のマテリアルワールドに行かせて、2列目を狙うパターンではないでしょうか。

しかし、マテリアルワールドも出脚の速い馬ではありません。また、大外18番のランフォザローゼスも、この枠だと後方からか、前に行くかの選択が強いられますが、今の中山の内と前が有利な馬場状態を考えると、前を狙ってくるでしょう。もちろん、どこまで雨の影響を受けるかにもよりますが、今開催の中山芝コースは下地が超高速馬場なので、極端には馬場が悪化していないはず。

また、本日は重馬場からのスタートとなるようですが、メインレースが行われる頃には馬場が回復化し、騎手の仕掛けが遅くなる可能性大。それでもランフォザローゼス他、サトノルークスやエングレーバー、ルヴォルグも先行するとなると、それなりにはペースが上がるでしょう。前記の先行勢に対してリードを奪いたいリオンリオンの出方にもよりますが、やはり昨日の中山芝コースのように内と前が有利になるのではないでしょうか。追い込み馬では、連対確保は難しいでしょう。

2019年 ローズステークス

オープン時代の紫苑Sは上がり馬が集う舞台に対して、ローズSはオークスの上位馬が集う舞台でした。しかし、今年のオークス優勝馬ラヴズオンリーユー、3着馬クロノジェネシスは、昨年のオークスの上位のアーモンドアイ、リリーノーブル、ラッキーライラック同様に秋華賞直行。最近はG1レースの優先出走権があるノーザンF育成馬は、前哨戦を使わなくなってきているとはいえ、やや寂しいメンバー構成になりました。

今回はノーザンFの先行馬がダノンファンタジーしか出走していないことから、「ディープインパクト産駒のダノンファンタジーに勝たせたい」と言ったところではないでしょうか。確かに現在の阪神は超高速馬場ということと、トライアルという観点から捲る馬は出現せず(捲って好走すると、本番に繋がらなくなる)、まず、スローペースになるのでしょうが…。

しかし、陣営の目論見どおりに行かないのが競馬です。例えば、どの馬も逃げたがらずに、昨年よりも高速馬場の上に前半4Fが昨年よりも遅い47秒5以上になった場合には、極端な上がり勝負となり、もっとも瞬発力がある馬が勝つことにもなり兼ねないでしょう。要は今回で何が逃げて、どのくらいまでペースを引き上げるのかが、馬券の肝となるでしょう。

2019年 愛チャンピオンSの予想

レパーズタウン競馬場は、左回りで1周約2800m。阪神競馬場のような横長の楕円形コースです。愛チャンピオンSが行われる芝2000mは、2コーナー手前からスタート。向こう上面の約800mが平坦で3コーナーが下り坂、4コーナー手前で急激な下り坂があります。そして最後の直線約400mはずっと上り坂。

コース全体の高低差はあまり大きくないものの、英インターナショナルSが行われたヨーク競馬場よりは馬場がタフです。過去の愛チャンピオンSの決着タイムを見ても、良馬場で2分5~8秒台の時計を要していることから、力の要る洋芝と考えるといいでしょう。また、スタートしてからすぐに左にカーブするため、外枠よりも内枠のほうが有利です。


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ウマニティ
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2019年 オーバルスプリントの予想

2011年にグレードレースとして生まれ変わり、今年で早9年目のテレ玉杯オーバルスプリント。このレースはかつて12月に南関東限定重賞「S2」として行われていましたが、格上げに伴って9月に移行。秋の大一番へ向けての始動戦として、すっかり定着しました。

実はこのオーバルスプリントには、「1番人気は勝てない」というジンクスがあって、過去8年とも1番人気が優勝していません。昨年もJRAのオープンを2連勝し、7月のプロキオンSでも3着と好走し、1番人気に支持されたウインムートが8着大敗を喫しました。また、一昨年も全日本2歳優駿の優勝馬で、NHKマイルC・2着のリエノテソーロが1番人気に支持されましたが、結果は勝ち馬から大きく離されての5着でした。

