2024年 東京盃の予想

■雨の影響で馬場が軽くなったが…

 昨日からひと雨降って馬場が軽くなったが、さすがに粒が大きいオーストラリア産の砂に入れ替わる砂厚8㎝(現在は10㎝)の昨年の東京盃時ほど、馬場が軽くない。スピード重視の馬場ではないので1400mがベストの馬にもチャンスがあると見ている。

■有力馬と評価ポイント

◎ (10)シャマル

 前々走のかしわ記念で念願のJpnI初制覇を達成した馬。前々走は5番枠からまずまずのスタートだったが、そこから押してハナ主張。すっと内に切れ込んで主導権を握った。道中も淡々としたハイペースを刻んで3角へ。

 3~4角でも最短距離を通して淡々と進め、2馬身差のリードで直線。序盤で3馬身半差までリードを広げたが、ラスト1Fでタガノビューティーに半馬身ほど詰め寄られ、2馬身半差で完勝した。

 前々走時は田んぼ馬場で、同日は逃げ馬7勝、2着1回という逃げ馬天国ではあったが、それを考慮しても前後半4F47秒8-51秒2のかなりのハイペースで逃げ切った内容は強かった。

 前走のさきたま杯は、前後半3F34秒8-39秒6のかなりのハイペースを3列目の内を追走して3着。レモンポップが逃げるアランバローズを突いていったことでペースが速くなり、アランバローズは大差の最下位に失速。シャマルの外で進めたバスラットレオンも7着に失速したことを考えれば、3着でも上々だった。

 (10)シャマルは1400m~1600mがベストだが、一昨年の東京スプリントでも全盛期のリュウノユキナを相手に完勝しているようにこの距離でもやれるはず。ここは期待したい。

○ (13)イグナイター

 昨年のJBCスプリントでリメイクを相手に完勝した地方競馬のエース。同レースでは8番枠からまずまずのスタートを切り、そこからかなり押して5頭並走の先行争い。しつこく前を主張して逃げたラプタスの外から3角へ。3~4角でも楽な手応えで積極的にラプタスに絡み、4角では同馬とクビ差。直線序盤で早々と先頭に立つとしぶとく粘り、ラスト1Fで外から伸びるリメイク、リュウノユキナを振り切って1馬身半差で完勝した。

 2着リメイク、3着リュウノユキナは道中でカラ馬に絡まれる不利があったが、タフな馬場で前後半3F34秒4-37秒6の速い流れを勝ちに行って優勝したことは評価できる。

 ただし、これには裏話がある。もともと砂の入れ替え予定があった大井はJBC開催の1ヵ月前の時点で「砂の入れ替え予定はない」とコメントしていたが、直前で青森県の六ケ所村産+東通村産から、粒が大きいオーストラリア産に入れ替えられ、砂厚も8㎝→10㎝に変更された。イグナイターの陣営が「それならば出走しない」とコメントしたため、急きょ、砂を入れ替えたのだ。

 イグナイターは昨年のさきたま杯を優勝し、前走のさきたま杯でも強豪相手に◎(10)シャマルの一列後ろの内目を上手く立ち回って2着に善戦しているように、1400mがベストの馬。高速決着の1200m戦だとドバイゴールデンシャヒーンのように置かれて追走に忙しくなる可能性はあるが、今の大井なら雨の影響があってもそこまで馬場が軽くならないはず。

 それならば当然有力。しかし、前哨戦では体を太めに作ってくる新子厩舎で、今回は体重増が予想される。よって対抗評価が妥当と見る。

▲ (1)エンテレケイア

 今夏のSⅠ・習志野きらっとスプリントを勝利した馬。同レースでは11番枠からトップスタートを切って、押してハナを主張。内からオールスマートが競ってきたが、これを制してハナを主張し、そのままペースを落とさずに3角へ。3~4角でやや息を入れて、直線で追い出されると、どんどん後続との差を広げて4馬身ほど。ラスト1Fでさらに差を広げて6馬身差で圧勝した。

 前走のアフター5スター賞は、外からトップスタートを切ってハナを主張したハセノエクスプレスに内から強引に抵抗していく形。結果的に前後半3F34秒6-37秒6と超ハイペースになったが、ラスト3~2Fで再加速して押し切っている。3番枠で内枠のもあったにせよ、この距離、このメンバーでもやれる強さを感じさせた。今回も内枠でハナを狙えるだけに侮れない。

△ (4)ヘリオス

 2021年の秋に東京ダ1400mのグリーンチャンネルCと、霜月Sを逃げて連勝した馬。本馬は一昨年秋のマイルCS南部杯で2着、JBCスプリントで3着の実績もあるが、前記のグリーンチャンネルCが自己最高指数。2022年の根岸S2着を始め、GⅡ、JpnⅡで2着3回の実績がある1400mがベストだ。

 今回はダ1200m戦。近走の不振もあいまって人気がないが、1500mの3走前のかきつばた記念では2着に善戦している。また、前走の東京スプリントでも大外14番枠から果敢に先行し、3~4角で外を回って4着と見せ場を作っているだけに見限れない。

△ (12)エートラックス

 デビュー当初は芝を使われていたこともあり、1勝目を挙げるのに5戦も要したが、昨年12月に休養明けから復帰すると、馬体重12Kg増の成長した姿を見せ、阪神ダ1400mの未勝利戦を逃げ切った。

 するとそこから上昇一途で目下3連勝。3走前の兵庫CSでは3番枠から好スタートを決めてハナを主張。序盤でエコロガイアが競ってきたが、これを楽に制して逃げた。

 3角手前で外からギガースが上がってくると、3~4角の内から抵抗して2番手のチカッパと2馬身差で直線へ。直線では同馬との差をさらに広げて3馬身差で完勝した。

 休養明けの2走前、北海道スプリントCでは(6)チカッパに逆転されたが、前半3F35秒1のオーバーペースで逃げるオスカーブレインを追い駆けて苦しくなったもの。展開に恵まれて中団後方から差し切った(6)チカッパよりも、エートラックスを上に取りたい。

2024年 ジャパンダートクラシックの予想

■波乱要素もある一戦

 ジャパンダートクラシックは新たに創設された3歳馬による秋のダート頂上決戦。昨年まで7月に同舞台で実施されていたジャパンダートダービーを引き継ぐ形になるが、今春からJpn1に格上げされた羽田盃や東京ダービー上位馬や、Jpn2・不来方賞、G3・レパードS、そして海外の重賞に出走していた馬や地方各地区のエースが集う。

 つまり、真の頂上決戦という対戦図式になるが、4月~6月に実施されるJpn1やG1の上位馬はここが始動戦になることが予想され、先日のマリーンカップの関東オークス馬アンデスビエントのような取りこぼしの危険性もある。


大井11R ジャパンダートクラシック ダ2000m
 ◎ (3)カシマエスパーダ
 ○ (10)ミッキーファイト
 ▲ (1)フォーエバーヤング
 注 (4)ラムジェット
 △ (2)フジユージーン
結論 馬複3-10,1,4,2 (16:17:16:1) 複勝3 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (3)カシマエスパーダ

 デビューから上昇一途で鳳雛Sを勝利した馬。同レースでは五分のスタートだったが、軽く促されると行き脚がついて逃げ馬ブルーサン(雲取賞の優勝馬)の外2番手を追走。道中は楽な手応えでブルーサンを突いていく。3~4角でもブルーサンが抵抗し、同馬と3/4差で直線へ。ラスト1F標地点で同馬をかわして追い出されると、突き抜けて4馬身差で完勝した。

 鳳雛Sはカシマエスパーダがブルーサンを突いていったことで緩みない流れとなったが、後のレパードSの3着馬ミッキークレストの追撃を待ったく問題にしなかった。本馬がここで記録した指数は、(10)ミッキーファイトが優勝したレパードSと同等なもの。

 スタミナが不足する休養明けの前走、不来方賞は4番枠から好スタートを切り、初速の違いで先頭。外の逃げ馬パッションクライに行かせようとしていたが、同馬が行かず、結局、逃げる形。ラスト1Fで苦しくなったところを(12)サンライズジパングに差されて3馬身差の2着となった。しかし、今回は前走で苦しい競馬をしたことで息持ちが良くなってくるはず。巻き返しを期待したい。

○ (10)ミッキーファイト

 前走のレパードSの覇者。前走は1番枠からまずまずのスタートを切り、そこからは押しての2列目の最内を追走。向上面で外に誘導して2列目の外で3角へ。3~4角で2列目外から前2頭を見ながら直線へ。序盤で追われ、先に抜け出したサトノフェニックスに食らいついて半馬身差の2番手に上がり、ラスト1Fで同馬をしっかり捉えて1馬身差で完勝した。

 前々走のユニコーンSでは、4番枠から五分のスタートを切り、好位の内目を追走していたが、最後の直線では前が壁となり、(4)ラムジェットに1馬身3/4差を付けられたもの。しかし、前走は2列目の内から最後に直線でそのまま内を狙っても抜け出してこれそうな手応えだった。ミッキーファイトはこれまでのキャリアが4戦と浅いことから、さらなる上昇力を期待したい。

▲ (1)フォーエバーヤング

 通算6戦5勝3着1回。唯一の3着は、前走のケンタッキーダービーになる。前走は11番枠から出遅れたが、二の脚で挽回して中団中目。そこからじわっと位置を下げて外に誘導し、道中は中団の外を追走した。3~4角の外から徐々に進出して直線へ。

