2025年 アイルランドT・鷹巣山特別+太秦S

■スローペースが濃厚の組み合わせ

 昨年まで府中牝馬Sとして実施されていたが、今年からは名を改め「アイルランドT」として行われるようになった。府中牝馬S時の過去10年でハイペースになったのは、重馬場で行われた20年のみ。

 東京芝1800mはコーナー3つのコースで直線が長いため、展開の振れ幅が広いが、牝馬限定の前哨戦らしく、スロー~平均ペースで決着することが多い。

 今回は昨年の秋華賞で暴走逃げした(11)セキトバーストが出走しているが、同馬は近走、出脚が遅くなっているだけに、外のサフィラが思い切ってハナを主張する可能性もある。内の(4)フィールシンパシーもある程度、出してみて、他が行かないのなら逃げて一発を狙ってくるという可能性もありそうだ。

 何れにせよ、激しい先行争いは考えにくく、スローペースが濃厚。前に行ける馬を中心に狙う。

東京11R アイルランドT 芝1800m
 ◎ (1)アドマイヤマツリ
 ○ (5)リラボニート
 ▲ (8)ボンドガール
 △ (10)ライラック
 △ (13)サフィラ
 △ (15)ラヴァンダ
 △ (3)キャットファイト
 △ (4)フィールシンパシー
結論 馬連5-1,8,13,10,15,7,11 (20:10:8:8:8:2:2) 複勝5 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (1)アドマイヤマツリ

 これまで【5-3-0-2】の実績で、崩れたのは新馬戦と前走のヴィクトリアMのみ。今年に入ってさらに地力をつけて、2走前の福島牝馬Sで初重賞制覇を達成した。

 2走前は1番枠からまずまずのスタートを切り、無理なく好位の最内を確保。道中はコントロールして前にスペースを置いて進め、故障馬の煽りも受けずに良い形で3角に入る。

 3~4角で前のスペースを押し上げながら2番手のアマイの後ろまで上がり、アマイが4角で逃げ馬の外に誘導してペースアップすると、その後ろを通して直線へ。序盤で前2頭の外に誘導して2番手争いに加わり、ラスト1Fで突き抜けて2馬身差で完勝した。

 この時は高速馬場で前後半4F47秒2-47秒0の平均ペース。ここで3~4角で押し上げてからスピードを殺さずに4角でアマイが動いた後ろを通してそのまま一気にという完璧な競馬ができた。

 前走は9番枠から好スタートを切って2番手を追走したが、差し有利の展開で能力を出し切れなかった。今回は2走前と同じ芝1800mで2走前同様の1番枠。枠の利を活かした競馬で上位争いを期待する。

○ (5)リラボニート

 2勝クラスを勝ち上がるのに9戦を要したが、ここで来て札幌で2連勝と勢いある馬だ。2走前の釧路湿原特別(2勝クラス・芝1800m)では13番枠から五分のスタートを切り、後方2列目の外を追走。道中で捲りが発生したが、それをやり過ごして中団やや後方で3角に入る。

 3~4角の外から押し上げ、4角出口で仕掛けて3列目の外で直線へ。序盤で追われて4番手に上がり、ラスト1Fでしぶとく粘るルクスジュニアをゴール寸前で捉え、食らいつくロードマンハイムもアタマ差で振り切った。

 この時は高速馬場で前後半4F48秒4-47秒2のスローペース。ここは前有利の展開だったが、3角外から長くいい脚を使い続けての勝利だった。このように本馬はエンジンが掛かってからがしぶとい。

 昇級戦の前走・日高S(3勝クラス・芝1500m)も突破。ここでは9番枠から五分のスタートだったが押し進めて好位の外を追走。道中でじわっと進出して2列目の外で3角に入る。

 3~4角ではイン3、2頭分外から押し上げ、馬場の良い外に誘導して直線へ。序盤で追われて半馬身ほど前に出ると、ラスト1Fでしぶとく抜け出して1馬身半差で勝利した。

 この時タフな馬場で前後半3F35秒9-35秒7の平均ペース。時計が掛かってスタミナも求められたことで1500mでも難なくこなせたが、本質的には芝1800mがベスト。ただ前走で短い距離を経験したことで、今回はレースに流れに乗りやすいはず。

 本馬はこでまでの4勝中3勝が札幌、今夏も函館、札幌で上昇を見せたせいか洋芝巧者のイメージが強い。しかし、今回の函館、札幌は高速馬場で中央場所でも通用するようなスピードがないとこなすのが難しかった。ただ現在の超高速の東京芝で1分45秒前後の決着になるとさすがに時計面での不安もあり対抗評価に止めた。

