2024年 天皇賞(秋)+カシオペアSの予想

■長らく逃げ切りが決まっていないレース
 
 天皇賞(秋)では1987年のニッポーテイオー以来、逃げ切りが決まっていない。記録上では1991年にプレクラスニーが「逃げて勝利」となっているが、これは1位入線したメジロマックイーンの降着によるものだった。

 これはAコースからBコースに替わるなかですでに内が悪化していることも多く、外差しが決まりやすいという点が大きい。また、2000mの距離ながらコーナーは3回で直線が長いため、ペースが緩みなく流れやすいことも理由のひとつだ。

 過去10年では先行馬が5勝しているが、その5頭はいずれもそれまでにGⅠ勝ちの実績があった。末脚型が圧倒的に有利な舞台だけに、今回も末脚型を中心視したい。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

東京11R 天皇賞(秋) 芝2000m
 ◎ (7)ドウデュース
 ○ (12)リバティアイランド
 ▲ (9)ホウオウビスケッツ
 △ (3)ステラヴェローチェ
 △ (8)キングズパレス
 △ (11)ジャスティンパレス
結論 馬連7-12,9,3,8,11 (20:18:4:4:4) 複勝7 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (7)ドウデュース

 2年前、高速馬場の日本ダービーではあのイクイノックスを倒した馬。同年秋のフランス遠征では、2戦ともかなりタフな馬場となって結果を出せなかったが、帰国初戦の京都記念では3馬身半差で圧勝した。

 昨年の天皇賞(秋)は出遅れて後方から進めた(11)ジャスティンパレスとプログノーシスが2着、3着に台頭する展開のなか、好スタートを決めて掛かりながらも積極的に3番手のイクイノックスを追いかけた。結果的に失速して7着に終わったが、東京芝2000mで1分55秒2という決着タイムからも分かるように、ペースが緩まない流れだった。それも長期休養明けで、太目残りでは敗戦も仕方ない。

 それでも、武豊騎手が鞍上に戻った有馬記念では、日本ダービーや京都記念時のように後方からレースを進め、3角外から進出して一気に2列目まで押し上げる形。そこから中目に切れ込み、スターズオンアースに並びかけて2列目の外で直線へ。ラスト1Fでは前2頭を差し切り、半馬身差で勝利した。この年の有馬記念は年末の中山芝としては時計が出ており、本馬は高速馬場で末脚を生かしてこそ、ということを改めて感じさせる内容だった。

 前々走のドバイターフは出遅れを中団まで挽回し、3~4角で窮屈になってブレーキを掛けながら進出。ラスト1Fまでは進路がなく、脚を余す形で敗れている。

 前走の宝塚記念はタフな馬場。4番枠からまずまずのスタートを切り、そこからコントロールして位置を下げにかかったが、外から被せられて下げ切れずに後方列の中目を追走することとなった。3角までに位置を下げ切れず、3~4角では馬場の悪化した内を狙うしかない形に。4角では4列目まで上がったが、最後の直線でも馬場の悪化した内を通って6着敗退。ここでも本来の能力を出し切れなかった。

 今回の天皇賞(秋)は当日も晴れの予報で、超高速馬場で行われる予想。近2走で能力を出し切っていないので、エネルギーは溜まっているだろう。1週前はCWで目一杯、直前はポリトラックという友道康夫厩舎の勝負調教をこなすことができた。距離適性も実績もあるので本命候補としたい。

○ (12)リバティアイランド

 昨年の三冠牝馬で、ジャパンCでも2着と好走した馬。ジャパンCでは1番枠からまずまずのスタートを切り、好位の内から中目に誘導しながら進めていく形に。道中は逃げ馬からかなり離れた3番手を取ったイクイノックスの後ろを取り、やや掛かり気味に追走した。

 3~4角でもイクイノックスをひたすらマークしながら最短距離を通り、3列目の4番手で直線へ。ラスト2Fでは一気に突き放されて3番手となったが、そこからもしぶとく伸び続けて2着に浮上した。イクイノックスには4馬身も離されたが、これは相手が怪物だっただけ。並みのGⅠならば勝ち負けできる指数を記録している。

 本馬は東京芝2400mのオークスで自己最高指数を記録、前記のジャパンCで2番目の指数を記録しているように、芝2400mがベストの馬だ。前走のドバイシーマクラシック(芝2410m)でも、中団外からしぶとく伸びて接戦の3着に善戦している。

 前走は3~4角で動いた2番手レベルスロマンスと3番手シャフリヤールがワンツーを決めたように、スローペースの直線勝負となった。前2頭を差せないことはともかく、ラスト1Fでジャスティンパレスにクビ差まで迫られたあたりにやや物足りなさも感じたが、スタミナが不足しがちな休養明けで日本のような高速馬場ではなかったことが影響していると見ている。

 今回は前走で芝2410m戦を後方から運んだ後の一戦となるので、高速馬場の東京芝2000mでレースの流れに乗れるかがカギとなるが、ゴチャつかない外目の枠に入れたのは好材料と言える。ここではトップクラスの末脚の持ち主で、上位争いに加わる可能性が高い。対抗評価だ。

▲ (9)ホウオウビスケッツ

 今夏の巴賞と函館記念を連勝した上がり馬。前々走の函館記念では12番枠から五分のスタートだったが、二の脚が速く楽に逃げ馬アウスヴァールの外2番手へ取り付いた。

 1~2角では手綱を抑えてコントロールし、道中はアウスヴァールから2馬身半ほど離れた2番手を追走していく。3角では同馬と3馬身差だったが、3~4角では徐々に差を詰めながら外に誘導、4角で一気に先頭に並びかける。直線序盤で抜け出すと、ラスト1Fで突き抜けて3馬身半差で圧勝した。

 逃げて勝利した巴賞から1Fの距離延長。前半のペースも速くなったが、ここでは逃げずに離れた2番手に控えたことも功を奏し、自己最高の指数を記録した。

 また、4馬身1/4差の3着アウスヴァールと4着サヴォーナが後にオールカマーで2着、4着と善戦したようにこの函館記念はハイレベルで、ホウオウビスケッツはリバティアイランドのジャパンC2着時と同等の指数を記録している。

 休養明けで高速馬場のなか行われた前走の毎日王冠は逃げ宣言をしていた(13)シルトホルンが控える形となったため、結果的に本馬がハナへ。かなりのスローペースで逃げて2着と無理をさせていないので、今回は前進が見込める。

 今回も逃げの手に出るのか、父の岩田康誠騎手が手綱を取る(5)ノースブリッジが逃げるのかは流れによって変わりそうだが、両騎手ともハイペースを好まない騎手の上に折り合いもつくので、ハイペースにはならない可能性が高いと見ている。

 天皇賞(秋)の過去10年で先行押し切りは全てGⅠ勝ちの実績がある馬。本馬にはその実績がないが、函館記念ではレベル次第でGⅠでも勝ち負けできる指数を記録している。先行策なら怖い一頭だ。

△ (3)ステラヴェローチェ

 3歳時の2021年は皐月賞3着、日本ダービー3着、神戸新聞杯1着など世代トップ級の能力を示してきた馬。菊花賞は休養明けかつ不良馬場の神戸新聞杯で自己最高指数を記録した反動もあり、勝ち馬タイトルホルダーから5馬身以上離された4着に敗れた。

 次走の有馬記念は9番枠から出遅れたが、そこから促して中団やや後方まで挽回。道中はエフフォーリアを徹底的にマークしながら中団の外で進め、3~4角の外から動いた同馬を追いかけて進出した。直線序盤は4列目付近の外。そこからじわじわ伸びて4番手に上がり、最後はクロノジェネシスとの叩き合いに。半馬身ほど敗れたが、4着に健闘した。

 前記の有馬記念はパンサラッサがかなりのハイペースで逃げたことで、中団やや後方でレースを進めた本馬は展開に恵まれた面はあった。しかし、○(13)リバティアイランド以外に目立った活躍がない現4歳馬が主力となる今回のメンバーなら、当時の能力を発揮できればここでも通用する。

 屈腱炎で1年7カ月の長期休養を余儀なくされたが、今年は大阪杯や札幌記念で中団からレースを進めて小差の4着、3着と善戦している。休養明け好走後の前走オールカマーでは、かなり掛かりながら好位馬群の外目を回るロスがありながら、最後の直線ではそれなりに伸びてきており、見せ場は作った。できればペースが上がって欲しいところではあるが、一発あっても不思議ない。

△ (8)キングズパレス

 3走前の新潟大賞典で2着。3走前は13番枠から五分のスタートを切ったが、二の脚が遅く、下がって後方からの追走。道中はペースが上がらず、ゆったりとした流れ。そこで中団の外まで進出、3~4角で外から押し上げていった。直線序盤では追われても伸びが地味だったが、ラスト2Fで徐々に伸び始めて2列目に、ラスト1Fでは逃げ切りを図るヤマニンサルバムを強襲したが、ハナ差及ばなかった。

 このレースは、次走で鳴尾記念を勝つヨーホーレイクが最内を立ち回って3着に敗れたように、外の方が伸びる馬場状態だった。よって、外々を回った3~4角のロスは致命的というわけでもなかった。しかし、道中で動いて勝ちに行ったことは好評価できる。

 その後はサマー2000シリーズの七夕賞で2着、新潟記念で3着し、存在感をアピール。本馬はゲート、二の脚ともに安定しているが、先行できるほど速くない。末脚も安定しているが、高速馬場で一線級を相手にメンバー最速で上がってこれるほど速くもない。

 武器がないので勝ち切れないのだが、弱点もやや右にモタれる多少ある程度で、目立った大きなものはない。総合力が高く、トップスピードが長く維持できる点は強み。ここも相手なりに走れそうなイメージがありながら11番人気と人気薄なので食指が動く。

△ (11)ジャスティンパレス

 昨年の天皇賞(春)で悲願のGⅠ制覇を達成。このレースはタイトルホルダーが逃げて主導権を握り、前半~中盤が速かったが2周目の3角手前で同馬が故障して下がったことで13秒台前半と大きくペースが緩んだ。

 本馬は1番枠から五分のスタートを切り、積極的に促していったが、ひとつ外のディープモンスターの方が速く、そこで控えて中団やや前目を追走。1~2角でディープボンドの後ろを選択し、そこから同馬をマーク。

 3角手前で一気にペースダウンすると、そこでディープボンドを追い駆け、楽な手応えで進出。4角では同馬の外に誘導して2列目。直線序盤ですっと加速して先頭に立って1馬身。ラスト1Fでディープボンドとの差を広げて2馬身差で完勝した。

 ここでは3角手前から上手く押し上げたことが功を奏しての優勝で、自己最高指数を記録した。その後は中距離路線に矛先を向け、宝塚記念3着、天皇賞(秋)は2着。

 昨年の天皇賞(秋)は、◎(7)ドウデュ―スや(10)ダノンベルーガに先着しているが、出遅れて後方2番手からの追走となったことで展開に恵まれたもの。このレースはドウデュ―スのコメントでも触れたように、ジャックドールのオーバーペースで先行馬にはかなり厳しい展開だった。

 前走の宝塚記念はスタミナが不足しがちな休養明けでタフな馬場。2番枠からまずまずのスタートを切ったが、挟まれかけて少し下がったが、そこから押されても進みが悪く、後方に下がってしまった。しかし、向上面で後方馬群の中目から好位中目まで押し上げたことで3~4角の一気のペースアップで苦しくなり、4角で馬場の良い外への誘導が難しく、直線は内のドウデュースのひとつ外の伸びないところを通って10着に敗れた。

 今回はそこから立て直されての一戦。超高速馬場の芝2000mでは後方からの追走になるだけに、勝ち負けは難しいかもしれないが、大勢が決まったところを突っ込んで3着、印上位馬に何かしらの破綻が起きて2着という決着はわりと現実的なもの。警戒しておきたい。

推定3番人気 (14)レーベンスティール

 エプソムCとオールカマーを連勝してここに臨む馬。前々走のエプソムCでは6番枠からまずまずのスタートを切り、じわっと仕掛けて好位中目を追走。向正面ではコントロールしながら位置を下げ、好位馬群の後方外に取り付く。

 3~4角でも好位の外からラケマーダの後ろを通り、4列目で直線へ。ラスト2Fですっと抜け出すと一気に先頭列まで上がり、ラスト1Fでしぶとく抜け出して2馬身差で完勝した。

 エプソムC当日は馬場の内側がやや荒れ、外差し有利の馬場だったが、向正面で位置を下げて上手く外に誘導したことで噛み合った面がある。また、本馬は折り合い面に課題があるが、平均ペースで流れて前に壁を作れたことで折り合いもスムーズだった。

 前走のオールカマーは4番枠からまずまずのスタートを切り、序盤は2列目の中目。外からリカンカブールが2番手に上がり、道中は3列目の中目でかなり掛かったが我慢させて追走した。

