2024年 新潟記念と小倉2歳S以外の札幌9R以降の予想

新潟記念と小倉2歳Sは文字量の都合で別ページに掲載しています。
→本日は重賞2レースと下記の2レースで終了ですm(__)m。

本日2番 札幌9R シンガポールTC賞(2歳OP) 芝1200m
 ◎ (4)カワキタマナレア
 ○ (5)ヴーレヴー
 ▲ (1)ピコローズ
 △ (6)ポッドベイダー
 △ (9)モズナナスター
 △ (10)マキシマムドライブ
結論 馬連4-5,1,6,9,10 (15:10:10:10:5) 複勝4 (50)

 PP指数の各馬の(前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3で算出した『能力値』は、高い順にカワキタマナレア(-7.0pt)、ポッドベイダー(-6.0pt)、モズナナスター(-5.7pt)、ヴーレヴー(-4.0pt)、ロードヴェルト(-3.7pt)。能力値は競走馬の能力と勢いを示すものであり、原則として本命馬は、能力値5位の中から選出するスタイルで予想を行っている。

◎ (4)カワキタマナレア

 札幌芝1200mの新馬戦では9番枠から五分のスタートだったが、ダッシュがつかず置かれ、そこから押して中団まで挽回していく形。3~4角でじわっと押し上げていったが、ラスト2Fの4角でも前とは差があった。しかし、直線に向くと一気に前を飲み込み、ラスト1Fで先頭に立つと、そのまましっかりとした脚で2着馬に3馬身半差、3着馬に7馬身半差をつけて圧勝した。

 走破タイムの1分9秒0はこの開催の札幌芝1200mとしてはかなり優秀。上がり3Fタイム33秒8はこの週の札幌芝では古馬を含めて最速で、これはかなり高評価できる。ラスト2F11秒8-11秒5も悪くなく、指数も優秀なものとなった。

 前走が強すぎる内容だったため、疲れが残るかやや心配だが、能力を出し切れるコンディションなら重賞勝ちを十分に期待できる馬だ。

○ (5)ヴーレヴー

 前々走の函館芝1200mの新馬戦は、2番枠からまずまずのスタート。外のラピッドグロウスの方が速かったので控えるかとも思われたが、気合いを付けると加速がついてハナを奪取した。道中は後続を引き離して緩みないペースで逃げた。3~4角で息を入れたことで後続が迫ってきたが、手応え十分に1馬身半差のリードで直線へ。最後までその差を維持したまま逃げ切った。

 走破タイムは1分9秒2。これは同日1Rの3歳未勝利戦よりも速い。この日の函館芝は後半に向けて徐々に時計が掛かっていく状態だったので、1Rの3歳未勝利戦が相対的に低レベル決着だったことになる。この新馬戦はそれなりに高く評価でき、指数は函館1週目の新馬戦2鞍よりも上となった。

 ラスト2Fは11秒5-11秒7。そこまで余裕を感じさせる数字ではなく、次走の函館2歳Sでは疲れが出ると見て軽視したが、案の定の9着敗退。しかし、出遅れて後方2番手からの追走となったのも敗因のひとつだったと見ている。今回はハナへ行くことも可能な組み合わせ。早期デビューの利でレースを使われての前進がありそうだ。

▲ (1)ピコローズ

 函館芝1200mの新馬戦では4番枠から出遅れ。内にヨレる行儀の悪いスタートだったが、ダッシュはついて先頭列4頭の直後を確保。道中で前から1頭下がってきたが、2列目の最内をスムーズに追走。3~4角で前との差を徐々に詰めて直線へ。序盤で先頭列の間をスパっと割って、一気に先頭に立った。ラスト1Fで内から迫られたが、さらにもうひと伸びして1馬身差で勝利した。

 走破タイム1分10秒8はこの日の函館としてはなかなか速い。面白いのは残り3F目の11.6からラスト2F12秒4-11秒9と再加速したこと。ラスト1Fの数字自体は平凡だが、最後にもうひと伸びした脚は評価できる。

 また、ピコローズは5月の遅生まれ。新馬戦自体はややダメージがありそうな内容だったが、遅生まれの豊富な成長力を生かして使われながら徐々に上昇していきそうな馬だ。
___________________________________