▲ (8)ボンドガール

 新馬戦以降は未勝利だが、芝1600m~1600mの重賞で2着6回の実績馬。2走前のヴィクトリアマイルは、10番枠から出遅れて後方からの追走となり、3角から直線にかけてやや悪化した馬場の内から挽回した影響もあって16着に大敗。ここでは折り合い面の悪化が際立っていた。

 しかし、そこから立て直された前走の関屋記念では2着同着。ここでは11番枠からやや出遅れという程度。そこから無理をさせずに様子を見ながら中団中目を追走。道中もコントロールしながら折り合いに専念しながら進めて3角に入る。

 3~4角でも中団の中目で我慢させ、進路がないまま直線へ。序盤は前が壁で仕掛けを待たされたが、ラスト2Fで内に切れ込んで狭い馬群の間を割ってするする伸びる。最後までしぶとく伸び続けたが(7)カナテープからクビ差で2着同着まで。

 この時は新潟開幕週のコンクリート馬場で前後半45秒5-45秒5の平均ペース。折り合いに専念したことで直線序盤まで進路がなかったが、ラスト2Fで内が開くのを見過ごさず、そこをしっかり割って伸びてきた。さすがC.ルメール騎手という見事な騎乗ぶりだった。

 本馬は折り合い面の課題は相変わらずだが、末脚抜群。折り合いをつけるのに自信がなくて、ただただ後ろから行く、武豊騎手よりも馬群に入れていくC.ルメール騎手のほうが好ましく、そういう騎乗なら2勝目を挙げるチャンスも巡ってくるだろう。
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東京9R 鷹須山特別 芝1600m
 ◎ (7)アイサンサン
 ○ (3)キングノジョー
 ▲ (12)マテンロウバローズ
 △ (2)ギフテッド
 △ (6)ドーンコーラス
 △ (8)コムユンプリュム
 △ (10)エンペラーズソード
 △ (13)マンウォル
 △ (15)ミーントゥビー
 △ (16)ストレイトトーカー
結論 馬連7-3,12,2,6,8,10,13,15,16 (14:8:4:4:4:4:4:4:4) 複勝7 (50)

■逃げ、先行馬が揃った一戦で差し馬を狙う

 ここは(4)ロゼル、(9)メタルスピード、(10)エンペラーズソード、(16)ストレイトトーカーなど、逃げ、先行策で結果を出してきた馬が集った一戦。

 下馬評では(7)アイサンサンの逃げになっているが、本馬は前走のローズSは折り合いがつかずに逃げただけで、本来は好位で立ち回れる馬。2走前の前半3F35秒4で、普通に出せば差す形になるだろう。

■有力馬と評価ポイント

◎ (7)アイサンサン

 3走前のこぶし賞(3歳1勝クラス・東京芝1600m)では、(12)マテンロウバローズと対戦してタイム差なしの3着の実績がある馬。3走前のオークスはスタミナが不足しがちな休養明けで距離が長く、12着に敗退。しかし、2走前の1勝クラス(中京芝1600m)では、軽斤量50kgではあったが、このクラスでも通用する指数で勝利した。

 2走前は11番枠からまずまずのスタートを切り、二の脚の速さですっと前へ。内のカルドウェルがハナを主張すると、それを追い駆けて2番手に進出。道中は2番手で進めてカルドウェルと1馬身半差で3角に入る。

 3~4角でじわっと進出して先頭列で直線へ。序盤で追われて2馬身ほどリードを奪う。ラスト1Fでエーデルヴェーグに詰め寄られたが、踏ん張りとおして3/4差で勝利した。

 この時はコンクリート馬場で前後半4F46秒9-45秒5のスローペース。前有利の展開に恵まれていたが、3着馬を3馬身1/4差をつけており、エーデルヴェーグが1勝クラスを脱出するのも時間の問題だろう。

 前走のローズSではやや掛かって5F通過56秒8秒の暴走逃げで撃沈逃げで撃沈。本馬はもともとそこまで折り合いを欠くタイプでないが、鞍上・田山旺佑騎手の初めての重賞挑戦で返し馬をやり過ぎたためにテンションが高くなってしまった。