 3角で前にスペースを作り、4角でそのスペースを詰めていくも、そこで進路がない状態に。直線序盤で外への誘導が難しく、内に切れ込んでラスト1Fでは3列目。ラスト1Fでアウスヴァールの後ろから何とか馬群を捌き切ると、半馬身差で勝利した。

 前走は最後の直線で詰まって仕掛けが遅れたが、結果的にここへ余力を残すことができた。ただし、今回は相手強化で外枠。8番枠は過去20年で52頭が出走して連対ゼロという枠だが、フルゲートではないのでそこまで悪い枠ではないだろう。

 ただ前に壁を作りたいタイプで、壁が作れずに折り合いを欠いた時は不安なのと、一線級が相手となると、条件が整わないとまだ能力的に通用しないレベルと見ており、ここは消すことにした。
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京都11R カペラS 芝1800m
 ◎ (16)トランキリテ
 ○ (1)セオ
 ▲ (6)エスコーラ
 △ (2)トゥデイイズザデイ
 △ (4)ロングラン
 △ (5)コレペティトール
 △ (8)アルジーヌ
 △ (10)ニホンピロキーフ
 △ (11)ハーランズハーツ
 △ (12)ショウナンマグマ
結論 馬連16-1,6,2,4,5,8,10,11,12 (9:6;5:5:5:5:5

■有力馬と評価ポイント

◎ (16)トランキリテ

 3走前のOP・洛陽Sの2着馬。3走前は大外18番からやや出遅れ、進みも悪く、最後方からの追走。道中は前2頭が飛ばして隊列が縦長になっていく展開を、最後方列の外で脚を温存。3~4角でじわっと前との差を詰めながらもまた最後方列だったが、直線序盤で大外に誘導しながら追われるとじわじわ伸び始める。ラスト1Fで先に抜け出したドゥアイズとの差を詰めて半馬身差に迫った。

 3走前は前後半3F45秒5-47秒1のかなりのハイペース。しかし、ラスト2Fで11秒6-11秒5と加速する流れを、ラスト1Fでしっかりと差を詰めている。つまり、勝ち馬のドゥアイズもそうだが、マイルは追走に忙しいということ。このレースぶりから距離を延ばしたほうがいいと見ていたが、今回は初めて1800m戦に出走してきた。

 今回はリステッドでも手強い相手だが、昨日のスワンSで外差し勢が上位を独占したように、外差し有利の馬場状態。キレる脚が使えるタイプではないので、ある程度、レースの上がりが掛かっている点も好ましい。ここは一発を期待したい。

2024年 スワンS&アルテミスSの予想

■ペースが上がりにくい舞台

 スワンSが行われる京都芝1400mは、向正面からスタートして2F目から坂を上り、4F目で坂を下るコース。このため前半のペースが上がりにくく、京都開催時の過去10年(良~稍重開催時)の平均前半3Fは34秒8。芝1400m戦としてはかなり遅く、ややハイペースで決着したのは2018年のみとなっている。

 2018年は当日の5レ―スまでが稍重で時計の掛かる馬場。さらに先行争いが激化したこともあり、追込馬のロードクエストが優勝した。しかし、それ以外の良~稍重開催時は、平均よりもペースが遅く、逃げ馬が3勝、2着2回、3着1回と半数以上が馬券に絡んでいる。

 また先週は雨の影響があり、外差し有利の馬場だったが、今週は中目が伸びており、やや掘り返しのある内目もペース次第では粘れている。今回は先行タイプは多数もハナ必須の馬は不在。平均ペースの範囲内で収まる可能性が高いと見て、先行馬主体で予想した。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

京都11R スワンS 芝1400m
 ◎ (1)サーマルウインド
 ○ (4)クランフォード
 ▲ (9)ウインカーネリアン
 注 (11)シングザットソング
 注 (12)ダノンスコーピオン
 △ (2)ジョウショーホープ
 △ (6)オフトレイル
 △ (14)アグリ
結論 馬連1-4,9,11,12,2,6,14 (10:10:8:7:5:5:5) 複勝1 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (1)サーマルウインド

 不良馬場で行われた昨年4月の春興S(当時は3勝クラス)の覇者。この春興Sは2番枠から好スタートを切り、軽く促した程度で先頭へ。そのままハナを取り切ると淡々としたペースで逃げ、2番手と3/4差で3角へ。3~4角で2番手との差を2馬身まで広げて直線へ。直線序盤ではどんどん差を広げて5馬身差、ラスト1Fで最内から差し馬のドゥラモンドに差を詰められたが、余裕を持って4馬身で圧勝した。

 サーマルウインドはその後、芝1400mのリステッドの信越Sも勝利。ここでは13番枠から好スタートを決めて楽に先行争いから、抑えてコントロールしながら2列目の外を追走。最後の直線序盤で先頭列に並びかけ、ラスト1Fで抜け出して1馬身1/4差で勝利している。つまり、今回の距離も折り合う競馬も可能だ。

 前走の北九州記念は1番人気に支持されながらも12着に凡退。前々走のリステッド、春雷Sでサマースプリント王者でスプリンターズSでも1番人気に支持されたサトノブレーヴと接戦の2着に好走した疲れによる夏負けの影響もあったが、オーバーペースで逃げるピューロマジックを追い駆けすぎたのも敗因のひとつ。

 今回はそこから立て直されての一戦。CWの追い切り時計は地味目でも、外目を回って余裕を持たせており、良い動きだった。ペースが上がらなければ、ここは巻き返せると見る。
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■末脚を生かす馬が多く、ペースが上がりにくい

 このレースはA→Bコース替わりで外が伸びる馬場になることや、本番の阪神JFを意識して、末脚を生かす馬が多いことがポイント。2018年のライデンシャフトのようなハナ必須タイプが出走していない限り、まず平均ペースよりも遅い流れになる。

 このため将来のある馬が活躍する一方、2017年に13番人気のサヤカチャンが2着に逃げ粘るなど、前からの一発も決まっている。2019年も5番人気馬のビッククインバイオが逃げて3着、2022年は6番人気アリスヴェリテが逃げて3着だった。

 キャリアの浅い馬2歳馬は、まだ脚質が定まっていない馬も多く、急な脚質チェンジもあるが、それでも騎手自ら無理に行かせてバテさせるようなレースは基本的にはさせない。将来性を紡ぐことになるからだ。ここはそれも踏まえて予想したい。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

東京11R アルテミスS 芝1600m
 ◎ (5)ミリオンローズ
 ○ (8)ショウナンザナドゥ
 ▲ (10)カムニャック
 △ (1)ミストレス
 △ (2)ブラウンラチェット
 △ (3)マイエレメント
 △ (4)シホリーン
 △ (11)クレオズニードル
結論 馬連5-8,10,1,2,3,4,11 (15:10:5:5:5:5:5) 複勝5 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (5)ミリオンローズ

 6月の東京芝1600mの新馬戦では、1番枠から五分のスタート後に首を上げてしまったが、そこからすっと先行し、好位の最内を追走した。道中も逃げ馬の後ろで折り合ってスペースを作って進み、3~4角でじわっとスペースを潰して直線へ。

 直線序盤で逃げ馬の内からすっと抜け出し、ラスト2Fで先頭に立った。このまま独走かと思われたが、追ってくる馬たちの末脚が鋭く、ラスト1Fで詰め寄られてしまったが、なんとか半馬身差で押し切った。

 ミリオンローズの上がり3Fタイムは33秒4秒。これはなかなか優秀と言える。ラスト2F11秒0-10秒9は、以前の数字に均すならラスト1F11秒2か11秒3くらいの価値で、これもなかなか優秀と言えるだろう。

 またこの新馬戦では4着以下が離されており、最後に伸びてきた2着エンブロイダリー、3着クライスレリアーナの末脚にも光るものがあった。ミリオンローズが独走Vとならなかったのは、2頭の末脚が優秀だったからという評価で、実際にエンブロイダリー、クライスレリアーナは次走未勝利戦を好指数で圧勝している。

 この新馬戦は出走馬の質が高く、走破タイムが平凡なので疲れが残りにくく、次戦に繋がりやすい内容。よって、ミリオンローズも前走のクローバー賞では順当に上昇した。

 前走は4番枠から五分のスタートを切り、二の脚ですっと先行。しかし、内2頭の先行争いが激しく、2列目の外へ控えた。そこで掛かりコントロールにやや苦労する場面はあったが、向正面半ばでは折り合いもついていた。4角で仕掛けながら2番手に上がり、直線序盤で先頭。そこをニタモノドウシに捉えられ、2馬身差で敗れた。

 ニタモノドウシは6月の福島新馬戦で、芝1200m戦ながら大きく出遅れたが、最後の直線では鋭く伸びて、素晴らしい瞬発力を感じさせる勝利だった。今回の1、2着馬は他馬とは力差があり、戦前の段階から一騎打ちになることを予想していた。

 山崎的にはミリオンローズが勝利する可能性が高いと見ていたが、勝ったのはニタモノドウシ。この時点では現2歳世代芝部門指数最高値を記録した。ミリオンローズも負けはしたがしっかりとした指数で走っている。

 休養明けで20Kgの大幅馬体増で道中折り合いを欠く場面もあったことから、能力を出し切っての敗戦ではないだろう。現時点で6番人気と人気はないが、ここも期待したい。

○ (8)ショウナンザナドゥ

 前走の京都芝1600mの未勝利戦の勝ち馬。前走は4番枠から好スタート。内のコムーネの方がスタートは速かったが、ショウナンザナドゥの二の脚が速く、先頭に立ちそうになったが手綱を引っ張ってコムーネを先に行かせた。道中は2番手の外を追走、3~4角で再びコムーネに並びかけ4角で先頭へ。

 直線序盤ではショウナンザナドゥをマークして乗っていたゼンダンハヤブサが接近し2番手に上がったが、それでも2馬身、3馬身とどんどん差を広げた。最終的に2着ゼンダンハヤブサに5馬身差、3着馬に12馬身差をつけての圧勝だった。

 ショウナンザナドゥは6月京都の新馬開幕日の新馬戦でダノンフェアレディとマッチレースを演じた馬。ここでは2着ながら指数は1クラス上でも通用するほどの高指数を記録しており、当時の走りができればここも圧勝するのは当然だった。

 前走指数は前々走比でわずかに上昇。新馬戦好走馬は疲れが残って2戦目で凡走することも多々あるが、ショウナンザナドゥは前走の走り程度では疲れが残らない、潜在能力がとても高い馬であることを証明した。ここからもまだまだ伸びそうなだけに、対抗評価だ。

▲ (10)カムニャック

 前走の中京芝2000mの新馬戦では、1番枠からトップスタートを決めたが、そこから控えて後方2番手まで下げ、1角までに外に誘導した。道中は後方2番手で5F通過64秒1のスローペース。これで届くのかと思われたが、3角過ぎから外を回りながら位置を押し上げ、4角で好位の外と前を射程圏内に。

 4角出口でワンテンポ待ってさらに外に誘導されると、フットワークが大きくなり楽に抜け出してラスト1F標で先頭。そこから突き抜けて3馬身半差で勝利した。

 上がり3Fタイム33秒6はこの週の中京芝中距離では最速。ラスト2F10秒9-10秒9も高く評価ができる数字だ。本馬は牝馬でクラシックでは短い距離に対応する必要がある。芝1600mの今回で流れに乗れるかという不安がある。ここで脚を余す危険性もあると見て、ヒモ穴を加えているが、ここで能力上位は確かだ。

2024年 埼玉新聞栄冠賞の予想

■差し馬受難の馬場

 昨日は逃げ馬の成績が【2・5・3・2】、その他、3角先頭馬が2勝、2着1回と健闘し、YJSトライアルラウンドで11番人気で2着に好走したナリタアンビションを始め、逃げ馬が穴を開けた。

 一方、差し馬が勝利したのは、先行争いが激化した最終12Rの秋風特別のみ。本日の1Rでも逃げ切りが決まり、2Rも3角先頭馬が勝利。昨日から大きな馬場変化が見られない状況だ。

 この状況下で序盤で置かれるところがある断然1番人気の(2)ナニハサテオキはどう戦うのか? とても楽しみな一戦となった。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

浦和11R 埼玉新聞栄冠賞 ダ1800m
 ◎ (4)ヒーローコール
 ○ (2)ナニハサテオキ
 ▲ (6)ユアヒストリー
 △ (8)アイブランコ
 △ (7)ラッキードリーム
 △ (9)ゴールドハイアー
 △ (1)デスティネ
結論 馬複4-2,6,8,9,1 (19:10:6:8:6:1) 複勝4 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (4)ヒーローコール

 今年1月の報知GP(川崎1800m)では強豪相手に2着。ここでは1番枠から五分のスタートを切ってかなり押していったが、外のエルデュクラージュのほうが速くて逃げられず。そこから同馬の外を狙ったが、その位置を外のマッドルーレットに取られ、エルデュクラージュの後ろをスペースを作って追走する形。