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2019年 京成杯AH・セントウルS

●京成杯オータムH

京成杯オータムHは、エアレーションやシャッタリングの本格導入により、かつてほど顕著ではありませんが、内枠の馬が断然有利。中山で行われた過去10年では、7枠・8枠の複勝率が15%に対して、1枠・2枠は25%もあります。

7枠・8枠の優勝馬は2008年のキストゥヘブン、2着馬は2011年のアスコットフィス、3着馬は2009年のマイネルスケルツィ、2015年のヤングマンパワー、2017年のダノンリバティ。1枠・2枠の優勝馬は、2009年のザレマ、2012年のレオアクティブ、2着馬は2008年のレッツゴーキリシマ、2012年のスマイルジャック、2016年のカフェブリリアント、2017年のガリバルティ、3着馬は2008年のステキシンスケクン、2018年のロジクライです。

2枠3番のレオアクティブと、1枠1番のスマイルジャック、おまけに1枠3番のコスモセンサーが4着に粘った2012年は、1分30秒7の中山芝1600mのレコードが記録された年。決着タイムが速いほど、内枠有利が顕著。これは中山芝1600mが、円状コースだからでしょう。緩やかなカーブが続くようなコースなので、最初のコーナーで内に入れられないと、終始外々を回らされてしまうことになります。

ただ、中山芝1600mは、高低差約5.3mの最高地点から下って行くコース形態。開幕週でも前半からペースが上がることが多く、逃げ、先行馬はラスト約1Fの急坂で失速しやすい傾向。逃げ馬の優勝は2006年のステキシンスケクンまで遡らなければないし、過去10年で逃げ馬の3着以内は一度もありません。また、先行馬の連対も過去10年で4頭のみです。

しかし、追い込み馬も苦戦の傾向。これは脚質的に4コーナーで外に張られてしまうことが多くなるためでしょう。過去10年では、2015年に唯一、フラアンジェリコ(13番人気)が追い込み勝ちを決めていますが、この年はエアレーションがけっこう利いていて、レースの上がりが掛かっていました。また、4コーナーでは中目を回って、直線序盤で外に進路を切り替えたことが嵌ったことも大きいです。

ただし、起伏が激しいタフなコースの上にペースが上がりやすいレースだからこそ、フラアンジェリコのような前走芝1800m以上に出走していた馬が、高配当の立役者となっているのも確か。他にも前走芝1800m以上を使われていた2008年のレッツゴーキリシマ(12番人気)、2009年のアップドラフト(14番人気)、2010年にキョウエイストーム(7番人気)、2011年にアプリコットフィズ(7番人気)、2018年にミッキーグローリー(2番人気)がこのレースで連対しています。

まとめると京成杯オータムHは、馬場が高速化するほど内枠が有利。脚質は中団~差しが有利。内ぴったりの中団から、位置を上げていくタイプの馬は実力以上の走りが見せられることが多いでしょう。また、人気馬、人気薄ともに前走芝1800m以上のレースに出走していた馬の活躍が目立つ傾向があるので、本命馬とするのも良し、穴馬に一考するのも良しでしょう。ちなみに昨日の中山は、木更津特別(2勝クラス)で1分32秒1の好時計が出たように超高速馬場でした


●セントウルステークス

中団から差しが有利な京成杯オータムHに対して、セントウルSは内枠の逃げ、先行馬が有利。開幕週で高速馬場の上に、最初の3コーナーまでの距離が約243mと短く、しかもコーナーが鋭角気味のため、この地点でハナへ行き切れなかった馬が折り合う形でペースが落ちつくことが多いです。

ただし、前に行ける脚のない内枠の馬は、包まれてしまうこともあり、それを嫌って3年間のビッグアーサーや昨年のラブカンプーのように、積極的に出してレースがハイペースに一転することもあります。昨年は外からハナを主張しているナックビーナスに、内枠のラブカンプーが抵抗する形でハイペースとなりました。

今年はラブカンプーの陣営が「昨年は出して行ったけど、今年は出たなりで」とコメントしているあたりから、今年は内枠のマテラスカイ、イベリスあたりに先に生かせる形。また、案外とペイシャフェリスタが1番枠に入ったことで、包まれるのを嫌ってマテラスカイらに抵抗していくかもしれません。その場合は、かなりのハイペース。そうでなかったとしてもハイペースにはなるでしょう。