 今回は石川裕紀人騎手に手が替わる。ここは逃げ、先行馬が多数だが、本来は差せる馬。何とか掛からずに行ってくれれば、自己条件であり、斤量52kgでもあるここは上位争いに加われると見ている。
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京都11R 太秦S ダ1800m
 ◎ (3)サーマルソアリング
 ○ (6)ジンセイ
 ▲ (2)ハビレ
 △ (1)ネバーモア
 △ (9)ルヴァンユニベール
 △ (7)タイセイドレフォン
 △ (8)ハピ
結論 馬連3-6,2,1,9,7,8 (16:10:8:8:4:4) 複勝3 (50)

■9頭立てで逃げ馬不在

 先行馬は(3)サーマルソアリング、(9)ルヴァンユニベール、(6)ジンセイと3頭出走しているが、逃げ馬は不在。ここはテンの速さでジンセイがハナに立つかというレベルだ。

 前記3頭が意識的にペースを上げようとしても上がり切らないだろう。スローペースが確定的な組み合わせだけに、前を狙う。

■有力馬と評価ポイント

◎ (3)サーマルソアリング

 昨夏にダート路線に転向し、1勝クラスから3連勝。OP特別でも5走前の総武S・2着、3走前の門司S・2着の実績がある馬だ。

 3走前は2番枠から五分のスタートを切り、かなり押して2列目のの最内を確保。道中はコントロールしながら2列目の最内で脚を溜めた。

 3~4角では持ったまま前の馬との差を詰め切り、直線序盤で前2頭の間を割って追われ、クビ差ほど前に出る。ラスト1Fでもしぶとく伸びていたが、外から1頭だけ違う脚で伸びたホールシバンに差されて3馬身差の2着だった。

 この時は高速馬場で前後半4F47秒0-48秒4のハイペース。後方有利の展開を先行策から押し切ったことは高評価できる。

 このように本馬は先行するとしぶとく、これまでのダート連対時は先行した時のみ。近2走は時計は外枠で得意の形に持ち込めなかったが、ここならさすがに先行できる。巻き返しを期待する。

○ (6)ジンセイ

 初めての重賞となった2走前の平安Sでは4着。ここでは13番枠から五分のスタートを切り、軽く促して中団の外目を追走。道中ではアウトレンジをマークしながらじわっと進出して3角に入る。

 3角では好位の外、4角ではアウトレンジに並びかけに行きながら3列目で直線へ。序盤で追われるとじわじわ伸びて3番手に上がったが、ラスト1Fで外のロードクロンヌに差されて4着に敗れた。

 この時は超高速馬場で前後半3F50秒0-48秒1のかなりのスローペース。逃げた10番人気のレヴォントゥレットが3着に粘っているように、イン前有利の展開だったが、枠の並び的に終始外々を回るロスを作っての0秒3差なら上々だ。

 休養明けの前走、シリウスSでは好位の外を追走と自分の競馬はできていたが、4着に敗退。相手を考えると、もう少し走れても良かったが、完調手前だったのだろう。叩かれ前進を期待する。

2025年 サウジアラビアRC+御陵Sの予想

東京11R サウジアラビアRC 芝1800m
 ◎ (5)ゾロアストロ
 ○ (7)ニシノエースサマ
 ▲ (8)チュウワカーネギー
 注 (3)アスクエジンバラ
 △ (1)ガリレア
 △ (4)ユウユウスキー
結論 馬連5-7,8,3,1,4 (15:15:10:5:5) 複勝5 (50)

■テンの速い逃げ馬不在でスローが濃厚

 過去10年で明確にハイペースになったのは、不良馬場の2020年と稍重で行われた24年のみ。稍重だった17年、18年は平均ペースで決着している。本日も断続的な雨の影響でメインRの頃には稍重まで悪化することも予想されるが、先週の東京芝は異次元の高速馬場だっただけに、時計が掛かるとは考えにくい。

 しかし、ここは明確な逃げ馬が不在。下馬評では(2)マーゴットブローの逃げとなっているが、前走時の前半2Fは12秒3-11秒4と速くないので、ハナへ行けない可能性も十分ある。

 脚質が定まっていない馬が大半の組み合わせだけに、他馬が逃げる可能性もあるが、前走で折り合いながら逃げていた馬が、ここでぶっ飛ばすというのも考えにくい。よって、スロー想定で前有利と見て予想した。