本日4番 札幌11R タイランドC 芝2600m
 ◎ (6)プラチナトレジャー
 ○ (2)ディナースタ
 ▲ (11)ハヤヤッコ
 注 (5)ゴールデンスナップ
 △ (1)シルブロン
 △ (3)マイネルファンロン
 △ (4)ショウナンバシット
 △ (8)ブレイヴロッカー
 △ (14)エリカヴァレリア
結論 馬連6-2,11,5,1,3,4,8,14 (9:8:8:5:5:5:5:5) 複勝6 (50)

 PP指数の各馬の(前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3で算出した『能力値』は、高い順にショウナンバシット(-20.0pt)、ゴールデンスナップ(-18.3pt)、プラチナトレジャー(-17.0pt)、ブレイヴロッカー、エリカヴァレリア(ともに-16.0pt)。能力値は競走馬の能力と勢いを示すものであり、原則として本命馬は、能力値5位の中から選出するスタイルで予想を行っている。

◎ (6)プラチナトレジャー

 芝中距離を主体に使われ、昨秋の東京芝2000m戦で3勝クラス(甲斐路S)を勝利した馬。今年に入ってからは福島民報杯3着、函館記念5着とオープンで通用するところを見せている。

 この馬が近5走で自己最高指数を記録したのは、4走前の福島民法杯。同レースは福島芝2000m戦で前後半5F60秒0-58秒9のスローペースでラスト4Fが最速という、仕掛けが速いレース。トップスピードが維持できないと厳しい長距離適性が求められるレースになっているが、ここで中団最内で脚を温存し、直線で捌くのに苦労しながらもラスト1Fでしぶとく差してきた。

 この内容から「少し距離を延ばした方が面白そう」と見ていたが、初めての芝2600mとなった前走の札幌日経OPで5着。後方2列目の中目に控えながらも、道中で上がらないペースを意識して動いていったために最後に甘さを見せたが、後方で脚を温存し、2周目の3角から動いて行く形ならもっと面白かったと見ている。

 今回は距離に慣れが見込める。馬場悪化で上がりの掛かる馬場も追い込み馬のこの馬にとって願ってもない材料である。順調かつ、ここでは能力値上位となるだけに、チャンスは十分にありそうだ。

2024年 新潟記念の予想

■昨日から馬場回復の影響は?

 野芝100%の新潟芝は衝撃吸収性能が弱く、開催が進むにつれ内側が悪化する。このため連続開催12日目となる新潟記念の最後の直線は外目が伸びるため、各馬が内を空けて走る。マイネルファンロンが優勝した2021年のように、外ラチ沿い強襲が正解という年もあるほどだ。

 過去10年で逃げ切りはゼロ。先行2勝、中団4勝、追い込み4勝となっている。逃げは2着が1回あるが、これは2020年のジナンボーが出遅れたあと、後方最内から進出し、3角手前で先頭に立った特殊な例。序盤から先頭に立って逃げると、最後の直線で外に出せず、苦しくなってしまうことが多い。

 先週土曜日時点では高速馬場で内の先行馬でも押し切れていたが、日曜日には最後の直線で内を避けた馬が活躍していた。昨日は馬場悪化で、最後の直線で外に出すほど伸びる馬場で外差しが顕著だったが、本日は晴れ予報。馬場回復に伴い、昨日よりも先行馬が押し切れている。

本日1番 新潟11R 新潟記念 芝2000m
 ◎ (11)エーデルブルーメ
 ○ (7)セレシオン
 ▲ (2)ライトバック
 △ (3)ジューンアヲニヨシ
 △ (5)ファユエン
 △ (8)アリスヴェリテ
 △ (9)キングズパレス
 △ (12)レッドラディエンス
結論 馬連11-7,2,3,5,8,9,12 (13:12:5:5:5:5:5) 複勝11 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (11)エーデルブルーメ

 全4勝を芝2000mで挙げた馬。デビューからほとんど芝2000mを使われ続け、徐々に地力をつけてきた。前々走のダイワスカーレットCでは15番枠からやや出遅れたが、軽く促して中団の外まで挽回。前2頭が後続を引き離していく展開を向正面から進出して、3~4角では外から好位まで上がって直線へ。序盤で一気に伸びて先頭に立つと、食らいつくシェイクユアハートをラスト1Fで振り切り、1馬身半差で完勝した。

 前々走はそれなりにレースが流れて、3~4角でペースダウンする展開。外から仕掛けたことで噛み合った面はある。それでも2着馬には1馬身半差、3着馬には3馬身半差をつけており、OP級の自己最高指数を記録した。条件戦の流れで優秀な指数を記録することは難しく、3勝クラスで記録したことには瞬発力を図るうえで大きな価値がある。