 序盤で3~4角で同馬の後ろから上がったシエラレオーネに外から迫られ、激しく馬体をぶつけられながらの叩き合い(3回接触)。ラスト2Fで2列目まで上がったが、好位の内から抜け出したミスティックダンを捉えきれず、シエラレオーネにも競り負けてハナ+ハナ差の3着に敗れた。

 前走は暫定で前後半5F59秒0-64秒3。かなりのハイペースだが、ケンタッキーダービーとしては極端に前半が速いというほどではなく、例年より瞬発力よりのレースになっている。それでも展開に恵まれたのは確か。

 前走を大目標にした後の疲れ残りの一戦で、陣営も状態に自信を持っていないし、一完歩目が速くない本馬にとって最内枠も減点材料になるが、能力はここでは一枚上。

 京都ダ1900mの新馬戦でラスト2F12秒8-12秒2と急加速して勝利し、次々走の全日本2歳優駿の時点で東京ダービーに準ずる指数を記録したほどの素質馬だけに、ここはそこまで評価は下げられない。

注 (4)ラムジェット

 これまで7戦5勝3着1回、唯一、馬券圏外(9着)に敗れたヤマボウシ賞は、出遅れて位置取りが悪くなり、馬群の内目に入れて行ったら進みが悪くなり、9着に敗れたもの。またダ1400mではゲートも二の脚も遅く、追走に苦労している面があったが、1600m→1900m→2000mと距離を延ばして上昇した。

 前走の東京ダービーは14番枠からやや出遅れたが、すぐに挽回して好位の外を追走。向上面では前2頭から離されないように軽く促しながら前2頭の外3番手を追走した。3~4角では前2頭にやや離されたが、直線序盤で追われると前2頭に並びかける。ラスト1Fで先頭に立つと、そこから後続を引き離して6馬身差で完勝した。

 前走は強かったが、今回は前走を大目標とした後の始動戦。先週の関東オークスのアンデスビエントのような取りこぼしの危険性もないわけではなく、評価を下げた。

△ (4)フジユージーン

 地元水沢、盛岡で9戦8勝。3走前のダイヤモンドSでは2番枠からトップスタートを決め、コントロールしながらハナを主張。1角でしっかり先手を取ると、リードを広げて5馬身ほどの差で向上面へ。3角では2番手のエドノバンザイに3/4差まで詰め寄られたが、3~4角で馬なりのまま振り切って2馬身ほどのリードで直線へ。序盤で追い出されると2番手に上がったオオイチョウに4馬身ほどの差。ラスト1Fでも差を詰めさせることなく、4馬身差で完勝した。

 3走前は4走前のスプリングCや前々走の東海優駿のように大差勝ちはできなかったが、この2レースは岩手の馬が相手で2着馬はサクラトップキッド。前々走ではそのサクラトップキッドに2.9秒差を付け、次走の北海優駿の3着馬オオイチョウに4馬身差、3着のエドノバンザイには12馬身差を付けている。

 休養明けの前走、不来方賞ではJRA馬を相手に4着と初めて土付いたが、ペースが上がらないのに折り合ったことも敗因のひとつと見ている。本馬はそれまで逃げ馬を突いて失速させ、早々と先頭に立つようなレースをしていたような馬。前走は最後の直線でキレ負けするように失速しているだけに、人気薄のここは少し買いたい。

2024年 レディースプレリュードの予想

■ダートグレードの勝ち馬は全て休養明け

 レディースプレリュードは過去10年で1着6回、2着4回、3着3回とブリーダーズGC組が活躍している舞台だが、今年はまさかの不在。当初からBCディスタフに出走予定のブリーダーズGCの覇者オーサムリザルトはともかく、2着のデリカダも自己条件へ向かうことになった。

 そのぶん、昨年暮れから今年のダートグレードを勝ち上がった馬が多数。しかし、それらは全て休養明けである。さて、先週のマリーンCや日本テレビ盃のような実績上位馬が取りこぼすパターンはあるのか?このラインより上のエリアが無料で表示されます。

大井11R レディースプレリュード ダ1800m
 ◎ (3)グランブリッジ
 ○ (5)アイコンテーラー
 ▲ (4)ライオットガール
結論 馬複3-5,4 (35:15) 複勝3 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (3)グランブリッジ

 川崎記念、帝王賞と牡馬Jpn路線を歩んで来た馬。強豪オーサムリザルトが相手の前々走、エンプレス杯でも2着。同レースでは4番枠から五分のスタートを切り、好位馬群の中目5番手を追走。2周目の3角手前から進出しながら4角で外に誘導し、大外から直線へ。そこからしぶとく伸び続け、早めに抜け出したオーサムリザルトに迫ったが、クビ差で惜敗した。

 グランブリッジは1800mよりも2100mの川崎記念、エンプレス杯で指数を上昇。今回は距離1800mが嫌われたのか、前記の2レースで(5)アイコンテーラーに先着しながらも同馬よりも人気がない。しかし、前走の帝王賞では外有利の馬場状態を1番枠から好位の内目を通ったことも、外から差したキングズソードに離されてしまった理由であり、悲観する内容ではなかった。

 また2000mの前走で前半3F37秒0と前の位置でレースを進めているだけに、出遅れた昨年のレディースプレリュードやJBCレディスクラシックよりも前の位置でレースを進められる可能性が高い。よって、実力上位で安定感もある本馬を◎とした。

○ (5)アイコンテーラー

 休養明けで初ダートとなった7走前のBSN賞を完勝すると、6走前のシリウスSでも2着と善戦し、5走前のJBCレディスクラシックで戴冠と一気に上昇した馬。

 5走前は4番枠から五分のスタートだったが、促されるとすっと行き脚がついて先行し、道中は内からハナを主張したヴァレーデラルナにある程度プレッシャーをかけながらの追走。3角手前で同馬に並びかけ、3~4角で先頭。そこで捲って上がってきたテリオスベルに抵抗しながら2頭で並走して直線へ。序盤で同馬を振り切り、そこから4馬身ほどリードを広げる。ラスト1Fでもその差を守り切って完勝した。

 当時の大井は砂を入れ替えたばかりで、砂厚も8㎝→10㎝に変更。かなり時計が掛かる状況下で、前後半4F49秒8-51秒0のハイペースとなったが、これを2番手から楽に抜け出して優勝したことは高く評価できる。

 しかし、その後はJBCレディスクラシック時ほどの指数で走れていない。前々走の川崎記念では2着だったが、2番手から3角手前で動いてライトウォーリアに並びかけて行った時は勝かのように思えたが、最後に苦しくなってアタマ+ハナ差の3着。アイコンテーラーの勝ちパターンでありながら、最後に甘さを見せた点にやや不安も残る。

 ただし、前走のエンプレス杯は3番手を追走し、1周目4角で先頭に立ったオーサムリザルトをマークして2番手に上がり、2周目の向上面での同馬ペースアップについて行ったために、最後の直線で苦しくなったもの。そこまで悲観するような内容ではなかった。

 今回はスタミナが不足する休養明けであり、近走で見せた終いの甘さから、(2)アンティキティラや(4)ライオットガールには競っていなかい可能性が高く、巻き返しへの期待が高まる。

▲ (4)ライオットガール

 3走前の兵庫女王盃でダートグレード3勝目を挙げた馬。3走前は7番枠から好スタート。内の(6)ヴィブラフォンも好スタートを切ったが、同馬より加速が付いて、そのままハナへ。マイペースで逃げて、2周目の向正面で徐々にペースアップ。3角で外から(7)アーテルアストレアに並びかけられたが、それに抵抗して4角で2馬身ほど差を広げれ直線へ。直線でもしぶとく粘ってその差を維持して完勝した。

 ライオットガールは前に行ってこその馬。ただし、3走前は鞍上の岩田望来騎手が、レース後に「地元のジョッキーに聞いても逃げて内を通るのが有利だということでしたので、出していって、先手が取れそうだったので、逃げる選択をしました」とコメントしていたように、園田としては馬場が軽く、内と前が有利な状況下でマイペースで逃げることができたというのもある。

 前々走エンプレス杯でも積極的に出してハナを取り切ったが、1周目の4角でオーサムリザルトに捲られ、それでも何とか付いていったが、最後の直線で苦しくなってキャリックアリードにも差されての4着。

 前走のスパーキングレディーCは、2.5Fの距離短縮となった影響もあってやや出遅れ。キャリックアリードが内にヨレてぶつけられ、後方からの追走。そこから内に入れて位置を挽回していったために、苦しくなって5着に敗退した。今回の距離で今回のメンバーなら、楽に先行できるはず。また今回は、印上位の2頭や(7)アーデルアステリアよりも軽い斤量55Kgで乗れる優位性もある。

2024年 マイルCS南部杯の予想

盛岡12R マイルCS南部杯 ダ1600m
 ◎ (2)ミックファイア
 ○ (1)レモンポップ
 ▲ (14)ペプチドナイル
 注 (4)タガノビューティー
 △ (6)キタノリューオー
 △ (7)サヨノネイチャ
結論 馬連2-1,14,4,6,7 (15:5:3:1:1) 複勝2 (25)

■有力馬と評価ポイント

◎ (2)ミックファイア

 デビューから無敗でダート三冠馬となった馬。5走前のジャパンダートダービーでは6番枠から好スタートを切って、そこから押して行ったが、外のミトノオーの方が速く、同馬を行かせてその外を取りに行く。