また、セントウルSは芝1200mでは唯一のG2ということもあり、休養明けの実績馬がしばしば参戦します。当然、それらは本番を見据えての叩き台として出走してくるわけですが、この時期の阪神開催は超高速馬場で行われるために、息が持って走ってしまうことも少なくありません。これまでも2009年・スリープレスナイト、2011年・ラッキーナイン、2012-2013年・ロードカナロア、2014年・ハクサンムーン、2016年ビックアーサーなどのG1馬が休養明けで連対しました。(昨年はファインニードルが優勝しているものの道悪)

しかし、始動戦を叩き台に使えなかった馬のその次走はむごいことが多いもの。ラッキーナイン、ハクサンムーン、ビックアーサーは本番スプリンターズSで凡退、大敗。スリープレスナイトに至っては、その後、屈腱炎を発症して引退しました。無事だったのはロードカナロアくらいですね。同馬はこのレースで外枠を引いて2着と敗れたことで本番に繋がったのでしょう。(ロードカナロアがG1以外の重賞で勝てなかったのは、内で包まれた2012年の函館スプリントCと2012-2013年のこのレースのみ)

さて、今年の高松宮記念の覇者ミスターメロディはどうか? これまでの流れだと、セントウルSは休養明けのG1馬は「買い」ですが、今年は他路線馬も強く、能力が秀でた存在ではないのは確か。個人的には少頭数13頭立てながら荒れそうな気がしてたまりません。ぜひ、撃ち取りたいです。


2019年 紫苑ステークス

紫苑Sは秋の中山開幕初日に行われる、秋華賞トライアル。オープン特別時代は、上がり馬vs春のクラシックで通用しなかった馬の対戦図式でしたが、3年前より重賞に格上げとなった途端、オークスの上位馬も出走してくるようになりました。何たる現金さ!(笑)

2016年はビッシュ、2017年はディアドラとオークス上位(4着以内)馬が優勝しましたが、昨年はフローラSから直行のノームコアが成長力を見せつけて勝利しました。今年も春の勢力図を覆せる馬が出走しているのか? 今年もここが重要ポイントとなるでしょう。このあたりはPP指数からしっかりと見極めたいです。

また、中山開催でもっとも馬場が高速化するのは、例年、野芝がメインのこの開催。近年はエアレーションやシャッタリング作業で一時期と比べると時計を要すようにはなりましたが、それでも超高速馬場で内枠の逃げ、先行馬が有利のイメージが強くあります。

しかし、中山で行われた過去10年で逃げ馬が3着以内だったのは、2008年のデヴェロッペ・2着、2013年のセキショウ・1着、昨年のランドネ・3着のみ。(2014年は新潟開催) 先行馬も昨年のノームコアの優勝他、2着2回、3着2回ですから、中団より後方でレースを運ぶ馬が有利と言えます。

この理由として、紫苑Sが行われる中山芝2000mはレースが淀みなく流れることが多いからでしょう。中山芝2000は、前半が上り坂のため、前半3Fのペースはそこまで速くなりませんが(紫苑Sならば34秒台後半~35秒台前半)、向こう上面で下り坂があるために、上級条件ほどそこでペースが上がります。

3年前のビッシュ(戸崎騎手)やファータグリーン(田辺騎手)などのような、決め手に欠ける馬&ベテラン騎手のコンビは、向こう上面の下りで動いて、位置を上げてくる傾向。他馬もそれに合わせて仕掛けて行くので、中盤のペースがそれほど緩まないのです。

確かに過去2年は、実績馬がトライアルに徹していることもあり、前半5F60秒台~61秒台前半のスローペースで通過してはいるのですが……。それでも普段、末脚を生かす競馬ばかりしている牝馬、それも3歳馬ではけっして前から押し切るには楽なペースではありません。今年も何が何でも逃げたい馬が不在で前半5F通過が60秒台となる可能性が高いのですが、前から押し切るには実力がないと厳しいでしょう。