 前走のマーメイドSは、軽ハンデの(8)アリスヴェリテの大逃げの形ではあったが、超高速馬場で前後半5F58秒3-58秒9の平均ペース。不利な15番枠から出遅れてしまい、後方の外々からロスを作りながらも勝ちにいく競馬で2着を確保できたことは高評価できる。

 今回は外差し馬場想定のなか、11番枠と枠にも恵まれており、直線が長い舞台を得意とする川田将雅騎手というのも心強い。今回の本命候補だ。

○ (7)セレシオン

 デビュー当初は出遅れ癖があるばかりではなく、二の脚が遅い面もあってクラシック路線に乗り遅れてしまった。しかし、立て直された3歳夏の新潟芝2200m、阿賀野川特別で一変。

 5番枠から五分のスタートを切ったが、他馬と少し接触してしまい、3列目の3番手に下げて折り合いに専念。2番手に上がって3角へ入ると、そこから軽く促されて4角出口で逃げ馬に取り付き、並ぶ間もなくかわして先頭に。一気に抜け出して2馬身半差、ラスト1Fでさらにリードを広げて3馬身半差で圧勝した。

 このレースの2着馬はそのあと2連勝でOP入りしたシルブロン。同じく次走で勝ち上がった3着馬ウォルフズハウルには8馬身半差をつけ、ここでOP級の指数を記録した。条件戦でOP通用レベルの指数を記録したという点は◎(11)エーデルブルーメと同じだ。

 長期休養から復帰後の近5走は芝1800m~2200mを使われ安定した成績を残しているが、芝1800mで前半の入りが速いと、置いていかれる面を見せている。菊花賞では11着に大敗したが、休養明けだった前記の阿賀野川特別を好走した後の疲労が残る一戦かつ、大外18番枠から終始外々を回るロスがあってのもの。

 芝3000mがベストかはともかく、芝1800mでは距離が短いのだろう。外差し有利馬場で行われる新潟記念は、テンの入りが遅く、長距離適性も求められる舞台。実際に阪神大賞典で1、2着の実績があるユーキャンスマイルが2年連続で2着に善戦している。つまり、ここで近走以上の走りを見せる可能性もあると見て対抗評価とした。

▲ (2)ライトバック

 初戦の内容がその後の成長曲線を作ることを常々提唱している。新馬戦で能力を出し切ると早熟馬にもなるし、無理をさせなければその後に著しい成長が見られ、晩成型になる場合もある。実際、今回の能力値上位馬を見ても新馬戦で敗れている馬が多い。(8)アリスヴェリテと○(7)セレシオンは新馬戦を勝利しているが、アリスヴェリテは自分の型に持ち込めず能力を出し切れていないし、セレシオンは出遅れてテンでもたつきを見せて本来の能力を出し切れていない。

 今回で過剰人気気味のライトバックの新馬戦はどうだったかというと、新潟芝1800mで10番枠から出遅れて後方を追走。ペースは5F通過63秒9と遅かったが、4角を迎えても後方列の中目のままだった。最後の直線では前が壁で、ラスト2Fで後方に下げ切り、外に進路を求めて、そこからグイグイ伸びて差し切った。勝ちはしたがその後、未勝利の逃げ馬相手に半馬身差で、能力を出し切ったようなレースではなかった。

 新馬戦で能力全開とはならず、ダメージが少なく新馬戦を終えたことが幸いし、その後は著しい成長力を見せている。今年に入ってからはエルフィンS1着、桜花賞、オークスでそれぞれ3着と上昇一途だ。

 新馬戦で素質の一端を見せながらも能力を出し切れなかった馬というのは、やや指数不足でも成長力で補う場合も多い。今回は秋の牝馬GⅠ戦線に向けての始動戦で、状態面がピークということはないだろうが、このタイプは底を見せるまで注目した方がいい。

△ (3)ジューンアヲニヨシ

 休養明けの前々走の鳥丸S(3勝クラス・芝2400m)で成長を見せ、なかなかの好指数で勝利した馬。前々走は2番枠から五分のスタートだったが、そこから促して3列目を追走。3~4角でペースが上がったが、徐々に進出してエメヴィベールの後ろから外に誘導して直線へ。序盤で2列目まで上がり、残り100mで先頭。そこでやや内に寄れたが、そのまま押し切った。