■有力馬と評価ポイント

◎ (5)ゾロアストロ

 6月の東京芝1600mの新馬戦では、コンクリート馬場で前有利の展開を出遅れて後方からの追走となって2着に敗れたが、次走の新潟芝1800mの未勝利では完勝した。

 前走は5番枠から五分のスタートを切り、コントロールしながら好位の外を追走。道中はどスローだったが、2列目の外で我慢させた。

 3角でも我慢させていたが、4角で抑えきれずに2番手の外まで押し上げて直線へ。序盤で楽な手応えで逃げ馬に並びかけ、ラスト2Fで追われるとすっと伸びてクビ差ほど前に出る。ラスト1Fでそのまま突き抜けて2馬身半差で完勝した。

 この時はコンクリート馬場で前後半4F49秒5-45秒0の超絶スローペース。最後の直線で3着以下をぶっち切っており、上がり3Fタイム3位の3着馬の上がりを1秒9も上回る32秒9で勝利している。

 また、上がり2位の33秒4だった2着馬ジーネキングは次走の札幌2歳Sを勝利している。このことから本馬も重賞で勝ち負け可能なレベルと言える。

○ (7)ニシノエースサマ

 前走の新潟芝1600mの未勝利を圧勝した馬。前走は4番枠からまずまずのスタートを切り、各馬の出方を窺いながらじわっと先行策。時間をかけて外から内に切れ込み、ハナを奪って3角に入る。

 3~4角でも楽な手応えで1馬身半差ほどのリードで直線へ。序盤で軽く促して2馬身半差。ラスト2Fで仕掛けて突き抜けて4馬身差。ラスト1Fでも踏ん張ってリードを広げ、5馬身差で圧勝した

 この時はコンクリート馬場で前後半4F48秒4-46秒2のかなりのスローペース。前有利の展開に持ち込んではいるが、8月の2歳未勝利戦としてはレースが流れた部類だ。

 ここも明確な逃げ馬は不在の中で、前の位置を取れる優位性があり、この時期の2歳戦は経験豊富なほうが有利でもあるだけに、キャリア1戦の(8)チュウワカーネギーや(6)エコロアルバよりも上位評価とした。

▲ (8)チュウワカーネギー

 6月の阪神芝1600mの新馬戦の勝ち馬。この新馬戦では2番枠からまずまずのスタートを切り、じわっとハナを主張し、二の脚の速さで楽にハナを取り切る。そのままどスローで支配して3角に入る。

 3角でも仕掛けを待って、4角の下り坂で一気にペースを引き上げて10秒9を刻んで1馬身3/4差ほど前に出る。直線序盤でも後続を寄せ付けずにその差を維持。ラスト1Fアンドゥーリルに迫られたが、踏ん張りとおして3/4差で勝利した。

 この時はコンクリート馬場で前後半4F51秒0-45秒2の超絶スローペース。4角で一気に仕掛けたぶん、ラスト1Fでやや甘さを見せたが、上手く折り合えており、差し競馬も可能な点が好ましい。

 またこの新馬戦は4着(3)アスクエジンバラがコスモス賞を勝利しているように、出走馬の質が高かった一戦。キャリア1戦は不利な材料だが、休養中の成長次第では上位争いも可能だ。

注 (3)アスクエジンバラ

 6月の阪神芝1600mの新馬戦では▲(8)チュウワカーネギーに完敗だったが、その後に地力をつけて前走のコスモス賞を勝利。

 前走では大外8番枠から出遅れたが、すっと挽回して好位の外4番手を追走。1~2角で外から押し上げて2番手の外まで上がり、道中はコントロールしながらその位置を維持して進めた。

 3角でじわっと仕掛けて逃げ馬に並びかけ、4角でもう先頭に立ち、1馬身半差ほどの差で直線へ。序盤で追われてリードを維持し、ラスト1Fでしぶとく差を広げて2馬身半差で完勝した。

 この時は超高速馬場で49秒4-47秒6のかなりのスローペース。前有利の展開に恵まれてはいるが、出遅れを挽回する形で勝利しており、前に行って持久力を活かしてこそを感じさせた。

 ここも前の位置が取れればチャンスがあるが、前走でゲート不安を見せていたので、やや評価を下げた。

推定2番人気 (6)エコロアルバ

 7月の新潟芝1400mの勝ち馬。この新馬戦では、6番枠からやや出遅れたが、無理なく中団中目を追走。道中も中団中目でコントロールしながら進めた。

 3~4角で外に誘導したが進路を確保しきれず、4角出口で大外に誘導しながら直線へ。序盤で追われてすっと伸びたが、まだ2列目。ラスト1Fで前を楽に捉えて突き抜け、2馬身半差で勝利した。