 しかし、内のテーオーリカードやユティタムらが速く、好位の外5番手を追走する形。道中のペースは速かったが、3角で3頭分外から位置を押し上げ、3番手で直線へ。ミトノオーとの差は大きかったが、ラスト1F手前でユティタムをかわし、最後ミトノオーをかわして2馬身半差で完勝した。

 本馬がジャパンジャパンダートダービーで記録した指数は、今年のフェブラリーSと同等なもの。その後は不振だったが、前々走のフェブラリーSで小差の7着、前走のかしわ記念で小差の5着と復調の兆しを見せている。

 今回はそこから立て直されての一戦。この距離だと好位にはいけないので、(1)レモンポップの引き上げ方によっては昨年のマイルCS南部杯の3着馬レディバグのように、展開がドンピシャに嵌る可能性がある。昨日は2番人気だったが、本日は4番人気まで下がり、この人気ならば食指が動く。

○ (1)レモンポップ

 昨年のフェブラリーSを完勝してGⅠ馬になり、昨秋のマイルCS南部杯では圧巻の走りを見せた。マイルCS南部杯では3番枠からまずまずのスタートを切って、枠なりでハナを主張すると、道中はコントロールして後続を引き付けての逃げ。3角では2番手外のイグナイターとはクビ差。

 3~4角で後続を引き離し、イグナイターと4馬身差で直線へ。序盤の上り坂を楽な手応えで駆け上がると、後続をどんどん突き放して独走。2着イグナイター(次走、JBCスプリント優勝)に2.0秒差の大差で完勝した。

 本馬はデビュー以来、初めての逃げたここで戦慄の自己最高指数を記録。ここで逃げがベストであることを証明した。二度の海外遠征で二桁着順に敗れているのは、テンの速い馬多数で逃げられなかったことが主な敗因だろう。

 その次走のチャンピオンズCは、休養明け好走後の疲れ残りの一戦で大外15番枠からまずまずのスタート後、外にヨレするロスがあった。それでも同型馬不在を利して思い切って逃げるたことで、マイルCS南部杯から大幅に指数を下げながらも優勝することができた。

 休養明けの前走・さきたま杯は、7番枠から好スタートを切って内のシャマルを被せてトップスタートを切って逃げるアランバローズに競り掛けていく形。結果、前後半4F34秒8-39秒6の消耗戦となり、アランバローズは3~4角で早々と失速。レモンポップを追い駆けたシャマルも直線序盤で手応えを失ってイグナイターにかわされてしまったが、レモンポップはイグナイターを寄せ付けずに2馬身で完勝した。

 今回は最適距離の1600m戦。しかし、今回はこの中間の追い切りで物足りなさを感じさせていた。最内枠で出遅れて逃げられない可能性も視野に入れて対抗評価とする。

▲ (14)ペプチドナイル

 今年のフェブラリーSでは11番人気の低評価を覆して優勝した馬。同レースでは9番枠からまずまずのスタートを切って先行し、2列目争いに加わって行く。3角手前まで4頭併走状態の内から3頭目を追走していたが、3角手前で2列目の一番外のウィルソンテソーロが2番手に上がり、好位の外で3角へ。

 3~4角でも好位の外から進出して、直線序盤で追われると2列目に上がる。ラスト2Fで追われて先頭列に並びかけると、ラスト1Fで抜け出すと2着争いを尻目に1馬身1/4差で完勝した。

 ペプチドナイルは昨夏の大沼SとマリーンCをフェブラリーSと同等の指数で連勝。大沼Sは10番枠からまずまずのスタートを切り、押して内に切れ込みながらハナを主張。2角過ぎでペースを落とすと、外から一気にボイラーハウスに捲られたが、内から抵抗して同馬をかわす。

 すると今度はディアセオリーに捲られて先頭に立たれたが、3角手前で進路を外に切り替え、3~4角では楽な手応えでディアセオリーに並びかけていく。直線序盤から2頭で後続を離し先頭を取り返すと、ラスト1Fでしぶとく抜け出して3馬身で完勝した。

 その次走のマリーンSは、10番枠から五分のスタートを切って、かなり押して外から競ってくるウェルドーンを制してハナを取り切る。向正面ではコントロールしてややペースを落とし、2馬身のリードで3角へ。3~4角で外から各馬が上がってくると、そこで後続を引き離し、再び2馬身のリードで直線へ。序盤で3馬身ほど差を広げ、ラスト1Fでもしぶとく伸びて3馬身半差でゴールした。

 このようにペプチドナイルはペースが遅ければ自らレースを作ることができ、捲られても対応できる強さ、折り合う競馬にもある程度対応できるのは強み。しかし、前走のかしわ記念ではシャマルのオーバーぺースを追い駆け、ラスト1Fで(4)タガノビューティーに差されてしまったように、今回も○(1)レモンポップを深追いしてしまうことも視野に入れ、評価を下げた。

2024年 スプリンターズSの予想

■ペース上がりやすい舞台も、逃げ候補は競り合わない

 スプリンターズSが行われる中山芝1200mは、外回りの坂の頂上付近からスタートし、約4.5mの坂を下っていくコース。3~4角のカーブが緩いため、下り坂で加速がついたまま4角に進入することになるが、もうひと押しのところで失速し、差し馬が台頭するというパターンが多い。

 スプリンターズSも、中山開催の過去10回で逃げ馬は2着3回、3着1回と一度も勝利がなく、同様の傾向が見てとれる。この傾向は前半からスピードが乗ってしまう超高速馬場でより顕著となる。

 しかし、今年は最終週にして時計が掛かり出しており、逃げ馬候補のピューロマジックとビクターザウィナーが極端に競り合っての前がかりの展開にはならないと想定している。

中山11R スプリンターズS 芝1200m
 ◎ (14)ビクターザウィナー
 ○ (10)ピューロマジック
 ▲ (13)ルガル
 注 (5)ナムラクレア
 △ (3)ウインマーベル
 △ (7)マッドクール
 △ (8)モズメイメイ
 △ (12)サトノレーヴ
結論 馬連14-10,13,5,3,7,8,12 (10:10:10:5:5:5:5) 複勝14 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (14)ビクターザウィナー

 今春の高松宮記念は逃げながらも最後の直線で伸びない外を選択する形で3着に敗れた。しかも、この高松宮記念はセンテナリースプリントCを大目標とし、結果を出した後の一戦である。

 前々走のチェアマンズSPでも抜群のスタートを決めてハナを主張したが、前半は外からハウディープイズユアラブに競られて息を入れられず、3角手前で今度はマッドクールが迫ってきたので抵抗し、ペースを引き上げて苦しくなった。完全なオーバーペースだったが、マッドクールには先着している。

 前走のシャティンヴァーズでは6着敗退。ここではシーズンオフを前に一度使っておきたかったのか、斤量61kgの酷量を背負っての出走だった。ややスローペースで逃げながらも最後の直線で伸びあぐねた辺り、本調子ではなかったと考えられるが、それでも残り300mまで先頭に立っており、見せ場はあった。

 今回は立て直されての一戦。現状、香港馬と日本馬のトップクラスの対決では香港馬が優勢の勢力図がうかがえるだけに、ここは本命馬としたい。

 斤量61kgを背負っても抜群のスタートを決めるほど一完歩目が速いが、昨年の香港スプリントでは外のジャスパークローネを行かせて2番手の外から小差の4着に善戦しているように、控えてもやれる馬。大方の予想に反し、ピューロマジックとそこまで競り合いにならないパターンもあり得るとみている。

○ (10)ピューロマジック

 3歳馬ながら北九州記念を優勝。同レースでは12番枠からまずまずのスタートだったが、スピードの違いで内に切れ込み、同型馬を制すると、そのままペースを緩めずに3角へ。3~4角でも最内を通って2馬身差を維持。直線序盤でヨシノイースターに1馬身3/4差まで詰められた。ラスト1Fでは同馬にさらに詰め寄られたが、しぶとく踏ん張り、半馬身差で振り切った。

 北九州記念当日は時計の掛かる稍重馬場かつ強風で、ハイペースで逃げ切るのは楽ではなかった。それでも、前後半3F32秒3-35秒6の相当なハイペースで逃げ切り勝ち。斤量53kgと恵まれた面はあったが、初速の速さにものを言わせての横綱競馬で新星誕生を予感させた。

 前走のセントウルSは休養明けで好走した疲れで13着敗退。それほど速くないペースので逃げだったが、前々走では消耗戦に持ち込んでの優勝だったことから、大敗しても当然だった。今回は前走で凡走したことで疲れが取れて、変わり身が見込める。

 今回は(14)ビクターザウィナーとの競り合いが予想されるが、ピューロマジックは初速が非常に速い上に、ビクターザウィナーよりも内枠を引いたので、本馬が逃げて、ビクターザウィナーがその外2番手という形で隊列が落ち着く可能性が高いとみている。対抗評価だ。

▲ (13)ルガル

 デビュー当初はダートを使われていたが、芝路線に転向して本格化。芝2戦目、不良馬場で行われた昨年の橘Sを5馬身差で圧勝し、3歳春の時点で古馬OPでも十分に通用する指数を記録した。その後は出遅れやレース中の不利が続いて善戦止まりだったが、前々走のシルクロードSで重賞を初制覇した。