 前々走はややハイペースで中団有利の展開に恵まれ、自己最高指数を記録。前走の目黒記念は休養明けで好走した疲れで12着敗退。前走は超絶高速馬場で前後半5F61秒9-58秒7のかなりのスローペース。前へ行った馬と瞬発力がある馬が有利な展開だったが、1番枠から出遅れて先頭からかなり離れた中団内目の追走となり、能力を出し切ることができなかった。

 今回はそこから立て直されての一戦。芝2000mだと差す形になる可能性が高く、最後の直線で上手く外に出していければチャンスがありそうだ。

△ (5)ファユエン

 前々走のマーメイドSで◎(11)エーデルブルーメと同タイムの4着に健闘した馬。前々走は大外12番枠からやや出遅れ、そこから押していっても進まずに最後方からの追走になった。道中も最後方列での外で位置を上げられないまま3角へ。3~4角で中目から外々に誘導し、4角ではかなり大外を回して直線へ。直線序盤でもまだ後方だったが、ラスト1Fで(8)アリスヴェリテが失速したところを最後までしぶとく追い上げて2着争いに食い込んだ。

 前々走は15番人気という低評価でエーデルブルーメとクビ+クビ差の4着。紙一重で大波乱の決着まであり、ファユエンの好走がマーメイドSの評価を惑わせている面がある。しかし、けっして追い込み有利の展開ではなく、本来は4角でかなり大外を回してしまっては2着争いに持ち込むのも難しい展開だった。

 この馬はOP昇級後にことごとくスローペースの展開を後方からの追走で結果を出せなかったが、前々走では平均ペースまで上がったことで4着に好走することができたという評価になる。

 前走の小倉記念はマーメイドSで自己最高指数を記録した後の疲れ残りの一戦。変に色気が出て後方待機策に徹しきれなかった面もあり、直線では伸びあぐねて8着に凡退。しかし、再び後方待機策に徹した場合が怖く、一考の価値がある。

△ (8)アリスヴェリテ

 デビュー2戦目の野路菊Sで2歳牡馬世代上位だったファントムシーフの2着に入り、3着馬には6馬身差をつけた。次走アルテミスSでは逃げてリバティアイランドとクビ差の3着に好走した実力馬。しかし、前で粘り込むレースができないと能力を出すことができず、その後は折り合う競馬で不振が続いた。

 転機は4走前の1勝クラス。減量騎手の柴田裕一郎騎手に乗り替わり、逃げにこだわる競馬で久々に勝利した。前走のマーメイドSは13番枠からまずまずのスタートだったが、押してハナを主張し先頭に立った。向正面では後続を引き離して単騎の形で3角へ入ると、再びペースアップして6馬身ほどのリードで直線へ。ラストはさすがに甘くなったが、それでも2馬身差で完勝した。

 前走は大逃げの形ではあったが、超高速馬場で前後半5F58秒3-58秒9の平均ペース。ハンデは50kgと恵まれており、正攻法で逃げ切ったというよりは「まんまと逃げ切った」という表現がピッタリくる。

 今回も自身の競馬はできそうだが、自己最高指数を記録した後の一戦となり、余力面が心配。外が有利な馬場となると苦戦する可能性は高いが、昨日よりも先行馬が押し切れており、警戒することにした。

△ (9)キングズパレス

 前々走は今回と同舞台の新潟大賞典で2着。13番枠から五分のスタートを切ったが、二の脚が遅く、下がって後方からの追走。道中はペースが上がらず、ゆったりとした流れ。そこで中団の外まで進出、3~4角で外から押し上げていった。直線序盤では追われても伸びが地味だったが、ラスト2Fで徐々に伸び始めて2列目に、ラスト1Fでは逃げ切りを図るヤマニンサルバムを強襲したが、ハナ差及ばなかった。

 このレースは、次走で鳴尾記念を勝つヨーホーレイクが最内を立ち回って3着に敗れたように、外の方が伸びる馬場状態だった。よって、外々を回った3~4角のロスは致命的というわけでもなかった。道中で動いて勝ちに行ったことは好内容だった。

 前走の七夕賞では(12)レッドラディエンスをマークして進み、3~4角で同馬の外から仕掛けて行ったが、最後まで2馬身差を詰めることができなかった。この差は決定的なように映るが、終始モタれた(斜行する)ことが要因にある。過去に中山コースでもモタれる癖を見せており、馬群に入れてそれを修正しているシーンがあった。

