2024年 朝日杯FSの予想

■Dコース替わりで先週より内が有利に

 朝日杯FSも先週の阪神JF同様に京都芝1600mでの開催。同コースでは前半400m過ぎから3角の頂上を目指して坂を上る。2歳戦では中盤にあたる3角の上り下りでペースが緩むことが多く、前後半の差が小さい平均ペースになりやすい。

 先週はCコース使用最終週で外差し有利(阪神JFの直線で内に進路をとった3着馬テリオスララは持久力型で能力値上位)だったが、今週はDコースに替わる。先週はCコース使用最終週で外差し有利(阪神JFの直線で内に進路をとった3着馬テリオスララは持久力型で能力値上位)だったが、今週はDコースに替わった。

 先週は最後の直線で内から10頭目より外が伸びていたが、馬場の悪化した内ラチから20mカバーされたことで、内から6頭目辺りが伸びている。6頭目より外から差せる馬が有利であるが、そこを通せれば先行馬でも頑張れているだけに、ここは逆張りしてみたい。

京都11R 朝日杯フューチュリティS 芝1600m
 ◎ (6)アルレッキーノ
 ○ (4)ミュージアムマイル
 ▲ (2)アドマイヤズーム
 △ (8)アルテマヴェローチ
 △ (11)ニタモノドウシ
 △ (16)タイセイカレント
 △ (3)ランスオブカオス
結論 馬連6-4,2,3,8,11,16 (10:10:10:10:5:5) 複勝6 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (6)アルレッキーノ

 二冠牝馬チェルヴィニアの半弟。6月の東京芝1800m新馬戦では、クロワデュノール(後の東京スポーツ杯2歳Sの覇者)とのマッチレースで2馬身差半の2着に敗れたが、3着馬に4馬身差をつけての2着だった。デビュー2戦目の新潟芝1600m未勝利戦は、相手が楽になり単勝オッズ1.1倍の1番人気に支持されたが、人気に応えて7馬身差で圧勝した。

 前記の未勝利戦では4番枠からやや出遅れたが、そこから軽く促して先行争いに加わり、コントロールしながらも最終的には主導権を握った。道中も手綱を引いているが、ペースはそこまで遅くない。3~4角では後続の仕掛けを待って1馬身半差で直線へ。ラスト2Fで肩鞭を入れると一気に5馬身ほど突き抜け、ラスト1Fでも差を広げていた。

 ここで記録した指数は、チェルヴィニアがデビュー2戦目の未勝利戦で記録したものと同等で重賞でも通用するもの。しかし、前走のサウジアラビアRCは前半3Fが34秒0と速かったこともあり自分の型に持ち込めず、3着から0.1秒差の5着に敗れた。

 逃げ切り勝ちは消耗度が高いので、2走前に逃げた疲れもあったとみているが、本馬は前半で優位に立ちたいタイプ。併せ馬が主流の国枝栄厩舎が単走で追い切りしている辺りに、気性面の不安も感じさせる。現状は逃げがベストか。

 今回は前走芝1400m組が多数出走しているが、本馬の前走の前半3F34秒3よりも速い馬は不在。内枠に二の脚の速い(2)アドマイヤズームが出走しているが、同馬の鞍上は逃げないことが身上の川田優雅騎手。これならばアルレッキーノがハナへ行けるだろう。今回は舞台が前半で坂を上る京都芝1600mということもあり、サウジアラビアRC時よりもペースが落ち着く可能性が高いと見ている。それならば逃げ切りもあると見て、本馬を本命馬とした。

○ (4)ミュージアムマイル

 京都芝2000mの黄菊賞を重賞レベルの指数で圧勝した馬。その前走は2番枠からやや出遅れ、コントロールしながら中団中目を追走。道中はペースが遅かったが、ロードガレリアをマークしながら折り合って進めた。

 3~4角でペースアップするなか、4角でロードガレリアに並びかけながら仕掛けて先頭列付近で直線へ。直線序盤では追われて逃げたヤマニンブークリエの半馬身ほど前に出ると、ラスト1Fで突き抜け3馬身差をつけてゴールした。

 3~4頭分外を回るロスを作りながら押し上げ、後続を引き離しての圧勝。指数以上の強さを感じさせる内容だった。本馬はデビューから一戦ごとに距離を延ばして芝2000mで結果を出しただけに、距離が短くなるのは歓迎ではないだろう。

 ただし、中京芝1600mの新馬戦は前で運んだ2頭がワンツーフィニッシュを決めたなか、1番枠から派手に出遅れ、最後方から進めて3着。当時と比べてスタートが良化してきた今ならマイルも悪くない。

 3番手で競馬した2走前も含め、デビューから3戦連続でメンバー最速の上がり3Fタイムを記録。位置を取りに行っても後半しっかり伸びてくる点は魅力で当初は本命も視野に入れたが、先週ほど差し馬が有利ではないし、前走で走り過ぎた嫌いもあるので対抗評価に止めた。

▲ (2)アドマイヤズーム

 京都芝1600mの新馬戦では3番枠からやや出遅れ、二の脚で挽回して先行争いに加わっていった。しかし、外の各馬が内に切れ込んだことで進路をカットされ、位置を下げる。

 そこから挽回して3角で2列目の最内。3~4角でペースダウンしたが、そこで包まれて外の馬に先に動かれてしまった。結果、ラスト1Fで甘くなって4着。ここは見直し可能な敗戦だったとみている。

 次走の京都芝1600m未勝利戦は堂々の完勝。8番枠から五分のスタートだったが、コントロールしながら逃げ馬の外2番手を追走。道中の2番手で我慢し、3~4角でも鞍上は手綱を持ったまま。4角出口でゴーサインが出されると、直線序盤で抜け出して1馬身半差。ラスト1Fでさらに差を広げて3馬身差で完勝した。

 二の脚が速く、前走時は前半3F34秒0と速かったが、ハナへ行ってしまいそうになるのを抑えて2番手を追走。抜群のスピードを抑えても折り合ってなんとかクリアしてみせた。前走を見る限り、もう一、二段階は位置を下げれそうだ。

 今回はおそらく◎(6)アルレッキーノをマークしながらレースを進めることになるだろう。前半のスピードを抑え、後半に特化させればここで一発の可能性を秘める。前走で重賞を使っている馬よりも、下級条件を使っている馬のほうが消耗度が少ないという点で好ましく、ここで大きな前進を期待したい。

△ (8)アルテマヴェローチ

 前走でGⅢのサウジアラビアRCを勝って2戦2勝。前走は1番枠からまずまずのスタートを切り、行きたがってやや折り合いを欠いた
。それでもコントロールしてなんとか下げて2列目、最終的には3列目の最内まで下げて進む。

 3角手前で前にスペースを作り、4角で外に誘導しながら前のアルレッキーノをマークしながら後方で直線へ。直線序盤の伸びは地味だったが、ラスト2Fから伸び始めて3番手争いに加わり、ラスト1Fで前を捉えて1馬身差で勝利した。

 秋の東京開幕日の稍重馬場で、前後半4F45秒7-47秒3のハイペース。序盤でやや掛かってはいたが、そこから折り合い重視で脚をタメたことで噛み合ったとみている。

 今回は前走からひと息入れ、成長を促されての一戦。新馬戦でコンビを組んだ武豊騎手が騎乗する。おそらく序盤から下げ切って折り合い重視で乗り、3角の下りでから仕掛けていくのではないか。上手く馬場の中目を通せれば当然チャンスはある。

△ (11)ニタモノドウシ

 福島芝1200mの新馬戦では出遅れて後方2番手。3~4角で外から押し上げるロスがありながら、1馬身半差で勝利した。ここでは追走に忙しさを見せており、距離延長でのパフォーマンス向上に期待がもてる内容だった。

 続くクローバー賞は7番枠から五分のスタート。すぐに2角があり、内の先行馬の出方をうかがいながら好位の外を確保する。道中はコントロールしながらミリオンローズをマークし、5番手で3角へ。

 3~4角では先頭集団との差を詰め、4角で4頭分外から2列目に並びかけて直線へ。直線序盤で先に追われたミリオンローズの前に出て先頭に立つと、ラスト1Fで抜け出して2馬身差で完勝した。

 前走は当時のこの世代における最高値の指数を記録。クローバー賞で同世代指数の最高値を記録した馬といえば、2021年のラブリイユアアイズを思い出す。同馬は優秀な指数を記録していたが世間の評価は高くなく、阪神JFでは8番人気で2着に入った。

 ニタモノドウシも走りは派手だが、血統面でどこか地味な印象を受ける馬で、ラブリイユアアイズと似た感じがする。ただし、ラブリイユアアイズはクローバー賞の後、京王杯2歳Sを叩いて阪神JFに出走したが、ニタモノドウシは直行となる。ローテーションに不安はあるが、侮れない。

△ (16)タイセイカレント

 前走のサウジアラビアRCは5番枠から出遅れた後、ややつまずいて内の馬と接触。最後方に置かれてしまう。しかし、前の馬たちがペースを引き上げていったので、すぐに下げ切って道中は最後方で脚を温存した。

