2025年 セントウルSの予想

■逃げ馬の連対率が高い

 セントウルSは阪神開催時の直近10年では、逃げ4勝、先行3勝、中33勝、差し、追い込みの優勝はゼロ。2着には差し、追い込みも届いているが、逃げ1回、先行5回と明確に前有利の傾向だ。

 これはセントウルSが阪神開催2日目の超高速馬場で行われることや3角まで距離が短いことが影響している。この傾向は馬場が高速化するほど顕著だが、今年は(2)テイエムスパーダが逃げ切った2023年ほどのコンクリートレベルの馬場ではない。

 そのうえ今回は逃げ馬が(2)テイエムスパーダ、(4)エコロジーク、(13)カルチャーデイの3頭も出走。(13)カルチャーデイは外枠なので好位の外からになりそうだが、(2)テイエムスパーダは逃げ馬としてはそこまで二の脚が速くないので、2番枠だとすぐ外の(4)エコロジークに被されて逃げられない可能性もある。

 例年よりも逃げ馬が多く、ペースが上がりそうなメンバーではあるが、それでも開幕週の内と前有利の馬場を考慮すると、差し、追い込みは不利だろう。よって、先行馬を中心に予想した。

阪神11R セントウルS 芝1200m
 ◎ (3)ママコチャ
 ○ (4)エコロジーク
 ▲ (11)ワンダーキサラ
 △ (6)アブキールベイ
 △ (13)カルチャーデイ
結論 馬連3-4,11,6,13 (15:15:10:10) 複勝3 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (3)ママコチャ

 2023年のOP・安土城S(京都芝1400m)でG1でも通用する自己最高指数を記録した馬。ここでは12番枠からまずまずのスタートだったが、二の脚で楽に先行。内のプルパレイを行かせると、さらに内からコムストックロード、グルーヴィットが前を主張してきたので、控えて好位の外を追走した。

 3~4角でもペースが上がらず、ブレーキ気味に3角で2頭分、4角で3頭分外から徐々に進出して直線へ。序盤で1馬身ほどあった先頭との差をグンと伸びて一気に先頭に立つと、ラスト1Fでは楽々と後続を突き放して3馬身差で圧勝した。

 この時は超高速馬場で前後半3F34秒4-33秒3のスローペース。馬場の内がやや荒れており、上手く外を通せていたが、最後の直線で一気に後続を突き放した内容は強いの一言だった。

 本馬はその勢いのまま同年秋のスプリンターズSを優勝。今年もオーシャンSを勝利し、高松宮記念でも3着に善戦している。

 また超タフな馬場だった昨年の高松宮記念では、体調不良で前哨戦を使えない誤算が生じ面も影響したとはいえ、8着に大敗した一方、超高速馬場だった今年のオーシャンSでは好指数で勝利しているように、本馬は超高速馬場がベストでもある。

 さらに本馬は中京で行われた昨年のこのレースを休養明けで2着に善戦しているように、休養明けを苦にしないタイプ。総合的に見て、本馬が最有力と見た。

○ (4)エコロジーク

 国内では3戦3勝。前走の驀進特別(2勝クラス・新潟芝1000m)では、大外18番枠からまずまずのスタートを切り、すぐに進路を外ラチ沿いを取ったが、すぐ外のニシノトキメキに被されて中団に下がってしまった。道中は中団最内で包まれてしたが、ラスト3Fで馬群の外の誘導し、ラスト2Fで2列目付近に上がる。ラスト1Fで先頭に立ったところを、最内からソルレースに急追されたが、ハナ差で振り切った。

 ここはタフな馬場で前半3Fが33秒1と速く、前に不利な展開。序盤で前の位置が取れず、中団からの追走となったことで展開に恵まれてはいるが、ラスト3F目から馬場がそこまで良い状態とは言えない中目に誘導しての勝利だった。

 本馬はデビュー2戦目、コンクリート馬場の中山芝1200mでも半馬身の出遅れを挽回してハナを主張し、1分07秒2の2歳レコードタイムで勝利しているように、スピードがある。今回は枠の並びも良く、ハナを狙えるメンバー構成。キャリア5戦と浅い3歳馬でまだ成長力もありそうなだけに、対抗評価とした。 

▲ (11)ワンダーキサラ

 デビュー当初はダートを使われていたが、そこでは結果を出せなかったが、芝路線に転向し、芝1200m路線で花開いた馬。本馬は芝1200mでは【2・6・1・2】の実績で、馬券圏外に敗れた2回は外差し有利の馬場を1~2番手の内で進めたもの。

 本馬は抜群の安定感がありながら、2勝クラスでもたついていたが、超絶高速馬場の前走・長篠S(中京芝1200m)で、ついに3勝クラスを突破した。

 前走では1番枠からトップスタートを決めてハナを主張したが、外から前を主張した2頭を行かせて3番手を追走。3~4角で外からメイショウクリフトが捲ってきたが、それをやり過ごして2列目で進め、4角で具とで前3頭の外に誘導。直線序盤で先頭列付近まで上がり、ラスト1Fで抜け出して2馬身差で完勝した。

