2019年 新潟2歳S・キーンランドC

●新潟2歳S

新潟2歳Sは、前走芝1200mや芝1400mなど短い距離を使われ、芝1600mが初経験となる馬が多く出走してきます。それらの短距離路線馬は、距離に不安があるので脚をタメ気味に逃げ、先行することが多く、結果、超スロー~スローペースが発生しやすいのが特徴。不良馬場で行われた2018年こそハイペースでしたが、稍重~良馬場で行われた過去10年でハイペースになったことは一度もありません。

つまり、本来は前が残れてもいいペースですが、それでもシンメイフジ(2009年)、ザラストロ(2012年)、ハープスター(2013年)、ミュゼスルタン(2014年)、ロードクエスト(2015年)などのように、追い込み馬が優勝することがけっこうあります。いや、けっこうどころか、これはかなりの確率でしょう。2着にも2度、3着にも1度追い込み馬が馬券に絡んでいます。

これは将来の短距離馬と中距離馬が戦うことになるからでしょう。こういった現象は、新潟2歳Sに限らず、中京2歳Sやこの時期の2歳マイル戦で多く見られる現象です。また、素質の高い期待馬ほど、早い時期は無理に行かせてバテさせるのではなく、末脚勝負に徹している面があるのも大きいです。

また、新潟2歳Sは過去10年とも3~4コーナーでペースが緩んでラスト2F目が最速という共通項(つまり、ほぼ直線だけに競馬)もあるだけに、メンバー最速で上がって来られるタイプを中心視したいです。先行してメンバー最速で上がってこられる馬がいれば理想的ですが、そこまで強い馬もそういないので、必然的に差し、追い込み馬が本命ということになるでしょう。

●キーンランドC

札幌芝1200mは、2コーナー奥のポケット地点からスタートして、向こう上面の緩やかな上り坂をずっと上って行くコース。しかし、最初の3コーナーまでの距離が約412mと長く、最初の3コーナーまでの競り合いが続けば一転してハイペースになることもあります。その典型的なパターンが追い込み馬のエポワスが台頭した一昨年です。

一昨年は、逃げたいネロに、テンの速いソルヴェイグ、シュウジ他ライトフェアリー、メイソンジュニア、イッテツなど逃げ馬がズラリと揃った一戦でした。そのような状況の中で、内からナックビーナスがテンの速いソルヴェイグのハナを叩いたことで、超ハイペースとなったのです。

また、ナックビーナスは昨年このレースでもハイペースで逃げ切っていますが、今回はそれよりもテンのスピードがあるライオンボスが出走。ライオンボスは今回が初騎乗のルバルーですから、ナックビーナスに行かせる可能性もありますが、セイウンコウセイも出走しているだけに、まず、ハイペースにはなるでしょう。前半33秒台前半まではともかく、33秒台後半くらいにはなるでしょう。

前半3F33秒台後半ならば、逃げ馬でも重賞通用級の馬ならば逃げ切れますが、もっと立ち回りに幅のある馬を中心視するのがベストでしょう。立ち回りに幅のある馬とは、スローペースなら先行、ハイペースなら差すことも可能なタイプの馬です。

2019年 英インターナショナルSの予想

英インターナショナルSは、左回りで1周3200mのヨーク競馬場で行われます。キングジョージ6世&クイーンエリザベスSが行われたアスコット競馬場は、非常に起伏の激しいタフなコースだったのに対して、こちらはほぼ平坦なのが特徴。英国にしては走りやすく、速いタイムが出ることから、英国の競馬場の中では、もっとも日本に近い競馬場と言われています。

英インターナショナルSが行われる芝2050mは、向こう正面からスタートして200m弱のところに緩やかにコーナーがあるコース。最後の直線も1000m弱もあるため、前半から無理をさせない傾向があります。つまり、スローペースが発生しやすく、先行馬が有利ということです。

今回は戦前の段階でエネイブル、クリスタルオーシャン、マジカルの3強と目されていましたが、そのうちエネイブルとマジカルが回避。明日のヨークオークスで激突することになりました。これにより、クリスタルオーシャンが断然の1番人気に支持されましたが、今回はキングジョージ6世&クイーンエリザベスSでエネイブルとの歴史的名勝負を演じた後の一戦。疲れが出ての取りこぼしがあっても不思議ないでしょう。

