■南関東のエース牝馬は秋2戦がやや不振
牡馬トップクラスが相手のフェブラリーSで6着、かしわ記念でも6着、そして今夏の交流受賞スパーキングレディーCでは2着と好走した、南関東のエース牝馬スピーディキックが登場する。スパーキングレディーCは3~4角で中団中目から内目を何とか捌いて直線で外に誘導と、進路取りにやや苦労する場面があり、3~4角の進路取りがもう少しスムーズなら、優勝まであったか…という内容だった。
しかし、今秋に復帰してからのレディースプレリュード、JBCクラシックの2戦が振るわない。鞍上、御神本騎手はその敗因を「距離がやや長いことにある」とコメントしているが、タフな馬場でレースが緩みなく流れたJBCラシックで、中団待機策で脚をタメながらも勝ち馬アイコンテーラーに9馬身半差も離されてしまったのは頂けない。
今回は南関東の牝馬相手で距離が短くなるのはいいとしても、近2戦でややズブさを見せていた点は不安な材料ではある。また、今回はJpnⅠの前走を大目標にした後の一戦であり、余力面にも不安があるのでここも波乱の要素は十分。本命◎はここが目標の穴馬に託す。
大井10R 東京シンデレラマイル ダ1600m
◎ (2)サーフズアップ
○ (11)スピーディキック
▲ (7)ラブラブパイロ
△ (1)セパヌイール
△ (9)ツーシャドー
△ (16)メイドイットマム
△ (14)ノーブルシルエット
結論 馬複2-11,7,1,9,16,14 (20:10:6:6:6:2) 複勝2 (50)
■有力馬とその評価
◎ (2)サーフズアップ
今春の桜花賞2着、東京プリンセス賞の勝ち馬。東京プリンセスは、9番枠から五分のスタートだったが、じわっと位置を取りに行って、3番手からの追走。3~4角で内から(16)メイドイットマムが押し上げ、それに抵抗して進出し、前2頭から約3馬身で直線へ。直線で早め先頭に立ったボヌールバローズが外に膨れ、その内から差そうとしていたが、同馬が内に戻って来たので、残り150mで進路を外に切り替える。そこからしっかり伸びて1馬身1/4差で完勝した。
本馬は現3歳世代牝馬トップクラスの一頭。前々走の金沢スプリントCは大幅距離短縮だったこともあり、5番枠から出遅れて、進みも悪く、後方2列目の外からの追走。4角で大外を回って押し上げるロスが生じて3着に敗れた。また前走の橘賞は3番枠から五分のスタートを切ったが、1角手前で外の馬が突然、勢いよくぶつかって落馬。本馬もその煽りを受けて内ラチ側に吹っ飛んで位置が下がり、本来の能力を出し切れなかった。
本質的にダ1400mは短いよう。しかし、今回は1600m戦。近2走ともに1400m戦を使われているので、今回はレースの流れにも乗りやすいはず。ここでの復活を期待する。
○ (11)スピーディキック
今夏のスパーキングレディーCの2着馬。同レースでは大外9番枠から五分のスタートを切って、後方2列目の外を追走。3角手前から徐々に進出開始し、3~4角では中目から内目を何とか捌いて直線で外に誘導。進路取りにやや苦労したが、最後まで伸び続けて、ラスト1Fで先頭に立ったレディバグにアタマ差まで詰め寄った。3~4角の進路取りがもう少しスムーズなら、優勝まであったか…という内容だった。
しかし、今秋のレディースプレリュード、JBCクラシックの2戦が振るわない。これに対して鞍上は「1800mは少し長い」とコメントしているが、前走のレディスクラシックはタフな馬場でレースが緩みなく流れ、逃げたヴァレーデラルナは12頭立ての11着、3番手を追走したノーブルシルエットは12着と大失速する展開。中団待機で脚をタメて差す競馬で、勝ち馬アイコンテーラーに9馬身半差も離されてしまったのは不安な材料だ。
今回は南関東の牝馬相手で距離が短くなるのはいいとしても、近2戦でややズブさを見せていた点は不安な材料ではある。また、今回はJpnⅠの前走を大目標にした後の一戦であり、余力面にも不安があるので対抗馬とした。
▲ (7)ラブラブパイロ
この秋にB1クラスを2連勝と勢いある馬。前々走のJBCレディスクラシックは11番枠から五分のスタートを切って、じわっと好位の直後まで上がって追走したが、向正面で外から被され、キックバックを食らってズルズル後退する場面。5番手から最後方12番手まで上がってしまったが、最後の直線で8着まで盛り返したように、ここでも通用する下地がある馬である。
前走の東京シンデレラマイルTRでは3着。前走はやや前が有利な展開を、10番枠から五分のスタートを切って、序盤で内に潜り込み、後方最内を追走。前の馬とのスペースを作って最短距離を立ち回って、最後の直線では馬群を縫うように捌いたが、届かずの1馬身3/4差+アタマ差だった。
今回は(5)フラテルニテ、(9)ツーシャドー、(10)ラムリケティ、(13)パワースレイヴと逃げ馬多数の組み合わせ。ここも前走時のようにツーシャドーがハナへ行く可能性が高いが、先行馬が手強く、ペースが速くなりそうな組み合わせ。上がりの掛かる決着になればチャンスはある。