 3~4角で前が息を入れると、最内から前との差を詰めて4角出口で中目に誘導。直線序盤では肩鞭を合図にラスト2Fで後方2番手から中目のスペースを拾って中団まで上がる。ラスト1Fで中目をさばいてしぶとく伸び、3着馬に半馬身差をつけて2着に入った。

 本馬は中京芝1600mの新馬戦を逃げ切っているが、その時も4番枠からやや出遅れながら押してハナを取り切り、レースをスローで支配していた。出遅れ癖があり、本来は前半からポジションが取れるタイプではない。しかし、長くいい脚を使っても容易にバテない強みがある。

 今回は大外16番枠と外過ぎる枠に入ったが、ペース次第で道中動くことができる本馬にとっては大きな減点材料ではない。3~4角のロスを最小限に止めて直線に賭ける競馬なら、勝ち負けが厳しくても2着、3着はありそうだ。

△ (3)ランスオブカオス

 前走で京都芝1600mの新馬戦を勝利し、中1週で思い切ってGⅠにチャレンジしてきた。前走の新馬戦は、7番枠から出遅れて最後方からの追走。そこから押して挽回し、道中は後方2番手の外で進めた。3~4角でじわっとスピードに乗せて4角では中団。4角で出口で好位列の外まで上がって直線へ。直線序盤ですっと先頭列に並びかけ、ラスト1F で突き抜けて2馬身差で完勝した。

 前走のラスト2Fは11秒6-11秒1。2年前にラスト1Fでこの数字なら、GⅠでも即通用のレベルだったが、最近はラスト1Fでおおより0.5秒ゲタを履かされており、この数字にそこまで大きな価値はない。

 ただし、当時の上がり3Fタイムは、同日NO.1のココナッツブラウンと0.3秒差と優秀だった点は一定の評価はできる。またラスト1Fでも減速しなかったことから、1Fの距離延長も歓迎だろう。いきなりG1っで勝ち負けするのは難しいと見ているが、2着、3着ならありそうだ。

推定3番人気 (10)トータルクラリティ

 新馬戦、新潟2歳Sとマイル戦で2戦2勝。前走の新潟2歳Sでは9番枠からまずまずのスタートを切り、好位の外を追走。道中も折り合いを意識して3角まで我慢した。

 3~4角で極端に前の馬たちがペースを落としたが、3列目の外で仕掛けを待って直線へ。直線序盤で外に誘導しながら2列目に上がり、ラスト2Fで追い出されると一気に先頭。そこで内に斜行し、外のコートアリシアンにクビほど前に出られてしまったが、ラスト1Fで外目に誘導しながら同馬を差し返して半馬身差で勝利した。

 前走は馬場の内側がかなり悪化しており、最後の直線で内を通った馬が苦しい状態だった。実際に大外一気で3着だったプロクレイアが次走のこうやまき賞で7着に敗れたのに対し、最内2番手を追走して7着だったスリールミニョンは次走でききょうSを勝利し、先週の阪神JFでも5着に善戦している。

 本馬は差し馬で馬場に恵まれる可能性が高く、休養中に成長している可能性もある。しかし、前走は最後の直線で上手く外に誘導したことが好走要因である以上、人気ほどの評価はできない。

2024年 ターコイズSの予想

■ペイシャフラワーの逃げ宣言で差しが有利に

 中京芝1600mの納屋橋Sを逃げ切り勝ちした(6)ペイシャフラワーが逃げ宣言。本馬はそこまで二の脚が速くないが、3走前の新潟日報賞では外目の枠からかなり押して緩みないペースで逃げており、ある程度、飛ばしていくリスクがある。

 また、ここは常に強気な木幡巧也騎手が騎乗する(10)ミシシッピテソーロ&木幡巧也が同馬に絡んでいく可能性もあり、平均ペースくらいまで上がりそうだ。

 牝馬限定の重賞は大半がスローペースなので、平均まで上がると差しが有利になることが大半。ここは差し有利になると見て予想した。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

中山11R ターコイズS 芝1600m
 ◎ (2)アドマイヤベル
 ○ (7)ミアネーロ
 ▲ (16)コナコースト
 △ (8)ペイシャフラワー
 △ (14)ドゥアイズ
 △ (4)イフェイオン
 △ (5)フィールシンパシー
結論 馬連2-7,16,8,14,4,5 (10:10:10:10:5:5) 複勝2 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (2)アドマイヤベル

 キャリア4戦目にフローラSを優勝した素質馬。フローラSは8番枠から五分のスタートを切り、コントロールしながら好位の直後を追走。向正面でエルフストラックが好位の外まで上がると、そこで一列下げた。

 3~4角では中団中目で仕掛けを待って4角出口で外に誘導し、4列目付近で直線へ。直線序盤でもまだ仕掛けず、ラスト2Fで追われるとここからしぶとく伸びて先頭列付近まで上がった。ラスト1Fでもうひと伸びして抜け出し、1馬身差で勝利した。ここでは末脚一閃というレースぶりではなかったが、ある程度前の位置からいい脚を長く使っていた。

 次走のオークスでは9着敗退。ここでは前に壁が作れず、かなり折り合いを欠いて消耗し、最後の直線で伸びあぐねた。フローラSのレースぶりからは距離2400mでもやれそうだが、気性を考えると中距離の方が良さそうだ。

 前走の秋華賞では、9番枠からまずまずのスタートを切り、押して先行策。外からハナを主張したセキトバイーストらを行かせて、道中は好位の直後の最内を追走した。しかし、秋華賞はセキトバイーストが大逃げを打って前後半5F57秒1-60秒0のかなりのハイペース。アドマイヤベルの位置でも楽ではなく、休養明けだったこともあって最後の直線で伸びてこれなかった。

 しかし、今回は叩かれての上昇が見込める。前走で前に出していく競馬をしているので、今回のマイル戦にも対応しやすく、また気性的にも2400mよりはマイルの方が良さそうだ。2番枠から内目をロスなく立ち回っての差し切りを期待する。

○ (7)ミアネーロ

 デビュー3戦目でフラワーCを優勝し、5戦目の紫苑Sで2着。2走前の紫苑Sでは1番枠からやや出遅れ。二の脚もひと息で中団中目からの追走となった。道中は好位列から前にスペースを作って中団最内で3角へ。

 3~4角では前のスペースを維持しながら最内を通し、4角で徐々にそのスぺースを詰めて4各柄は進路がない状態。直線序盤で何とか捌いて3列目まで上がり、ラスト1Fで急追して2馬身半ほど前にいたクリスマスパレードにクビ差まで迫った。

 本馬は3走前のオークスで14着と大敗したが、1番枠からやや出遅れて馬場の悪化した最内から中団まで挽回していく形。4角まで最内を通して、最後の直線序盤で外に出したが、結局進路がなく最内を突いて敗れたもの。この敗戦は情状酌量の余地がある。

 また前走の秋華賞は休養明けの紫苑Sで好走した疲れもあって、ラスト1Fでジリジリとしか伸びてこれなかったが、休養明け3戦目のここでの巻き返しを警戒したい。今回は7番枠。同馬よりも内枠に好位勢が少なく、内目をロスなく立ち回って、最後の直線で内のスペースを拾ってこれそうなのも強調材料だ。

▲ (16)コナコースト

 昨年の桜花賞の2着馬。桜花賞では9番枠からまずまずのスタートを切って、そこから逃げるモズメイメイの外から絡んで行く形。本馬が序盤で同馬に絡んだことで前半のペースが上がったが、3~4角ではコントロールし、モズメイメイの後ろで息を入れる。

 4角でもなるべく 内を 通し、モズメイメイと1馬身差で直線へ。直線序盤ですっと伸びて同馬をかわして半馬身ほど前に出たが、外からペリファーニアに食らいつかれる。ラスト1Fでこれをしぶとく振り切ったが、外からまとめてリバティアイランドに捉え切られ、3/4差で2着に敗れた。

 桜花賞は先行馬に厳しい展開。3着のペリファーニアがその後、なかなか1勝クラスを勝てなかったように、桜花賞のレベルはけっして高くはなかったが、2番手から最後の直線で早め先頭に立って2着に好走した内容は、牝馬限定GⅢなら通用するレベルのもの。

 昨秋以降は調子を落としており、昨年のターコイズSでも10着(着差は0.6秒差)に終わったが、立て直された前走、カシオペアSでは大外18番枠からやや掛かってハイペース好位外を追走する元気を見せていた。

 結果的に大外枠から位置を取りにいったことが祟り、3~4角の外々から4角で大外に張られる致命的な不利があって、それ以降、追われることなく14着に敗退。しかし、復調気配を見せたことは確かで、この中間は栗東坂路で自己ベストを記録している。よって、ここでの復活劇も視野に入る。