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2019年 北九州記念・札幌記念

●北九州記念

小倉芝1200mは、コース最高部の2コーナー奥のポケット地点からスタートして、ゴールに向かって坂を下って行くコース。芝1200mなら息を入れたいポイントの3~4コーナーがスパイラルカーブで下りとなっているため、スピードのある馬ほどスピードを落とし切れません。つまり、上級条件ほどハイペース上等。「超」がつくほどのハイペースが発生することもあります。

実際に北九州記念の過去10年を振り返っても、全てハイペース。これには、当然、前走アイビスサマーダッシュ組が多く出走していることも関係していますが、短距離戦でありながら、過去10年で逃げ馬の3着以内がゼロというのは珍しいこと。馬場の内側が荒れて、時計の掛かる馬場状態になると、2016年のバクシンテイオーのように大外直線一気が決まることがあります。

今年の小倉は、例年よりも時計を要しており、昨日の戸畑特別(2勝クラス)では、前半3F33秒4のハイペースで1分08秒7で決着。また、4コーナーの大外を回った馬のワン、ツーだったように、外のほうが伸びていました。

今回はアイビスサマーダッシュ組のラインスピリットやラブカンプー、逃げ馬のイエローマリンが内枠に入りましたが、おそらモズスーパーフレアがレースメイクする可能性が高いでしょう。同馬は今年のオーシャンSで前半3F32秒3の超オーバーペースで逃げて完勝したほどの馬。その時のパフォーマンスを再現できればここも勝てますが……。展開と馬場状態を考えると、有利なのは外差しでしょう。

●札幌記念

札幌芝2000mは、4コーナー奥のポケット地点からのスタートで、最初の1コーナーまでの距離は385mと札幌コースとしてはストレートが長いため、逃げ馬の出方次第ではスローペースにもハイペースにもなるレース。2013年のトウケイヘイローや前に壁が作れず、折り合い欠いて逃げた一昨年ネオエアリズムのような、テンがそれほど速くない馬でも、ハナへ行く気になれば逃げられます。

昨年のようにマルターズアポジー、アイトーン、マイスタイルと逃げ馬が集い、それらが競り合うと一転して超ハイペースが発生します。また、全体的にペースが緩みずらいのは、開幕週からどんどん馬場が悪化する洋芝で、札幌記念が行われる頃には時計が掛かるようになるのも理由でしょう。

さて、今回はというと、昨秋のエリザベス女王杯で逃げてリスグラューのハナ差に粘ったクロコスミアは大外枠に入ったこともあり、、無理にはハナへ行かないのではないでしょうか。関屋記念で3着の実績があるように、逃げたほうがパフォーマンスが高いエイシンティンクルが逃げて、クロコスミア、ロードヴァンドールが2列目という展開が濃厚。

どの逃げ馬候補も前半からペースを上げたくないタイプなので、平均ペース前後でレースが流れる可能性が高いと見ています。馬場も内外の差が生じていないので、どの位置からでも脚を出し切れるでしょう。実績馬は始動戦でこの先が目標という弱点はありますが、ほぼ能力どおりに決着する可能性が高いと見ています。

2019年 ブリーダーズゴールドカップの予想

伝統の帝王賞に次ぐ、長い歴史を持つブリーダーズゴールドカップも今年で牝馬限定戦に生まれ変わって6年目。このレースは2013年まで牡馬混合のG2で行われていましたが、南関東を始めとする本州地区からの参戦がほとんどなく、晩年は出走馬が6頭、8頭……という状況。メンバーが集まらないという問題を抱えていました。

そこで牝馬の交流重賞路線が7月のスパーキングレディーカップから10月のレディスプレリュードまで行われないことに目をつけて、牝馬限定のG3として、装いを新たにしました。佐賀ヴィーナスカップから始まるグランダムジャパンの古馬シーズン・第5戦に組み込むことで、盛り上げる目的もあったのでしょう。