2019年 小倉2歳S・新潟記念

●小倉2歳S

小倉2歳Sが行われる小倉芝1200mは、2コーナー奥のポケット地点からスタートして、ゴールに向かって坂を下って行くコース。しかも、芝1200mなら息を入れたいポイントの3~4コーナーが“スピードを落とさずに回れる”ことがウリのスパイラルカーブのため、逃げ、先行馬が息を入れるスポットががありません。

小倉芝1200mのレコードタイムが1分06秒6と、他場と比べて次元が違うのは、コース形態上、先行争いが激化しやすい舞台だから。スピードのある馬ほど、コーナーでスピードを落とし切れないため、上級条件ほどウルトラハイペースが発生します。

つまり、前に行った馬がバテやすいということ。小倉芝1200mで行われる、最上級条件の北九州記念史上、逃げ馬の3着以内がゼロというのも、このコースの恐ろしさを物語っています。言葉を選ばずに言わせてもらえば、このコースを考案した人は、頭が悪いか、性格が悪いかのどちらかでしょう。強い馬ほど自滅することになるんだもの!

もちろん、小倉2歳Sも問答無用に例年、「超」のつくハイペース。ただし、こちらはまだ体力がついていない2歳馬がレースメイクすることになるので、古馬と比べれば、それほど速いペースにはなりません。また、永遠の1勝馬から将来のG1馬が集う舞台設定のため、2012年のベルカント(2着)のように、強ければ逃げ馬でも残れるし、先行馬でも通用します。

しかし、逃げ、先行馬が押し切るには、ワンランク上の馬であることを踏まえて予想する必要はあるでしょう。また、そこまで強くなくても、2010年のに逃げて2着入線したシゲルキョクチョウのように通用することもありますが、この場合は、今回のメンバーにおいてキャリアが豊富である必要があります。なぜ、キャリアが豊富である必要があるのかは、昨日の札幌2歳Sの傾向でも綴ったとおりです。

●新潟記念

新潟記念は、距離2000mでありながらワンターンコースで行われます。芝2000mでワンターンコースなのは、当然、ストレートが日本一長い新潟だけ。最初の3コーナーまでの距離は約948mもあるので、先行争いが激化することもあれば、各馬が長い直線を意識して序盤でペースが落ち着くこともあります。つまり、非常に展開の振れ幅が広いということ。

一般的に逃げ、先行馬が多ければハイペースになる、逃げ、先行馬が少なければスローペースになると考えますが、ことストレートの長いコースの中距離以上では、騎手の意志によるものも大きく、それがキレイに当てはまりません。

例えば、2007年のこのレースは逃げ馬不在でしたが、内枠から好スタートを切ったトリリオンカットに外枠からトップガンジョーが競り掛け、この争いが3コーナーまで縺れたために、前半5F58秒1のハイペースになったこともありました。逃げ馬が不在だからと言って、スローペースになるとは限らないのです。

確かに近年はスロー~平均ペース化の傾向で、過去10年でハイペースになった年は一度もありません。しかし、スローペースだったとしても先行勢は、新潟の高速馬場を利して、4コーナーからスパートを開始。ラスト4F目からハロン11秒台が刻まれ、ラスト2F目が最速となることが多いため、“行った、行った”が決まることは滅多にありません。先行勢が速めに動いて、ラスト1Fで減速することで、差し馬や追い込み馬が台頭することもあります。

つまり、新潟記念はハンデ戦ではありますが、比較的に能力どおりに決まっていることが多いということ。特化した先行力や瞬発力があっても、それを持続させるスタミナがない馬は、通用しないことが多いです。

今回は恐らく逃げなければ持ち味が生きないブラックスピネルがレースメイクする形。不良馬場の前走・ジューンSを逃げ切り勝ちしているジナンボーは、二の脚が速いタイプではないので、ブラックスピネルに競り掛けて行かず、スローペースが濃厚の組み合わせと見ていますが、それでも結局、強い馬が勝ち負けすることになるでしょう。