■開幕週で内と前が有利
昨秋の中山開催は異次元の高速馬場で、従来のコースレコード(2018年皐月賞)を0秒5更新する1分56秒6で決着した。今年はさすがにそこまで高速馬場ではないが、超高速馬場である。
普通に考えれば(6)ロートホルンの単騎逃げが濃厚だが、同馬の鞍上は横山典弘騎手。同騎手を単騎で逃げさせると怖いことから、最近はヨコノリ包囲網が敷かれている。
よって、(6)ロートホルンに(7)ケリフレッドアスクや(8)サタデーサンライズ等が絡んでいくパターンもあるし、(6)ロートホルンがあえて逃げない先手をする可能性もある。この辺りの駆け引きが見え隠れするが、現在の中山芝は内と前有利は明確。展開と馬場の利がある馬を本命◎とした。
中山11RR 紫苑S 芝2000m
◎ (6)ロートホルン
○ (1)リンクスティップ
▲ (9)ダノンフェアレディ
△ (4)エストゥベンダ
△ (5)ジョスラン
△ (13)テリオスララ
△ (7)ケリフレッドアスク
結論 馬複6-1,9,4,5,13,7 (17:10:8:8:5:2) 複勝6 (50)
■有力馬と評価ポイント
◎ (6)ロートホルン
デビュー2戦目の未勝利(東京芝1800m)では翌週に行われた東京スポーツ杯2歳Sよりも速いタイムで6馬身差の逃げ切り勝ち。もちろん道中の通過タイムが違うので指数は劣るが、それでも能力を出し切った際のスピード スタミナの値はかなり高い。
前走では1勝クラス(函館芝1800m)を勝利。1番枠から好スタートを決めてじわっとハナを主張したが、外の馬を行かせて2番手を追走。道中は離れた2番手で楽に進めて3角に入る。
3角5馬身ほどあった先頭との差を3~4角の最内から楽に差を詰めて、逃げ馬の外に誘導して2列目の内で直線へ。序盤ですっと伸びて先頭に立ち3/4差のリードを奪うと、外から迫るウインシャーガスを尻目に1馬身差で勝利した。
この時はA→Bコース替わり。雨に見舞われた前週から一変して高速馬場で前後半3F46秒6-47秒9のハイペース。これを前から早めに動いてラスト1Fで加速して勝利したことは高評価できる。どうやら勢いを取り戻したようだ。
中山芝は昨年のような異次元の高速馬場ではないが、開幕週で超高速馬場。何が何でも逃げた馬が不在のここで、前で立ち回れる強みに期待する。
○ (1)リンクステップ
今春の桜花賞で3着、オークス5着とクラシックで活躍した馬。桜花賞では12番枠から出遅れ、外の馬と接触して狭くなり、下げて最後方からの追走。道中は位置を下げ切って前の馬とのスペースを作って進めた。
3角でじわっと進出し、スペースを潰しながら勢いに乗せ、4角でその勢いで外に誘導しながら中団外まで押し上げて直線。序盤で追われてすっと伸びたが、先頭列のエンブロイダリー、アルマヴェローチェに1馬身半ほど。ラスト1Fでそのまま2頭に差を広げられ、2馬身半遅れての3着まで。
この時は標準馬場で前後半4F46秒6-46秒5の緩みない流れ。ここは後方有利の展開に恵まれていたが、本馬よりも前の位置で進めていたエンブロイダリー、アルマヴェローチェに完敗だった。
前走のオークスでは5着。5番枠からまずまずのスタートを切り、コントロールして中団中目から後方付近まで下げる。しかし、道中でペースが上がってこなかったため、後方から中団の外までじわっと進出した。
ただ3~4角ではコントロールして一気には動かずに中団外目で我慢。4角で手が動いて仕掛けて直線へ。序盤で追われたが、外からカムニャックに一気に並ばれる。ラスト2Fでカムニャックにかわされたが、3列目に上がり、ラスト1Fでバテた馬をかわして5着まで。
この時はやや高速馬場で前後半5F60秒0-60秒1の平均ペース。オークスは前半3Fが34秒8と芝1600mレベルの入り方で逃げ、先行馬総崩れの展開。序盤で後方付近まで下げた鞍上の判断は正しかったと見ている。
しかし、前走はレース中に骨折していた模様。ラスト1Fでジリジリだったのが目についたが、その影響もあったかもしれない。また桜花賞はテンが速くない本馬にとって距離不足のように思えるだけに、ここで大きく上昇というパターンも考えられる。
▲ (9)ダノンフェアレディ
昨年6月の京都芝1600mの新馬戦を1勝クラスレベルの指数で勝利した馬。ここでは1番枠からまずまずのスタート。スタート直後は外のショウナンザナドゥの方が速かったが、枠の利を行かしてハナを主張。スローではあるが、新馬戦特有の超スローというほどではないペースで逃げた。
3角では2番手外のショウナンザナドゥと3/4差ほど。4角で同馬に並びかけられたが、直線序盤で追われると2馬身半まで差を広げた。それを目標に仕掛けたショウナンザナドゥにラスト1Fで半馬身差まで詰め寄られたが、3着以下には7馬身以上の差をつけての勝利だった。
同日4Rの同距離で行われた3歳未勝利戦が走破タイム1分32秒6に対し、この新馬戦が1分33秒8だからそこまで速いように感じないが、実は4Rは1勝クラス級の指数を記録したハイレベル戦で、勝ち馬スカイハイは現在3勝クラスにいる。
道中のペースはダノンフェアレディが勝った新馬戦の方が明らかに遅く、上がり3Fタイムは断然上。実際にこの新馬戦を勝利したショウナンザナドゥはその後フィリーズレビューを勝利している。このことからもダノンフェアレディはなかなかの素質の持ち主と言える。
新馬戦が消耗度の高いレースとなり、ここで高指数を記録したことでその後スランプとなったが、休養明けの前走の1勝クラス(小倉芝1800m)では馬体重20kg増と成長した姿を見せて勝利した。
前走は5番枠からまずまずのスタートを切り、二の脚の速さで逃げ馬の外2番手を追走。道中はペースが上がらなかったがコントロールして進めた。3~4角でじわっと前との差を詰め、先頭と半馬身差で直線へ。序盤で追われてしぶとく伸び、半馬身ほど前に出ると、ラスト1Fで抜け出して2馬身差の完勝だった。
この時はタフな馬場で前後半4F50秒3-46秒7の超絶スローペース。前有利の展開に乗じて勝利しただけの内容で指数も1勝クラスの水準レベル。しかし、調子を取り戻せたことで今後の視界が広がった。ここでさらなる前進を期待する。