しかし、それでも本州地区からの参戦がほとんどなく、中央勢の独壇場。過去5年で地方馬が馬券に絡んだことは1度もありません。

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2019年 サマーチャンピオンの予想

お盆に行われる交流重賞の第2弾は、佐賀のダ1400mのハンデ戦で行われるサマーチャンピオン。この時期は交流重賞のクラスターカップにサマーチャンピオン、さらに翌週には中央でNST賞(新潟ダ1200m)と、オープン馬が出走できるレースが多数。しかし、秋のJBCスプリントを目指す実績馬は、ハンデを背負わされることを嫌って、クラスターカップに出走することが多く、こちらはメンバーが手薄になりがちです。

しかし、ハンデ戦ながら、過去10年の連対馬20頭中18頭が斤量55kg以上の馬という成績。ハンデ54㎏以下で連対したのは、2014年のピッチシフター(斤量52㎏)と2017年のラインシュナイダー(斤量54Kg)のみ。基本的には斤量55kg以上の実績馬が優勢と言えます。

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2019年 クラスターCの予想

お盆に3日間連続で行われる交流重賞の第1弾は、盛岡のダ1200mで行われるクラスターカップ。このレースは、岩手という北の土地柄、北海道でリフレッシュ放牧に出されていた実績馬が函館競馬場で追い切られて出走してくることがとても多いレース。毎年、クラスターカップの前後に行われるサマーチャンピオンと同格の短距離戦ながら、実績馬が出走してくることが多く、注目度の高い一戦となっています。

この時期は、クラスターカップに前記したサマーチャンピオン、さらに翌週には中央でNST賞(新潟ダ1200m)が施行と、オープン馬が出走できるレースが多数。これにより中央馬の勢力が分散し、各レース出走馬の能力差が大きくなることが多いのがポイント。

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2019年 エルムS・関屋記念

●エルムステークス

ダート馬は前半から行き切る馬(瞬発力不足で持久力がある馬かダート馬になる)が多く、ダートは芝のレースと比べて、著しくハイペースになることが多いもの。しかし、エルムSが行われる札幌ダ1700mは、あまりペースが乱れません。

実際に札幌で行われたエルムSの過去10年を見ても、平均ペースが8度。ハイペースになったのは、逃げ馬エイシンモアオバーが平均ペースでレースメイクするところを、ジェベルムーサが捲った2015年のみです。

なぜペースが乱れないのかというと、コースがほぼ平坦で、他場よりもコーナーの半径が大きく、カーブが緩やかだから。つまり、コーナーをトップスピードで侵入したとしても、それほど外に張られないために、無理にストレートでペースを上げる必要がないのです。

それを証明するかのように、札幌ダ1700mは4コーナー地点のラスト2F目がレース最速地点になることがままあります。これほど癖のないコースは、札幌コースくらいでしょう。つまり、逃げ馬でも追い込み馬でもほぼ平等にチャンスがあることになります。

今年は玉砕型の逃げ馬マルターズアポジーがダートでどこまで行けるのかは未知としても、テーオーエナジー、ドリームキラリ、リアンヴェリテと逃げ馬が多数出走。これが他場ならば先行馬総壊滅レベルのハイペースになりますが、札幌ダ1700mというコース形態を考えると、ハイペースにはなるけれども、極端ではないはず。

ただ、マルターズアポジー、ドリームキラリ、リアンヴェリテの3頭は、臆病だったり、揉まれ弱かったりして、逃げなければ持ち味か生きないタイプ。ペース云々よりも逃げられずに凡退、大敗のパターンはあるでしょう。しかし、最後の直線が約264mと短い札幌ダートで直線一気が決まることも滅多にないだけに、自在性がある馬か、3~4コーナーで動いてもバテない差し馬を中心に馬券を組み立てたいです。

●関屋記念

関屋記念が行われる新潟芝1600mは、最初の3コーナーまでの距離が約550mと長く、逃げ馬の出方次第でハイペースにもスローペースにもなります。ただし、新潟は芝が軽く、超高速馬場なので、逃げ馬が前半ペースを上げても、速い上りでまとめてくるのがポイント。

今年はエルムS出走のマルターズアポジーが大逃げを打った一昨年でさえもスローペースでしたし、昨年のように良馬場で逃げ馬が前半4F45秒台7まで引き上げたとしても、平均ペースで止まり、ハイペースにはなりません。つまり、淀みが生じずらいUターンのマイル戦にして意外と逃げ、先行馬でも粘れるということ。