 この時はコンクリート馬場で前後半3F34秒4-34秒9の平均ペース。ラスト2Fで11秒3-11秒1と加速する上がり勝負だったが、ラスト1Fで1馬身半ほど前にいた先頭馬を捉え切って2馬身半差で勝利している。このように最後まで伸び続けた内容なら1Fの距離延長もこなせそうだ。

 ただし、この新馬戦の2着以下馬が全く未勝利戦を勝ち上がれていない点は不安材料。2着のアパレイユは次走の新潟芝1400mの未勝利戦で、前有利の展開を出遅れて後方からとなってしまった面があるが、上位3頭から1馬身1/4差の4着はやや物足りない。

 また本馬はスピード型で末脚勝負に持ち込むと糞が悪いので評価を下げた。チャンスがあるとすれば、楽に前の位置を取れた時だろう。
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京都11R 御陵S ダ1900m
 ◎ (1)デコラシオン
 ○ (8)メイショウズイウン
 ▲ (6)ホルトバージ
 注 (16)ペンナヴェローチェ
 △ (2)ダイメイセブン
 △ (3)スマートリアファル
 △ (5)シンビリーブ
 △ (7)シャルクハフト
 △ (13)イデアイゴッソウ
 △ (14)タガノバビロン
結論 馬連1-8,6,16,2,3,5,7,13,14 (12:7:7:4:4:4:4:4:4) 複勝1 (50)

■先行馬自体はそう多くない組み合わせ

 内の(3)スマートリアファルがハナを主張する可能性が高いが、藤懸貴志の(2)ダイメイセブンが4走前同様に内枠でハナを主張する可能性もある。何が逃げるのかハッキリしないが、先行馬自体はそう多くなく、ペースが上がらない可能性が高い。ここは平均ペースで、好位や中団馬が有利な展開になると見ている。

■有力馬と評価ポイント

◎ (1)デコラシオン

 2走前の鶴ヶ城S時からダート路線に転向して3着、2着に善戦。前走の柳都S(新潟1800m)では、13番枠から五分のスタートを切り、押し進めて好位馬群の後ろを確保。道中は3列目の外付近で進めた。

 3~4角でイン3、2頭分外から楽な手応えで食らいついていき、4角出口で大外へ誘導。直線序盤で一気に2列目まで上がったが、ラスト2Fでじわじわ…、ラスト1Fでもじわじわ伸び続けてタクシンイメルに1馬身3/4差まで迫った。

 この時はタフな馬場で前後半4F49秒9-49秒5の平均ペース。スムーズにレースの流れに乗れ、縦の位置取りは良かったが1~4角の全てで2~3頭分外を回るロスを作っており、かなり苦しい競馬だった。それでも2着に浮上したのは、地力があればこそだ。

 本馬は2走前も好位の外で進めており、キックバックを喰らう競馬は未経験。今回の最内枠が凶と出る可能性もあるが、ブリンカー着用馬は難なくこなしてくる場合が多い。上手く内枠の利を活かせた場合には上位争いに加われるだろう。

2025年 凱旋門賞の予想

■英・仏トップ 不在で逃げ・先行手薄

 今年の凱旋門賞の現地オッズはオークスハンターの(17)ミニーホークが1番人気。昨年のヴェルメイユ賞、凱旋門賞で2着とブルーストッキングに完敗だった(10)アヴァンチュールが2番人気。同凱旋門賞で4着のソジーが3番人気という人気形成からもわかるように、昨年の凱旋門賞よりもレベルが低い。

 さらにキングジョージ6世&クイーンエリザベスSの勝ち馬カランダガンはセン馬のために凱旋門賞の出走資格がなく、英チャンピオンS(G1、芝1990メートル、10月18日=アスコット)に出走する予定。仏トップの同馬と英トップのブルーストッキングの不在により、例年の凱旋門賞よりレベルが低くなった。

 さらにここはゲート自体は問題ないが、(17)ミニホークや(10)アヴァンチュールのように逃げたくない実績馬が多い。こうなると(16)アロヒアリイがギヨームドルナノ賞時のように、出遅れても逃げる可能性が高い。

 馬場発表はtres souple(10段階ある馬場表記の最も乾いた状態から7番目)とかなり重たいこともあり、おそらくペースは上がらないだろう。フォルスストレートでも動かず、直線勝負になると見ている。つまり、前と内が有利と見て予想した。

