■逃げ馬不在で混戦の様相?
今回のメンバーでもっともテンが速いのは(10)オメガレインボーだが、同馬はもともと逃げ、先行して甘くなり、差す競馬で2021年のエルムSで2着になるなど、ダートグレードの上位常連馬として活躍していた馬である。地方に転厩してからは先行して勝ちに行く競馬で終いが甘くなり、善戦はするものの勝ち切れない競馬が続いている。逃げ馬不在の今回で逃げるとなると甘さを見せてしまう危険性がある。
一転してラストストーリーは中央時代は前に行けずに未勝利だったが、地方へ移籍し、前に行くことで出世した馬。前走のサンタアニタトロフィーTRでも逃げたシャルフジンが最下位に敗れる差し、追い込み有利の流れを2列目の最内から、最後の直線しぶとく粘って2着。今回で逃げたいところではあるが、テンが速くない点がネック。
どちらが逃げるかはともかく、テンが速くてハイペースに持ち込んでも粘れる馬は不在だけに、先行馬には有利な展開になりそうだ。このラインより上のエリアが無料で表示されます。
大井11R サンタアニタトロフィー ダ1600m
◎ (7)イグザルト
○ (2)デュードヴァン
▲ (4)エスポワールガイ
注 (10)オメガレインボー
△ (12)ハデスキーパー
△ (8)カラフルキューブ
△ (9)ラストストーリー
結論 馬複7-3,4,10,12,8,9 (18:12:12:4:2:2) 複勝7 (50)
■有力馬と評価ポイント
◎ (7)イグザルト
デビュー当初は芝の短距離、そのあとはダートの短距離を使われていたが、22戦目にして初めてのダ1600mとなった4走前の白嶺S(3勝クラス)で2着と好走し、自己最高指数を記録した馬。
4走前は14番枠から五分のスタートを切り、序盤は無理なく中団。そこからじわっと上がって2列目の外を追走した。3~4角では2列目の内2頭の少し前に出て3番手で直線へ。外からエルゲルージが上がってくると、そこから仕掛けてラスト2Fで先頭。ラスト1Fで抜け出したが、外から一気に伸びたコスタノヴァに差されて2馬身半差の2着となった。
4走前は前後半4F47秒1-後半4F49秒4のかなりのハイペースで前に行った馬には厳しい流れ。また勝利したコスタノヴァは次走のOP・欅S(東京ダ1400m)で3着馬に6馬身1/4差も付け、交流重賞でも勝ち負けできる指数を記録するほどの馬。2馬身半差の2着でもここでも通用するレベルの内容だった。
その後の3戦は出遅れ続きで能力を出し切れていない。逃げ馬不在のここで出遅れて後方からになるとやや苦しい面はあるが、立ち遅れ気味の出遅れ馬のほうが、地方への移籍が成功しやすい。地方競馬は「尾持ち(スタート補助)」が許されているからだ。
今回移籍の荒山厩舎は、2019年のフェブラリーSで4馬身出遅れたノンコノユメを、同年移籍初戦の帝王賞で五分のスタートを切らせて3着に善戦させたように、尾持ちに定評のある厩舎。まして鞍上の笹川騎手のエージェントは尾持ちの上手さは南関屈指と言われている川島光司さんで、今回は彼がスタート補助する可能性もある。今回は笹川騎手起用にして、案外と人気がないので期待する。
○ (2)デュードヴァン
2022年夏のOP・阿蘇S(東京ダ1700m)の勝ち馬。この阿蘇Sは逃げ馬不在。8番枠から五分のスタートを切り、内からハナを主張したスナ―クスターを制してハナへ。先頭に立ってかなりペースを落とすと、向上面半ばでアッシェンプッテルが並びかけてくる。それに抵抗してペースを引き上げ、同馬とのマッチレースに。ラスト1Fで何とかアッシェンプッテルを競り落として1馬身差で勝利した。
その後、武蔵野Sで10着に大敗すると大井に移籍し、昨年は川崎マイラーズC3着、マイルGP3着の実績。そして3走前の川崎マイラーズCでは念願の重賞制覇を達成した。
3走前はアランバローズ、アイウォール。エアアルマス、カジノフォンテンなど逃げ、先行馬が多数の組み合わせ。1番枠から促していったが、中団やや後方からの追走になった。3角手前で外に誘導し、3~4角の大外から進出。最後の直線では長くいい脚を使って、早めに仕掛けたギャルダルを差し切ってアタマ差で勝利した。
3走前は馬場がタフで前が止まりやすい馬場。アランバローズがオーバーペースの逃げを打ったことで、展開に恵まれての勝利だった。近2走は距離が短く、2着、4着と敗れているが、今回は実績のある距離1600m。ただし、今回はスタミナが不足しがちな休養明けだけに、逃げ馬不在のここで先行すると終いが甘くなる危険性もある。
▲ (4)エスポワールガイ
昨年のサンタアニタトロフィーTRの勝ち馬。昨年の同レースでは8番枠から五分のスタートを切って、じわっと先行策。前2頭の外3番手を追走し、3~4角で先頭に立った(5)リコーシーウルフと1馬身差で直線へ。リコーシーウルフがしぶとくなかなか差が詰まらなかったが、残り150mくらいからじわじわ差を詰めてアタマ差で勝利した。