 3~4角では最内から前との差を詰めて、直線序盤で逃げ粘るエルデュクラージュの外に誘導。ラスト1Fで同馬が甘くなり、そこで徐々に差を詰めたが、2馬身差までだった。しかし、先着した相手がスワーヴアラミス、ロードレガリス、ギガキングなど、重賞で好走実績がある馬だったことを考えるとよく粘っている。

 本馬は昨年9月の戸塚記念(川崎2100m)で逃げて6馬身差で圧勝するなど、これまで3回逃げて勝率100%を誇るように、前に行って持久力を生かしてこその馬。ポジションと着順が比例するような面がある一方で、出遅れ癖や二の脚の遅さがあり、報知GPのように同型馬が手薄にならないと苦しい面がある。

 しかし、今回は同型馬が手薄。前々走の大井記念ではスローペースを出遅れて行きっぷりも悪く、後方からの追走となって6着に敗れたが、立て直された前走フリオーソレジェンドCでは、出遅れてはいるものの、12番枠から先行争いに加わっており、行きっぷりに復調を見せている。

 前走は結果的に前に行く馬に厳しい流れとなって4着に敗れたが、ここは前走で2400mに出走しているテンの遅い馬が多い。前半で無理をさせたくない(7)ラッキードリームの出方ひとつで逃げられるし、同馬が行ったとしてもその2番手にはつけられるだろう。そのうえで浦和は前が有利な馬場でもあるので、前走からの前進に期待したい。

○ (2)ナニハサテオキ

 初めての重賞挑戦となった4走前の報知AC(川ダ2100m)では2着。4走前は1番枠から出遅れたが、じわっと挽回して中団やや後方からの追走。1周目のスタンド前の半ばから押し上げて2周目の1角では逃げるライトウォーリアから大きく離れた3列目の外まで位置を上げる。

 向上面ではライトウォーリアとの差を詰め、3角では2番手まで上がって2馬身差。4角では1馬身差まで詰めると、直線でもしぶとく伸び続けて同馬にクビ差まで迫った。

 4走前は暫定前後半5F62秒6-67秒2のかなりのハイペースで逃げ切ったライトウォーリア(次走の川崎記念を優勝)が強かったが、道中で早めに動いて3着馬に6馬身差をつけた本馬も十分に強い内容だった。

 3走前の京成盃グランドマイラーズでは、2100mから1600mへの大幅距離短縮で5番枠から出遅れ、行き脚もつかず、最後方からの追走となりギガキングに3馬身離ほど離された2着に敗れた。

 しかし、前々走フリオーソレジェンドC(船橋1800m)では逆転V。7番枠から五分のスタート後に挟まれる不利があったが、中団の外から向上面で先に動いたギガキングを追い駆けて進出し、ラスト1Fで捉えて3馬身差で完勝した。

 これまでダートでは12戦7勝2着4回。前走の日本テレビ盃(船橋1800m)では始めて複勝圏外の4着に敗れたが、中央馬が相手で例年ほどペースが上がらず、逃げ切りが決まる展開だったことを考えれば上々だった。

 このように実力は確かだが、今回は前走で能力を出し切った後の疲れ残りの一戦。テンが遅く、後方からの追走となる馬だけに、今回の展開や馬場を考えると不安である。鞍上が「2着でもいい」という騎乗ならばここも崩れない可能性があるが、前々走のように力ずくで捲るような競馬だと崩れる危険性もある。

▲ (6)ユアヒストリー

 昨年の埼玉新聞栄冠賞の3着馬。同レースでは6番枠から五分のスタートを切って、前を主張する馬を行かせて好位馬群の直後を追走。3角で馬群の中目から押し上げて、4角出口で馬場の良い外へ誘導。そこからしぶとく伸びていたが、クビ+ハナ差までだった。

 昨年の埼玉新聞栄冠賞は、ランリョウオーの逃げで前後半5F62秒9-後半5F65秒1のハイペースで、外差し有利の馬場。展開と馬場にやや恵まれた面があったが、5走前の報知ACでは中団やや後方から2周目の向上面で動いて4角で2列目の外まで上がり、◎(4)ヒーローコールにクビ差ほど先着している。

 前々走の六甲S(園田1870m)では(7)ラッキードリームにクビ差敗れたが、逃げた同馬に展開の恩恵があったもの。また前走の姫山菊花賞は休養明けで園田に遠征。中団中目を追走して4角で包まれ、直線序盤で進路を探してややまごつく不利があって6着に敗れている。6着と言っても着差は0.3秒差だから、悪いものではない。ひと叩きされての前進に期待したい。

△ (8)アイブランコ

 JRAの3勝クラスで2着3回、3着1回の実績がある馬。4走前の招福S(中山ダ1800m)では13番枠から五分のスタートを切り、控えて後方馬群の前方中目を追走していたが、向上面で位置を押し上げて3角では好位の外。4角では2列目の外まで上がって直線へ。序盤で先頭列に並びかけたが、ラスト1Fでロードアヴニールが馬群を捌いて一気に先頭。それを目標に追って半馬身まで迫った。

 その後に浦和に移籍。移籍初戦の3走前のスパーキングサマーチャレンジでは7着に敗れているが、ここは距離が短いマイルの外枠で、終始外々回るロスを作ったもの。

 また、前々走の東京記念TR(大井2400m)多いは行った、行ったのワン、ツー、スリー決着を後方で構えたまま5着に敗退している。森泰斗騎手に乗り替わった前走の東京記念(大井2400m)は出遅れながらも、中団内目を追走ともっと流れに乗せて行ったが、結果的に東京記念TR以上のスーパースローペースとなったために、2列目付近から抜け出した前2頭を差し切れなかった。

 近2走は距離に自信のない乗り方だったが、この距離ならもっと積極的にレースの流れに乗せて行けるだろう。ここでの前進に期待したい。

△ (7)ラッキードリーム

 昨年8月のイヌワシ賞(金沢2000m)では2番手から早めに抜け出して今年の東京記念の2着馬ウラノメトリアを撃破した馬。その後も園田で上位争いを繰り返し、前々走の六甲Sでは▲(6)ユアヒストリーを撃破して勝利した。

 ラッキードリームは出遅れ癖があり、二の脚も遅いが、前々走の六甲盃では11番枠から珍しく好スタートを切り、かなり押してハナを主張。ハナを取り切るとマイペースに持ち込み、2周目向正面からペースアップ。3角でユアヒストリーが並びかけるとそこから追い出され、そのまま押し切ってクビ差で勝利した。

 前々走は逃げ馬の不在を利してのスローペースの逃げ切り勝ちだったが、ここでユアヒストリーを撃破したことは評価できる。前々走の東京記念はスタミナが不足する休養明けで大幅延長。馬体重13Kg減が示すように、本調子ではなかったようで、ランリョウオーとのハナの譲り合いの末、2番手を追走する形。結果、勝ち馬から離された4着に敗れた。

 今回は前走から距離が短くなるのもいいし、先行馬が手薄なメンバーもいい。出遅れ癖もあり、二の脚も速い方ではないが、今回のメンバーならば、◎(4)ヒーローコールの出方ひとつで逃げられるし、同馬が行ったとしてもその2番手にはつけられるだろう。

 ただ展開に恵まれながらも4着敗退の前走から一変となると微妙な面もあり、これで人気なら買い目には入れない予定だったが、今回は顕著に前有利の馬場ということもあり、急きょ、買い目に加えた。

△ (9)ゴールドハイアー

 5走前にJRAのオープン、総武S(中山ダ1800m)を勝利した馬。ここでは7番枠から五分のスタートを切って中団中目を追走。道中も中団中目で我慢していたが、3角で前の断然1番人気馬サーマルソアリングが仕掛けて上がっていくと、それを追い駆けて進出。直線序盤で同馬の外に誘導するとしぶとく伸びて好位列まで上がり、ラスト1Fでサーマルソアリングを差し切って3/4差で勝利した。

 今回の出走馬中で、JRA所属時代にオープン勝ちの実績があるのは本馬のみ。その後が不振だが、太かった馬体も前走の日本テレビ盃では好走時の馬体重に戻せており、ここでの変わり身を一考したい。

△ (1)デスティネ

 3走前のアルテア賞では東京記念の覇者ナッジを2着に下して勝利した馬。3走前は5番枠から五分のスタートを切り、中団やや後方を追走。向上面で促されながら2列目の外まで押し上げて3角へ。3~4角でも鞍上の手が動いて4角出口で鞭も入れられたが、序盤の伸びはジリジリ。しかし、徐々に加速がついて先頭列に並びかける。ラスト1Fで一気に抜け出し、3馬身差で完勝した。

 デスティネはエンジンの掛かりが遅いが、掛かってからがしぶとく伸びてくるタイプ。距離延長の前走・東京記念は「この馬の持久力を活かせれば」と重い印を打ったが7着敗退。前走はスーパースローの後方2列目の内を追走と、そもそも苦しい位置取りで上がりの速い決着に泣く形となった。

 今回は相手強化の一戦になるが、騎手変更でR.クアトロ騎手に乗り替わったことは手強い。本日は前有利の馬場を意識して3~4角の外から動いて行く馬が多い中で、1番枠を利して最内を上手く立ち回れれば3着くらいはありそうだ。

2024年 菊花賞&ブラジルCの予想

■良馬場開催なら2週目の3角位置がポイントに

 菊花賞は全頭が初の3000mとなるため、2週目・3角までは脚を溜める展開がほとんどだ。過去10年は、2017年こそ極悪馬場という滅多にない条件でのレースとなり、かなりの前傾ラップだったが、それ以外の年は平均ペースよりも遅い流れで決着している。

 良馬場開催の菊花賞では2週目・3角の下り坂からペースアップする傾向にあり、3角では中団付近の位置にいないと勝ち負けするのは難しい。2015年キタサンブラックは過去10年で最も後方となる同10番手から優勝したが、これはマクる馬の出現で一時的に位置が下がったものだった。また2019年勝ち馬のワールドプレミアは追込馬ながらも当レースでは同8番手まで位置を上げていた。

京都11R 菊花賞 芝3000m
 ◎ (4)ダノンデサイル
 ○ (1)ピースワンデュック
 ▲ (12)シュバルツクーゲル
 △ (3)アスクカムオンモア
 △ (7)ビザンチンドリーム
 △ (9)コスモキュランダ
 △ (15)エコロヴァルツ
 △ (17)アドマイヤテラ
結論 馬連4-1,12,3,7,9,15,17 (15:10:5:5:5:5:5) 複勝4 (50)



■有力馬と評価ポイント

◎ (4)ダノンデサイル

 皐月賞では大事を取って直前で回避したが、それが功を奏し、次走の日本ダービーで優勝した。同レースでは5番枠からますまずのスタートを切り、ハナに立つ素振りを見せながらの先行策。最終的には外のエコロヴァルツを行かせて2列目の最内を確保した。

 道中はかなりのスローだったが、3角手前でマクる馬が出たことにより一気にペースアップ。3~4角で外を回るロスがあった馬たちが苦戦するなか、最短距離を通し直線序盤ではエコロヴァルツの内を突いてじわっと伸びる。ラスト2Fで3/4馬身ほど前に抜け出すと、ラスト1Fで突き抜けて2馬身差で完勝した。

 日本ダービーでは内と前が有利な展開を上手に乗られていたが、今回もロスなく立ち回れる内枠を引いた。加えて、日本ダービー2~5着馬が今回は不在。本馬が記録した日本ダービーでの指数を上回る馬は出走しておらず、同等の指数を記録したのはセントライト記念時のアーバンシックのみ。それならば夏場の休養で成長を促したダノンデサイルのほうが優勢だ。

 また、芝3000mがベストとは言わないが全馬が未経験の距離という条件において、この馬は芝1600mデビューから距離を延ばして上昇してきた点は好感が持てる。

○ (1)ピースワンデュック

 前走の阿賀野川特別で3連勝を決めた馬。レースは10番枠から出遅れ後、過剰に折り合いを欠いて行きたがったが、好位馬群の中目に入れて騎手がなだめる形。道中では何度かブレーキをかけながら前の馬とのスペースを維持して3角へ入り、4角出口では4列目の外から仕掛けながら直線へ。序盤でしぶとく伸びて3列目に上がると、ラスト1Fでは2馬身ほど前を走る先頭のサトノシュトラーセを捉え、最後はバッデレイトとの大接戦をハナ差で競り落とした。

 これまでは逃げて1、2勝クラスと連勝した馬だが、この阿賀野川特別では出遅れたこともあり、初めて馬群を経験する形になった。行きたがって頭を持ち上げるほど折り合いを欠く場面もあったが、それを立て直しながら最後までしぶとく伸びてきた内容は立派なもの。本馬は今年3月のデビューでキャリアはまだ4戦。レースぶりに幼さはあるが、逃げなくてもやれたことは先々に向けて大きな収穫だった。