パリロンシャン5R 凱旋門賞 芝2400m
 ◎ (8)キジサナ
 ○ (15)クロワデュノール
 ▲ (1)ジアヴェロット
 注 (17)ミニーホーク
 △ (5)ロスアンゼルス
 △ (10)アヴァンチュール
 △ (13)クアリフィカー
 △ (2)ホワイトバーチ
 △ (9)カルパナ
 △ (12)ルファール
 △ (16)アロヒアリイ
 △ (18)ゲゾラ
結論 馬連8-15,1,17,5,10,13,2,9,12,16,18 (10:10:10:5:5:5:1:1:1:1:1) 複勝8 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (8)キジサナ

 通算8戦5勝。今年6月のL・ポーニーズ賞(シャンティイ芝2400m)以降、4連勝と勢いがある5歳牝馬だ。前走ではジャンロマネ賞を勝利し、初重賞制覇、それもGⅠ制覇を達成。

 前走は4番枠から好スタートを決め、内の2頭を行かせて2列目の外を追走。道中もペースが上がらない中で、2列目の外をコントロールして進めた。

 3~4角のペースアップにも楽な手応えでついていき、直線序盤で追われるとしぶとく伸びて半馬身ほど前に出る。ラスト1Fでもしぶとく差を広げて1馬身3/4差で勝利した。

 この時は前後半5F65秒67-60秒10(日本の計測法なら前半があと1秒速い)かなりのスローペース。ここでは前有利の展開に恵まれているが、先頭に立ったラスト1Fでも後続を寄せ付けなかった。つまり、完勝だ。

 しかし、けっして相手が弱かったのではなく、ここの5着馬ベッドタイムストーリーでこれがフランスオークス2着、ヴェルメイユ賞3着馬である。このことからヴェルメイユ賞の勝ち馬である(10)アヴァンチュールと同じくらいの力関係であることが窺い知れる。

 それならば前走での消耗度が小さく、ここでの上昇度が見込め、前走よりも内枠に入った本馬を本命に推す。前走で芝2000m戦を使われているので、上手くレースの流れに乗って行けると見ている。

応援している!!
○ (15)クロワデュノール

 日本ダービー馬。同レースでは13番枠から五分のスタートを切り、じわっと先行しながら外のサトノシャイニング、ホウオウアートマンを行かせて好位の中目を追走。道中もショウヘイの外、4番手を追走していたが、サトノシャイニングがペースを落とすと、同馬の外まで上がってプレッシャーをかけに行った。

 3~4角で先頭のホウオウアートマンが苦しくなってペースダウンすると、内のサトノシャイニングとともにじわっと押し上げてここで差が詰まる。東スポ杯2歳Sを再現するかのように、サトノシャイニングをマークして直線へ。

 序盤でややサトノシャイニングに差を広げられたが、徐々にエンジン掛かってラスト2Fで同馬を捉えて1馬身ほど前に出る。ラスト1Fでは甘くなったが、何とか踏ん張ってマスカレードボールの追撃を3/4差で振り切った。

 この時は超高速馬場で前後半5F60秒0-59秒5の平均ペース。Cコース替わりでやや内有利の馬場だったが、外から勝ちに行って勝ち切った内容は強かった。

 先週の神戸新聞杯で日本ダービーで敗れた馬がワン、ツー、スリーを決め、皐月賞で展開の後押しがあって本馬に先着したミュージアムマイルもセントライト記念を制している。このことからも現役3歳馬では一枚上だろう。

 本馬は始動戦の前走でG3・プランスドランジュ賞に出走。凱旋門賞本番で反動が出ないように、相手が弱いところを使ったところまでは凱旋門賞勝利への道筋ができていたが、今回で大外17番枠を引いてしまった。

 凱旋門賞当日は内の仮柵が外されて、内有利の馬場状態。さらにペースも上がらないとなると、内に入れるタイミングが作れない可能性が高い。L.デットリー騎手のように鞍上の技量が高ければ、ゴールデンホーンのようにスタート後に馬群から離れて直進し、ペースが落ち着くタイミングをらって2番手に入り込むような神業が使えるが、無策で乗った場合は苦しいだろう。

2025年 オパールS・グリーンチャンネルMの予想

■京都開幕日で何が何でも逃げたい馬は不在

 ここは(6)フィオライアや出遅れなかった場合の(9)ジョーメットヴィンが逃げ馬候補。外枠だが(15)ベガリスも、鞍上が藤懸貴志騎手だけに前に競りかけてハナを主張する可能性もある。