 前々走は4番枠から好スタートを決めてハナを主張したが、最終的には外のテイエムスパーダを行かせて、離れた2番手を追走した。3~4角ではコントロールしながらテイエムスパーダとの差を詰め、4角では持ったままで同馬と半馬身差で直線へ。直線序盤で馬場状態の良い外に誘導してテイエムスパーダをかわし、1馬身半ほど前に出た。ラスト1Fでそのまま抜け出し、アグリの追撃を問題にせず、3馬身差で完勝した。

 シルクロードSで記録した指数は、ここでは1位タイ。昨秋のスプリンターズS出走なら優勝、今春の高松宮記念出走なら(7)マッドクールや(5)ナムラクレアと接戦レベルのものだった。

 しかし、1番人気に支持された前走の高松宮記念では10着敗退。この敗因を悪化した馬場に求める見解もあるが、この馬は不良馬場でも実績がある。となると、シルクロードSで自身がこれまでにないレベルの走りをした疲れによるものが大きいと考えられる。レースからしばらくたった頃に骨折が判明し、今回は休養明けのぶっつけ本番になるが、巻き返して当然の実力がある。

△ (3)ウインマーベル

 前走の京王杯SCを始め、芝1400mの重賞で3勝を挙げた馬だが、2022年のスプリンターズSで2着の実績がある。同レースでは7番枠から五分のスタートを切り、そこからは押しながらの追走で中団中目で落ち着いた。3~4角でも中団中目でややロスを作ったが、直線序盤でしぶとく伸びて2列目まで上がり、ラスト1Fで抜け出したジャンダルムにクビ差まで迫った。

 ここでは前後半3F32秒7-35秒1のかなりのハイペースに恵まれての2着だった。本馬は芝1200mでは先行できないこともあり、今年の高松宮記念のような内と前が有利な馬場&展開の大外枠だと苦しいが、今回はさすがに高松宮記念時よりはペースが速くなるだろう。また今回は内枠というのも好ましい。

△ (7)マッドクール

 今春の高松宮記念の覇者。同レースでは2番枠からまずまずのスタートを切り、そこから押して先行策をとった。外からハナを主張するビクターザウィナーにある程度は抵抗しながらも最終的には行かせ、2列目の3~4角で最内を通り直線へ。直線序盤ですっと伸びて半馬身ほど前に出て、ラスト1Fでそのまま抜け出したところをナムラクレアに急追されたが、ハナ差でしのいだ。

 中京芝1200mは道悪になっても外差しは決まりにくく、前走時も圧倒的に内が有利な馬場。ここでは最短距離を通るスマートな立ち回りで自己最高指数を記録した。

 前走のチェアマンズSPは、休養明けで高松宮記念を好走した疲れからか大外11番枠からやや出遅れてしまった。そこから押してハナを狙ったが、3角までに取り切れなかったことで、3角で外に膨らんで位置が下がり、11着に大敗。今回はそこから立て直されての一戦で巻き返しは期待できる。

 高松宮記念時ほどの指数では走れないと見ているが、国内では熱中症に近い状態で体を絞り切れなかったCBC賞以外は馬券圏内を外していない。昨秋のスプリンターズSでも10番枠から上手く好位の最内に入れてハナ差2着に善戦したこともあり、軽視できない。

△ (8)モズメイメイ

 デビュー4戦目のチューリップ賞を優勝し、桜花賞出走後の初めての芝1200m戦となった葵Sでは、フライング気味のスタートを切って逃げ切り勝ちした馬。その後は2桁着順の繰り返しと調子を落としていたが、今夏の北九州記念で3着と復調を見せると、次走のアイビスSDを優勝。前走のセントウルSでも3着と上昇一途だ。

 前走は1番枠から五分のスタートだったが、そこから押して枠の利とペースも上がってこないということもあり、楽に2列目の最内を追走。3~4角でもスムーズに最内を通して、2列目で直線へ。序盤で進路がなく、ややまごつく場面もあったが、最内を狙って2列目に食らいつく。ラストFではそのまま最内から踏ん張って先頭に立ったが、そこを外から2頭に差されて3着となった。

 ここでは(2)トウシンマカオ、(6)ママコチャに敗れたが、前記2頭は休養明けで好走した後の一戦。おそらく目標はこの先だろう。一方、モズメイメイはレースを順調に使われ、前進を見せている。相手強化のここでも侮れない。

△ (12)サトノレーヴ

 △ (12)サトノレーヴ

 3歳4月と遅いデビューになった芝1600mの未勝利戦を勝利。その後は条件戦で一度も連対を外すことなく芝1200mで順調にキャリアを積み、今年2月の阪急杯では、重賞初挑戦ながら4着とOPでも通用する能力をアピールした。3走前の春雷Sを勝利すると、重賞の函館スプリントS、キーンランドCを連勝し、サマースプリント王者に輝いた。

 前走のキーンランドCでは、10番枠から五分のスタートだったが、二の脚が速く楽に先行。他馬の出方をうかがいながら2列目の中目で進めた。3~4角で先頭のセッションの後ろを進み、4角出口でセッションの後ろから外に出て、2列目付近で直線へ。直線序盤ですっと伸びて先頭列に並びかけると、ラスト1Fでそのまま抜け出して1馬身半差で完勝した。

 折り合いがスムーズで、仕掛けを我慢できる点が魅力のレース巧者だ。また前々走では最後の直線で1頭分だけ開いたスペースを突いて抜け出しており、この辺りに素質の高さも窺える。しかし、秋の頂点を目指す馬は夏場を休養にあてるのが一般的だ。

 サマースプリントを二連覇したベルカントが、スプリンターズSで2桁着順に終わったのは、そこにも理由があったとみているし、2022年のサマースプリント王者となったナムラクレアも同年のスプリンターズSでは5着と、初めて芝1400m以下で連対を外す結果となっている。また、〇(10)ピューロマジックや◎(14)ビクターザウィナーが前に行く形での12番枠となると、3~4角で外々を回るリスクもあすが、本馬に関してはまだキャリアが浅く、上昇一途なので警戒はしたい。

2024年 シリウスS+中京9R以降の予想

シリウスSの前に、中京9Rの予想を出します。以降のレースはもうしばらくお待ち下さいm(__)m。

中京9R ヤマボウシ賞 ダ1400m
 ◎ (10)ハッピーマン
 ○ (2)エコロアゼル
 ▲ (5)クレーキング
 △ (1)アメリカンビキニ
 △ (4)スカイブルー
 △ (9)ソロモン
結論 馬複10-2,5,1,4,9 (各10) 複勝10 (50)

 PP指数の各馬の(前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3で算出した『能力値』は、高い順にアメリカンビキニ(-14.7pt)、ハッピーマン(-9.0pt)、スカイブルー(-8.0pt)、クレーキング(-5.0pt)、エコロアゼル(-4.0pt)。

 力値は競走馬の能力と勢いを示すものであり、原則として本命馬は、能力値5位の中から選出するスタイルで予想を行っている。また、最高値が能力値上位馬と同等の場合には、それを本命馬とする場合もある。

◎ (10)ハッピーマン

 京都ダ1200mの新馬戦では8番枠から出遅れたが、そこから加速して好位列の中目の後ろまで巻き返した。道中は序盤の加速がつきすぎて、そこから抑えたのでやや折り合いを欠いたが、流れに乗ってからはスムーズだった。3~4角では砂を被りながら好位の中目まで上がり、直線序盤で外に誘導された。追われると手応え良く一気に先頭に並びかけ、ラスト1Fで突き抜けて2着に3馬身半差、3着に7馬身差をつけて圧勝した。

 上がり3Fタイムの36秒8は、同日3Rの3歳未勝利戦を8馬身差で勝利し、1クラス上の指数を記録したゼンカイパイロと同等の数字。2歳新馬戦としてはかなり優秀なタイムだ。

 ラスト2Fは12秒5-12秒4。ダート新馬戦で最後まで加速したことは高く評価できる。スタート後のロスを考慮すれば、今回の指数以上に強いと評価できる。今後かなりの活躍が期待できる。

○ (2)エコロアゼル

 新潟ダ1200mの新馬戦では、3番枠から五分のスタート。芝の部分ではダッシュがつかなかったが、ダートコースに入ると加速して先頭に立った。そこからも緩みないペースで走り、半馬身ほどの差で直線へ。直線序盤は軽く追われて1馬身差。ラスト1Fで追われると一気に後続を引き離して2馬身半差で完勝した。

 前走は無理目に逃げての勝利だったが、本馬が本来、差し馬だったとするならば、ここで変わってくるだろう。

▲ (5)クレーキング

 東京ダ1400mの新馬戦では2番枠から五分のスタート。外の馬たちの方が勢いはあったが、気合を付けると加速が付いて、好位の最内を確保。道中は逃げ馬とのスペースを維持して2列目の最内を追走した。3~4角でスペースを詰め切ったため直線序盤で進路がなく、これはピンチかと思われた。しかし、ラスト2Fで進路が開くと一気に抜け出して先頭に並びかけ、ラスト1Fで突き抜けて3馬身半差の完勝だった。

 指数はこの時期の2歳ダートとしては悪くない。また最後の直線で追い出しを待たされたことを考慮すれば、今回の走破タイム以上に奥がありそう。今後の成長が楽しみだ。

△ (1)アメリカンビキニ

 小倉ダ1000mの未勝利戦では、6番枠から好スタート。外のタガノサダフの方がゲートは速かったが、本馬は二の脚が抜群に速く、楽にハナを取って逃げる形となった。4角まで後続との差はそこまで大きくなかったが、直線に入るとグングン引き離していき、直線序盤で3馬身半差。最終的には2着に7馬身、3着とは15馬身もの差をつけて圧勝した。