 昨日の京都芝は雨の影響があり、外差しが決まっていたが、馬場が乾いてくればももう少し内と前が有利になるはず。ゲートさえ決めてしまえばロスなく立ち回れる1番枠も好ましく、さらなる前進に期待したい。

▲ (12)シュバルツクーゲル

 この馬はデビュー2戦目の東京スポーツ杯2歳Sで2番手を追走して2着に善戦したように、前々走までは先行馬だった。しかし、前走のWASJ第2戦(3勝クラス)では、前半で無理をさせずに控えるという、新味を見せて勝利した。

 その前走は3番枠から五分のスタートを切って促されるも、外の各馬が速く、被せてきたので中団の内に控える形となった。道中も中団後方の内目を追走し、脚を溜めて3角へ入ると、外に誘導して4角で一気に2列目まで上がって直線へ。序盤でしぶとく食らいつき、ラスト1Fで抜け出すと2馬身半差で完勝した。

 このレースは連続開催の札幌開催11日目で、多少時計がかかっていた中で、緩みない流れだった。そのため、レースのラスト3Fは37秒5も要しており、ここでは展開に恵まれていた。

 4走前の弥生賞のように3~4角で一気にペースアップすると最内からでも動けなかったことや、前々走のSTV賞のように上がりが速い決着になると好位から伸び負けしてしまうところから、スタミナ特化型であることを感じさせる。実力比較では見劣りするが、メンバー屈指の長距離馬と想定されるだけに一考したい。

△ (3)アスクカムオンモア

 3ヵ月の休養明けとなった前々走のセントライト記念では6着に敗れたが、前走の2勝クラス・tvk賞で巻き返して勝利。前走は6番枠から五分のスタートを切り、最後方からの追走。3~4角の外から進出して、残り300mでもう先頭。内からジオセントリックが食らいついたが、振り切って半馬身差で勝利した。

 前走は前後半5F61秒5-後半5F58秒8のかなりのスローペース。前が止まらない展開を最後方付近から一気に先頭に立って、差し切ったことは高く評価できる。本馬は3歳春は逃げ、先行することで結果を出していたが、後半型の競馬でより良さが出た。そこから中1週で出走してくる辺りにも調子の良さが窺え、内枠を利してロスのない立ち回りができれば一発がありそうだ。

△ (7)ビザンチンドリーム

 デビュー2戦目のきさらぎ賞を優勝した馬。同レースでは大外12番枠からアオって出遅れ後、フラフラして後方に下がってしまったが、そこから後方馬群の後ろまで挽回。スローの団子状態で3角手前で中目のスペースが生まれると、そこを通しながらも仕掛けを我慢。4角で置かれて外に誘導すると、直線序盤でじわじわ伸びて中団に上がり、ラスト1Fでそのまましぶとく伸び続けて4頭大接戦をハナ差で制した。

 きさらぎ賞ではビザンチンドリームに◎を打ったように、普通に乗れば負けようのない相手だったが、鞍上がピーヒュレク騎手で進路取りがかなり下手糞だった。それだけにこの勝利は着差以上に素晴らしかった。

 本馬はゲートや二の脚の遅さ、さらにはエンジンの掛かりが遅いことが災いし、その後のレースでは流れに乗れず、敗退続きだが、エンジンが掛かってからはトップスピードが長く維持できる強さがある。

 前走の神戸新聞杯でも14番枠からアオってやや出遅れ、後方外からかの追走になったが、3~4角の中間から仕掛けて4角で大外に張られるロスを作り、6着に善戦している。この舞台ならば3角までに中団まで上がれる可能性が高いと見て一考する。

△ (9)コスモキュランダ

 当時1勝馬ながら6番人気で弥生賞をマクって優勝すると、次走の皐月賞でも2着に好走した馬。皐月賞では12番枠からやや出遅れたが、コントロールしながら1角で内に入れ、向正面では中団内目で我慢し、3~4角ではシンエンペラーをマーク。かなり押しながら鞭まで入れて中目に誘導して4角出口で外へ。直線は4列目からじわじわ上がり、ラスト1Fでは内から先に動いたジャスティンミラノと一緒に伸びた。先に抜け出したジャンタルマンタルは捉えたが、ジャスティンミラノにはクビ差届かなかった。それでも、(13)アーバンシックには先着している。

 前走のセントライト記念ではアーバンシックに完敗しての2着。8番枠からやや出遅れ、そこから無理せずに中団馬群の中目を追走。道中は中団外からじわっと押し上げ、3~4角でも楽な手応えで2番手まで上がると、直線序盤で先頭。しかし、ラスト1Fでアーバンシックに一気にかわされて1馬身3/4差で敗れてしまった。

 このレースは3~4角でアーバンシックが内の最短距離を通したのに対し、コスモキュランダは、3~4角の外から位置を押し上げたことでロスが生じており、これがラスト1Fでの甘さに繋がった面がある。ただし、ここで記録した指数は皐月賞と同等と、それなりに好走しているだけに、ここで大きな前進は期待しにくいが、大味な競馬をする本馬にとっては距離延長は歓迎だろう。

△ (17)アドマイヤテラ

 2走前に、芝2600mの2勝クラス・阿寒湖特別で2着。7番枠から出遅れ、道中は後方4、5番手まで挽回していく形。スタンド前で中団付近に取りつくと、向正面でも中団中目から徐々に前との差を詰めて3角へ。4角では好位列の外で包まれ、進路がないまま迎えた直線では3列目に下がってしまった。しかし、ラスト1Fで進路を確保するとしぶとく伸びて、勝ち馬にクビ差まで迫ってゴールした。

 このレースは3~4角からペースが上がり、ラスト2Fは12秒1-12秒1と減速しない展開。そんななか、4角で包まれて仕掛けが遅れ、外から勝ち馬アスターブジエに先に動かれてしまった。この不利がなければ勝っていただろう。また、最後までしぶとく伸びていた点に長距離適性の高さを感じる一戦だった。

 そして前走の2勝クラス・茶臼山高原特別では順当に勝利した。2番枠からまずまずのスタートを切って好位中目を追走。4角出口で各馬が外に広がっていくなか、中目をさばきラスト2Fで先頭に立つと、そのまま抜け出し2馬身差で完勝した。

 本馬は折り合いがスムーズで長距離適性が高い。前走では好位からレースを進めているので、本番でも流れに乗りやすいはず。今回は武豊騎手に乗り替わりとなるが、長距離が得意な騎手だけに割り引く必要はない。

△ (15)エコロヴァルツ

 昨年暮れの朝日杯FSの2着。同レースでは1番枠からやや出遅れ、そこから好位を取りにいったが、内が窮屈で後方に下がってしまった。そこで最後方付近まで下げ切り、徐々に外に誘導。4角で団子状態の中目から外に誘導して最後方で直線へ。直線序盤で大外に出して仕掛けると、ラスト1Fで一気に伸びて先頭のジャンタルマンタルに1馬身1/4差まで迫った。

 朝日杯FSはかなりのハイペースで展開上は恵まれている。しかし、前半で位置を取りにいって掛かりながら下げるというチグハグな内容での2着で、これは能力がそれなりに高くなければできない。

 4走前の共同通信杯は9番人気のパワーホールが3着に粘る超絶スローペースの2番手で進めて、かなり折り合いを欠く競馬になり5着に失速。折り合いを欠くことを嫌った3走前の皐月賞は、3番枠から五分のスタートを切りながらも、そこからコントロールして後方に下げ切っての競馬。後方に下げ切ったことで展開に恵まれ、7着と悪くない成績を収めているが、けっして褒められた騎乗ではない。

 エコロヴァルツはデビュー2戦目のコスモス賞で2番手から逃げ馬にプレッシャーをかけていく形だったが、折り合いに苦労して2角過ぎで先頭。3~4角で外から上がってきたコスモディナーにやられてしまうかと見ていたが、直線ではなんとそこから突き放し、6馬身差で圧勝。このことから、先行して最後にもう一脚使う競馬がベストを見ている。

 実際に前走のセントライト記念では6番枠から好スタートを切り、スピードの違いで一旦先頭に立ったものの、最終的にヤマニンアドホックにハナを譲ったことで3着に健闘し、自己最高指数を記録している。それでも折り合いに専念する競馬であり、スムーズではなかった。

 今回は芝3000mが舞台となり、この距離は長い可能性もあるが、今回は逃げ馬(10)メイショウタバルが出走してくれていることで、自然な形で折り合えるはず。内の(1)ピースワンデュック、(3)ノーブルスカイ、外の(18)アレグロブリランテなどの先行馬もいるので、好位でスムーズな競馬ができる可能性が高い。デビュー2戦目以降は一度もスムーズな競馬ができていないので、ここは一考したい。

推定2番人気 (13)アーバンシック

 前哨戦・セントライト記念の覇者。このレースは1番枠からやや出遅れ、二の脚もひと息で後方からの追走。そこから中団内目のスペースを上手く拾いながら位置を押し上げて3角へ。3~4角では3列目の内目で包まれかけたが、外からコスモキュランダが動いたことである程度ペースが上がり、生まれたスペースから4角出口で外に誘導。直線序盤で2列目に上がると、早めに抜け出したコスモキュランダをラスト1Fで捉えきり、1馬身3/4差で完勝した。

 後手から挽回しながら、最後の直線でもしぶとく伸びての完勝した内容はとても強かった。しかし、本馬はゲートや二の脚の遅さが弱点で、超絶スローペースで内前が有利だった日本ダービーでは、後方外々を回って11着に敗れている。また、休養明けの皐月賞で小差4着と好走した疲れの影響もあったはず。

 末脚を生かすタイプだけに、前走よりも距離が長くなるこの舞台でポジションを取りに行った場合に不安があり、加えて休養明けのセントライト記念で自己最高指数を記録した後の疲れも懸念される一戦。C.ルメール騎手が(16)ヘデントールではなく、こちらを選択していることから、秋華賞のクイーンズウォークほどの大敗はせずとも崩れる危険性はある。

推定4番人気 (16)ヘデントール

 新馬戦で後の皐月賞馬ジャスティンミラノの2着に入線すると、その後2連勝。続く青葉賞では1番人気に支持されたが、やや出遅れ後に接触して最後方からとなり、マクるタイミングもなく8着に敗れた。日本ダービー出走の夢は断たれたが、その後、2勝クラスの町田特別と3勝クラスの日本海Sを連勝し、初めてのG1に挑む。

 前走の日本海Sでは大外9番枠から出遅れ、外にヨレたが、そこから立て直されてじわっと好位の外まで挽回。向正面で前に取りついたが、前2頭が一気にペースを引き上げたため、離れた3番手の外で3角へ。3~4角では仕掛けながらじわっと進出し、直線序盤で外に誘導するとすっと先頭に立つ。ラスト1Fでそのまま抜け出すと、3馬身半差をつけて圧勝した。

 前走は前後半5F61秒9-57秒5のかなりのスローペースだったにせよ、 序盤からポジションを上げるロスがあったことや、3~4角から仕掛けてラスト1Fは加速して後続を引き離した内容は素晴らしかった。しかし、それでもC.ルメール騎手はアーバンシックに乗ることを選んだのはなぜか? おそらくだが、完成度がかなり低く、ゲート、二の脚ともに不安があるからだろう。

 近2走、少頭数のスロー戦で通過順位を見ると先行してように見えるが、序盤は後方付近からのレースになっており、このレースぶりはデビュー当初から変わっていない。馬に英才教育を施すことに定評のあるC.ルメール騎手をもってしてもこの点は変えられないようだ。

 今回も良くて中団、最悪の場合は最後方からの追走になることが想定される。良馬場の菊花賞なら、2週目の3角で中団より前の位置を取っていないと厳しく、(10)メイショウタバルが逃げて平均ペースで逃げた場合には、ポジションを上げ切れずに終わってしまう可能性が高い。加えて、前走で自己最高指数を記録した後の“疲れ残り”が予想される一戦でもあり、ここは評価を下げたい。
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東京11R ブラジルC ダ2100m
 ◎ (3)メイプルリッジ
 ○ (9)ルクスフロンティア
 ▲ (13)ペプチドソレイユ
 注 (10)レッドファーロ
 △ (4)オーロイプラータ
 △ (11)アンデスビエント
 △ (12)グロリアムンディ
結論 馬連3-9,13,4,10,11,12 (20:10:5:5:5:5) 複勝3 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (3)メイプルリッジ

 東京ダ2100mで【3・1・1・0】と複勝率100%の馬。前走の東京ダ2100m戦、スレイプニルSでは8番枠から五分のスタート。1角でやや狭くなってやや位置が下がったが、無理のない追走だったために大きな不利ではなかった。道中は中団中目を追走し、3~4角からじわっと進出して4角では好位列の直後の外。直線ではしぶとく伸びてラスト2Fで2列目まで上がり、ラスト1Fで先頭のウオウルーレットに並びかけると、ゴール手前で同馬をかわして半馬身差で勝利した。

