■スローペースが濃厚の組み合わせ
昨年まで府中牝馬Sとして実施されていたが、今年からは名を改め「アイルランドT」として行われるようになった。府中牝馬S時の過去10年でハイペースになったのは、重馬場で行われた20年のみ。
東京芝1800mはコーナー3つのコースで直線が長いため、展開の振れ幅が広いが、牝馬限定の前哨戦らしく、スロー~平均ペースで決着することが多い。
今回は昨年の秋華賞で暴走逃げした(11)セキトバーストが出走しているが、同馬は近走、出脚が遅くなっているだけに、外のサフィラが思い切ってハナを主張する可能性もある。内の(4)フィールシンパシーもある程度、出してみて、他が行かないのなら逃げて一発を狙ってくるという可能性もありそうだ。
何れにせよ、激しい先行争いは考えにくく、スローペースが濃厚。前に行ける馬を中心に狙う。
東京11R アイルランドT 芝1800m
◎ (1)アドマイヤマツリ
○ (5)リラボニート
▲ (8)ボンドガール
△ (10)ライラック
△ (13)サフィラ
△ (15)ラヴァンダ
△ (3)キャットファイト
△ (4)フィールシンパシー
結論 馬連5-1,8,13,10,15,7,11 (20:10:8:8:8:2:2) 複勝5 (50)
■有力馬と評価ポイント
◎ (1)アドマイヤマツリ
これまで【5-3-0-2】の実績で、崩れたのは新馬戦と前走のヴィクトリアMのみ。今年に入ってさらに地力をつけて、2走前の福島牝馬Sで初重賞制覇を達成した。
2走前は1番枠からまずまずのスタートを切り、無理なく好位の最内を確保。道中はコントロールして前にスペースを置いて進め、故障馬の煽りも受けずに良い形で3角に入る。
3~4角で前のスペースを押し上げながら2番手のアマイの後ろまで上がり、アマイが4角で逃げ馬の外に誘導してペースアップすると、その後ろを通して直線へ。序盤で前2頭の外に誘導して2番手争いに加わり、ラスト1Fで突き抜けて2馬身差で完勝した。
この時は高速馬場で前後半4F47秒2-47秒0の平均ペース。ここで3~4角で押し上げてからスピードを殺さずに4角でアマイが動いた後ろを通してそのまま一気にという完璧な競馬ができた。
前走は9番枠から好スタートを切って2番手を追走したが、差し有利の展開で能力を出し切れなかった。今回は2走前と同じ芝1800mで2走前同様の1番枠。枠の利を活かした競馬で上位争いを期待する。
○ (5)リラボニート
2勝クラスを勝ち上がるのに9戦を要したが、ここで来て札幌で2連勝と勢いある馬だ。2走前の釧路湿原特別(2勝クラス・芝1800m)では13番枠から五分のスタートを切り、後方2列目の外を追走。道中で捲りが発生したが、それをやり過ごして中団やや後方で3角に入る。
3~4角の外から押し上げ、4角出口で仕掛けて3列目の外で直線へ。序盤で追われて4番手に上がり、ラスト1Fでしぶとく粘るルクスジュニアをゴール寸前で捉え、食らいつくロードマンハイムもアタマ差で振り切った。
この時は高速馬場で前後半4F48秒4-47秒2のスローペース。ここは前有利の展開だったが、3角外から長くいい脚を使い続けての勝利だった。このように本馬はエンジンが掛かってからがしぶとい。
昇級戦の前走・日高S(3勝クラス・芝1500m)も突破。ここでは9番枠から五分のスタートだったが押し進めて好位の外を追走。道中でじわっと進出して2列目の外で3角に入る。
3~4角ではイン3、2頭分外から押し上げ、馬場の良い外に誘導して直線へ。序盤で追われて半馬身ほど前に出ると、ラスト1Fでしぶとく抜け出して1馬身半差で勝利した。