△ (8)ペイシャフラワー

 2走前の納屋橋S(3勝クラス)を逃げ切り勝ちした馬。2走前は2番枠から好スタートを切ってハナを主張。先頭に立ってからはややペースを落とし、2馬身差で3角へ。3~4角でも淡々と逃げて2馬身半差で直線へ。ラスト2Fでも外の差を詰めさせず、ラスト1Fで鞭が入るとさらに差を広げて3馬身差で勝利した。

 2走前は同型馬不在。2勝クラス時よりも楽なペースで逃げ切ることができた。前走のカシオペアSは17番枠と外枠だったこともあり、自分の形に持ち込こめずに9着と敗退したが、自分の型に持ち込めれば強く、巻き返せるチャンスがある。

2024年 全日本2歳優駿の予想

■先行馬よりも差し馬

 逃げ馬(11)ホーリーグレイルが大外枠。ここは内から前走で短距離を使っている(9)コパノヴィンセントと(10)ミリアッドラヴがある程度抵抗していく形でペースが速くなりそうだ。差し馬に期待したい。

川崎11R 全日本2歳優駿 ダ1600m
 ◎ (12)ナチュラルライズ
 ○ (1)グランジョルノ
 ▲ (3)ウィルオレオール
結論 馬複12-1,3 (38:12) ワイド12-1,3 (38:12) 

■有力馬と評価コメント

◎ (12)ナチュラルライズ

 札幌ダ1700mの新馬戦で古馬3勝クラス通用級の破格の指数を記録した馬。同レースでは4番枠から五分のスタートだったが、すっと上がって好位の中目を確保。スピードがあり過ぎるようで、先頭に接近してクビを上げる場面もあった。そのあとは折り合いもついて、向正面では淡々と好位の内目を追走。

 3角過ぎから先頭のベルベルコンパスが後続を突き放しにかかったところで、鞍上がゴーサイン。あっという間に差を詰めてベルベルコンパスに並びかけ、直線では2頭のマッチレースとなった。ラスト1F手前でベルベルコンパスを競り落としたが、そこからも脚色は衰えず、2着に6馬身差をつけて圧勝。3、4着馬には3秒3という大差をつけた。

 前走のカトレアSは勝って当然の組み合わせ。ここでは12番枠から出遅れ、そこから挽回して中団馬群の外目に突っ込んでいく。すると掛かりだして外へ誘導。

 3角で外へ逃げて3角で5頭分外、4角で4頭分外から押し上げるロスを作って好位の外から直線へ。序盤で2番手に上がり、ラスト2Fで追い出されるとすっと先頭。ラスト1Fで抜き抜けかけたところを、一気に内からクレーキングに詰め寄られたが、振り切って3/4差で勝利した。

 前走は並みの馬なら大敗のレースぶりだったが、それでも押し切った辺りに能力の高さが窺える。左周りの前走で外に逃げようとしたことから、右側のみチークピーシーズを装着する模様。時計を要した今回の札幌ダートも、高速ダートの東京もこなしており、2歳ダート路線では№1の存在。ここはさすがに逆らいにくい。

○ (1)グランジョルノ

 前走のJBC2歳優駿の2着馬。前走は8番枠からゆったりとスタートを切り、無理なく後方3番手を追走。向上面でダノンフェルゼンが捲ってペースが上がり、隊列が縦長になったが、そこでも後方3番手で我慢させる。

 3角手前から進出して、2列目付近の外目から直線へ。序盤は4角で外から上がった(6)ソルジャーフィルトとともに伸びたが、ラスト1Fで同馬に3馬身離されてしまう。それでも内のタガノマカシヤをクビ差で差し切った。

 前走は前半3F36秒8と速く、上がり3Fが40秒0も要した消耗戦。差し馬に有利な展開だったが、ソルジャーフィルトよりも先に動いたことは評価できる。またソルジャーフィルトは前走が目標だった。対して本馬はまだキャリア2戦目で伸びしろも見込め、ここもそれなりに展開に恵まれそうだ。

▲ (3)ウィルオレオール

 前走の平和賞では、3着馬に5馬身差をつけて圧勝した馬。前走は7番枠から五分のスタートを切り、すっと好位の外まで上がると、道中は好位の中目を追走した。3角手前で内に入れて進出し、4角出口で外に誘導して3列目で直線へ。直線序盤で3番手まで上がり、ラスト1Fで先に抜け出したガバナビリティーを差し切ってアタマ差で勝利した。

 ガバナビリティーは次走で準重賞のチバテレ盃を6馬身差で圧勝。このレースの2着馬が平和賞で6馬身離された4着馬のアッカーマンだったように強豪が集っていた。

 ウィルオレオールがこれまでに先着を許した相手はベラジオゼロのみ。そのベラジオゼロはブリーダーズGJCでも(5)ソルジャーフィルドと0.1秒差だから、ここでも大きく見劣りしない。今回はさらに相手が強くなるが、◎と○以外の中央馬は前走の兵庫ジュニアGPやエーデルワイス賞を目標にした後の一戦だけに、ここで通用の余地がある。

2024年 阪神ジュベナイルFの予想

■外差し有利の馬場

 今年の阪神ジュベナイルFは京都芝1600mで行われる。同コースは前半2F目過ぎから3角の頂上を目指して坂を上るコース。2歳戦は3角の上り下りの中盤でペースが緩むことが多く、前後半の差が小さい平均ペースになりやすい。

 しかし、今回は京都開催20日目のCコース6日目で行われる。今秋の京都芝はAコースから順番に使っており、外差し有利の馬場が予想される。ペースはそこまで上がらないが、外目から差せる馬を中心に予想したい。

京都11R 阪神ジュベナイルF 芝1600m
 ◎ (13)コートアリシアン
 ○ (8)カワキタマナレア
 ▲ (15)リリーフィールド
 △ (9)ショウナンザナドゥ
 △ (10)ブラウンラチェット
 △ (1)ビップデイジー
 △ (14)ランフォーヴァウ
結論 馬連13-8,15,9,10,1,14 (10:10:10:10:5:5) 複勝13 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (13)コートアリシアン

 今夏の新潟2歳Sの2着馬。同レースは6番枠から出遅れ最後方から位置を挽回、好位の中目に突っ込んで大ブレーキ。するとかなり掛かり3角でもブレーキをかけながらトータルクラリティの後ろにつけ、中団で直線へ。

 ラスト2Fで外に誘導して伸び始めると、トータルクラリティが内にヨレて後退。そこで先頭に立ったが、ラスト1Fで差し返されて半馬身差で敗れた。

 前走はそこまで前半のペースが遅くなかったが、出遅れを挽回したのが完全に裏目に出た。位置を取れないばかりか、気性に火を点け消耗させてしまう形だった。チグハグな騎乗で並みの馬なら大敗パターンも、それでも2着に善戦したあたり大物感を感じる。

 本馬は6月の東京芝1600m新馬戦でも、同日の東京芝では古馬を含めて最速タイの上がり3Fを使い5馬身差で圧勝。確かな素質の裏付けもある。

 今回は前走から休ませ、成長を促しての一戦。出遅れ癖はあるが、外差し有利の馬場で13番枠なら、そこまで大きな減点材料にはならない。むしろレースがしやすいはずだ。

○ (8)カワキタマナレア

 新馬戦、シンガポールTC賞と1200mを連勝した馬。2走前のシンガポールTC賞は4番枠から出遅れ、最後方から押して挽回する競馬だった。

 道中でも促されていたが、3角でもまだ後方2番手。3~4角で馬群の一番外から進出し、4角出口で中団のかなり外から直線へ。直線序盤でしぶとく伸びて3列目付近まで上がり、ラスト1Fで突き抜けて1馬身3/4差で完勝した。

 前走ファンタジーSは5着。レースは大外15番枠から出遅れて、中団の外で我慢。3~4角で後方馬群の外を回り、4角出口で押して肩鞭も入れられたがコーナワークで置かれ、直線序盤で位置が下がってしまった。しかし、そこから盛り返してラスト1Fで4馬身あった前との差を半馬身まで詰めてゴールした。

 前走は不良馬場のスローペースで前と内が有利な展開。3~4角でペースが上がってこない中で内を狙ってブレーキをかけ、追い出しが遅れたところがあった。加速力がある馬ならまだしも、本馬のように伸び始めが甘い馬にとっては致命的だったとみている。

 仕掛けどころが難しい馬ではあるが、スピードに乗ってからの末脚は確か。芝1200mでは追走に忙しいことから、芝1600mへの距離延長も好ましい。前走の敗戦を糧に鞍上が上手く乗れば本命も考えた。しかし、外差し有利の馬場で8番枠と少し内目に入ったことがやや不安で対抗まで。

▲ (15)リリーフィールド

 函館ダ1000mの新馬戦を圧勝した馬。レースは7番枠から五分のスタートもダッシュがついて逃げることに成功。3~4角で後続との差を広げ、1馬身差のリードで直線へ。直線序盤では2馬身程度のリードだったが、ラスト1Fでグングン後続を引き離し、2着に6馬身差、3着馬に11馬身差をつけて圧勝した。