本番のサンタアニタトロフィーでは余力がなく6着に敗れたが、楽に前に行けるとしぶとく、2歳時には黒潮盃を逃げ切り勝ちした実績もある。また3走前にサンケイスポーツ賞では2列目の最内を追走し、今回人気の(12)ハデスキーパーを降しているように、エスポワールガイはテンは速くないが、今回のメンバーならば2列目の内が狙える組み合わせ。重賞のここで通用しても不思議ない。
注 (10)オメガレインボー
2021年のエルムSの2着馬。同レースでは13番枠から五分のスタートを切って、コントロールしながら中団やや後方から馬群の中に入れていく形。道中も中団のやや後ろで前のスペースを維持して3角へ。3角でソリストサンダーの後ろから追い上げたが、同馬の手応えが悪く、その外から仕掛けざるを得ない形。4角でも外々から押し上げて2列目で直線へ。序盤で内のスワーヴアラミスとともに先頭列を飲み込んだが、ラスト1Fで前に出られて半馬身差。しかし、3着には1馬身1/4差をつけて勝利した。
オメガレインボーはデビュー当初は先行馬だったが、2020年の武蔵野Sで大敗したことなどがきっかけで差す競馬にシフトし、その後のダートグレードで活躍した馬。優勝こそないが、2着1回、3着4回の実績がある。
近走は1400mを主体に使われ、今年2月のフジノウェーブ記念は外差し有利の馬場を内枠から先行して2着。前々走のオグリキャップ記念でも、黒船賞の2着、3着馬を相手に2番手から早め先頭の競馬でクビ+アタマ差の2着に善戦している。しかし、いずれも勝ちに行って、最後に甘さを見せたもの。近走から1F距離が長くなる点は、中央時代の実績を考えると好ましいが、今回は逃げ、先行馬が手薄。特に逃げた場合には危ういので評価を下げた。
△ (12)ハデスキーパー
前走でサンタアニタトロフィーTRを制して目下2連勝中。前走は4番枠から出遅れて後方2番手を追走。3角手前からじわっと押し上げて、4角で一気に仕掛けて中団で直線へ。序盤で好位に上がり、ラスト1Fで苦しくなった馬たちをかわして3馬身差で勝利した。
ここではシャルフジンがフィリオデルソルらにプレッシャーをかけられ、前後半4F49秒4-52秒4のかなりのハイペースを演出したことで展開に恵まれての勝利だった。
前々走の東京中日スポーツ賞では2番手から最後の直線で早め先頭に立って5馬身差で圧勝しているように、逃げ、先行型が手薄のここで先行しても悪くはないが、前走が消耗度の高いレースになっているだけに、余力面で不安がある。
△ (8)カラフルキューブ
昨年3月のポプラS(3勝クラス)の勝ち馬。このポプラSは大敗の連続だった馬が逃げたためにペースが上がらず、向正面で捲る馬が多発。レイクリエイターが捲って先頭に立ったところを、3~4角でソルドラードが3~4角捲って先頭に断つなど、出入りの激しい競馬となった。
カラフルキューブは10番枠から出遅れて後方3番手からの追走。捲りたい馬を捲らせて、その後から動いて中団の外で直線へ。序盤で好位に上がり、ラスト1Fで直線で早めに抜け出したシダーを差し切ってアタマ差で勝利した。ここでは捲り馬が前を掃除してくれたことが功を奏しての勝利だった。
5走前は展開に恵まれての勝利だっただけに、オープンに昇格してからはスピード不足で結果を出せなかったが、南関東のOPではさすがに地力上位。4走前の隅田川OPでは、前後半48秒7-53秒0のかなりのハイペースの4列目の最内からじわじわ位置を上げ、最後の直線で早め先頭に立って3着に善戦している。
前走のスパーキングレディーC時は、後方2番手のアーテルアストレアが勝利し、後方4番手のキャリックアリードが2着だったように、差し、追い込み馬に有利な流れ。最内枠から先行したことが祟って10着に崩れた。もともと先行して良い馬ではなく、勝ちに行かない着狙い騎乗なら3着、良くて2着くらいはあると見る。
△ (9)ラストストーリー
前走のサンタアニタトロフィーTRの2着馬。前走は2番枠から好スタートを切って、ハナを狙いに行ったが、外のシャルフジンらのほうが速く、被されて2列目の最内を追走。3~4角で最内を通して、直線で前2頭の外に誘導。直線序盤で(12)ハデスキーパーに一気に差されたが、残り100mで前2頭をしっかり差し切って2着に浮上した。
ラストストーリーは4走前のA2・エイプリル賞で2番手からラスト1Fで抜け出して勝利しているように前に行ってこその馬。2~3走前も逃げて2着に善戦している。前走は逃げたシャルフジンが最下位に敗れる追い込み有利の展開を、2列目からしぶとく粘った点はなかなか評価できる。今回はさらなる相手強化でしっかり余力を残せていない点は不安だが、ここは展開に恵まれる可能性が高い。