 先行馬は(1)グランテスト、(7)クラスペディア、(11)ナムラクララなど、それなりに出走してはいるが、前半で坂を上る京都らしく、そこまでペースは上がらないと見る。

京都11R オパールS 芝1200m
 ◎ (3)メイショウソラフネ
 ○ (1)グランテスト
 ▲ (9)ジョーメッドヴィン
 △ (7)クラスペディア
 △ (11)ナムラクララ
 △ (15)ベガリス
 △ (5)ショウナンハクラク
 △ (14)エコロガイア
 △ (16)ミルトクレイモー
 △ (18)マイネルジェロディ
結論 馬連3-1,9,7,11,15,5,14,16,18 (10:7:7:7:7:3:3:3:3) 複勝3 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (3)メイショウソラフネ

 3勝クラス以降、京都芝1200m~芝1400mを使われるようになり、3走前以降【2-2-0-3】の実績。昨年のオパールSは、ビッグシーザー(次走、京阪杯勝ち)にこそ敗れたが、その後の重賞連対馬ペアポルックス、(1)グランテスト、カンチェンジュンガには連対している。

 続くタンザナイトSでは勝利。12番枠からまずまずのスタートを切って押し進め、外からハナを主張したマウンテンムスメを行かせて好位の中目で進めた。

 3~4角でもイン2の好位の中目をコントロールしながら直線入口で外を選択。序盤でそのぶんやや置かれたが、ラスト1Fで外からしぶとく伸びて前を捉えて1馬身差で勝利した。

 この時は標準馬場で前後半3F34秒6-33秒9のスローペース。前有利の展開に恵まれた勝利ではあったが、ここでは前に馬を置いたことで折り合いがついていた。

 前走のCBC賞では9着に敗れているが、不利な16番枠。インビンシブルパパが逃げ切ったように、超高速馬場でやや前有利の展開だったが、ここでは出遅れて3~4角でイン5、内から4頭分外を回るロスを作ったもの。それで0秒9差なら悪くない。

 今回は得意の京都芝1200m戦。本日は降雨で時計が掛かり出しているが、開幕週だけに高速馬場ではやれるだろう。前半が上り坂の京都芝1200mはよほど馬場が悪化しない限り、ペースが上がりにくいのも好ましく、本命に推す。

○ (1)グランテスト

 今年2月のシルクロードSの2着馬。同レースでは14番枠からまずまずのスタートを切り、内の各馬の出方を窺いながら好位の外を追走。道中ではウインカーネリアンをマークしながら進めた。

 3~4角で同馬の外から仕掛けながら4列目で直線へ。序盤でしぶとく伸びて3番手に上がり、ラスト1Fで内の2頭はかわしたが、外のエイシンフェンサーに突き抜けられて1馬身半差の2着となった。

 この日は前夜から朝までね雨が降ってタフな馬場。あのピューロマジックの逃げで前後半3F33秒1-35秒1のかなりのハイペース。勝ち馬ほどではないが、後方有利の展開に恵まれる形での勝利だった。

 ここが消耗度の高いレースになっただけに、先日のスプリンターズSを勝利したウインカーネリアンしかり、上位馬はみなスランプになったが、3着ウインカーネリアンも4着カピリナも休養すると立ち直ってその後の重賞で勝利している。ちなみにこの時の5着馬が◎(3)メイショウソラフネである。

 本馬は立て直された2走前のCBC賞は13着に終わったが、この時は馬体重14Kg増と太目。やや前有利の流れを好位の内目で包まれ、直線序盤は前が壁。仕掛けが遅れる不利があった。

 前走のセントウルSでも13着に大敗しているが、開幕週で内が圧倒的に有利な馬場の大外16番枠。さらにハイペースで3~4角でイン5と4頭分も外を通すロスが応えた面もあったはず。

 今回は休養明け3戦目で相手緩和。さらに開幕日の内有利の馬場で1番枠。何が何でも逃げたい馬は不在のここは、2列目か3列目の最内でレースを進められそうだ。
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東京11R グリーンチャンネルC ダ1600m
 ◎ (15)レディントン
 ○ (6)ダノンザボルケーノ
 ▲ (7)オメガギネス
 注 (1)ウェットシーズン
 △ (3)エルゲルージ
 △ (4)ロードフォンス
 △ (11)アッチャゴーラ
 △ (2)テイエムリステッド
 △ (8)サトノルフィアン
 △ (9)ニシキギミッチー
 △ (13)サルヴァトーレ
結論 馬連15-6,7,1,3,4,11,2,8,9,13 (10:10:10:8:4:4:1:1:1:1) 複勝15 (50)