 この時はコンクリート馬場で前後半3F33秒7-33秒5の平均ペース。脚質による大きな有利不利はないが、前の位置を取って勝利したことは、前有利の馬場&展開が濃厚のここに繋がるだろう。近走の勢いに期待する。

△ (6)アブキールベイ

 今春の葵Sを優勝した3歳馬で、古馬初対戦の前走・北九州記念でも3着。ここでは14番枠から五分のスタート後、様子を窺っていたが前を主張する馬が多く、じわっと後方に下げる形を選択。3~4角では後方4頭分外から進出して直線へ。

 序盤の伸びはやや地味だったが、それでも好位列付近まで上がり、ラスト1Fでしぶとく伸びて2着(5)ヨシノイースターにはクビ差まで詰め寄った。

 前走はタフな馬場で前後半3F32秒5-35秒3の激流。激流だったが隊列が縦長とはならずに団子状態。本馬は後方有利の展開には恵まれているが、3~4角でかなりロスを作りながらも最後までしぶとかった辺りに地力強化を感じさせる。

 3~4角で本馬の前にいたのが(5)ヨシノイースターで強い内容だったが、同馬は休養明けで好走した後の一戦で余力面で不安があるので、北九州記念組からは3歳馬で勢いがある本馬を推す。

△ (13)カルチャーデイ

 今年3月に重馬場で行われたOP・米子城S(阪神芝1200m)を好指数で勝利した馬。ここでは大外16番枠からまずまずのスタートを切り、押してハナを主張し、内に切ってハナを取り切る。道中はそのまま淡々と進めた。

 3~4角では仕掛けを待ち、1馬身差ほどのリードで直線へ。序盤で追われてリードをやや広げて1馬身3/4差。ラスト1Fでしぶとく突き抜けて2馬身半差で完勝した。

 この時はタフな馬場で前後半3F33秒8-34秒9のかなりのハイペース。自ら厳しいペースを作って、OPで上位常連の2着馬ロードフォアエースにしっかり差を付けたことや、休養明けだったとはいえ(5)ヨシノイースターに完勝だった点はかなりインパクトがあった。

 このように本馬は時計の掛かる馬場でこそのタイプだ。しかし、コンクリート馬場や超高速馬場だった2走前の函館スプリントSや前走のCBC賞でもインビンシブルパパの2番手から着差0秒4差(6着)、0秒3差(5着)に善戦している。

 しかも、前走は2走前にインビンシブルパパにプレッシャーをかけに行って失速した点を踏まえて控えていったが、かなり掛かってもったいない競馬になってしまっている。今回はハナに行くのは難しいとしてもレースが流れての2番手、3番手ならチャンスがある。

2025年 紫苑Sの予想

■開幕週で内と前が有利

 昨秋の中山開催は異次元の高速馬場で、従来のコースレコード(2018年皐月賞)を0秒5更新する1分56秒6で決着した。今年はさすがにそこまで高速馬場ではないが、超高速馬場である。

 普通に考えれば(6)ロートホルンの単騎逃げが濃厚だが、同馬の鞍上は横山典弘騎手。同騎手を単騎で逃げさせると怖いことから、最近はヨコノリ包囲網が敷かれている。

 よって、(6)ロートホルンに(7)ケリフレッドアスクや(8)サタデーサンライズ等が絡んでいくパターンもあるし、(6)ロートホルンがあえて逃げない先手をする可能性もある。この辺りの駆け引きが見え隠れするが、現在の中山芝は内と前有利は明確。展開と馬場の利がある馬を本命◎とした。

中山11RR 紫苑S 芝2000m
 ◎ (6)ロートホルン
 ○ (1)リンクスティップ
 ▲ (9)ダノンフェアレディ
 △ (4)エストゥベンダ
 △ (5)ジョスラン
 △ (13)テリオスララ
 △ (7)ケリフレッドアスク
結論 馬複6-1,9,4,5,13,7 (17:10:8:8:5:2) 複勝6 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (6)ロートホルン

 デビュー2戦目の未勝利(東京芝1800m)では翌週に行われた東京スポーツ杯2歳Sよりも速いタイムで6馬身差の逃げ切り勝ち。もちろん道中の通過タイムが違うので指数は劣るが、それでも能力を出し切った際のスピード スタミナの値はかなり高い。

 前走では1勝クラス(函館芝1800m)を勝利。1番枠から好スタートを決めてじわっとハナを主張したが、外の馬を行かせて2番手を追走。道中は離れた2番手で楽に進めて3角に入る。