 そのため、この馬はスムーズに走れる左回りがベスト。ただし、前走の七夕賞は上でも触れたように、前半から前が飛ばす流れのため展開に恵まれていた。レッドラディエンスと甲乙はつけがたいが、両馬とも好走しても不思議はないことは確かだ。

△ (12)レッドラディエンス

 前走の七夕賞で待望の重賞初制覇を達成。その前走は4番枠からまずまずのスタートだったが、外の各馬が競り合いながら内に切りこんできたので控える形。道中は縦長の隊列の中、先頭から離れた中団を追走した。3~4角では中団中目から徐々に進出すると、直線序盤で3列目まで上がり、ラスト1Fでそのまま突き抜けて2馬身差で完勝した。

 このレースは前後半5F57秒3-60秒6のかなりのハイペースで、後半で最速だったのがラスト4F目。前半から前が飛ばし、4角で甘くなった展開を、本馬は3~4角から仕掛けており、展開はドンピシャにハマったとみている。

 例外こそあるが元々は後半型の馬で、勝ちに行くと甘くなる面がある。下級条件ではペースが遅く、自らポジションを取って勝ちに行く必要があったが、上級条件で逃げ馬が飛ばす展開となれば、後半に特化させることができるので合いそうだ。

 今回は△(8)アリスヴェリテが逃げる展開を想定。さらに、枠も大外12番枠と恵まれた。2022、23年の新潟記念で2着だった友道康夫厩舎の先輩、ユーキャンスマイルのような競馬ができれば、ここでも通用していい。

2024年 小倉2歳Sの予想

■小倉開催時ほどペースが上がらない可能性が高い

 今年は小倉芝1200mから中京芝1200mに舞台を変更して実施される。小倉芝1200mはコース最高部の2角ポケットからスタートして、すぐに下り坂となるため、ダッシュが付きやすく、非常にテンが速くなりやすい。また3~4角もスパイラルカーブで下りとなっているため、スピードが落ちにくく、ハイペースになりやすいのが特徴だ。

 一方、中京芝1200mは向正面の半ばからスタートし、序盤は緩やかな上り坂。その後は下り坂が続くが、3、4角のコーナーワークでそこまでペースが上がらない。結果、最後の直線での勝負の比率が高くなり、逃げ、先行馬が活躍しているという状況だ。

 今回も芝1200mの新馬戦、未勝利戦を逃げ切り勝ちした馬が多数出走しており、それなりにペースは上がるとは見ているが、小倉開催時ほどペースが上がらないだろう。小倉開催時の過去10年の逃げ馬の3着以内はゼロだが、中京ならば逃げ馬の食い込みがあっても不思議ない。

本日3番 中京11R 小倉2歳S 芝1200m
 ◎ (3)アブキールベイ
 ○ (13)エンドレスサマー
 ▲ (8)エイシンワンド
 △ (4)レイピア
 △ (5)ポートデラメール
 △ (9)タマモティーカップ
 △ (10)アーリントンロウ
 △ (12)エイヨーアメジスト
結論 馬連3-13,8,4,5,9,10,12 (13:12:5:5:5:5:5) 複勝3 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (3)アブキールベイ

 前走の福島芝1200mの新馬戦では、大外11番枠(12番枠は除外)から五分のスタートを切ったが、外へ逃げようとして大きく膨らんだ。そこから徐々に内に寄せていき、3列目の外を追走した。3~4角半ばで勢いよく進出して前との差を詰め、2列目の外付近で直線へ。直線では外から回転の速いフットワークでぐんぐん伸びて4番手に上がり、ラスト1Fで前をしっかり捉えて半馬身差で勝利した。

 走破タイムは1分11秒0と平凡、これは後に疲れを残さない意味で悪くない。上がり3Fタイム35秒0もまあまあ良い。驚かされたのはラスト2F12秒1-11秒3というラップで、ラスト1Fで0.8秒も急加速していることだ。ラップタイムの計測法が以前と変わってしまっており、昨秋以降は以前の数字とのすり合わせに悩んできた。以前の新馬戦ならラスト2F同ラップでフィニッシュできていればほぼOP、重賞級と評価できた。