 前々走の京都ダ1200mの新馬戦では勝ち馬(10)ハッピーマン同様、スタートがあまり良くなかったが、そこからポジションを取りに行った競馬ぶりは勝ち馬以上にロスがあったとも言える。ハッピーマンが好指数勝ちで高評価していただけに、前走時は期待していたが…走破タイムは57秒2で2歳レコード。

 前走は同日の同距離2勝クラスを上回る走破タイム(指数自体は同日2勝クラスと同等)での勝利とは驚きだった。ラスト2Fは11秒8-11秒5と加速できており、余裕を感じさせた点も評価できる。

 アメリカンビキニはデビュー2戦目で古馬2勝クラスを勝利できる指数を記録。これは、例年のエーデルワイス賞を楽に勝てるものだ。ただし、今回は減量騎手を起用したことで加速が楽になったため、恵まれた面はある。さらにこれだけの走りをすると、楽勝のように見えても疲労が残る可能性がある。それでも前走の走りが優秀だったことは確か。順調ならダートのオープン、重賞でかなりの活躍ができるだけに、警戒は必要だ。

△ (4)スカイブルー

 前走の新潟ダ1200mの未勝利戦では、大外9番枠からトップスタートを決め、軽く促してハナを主張。楽に先頭に立ったが、息を入れようとしたところでジャスパーソレイユが内からプレッシャーをかけてきた。これにより道中は緩みない流れになった。3~4角で今度は外からジャスパーソレイユが絡み、スカイブルーは半馬身差のリードで直線へ向いた。

 逃げるスカイブルーの鞍上はかつて南関東で名を馳せ、中央に移籍してきた戸崎圭太騎手。それを追うジャスパーソレイユの鞍上は大井の笹川翼騎手。この二人による一騎打ちになった。ラスト2Fでスカイブルーは3/4差ほど前に出ていたが、ジャスパーソレイユも食い下がる展開に。最後はスカイブルーが1馬身差で勝利した。

 本馬はデビュー1~2戦目が芝で連続2着。前走はデビュー3戦目で初ダートだった。前走はタフな馬場の小倉で逃げて厳しいペースを経験していたことが最後の粘りに繋がった面もあるが、芝デビューのダート馬はその後の上昇力が大きいもの。ここは一発を期待したい。

△ (9)ソロモン

 前々走の札幌芝1500mの新馬戦では、6番枠からまずまずのスタートを切り、軽く内の馬と接触する場面もあったが、積極策で2番手を確保。道中は逃げ馬の半馬身外を追走。3角から外に張り気味だったが、4角でも逃げ馬と半馬身差を維持。直線では逃げ馬を捉えられる展開だったが、外にややモタれてなかなか伸びず、ラスト1Fでも逃げ馬と半馬身差。それでも最後にハナ差だけ交わしたところがゴールだった。

 本馬は全姉に何かと注目を集めて大活躍したメイケイエールがいる血統馬。堀厩舎ということもあり、3走前の東京芝1800mの新馬戦でも1番人気に支持されたが、好位の外から直線で伸びそうなところから伸びあぐねての4着だった。

 新馬戦、未勝利戦ともにキレ負けしたことから、前走のクローバー賞では1番枠を利して逃げの手に出たが、4着敗退。自身の指数を更新させることはできたが、相手が強かったこともあり、勝ち馬に6馬身、2着馬に4馬身も離されてしまった。ダートの短距離で一考したい。

2024年 日本テレビ盃の予想

■海外組2頭は目標がこの先 

 昨年のドバイワールドCを優勝した(4)ウシュバテソーロ、 昨年のBCクラシック2着の(7)デルマソトガケはここでは地力上位だが、あくまでも目標はこの先。今回は配当妙味も含め、ここが大目標の馬を本命◎とした。

 今回の◎は3着くささがあるが、デルマソトガケは近走でパフォーマンスを落としていることもあり、複勝を押さえつつ、あわよくば2着を狙いたい。当然、◎は穴馬である。


船橋11R 日本テレビ盃 ダ1800m
 ◎ (13)メイショウハリオ
 ○ (4)ウシュバテソーロ
 ▲ (7)デルマソトガケ
 △ (2)ウィリアムバローズ
 △ (9)ナニハサテオキ
結論 馬複13-4,7,2,9 (36:6:6:2) 複勝13 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (13)メイショウハリオ

 一昨年と昨年の帝王賞を連覇した馬。一昨年の帝王賞は大外9番枠からやや出遅れたが、ペースがかなり遅かったこともあり、わりと楽に好位の外を確保。テーオーケインズをマークしながらの追走になった。しかし、向正面でスワーヴアラミスが外から捲って一気にペースアップ。これに抵抗して速度を上げたテーオーケインズ、クリンチャー、オーヴェルニュは最後の直線で余力がなく、苦しくなり潰れた。

 一方、メイショウハリオは捲られてもワンテンポ待ち、脚をタメることを選択したことで、最後の直線で余力を残せた面が大きい。一昨年の帝王賞は本馬が強かったというより、前記した馬たちが自滅したことが大きかったレース。よって、指数はそこまで高いものにはならなかった。

 悪年の帝王賞では4番枠から五分のスタートを切り、軽く促して中団中目からの追走。道中はやや速い流れだったが、団子状態となり、上手く中団外目に誘導しながら3角に入った。

 3~4角で中団外から仕掛て位置を押し上げ、3列目で直線へ。序盤でじわじわ伸びて2列目まで上がり、ラスト1Fでも伸び続けてクラウンプライドを捉え切ってハナ差で勝利した。

 昨年の帝王賞は前半5F60秒4-後半4F61秒5とややハイペースではあったが、そこまで差しが有利な決着だったわけではない。ただし、2着テーオーケインズのピークが過ぎ、メンバーに恵まれた面があったのも確か。記録した指数も昨年の帝王賞と同等だった。

 前走の帝王賞では9着敗退。前走はメンバーは過去2年の帝王賞よりも相手が手強く、陣営も戦前の段階から白旗トーン。トモを痛めてサウジCを回避し、帝王賞まで待っても状態が上がらず、中間の追い切りも物足りなかった。今回は前走から万全を喫してのここへ出走。海外組の(4)ウィルソンテソーロ、(7)デルマソトガケは米・BCクラシックへの叩き台となれば一発あっていい。

○ (4)ウシュバテソーロ

 ダートに路線転向して12戦8勝。一昨年の東京大賞典で初重賞制覇を達成すると、その次走の川崎記念も強豪テーオーケインズの追撃を退けて完勝。遂にはダート開催では日本馬初のドバイワールドC優勝も成し遂げた。

 本馬は初ダートの3勝クラス横浜S(ダ2100m)優勝時に、超絶高速ダートではあったが、上がり3Fタイム「34秒0」の芝並みの数字を記録したことから、世界で通用するヤバさを感じさせたが、それがアッサリと通用するとは思っていなかったのが本音である。

 前記のドバイワールドCは、前半5F59秒25(日本の計測方法だとおおよそ58秒25)という、芝並みのオーバーペースになったことで前が崩れたもの。14番枠から五分のスタートを切りながらもテンに置かれ、後方外々から押し上げたこの馬は展開に恵まれての大外一気だったが、2馬身3/4差での完勝だった。

 昨年のBCクラシックは相手も強く、休養明けの前々走日本テレビ盃で好走したことが祟って末脚が不発したが、その後のサウジC、ドバイワールドCで2着。両レースとも米国馬が主導権を握ってのアメリカンペースで展開に恵まれた面はあるが、ここでは自力上位は明確。さすがに対抗以下の評価はできない。

▲ (7)デルマソトガケ

 昨年のBCクラシック2着馬。同レースでは4番枠からまずまずのスタートを切って、好位の中目。5通過が45秒73と相当な激流だったが、3~4角でも先頭列に大きく離されないようについて行き、直線で外に誘導。直線序盤で外に誘導し、早め先頭に立ったホワイトアバリオを追いかけてジリジリ2番手に上がった。ラスト1Fでもしぶとく伸び続けてホワイトアバリオに1馬身差まで迫った。

 このレースでは◎(4)ウシュバテソーロが末脚不発したのもあるが、激流を前目の位置から踏ん張り通したことは評価できる。しかし、BCクラシックが消耗度の高いレースになったために、その後、スランプとなり、今年のサウジCでは5着に敗れ、前走のドバイワールドCでは実質差し競馬である程度は展開に恵まれていたが、6着に大敗した。

 今回は立て直されての一戦になるが、近走でパフォーマンスを落としている以上、他馬にも付け入る隙がある。

△ (2)ウィリアムバローズ

 前々走の東海Sで初重賞制覇を達成した上がり馬。前々走は14番枠からやや出遅れたが、二の脚で2番手に上がって、バビットを見ながらコントロールして追走。3~4角でバビットが下がって、ここで押し出されるようにして先頭。4角でオメガギネスが上がってくると、そこで仕掛けてクビ差のリードで直線へ。序盤はオメガギネスとの叩き合いとなったが半馬身差のリードを維持。ラスト1Fですっと抜け出して1馬身差で完勝した。