この時タフな馬場で前後半3F35秒9-35秒7の平均ペース。時計が掛かってスタミナも求められたことで1500mでも難なくこなせたが、本質的には芝1800mがベスト。ただ前走で短い距離を経験したことで、今回はレースに流れに乗りやすいはず。
本馬はこでまでの4勝中3勝が札幌、今夏も函館、札幌で上昇を見せたせいか洋芝巧者のイメージが強い。しかし、今回の函館、札幌は高速馬場で中央場所でも通用するようなスピードがないとこなすのが難しかった。ただ現在の超高速の東京芝で1分45秒前後の決着になるとさすがに時計面での不安もあり対抗評価に止めた。
▲ (8)ボンドガール
新馬戦以降は未勝利だが、芝1600m~1600mの重賞で2着6回の実績馬。2走前のヴィクトリアマイルは、10番枠から出遅れて後方からの追走となり、3角から直線にかけてやや悪化した馬場の内から挽回した影響もあって16着に大敗。ここでは折り合い面の悪化が際立っていた。
しかし、そこから立て直された前走の関屋記念では2着同着。ここでは11番枠からやや出遅れという程度。そこから無理をさせずに様子を見ながら中団中目を追走。道中もコントロールしながら折り合いに専念しながら進めて3角に入る。
3~4角でも中団の中目で我慢させ、進路がないまま直線へ。序盤は前が壁で仕掛けを待たされたが、ラスト2Fで内に切れ込んで狭い馬群の間を割ってするする伸びる。最後までしぶとく伸び続けたが(7)カナテープからクビ差で2着同着まで。
この時は新潟開幕週のコンクリート馬場で前後半45秒5-45秒5の平均ペース。折り合いに専念したことで直線序盤まで進路がなかったが、ラスト2Fで内が開くのを見過ごさず、そこをしっかり割って伸びてきた。さすがC.ルメール騎手という見事な騎乗ぶりだった。
本馬は折り合い面の課題は相変わらずだが、末脚抜群。折り合いをつけるのに自信がなくて、ただただ後ろから行く、武豊騎手よりも馬群に入れていくC.ルメール騎手のほうが好ましく、そういう騎乗なら2勝目を挙げるチャンスも巡ってくるだろう。
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東京9R 鷹須山特別 芝1600m
◎ (7)アイサンサン
○ (3)キングノジョー
▲ (12)マテンロウバローズ
△ (2)ギフテッド
△ (6)ドーンコーラス
△ (8)コムユンプリュム
△ (10)エンペラーズソード
△ (13)マンウォル
△ (15)ミーントゥビー
△ (16)ストレイトトーカー
結論 馬連7-3,12,2,6,8,10,13,15,16 (14:8:4:4:4:4:4:4:4) 複勝7 (50)
■逃げ、先行馬が揃った一戦で差し馬を狙う
ここは(4)ロゼル、(9)メタルスピード、(10)エンペラーズソード、(16)ストレイトトーカーなど、逃げ、先行策で結果を出してきた馬が集った一戦。
下馬評では(7)アイサンサンの逃げになっているが、本馬は前走のローズSは折り合いがつかずに逃げただけで、本来は好位で立ち回れる馬。2走前の前半3F35秒4で、普通に出せば差す形になるだろう。
■有力馬と評価ポイント
◎ (7)アイサンサン
3走前のこぶし賞(3歳1勝クラス・東京芝1600m)では、(12)マテンロウバローズと対戦してタイム差なしの3着の実績がある馬。3走前のオークスはスタミナが不足しがちな休養明けで距離が長く、12着に敗退。しかし、2走前の1勝クラス(中京芝1600m)では、軽斤量50kgではあったが、このクラスでも通用する指数で勝利した。
2走前は11番枠からまずまずのスタートを切り、二の脚の速さですっと前へ。内のカルドウェルがハナを主張すると、それを追い駆けて2番手に進出。道中は2番手で進めてカルドウェルと1馬身半差で3角に入る。