 前走では今回3番人気に支持されている(6)リチュアルに1馬身3/4差つけており、ここでは出走馬の近5走でNO.1タイ(関東オークスの(11)アンデスビエントの指数と同等)の指数を記録。今回は前走で自己最高指数を記録した後の一戦になるが、その後に休養し、疲れを取ってのここ出走なら悪くない。

 スタミナが不足する休養明けでダ2100mをこなすのは簡単なことではないが、その他の前走大敗か休養明けという組み合わせ。それならば近走の充実度と実績面での優位性が持てる。

〇 (9)ルクスフロンティア

 前々走の東京ダ2100m戦、エアグルーヴC(3勝クラス)の勝ち馬。前々走では6番枠から好スタートを決め、内と外の前に行きたい馬を行かせて、好位の中目を追走。道中は4番手を追走し、3~4角で内の馬をかわして3番手に上がった。直線では前との差をじわじわ詰めてラスト2Fで1馬身1/4馬身差ほど前に出る。ラスト1Fでも後続に差を詰めされることなく、そのまま1馬身1/4馬身差で完勝した。

 ここは逃げ、先行馬が手薄の組み合わせ。逃げるのはおそらく(11)アンデスビエントだが、前走のマリーンCでアンモシエラに積極的に仕掛けて行って大失速する恥ずかしいことをやらかした後の慣れていない府中だけに、怯んで飛ばして行けない可能性が高い。

 前残りの展開になれば◎(3)メイプルリッジとの逆転も考えられるが、ペースが上がらなかった3走前でもメイプルリッジが先着していることから、ルクスフロンティアを対抗評価までとした。

 前走のBSN賞では前後半4F47秒9-後半4F50秒9のかなりのハイペースを先行しているが、前半で飛ばしていく前3頭から上手く離れた好位を追走しており、オーバーペースには巻き込まれていないので、ここで一変まであるかがやや疑問に感じる面もある。

▲ (13)ペプチドソレイユ

 デビュー5戦目で前々走の天橋立S(3勝クラス)を勝利した馬。前走は10番枠からアオって出て2馬身ほどの出遅れ。後方2列目の外からの追走になったが、向上面で一気に捲って先頭のカネトシブルームに並びかける。するとカネトシブルームが抵抗し、3~4角からペースアップ。直線序盤も競り合いが続いたが、ラスト1Fで早々と競り落として先頭。そこをオメガタキシードらに迫られたが、振り切って半馬身差で勝利した。

 前々走は捲り勝ちと豪快な内容だったが、3勝クラスとしてはレベルが低く、相手に恵まれた面もある。前走のBSN賞はかなりのハイペースで展開に恵まれながらも追走一杯で終わったが、前々走で派手な勝ち方をした疲れもあっただろう。

 今回はそこから立て直されての一戦。これまで6戦4勝のキャリアの浅い馬だけにまだ伸びしろがあるはず。距離延長の不安は当然あるが、成長力に期待する。

注 (10)レッドファーロ

 5走前の東京芝2100m戦、スレイプニルスの3着馬。5走前は5番枠から五分のスタートを切り、押して好位馬群の中目を追走。3~4角のペースアップでやや置かれ、直線での加速に踏み遅れたが、じわじわ伸び続けて勝ち馬に3馬身差まで迫った。

 5走前は(2)ヒロイックテイルのレースメイクで、前後半5F62秒4-60秒8のスローペース。3~4角からペースが上がっていく展開だったが、レッドファーロはここで内目を通せたことが好走要因のひとつ。ここでは後方外々からの追走となった後のダートグレード3勝馬ディクテオンを撃破している。

 また、レッドファーロはこのレースで自己最高指数を記録しているように、ダ2100mでしぶとさを活かす競馬がベスト。前々走のブリリアントSはスタミナが不足しがちな休養明けで出遅れ、ペースがそこまで遅くもない中、後方外目からじわじわ位置を挽回して行く形となり、最後の直線で苦しくなって6着に敗れた。前走の名古屋GPは連闘を強行したことが裏目となり大敗の7着。今回はそこから立て直されての一戦で、巻き返しに要注意だ。

2024年 富士S&オータムリーフSの予想

■実績馬が揃って末脚型の一戦

 今週のマイラーズCでワン、ツーを決めた(11)ソウルラッシュも(7)セリフォスも末脚型。昨年の富士Sで2着し、今春の京王杯スプリングCでも2着の(9)レッドモンレーヴも末脚型である。実績馬が末脚型だけに、それらよりも前の位置から抜群の瞬発力を生かせる馬に期待したい。

東京11R 富士S 芝1600m
 ◎ (10)クルゼイロドスル
 ○ (7)セリフォス
 ▲ (11)ソウルラッシュ
 △ (15)パラレルヴィジョン
 △ (16)ジュンブロッサム
 △ (4)ゴンバデカーブース
 △ (9)レッドモンレーヴ
 △ (14)ロジリオン
結論 馬連10-7,11,15,16,4,9,14 (13:13:7:7:4:3:3) 複勝10 (50)

◎ (10)クルゼイロドスル

 前走の関越Sの覇者。前走では4番枠から出遅れたが、そこからコントロールしながら中団馬群の中目に入れて折り合いに専念する形。3~4角でも中団中目で我慢し、直線序盤で外に誘導。ラスト2Fで一気に好位列まで上がり、ラスト1Fでもしぶとく伸び、前を捉え切って3/4差で勝利した。

 クルゼイロドスルはリバティアイランドが豪快に伸びた新馬戦で2着に善戦し、その次走の東京芝1600mの未勝利戦では、出遅れて後方から抜群の瞬発力を見せて勝利。一方、翌年1月のジュニアCでは大外13番枠から逃げの手に出て4馬身差で圧勝している素質馬だ。

 本馬は折り合いに課題があって出世が遅れた面があるが、スピードが生かせる高速馬場の芝マイルでは、抜群の末脚で容易に崩れない強さを見せている。

 前走はレコ―ド決着だったように、夏の新潟開幕日の超絶高速馬場を考慮しても芝マイルのように緩みなく流れており、上手く折り合いもついていた面がある。あくまでもベストは高速馬場の芝マイル線だけに、今回は相手強化になるが、案外と低評価のここは一考したい。

○ (7)セリフォス

 2022年に3歳春の段階で挑んだ安田記念で4着。同年秋には富士Sと阪神芝1600mで行われたマイルCSを連勝と、早期から活躍していた素質馬だ。

 2022年のマイルCSでは、10番枠から五分のスタートを切り、促されて中団中目を追走。ただ序盤のペースがやや遅く団子状態だったために、位置が下がって後方からの追走となった。3~4角では中団の中目の馬たちが包まれてしまっている状況下だったが、4角出口で外に誘導。直線序盤の伸びは地味で中団に取りつくまでだったが、ラスト1Fで一気に前を捉えて1馬身1/4差で完勝した。

 ここでは時計の掛かる馬場で先行勢がラスト1Fで甘くなったことや差し勢の中では比較的スムーズに運べていたことも好走要因だが、スピードが乗ってからの末脚は確かなものがある。

 昨春の安田記念は2着。その後に夏負けした影響で秋の富士Sを回避。調整が狂ってしまって昨秋のマイルCSは8着、香港マイルで7着に敗れたが、そこから立て直された前々走のマイラーズCでは2着。

 ここでは3番枠を利して中団最内を上手く立ち回るも、口向きの悪さや直線序盤で詰まる場面がありながらも2着に善戦しており、復調気配を感じさせた。前走の安田記念は休養明けのマイラーズCで一変の好走をした疲れで小差の5着に敗れたが、本馬は鉄砲駆けするタイプ。ここは期待したい。

▲ (11)ソウルラッシュ

 前々走は稍重で行われたマイラーズCを休養明けで快勝。14番枠からまずまずのスタートを切ったが、そこから押してもあまり進まず、中団中目を追走。道中も促されながら追走し、3~4角の外からじわっと好位列まで押し上げていく。

 4角では大外をぶん回しながら勢いに乗せ、直線序盤で3/4馬身ほど前に出る。ラスト1Fでそのまま抜け出し、(7)セリフォスを突き放して1馬身3/4差で完勝した。

 前々走はやや時計の掛かる馬場で、前後半4F45秒6-46秒9のややハイペース。4角で大外を回してはいるが、4角ではペースダウンしており、仕掛けのタイミングとしてはドンピシャだった。それでも、セリフォスを離して自己最高指数を記録した辺りに地力強化を感じさせた。

 前走の安田記念は3着。休養明け好走後で指数をダウンさせたが、中団中目から4角出口で外に誘導し、外からナミュールに並ばれても負けじと伸びており、半馬身+ハナ差の3着は立派な内容。近2走の内容は申し分ないが、この中間の追い切りが地味で評価を下げた。

△ (15)パラレルヴィジョン

 デビューから芝2000mを中心に使われ、4戦目で2勝クラスを勝利したが、準OPに昇格してからは善戦するもののなかなか勝てずにいた。その後は初ダートのマイル戦で差し有利展開に恵まれて勝利すると、初の芝マイル戦となったニューイヤーSも勝利。続くダービー卿CTで初めての重賞制覇を達成した。

 ダービー卿CTでは2番枠から好スタートを切ると、外のセッションを行かせて2列目の最内を確保。その後、外から折り合いを欠いたエエヤンがハナを奪って単騎逃げしたことで、離れた3番手の外を追走することになった。4角では離れたエエヤンを一頭分外から追いかけ、2番手まで上がって直線へ。序盤で4馬身ほどあった差をじわじわ詰め、ラスト1Fで同馬を捉えて3/4差で勝利した。

 パラレルヴィジョンは芝1800mでもラストで甘さを見せていたが、マイル戦になるとそれが解消された。なお、ニューイヤーSとダービー卿CTでは、やや遅めのペースを先行する形での勝利だった。しかし、次走の安田記念では13着と大敗。そこから立て直された関屋記念でも巻き返せず14着に敗れた。

 今回は再び立て直されてC.ルメール騎手が騎乗、状態は上がってきているのだろうが、一変までとなると疑問もあり、あくまでも穴馬の推しの一頭という評価になる。

△ (16)ジュンブロッサム

 共同通信杯、アーリントンC、神戸新聞杯ともに4着の実績に、2勝クラスでは何度も連対している実力馬。2勝クラスを勝ち上がるのに7戦も要したが、4走前のロードカナロアCで中団の外から強烈な末脚で今夏のサマーマイルの覇者ドゥードジボンを差し切って勝利。前々走の3勝クラスの水無月Sも外から差して圧勝すると、前走の関屋記念でも3着と健闘した。

 前走は6番枠から出遅れたが、中目の枠でもあり挽回が難しく、後方2列目まで下がってしまった。道中もペースが上がらない中で、後方2列目で動けないまま3角へ。3~4角でもペースが上がってこない中、後方外からじわっと進出して直線へ。ラスト2Fで追われるとじわじわ伸びて中団列まで上がり、ラスト1Fでドゥードジボンとも差は詰められなかったが、2着ディオには半馬身差まで迫った。

 前走は前後半4F47秒7-45秒2のかなりのスローペース。逃げたドゥードジボンに向く前有利の展開で、よく追い込んだ内容だった。ジュンブロッサムはゲートも二の脚も甘く、芝マイルは自ら動けない点がネック。ここではその弱みが出る可能性もあるが、末脚は実績上位馬に見落とりしないものがあるだけに警戒が必要だ。
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京都11R オータムリーフS ダ1400m
 ◎ (13)スマートフォルス
 〇 (11)ライツフォル
 ▲ (2)ゼルトザーム
 △ (12)ジュンウィンダム
 △ (14)ロードエクレール
 △ (6)エルゲルージ
 △ (7)グレイイングリーン
 △ (8)グラティアス
結論 馬連13-11,2,12,14,6,7,8 (18:10:7:7:5:2:1) 複勝13 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (13)スマートフォルス

 デシエルトやサンラーズアムールなど、オープンの強豪が集結した4走前のすばるSの2着馬。同レースでは14番枠から五分のスタートを切って、無理なく中団やや後方中目を追走。3角手前から押し上げて4角出口で外に誘導し、好位の外から直線へ。直線序盤で追われるとすっと3列目付近まで上がり、ラスト1Fでもしぶとく伸び続け、早めに抜け出したテーオーステルスに3/4差まで迫った。

 4走前はサンラーズアムールのオーバーペースの逃げで、展開に恵まれた面はあったが、3歳時の端午S勝ちの実績を含めてオープンやリステッドで1勝2着4回の実績はここでは上。

 またスマートフォルスはダ1400mがベストでダ1200mだと後方からの追走になるので、上がりが掛かってくれないと苦しいものがあるが、3走前の令月S、松風月Sは上がりの速い決着だった。