 前々走は超高速ダートで、前後半48秒9-後半4F48秒1のややスローペース。内と前が有利な流れを内目、前目でレースを進めたことが好走の要因。前走のかしわ記念は田んぼ馬場で逃げ馬天国。距離が短く、前に行けずに6着と大敗したが、1800mのここなら逃げ、先行が可能。▲(7)デルマソトガケの出方ひとつで展開に恵まれる可能性もあるが、相手が強く、評価を下げた。

△ (9)ナニハサテオキ

 ダートでは11戦7勝2着4回とこれまで連対を外したことがない馬。初めての重賞挑戦となった3走前の報知オールスターCでも2着と健闘した。

 3走前は1番枠から出遅れたが、じわっと位置を挽回して中団やや後方からの追走。1周目のスタンド前の半ばから位置を上げて2周目の1角では先頭のライトウォーリアから大きく離れた3列目の外まで上がる。向上面ではライトウォーリアとの差を詰め、3角では2番手まで上がって2馬身差。4角では1馬身差まで詰めると、直線でもしぶとく伸び続けて同馬にクビ差まで迫った。

 3走前ははハイペースで逃げ切ったライトウォーリアが強く、同馬は次走の川崎記念を優勝。しかし、道中で早めに動いて3着馬に6馬身差をつけたこの馬もなかなか強い内容。今となってはJRA所属時代にダートを使わなかったことが悔やまれるほどだ。

 前々走の京成盃グランドマイラーズでは、出遅れて最後方からの追走となり(11)ギガキングに3馬身離されてしまったが、前走のフリオーソレジェンドCでは逆転V。7番枠からスタート後に挟まれる不利があったが、先に動いたギガキングを追い駆けるようにして仕掛け、3馬身差で完勝している。

 今回の海外組の2頭は強いが、対◎(13)メイショウハリオ、△ (2)ウィリアムバローズ辺りとの比較では見劣りしない実力がある。距離もマイルよりも1800mのほうがいいだろう。しかし、今回は休養明け好走後の一戦になるので、その疲れが心配で評価を下げた。

2024年 白山大賞典の予想

■例年よりもメンバー手薄

2日後にJpnⅡ・日本テレビ盃が控えているにせよ、重賞ウイナーが(7)ディクテオンのみと例年よりもメンバーが手薄となった。そのディクテオンも昨年のダートグレード(浦和記念、名古屋GP)の2勝が捲り勝ちだったように、テンが遅く極端な競馬をする馬だ。この辺りに波乱の要素を見出したいが、他馬にも不安要素があり、結局対抗○よりも評価を落とせなかった。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

金沢11R 白山大賞典 ダ2100m
 ◎ (9)メイショウフンジン
 ○ (7)ディクテオン
 ▲ (8)ダイシンピスケス
 △ (2)テンカハル
結論 馬複9-7,8,2 (30:10:10) 複勝9 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (9)メイショウフンジン

 前々走の平安Sの3着馬。前々走は12番枠から五分のスタート。そこから押して進めていたが、内のミトノオーが速く、外枠なので2番手で折り合うことを選択。向正面でミトノオーがペースを落とすと、そこで息を入れて3角へ。

 3~4角でもミトノオーの外2番手で仕掛けを待ち、4角で同馬が仕掛けると食らいついて2番手で直線へ。序盤で1馬身3/4差までリードを広げられたが、ラスト1Fでミトノオーがやや甘くなり、そこをじわじわ差を詰める。最後にハピにも差されたが、上位2頭と半馬身差の3着を死守した。

 前々走は2番手に控えたことで、前がやや有利な展開となりミトノオーと共存する形。同型馬が不在だった3走前のブリリアントS同様に展開に恵まれる形となった。

 前走のマーキュリーCは8着大敗。前走は1番枠で出鞭を入れて出して行ったが、ひとつ外のヒロシクンが好スタートを切り、被されたので同馬に外に誘導したが、クラウンプライドに蓋をされて2列目最内に押し込まれる形。結果、向上面から早々と手応えが悪くなり、3角で後続に交わされて2.4秒差に敗れた。

 この馬は揉まれ弱く、逃げか、好位の外を追走する形で能力を発揮するタイプ。今回はテンの速い(8)ダイシンピスケスが出走しているが、同馬よりも外枠に入ったことで、前々走のような競馬も可能。ここは巻き返しに期待したい。

○ (7)ディクテオン

 昨年の浦和記念と名古屋GPを2連勝した馬。浦和記念は10番枠から出遅れて、最後方からの追走。2周目の2角からじわっと動いて向上面に入ると外から一気に位置を上げ、3角では好位の外。4角で先頭列に並びかけて直線序盤で捉えると、そこからどんどん差を広げて、2馬身半差で完勝した。

 ここではマイペースの逃げが決まる可能性が高いと見て、後方からの追走になるディクテオンは評価を下げた。しかし、ラスト5F付近から動いて、最後までしぶとかったことに驚かされた。

 続く名古屋GPは浦和記念ほど鮮やかな捲りではなかったが、大外12番枠から出遅れて中団やや後方から追走し、2周目の1角から進出して、3角では好位外。その勢いのまま4角で先頭に立ち、内で食らいついていたグランブリッジとの差を広げて2馬身半差で完勝した。

 中央では常に後方からに追走で前崩れの展開にならないと勝てなかったが、時計の掛かる馬場で捲れる地方の馬場は合うようだ。

 ただし、このタイプは仕掛けどころが難しく、前々走の名古屋GP時は、名古屋としてはダートが軽く逃げ馬天国。後方中目からの追走となり、スタンド前から位置を上げていかなければ物理的に不可能だったが、押し上げることなく4着に敗れている。

 前々走のディクテオンは川崎記念を大目標にした後の一戦で、楽をさせて馬体重14Kg増。太目だったことが鞍上を消極的にさせた面はある。3番手のヒロイックテイルと同じ最速の上がり3Fを記録しているだけに、もっと前の位置が取れていればまた違う結果になっていた可能性はあった。

 実際に横山和男騎手に乗り替わった帝王賞では中団の外目から向上面では動かず、3~4角で一気にペースが落ちたところから動いて3着に善戦している。4角では7頭分外を回っているが、ペースアップしている向上面から動いたのでは苦しくなっていた可能性が高く、あの乗り方は正解だったと見ている。

 今回は前走である程度走っての始動戦になるので、いきなり能力全開とはならないだろうが、相手が手薄のここは警戒が必要だ。

▲ (8)ダイシンピスケス

 前走でOPの仁川Sを勝利して目下3連勝。前走は14番枠から好スタートを決め、内からハナを主張したウェルカムニュースの外、2番手を追走。1角手前で外枠発走になったバハルダールが強引に先頭に立つと、それを追い駆けて向上面で2番手に上がった。

 3角で同馬に並びかけ、4角ではもう先頭。直線序盤で外から上がったアイコンテーラーとの競り合いになったが、これを制して半馬身前に出る。ラスト1Fでもそのまましぶとく粘っていたが、外からウェルカムニュースに迫られクビ差で勝利した。

 前走は内と前有利の展開に恵まれてはいるが、次走の川崎記念で3着となるアイコンテーラーを下したことは褒められる。ただ、この馬は使い詰めにされているところがあり、これまでの休養は3回。芝の新馬戦でも7馬身差(3着)に敗れており、休養明けから走るタイプではない。今回も7ヵ月の休養明けとなるだけに割引が必要だ。

△ (2)テンカハル

 昨年の東京ダ2100m戦、ブラジルCの勝ち馬。同レースでは10番枠からやや出遅れ、そこから押して後方中目。道中は淡々と流れて縦長の隊列が形成されていったが、中団馬群の単独後方を追走した。3~4角では中団の内のスペースを拾ってじわじわ進出し、直線序盤でするすると外に誘導しながら伸び、ラスト2Fでは一気に2番手上がった。そのままラスト1Fで先頭のロードヴァレンチを捉え、ダンンラスターの追撃も振り切って1馬身1/4差で完勝した。

 テンカハルがブラジルCで記録した指数は重賞で勝ち負けできるもの。しかし、その後がやや下降線で休養明け3戦目の前々走のマーキュリーCでも4着。後方から向上面で好位の外まで上がって、最後の直線でもしぶとく粘っていたが、中央のOP時と比べるとひと息の内容。

 前走で芝を叩いてテンの速力強化を図っており、ここは勝負体勢と推測されるが、前走では出遅れてダート戦よりも遅い入り方をしており、ここで一変とまではいなかいだろう。ただし、前走で走らなかったことで馬が疲れておらず、追い切り強化が図れているとういう点では良そうだ。

2024年 オールカマーの予想

■中山芝2200mはペースが上がりにくい

 オールカマーは先週のセントライト記念と同じ中山芝2200mが舞台。前半で高低差5.3mの最高地点を目指して坂を上り、向上面の中盤で坂を下るコース。このため前半のペースが上がりにくく、唯一、ややハイペースになったのが、中山で行われた過去10年では逃げ馬が多数だった2013年のみ。

 一方、スローペースになったことは8回もあり、そのうち7回がかなりのスローペース。特に何が何でも逃げたい馬が不在だった2020年には、前半5F64秒3-後半5F58秒3と前後半差5秒以上の超絶スローペースが出現している。

 また2020年も含めて、過去5年連続で5F通過60秒7より遅いかなりのスローペースが出現していること、昨日の時点でもコンクリート馬場だったこと、近2走とも平均~スローペースで逃げた(3)アウスヴァールが逃げる可能性が高いことから、ここもかなりのスローペースになると見て予想したい。