 3角5馬身ほどあった先頭との差を3~4角の最内から楽に差を詰めて、逃げ馬の外に誘導して2列目の内で直線へ。序盤ですっと伸びて先頭に立ち3/4差のリードを奪うと、外から迫るウインシャーガスを尻目に1馬身差で勝利した。

 この時はA→Bコース替わり。雨に見舞われた前週から一変して高速馬場で前後半3F46秒6-47秒9のハイペース。これを前から早めに動いてラスト1Fで加速して勝利したことは高評価できる。どうやら勢いを取り戻したようだ。

 中山芝は昨年のような異次元の高速馬場ではないが、開幕週で超高速馬場。何が何でも逃げた馬が不在のここで、前で立ち回れる強みに期待する。

○ (1)リンクステップ

 今春の桜花賞で3着、オークス5着とクラシックで活躍した馬。桜花賞では12番枠から出遅れ、外の馬と接触して狭くなり、下げて最後方からの追走。道中は位置を下げ切って前の馬とのスペースを作って進めた。

 3角でじわっと進出し、スペースを潰しながら勢いに乗せ、4角でその勢いで外に誘導しながら中団外まで押し上げて直線。序盤で追われてすっと伸びたが、先頭列のエンブロイダリー、アルマヴェローチェに1馬身半ほど。ラスト1Fでそのまま2頭に差を広げられ、2馬身半遅れての3着まで。

 この時は標準馬場で前後半4F46秒6-46秒5の緩みない流れ。ここは後方有利の展開に恵まれていたが、本馬よりも前の位置で進めていたエンブロイダリー、アルマヴェローチェに完敗だった。

 前走のオークスでは5着。5番枠からまずまずのスタートを切り、コントロールして中団中目から後方付近まで下げる。しかし、道中でペースが上がってこなかったため、後方から中団の外までじわっと進出した。

 ただ3~4角ではコントロールして一気には動かずに中団外目で我慢。4角で手が動いて仕掛けて直線へ。序盤で追われたが、外からカムニャックに一気に並ばれる。ラスト2Fでカムニャックにかわされたが、3列目に上がり、ラスト1Fでバテた馬をかわして5着まで。

 この時はやや高速馬場で前後半5F60秒0-60秒1の平均ペース。オークスは前半3Fが34秒8と芝1600mレベルの入り方で逃げ、先行馬総崩れの展開。序盤で後方付近まで下げた鞍上の判断は正しかったと見ている。

 しかし、前走はレース中に骨折していた模様。ラスト1Fでジリジリだったのが目についたが、その影響もあったかもしれない。また桜花賞はテンが速くない本馬にとって距離不足のように思えるだけに、ここで大きく上昇というパターンも考えられる。

▲ (9)ダノンフェアレディ

 昨年6月の京都芝1600mの新馬戦を1勝クラスレベルの指数で勝利した馬。ここでは1番枠からまずまずのスタート。スタート直後は外のショウナンザナドゥの方が速かったが、枠の利を行かしてハナを主張。スローではあるが、新馬戦特有の超スローというほどではないペースで逃げた。

 3角では2番手外のショウナンザナドゥと3/4差ほど。4角で同馬に並びかけられたが、直線序盤で追われると2馬身半まで差を広げた。それを目標に仕掛けたショウナンザナドゥにラスト1Fで半馬身差まで詰め寄られたが、3着以下には7馬身以上の差をつけての勝利だった。

 同日4Rの同距離で行われた3歳未勝利戦が走破タイム1分32秒6に対し、この新馬戦が1分33秒8だからそこまで速いように感じないが、実は4Rは1勝クラス級の指数を記録したハイレベル戦で、勝ち馬スカイハイは現在3勝クラスにいる。

 道中のペースはダノンフェアレディが勝った新馬戦の方が明らかに遅く、上がり3Fタイムは断然上。実際にこの新馬戦を勝利したショウナンザナドゥはその後フィリーズレビューを勝利している。このことからもダノンフェアレディはなかなかの素質の持ち主と言える。

 新馬戦が消耗度の高いレースとなり、ここで高指数を記録したことでその後スランプとなったが、休養明けの前走の1勝クラス(小倉芝1800m)では馬体重20kg増と成長した姿を見せて勝利した。

 前走は5番枠からまずまずのスタートを切り、二の脚の速さで逃げ馬の外2番手を追走。道中はペースが上がらなかったがコントロールして進めた。3~4角でじわっと前との差を詰め、先頭と半馬身差で直線へ。序盤で追われてしぶとく伸び、半馬身ほど前に出ると、ラスト1Fで抜け出して2馬身差の完勝だった。

 この時はタフな馬場で前後半4F50秒3-46秒7の超絶スローペース。前有利の展開に乗じて勝利しただけの内容で指数も1勝クラスの水準レベル。しかし、調子を取り戻せたことで今後の視界が広がった。ここでさらなる前進を期待する。