 また前走の天保山S(ダ1400m)では15着と大敗しているが、これは休養明けで好走後の疲れ残りの一戦で、速い流れを積極的にポジションを取りにいったことが主な敗因。

 今回はそこから立て直されて、距離もベスト。今回は逃げ候補が大外枠の(14)ロードエクレールとテンの速い馬がいない状況下だけに、ある程度、積極的に出して行く可能性が高いが、前走での厳しい流れを糧に、ここは踏ん張れそうだ。

2024年 マイルグランプリの予想

■やや外差し有利の馬場で展開も後押し

 テンの速い(16)スマイルウィが出走しているが、同馬は被されなければどの位置でもOKのタイプ。今回は逃げてこその(12)アランバローズが逃げて、2番手がスマイルウィという隊列が濃厚だ。

 しかし、スマイルウィがアランバローズに競り掛けてなかった今年8月のスパーキングサマーC(川崎1600m)でもアランバローズが逃げて前後半4F49秒8-52秒0のハイペースとなり、差し馬の(13)フォーヴィスムが勝利。4着も8番人気の差し馬(4)ボンディマンシュだったことから、ここも差し馬優勢と見ている。

 確かにスマイルウィもアランバローズもダートグレードを勝ち負けするほど手強い馬だが、前々走で厳しい流れを経験したことが前走に繋がった面がある。本日は最後の直線で外を通す方が伸びており、配当妙味も含めて差し馬を本命◎にする結論に至った。


大井11R マイルグランプリ ダ1600m
 ◎ (3)デュードヴァン
 ○ (2)スピーディキック
 ▲ (16)スマイルウィ
 △ (1)ムエックス
 △ (5)マンダリンヒーロー
 △ (11)イグザルト
 △ (13)フォーヴィスム
 △ (15)ボンディマンシュ
結論 馬複3-2,16,1,5,11,13,15 (8:8:8:8:8:8:2) 複勝3 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (3)デュードヴァン

 2022年夏のOP・阿蘇S(東京ダ1700m)の勝ち馬。この阿蘇Sは逃げ馬不在。8番枠から五分のスタートを切り、内からハナを主張したスナ―クスターを制してハナへ。先頭に立ってかなりペースを落とすと、向上面半ばでアッシェンプッテルが並びかけてくる。それに抵抗してペースを引き上げ、同馬とのマッチレースに。ラスト1Fで何とかアッシェンプッテルを競り落として1馬身差で勝利した。

 その次走の武蔵野Sで10着に大敗すると大井に移籍し、昨年は川崎マイラーズC3着、マイルGP3着の実績。今年は1月の川崎マイラーズCで重賞初制覇を達成すると、7月のサンタアニタTも勝利した。

 昨年の川崎マイラーズCは捲り、マイルGPは先行策で最後の直線で甘さを見せていたが、今年は末脚一門で川崎マイラーズCとサンタアニタTを勝利。ともにかなりのハイペースに恵まれての結果だったが、今回も川崎マイラーズCで逃げた(12)アランバローズが出走している。その外にはテンの速い(16)スマイルウィもいる。

 スパーキングサマーC時は、スマイルウィの調子がひと息で逃げるアランバローズを追い駆けなかったが、それでも前述したようにハイペースとなっており、ここもそれなりに速い流れになると見ている。

○ (2)スピーディキック

 昨年のスパーキングレディーCで2着に健闘しているように、ダ1600mがベストの馬。同レースでは大外9番枠から五分のスタートを切ると、そのまま控えて後方2番手で1角へ。内のグランブリッジをマークで乗られていたが、向上面で手応えの悪い同馬をかわし、3~4角で馬群の間に突っ込んでいった。直線序盤で外に誘導し、そこから前を追ったが、レディバグと首の上げ下げで2着に敗れた。

 昨年のスパーキングレディーCはマークする馬を間違えて仕掛けが遅れたもの。普通に乗っていれば勝っていた可能性が高い内容だった。

 今年はフェブラリーS、芝の阪神牝馬Sで大敗。そこから立て直された得意の川崎1600mのスパーキングレディーCでも4着、スパーキングサマーCでも5着と振るわない。状態が上がってこないようで、当初予定していた先週のレディスプレリュードをスキップし(ゆえに、今回は主戦の御神本騎手ではない)、地方馬が相手のここに出走することになった。今年の東京シンデレラマイルで引退が確定している。

 しかし、前々走は4番枠で中団の内から向上面で中目に出していったが、3角から包まれて、最後の直線でも外から蓋をされて進路を内に切り替えるロスがあっての4着。スパーキングサマーCは勝ち馬(13)フォーヴィスムには離されたが、速い流れを終始外々を回るロスを作り、最後の直線でも伸びない外を通っての結果。全盛期の勢いはないにせよ、能力を出し切ったような内容ではなかった。ここで変わる可能性を期待したい。

▲ (16)スマイルウィ

 2022年の京成盃グランドマイラーズで、当時の南関東トップクラスのカジノフォンテン、ギガキング、モジアナフレイバーを下して優勝すると、その後、1400mから1600mの南関重賞やダートグレード競走で11戦連続で連対。昨年はさきたま杯、オーバルスプリントでも2着と健闘した。

 5走前のオーバルスプリントは、3番枠から好スタートを決めたが、内からラプタスがハナを主張したので、競らずにその2番手を追走。外からドライスタウトがプレッシャーをかけてくると、スマイルウィはラプタスにプレッシャーをかけて行く形。3角で外からドライスタウトが並びかけてくると、それに抵抗して4角先頭。直線でしぶとく粘っていたが、最後に差されて3/4馬身で敗れた。

 しかし、逃げたラプタス6着に敗れたように、前後半3F35秒2-38秒1の超絶ハイペース。2番手から2着に粘った内容は十分に強かったと言える。

 前々走スパーキングサマーCは、オーバーペースで逃げる(12)アランバローズの2番手で進めて12着と大失速。しかし、5ヵ月の休養明けでは、息切れしても仕方ない。この厳しい競馬を経験したことがスタミナ強化に繋がり、前走のオーバルスプリントでは悲願のダートグレード制覇を達成することができた。

 前走は昨年ほど相手が強くなかったにせよ、ここでは間違いなくNO.1の実力を持っていると言える。しかし、前走を大目標にして好走した後の一戦となると余力面で不安があり、ここはどうしても評価が下がる。

△ (1)ムエックス

 中央所属時代は阪神ダ1800mで3連勝した後、準オープンで大敗続きだったが、船橋の張田厩舎に移籍するとB2B3の2200mを勝利。そこから徐々に距離を短くし、7走前のB1B2の大井1600m戦を勝利すると、そこから7連勝で前走のマイルグランプリTRを制した。

 前走は8番枠から五分のスタートを切り、前3頭から離れた中団中目を追走。3~4角の外から一気に押し上げて、2列目の外で直線へ。序盤で早々と先頭に立つと、ラスト1Fで一気に差を広げて4馬身差で完勝した。

 前走は前々走のサマーナイト賞で半馬身差だったゴールドレガシーとの差を4馬身まで広げており、完勝だった。前走はJBCの前哨戦ウィークで、ここ最近では馬場は軽かったにせよ、1分40秒0というサンタアニタTよりも0.7秒速いタイムでの勝利。当然、ここでも通用する実力はある。
 
 しかし、トライアルで好走した馬というのは、本番には繋がりにくいもの。過大評価は禁物だ。

2024年 秋華賞の予想

■緩みなく流れやすいGⅠ

 秋華賞の舞台となる京都・芝2000mの内回りは最初のコーナーまでの距離が約309mと短く、上級条件になると2コーナー過ぎまでハナ争いが続くこともある。一方、最後の直線も約328mと短いため、差し追込馬は3コーナーの下り坂から仕掛けていくことが多い。

 2コーナー過ぎまでペースを上げていく先行勢と、最後の短い直線を意識して3コーナーから仕掛ける後方勢。この関係からレースは緩みなく流れやすい。

 秋華賞も例外ではなく、京都開催の過去10回で極端なスローペースになったのは2012年と2023年の2回だけ。ジェンティルドンナとリバティアイランド、末脚型の二冠馬が出走していた年だ。

 ヴィブロスが優勝した2016年もややスローペースではあったが、それ以外の年は平均ペースよりも速く、逃げ馬は2着こそ2回あるものの優勝はゼロである。今年も中団以降の馬が有利と見て予想したい。


京都11R 秋華賞 芝2000m
 ◎ (10)ボンドガール
 ○ (11)ランスオブクイーン
 ▲ (14)ステレンボッシュ
 注 (6)ラビットアイ
 △ (5)チェルヴィニア
 △ (8)コガネノソラ
 △ (9)アドマイヤベル
 △ (2)ミアネーロ
結論 馬連10-11,14,5,6,8,9 (14:10:4:10:4:4) 複勝10 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (10)ボンドガール

 古馬と初対戦のクイーンSで2着。同レースでは1番枠から好スタートを決めたが、そこから位置を下げて控える形を選択。道中は後方最内で脚を溜めた。

 3~4角では中目に誘導、スペースを見つけて中団まで進出して直線へ。序盤で好位列まで上がり、ラスト1Fで馬群を捌いて(8)コガネノソラとの差を詰めたが、アタマ差届かなかった。この時は斤量51kgの恩恵はあったものの、コガネノソラと並ぶトップタイの指数を記録している。

 前走の紫苑Sは、クイーンSで自己最高指数を記録した後の一戦。疲れもあったようで、レコード決着となる速い馬場で痛恨の出遅れ。後方2列目から最内を距離ロスなく立ち回ったが、4角で前が壁になり、外への誘導も難しく、中目で仕掛けを待たされるロスも受けた。それでも、ラスト1Fで外に出し切ってからはしっかり伸びて3着と善戦した。

 昨年6月の新馬戦では、のちのオークス馬チェルヴィニアなどの強豪を破った素質馬。その後はやや順調さを欠き、ようやくたどり着いた大舞台・NHKマイルCでも、最後の直線で最内から先頭を狙ったところをアスコリピチェーノに寄せられて窮屈になり、安全確保のために位置を下げて流して終わるという出来事もあった。

 しかし、近走の内容から、ここに来てようやく軌道に乗ったとみる。

〇 (11)ランスオブクイーン

 オークスでは大外18番枠からやや出遅れたが、楽に挽回して好位の外を追走。道中は離れた2列目の外で進めて3角へ。3~4角で前が苦しくなって下がってくる状況で、ひとつ外からかわして4角先頭で直線を迎える。

 序盤で馬場の中目に誘導して追われたが、そこで外から(2)クイーンズウォークが並びかける。ラスト2Fでも2列目付近を維持していたが、ラスト1Fで甘くなり、クビ+ハナ差の3着争いに敗れた。

 しかし、オークスは前へ行った馬には厳しい流れになった。実際、好位から早めに仕掛けて4着に敗れたクイーンズウォークは次走でローズSを優勝。それを考えるとランスオブクイーンの競馬も強い内容だった。

 その後は1勝クラスを勝ち、前走・夕月特別は3着。前走は単騎で逃げたタケトンボが8番人気2着と好走したように、ややスローペースのなかでランスオブクイーンは逃げ馬から離れた好位の外を追走。ラスト1Fでは3頭の叩き合いとなるも、内の2頭にハナ+アタマで敗れた。

 ただし、その前走が行われた神戸新聞杯当日の中京芝は中>内>外の順で伸びる馬場。そのなかを終始外々から進め、最後の直線も外を選択したことも敗因のひとつだ。前走では全能力を出し切ったような内容ではなかったことから、今回は前進が期待できる。

▲ (14)ステレンボッシュ

 桜花賞1着、オークス2着の実績馬。オークスは12番枠からまずまずのスタートを切り、中団馬群の中目を追走。道中は中団中目で包まれ、我慢を強いられながら3角へ向かう。

 3~4角では前が失速して下がり、進路もスペースもない状態となって4角では位置が下がったが、直線序盤で追われて内の進路を確保するとすっと反応。ラスト2F目で2列目から先頭列に上がり、ラスト1Fで抜け出したが、外のチェルヴィニアに捉えられて半馬身差で敗れた。

 オークスは前の2頭が飛ばし、前後半5F57秒7-61秒4というかなりのハイペースで差し馬有利の展開。また、内が伸びない馬場でもあり、 外から差したチェルヴィニアよりも伸びない内から早めに先頭に立ったステレンボッシュのほうが強い内容だった。

 デビュー3戦目の赤松賞まではコントロールの難しさを見せながら、それでも連対を外すことがなかった素質の高い馬。阪神JFで壁を作るレースを経験して以降は折り合うことを覚え、レースぶりにも安定感がでてきた。出遅れた桜花賞でも中団中目まで挽回して勝利しているように、幅広い距離をこなせるタイプ。ここもマークを外すことはできない。

注 (6)ラビットアイ

 1勝クラスの身だが、デビュー戦から強豪と戦って素質の片鱗を見せてきた馬。前々走のフラワーCは10番枠からまずまずのスタートを切ったが、促してもあまり進んでいかずに後方に下げる形を選択。道中は淡々とした流れの中で後方2番手で進めた。