 昨年の金鯱賞と鳴尾記念で逃げて2着と好走しているように、逃げるとしぶとい(10)フェーングロッテンが逃げた場合には、平均に近いところまでペースが上がる可能性もあるが、この馬はテンがそれほど速くないし、今回は休養明けでもあるので無理をさせないと見ている。

中山11R オールカマー 芝2200m
 ◎ (6)アルビージャ
 ○ (12)ロバートソンキー
 ▲ (3)アウスヴァ―ル
 △ (8)ニシノレヴナント
 △ (9)キラーアビリティ
 △ (4)レーベンスティール
 △ (7)ヤマニンサンパ
結論 馬連6-13,3,8,9,4,7 (10:10:6:6:14:4) 複勝6 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (6)アルビージャ

 3歳春に1勝目を挙げるとそこから3連勝。驚かされたのは前々走の3勝クラス緑風S。ここでは6番枠から五分のスタートを切ったが、無理せず中団馬群の後方中目を追走。かなりのスローペースで4角まで包まれ、折り合いに専念する形だったが、ラスト2Fで内の進路が開くと一気に突き抜けて先頭へ。ラスト1Fで外差し2頭に詰め寄られたが、3/4差で勝利した。

 前々走は4着馬に4馬身と大きな差をつけ、古馬OP級の指数を記録。当時の2着馬は後のOP・福島民報杯を勝利したカレンルシェルブル。当日の3着馬は後のジャパンCを優勝したヴェラアズールだ。

 前走の関越Sはそこから2年2ヵ月の休養明けの一戦。夏の新潟開幕初日で超絶高速馬場とはいえ、レコード決着となるほどの湯積みない流れを1番枠から出遅れて、中団中目まで挽回していったことが祟って最後に伸びあぐねたが、見せ場はあった。

 またアルビージャは芝2400m前後がベストの馬。久々を叩かれて最適距離に戻る今回は巻き返しを期待したい。(5)ステラヴェローチェも屈件炎による長期休養明け後は不適距離の芝1400m戦を使われていたように、このタイプは変わり身を見せることが多いので本命に推したい。

○ (12)ロバートソンキー

 当時1勝馬の身ながら3歳秋の神戸新聞杯で3着、菊花賞で6着に善戦した馬。その後、1勝クラスから再スタートで2連勝。春の天皇賞では離された7着に敗れたが、その後3勝クラスを勝利し、続く2022年のオールカマーでは2着と健闘した。

 ここでは1番枠から躓いてやや出遅れ、促されてもあまり進んで行かなかったが、ひとつ外のジェラルディーナが内に切れ込んできたので、その後ろの中団の位置を取ることができた。向正面でも3~4角でも同馬をひたすらマーク。最短距離を通し切り、直線でも同馬の能力を信じてその後ろから。ラスト1Fでようやく外に誘導し、そこからグンと伸びて同馬と1馬身半差の2着に好走した。

 このオールカマーでは内を立ち回った馬が1~4着を独占したように、前日の雨の影響を受け、馬場が内側から乾いて圧倒的に内と前が圧倒的に有利な馬場&展開だった。ロバートソンキーは枠の利を生かして最短距離を通すことはできていたが、前有利の展開をジェラルディーナと同じ最速の上がり3Fを駆使したことは褒められるものだ。

 今回も能力を出し切れれば十分に通用する組み合わせ。もっと内目の枠が欲しかったが、2022年の時ほど相手が強くない。前々走の日経新春杯で5着した後、骨折で1年以上の休養となったが、始動戦の前走ではダートに起用し、無理をさせていない。叩かれて一変が期待できる。

▲ (3)アウスヴァ―ル

 デビュー3戦目の未勝利を逃げ切り勝ちした馬。この馬は抑える競馬をすると味がなく、その後1勝クラス、2勝クラスも1~2番手で結果っを残している。3勝クラス昇級後もすんなり逃げられた時に好走する点は変わらないが、成績の安定感は増している。今春の3勝クラス・難波Sを休養明けで逃げて勝利すると、前々走の函館記念で3着。

 前々走は9番枠からまずまずのスタートだったが、そこから押してハナを主張し、取り切った。道中は2番手のホウオウビツケッツが手綱を抑えて控えたこともあり、単騎気味の逃げ。3馬身ほどのリードで3角を向かえた。3角で動いて仕掛けたが、4角で外からホウオウビスケッツに並ばれて直線へ。序盤で並ぶ間もなくホウオウビスケッツに前に出られたが、ラスト1Fで同馬に進路をカットされたこともあって甘くなり3着となった。

 前々走は前後半5F59秒6-59秒6のジャスと平均ペースでの逃げ。特に逃げ馬は勝ったり、負けたりしながらスタミナが強化されて強くなっていくパターンが多いが、アウスヴァ―ルもまさにそれだろう。前走の札幌記念ではマイペースの単騎で逃げたが、勝ち馬に早めに上がって来られて苦しくなり、7着に敗れた。しかし、着差は0.8秒差と大崩れもしていない。ここは先行勢が手薄。展開と枠の利が生かせそうだ。

△ (8)ニシノレヴナント

 4走前の有馬記念前日の芝2500m戦、グレイトフルSの勝ち馬。4走前は10番枠からやや出遅れ、そこから軽く促されると二の脚は遅くなかったが、前に行く馬が多く、最終的には中団中目で進めた。道中も前が飛ばしていったが、中団中目でコントロールしながら追走した。

 向正面でプリマヴィータが後続を大きく引き離し、3角手前から動いていく馬もいたが、ニシノレヴナントは仕掛けずに後方に下がって3角へ。3~4角でも前が仕掛けて行く状況下でワンテンポソ仕掛けを遅らせ、外に誘導しながら仕掛けて4角でキングズパレスの後ろから4列目で直線へ。序盤でジリジリ伸びて3列目に上がり、ラスト1Fで一気に伸びてキングズパレスを捉え、半馬身差で勝利した。

 キングズパレスはその後に3勝クラスを勝利し、今春の新潟大賞典で2着、今夏は七夕賞2着、新潟記念3着と活躍した実績馬。4走前でキングズパレスを下したことは高い評価ができる。

 ニシノレヴナントは超絶高速馬場の青葉賞で9着に敗れて以降、ある程度、時計の掛かるレースばかりを使われている。積極的にというよりは偶然の部分もある。おそらく不良馬場の稲城特別(1勝クラス)を勝利している辺りから高速馬場適性が不安視され、過剰に人気がないものと推測されるが、4走前はそこまで時計が掛かっていなかった。キングズパレスが出走してくれば、上位人気に支持されることが予想されるだけに、この馬に一考してみたい。

2024年 神戸新聞杯の予想

■メイショウタバルの出方ひとつ

 先週のローズSの予想で中京芝2000mは逃げ、先行馬が有利な舞台であることを書いた。結果、最後方からレースを進めた断然1番人気のレガレイラが5着に敗れ、逃げた11番人気のセキトバイーストが3着となった。

 中京芝2000mと同様に、神戸新聞杯が行われる中京芝2200mも前半で急坂を上り、向正面半ばまで緩やかに坂を上っていくコース。ペースが上がりにくい舞台ではあるが、中京芝2000mとは違って初角(1角)までの距離が約500mとかなり長いため、大逃げ馬が出走、あるいは逃げ馬が多数だとペースが上がって差しが決まることも多々ある。

 今回は皐月賞で大逃げを打ったメイショウタバルが大外15番枠。内枠にテンが速い馬が少ないので、同馬が逃げる可能性が高い。しかし、同馬の鞍上、浜中俊騎手は強引に押し進めることもあれば、極端に抑えていくイメージもある。

 ただ、ほぼゲートを出たなりで先頭に立った毎日杯では平均ペースを刻んでおり、何が何でもハナという馬でもない。判断が非常に難しい馬ではあるが、前走と同じ轍は踏まないとみて予想したい。想定ペースは“平均”だ。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

中京11R 神戸新聞杯 芝2200m
 ◎ (6)メリオーレム
 ○ (15)メイショウタバル
 ▲ (7)ヴィレム
 注 (10)ミスタージィティー
 △ (11)ショウナンラプンタ
 △ (1)ジューンテイク
 △ (12)ウエストナウ
結論 馬連6-15,7,10,11,1,12 (14:9:6:7:7:7) 複勝6 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (6)メリオーレム

 すみれS、プリンシパルSでは3、2着に敗れてクラシックへの出走は叶わなかった。前走の西部スポニチ賞はプリンシパルSから大幅距離延長での出走となった。

 前走は1番枠からまずまずのスタートで、軽く促して位置を取りにいったが、そこまで進まず、徐々に下がり4番手を追走した。

 スタンド前では前2頭から離れた4列目の内を進み、2周目の3角手前から徐々に進出。3角では最内を通り、4角で先頭列との差を馬なりで一気に詰めて外に進路を取り、そのまま先頭に立って直線に入った。直線序盤で伸びて後続と3/4差。ラスト1Fで突き抜けて4馬身差で完勝した。

 3角手前から仕掛けて長くいい脚を使っており、いかにもステイヤーというレースぶりだった。

 神戸新聞杯は例年、前走2000m以上に出走していた馬が活躍する舞台。日本ダービー組の上位馬が活躍することが多いが、今年は日本ダービーの1~9着馬が出走しない。「日本ダービー組<芝2000m以上の条件戦」の勢力図が作られている。