特に近年は、騎手の騎乗技術の進化により、高速馬場の場合は、直線ヨ―イ、ドンの瞬発力勝負に持ち込ませないために、逃げ、先行勢は3~4コーナーから後続を突き放す騎乗が目立ています。かつてほど直線一気では通用しなくなってきているのも事実です。直線一気を決めるには昨年のこのレースで上位のプリモシーンやワントゥワンくらいのトップスピードの速さが必要でしょう。

2019年 レパードS・小倉記念

●レパードステークス

レパードSの過去の勝ち馬は、トランセンドやホッコ―タルマエなど、その後の活躍馬が多数。格付けはG3ですが、3歳ダート馬のトップクラスが出走してくるため、実質G2くらいのイメージ。ここから将来のG1で勝ち負けする馬が誕生することが多いので、毎年とっても楽しみ。ぜひ皆さんにも注目してもらいたいレースです。

さて、このレパードSが行なわれる新潟コースは、実は小回りなコース。新潟は全競馬場の中でもっとも直線が長いせいか、大回りなイメージがあります。しかし、直線が長いからこそコーナーの距離が短く、実はコーナーの距離が350mもありません。札幌の3~4コーナーが約450mですから、新潟は相当な小回りで急カーブということになります。

後方の馬がトップスピードで最後のコーナーを曲がれば、遠心力で大外に振られます。そのため、3コーナーの入り口までにある程度、前目のポジションを取るか、遠心力との攻防で減速するしか手がありません。どのみち最後の直線でトップスピードに乗せきることが難しいコース。しかし、ベテラン騎手はこのことを熟知しているので、前半から馬を出して、先行争いが激化することがほとんど。

実際にこれまで行われた過去10年を見ると、良馬場で行われた過去7年中6年が前が厳しい流れになっています。(グリムが逃げ切り勝ちを決めた昨年は、良馬場発表ながら、前日稍重でダートが軽い部類) それでもトランセンドやホッコ―タルマエが先行策から押し切って優勝したことがあるのは、単に馬が強いから。良馬場の年は、将来のG1馬が先行策から押し切って勝つか、一昨年のローズプリンスダムのように、中団以降で立ち回った馬が勝つかのどちらかのパターンです。

一方、水分を多く含んでダートが軽いとそこまでペースが上がらずに、逃げ、先行馬が粘れています。2011年の2着馬・タカオノボル(2番人気)、3着馬・タナトス(12番人気)、2013年の勝ち馬・インカンテーション(4番人気)、2着馬・サトノプリンスパル(4番人気)、2014年の勝ち馬アジアエクスプレス(1番人気)、2着馬・クライスマイル(7番人気)など。

今年は良馬場。その上、ハヤブサナンデクン、ロードリバーサルなどの逃げ馬を筆頭に、逃げ馬候補多数のメンバー構成。先行馬も多いだけに、まず、前半縦長の隊列になると見ています。今回の1番人気は先行馬のデルマルーヴルですが、人気に逆らって中団以降で立ち回れる馬を本命馬とすることをお薦めします。

●小倉記念

夏の小倉の開催前半で行われる小倉記念は、例年、高速馬場で行われ、1分57秒台で決着することがほとんど。今夏の小倉開催はやや時計を要しているものの、それでも高速馬場と言える状態。1分58秒台半ば~後半の決着にはなるでしょう。

しかし、それほどの時計が出るのは、高速馬場の影響ばかりではなく、最初のストレートが長いぶん、レースが淡々と流れて、逃げ、先行勢に厳しいレースになることが多いから。むしろ、超々高速馬場で逃げ馬不在だった昨年のように、前半5F60秒0-後半3F56秒9mの超絶スローで中団・後方待機組は為す術がないことのほうが稀です。

実際に過去10年を見ても、過去8年が平均ペース以上で決着しており、何が何でもハナというホクトスルタンのような馬が出走していようものなら、オーバーペースが発生し、前が完璧に崩れています。それを裏付けるかのように、逃げ馬の連対はゼロ。先行馬もスローペースだった2016年と昨年を除くと、一昨年のタツゴウゲキ(ハンデ52Kg)しか連対していません。

