■ペースが上がりにくい舞台
スワンSが行われる京都芝1400mは、向正面からスタートして2F目から坂を上り、4F目で坂を下るコース。このため前半のペースが上がりにくく、京都開催時の過去10年(良~稍重開催時)の平均前半3Fは34秒8。芝1400m戦としてはかなり遅く、ややハイペースで決着したのは2018年のみとなっている。
2018年は当日の5レ―スまでが稍重で時計の掛かる馬場。さらに先行争いが激化したこともあり、追込馬のロードクエストが優勝した。しかし、それ以外の良~稍重開催時は、平均よりもペースが遅く、逃げ馬が3勝、2着2回、3着1回と半数以上が馬券に絡んでいる。
また先週は雨の影響があり、外差し有利の馬場だったが、今週は中目が伸びており、やや掘り返しのある内目もペース次第では粘れている。今回は先行タイプは多数もハナ必須の馬は不在。平均ペースの範囲内で収まる可能性が高いと見て、先行馬主体で予想した。このラインより上のエリアが無料で表示されます。
京都11R スワンS 芝1400m
◎ (1)サーマルウインド
○ (4)クランフォード
▲ (9)ウインカーネリアン
注 (11)シングザットソング
注 (12)ダノンスコーピオン
△ (2)ジョウショーホープ
△ (6)オフトレイル
△ (14)アグリ
結論 馬連1-4,9,11,12,2,6,14 (10:10:8:7:5:5:5) 複勝1 (50)
■有力馬と評価ポイント
◎ (1)サーマルウインド
不良馬場で行われた昨年4月の春興S(当時は3勝クラス)の覇者。この春興Sは2番枠から好スタートを切り、軽く促した程度で先頭へ。そのままハナを取り切ると淡々としたペースで逃げ、2番手と3/4差で3角へ。3~4角で2番手との差を2馬身まで広げて直線へ。直線序盤ではどんどん差を広げて5馬身差、ラスト1Fで最内から差し馬のドゥラモンドに差を詰められたが、余裕を持って4馬身で圧勝した。
サーマルウインドはその後、芝1400mのリステッドの信越Sも勝利。ここでは13番枠から好スタートを決めて楽に先行争いから、抑えてコントロールしながら2列目の外を追走。最後の直線序盤で先頭列に並びかけ、ラスト1Fで抜け出して1馬身1/4差で勝利している。つまり、今回の距離も折り合う競馬も可能だ。
前走の北九州記念は1番人気に支持されながらも12着に凡退。前々走のリステッド、春雷Sでサマースプリント王者でスプリンターズSでも1番人気に支持されたサトノブレーヴと接戦の2着に好走した疲れによる夏負けの影響もあったが、オーバーペースで逃げるピューロマジックを追い駆けすぎたのも敗因のひとつ。
今回はそこから立て直されての一戦。CWの追い切り時計は地味目でも、外目を回って余裕を持たせており、良い動きだった。ペースが上がらなければ、ここは巻き返せると見る。
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■末脚を生かす馬が多く、ペースが上がりにくい
このレースはA→Bコース替わりで外が伸びる馬場になることや、本番の阪神JFを意識して、末脚を生かす馬が多いことがポイント。2018年のライデンシャフトのようなハナ必須タイプが出走していない限り、まず平均ペースよりも遅い流れになる。
このため将来のある馬が活躍する一方、2017年に13番人気のサヤカチャンが2着に逃げ粘るなど、前からの一発も決まっている。2019年も5番人気馬のビッククインバイオが逃げて3着、2022年は6番人気アリスヴェリテが逃げて3着だった。
キャリアの浅い馬2歳馬は、まだ脚質が定まっていない馬も多く、急な脚質チェンジもあるが、それでも騎手自ら無理に行かせてバテさせるようなレースは基本的にはさせない。将来性を紡ぐことになるからだ。ここはそれも踏まえて予想したい。このラインより上のエリアが無料で表示されます。
東京11R アルテミスS 芝1600m
◎ (5)ミリオンローズ
○ (8)ショウナンザナドゥ
▲ (10)カムニャック
△ (1)ミストレス
△ (2)ブラウンラチェット
△ (3)マイエレメント
△ (4)シホリーン
△ (11)クレオズニードル
結論 馬連5-8,10,1,2,3,4,11 (15:10:5:5:5:5:5) 複勝5 (50)
■有力馬と評価ポイント
◎ (5)ミリオンローズ