 昨秋以降は以前と比較してラスト1Fを0.3秒~0.4秒ほどマイナス評価で良いかと考えたが、それでは甘く、どうやらマイナス0.5秒評価くらいが妥当のようだと考えがまとまりつつある。そこにきて今回ラスト2F12秒1-11秒3が出現。今回は芝1200mなので芝1800m、2000mと比較すれば同じ数字でも割引評価をすべきではあるが、それでも速い。さてアブキールベイが今後どのような成績を残していくか、興味深いところだ。

○ (13)エンドレスサマー

 前走の函館2歳Sの3着馬。前走は1番枠から五分のスタートを切って、そこから先行し、2列目の内目まで進出していく。3~4角でも2列目の最内で進めて、逃げるニシノラヴァンダの後ろから直線へ。序盤の伸びはひと息だが、ラスト1Fでニシノラヴァンダの外に誘導して差を詰めたが、外からサトノカルナバルに差されて1馬身1/4差、ニシノラヴァンダとはアタマ差の3着だった。

 エンドレスサマーは函館芝1200mの新馬戦で、好スタート、好ダッシュでハナを主張し、息を入れながら逃げて5馬身差で圧勝。記録した指数はクラス上でも通用する今夏の函館新馬戦ではNO.1のもの。しかし、新馬戦で強い勝ち方をした馬がそのあとの疲労から上昇力を欠く場合も多く、前走の函館2歳Sでは▲評価だった。しかし、前走ではわずかではあるが、指数を上昇させて3着に善戦した。

 この時期の2歳戦はキャリア1戦馬よりも2戦馬とキャリアが豊富な馬のほうが有利。また前走で折り合う競馬にも対応したことは好ましく、大外13番枠の今回は内の(4)レイピアや(11)ジャスパーディビの出方を窺いながら進出していけるはず。前走時が中1周の強行ローテーションだったことは不安な材料だが、総合的に見た場合の弱点が少なく対抗評価とした。

▲ (8)エイシンワンド

 前走の中京芝1200mの新馬戦では、12番枠からやや出遅れたが、二の脚が速く2列目の外まで挽回。3角手前で2番手に上がり、3~4角ではクラスペディアのマイペースにつき合って脚をやや溜めた。残り300mで同馬が後続を引き離しにかかると、エイシンワンドはそれを目標に仕掛けた。ラスト1Fで後続を引き離していき、最後にクラスペディアを差し切り1馬身1/4差。3、4着には7馬身1/4差引き離しての実質完勝だった。

 このレースは芝1200m新馬戦のわりには道中のペースが遅く、走破タイム自体が遅い決着となった。やや出遅れながらも、しっかりと絶好ポジションを取りにいったあたりが、さすが中京芝1200マイスターの幸英明騎手といった感じだ。

 上手く乗っていたが、前走時のペースが遅く、走破タイム自体が遅い決着だったことは、今後に向けて疲れが少なくすむので良いこと。またただ平凡なだけではなく、なかなか高評価できる上がり3Fタイム33秒5を記録しており、それなりの素質があることは証明されている。1番人気が相応しいかはともかく、今回での大きな上昇力が見込める馬ではある。

△ (4)レイピア

 小倉芝1200mの未勝利戦では、6番枠から五分のスタートを切って、ダッシュ良くハナを主張。そのまま緩みないペースを刻んだが、無理にスピードを出している感じではなく、スイスイと逃げていた。その脚色は最後の直線でも衰えず、序盤で1馬身ほどの差をつけ、ラスト1Fで2馬身半差まで広げ、3着馬には7馬身半差をつけて押し切った。

 前々走の京都芝1400mの新馬戦ではやや出遅れて、そこから押してポジションを取りに行った後に折り合いを欠き、ブレーキをかける場面があった。そんなロスがあったなか、馬場がやや悪化した好位の内目から3~4角で最短距離を通って勝ちにいく競馬。直線では外から差してきた馬を差し返し2着した内容がとても濃かった。

 前走は一転してスタートを決め、優秀な走破タイムでの逃げ切り勝ち。1クラス上で通用する指数を記録した。やはり前走でかなりのロスがありながらも2着を死守したのは、能力の高さを示すものだった。

 新馬戦で好指数勝ちした馬はどうしても疲れが残りやすく、そのあと順当な上昇が計算しにくいところもある。しかし、デビュー2戦目での好指数記録は、新馬戦ほどダメージが残らないだけにある程度の上昇を計算しやすい。この指数(※)なら何戦か使ううちにOP、重賞で活躍するだろう。