 新馬戦の走破タイムは59秒0。これは同日の古馬1勝クラスの勝ちタイムと同じ。当然、指数も1クラス上のレベルというかなり優秀なもので高い素質をみせた。

 3走前の函館2歳Sは初芝の一戦らしく、3番枠から出遅れ。やや掛かった程度だったが、後方の中目でコントロールに苦労し、3角で挟まれてさらに位置が下がってしまった。

 最後の直線で外に進路を取ってからはいい脚で伸びたが、鞍上がコントロールし切れず、レースの流れに乗れなかったのが主な敗因だった。

 しかし、前走もみじ賞は巻き返しV。当レースは4番枠から五分のスタートを切り、押して3番手を追走。3~4角の外からすっと進出して先頭に並びかけ、直線序盤で先頭。ラスト1Fで抜け出し3馬身半差で完勝した。

 前走はそれまでから一転、ややハイペースを先行策から押し切っての勝利。今回のメンバーで勝ちに行った場合はさすがに苦しそうだが、陣営は「上手くタメを利かせたい」とコメントしている。

 新馬戦では後半型の競馬で圧勝しているだけに、外差し有利の馬場で末脚を生かす形なら、一発がある。

△ (9)ショウナンザナドゥ

 前走アルテミスSで3着。レースは8番枠から五分のスタートを切って促されたが、あまり進まず中団の外を追走。道中で内に入れようとするができず、中団の外目で3角へ。

 3~4角で一気にペースが落ちるとじわっと仕掛け、4角出口で外へ。序盤で追われても伸びは地味だったが、ラスト2Fで4番手に上がり、ラスト1Fでも伸び続け2着ミストレスに迫ったがアタマ差届かなかった。

 アルテミスSは超高速馬場のスローペースで前有利な展開。最後まで伸び続けていたが、仕掛けがやや遅く、逃げた2着ミストレスを捉えることができなかった。

 本馬は長くいい脚を使えることが強みで、おそらくベストは中距離。ただ時計の掛かる京都芝で上がりの掛かる展開ならチャンスはある。人気ほどの信頼はできないが、軽視もできない。

△ (10)ブラウンラチェット

 フォーエバーヤングの半妹。9月中山芝1800mの新馬戦、アルテミスSと王道路線を連勝。アルテミスSは2番枠から五分のスタートを切り、内から二の脚でハナを主張したミストレスを行かせ2列目の最内を進んだ。

 道中は少しコントロールされ、3~4角の一気の減速にはブレーキで対応して直線へ。直線序盤で進路がなく仕掛けを待たされたが、残り300mで追われるとすっと2番手に上がった。そしてラスト1Fでそのままグイグイ伸びて1馬身1/4差で完勝した。

 前走はかなりのスローペース。3~4角でミストレスが一気にペースを落としたことで包まれ、並みの馬ならスムーズ差を欠くものだったが、本馬は急な減速にも上手く折り合い、直線ですっと加速した。鞍上のC.ルメール騎手が上手かったこともあるが、とてもキャリア2戦目とは思えない大人びた立ち回りで操縦性が高い。

 しかし、センスが良いというのは大きな伸びしろが見込めないということでもある。その点は割引だが、多頭数の京都芝1600mは3~4角の下り坂でゴチャつくことが多いだけに軽視はできない。

△ (1)ビップデイジー

 8月の中京芝1600mの新馬戦と、紫菊賞を連勝した馬。前走の紫菊賞では大外6番枠から五分のスタートを切って促して行ったが、やや掛かり気味になったので下げて2列目の外を追走。そこからはかなりのスローペースで折り合い重視で進めて3角へ。

 3~4角でも内から2頭目の2列目で我慢して、前2頭をマークしながら、出口で外に誘導して2列目の外。直線序盤でじわじわ伸びて3番手に上がり、先頭とは半馬身ほど。ラスト1Fで抜け出して前をしっかり捉えて1馬身1/4差で勝利した。

 新馬戦では前半が速かったこともあり、2番枠から出遅れ、押してもあまり進んでいかずに苦労していたが(結果、3~4角の中団で包まれて、直線序盤で前が壁)、前走では前半が遅かったにせよ、そこが改善されていた。

 また前走が前後半4F49秒7-46秒2のかなりのスローペースで、ラスト1Fで加速しての勝利。ラスト2F11秒2→11秒0という数字ほど余力を感じさせなかったが、消耗度の小さいレースになっているだけに、ここでさらに前進する可能性がある。1番枠と枠は悪いが、警戒しておきたい。

△ (14)ランフォーヴァウ

 前走のデイリー杯2歳Sの2着馬。前走は5番枠からまずまずのスタートを切り、コントロールしながら好位中目を追走。道中は4番手の最内で我慢させて3角へ。3~4角でも2列目の最内で我慢し、直線で外へ誘導。直線序盤で1馬身半差あった先頭との差をしっかり捉えて先頭に立つ。ラスト1Fで1馬身ほどリードを広げたが、外のドラゴンブーストに食らいつかれ、半馬身差の勝利となった。

 前走はGⅡながら2勝馬不在。未勝利戦を勝ち上がった馬ばかりで酷いメンバーだったが、オープンレベルの指数は記録できた。また2走前に芝1400mでテンの速いレースをしていたことで、前走は行きっぷりが良く、それまでよりも積極的な競馬で勝利したことは褒められる。

 今回は前走よりも相手が強くなるが、近2走ともメンバー最速の上がり3Fを記録しているように末脚はここでも上位のものがある。14番枠と枠にも恵まれているだけに警戒した。

2024年 カペラSの予想

■昨年のこのレースでワン、ツーを決めた2頭が前へ

 ここは逃げ馬が(12)チェイスザドリーム、(15)テイエムトッキュウ、(8)インビンシブルパパの3頭。インビンシブルパパはテンがそれほど速くないので、チェイスザドリーム、テイエムトッキュウに行かせる形になるだろう。

 ドリームとトッキュウ。昨年は外枠のチェイスザドリームの方がテンが速かったが、内のテイエムトッキュウに行かせて前後半3F33秒5-35秒8で決着。このレースは過去10年で前半3F32秒台に5回も突入している激流傾向のレースだが、そこまでペースが上がらなかった。

 今年はドリームがトッキュウより内枠。斤量58Kgを背負うテイエムトッキュウより、前走で芝を使っているチェイスザドリームの方が楽に前に行けるはずだが、テイエムトッキュウに行かせるか? ここが焦点になるだろう。

中山11R カペラS ダ1200m
 ◎ (15)テイエムトッキュウ
 ○ (12)チェイスザドリーム
 ▲ (6)ガビーズシスター
 注 (2)インユアパレス
 △ (8)インビンシブルパパ
 △ (9)クロジシジョー
 △ (10)エティエンヌ
 △ (11)チカッパ
結論 馬連15-12,6,2,8,9,10,11 (10:10:10:5:5:5:5) 複勝10 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (10)テイエムトッキュウ

 昨年のカペラSで重賞初制覇を達成した馬。昨年のこのレースでは3番枠から好スタートを決めてハナを主張。外の(12)チェイスザドリームの方がテンが速かったが、内に切れ込んでこないので楽々ハナを取り切った。しかし、そこからもペースを緩めずに淡々と逃げた。

 3~4角でも持ったままで、2馬身半差でのリードを維持して直線へ。ラスト1Fでもチェイスザドリームとの差が詰まらず、ラスト1Fで3馬身差に広げて完勝した。ここはハイペースで逃げて1分09秒3の好タイム勝ちで、自己最高指数を記録した。

 そこから休養明けで挑んだ2走前絵の東京スプリントは、10番枠からやや出遅れ。内枠各馬がテンが速く、自分の型に持ち込むのに苦労して3着に敗れた。ここは2着に追込馬の(9)クロジシジョ―が台頭したように、砂厚10cmのタフな大井で前後半3F34秒5-37秒8のかなりのハイペース。これで3着なら悪くない。

 前走のサマーチャンピオンは8着敗退。ここでは距離が長かったのもあるが、馬体重15Kg増の太目残りが示すように、台風順延による急きょの佐賀滞在で、状態の意地が難しかったと予想される。

 今回はそこから立て直されての一戦。今回は内のチェイスザドリームがハナを主張したとしても競ってはいかないだろう。もちろん、チェイスザドリームが同馬にハナを譲る可能性もある。本馬は今回3ヵ月の休養明けで、万全の状態とまでは言っていない感じがするが、距離が短いほどそれでも押し切れることが多々あるのでそこに期待した。

○ (12)チェイスザドリーム

 昨年のカペラSの2着馬。ここでは13番枠からまずまずのスタートを切り、二の脚が良かったが、内の◎(10)テイエムトッキュウがハナウを主張することを見越して無理させずに同馬の外2番手へ。道中も同馬にプレッシャーをかけずに、番手外でリズム良く追走。

 3~4角ではテイエムトッキュウの一列後ろから無理はせず、同馬と2馬身半差で直線へ。直線序盤で追われたが、そこから差が詰まらない。ラスト1Fでも踏ん張ったが、じわっと差が広がって3馬身差の2着となった。