6月の東京芝1600mの新馬戦では、1番枠から五分のスタート後に首を上げてしまったが、そこからすっと先行し、好位の最内を追走した。道中も逃げ馬の後ろで折り合ってスペースを作って進み、3~4角でじわっとスペースを潰して直線へ。
直線序盤で逃げ馬の内からすっと抜け出し、ラスト2Fで先頭に立った。このまま独走かと思われたが、追ってくる馬たちの末脚が鋭く、ラスト1Fで詰め寄られてしまったが、なんとか半馬身差で押し切った。
ミリオンローズの上がり3Fタイムは33秒4秒。これはなかなか優秀と言える。ラスト2F11秒0-10秒9は、以前の数字に均すならラスト1F11秒2か11秒3くらいの価値で、これもなかなか優秀と言えるだろう。
またこの新馬戦では4着以下が離されており、最後に伸びてきた2着エンブロイダリー、3着クライスレリアーナの末脚にも光るものがあった。ミリオンローズが独走Vとならなかったのは、2頭の末脚が優秀だったからという評価で、実際にエンブロイダリー、クライスレリアーナは次走未勝利戦を好指数で圧勝している。
この新馬戦は出走馬の質が高く、走破タイムが平凡なので疲れが残りにくく、次戦に繋がりやすい内容。よって、ミリオンローズも前走のクローバー賞では順当に上昇した。
前走は4番枠から五分のスタートを切り、二の脚ですっと先行。しかし、内2頭の先行争いが激しく、2列目の外へ控えた。そこで掛かりコントロールにやや苦労する場面はあったが、向正面半ばでは折り合いもついていた。4角で仕掛けながら2番手に上がり、直線序盤で先頭。そこをニタモノドウシに捉えられ、2馬身差で敗れた。
ニタモノドウシは6月の福島新馬戦で、芝1200m戦ながら大きく出遅れたが、最後の直線では鋭く伸びて、素晴らしい瞬発力を感じさせる勝利だった。今回の1、2着馬は他馬とは力差があり、戦前の段階から一騎打ちになることを予想していた。
山崎的にはミリオンローズが勝利する可能性が高いと見ていたが、勝ったのはニタモノドウシ。この時点では現2歳世代芝部門指数最高値を記録した。ミリオンローズも負けはしたがしっかりとした指数で走っている。
休養明けで20Kgの大幅馬体増で道中折り合いを欠く場面もあったことから、能力を出し切っての敗戦ではないだろう。現時点で6番人気と人気はないが、ここも期待したい。
○ (8)ショウナンザナドゥ
前走の京都芝1600mの未勝利戦の勝ち馬。前走は4番枠から好スタート。内のコムーネの方がスタートは速かったが、ショウナンザナドゥの二の脚が速く、先頭に立ちそうになったが手綱を引っ張ってコムーネを先に行かせた。道中は2番手の外を追走、3~4角で再びコムーネに並びかけ4角で先頭へ。
直線序盤ではショウナンザナドゥをマークして乗っていたゼンダンハヤブサが接近し2番手に上がったが、それでも2馬身、3馬身とどんどん差を広げた。最終的に2着ゼンダンハヤブサに5馬身差、3着馬に12馬身差をつけての圧勝だった。
ショウナンザナドゥは6月京都の新馬開幕日の新馬戦でダノンフェアレディとマッチレースを演じた馬。ここでは2着ながら指数は1クラス上でも通用するほどの高指数を記録しており、当時の走りができればここも圧勝するのは当然だった。
前走指数は前々走比でわずかに上昇。新馬戦好走馬は疲れが残って2戦目で凡走することも多々あるが、ショウナンザナドゥは前走の走り程度では疲れが残らない、潜在能力がとても高い馬であることを証明した。ここからもまだまだ伸びそうなだけに、対抗評価だ。
▲ (10)カムニャック
前走の中京芝2000mの新馬戦では、1番枠からトップスタートを決めたが、そこから控えて後方2番手まで下げ、1角までに外に誘導した。道中は後方2番手で5F通過64秒1のスローペース。これで届くのかと思われたが、3角過ぎから外を回りながら位置を押し上げ、4角で好位の外と前を射程圏内に。
4角出口でワンテンポ待ってさらに外に誘導されると、フットワークが大きくなり楽に抜け出してラスト1F標で先頭。そこから突き抜けて3馬身半差で勝利した。
上がり3Fタイム33秒6はこの週の中京芝中距離では最速。ラスト2F10秒9-10秒9も高く評価ができる数字だ。本馬は牝馬でクラシックでは短い距離に対応する必要がある。芝1600mの今回で流れに乗れるかという不安がある。ここで脚を余す危険性もあると見て、ヒモ穴を加えているが、ここで能力上位は確かだ。