 ※○(13)エンドレスサマーの新馬戦と同等。

△ (5)ポートデラメール

 京都芝1200mの新馬戦は大外7番枠からやや出遅れ、そこから促されてもあまり加速せず、コントロールしながら徐々に前との差を詰めていった。3、4角ともにやや外に張り気味で外々を回る形。苦しいかと思われる瞬間もあったが、直線序盤でオンザブルースカイの後ろから追い出されるとフットワークが大きくなり、グングンと伸びた。ラスト1Fで前3頭をかわし、最後にオンザブルースカイをきっちりアタマ差捉えたところでゴールした。

 ラスト2F11秒3-11秒3は悪くなく、上がり3Fタイム33秒8はこの日の京都芝で古馬を含めて2位タイの数字。これは高く評価できる。

 ただし、この馬は半兄に芝中距離で活躍中のアルナシームがいる血統。兄同様に本馬もエンジンが掛かってからが強く、芝中距離以上で良さが出そうな走りだった。芝1200mがベストのようには思えないが、素質の高さで突破する可能性も十分ある。

△ (9)タマモティーカップ

 小倉芝1200mの新馬戦では、4番枠から五分のスタートだったが、軽く促されて前の2頭の外3番手を追走。3~4角の外から徐々に前2頭との差を詰めて直線へ。序盤でセルヴァンスが抜け出し、それを追いかけた。この時点で同馬とは1馬身半差。その差がなかなか詰まらなかったが、ゴール寸前で差し切りクビ差で勝利した。

 このレースは芝1200mの新馬戦のわりに6頭立てと少頭数。こういった少頭数の新馬戦は疲労度が小さいことも少なくなく、意外な大物が出ることもある。タマモティーカップの走破タイムは悪くない。3着馬に2馬身半としっかりした差をつけての勝利も評価できる。よって指数はマズマズ良いものとなった。

 この馬が今後、面白いなと思わせる点は5月の遅生まれであること。2歳のこの時期に2、3月生まれと5月生まれでは大きな差がある。そのハンデがありながら新馬戦を悪くない内容で勝利した点は面白い。

 母チャームポットは平凡なタイムで新馬戦勝ちしたあと、3歳時の紅梅S2着、最終的にはOPまで行った馬。本馬は母と比較して新馬戦を好時計勝ちしたことが疲労度の点でやや気になるが、遅生まれで成長力が期待できる。

△ (10)アーリントンロウ

 新潟芝1400mの未勝利戦では8番枠からトップスタートを決めて、そのまま逃げた。道中、先行各馬が抑えていたが、3F通過33秒9、5F通過57秒4と数字を見るとかなりのペース。3~4角で外からダノンブランニューが並びかけてきたが、それでも仕掛けを我慢して直線へ。直線序盤で追われると後続に1馬身半差。ラスト1Fでもその差を守り切って1馬身3/4差で勝利した。

 前々走の京都芝1200mの新馬戦では1番枠からやや出遅れ、促されてもなかなか加速せず、中団最内からの追走となった。4角で外に出されると直線で長く良い脚を使って2着に食い込むという、見どころのある競馬。しかし、デビュー2戦目の今回は前走から一転。トップスタートからの逃げ切りだった。

 今回の走破タイム1分20秒6は2歳レコードタイムだが、超高速馬場によるところが大きく、指数は飛び抜けて優秀だったわけではない。むしろ新馬戦時の差し脚の方が印象に残る。差す競馬でもう一段階上の伸びに期待したい。

△ (12)エイヨーアメジスト

 九州産馬限定の新馬戦の勝ち馬。その小倉芝1200mの新馬戦では、8番枠からロケットスタートを決めてハナを主張、主導権を握った。4角までは後続もついてきていたが、直線に入ると独走開始。直線序盤で5馬身差、ラスト1Fで9馬身まで差を広げて圧勝した。

 この馬が新馬戦で記録した指数は一般の新馬戦でも十分に勝負になるもの。その新馬戦の走りが評価されて前走のひまわり賞では1番人気に支持されたが、2着に敗れた。

 3回小倉1~3周目に行われる九州産馬限定の新馬戦からひまわり賞に出走するには、連闘~中2週の強行軍え挑む必要がある。2歳の若駒にこのローテーションは楽ではなく、エイヨーアメジストは新馬戦の疲れが出てしまったようだ。また前走は内のコウユーモジョカー、外のカシノアップビートと競り合う形で、苦しい展開でもあった。巻き返しに一考したい。