今年は逃げ馬がタニノフランケルのみ。今回もハナを主張してくると見ていますが、最初の1コーナーまでの距離が約472mもあるので、他馬がハナを主張することも可能です。その場合にタニノフランケルが引くか引かないかで、ペースが決まるでしょうね。仮に引かなかったとしても、ハイペースになる可能性はかなり低いと見ていますが……個人的には、どう転んでも悪くない馬を本命にしたいです。

2019年 Kジョージ6世&QエリザベスSの予想

キングジョージ6世&クイーンエリザベスSは、三角形のおむすび型が特徴的なアスコットの芝2390mで行われます。芝2390mは三角形の左辺付近がスタート地点となり、スタートから三角形の頂点にあたる最初のコーナーの中間まで坂を下ります。下り坂は約20m。これはおおよそビルの5階から1階までです。

そこから400mほど続く緩やかなコーナーを抜け、次の直線に入ると、今度は一転して上り坂。2度目の最終コーナーを抜けて、最後の約500mある直線に入っても急勾配の上り坂となっており、ゴール前の200mのみが平坦。三角形の頂点にあたる最低地点(スウィンリーボトム)と、最高地点のゴールとの高低差は22.25mで、これは中山競馬場(高低差5.3m)の4倍強。このため数ある英国の競馬場の中でも非常にタフなコースとなっています。

前半で坂を下って、後半で坂を上るコースというのは、前半のペースが上がりやすいため、逃げ、先行馬にはとても厳しいコース。さらに路盤は粘土質ですから、水を含むと一気に時計を要します。本日の馬場発表は、現時点でGood to Soft(稍重)。今回断然1番人気に支持されているのはエネイブルですが、同馬はここまでタフな馬場を経験したことはありません。昨年の凱旋門賞はSoft(重馬場)でしたが、シャンティイとアスコットではタフさが違います。この馬が人気を裏切るとすれば……。

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2019年 クイーンS・アイビスサマーダッシュ

●クイーンステークス

夏場に行われる唯一の牝馬限定重賞ということもあり、かつてはトップクラスの牝馬が出走してくるレースでした。しかし、5月にヴィクトリアマイルが創設され、春シーズン、秋シーズンとしっかりと形ができたことで、G1上位馬はこの時期に休養することが多くなりました。それでも一昨年のアエロリットや昨年のディアドラのように、G3としては好メンバーが集います。

また、クイーンSが行われる札幌芝1800mは、スタートしてからすぐに1コーナーがあるために、外枠の先行馬が不利なコース。外枠の馬は3年前のシャルールのように、1コーナーでハナを奪うか奪わないかの勢いで出していかないと、1コーナーでがっつり外に張られて壊滅しています。札幌は直線が短く、コーナーばかりのコースなので、1コーナーで外を回ると、なかなか内に入れにくいのが理由です。

今回は内枠のリリックドラマの陣営が「単騎で逃げたい」とコメントしていますが、馬も鞍上もそんなにスタートが速いタイプではないので逃げられるだろうか? 私自身はスタートが上手い武豊騎手のエイシンティンクルが1コーナーのロスを嫌って、逃げる可能性のほうが高いと見ています。しかし、ミッキーチャームを始め、先行馬が揃っているだけに、スローペースになる可能性は極めて低いでしょう。場合によってはハイペースまであると見ています。強い先行馬が出走していますが、穴は差し、追い込み馬でしょう。

●アイビスサマーダッシュ

緑が目に痛い新潟競馬の開幕週で行なわれるアイビスサマーダッシュ。新潟はJRAでは唯一、野芝100%で行なわれる競馬場だけあって、とにかく芝が軽く、特に直線1000mはスピードがあれば、少し非力な面があっても押し切れる場合もあります。

しかし、前半からぶっ飛ばしたのでは、ゴール手間のもうひと伸びが利かないこともあり、近年は脚をチョイ貯めするのがトレンド。それでもペースがあまり緩まないことが多いので、一昨年のラインミーティアのように、後方11番手あたりからでも通用する場合もあります。

また、短距離戦だけあって、スタートダッシュや加速がつく軽量馬が有利。過去の上位馬を見ても、斤量55kg以上で活躍しているのは重賞勝ちの実績がある馬ばかり。ほとんど斤量54kg以下の馬が活躍しています。他にもほぼ一点に集約される穴パターンがあるのですが、それは予想コメントでご確認ください<(_ _*)>。