 昨年はテイエムトッキュウに競っていく選択肢もあったが、無理をさせて失速するリスクよりも、上位入線することを選択した。本馬は4走前のながつきSしかり、オープン昇格後は逃げて失速してばかりだったので、この選択は正しかったと見ている。

 本馬はテンが速いので、逃げを強いられることが多かったが、今回は◎(10)テイエムトッキュウがいることで、むしろ楽だろう。ここは(6)エスカルの取り消しもあり、先行馬が手薄。実績馬の大半が差し、追込馬とということもあり、昨年の再現に期待したい。

▲ (6)ガビーズシスター

 ダートでは5戦4勝2着1回の実績馬。前走の外房Sでは10番枠から五分のスタートを切り、押して好位の外目を追走。道中も淡々と流れた中で好位の一番外で3角へ。3~4角でも一番外から押し上げながら、楽な手応えで4角でもほぼ持ったままで2列目付近へ。直線序盤で追われ、じわじわ伸びたがまだ2列目。ラスト1Fでしぶとく抜け出して3馬身差で圧勝した。

 前走は中山ダ1200mで前後半3F33秒4-36秒3のかなりのハイペース。ラスト1Fっで前が甘くなったところを差し切ったというレースぶりだったが、3~4角でかなりロスを作りながら押し上げており、好内容だった。

 今回はさらなる相手強化の一戦。本馬はスタート地点が芝だと序盤から位置が取れる馬ではなく、そこまでキレる脚が使えるタイプではないので、◎(10)テイエムトッキュウがどこまでペースを引き上げてくれるが焦点となる。

注 (2)インユアパレス

 ダートでは6戦4勝2着2回。唯一、4着に敗れたのは休養明けで未勝利戦を勝利した後の1勝クラス戦で、3番枠からスタート後に大きく躓き、砂を嫌がって3角で蛇行し、体勢を崩す場面もあったもの。最後の直線では内にモタれる場面も見せていた。そこから立て直されて復帰すると上昇一途で、前走では3勝クラスの貴船Sを勝利した。

 前走は4番枠からまずまずのスタートを切り、押して先行策。ひとつ外の逃げ馬らに被されて位置が下がったが、そこから中目に切り替えて中団のやや前方を追走。道中で好位の中目まで挽回して3角へ。3~4角では中目から押し上げて4角出口で前3頭の外に誘導して2列目付近で直線へ。序盤で一気に伸びて2番手に上がり、ラスト1Fで突き抜けて3馬身差で勝利した。

 前走は高速ダートだったが、標準に近い時計が出ていた3走前の岩室温泉特別でもクビ差2着に実績があるように、今の中山ダートにも対応できるはず。また本馬は内側に馬がいないと内にモタれる面があったが、だいぶ常識にかかってきた。ダート6戦中5戦でメンバー最速の上がり3Fを記録しているように末脚抜群。前走からさらなる前進があればここも通用するだろう。

2024年 中日新聞杯の予想

■3~4角で内を通せる馬が有利

 7年前に1回中京開催からこの時期に移動した、ハンデGⅢの中日新聞杯。このレースの舞台となる中京芝2000mは、スタンド前の急勾配の上り坂の途中からスタートし、前半で緩やかに坂を上り、3角手前から緩やかに差を下っていくコース。このためスローの上がり勝負が発生しやすい。
 
 しかし、古馬重賞のここはスローペースでも3角の下り坂から、前半が極端に遅い場合は3角手前からペースが上がることが多く、ここで外を回った馬は苦戦している。2022年のこのレースで(2)マテンロウレオが2着しているが、当日も3~4角の内を通った馬が1~3着を独占し、後方外々をぶん回した断然1番人気のプログノーシスは4着に敗れている。

 今年は岩田康誠(デシエルト)VS藤懸貴志(ベリーヴィーナス)の因縁のハナ争いが予想されるが、最終的にはデシエルトがハナを取り切って、そこまでペースが上がり切らないだろう。前半5F61秒1と極端に遅かった昨年ほど内有利の展開にはならないだろうが、それでも内と前が有利と見て予想した。

中京11R 中日新聞杯 芝2000m
 ◎ (2)マテンロウレオ
 ○ (8)デシエルト
 ▲ (9)コスモキュランダ
 △ (14)ドクタードリトル
 △ (15)ジェイパームス
 △ (5)トーセンリョウ
 △ (10)ロードデルレイ
結論 馬複2-8,9,14,15,5,10 (12:12:8:8:5:5) 複勝2 (50)

■有力馬と評価コメント

◎ (2)マテンロウレオ

 2022年の中日新聞杯の2着馬。同レースでは16番枠から五分のスタートだったが、序盤から積極的に進めて好位の外目から最終的に中目で進めた。道中もその位置でコントロールしながら進めていたが、3角手前のペースアップでやや置かれ、3~4角で3列目の内から2頭目で我慢させ、4角でも内目を通して3列目で直線へ。

 直線序盤で追われるとじわじわ伸びて2列目の3番手争いに加わり、ラスト1Fで前を捉えて先頭に立ったところで外からキラーアビリティの強襲され、クビ差で惜敗した。

 前記の中日新聞杯は前半5F61秒9-後半57秒5で、ラスト5F目から一気にペースアップして、レース最速がラスト4F目(3~4角)となっているように、3~4角で外を回った馬はロスが大きく、内を立ち回った馬が圧倒的に有利な展開だった。しかし、今回もまた展開に恵まれる可能性がある。

 また今年は2番枠。この枠ならば、岩田康誠VS藤懸貴志の因縁のハナ争いの2列目の最内でレースを進められるだろう。

 この枠だと逆に包まれてしまう危険性もあるが、昨年2月の京都記念では3~4角で3列目の最内で我慢して進路を探し、4角で一列下げて最内の加速スペースを作って、直線序盤で速度を削がずに捌いて3列目まで上手く上がって2着に善戦している。つまり、鞍上の横山典弘騎手は包まれた時に、職人技を見せてくる騎手であるということ。

 前走の天皇賞(春)は相手も強く、距離も長かったが、やや掛かりながら逃げたために13着に失速。しかし、前々走の日経賞では平均ペースで逃げて後の目黒記念の優勝馬シュトルーヴェと着差0.1秒差と善戦しているように、基調の低下は感じさせない。今回は7ヵ月半の長期休養明けになる典は不安だが、現在5番人気とそれほど人気がないので期待したい。

○ (8)デシエルト

 日本ダービー以来となった芝の前走、アンドロメダSでいきなり結果を出したように、ダート・芝兼用馬。前走は6番枠からまずまずのスタートを切り、押してハナを主張し、先頭に立った。道中も抑えていたが前進気勢が強く、そこまでペースを落とさずに3角へ。

 3角でも4馬身ほどリードがあったが、坂の下りでスピードに乗って仕掛け、5馬身差のリードで直線へ。直線序盤でも5馬身差を維持していたが、ラスト1Fで内から馬群を捌いて上がった(10)ロードデルレイに差を詰められたが、余裕を持って3馬身半差で完勝した。

 前走は折り合いに苦労していたが、前後半5F59秒8-58秒8のややスローペースで上手く運んでいる。以前のような暴走が見られなくなった今なら、芝2000mでもやれるだろう。芝のキャリアが4戦と浅いことから、まだ伸びしろがありそうだ。

▲ (9)コスモキュランダ

 昨年3月の弥生賞をマクって優勝すると、次走の皐月賞でも2着に好走した馬。皐月賞では12番枠からやや出遅れたが、コントロールしながら1角で内に入れ、向正面では中団内目で我慢し、3~4角ではシンエンペラーをマーク。かなり押しながら鞭まで入れて中目に誘導して4角出口で外へ

 直線は4列目からじわじわ上がり、ラスト1Fでは内から先に動いたジャスティンミラノと一緒に伸びた。先に抜け出したジャンタルマンタルは捉えたが、ジャスティンミラノにはクビ差届かなかった。それでも、アーバンシックには先着している。

 2走前のセントライト記念ではアーバンシックに完敗しての2着。8番枠からやや出遅れ、そこから無理せずに中団馬群の中目を追走。道中は中団外からじわっと押し上げ、3~4角でも楽な手応えで2番手まで上がると、直線序盤で先頭。しかし、ラスト1Fでアーバンシックに一気にかわされて1馬身3/4差で敗れてしまった。

 このレースは3~4角でアーバンシックが内の最短距離を通したのに対し、コスモキュランダは、3~4角の外から位置を押し上げたことでロスが生じており、これがラスト1Fでの甘さに繋がった面がある。ただし、ここで記録した指数は皐月賞と同等のもので大きな成長を見せることができなかった。

 前走の菊花賞は休養明け好走後の一戦で強い疲れが出たようで、見せ場さえも作れずに終わったが、今回はそこから立て直されての一戦。実績のある芝2000mで巻き返しを期待してみたい。

