2023年 東京大賞典の予想 – 競馬予想 – 山崎エリカ –

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2023.12.29
2023年 東京大賞典の予想

■ウシュバテソーロは日本国内での走りはそこまで突出していない

 JBCクラシックやチャンピオンズCの上位馬不在の昨年から一転、今年は前記2レースの上位馬に、ドバイワールドCを優勝したウシュバテソーロ、南関東三冠馬のミックファイアと好メンバーが集った。

 ダートでは9戦7勝のウシュバテソーロが断然1番人気に支持されているが、同馬の日本国内の走りは、昨年の川崎記念でテーオーケインズの追撃を退けて完勝した今年の川崎記念が最高指数で、そこまで突出していない。同馬はリモースとパンサラッサが競り合って、5F59秒25(日本の計測方法だとおおよそ58秒25)という、芝並みのオーバーペースで逃げたドバイワールドCを大外一気で優勝しているように、高速ダートの消耗戦が合う。

 今回はタフなダートの大井。これまでの交流重賞一連の実績から、3着以内は外さない可能性が高いが、ここは今回の条件が向く、穴馬で攻める。もしかすると本命◎が3着かもしれないが、人気もないので3着で十分だろう。

大井9R 東京大賞典 ダ2000m
 ◎ (7)グロリアムンディ
 ○ (5)ウシュバテソーロ
 ▲ (8)ミックファイア
 注 (1)キングズソード
 △ (2)ノットゥルノ
 △ (3)テンカハル
 △ (6)ドゥラエレーデ
結論 馬複7-5,8,1,2,3,6 (20:12:6:4:4:4) 複勝7 (50)

■有力馬とその評価

◎ (7)グロリアムンディ

 芝では1勝クラスで頭打ちだったが、ダートに路線転向すると急上昇。1勝クラス勝ちから一気に重賞のアンタレスSで2着するまで上昇した。しかし、秋緒戦の昨年のチャンピオンズCでは12着大敗。そして1分51秒5(前半4F50秒3-後半4F48秒9)と昨年のチャンピオンズCよりも速いタイムで、速い上がりが求められた前々走のコリアCでは、最後の直線で置かれるように勝ち馬クラウンプライドに大きく離されてしまったように、本質的にダ1800mは短く、前走のチャンピオンズCでも13着に大敗している。

 本馬の持ち味はタフな馬場、タフな展開で他馬が消耗する中、しぶとく脚を使ってくることが魅力で、昨年のダイオライト記念では自己最高指数を記録している。同レースでは1番枠から五分のスタートを切り、軽く促されて好位の内目を追走。そこからじわっと位置を下げて、道中は中団中目。2周目の向正面で徐々にペースが上がって行く中で、わりと楽な手応えで内から3角へ。そこでやや詰まったが、ワンテンポ待って砂の深い最内から押し上げて4角ではもう先頭、2馬身差でのリードで直線へ。そこから一気に後続を引き離して5馬身。ラスト1Fでさらにぶっちぎって9馬身差で圧勝している。

 今秋2戦はダ1800mを使われていたが、今回はタフな馬場の大井ダ2000mに変わる。シンプルに時計の掛かる馬場は好ましく、2分05秒前後の決着が予想されるここは一発を狙う。

○ (5)ウシュバテソーロ

 ダートに路線転向して9戦7勝、3走前の東京大賞典で初重賞制覇を達成すると、その次走の川崎記念も強豪テーオーケインズの追撃を退けて完勝。遂にはダート開催では日本馬初のドバイワールドC優勝も成し遂げた。

 本馬は初ダートの横浜S(3勝クラス)時に、超絶高速ダートではあったが、上がり3Fタイム「34秒0」の芝並みのタイムを記録したことから、世界で通用するヤバさを感じさせたが、それがアッサリと通用するとは思っていなかったのが本音である。

 3走前のドバイワールドCは、前記したように5F59秒25(日本の計測方法だとおおよそ58秒25)という、芝並みのオーバーペースになったことで前が崩れたもの。14番枠から五分のスタートを切りながらもテンに置かれ、後方外々から押し上げた本馬は展開に恵まれての大外一気だったが、2馬身3/4差での完勝だった。