■始動戦のウェットシーズンは厳しい枠に入った

 (1)ウェットシーズンは揉まれても問題ない馬だが、来年のフェブラリーSに出走するために、叩き台のここでも勝ち負けに持ち込みたいところ。勝つためには前の位置が欲しいので、1番枠の今回はハナを主張すると推測される。

 (1)ウェットシーズンの逃げに(2)テイエムリステットが突いていく形か、(2)テイエムリステットが逃げて(1)ウェットシーズンが抵抗していく形が想定される。

 外からは(12)ユティタムや(8)サトノルフィアン辺りも前に絡んで行く可能性が高く、他にも(14)マテンロウコマンド、(16)タガノエスコート、内の(6)ダノンザボルケーノなど、先行馬もそれなりに出走している。

 何が何でもハナを主張するタイプが不在でも、ここはそれなりにペースが上がると見ている。よって、差し馬を中心に狙いたい。

■有力馬と評価ポイント

◎ (15)レディントン

 デビューから4歳春まで芝を使われてきたが、初ダートの2走前・アハルテケSでいきなり2着と好走した馬だ。

 2走前は3番枠から五分のスタートを切り、押して好位の内を追走。3角までに最内を取り切り、最短距離を通し切って2列目で直線へ。序盤で前の逃げ馬ウェイワードアクトに離されて2馬身差。ラスト2Fでもしぶとく伸びたが差が詰まらず、ラスト1Fで同馬が失速したところで内の(3)エルゲルージととも差を詰めたが1馬身半差まで。しかし、一瞬前に出た3着エルゲルージを差し返して2着に健闘している。

 この時は超高速(不良)馬場で前後半4F45秒5-48秒6のかなりのハイペース。後方有利の展開でウェイワードアクトにこそ完敗だったが、前受けして最後まで後ろに抜かせなかったことは高評価できる。

 また揉まれる形に対応しており、ダート適性が高い馬だ。本馬は前走のマリーンSでも2着。ここでは初めてのダートスタートや良馬場もこなしており、大きな死角が見当たらない。(1)ウェットシーズンは強豪だが、展開の後押しがあれば逆転もあると見ている。

○ (6)ダノンザボルケーノ

 東京ダ1600mでは【4-0-2-0】と崩れがない馬。4走前の東京ダ1600mの2勝クラスでは、五分のスタートを切り、出たなりで中団外を追走。道中でペースが上がり、隊列が縦長になると、3角手前で最内に誘導。

 3~4角でペースダウンすると最内から中目に誘導し、4角で出口で大外に誘導して直線へ。序盤で追われて伸び始め、ラスト2Fで一気に2番手に上がり、ラスト1Fでもしぶとく伸びて先に抜け出していたターコイズフリンジをクビ差で捉え切った。

 ここはタフな馬場で前後半4F46秒9-49秒6のかなりのハイペース。後方有利の展開に恵まれた勝利だった。

 このように本馬は末脚を活かしてこそのタイプだが、超高速馬場で逃げ馬不在の前走・薫風Sでは好位の外と勝ちに行く競馬で勝利している。このように東京ダ1600mならば馬場不問で展開に応じた立ち回りができる点が強み。ここも崩れない可能性が高い。

▲ (7)オメガギネス

 能力を出し切った場合にはとてつもない強さを見せる馬。6走前の三宮Sでは、1番枠から好スタートを決めて軽く促し、好位の内を追走。道中はメイショウドヒョウが単騎で逃げる展開をやや離れた3列目の内目で進めて、3角手前で中目に誘導。

 3~4角でペースダウンすると外に誘導し、4角ではほぼ馬なりで先頭に立って半馬身差で直線へ。序盤で抜け出して3馬身差。ラスト1Fで突き抜けて7馬身差で圧勝した。

 この時は標準馬場で前後半4F47秒5-51秒0のかなりのハイペース。これを先行策から早め先頭に立って押し切る、かなり強い内容だった。

 本馬は遡れば2023年のこのレースの勝ち馬でもあり、重賞でも2着3回の実績がある。また本馬は平均よりも速い流れを先行してこそのタイプだが、近走は出遅れて続きで勝ち切れていない。しかし、今回は前走で短い距離を使ったことである程度、レースの流れに乗れると見ている。相手緩和のここは多少、出遅れてたとしても通用の余地がある。