 昨年3月の弥生賞をマクって優勝すると、次走の皐月賞でも2着に好走した馬。皐月賞では12番枠からやや出遅れたが、コントロールしながら1角で内に入れ、向正面では中団内目で我慢し、3~4角ではシンエンペラーをマーク。かなり押しながら鞭まで入れて中目に誘導して4角出口で外へ

 直線は4列目からじわじわ上がり、ラスト1Fでは内から先に動いたジャスティンミラノと一緒に伸びた。先に抜け出したジャンタルマンタルは捉えたが、ジャスティンミラノにはクビ差届かなかった。それでも、アーバンシックには先着している。

 2走前のセントライト記念ではアーバンシックに完敗しての2着。8番枠からやや出遅れ、そこから無理せずに中団馬群の中目を追走。道中は中団外からじわっと押し上げ、3~4角でも楽な手応えで2番手まで上がると、直線序盤で先頭。しかし、ラスト1Fでアーバンシックに一気にかわされて1馬身3/4差で敗れてしまった。

 このレースは3~4角でアーバンシックが内の最短距離を通したのに対し、コスモキュランダは、3~4角の外から位置を押し上げたことでロスが生じており、これがラスト1Fでの甘さに繋がった面がある。ただし、ここで記録した指数は皐月賞と同等のもので大きな成長を見せることができなかった。

 前走の菊花賞は休養明け好走後の一戦で強い疲れが出たようで、見せ場さえも作れずに終わったが、今回はそこから立て直されての一戦。実績のある芝2000mで巻き返しを期待してみたい。

2024年 勝島王冠の予想

■サヨノネイチャの1強ムード?

 地方馬NO.1のライトウォーリアや埼玉栄冠賞の覇者ナニハサテオキが浦和記念に出走し、マイルCS南部杯4着のミックファイアも先日のチャンピオンズCに出走。地方馬が底上げするほど、SⅡの勝島王冠は手薄になるのだろう。

 ここはサヨノネイチャの1強ムード。大井の重賞3勝で帝王賞でも5着した本馬には逆らいにくいが、相手もほぼ対抗馬のあの馬と見ている。

大井11R 勝島王冠 ダ1800m
 ◎ (9)サヨノネイチャ
 ○ (8)キングストンボーイ
 ▲ (4)ヒーローコール
 △ (5)パワーブローキング
 △ (13)ユアザストーリー
結論 馬複9-8,4,5,13 (26:4:4:4) 複勝8 (50)

■サヨノネイチャの1強ムード?

 地方馬NO.1のライトウォーリアや埼玉栄冠賞の覇者ナニハサテオキが浦和記念に出走し、マイルCS南部杯4着のミックファイアも先日のチャンピオンズCに出走。地方馬が底上げするほど、SⅡの勝島王冠は手薄になるのだろう。

 ここはサヨノネイチャの1強ムード。大井の重賞3勝で帝王賞でも5着した本馬には逆らいにくいが、相手もほぼ対抗馬のあの馬と見ている。

■有力馬と評価コメント

◎ (9)サヨノネイチャ

 地方馬が相手では連対率100%で、昨年の勝島王冠、今年のブリリアントC、大井記念と重賞で3連勝した馬。中央馬が相手の前々走、帝王賞でも5着に健闘した。

 昨年の勝島王冠では2番枠から出遅れ。そこから押して中団やや後方内目を追走。3角手前で外に誘導すると外からロードレガリスが上がって先に仕掛けたので、それを追い駆けて進出。

 直線序盤では好位の外。そこからしぶとく伸びて3番手まで上がり、ラスト1Fで苦しくなったロードレガリスを差し切って2馬身、最後にライトウォーリアをかわしてハナ差で勝利した。

 ここではロードレガリスの早仕掛けにライトウォーリアが抵抗したことで、展開利や馬場の良い外目を走れた面はあった。それでも後の川崎記念の覇者となる同馬を降したことは評価できる。

 また前々走の帝王賞でも中団やや前方の中目を追走。3角手前で外からやや位置を押し上げて着差1.3秒差の5着に善戦しているように、本馬は大井1800~2000mで実績がある。

 休養明けの前走のマイルCS南部杯はレモンポップ、ペプチドナイルが競り合ってペースを引き上げていく展開を3番手と勝ちに行く競馬をしたために8着と崩れたが、今回はひと叩きされてベストの条件。勝ち負けが濃厚だ。

○ (8)キングストンボーイ

 3走前の中央のOP・平城京Sで2着の実績馬。ここでは2番枠から五分のスタート後、じわっと位置を取りに行って中団やや前方の最内で1角へ。向正面でもやや位置を上げ、好位馬群の中で3角へ。

 4角で包まれたが、そこでワンテンポ待って、4角出口で前の4頭の外に誘導。直線序盤で外からロコポルティにかわされると、それを追い駆けて好位の外に上がり、ラスト1Fでは2番手。しかし、同馬との差を詰められずに3馬身半差で敗れた。

 本馬は駐立不良でスタートが悪く、出遅れることが大半。後方からいい脚で伸びながらも馬券圏内まで届かないことが多かったが、スタートが決まれば中央のOPで上位の走りができる。

 しかし、こういう馬ほど地方ならではのスタート補助「尾持ち」が利きやすいもの。渡辺厩舎は移籍緒戦時、補助なしで様子見する場合もあるが、本馬のような明確な駐立不良だと緒戦からでも「尾持ち」をするような気がしている。また渡辺調教師が今回、同馬に対して強気だったとも聞いている。

 地方馬が相手なら多少出遅れても中団くらいの位置を取れる可能性が高く、スタートさえ決めてしまえばかなりに確率で上位争いに加われると見て対抗に推す。

▲ (4)ヒーローコール

 今年1月の報知GPでは強豪相手に2着。ここでは1番枠から五分のスタートを切ってかなり押していったが、外のエルデュクラージュのほうが速くて逃げられず。そこから同馬の外を狙ったが、その位置を外のマッドルーレットに取られ、エルデュクラージュの後ろをスペースを作って追走した。

 3~4角では最内から前との差を詰めて、直線序盤で逃げ粘るエルデュクラージュの外に誘導。ラスト1Fで同馬が甘くなり、そこで徐々に差を詰めたが、2馬身差までだった。しかし、先着した相手がスワーヴアラミス、ロードレガリス、ギガキングなど、重賞で好走実績がある馬だったことを考えるとけっこう頑張っている。

 本馬は昨年9月の戸塚記念(川崎2100m)で逃げて6馬身差で圧勝しているイメージが強いが、ここは同世代が相手で恵まれた面があり、ベストは1800m。4走前のブリリアントCでも2着、前々走のフリーオーソレジェンドCでも2着ギガキングと0.4秒差の4着に善戦している。

 前走の埼玉栄冠賞は距離2000m。ゆっくり逃げていたが、2周目の向正面でナニハサテオキが早めに上がってきたので、これに抵抗する形で早めに仕掛けて苦しくなって4着に失速したもの。

 今回は距離ベストの1800m。内に逃げ馬の(1)ランリョウオー、揉まれたくない(2)コラルノクターンがいるので、今回は好位からの追走になりそうだが、どちらが逃げてもペースは速くならないだろう。道中で早めに動いての好走を期待する。

△ (5)パワーブローキング

 2023年に2勝クラスと3勝クラスを連勝し、その次走のアンタレスSでも4着と健闘した馬。2023年のアンタレスSでは大外15番枠からやや出遅れたが、枠が悪いので、無理せずに中団外目を追走。道中も前が淡々と飛ばして行く展開を、中団やや後方中目で進めて3角へ。

 3~4角では外からサンライズホープらが動いていくのをワンテンポ待って後方中目を通し切って直線へ。序盤で中団のスペースを拾いながら押し上げ、ラスト1Fでけっこういい脚で前をの差を詰めたが4着までだった。

 ここは前後半4F47秒5-50秒1のかなりのハイペースで展開に恵まれた一戦ではあったが、後のJBCクラシックや帝王賞の覇者キングスウォードなど強豪が集っていた中での4着は立派なもの。

 その後、調子を落として地方に移籍したが、ここへ来て調子を上げている。前走のJBCスプリントが連闘策で遠征しているだけに、その疲れが心配だが、もともとの本馬の実力を考えた場合には、5着でも能力を出し切っているレベルではない。前走で短距離を使ったことで行きっぷりが改善される可能性もあるので押さえておく。

△ (13)ユアザストーリー

 昨年の埼玉新聞栄冠賞の3着馬。同レースでは6番枠から五分のスタートを切って、前を主張する馬を行かせて好位馬群の直後を追走。3角で馬群の中目から押し上げて、4角出口で馬場の良い外へ誘導。そこからしぶとく伸びていたが、クビ+ハナ差までだった。

 昨年の埼玉新聞栄冠賞は、(1)ランリョウオーの逃げで前後半5F62秒9-後半5F65秒1のハイペースで、外差し有利の馬場。展開と馬場にやや恵まれた面があったが、その後、着実に地力をつけている。