 3~4角でも最後方列の内目で我慢。徐々に中目に誘導したが、進路を作れず、切り替えて再び内へ。直線では最内からしぶとく伸びて3列目まで上がり、ラスト1Fでもじわじわ伸びていたが、3着争いでクビ差見劣っての4着だった。

 ここでは逃げ切り勝ちした4走前の未勝利戦の再現を狙ったが、外枠で前の位置が取れず、時計の掛かっていた中で後半が速くなり、キレ負けする形での4着だった。

 ラビットアイは逃げてこその馬。4走前では3番枠からまずまずのスタート。内のダノンアルムの方がテンが速くハナを主張したが、外から徐々にハナを主張し、2F過ぎで先頭に立った。

 先頭に経ってからも緩みないペースを刻み、3角で顕著にペースを落として息を入れ、4角で後続を引きつけて直線へ。直線序盤では外にモタれ気味だったが、すっと2馬身半差をつけ、ラスト1Fでさらに差を広げて5馬身差で圧勝した。

 当時の『2歳馬ジャッジ』の評価は「かなりのスタミナを感じさせる強い内容で、1クラス上でも勝ち負けになる指数を記録した。混戦でスタミナが問われそうな牝馬限定重賞などで穴を開けるタイプ」。この見解は今でも替わりはない。

 当時は完成度が低かったが、その後は成長したレースぶりが見せられている。今回は外枠に逃げ、先行馬が入っているだけに、「ひょっとしての逃げ」を予感させる。行き脚さえつけば、横山典弘騎手ならそう乗ると見ている。

△ (5)チェルヴィニア

 デビュー3戦目でアルテミスSを優勝し、5戦目でオークスを優勝した馬。前走のオークスでは12番枠からやや出遅れ、やや窮屈になりながらもコントロール重視で進めた。道中は前2頭が飛ばしていくかなりのハイペースの中で、中団馬群の中で我慢しながら3角へ。

 3角では外目に誘導しながらサフィラの後ろを通して4角出口で同馬の外に出されると、前のホーエリートの外から手応え良く上がって、ラスト2Fで追われる。するとしぶとく伸び始めて2列目に上がり、ラスト1Fでステレンボッシュを捉えて半馬身差で勝利した。

 桜花賞では出遅れ、前半のペースが遅くもないのに無理に脚を使わせて好位の直後まで押し上げ、3角でペースが落ちると我慢するというレースの流れに逆らった酷い乗り方で13着大敗。しかし、オークスでは展開に噛み合った乗り方で、外が伸びる馬場だったことも後押ししての勝利だった。

 今回はオークスから休養明けの一戦。夏場を休養されたことで成長している可能性もあるが、前走ほど走れない可能性が高いと見ている。

△ (8)コガネノソラ

 勝ち上がるまでに4戦を要したが、そこから3連勝でスイートピーSを勝利。前走は古馬相手のクイーンSを優勝した。

 その前走は12番枠からやや出遅れたが、そこから促して中団の外まで挽回。道中も中団外目で仕掛けを待って3角へ。3~4角で前のキタウイングが仕掛けると、それを追いかけるように4角で同馬の外に誘導し、4番手で直線に向く。

 序盤で食らいつき、ラスト1Fではしぶとく伸びて先頭に立つと、外から迫るボンドガールを振り切りアタマ差で勝利した。上述したボンドガールと同様に斤量51kgに恵まれた面はあるが、好指数を記録している。

 前走で自己最高指数を記録しているだけに、スイートピーS好走後のオークス時のように疲れが出る危険性もないわけではない。しかし、オークス時と違って今回はローテーションに余裕を持たせており、ある程度疲れが取れている可能性もある。警戒が必要だ。

△ (9)アドマイヤベル

 デビューから上昇一途で、フローラSを優勝した馬。フローラSは8番枠から五分のスタートを切り、コントロールしながら好位の直後を追走。向正面でエルフストラックが好位の外まで上がると、そこで一列下げた。

 3~4角では中団中目で仕掛けを待って4角出口で外に誘導し、4列目付近で直線へ。直線序盤でもまだ仕掛けず、ラスト2Fで追われるとここからしぶとく伸びて先頭列付近まで上がった。ラスト1Fでもうひと伸びして抜け出し、1馬身差で勝利した。ここでは末脚一閃というレースぶりではなかったが、ある程度前の位置からいい脚を長く使っていた。

 前走のオークスは9着敗退。前走では前の2頭が飛ばし、前後半5F57秒7-61秒4というかなりのハイペースで差し馬有利の展開。中団でレースを進めていたアドマイヤベルは完敗と言える内容だった。しかし、ここはフローラSを大目標とし、そこで好走した疲れもあったと見ている。立て直されての巻き返しを警戒したい。

△ (2)ミアネーロ

 デビュー3戦目でフラワーCを優勝し、5戦目の紫苑Sで2着。前走の紫苑Sでは1番枠からやや出遅れ。二の脚もひと息で中団中目からの追走となった。道中は好位列から前にスペースを作って中団最内で3角へ。

 3~4角では前のスペースを維持しながら最内を通し、4角で徐々にそのスぺースを詰めて4各柄は進路がない状態。直線序盤で何とか捌いて3列目まで上がり、ラスト1Fで急追して2馬身半ほど前にいた(13)クリスマスパレードにクビ差まで迫った。

 ミアネーロはオークスで14着と大敗したが、1番枠からやや出遅れて馬場の悪化した最内から中団まで挽回していく形。4角まで最内を通して、最後の直線序盤で外に出したが、結局進路がなく最内を突いて敗れたもの。この敗戦は情状酌量の余地がある。

 前走はレコード決着となる速い馬場で上手く3~4角の最内を立ち回れたことが好走要因。この好走を鵜呑みにはできないが、あまり底を見せた感がないのも確か。警戒しておきたい。

推定3番人気 (3)クイーンズウォーク

 秋華賞トライアルのローズSを優勝した馬。同レースでは2番枠からまずまずのスタート。やや掛かり気味だったが、コントロールして中団内目に控える形をとる。

 1角で内がごちゃついたので中目に誘導し、向正面で外に出しながら3角へ。3~4角では中団外目から徐々に進出し、直線でさらに外へ持ち出す。序盤で3列目に上がると、ラスト1Fで前を一気に捉え、1馬身半差で完勝した。

 ローズS当日は馬場の内が悪化しており、外が伸びる馬場を上手く外に誘導できた。しかし、逃げた11番人気(11)セキトバイーストが3着に粘る前有利の展開を3~4角の外から早めに仕掛け、末脚の違いを見せつける形で勝利したことは高評価できる。

 とはいえ、今回は休養明けで自己最高指数を記録した後の一戦。余力の面で不安があり、評価を下げたい。

2024年 オクトーバーSの予想

秋華賞の予想は別ページにて予想を掲載しておりますm(__)m。

東京11R オクトーバーS(L) 芝2000m
 ◎ (6)ボーンディスウェイ
 ○ (3)マイネルケレリウス
 ▲ (7)アドマイヤハダル
 △ (1)レインフロムヘヴン
 △ (5)グランディア
 △ (10)ベラジオソノダラブ
 △ (14)ラヴェル
 △ (16)ドゥラドーレス
結論 馬連6-3,7,1,5,10,16 (15:10:5:5:5:5:5) 複勝6 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (6)ボーンディスウェイ

 2歳時には葉牡丹賞を逃げ切り、3歳春の弥生賞では2列目の最内を上手く立ち回って3着と善戦。デビュー当初から芝2000mで活躍していた馬だ。その後伸び悩みの時期があったが、昨年暮れに3勝クラスを勝利し、今年に入って中山金杯4着と立ち直ってきた。

 前々走の福島芝2000m戦、福島民報杯の2着馬。前々走では4番枠から五分のスタートを切り、そこから押していったが、あまり進んで行かず、外から内に切り込みながらハナを主張するテーオーシリウスの外に誘導。道中は好位の外を追走した。

 ペースが上がった3角で3頭分外から追っつけて押し上げ、4角でも3頭分外から3列目で直線へ。そこから追われると2番手に上がり、ラスト1Fでもしぶとく伸びて内のショウナンマグマは捉えたが、最後はまとめてリフレーミングに捉えられ、クビ差で敗れた。

 前々走では前後半5F60秒0-58秒9のややスローペースではあったが、ペースが上がった3角でロスを作って勝ちに行く、濃い内容の2着だった。

 休養明けの前走の七夕賞は前後半3F57秒3-60秒6のかなりのハイペース。前半3F33秒6と短距離のように前半が速い展開の中で、かなり押して先行し、道中も3番手と積極的に位置を取っていったため、最後の直線でしんどくなって9着に敗れた。

 しかし、ここは逃げ、先行馬が手薄で、前走の前半3F比較ではボーンディスウェイがもっとも速い。外の(8)ギャラクシーナイトや(10)ベラジオソノダラブが絡んで行く形でそれなりにはペースが上がると思うが、超高速馬場の東京なら前走ほどペースは上がらないはず。前走で厳しい流れを経験したことでスタミナが強化されての押し切りを期待する。

○ (3)マイネルケレリウス

 3走前に東京芝2000mの府中市政記念(3勝クラス)を勝利した馬。ここでは8番枠から五分のスタートを切り、前が飛ばして隊列が縦長になっていく展開をコントロールしながら中団中目で進めた。3~4角で徐々に進出して、直線序盤で外へ。ラスト2Fで追われると伸び始めて好位列まで上がり、ラスト1Fで突き抜けて1馬身半差で完勝した。

 3走前は前がある程度飛ばして、前後半5F59秒1-58秒7の平均ペースだったが、ラスト3F11秒7-11秒8-11秒3と加速する展開を差し切って勝利している。ラスト1Fで加速した辺りに成長を感じさせると同時に、距離が延びてこそを感じさせる。

 前々走のエプソムCは休養明け好走後の一戦で距離も短く、後方のままで13着に大敗したが、前走のケフェウスSでは巻き返して4着。

 前走は11番人気の(10)ベラジオソノダラブが3着に好走しているようにかなりのスローペースで前有利の展開だったが、3~4角の最内で包まれて直線序盤で前が壁。そこで位置が下がって仕掛けが遅れ、4着に敗れている。今回◎(6)ボーンディスウェイが逃げるとなると極端なスローペースは考えにくく、中団内目を立ち回ってのスムーズな競馬で前進を期待したい。

▲ (7)アドマイヤハダル

 一昨年の中山記念の3着馬。同レースは12番枠から五分のスタートを切り、じわっと好位直後の外まで挽回。しかし、このレースは逃げ馬が多数出走しており、それらがパンサラッサに競り掛けたため1~2角でもペースが落ちず。本馬は向正面では前5頭に引き離され、中団の外を追走する形。

 3角手前で外からダノンザキッドが上がってきたので、これに内から抵抗して3~4角で位置を押し上げ、3列目で直線へ。そこからしぶとく伸びて2列目まで上がり、ラスト1Fではバンサラッサとの差を詰めていったん2番手に上がったが、最後は外からカラテに差されてクビ差の3着だった。

 ここではパンサラッサが序盤から極端に速い流れを作ったことで、3~4角でペースが落ち、そこから押し上げての3着だった。ただ序盤で脚を使い、3角から動いての3着は褒められる。

 その後1年1ヵ月に及ぶ長期休養明けの六甲Sでは12着に敗れたが、その次走の都大路Sでクビ差2着、前々走の毎日王冠でもハナ+ハナ+アタマ差の4着に善戦するなど、オープンや重賞で安定した成績を残せている。

 今回のメンバーでは実力断然。しかし、今回も11ヵ月に及ぶ長期休養明けだ。前回の長期休養明け(六甲S)で大敗したことで今回は意外なほど人気がないが、前回は中山記念で自己最高指数を記録した後に強いダメージが出ての休養明け。そのうえ「重」とタフな馬場で、スタミナが不足する休養明けで結果を出すのが難しい状況だった。

 六甲S時よりも今回のほうが走れると見ているが、脚元を気にしながらの調整で直前の追い切りが軽い点が気掛かりでやや評価を下げた。

2024年 大阪スポーツ杯の予想

おはようございます! 本日は重賞がないので、発送時刻の早い順に掲載していきますm(__)m。

京都11R 大阪スポーツ杯(OP) ダ1800m
 ◎ (7)ミラクルティアラ
 ○ (13)ミスティックロア
 ▲ (8)アルーブルト
 △ (5)リリーミニスター
 △ (9)キングストンボーイ
 △ (16)クールミラボー
 △ (7)ロードアヴェニール
結論 馬連7-13,8,5,9,16,17 (25:5:5:5:5:5) 複勝7 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (7)ミラクルティアラ