 芝2000m以上の条件戦組が多数出走するが、西部スポニチ賞の指数がNo.1。メリオーレムはここでは一番の上がり馬ということになる。

 気になる点を挙げるなら、成長する前とはいえ中京芝2200mのすみれSでサンライズアースに4馬身半差も離された3着に敗れていることだが、このレースでは3~4角で包まれ、スムーズな競馬ができなかった。

 すみれSのサンライズアースは前半3Fという早い段階から脚をタメており、100点満点に近い立ち回りだった。メリオーレムも同馬のようにスムーズにいけば、もっと着差は詰まっていただろう。メリオーレムは長距離がベストだが、芝2200mも悪くない条件。能力値1位のここで本命に推す。

○ (15)メイショウタバル

 デビュー4戦目の若駒Sはレース直前の歩様の乱れで除外となってしまったが、それを除けば昨年12月の未勝利戦から3連勝で重馬場の毎日杯を優勝した。

 毎日杯では4番枠からまずまずのスタートを切り、ハナを主張。道中は1馬身のリードを保ちながら進め3角で息を入れた。4角出口で後続をすっと引き離してリードを1馬身半差まで広げて直線へ。そこからどんどん後続を引き離して5馬身差、ラスト1Fでリードを広げて6馬身差の圧勝だった。

 毎日杯当日は、10Rの丹波特別(2勝クラス、阪神芝1600m)でも、7頭立ての4番人気ヒルノショパンが逃げ切り勝ちを収めているが、このレースは5F通過が61秒1とかなりのスローペース。毎日杯は芝1800mで前半5F59秒6と平均ペースまで速くなった。

 重馬場でかなり時計が掛かっていたことは明確で、豊富なスタミナがなければ逃げて圧勝することはできなかったはず。ここではメンバー中でNo.1の指数を記録している。

 前走の皐月賞は5F通過57秒5と超高速馬場を考慮しても暴走レベルの逃げ。しかもこの馬はテンがそれほど速くなく、2番枠から押した上でこのペースだから、かなり苦しい競馬だった。

 今回はスタミナが不足しがちな休養明けで距離延長、インコースの馬場が悪化と、逃げ馬には厳しい条件がそろっているが、平均ペース前後の逃げなら十分に押し切る力はある。日本ダービーの上位馬が不在のここは対抗に推したい。

△ (7)ヴィレム

 ヴィレムはデビュー3戦目のすみれSまで外枠だったこともあり、逃げ馬の外2番手で競馬することが多かった。すみれSは3角でサンライズアースにマクられて急にムキになり、控えてそのまま失速し8着に大敗した。揉まれ弱さを見せた。

 次走のプリンシパルSでは、意識的に抑えて中団の外で進めて2着メリオーレムとクビ+アタマ差の4着に善戦。前走の1勝クラスでも位置を下げて後方外から差し切って勝利と、末脚勝負に徹する競馬で結果を出した。

 前走は4番枠から五分のスタートを切って中団中目を追走。道中で外からロードヴェスパーが先団まで押し上げたことで、後方2列目の外まで下がったが、3~4角で中団の外まで上がって直線に向いた。

 直線序盤で大外に出て、ラスト2F目で追われると一気に好位のスティンガーグラスの外まで上がった。ラスト1Fでスティンガーグラスと併せて伸び、最後に抜け出して半馬身差で勝利した。

 2着スティンガーグラスは次走の1勝クラスを5馬身差で圧勝。先週のセントライト記念でも出遅れて最後の直線でスムーズさを欠く場面がありながらも5着に善戦している。3着ブラックヴァールも次走で1勝クラスを勝利し、次々走の2勝クラスで連対しているように、なかなかの強豪が集っていた。

 前走指数はメリオーレムやバッデレイトに見劣るが、1勝クラスの遅い流れでゴージョニーゴーやオールセインツと同等の指数を記録したことは高い評価ができる。またヴィレムは6月から休養させており、春のクラシック組同様に、今夏の成長力が見込める。

注 (10)ミスタージィティー

 今年3月の若葉賞の勝ち馬。同レースでは3番枠からまずまずのスタートだったが、二の脚が速く、いったん先頭に立ってハナをちらつかせた。外からホウオウプロサンゲが等が上がってくると、無理なく4番手。上手く逃げ馬ウオウプロサンゲの後ろをスペーを作って追走し、向上面半ばから徐々の差を詰めて3角へ。

 ただ3~4角でもそこまで上がってこず、2列目の最内で我慢。直線序盤でホウオウプロサンゲにすっと並びかけて先頭列に。ラスト1Fでしぶとく伸びて、同馬を半馬身かわして勝利した。

 前々走の皐月賞は(15)メイショウタバルの狂気の大逃げで前後半5F57秒5-59秒6とかなりのハイペース。ここでは5番枠から先行争いに加わって、そこから下がる形で好位の内目とある程度ポジションを取りにいったために10着に敗れた。

 一方、逃げ馬不在で超絶スローペースとなった前走の日本ダービーでは7番枠からゲート出たなりで進めていたら、後方に下がり、最後方からの追走。3~4角でも後方内々で包まれており、さすがに厳しく、ブービーに敗れたのは仕方ない。

 ミスタージィティーが自己最高指数を記録したのは若葉賞。近2走は不利な展開で敗れており、休養中の成長も加味して要警戒だ。

▲ (11)ショウナンラプンタ

 今春の青葉賞の2着馬。同レースでは15番枠からやや出遅れ、そこからコントロールしながら進んだが、1~2角でかかって中団外まで押し上げてしまった。

 向正面序盤でも折り合いに苦労していたが、トロヴァトーレの後ろでなんとか折り合い、3~4角では中団の外で我慢した。

 直線序盤で追われると手応えほど伸びなかったが、ラスト2Fで伸びて好位列まで上がった。ラスト1Fで先頭に立ったシュガークンに迫ったが、アタマ差及ばず2着に惜敗した。

 折り合いを欠いて位置を押し上げていくロスや、終始外々を回るロスを考えれば、好位の内目をロスなく立ち回った勝ち馬のシュガークンよりも強い内容だった。

 前走の日本ダービーは逃げ馬不在で超絶ペースが遅く、中団外目でかなりかかった。3~4角で内を通った馬が上位を占めるなかで、外を回るロスがあり15着に敗れた。

 折り合いに大きな課題があり、ハイペースの内枠がベストのタイプだ。前走は能力を出し切る内容ではなかったことから、(1)ジューンテイク同様に軽視はできない。(15)メイショウタバルがペースを引き上げる展開になれば、折り合いが楽になるのでチャンスはある。

△ (1)ジューンテイク

 今春の京都新聞杯の優勝馬。同レースでは1番枠から五分のスタートを切り、そこからかなり押して、2列目の内目を確保する形。道中はかなりのスローペースで逃げる(12)ウエストナウの後ろで、スペースを維持して進めた。

 3~4角で外から各馬が動いていくなかで、2列目の最内で我慢して直線へ。直線では序盤で最内を突いてしぶとく伸び、ラスト1Fではそのまま抜け出して1馬身差で完勝した。

 前半はややかかってはいたが、枠と展開を最大限に生かす、完璧な騎乗だった。京都新聞杯までのレースではスピード不足で先行できず、中団からの追走でキレ負けするパターンが目立っていたが、ここではポジションを取って、上がりの速い決着にも対応できたことが大きい。こういう競馬ができれば、幅広い展開に対応できるはず。

前 走の日本ダービーは、逃げ馬不在で京都新聞杯以上のスローペース。かかって3~4角で最内を通りながらも伸びず、10着に敗れた。前々走の京都新聞杯で日本ダービーの出走権(賞金加算)を取りにいって好走した疲れもあったようで、度外視できる内容だった。

 内が悪化した馬場の内枠で、上手く中目に誘導することが条件になるが、今回は(15)メイショウタバルが出走するので、近2走よりもペースは速くなるだろう。(11)ショウナンラプンタ同様に巻き返しに注意だ。

△ (12)ウエストナウ

 遅生まれで今年4月のデビューとなったが、4月の阪神芝1800mの未勝利戦では13番枠から出遅れて後方からの追走となったが、そこから中団内目まで挽回していく形。3角で最内を通して、4角でスペースを詰めて外へ誘導。進路確保雑をするとじわじわ伸びて3列目まで上がる。ラスト1Fでそのまましぶとく伸びて2馬身差で完勝。キャリアが豊富な馬たちを相手に勝利したのは素質が高ければこそだ。

 デビュー2戦目の前走、京都新聞杯では2着。ここでは5番枠からまずまずのスタートを切り、押してハナを主張し、取り切る。1角手前で自ら外に膨れるロスがあったが、そこからはコントロールして進め、向正面では顕著にペースを落とし、団子状態に。

 3角の下りでじわっと仕掛けてペースを引き上げ、4角で外から2列目勢が並びかけると、一気に仕掛けて先頭を維持して直線へ。序盤でしぶとく踏ん張ってクビ差のリードを維持していたが、ラスト1Fで最内から捌いて上がったジューンテイクに差されてクビ差で敗れた。

 ウエストナウと同様に、デビュー2戦目で挑んだ(5)オールセインツが13着に大敗しているように、デビュー2戦目で重賞で通用することは簡単なことではない。その後、疲れが強く出たようで、ここまで待っての出走となったが、この休養中に成長しているならば怖い一頭だ。