 前走の姫山菊花賞こそ4角で中団中目で包まれて、直線序盤で進路を探してややまごつく不利があって6着に敗れているものの、それを除けば9走前からずっと3着以内に善戦しているように、レースぶりに安定感もある。

 それも戦った相手はライトウォーリア、ナニハサテオキ、セイカメテオポリス、(4)パワーブローキングなどの強豪ばかりである。前走の埼玉栄冠賞でも前有利の馬場を中団外から差して2着に善戦しており、ここも警戒しておきたい。

2024年 チャンピオンズCの予想

■今年はハイペースの可能性

 ジャパンカップダートから『チャンピオンズC』と名前を改め、中京ダ1800mで行われるようになって今年で11年目。2014年は前後半5F62秒3-60秒6の極端なスロー、2015年は同60秒2-62秒4と一転してハイペースだった。以降は良馬場で前半4F48秒中盤から49秒台後半の、ややスロー~平均ペースの範囲内となっている。これは他場のダ1800m戦と比較すると遅い。

 このレースのペースが上がりにくいのは、上り坂の途中からスタートするコース設定に加え、最初のコーナーまでの距離が約300mと短いことが影響している。前半が遅く、向正面でもペースが上がらない場合は、3角手前の下り坂から一気にペースアップするケースが多い。前半のペースが上がりにくいのがこのレースの特徴だ。

 しかし、テンが速く、外から被されたくないクラウンプライドが1番枠を引き、その外にレモンポップ、ミトノオーと逃げ馬が2頭。その他にもペプチドナイル、ドゥラエレーデ、テーオードレフォン、スレイマンなど、手強い先行馬も多数いる。今年は1角までに隊列が決まらず、極端なハイペースになった2015年のような展開も視野に入れて予想する。

中京11R チャンピオンズC ダ1800m
 ◎ (16)ガイアフォース
 ○ (10)アーデルアステリア
 ▲ (2)レモンポップ
 △ (3)ハギノアレグリアス
 △ (5)ペイシャエス
 △ (8)ウィルソンテソーロ
 △ (9)テーオードレフォン
 △ (12)サンライズジパング

結論 馬連16-10,2,3,5,8,9,12 (15:10:5:5:5:5:5) 複勝16 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (16)ガイアフォース

 今年のフェブラリーSではダート初挑戦ながら2着と好走し、ダート適性の高さを証明した。同レースでは7番枠から五分のスタートを切って押していったが、内からやや強引に外に出ようとしたドゥラエレーデの影響で、オメガギネスとともに外に押し出される不利があった。そこから中目に切り替えて、中団やや前目を追走した。

 3角で前のオメガギネスを意識して追い、3~4角では中団中目で包まれてしまったが、同馬の後ろを通って出口で外に誘導。やや窮屈だったが、立て直して追われると伸びはじめ、ラスト1Fではタガノビューティーの外からしぶとく伸び、同馬とセキフウの3頭による2着争いをクビ差で制した。

 今回はダート2戦目。デビューからベストでない条件を使われていると、最適条件を使われた際の伸びしろが大きい傾向がある。一昨年の当コラムでもそれを理由にジュンライトボルトを本命に推して1着。さかのぼれば2018年8番人気2着のウェスタールンドも同様だった。

 今回は16番枠と痛恨の大外枠だが、ハイペースにより縦長の隊列が予想され、それほど大きなロスが生じない可能性が高い。フェブラリーSでは砂を被ってやや嫌がる素振りを見せていたが、初ダートとしては及第点だったことからも、ここは本命に推す。

○ (10)アーデルアステリア

 昨年の名鉄杯など、中京ダ1800mで4勝をあげるコース巧者。その名鉄杯では9番枠から五分のスタートを切って中団やや後方からの追走。道中で前2頭が飛ばして隊列が縦長になったが、向正面でも中団やや後方の揉まれない位置で我慢できた。

 3~4角でペースダウンすると、大外から手応え良く中団まで上がって4角出口でさらに外へ。直線序盤でじわじわ伸びてラスト2Fで2番手に上がると、早めに抜け出したメイクアリープをゴールまで数メートルのところで捉えてクビ差で勝利した。

 メイクアリープは後のみやこS2着馬、4馬身差で3着のニューモニュメントは、昨年の川崎記念3着と、昨年の名鉄杯はリステッド競走としてはレベルが高いレースだった。この時はやや時計の掛かる馬場で前後半4F48秒4-後半4F50秒7のかなりのハイペース。展開に恵まれての勝利だったが、今回も展開に恵まれる可能性がある。

 本馬は3走前のエンプレス杯で先行して6着に敗れているように、前に行くともろい面があるが、差す競馬では、前有利の展開を後方から進めた昨年のチャンピオンズC以外で崩れていない。

 昨年はJBCレディスクラシックを大目標にした後の一戦だったが、今年は同レースを回避して、チャンピオンズCが目標というローテーションなのも好ましい。近走もスパーキングレディーC1着、強豪相手のレディスプレリュードでも3着と順調そのものだけに、ここは穴馬に推す。

▲ (2)レモンポップ

 昨年のフェブラリーSを完勝してGⅠ初制覇。その後、昨秋のマイルCS南部杯では圧巻の走りを見せて優勝した。

 昨秋のマイルCS南部杯では3番枠からまずまずのスタートを切り、ハナを主張。道中はコントロールして後続を引き付けながら逃げて、2番手外のイグナイターとクビ差で3角へ。3~4角で後続を引き離し、イグナイターに4馬身差をつけつつ直線に入ると、序盤の上り坂を楽な手応えで駆け上がり、後ろをどんどん突き放して独走。次走でJBCスプリントを優勝するイグナイターに2秒差という大差での圧勝だった。

 初めて逃げたここで衝撃の自己最高指数を記録。逃げるのがベストであることを証明した。二度の海外遠征で二桁着順に敗れているのは、テンの速い馬が多く、逃げられなかったことが主な要因だろう。

 昨年のチャンピオンズCは、休養明けで自己最高指数を記録した後の“疲れ残り”の一戦。大外15番枠からまずまずのスタートの後、外にヨレるロスがあったが、同型馬不在の構成を利して思い切って逃げたことで、前走から大幅に指数を下げながらも勝利をおさめた。

 今年のマイルCS南部杯は1番枠。前走マイル戦でテンの速いレースをしている(4)ペプチドナイルにハナを奪われる可能性もあると見ていたが、五分のスタートから押してハナを取り切ったことで、外から同馬に競られながらも3/4差で勝利することができた。

 前年のマイルCS南部杯当日は超高速馬場だったが、今年は一転して時計の掛かる馬場状態。昨年よりも走破タイムが2秒1遅いが、昨年同レースに次ぐ、高指数を出した。

 チャンピオンズCも昨年のようにすんなりハナを主張できれば好走が可能だが、今年は(1)クラウンプライドの外2番枠。さらに、外には同型馬の(11)ミトノオーもいる。他にも先行馬が多数で、ハナを切れない可能性もある。

 ただ、逃げられなかったとしても、昨年のフェブラリーSや今年のさきたま杯優勝時の指数を出す走りはできるはず。本命にするのは怖いが、大きく評価を落とすこともできない。

△ (3)ハギノアレグリアス

 2022年秋の阪神ダ1800mのOP・太秦Sを勝利すると、その後、ダートグレードで4戦連続連対と安定した走りを見せた馬。2023年の帝王賞では4着に敗れたが、緩みない流れを中団外から3角で一気に仕掛けて先頭列に並びかけて行く早仕掛けで、ラスト1Fで甘くなったもの。そこから立て直されたシリウスSでは巻き返して優勝した。

 そのシリウスSでは14番枠からやや出遅れたが、そこからコントロールして中団外目を追走。向正面でペースが上がったが、そこで外からじわっと上がって3角へ。

 3~4角では中団外目で仕掛けをワンテンポ待って、4角で中目を通して直線で外へ。3列目から追い出されると2番手に上がり、ラスト1Fで先頭のアイコンテーラーとは約1馬身半差だったが、それを捉え切って1馬身1/4差で完勝した。

 その次走のチャンピオンズCは6着敗退。前有利の展開で中団外々を回ったというのも敗因のひとつだが、休養明けのシリウスSで自己最高指数を記録した反動によるものが大きい。

 その後、再び休養してからはひと息だったが、前走のシリウスSでは1着。1番枠から好スタートを切って、好位の最内を追走。道中はややハイペースで流れたが、3列目の最内で我慢。

 3~4角で前のオメガギネスがひとつ外に誘導したが、本馬は上手く最内のスペースを拾いながら同馬の後ろから2列目で直線へ。序盤でオメガギネスの後ろから上手く進路を作って追い出されると、ラスト1Fでじわじわ同馬との差を詰めて1馬身1/4差の勝利した。