 6走前の京都ダ1800m戦・御陵Sでは、後のアンタレスSの覇者ミッキーヌチバナと接戦の2着と好走した馬。同レースでは6番枠から好スタートを決め、二の脚の速さでハナを主張。道中はハナ必須タイプの逃げ馬レッドエランドールに絡まれ、息を入れられずにかなり縦長の展開。それでも4角のコーナーワークでレッドエランドールとの差を2馬身差に広げて直線へ。

 序盤で外から(14)バハルダールに迫られ、ラスト1Fで同馬を振り切ったが、そこをミッキーヌチバナに差されてアタマ差だった。このレースでは前後半4F48秒2-50秒7のかなりのハイペース。逃げて2着に粘り通したことは高評価できる。

 このようにミラクルティアラは前に行ってしぶとさを活かしてこその馬。3角2列目以内で進めたレースでは、4勝2着4回3着1回と複勝率100%である。

 前走のBSN賞は逃げ、先行馬多数で激流。ハナを切れずに外から被されて、前3頭から離れた好位の最内を追走していたが、3~4角で包まれて位置が下がり、気性の脆さも見せて大敗した。

 しかし、今回は外から被されたくない(5)リリーミニスターが逃げる可能性が高いが、2列目を狙える組み合わせ【(6)テーオーシリウスは、ダ1800mでハナを切ったことがない】。ペースはそれなりに流れると見ているが、前に行ければチャンス十分だ。

○ (13)ミスティックロア

 前々走の東京ダ2100m戦、スレイプニルSの3着馬。前々走は12番枠から五分のスタートを切り、無理なく後方2列目の中目付近を追走。向上面半ばから押っつけていたが、3~4角で位置を上げられないまま直線へ。序盤で外に誘導するとラスト2Fで好位列まで上がり、ラスト1Fで前2頭に迫って半馬身+3/4差の3着だった。

 ミスティックロアはいい脚を長く使える点が強み。ベストは長距離だが4走前の京都ダ1800mの大津特別や3走前の桃山Sでも外から早めに仕掛けて行く形で連勝している。

 休養明けで福島ダ1800m戦の前走ラジオ日本賞は、内枠だったこともあり、向上面で中団中目で包まれ、外に誘導したのは4角。ただ大外に出すのを嫌って中途半端な外の出し方だったために、前が壁になって仕掛けが遅れ、ラスト1Fではいい脚で突っ込んできたが3着までだった。

 本馬は二の脚が遅いので、内枠でこの距離だと包まれる可能性があったが、今回は自由に動ける外枠。この枠ならいい脚を長く使える強みが活かせる。

▲ (8)アルーブルト

 3走前のボルックスSでは、今回で上位人気の(9)キングストンボーインに先着した馬。3走前は7番枠から五分のスタートを切り、後方2番手からの追走。道中は行きたがるのを我慢させて脚を温存。3~4角の外々から進出して4角出口で大外に誘導すると、直線ではじわじわ伸び続ける。ラスト1Fで外からキタノリューオーには差されたが、内のキングストンボーイと差し切って3着に浮上した。

 休養明けの前々走は平城京Sでは内枠だったこともあり、序盤である程度出したことで、しっかり脚が温存できなかったこともあり、3走前から指数ダウンの3着。3~4角では中団最内を通したために4角で進路がなくなり、不レーキで位置が下がり、最後の直線で馬群を捌くのに苦労する場面もあった。

 また前走の三宮Sは休養明け好走後の一戦で出遅れ。そこから中団やや後方まで挽回するのに脚を使い、3角手前から位置を押し上げていく早仕掛けで8着に失速した。ここでも4角で失速した馬の影響で仕掛けを待たされる場面もあったが、一番の敗因は脚を溜められなかったことである。

 今回も近2走と同じ鞍上、幸騎手で早仕掛けをする可能性もあるが、3走前のような騎乗ができればOPでも通用する能力がある。三度目の正直に期待したい。

2024年 京都大賞典の予想

■京都芝2400mはステイヤーが活躍の舞台

 京都大賞典は基本的には前半が遅い傾向。ただし、3角の下り坂でペースが上がって、レース最速がラスト3~4F目になるなど、後半の仕掛けが速くなっている。つまり、ステイヤー色の強いレースになっているということだ。

 このため京都実施時の過去10年では逃げ馬の2着は1回のみ。距離が長くなるほど、逃げ切りが困難になってくるのもあるが、先行馬も2着は4回あるものの2勝しかしていない。よって、中団~差し有利で穴馬は先行馬というスタンスで予想したい。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

京都11R 京都大賞典 芝2400m
 ◎ (1)サトノグランツ
 ○ (9)ドクタードリトル
 ▲ (11)ブローザホーン
 注 (7)ディープボンド
 △ (10)バビット
 △ (5)ジューンアヲニヨシ
 △ (3)メイショウフレゲ
結論 馬連1-9,11,7,10,5,3 (10:20:11:3:5:1) 複勝1 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (1)サトノグランツ

 今年1月の日経新春杯で(11)ブローザホーンと0.3秒差(3着)に好走した馬。ここでは大外14番枠から促して好位の外まで進出。道中は前4頭からやや離れた5番手を追走した。3~4角で仕掛けて好位の外から2列目まで上がり、4角で内に切れ込んで先頭。直線序盤はしぶとく踏ん張って先頭を維持したが、ラスト1Fで甘くなり、そこを内のサヴォーナ、外のブローザホーンに差された。

 日経新春杯はタフな馬場で前後半5F58秒3-60秒9のかなりのハイペース。さすがに前半である程度ポジションを取りに行っての3~4角からの仕掛けは早すぎた。一方、ブローザホーンは恵まれての優勝だったのだ。

 サトノグランツは超高速馬場の神戸新聞杯で中団からメンバー最速の上がり3Fを駆使して優勝しているように、高速馬場の上がりの速い決着にも適性がある。

 前走の目黒記念では(2)ケイアイサンドラが単騎で逃げて前後半4F61秒9-58秒7のかなりのスローペース。先行馬有利の展開を好位の内目でレースを進めながらも前の(4)シュヴァリエローズをかわせずの4着とやや物足りない内容だったが、海外帰りの休養明けの一戦だったのもあったはず。得意舞台で開幕週の内枠を引き当てたここは巻き返しに期待したい。

○ (9)ドクタードリトル

 前走の関ケ原Sで3勝目を挙げた馬。前走は6番枠から五分のスタート後、軽く促されていたが、あまり進まず後方2番手からの追走。道中は前2頭が飛ばしていったが、向上面で最後方からカランドゥーラが位置を押し上げると、それを追う形でじわっと好位に上がって3角へ。

 3~4角で外を回るロスを作って4角では位置が下がったが、ラスト2Fで再び2列目付近に上がり、ラスト1Fで突き抜けて3馬身差で完勝した。

 前走は中京開幕週で内と前が圧倒的に有利な馬場だったが、外を回って重賞でも上位争い可能な指数で完勝。中距離ではテンに置かれて追走に忙しい競馬になっていることと、トップスピードが長く維持できるスタミナがあるので、今回の距離延長が吉と出る可能性が高いと見ている。

▲ (11)ブローザホーン

 タフな馬場で行われた昨夏の札幌日経OPの覇者。ここでは6番枠から五分のスタートだったが、かなり押して先行策。前3頭が飛ばして行った中、離れた単独4番手を追走した。向正面ではややペースが落ち、アケルナルスターが上がってくると抵抗して3角手前で仕掛け、3~4角ではもう先頭。4角で再び仕掛けて3馬身差のリードで直線に入り、ラスト1Fで突き抜けて6馬身差で圧勝した。

 本馬はこの時点でGⅠ通用級の指数を記録。今年1月の日経新春杯を優勝すると、春の天皇賞で2着。そして前走の宝塚記念でGⅠ制覇を達成した。

 前走は距離が短く前半は追走に苦労していたが、時計の掛かる馬場で上がりを要したことや外有利の馬場も後押ししての追い込み勝ち。春の天皇賞を目標にした後の一戦で結果を出したことは大きく、今回は距離延長で前走よりも追走が楽になるはず。ただし、今回は京都開幕週で超高速馬場、内有利の馬場で大外11番枠となると届かいない可能性もある。そこをやや割り引いた。

注 (7)ディープボンド

 春の天皇賞で2021年から連続3着、今年は3着。阪神大賞典でも2021年、2022年と二連覇しているステイヤー。その中でもっとも高指数を記録したのは重馬場で行われた21年の阪神大賞典だ。

 21年の阪神大賞典では後方1番手、2番手のユーキャンスマイル、ナムラドノヴァンが台頭する追込有利のレースとなったが、ディープボンドは12番枠から好スタートを切って、そこからじわっと控えて好位の外4番手を追走。2周目の3~4角で前との差を詰めて3番手に上がり、直線序盤で2番手から早め先頭に立ったシロニイをかわして1馬身リードを奪うと、ラスト1Fでさらに差を広げて5馬身差で圧勝した。

 追い込み馬が台頭する緩みない流れを、好位から押し切れたのは、豊富なスタミナがあればこそ。本馬はコテコテのステイヤーと言える。それでありながら今春の天皇賞では3着だった辺りに全盛期の勢いは感じさせないが、昨秋の京都大賞典でも休養明けでいきなり3着に善戦しており、世間で言われているほどの極端な衰えも感じさせない。

 昨秋の京都大賞典では4番枠から好スタートを決め、そこから押してじわっと先行策。外から被されて窮屈になり、ブレーキで下がって中団内目に押し込まれてしまった。道中で位置を下げ切って何とか外に誘導したが、結局位置を上げられないまま3角へ。

 3~4角では中団中目をかなり押っつけながら通し、4角でも必死に追われていたが、直線序盤はまだ中団。ラスト1Fで前がバテたところをしぶとく伸びて3着横一線を制して(8)プラダリアとクビ+3/4差だった。

 昨秋の京都大賞典は重馬場で、上がりが掛かる展開が味方したのもあるが、前半のポジションダウンがなければもっと際どい決着になっていたと推測される。今年は超高速馬場でこれ自体は減点材料だが、昨年よりも先行勢が手薄で好位かその直後くらいの位置でレースを進められると見ている。

 前走の宝塚記念は前々走で好走した後の一戦で距離も短く、中団外から追走する形となり、最後の直線でも馬場の良い外に出し切れずに7着敗退。昨年の京都大賞典の勝ち馬プラダリアは前走の宝塚記念を大目標にした後の一戦ということもあり、人気のない本馬に食指が動いた。

△ (10)バビット

 2020年に4連勝でセントライト記念を逃げ切り勝ちした馬。その後、長らく不振だったが、4走前の京都記念では3着とセントライト記念以来、久々に馬券に絡むことができた。

 4走前は1番枠からまずまずのスタートを切り、押してハナを主張。外からアフリカンゴールドがハナを主張すると、同馬を行かせて2番手を追走した。道中はアフリカンゴールドから3馬身ほど後ろを維持して追走し、3~4角では最内から同馬との差を詰める。

 最後の直線では外差し有利の馬場を意識して外に出して行ったが、バビットは最内にこだわり、序盤ですっと伸びて先頭に立ち、1馬身半ほど前に出る。ラスト1Fで甘くなり、外差し勢に屈する形となったが、3着は死守した。

 前記の京都記念はアフリカンゴールドに行かせたことでペースが上がらなかったことが功を奏したもの。本馬は逃げて苦しいレースばかりさせているで、前半で無理のない入り方ができると善戦することがある。

 また、その前のレースで芝よりもタフなダートで逃げバテとしっかり負荷をかけたことが、粘り強化に繋がった面がある。今回も前走の七夕賞でオーバーペ―スで逃げバテしており、負荷が掛かっている。内の(2)ケイアイサンドラに行かせて、2番手でスローペースという展開になれば面白い。

△ (5)ジューンアヲニヨシ

 休養明けの3走前鳥丸S(3勝クラス・芝2400m)で成長を見せ、なかなかの好指数で勝利した馬。3走前は2番枠から五分のスタートだったが、そこから促して3列目を追走。3~4角でペースが上がったが、徐々に進出してエメヴィベールの後ろから外に誘導して直線へ。序盤で2列目まで上がり、残り100mで先頭。そこでやや内に寄れたが、そのまま押し切った。

 3走前はややハイペースで中団有利の展開に恵まれ、自己最高指数を記録。前々走の目黒記念は休養明けで好走した疲れで12着敗退。前々走は超絶高速馬場で前後半5F61秒9-58秒7のかなりのスローペース。前へ行った馬と瞬発力がある馬が有利な展開だったが、1番枠から出遅れて先頭からかなり離れた中団内目の追走となり、能力を出し切ることができなかった。

 休養明けの前走、新潟記念は芝2000mで距離が忙しく、道中も最後の直線も内にモタれて9着敗退。とても能力を出し切ったと言える内容ではなかった。ひと叩きされて距離延長、実績のある京都芝2400mで巻き返しが期待できる。