3~4角でじわっと進出して先頭列で直線へ。序盤で追われて2馬身ほどリードを奪う。ラスト1Fでエーデルヴェーグに詰め寄られたが、踏ん張りとおして3/4差で勝利した。
この時はコンクリート馬場で前後半4F46秒9-45秒5のスローペース。前有利の展開に恵まれていたが、3着馬を3馬身1/4差をつけており、エーデルヴェーグが1勝クラスを脱出するのも時間の問題だろう。
前走のローズSではやや掛かって5F通過56秒8秒の暴走逃げで撃沈逃げで撃沈。本馬はもともとそこまで折り合いを欠くタイプでないが、鞍上・田山旺佑騎手の初めての重賞挑戦で返し馬をやり過ぎたためにテンションが高くなってしまった。
今回は石川裕紀人騎手に手が替わる。ここは逃げ、先行馬が多数だが、本来は差せる馬。何とか掛からずに行ってくれれば、自己条件であり、斤量52kgでもあるここは上位争いに加われると見ている。
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京都11R 太秦S ダ1800m
◎ (3)サーマルソアリング
○ (6)ジンセイ
▲ (2)ハビレ
△ (1)ネバーモア
△ (9)ルヴァンユニベール
△ (7)タイセイドレフォン
△ (8)ハピ
結論 馬連3-6,2,1,9,7,8 (16:10:8:8:4:4) 複勝3 (50)
■9頭立てで逃げ馬不在
先行馬は(3)サーマルソアリング、(9)ルヴァンユニベール、(6)ジンセイと3頭出走しているが、逃げ馬は不在。ここはテンの速さでジンセイがハナに立つかというレベルだ。
前記3頭が意識的にペースを上げようとしても上がり切らないだろう。スローペースが確定的な組み合わせだけに、前を狙う。
■有力馬と評価ポイント
◎ (3)サーマルソアリング
昨夏にダート路線に転向し、1勝クラスから3連勝。OP特別でも5走前の総武S・2着、3走前の門司S・2着の実績がある馬だ。
3走前は2番枠から五分のスタートを切り、かなり押して2列目のの最内を確保。道中はコントロールしながら2列目の最内で脚を溜めた。
3~4角では持ったまま前の馬との差を詰め切り、直線序盤で前2頭の間を割って追われ、クビ差ほど前に出る。ラスト1Fでもしぶとく伸びていたが、外から1頭だけ違う脚で伸びたホールシバンに差されて3馬身差の2着だった。
この時は高速馬場で前後半4F47秒0-48秒4のハイペース。後方有利の展開を先行策から押し切ったことは高評価できる。
このように本馬は先行するとしぶとく、これまでのダート連対時は先行した時のみ。近2走は時計は外枠で得意の形に持ち込めなかったが、ここならさすがに先行できる。巻き返しを期待する。
○ (6)ジンセイ
初めての重賞となった2走前の平安Sでは4着。ここでは13番枠から五分のスタートを切り、軽く促して中団の外目を追走。道中ではアウトレンジをマークしながらじわっと進出して3角に入る。
3角では好位の外、4角ではアウトレンジに並びかけに行きながら3列目で直線へ。序盤で追われるとじわじわ伸びて3番手に上がったが、ラスト1Fで外のロードクロンヌに差されて4着に敗れた。
この時は超高速馬場で前後半3F50秒0-48秒1のかなりのスローペース。逃げた10番人気のレヴォントゥレットが3着に粘っているように、イン前有利の展開だったが、枠の並び的に終始外々を回るロスを作っての0秒3差なら上々だ。
休養明けの前走、シリウスSでは好位の外を追走と自分の競馬はできていたが、4着に敗退。相手を考えると、もう少し走れても良かったが、完調手前だったのだろう。叩かれ前進を期待する。