△ (1)セパヌイール
昨年の東京シンデレラマイルTRを勝利した馬。同レースでは2番枠から好スタートを切ったが、外の馬に行かせて、好位の最内をスペースを作って追走。3~4角でスぺースを詰めて、4角では逃げ馬の直後で包まれて仕掛けをワンテンポ待たされたが、直線で逃げ馬のひとつ外に出し、ラスト1F標手前で先に抜け出したミラバーグマンを内から追い駆けてスパートすると残り100m地点で先頭に立ち、1馬身半差で完勝した。
昨年の東京シンデレラマイルは、ハナ争いの4頭から離れた5番手から追走し、3~4角で馬群の中目から位置を押し上げ、2列目付近で直線へ。序盤で前の2頭の外に出していったん(11)スピーディーキックの2番手に上がったが、外からトップザビルに差されて3馬身半差+1馬身差の3着を死守した。
昨年のこのレースでは、スピーディキックが別次元だったが、休養明けでトライアルを勝利した馬がよく負けるパターンの敗戦である。一転して今年は東京シンデレラマイルTRでは、やや前有利の流れを4番枠からで出遅れて、後方から追走し、3~4角の外目から押し上げて5着と本来の能力を出し切れていない。よって、今回での前進が見込める。
本馬は中央時代はダ1200mで3勝した馬だけに、前々走のしらさぎ賞で勝ち馬スティールルージュと0.6秒差の5着に好走しているように、1600mよりも1400mのほうが好ましい。しかし、マイルも守備範囲だ。
△ (9)ツーシャドー
1150mの新馬戦こそ5着に敗れたが、その後は3着以内を外さず、4走前の夏木立賞は逃げて3着馬に5馬身差をつけて2着。前々走の水無月特別では2番手から向正面で早々と先頭に立つ競馬で3馬身差で完勝した。スタミナが不足する休養明けの前々走・クイーン賞TRでは、1Fの距離延長だったこともあり、最後に甘さを見せて(8)サブルドールにアタマ差先着を許したが、前走の東京シンデレラマイルTRでは完勝した。
前走は1番枠からトップスタートを切って早々と主導権を握って、マイペースの逃げに持ち込み、最後の直線でスパートして1馬身3/4差で完勝。競ってくる馬がいなかったのが功を奏した形ではあるが、それゆえに消耗度の少ないレースになっている。今回は同型馬が多く出走しており、ハナへ行けたとしても楽な展開になりそうもないが、まだ底を見せ切っていないので警戒したい。
△ (16)メイドイットマム
SⅠの東京2歳優駿牝馬と桜花賞を優勝し、前々走の関東オークスでも0.3秒差(4着)に善戦した馬。秋初戦のサルビアCでは、1番枠から好スタートを切って、積極的に出してハナを主張。折り合いを欠いていたが、そこを外からマテリアルガールにぴったりマークされる形。2週目の3~4角で先頭を狙う同馬に抵抗したが、直線序盤で苦しくなって失速し、離された2着に終わった。
スタミナが不足する休養明けで、初めての逃げで目標にされる苦しい競馬だったが、マテリアルガールにかわされてからもしぶとく粘っていたのは成長の証。前走のロジータ記念でも7番枠から好スタートを切って、ここでは2番手を追走。ここでもマテリアルガールにマークされ、3角手前で同馬に並びかけられたが、それに抵抗して3角で先頭に立ち、1馬身差のリードで直線へ。そこからじわじわ差を広げて、4馬身差で完勝した。
前走は強かったが、前々走で厳しい競馬を強いられ、能力を出し切れなかったことが前走に繋がった面がある。サルビアCで強かったマテリアルガールが、ロジータ記念で出遅れ、手応えも悪く3着に敗れているように、競走馬は好走と反動の繰り返し。ここは本馬がロジータ記念のマテリアルガールになりかねないと見て評価を下げた。
△ (14)ノーブルシルエット
7走前の中央のオープン・総武Sの4着馬。同レースは大外16番枠から五分のスタートを切って、そこから押してハナを取りに行ったが、内のタイセイサムソンが抵抗したので、無理せずその外2番手を追走。3角で同馬に並びかけて直線。しかし、直線ではタイセイサムソンに食い下がりを見せ、差が詰まらず、最後に外から2頭に差された。しかし、着差は接戦の上位3頭と半馬身差の4着と好内容だった。
本馬はスタミナが不足する休養明けの4走前・スパーキングレディーCでも○(11)スピーディキックやグランブリッジらと0.5着に善戦。同レースはマイペースで逃げて残り100mで4頭に差されてたものだったが、展開に恵まれればそれくらいは走れるということだ。
3走前のレディースプレリュードは、テリオスベルに抵抗していく競馬で9着敗退。3走前のJBCレディスクラシックは出遅れを挽回し、好位の外を追走と勝ちに行く競馬。タフな馬場でレースが前半から緩みなく流れたことを考えると、明確に不利なレースだった。また前走のクイーン賞は、逃げたパライバトルマリンが早め先頭を狙うテリオスベルに抵抗したためにオーバーペースとなり、それに巻き込まれる形で9着に大敗している。今回はさすがに近3走よりも、前に行って楽な競馬ができると見て、買い目に加えた。