 前走では昨年のシリウスSほどの指数を記録できなかったが、復調しているはず。前走は逃げ馬不在、先行馬手薄で勝ちに行く競馬をしたが、本来の差しなら通用していい。

△ (5)ペイシャエス

 2走前のエルムSでダートグレード3勝目を達成した馬。そのエルムSは9番枠から五分のスタートだったが、二の脚ですっと先行争いに加わっていく。先行争いではやや見劣り、好位中目におさめて追走。道中も好位中目で我慢させて3角へ。

 3~4角で前が仕掛けるとやや置かれ始めたが、押して4角では鞭も入れて何とか挽回して2列目の内、(6)ドゥラエレーデの後ろから直線に向いた。序盤でじわじわ伸びて先頭列の間を割ると、ラスト1Fでもしぶとく伸び続けてドゥラエレーデを捉え、クビ差で勝利した。

 このレースでは逃げる(11)ミトノオーにドゥラエレーデが競りかければ、ペースが上がる可能性もあると見ていたが、ドゥラエレーデが同馬に並びかけて共存する形となり、前後半4F49秒3-48秒8とペースが上がらず、展開に恵まれる形となった。

 前走の武蔵野Sでは一転して前後半4F45秒8-50秒2と、かなりのハイペース。ここでは9番枠から五分のスタートを切り、軽く押して2列目の内を追走し、最終的には前から離れた3列目の内を進んだ。

 3~4角で前との差が詰まり、4角で外に誘導されるとスムーズに2列目の外で直線へ。直線序盤で内のエンペラーワケアに蓋をして抜け出し先頭に立った。ラスト2Fでも先頭を維持していたが、ラスト1Fで馬群をさばいてきたエンペラーワケアにかわされ、さらに外の2頭にも差されて、1馬身+ハナ+1馬身差の4着に敗れた。

 前走はスタミナが不足する休養明け。前半ではそこまで無理をさせなかったが、最後の直線では先頭に立つのが早過ぎた。ただ、本馬はメンバー最速の上がりをあまり使ったことがないように、差していいタイプではない。もっと最後の仕掛けを遅らせる意識で乗れればチャンスはある。

△ (8)ウィルソンテソーロ

 交流重賞路線で地道に地力をつけ、昨秋のチャンピオンズCで2着に好走した馬。同レースでは7番枠からアオって出遅れ、後方内目からの追走。道中で内目から進出して3角へ。3~4角で中目に誘導し、4角出口で外に誘導。直線序盤で軽く追われながらさらに外へ。ラスト1F手前で外に出し切るとグングン伸びて、逃げ粘る(2)レモンポップに1馬身1/4差まで迫った。

 このレースは内が有利な馬場状態で、前後半4F48秒8-49秒7の平均ペース。後方内目を上手く立ち回り、4角出口で上手く外に誘導されたことが好走要因だ。直線序盤で反応が甘く、外に出るのがやや遅れたところはあったが、ほぼ完璧な立ち回りだった。

 その次走の東京大賞典では逃げて2着、今年のドバイワールドCは4着。その後の帝王賞やコリアCでも善戦するが2着止まりだったように、なかなか勝ち切れないところがあった。

 しかし、前走のJBCクラシックで悲願のGⅠ級競走を制覇。10番枠からまずまずのスタートだったが二歩目で躓いて、無理はせずに中団外目を追走。スタンド前でもペースが遅かったが、そこで好位から2列目の中目を取って、逃げるウィリアムバローズの後ろから向正面に入る。ここで仕掛けて2列目の内に誘導して3角へ。

 3角で最内から一気に抜け出し、4角ではそのまま突き抜けて3馬身のリードを奪うと、直線でも4馬身、5馬身と差を広げる。ラストでメイショウハリオに1馬身ほど差を詰められたが、それでも余裕を持って4馬身差で圧勝した。

 JBCクラシックは前半5Fが64秒4と遅かったが、3角から一気に動いて、長くいい脚を使って自己最高指数での勝利。ただ、国内で無敗だったクリソベリルがJBCクラシック優勝後のここで4着に敗れてしまったように、数々のJBCクラシック優勝馬が続くチャンピオンズCでは善戦するものの、馬券圏内に入っていない。

 この点を考えると割り引く必要はあるが、序盤で躓くなど決してスムーズではなかったなかで、優勝したことは評価できる。一昨年は、JBCクラシック覇者テーオーケインズを無印にしたが、ウィルソンテソーロは幅広い展開に対応できることもあり、消しにはできない。

△ (9)テーオードレフォン

 前走の福島民友Cを重賞通用レベルの指数で勝利した馬。レースでは2番枠からまずまずのスタートを切ったが、外のスマートサニー、ミラクルティアラを行かせて好位の内につけ、道中では前にスペースを作って追走。向正面でサンテックスが捲ってペースが上がったが、そこでワンテンポ仕掛けを待ってスペースを維持して3角へ。

 3~4角では最短距離を通って4角出口で2頭分外に誘導。序盤でしぶとく伸びて先頭列に並びかけ、ラスト1Fでそのまま抜け出して3馬身半差で完勝した。

 前走は前に行きたい馬が多く、それらを行かせて終始、最短距離を通る形。完璧な立ち回りではあったが、前後半4F48秒5-49秒7のややハイペースをラスト1Fで加速して勝利したことは評価できる。

 今回は前走で自己最高指数を記録した後に加え、相手強化の一戦になるが、前走で折り合う競馬で結果を出したことは、逃げ、先行馬多数のここでは強みになるだろう。(2)レモンポップが自分の型に持ち込めずに敗れることがあれば、通用の余地がありそうだ。

△ (12)サンライズジパング

 ホープフルSで3着後は長らく芝路線を使われていたが、一線級が相手では苦しく、3走前の不来方賞から再びダート路線へ。2走前のジャパンダートクラシックは、休養明けの不来方賞でジャパンダートクラシックの出走権を絞り取りにいった疲れで、直前まで出走未定だったが、何とか出走にこぎつけて3着に善戦。

 2走前は2列目の内でフォーエバーヤングにプレッシャーを掛けて行く消耗度の高い競馬で、最後の直線序盤で早々と手応えが怪しくなったが、それでも離されたとはいえ3着を死守したのは地力があればこそ。

 前走のみやこSでは1着。大外15番枠からやや出遅れ、そこから軽く促して中団の外を追走。道中は押しながらの追走でやや忙しそうだったが、3角手前の上り坂でじわっと押し上げて3角へ。

 3~4角では好位の外々からから追っつけて鞭も入って必死に食らいついて3番手に上がって直線へ。直線序盤でじわじわ伸びて3番手まで上がり、ラスト1Fでしぶとく伸びて先頭のアウトレンジを捉えて半馬身差で勝利した。

 前走は重馬場でもそこまで好走ダートではなかったが、追走に忙しさを見せていた。前が残る展開なら届かなかった可能性が高かったが、ここはラスト1Fで前が失速する展開になったことで差すことができた。

 本馬は本質的には地方のタフな馬場の2000mがベスト。中央のダ1800mはベストではないが、今回は前走時より時計が掛かることや前走同様、自由に動ける外枠は好ましい。また、ここも展開に恵まれる可能性が高いと見ている。また今回は前走で自己最高指数を記録した後の一戦になるが、成長期の3歳馬だけにここでさらに前進する可能性もありそうだ。

推定3番人気 (4)ペプチドナイル

 今年のフェブラリーSで11番人気の低評価をくつがえして優勝した馬。このレースは9番枠からまずまずのスタートを切って先行し、2列目につけた。4頭併走状態の内から3頭目を追走していたところ、3角手前で一番外の(8)ウィルソンテソーロが2番手に上がり、好位の外から3角へ。

 3~4角で好位の外から進出して、直線序盤で追われると2列目に上がる。ラスト2Fで追われて先頭列に並びかけると、ラスト1Fで抜け出し、2着争いを尻目に1馬身1/4差で完勝した。

今年のフェブラリーSは国内トップクラスが世界最高の優勝賞金1,000万ドル(約14億1,400万円)を誇るサウジCに出走していたことで、歴代のフェブラリーSと比較してもメンバーが手薄だった。ただ、本馬は昨夏の大沼SとマリーンSを連勝した際と同等の好指数で優勝しており、決してフロックではない。

 前走のマイルCS南部杯ではレモンポップと小差の2着。ここでは14番枠からまずまずのスタートを切り、内のレモンポップの出方をうかがいながらコントロールして同馬の外2番手を追走した。

 3~4角で2番手外から軽く仕掛けて、4角では3番手以下を離しながら同馬に食らいついて3/4差。直線序盤でも追われて最後まで食らいついたが、差は詰まらず、3/4差のままゴールした。しかし、3着キタノヴィジョンには5馬身差を付け、自己最高指数を更新している。

 前後半46秒9-49秒0のかなりのハイペースに持ち込んでの2着。今年のフェブラリーSも前後半4F45秒6-50秒1の超ハイペースを好位から押し切って勝利しているように、ハナにこだわる馬ではないが消耗戦に持ち込んでこその馬なのだろう。ただし、消耗戦で能力を発揮してしまうと次走では疲れを残しやすいもの。前走で自己最高指数を記録した後のここは評価を下げたい。