 前走のBCクラシックは相手も強く、休養明けの前々走日本テレビ盃で好走したことが祟って末脚が不発したが、ここはさすがに通用するだろう。ただし、タフなダートはベストではないうえに、断然の1番人気なので対抗馬とした。

▲ (8)ミックファイア

 6戦6勝、無敗の南関東三冠馬。前々走のジャパンダートダービーは、6番枠から好スタートを切って、そこから押して行ったが、外のミトノオーのほうがテンが速く、同馬を先に行かせて、その外を取りに行ったが、取れずに好位の外を追走。ミトノオーが淡々とペースを引き上げていく中、3角の外から位置を押し上げて、3番手で直線へ。ミトノオーとは6馬身くらい差があったが、ラスト1Fで同馬が失速したところをしぶとく差し切って2馬身半差で完勝した。

 今年のジャパンダートは、3着馬ミトノオーがその後の浦和記念でも2着に好走しているように、ノットゥルノが優勝した昨年と比べてもハイレベルだった。そのハイレベルで消耗度の高い一戦で結果を出した後の前走ダービーグランプリは、大外7番枠から逃げる競馬。4角ではマンダリンヒーローの前に出られる危うい場面があったが、何とか凌いで1馬身半差で勝利した。

 前走はジャパンダートダービー好走後で、楽をした影響もあったのだろう。本来の走りではなかったが、一度、レースを使ったことで調整は楽になるはず。本馬はここが目標。ただし、これまでの実績が高速ダートの大井と盛岡で、タフなダートを一度も経験していないことは、間違いなく不安な材料ではある。しかし、前走チャンピオンズCの上位馬は、ここは3着、4着くらいで終わることが多いので、3番手評価とした。

注 (1)キングズソード

 休養明けの前走、JBCクラシックで初重賞制覇を達成した馬。前走は9番枠から五分のスタートだったが、楽な手応えで先行策。道中は3列目の外を追走し、3~4角のペースダウンで外から押し上げて、4角で仕掛けながら3番手で直線へ。そこからしぶとく脚を伸ばして残り300m標地点で先頭に立つと、後続にどんどん差を広げて4馬身差で完勝した。

 前走はタフな馬場で前半5F61秒5-後半5F63秒6のかなりのハイペース。それでありながら外枠から楽にポジションを取って、末脚も他馬に対して削がれなかったことは大きな収穫。後半型の馬が先行すると崩れるのが常だが、崩れるどころか自己最高指数で優勝した点は褒められる。

 前走内容は今後の見通しが明るくなる勝ち方であり、タフな馬場の大井ダ2000mはベスト条件とも言えるが、休養明けでこれまでにない走りをしてしまうと反動が出る危険性が伴う。今回は評価を下げてこそ、馬券妙味がある。

△ (2)ノットゥルノ

 昨年のジャパンダートダービーの覇者であり、東京大賞典の2着。前々走のJBCクラシックでも2着とこの舞台をやたら得意としている馬だ。前々走のJBCクラシックは、2番枠から好スタート。外のテーオーケインズのほうがテンが速かったが、じわっとハナを主張。道中も淡々としたペースを刻み、3~4角で息を入れて直線へ。残り300m標地点で注(1)キングズソードにかわされてからもしぶとく粘り、2着を死守した。

 前走はタフな馬場でこそ前に行ってペースを引き上げ、バテ比べの形を好む、森流の逃げだった。しかし、最後の直線では注(1)キングズソードに交わされてからもしぶとく食らいついたように、同じ大井ダ2000mでもタフな馬場でより長所が引き出されて、自己最高指数を記録した。

 前走のチャンピオンズCはその反動もあって出遅れ。前に行って持久力を生かすことができなかったが、今回はハナを主張できる組み合わせ。相手は前々走時よりも強豪揃いだが、上手く逃げられればチャンスはある。

△ (3)テンカハル

 デビューからしばらく芝の中距離路線を使われていた馬だが、今年2月に復帰し、初ダートの金蹄Sに出走すると、2着に好走。同レースでは後方馬群の先頭を追走。3~4角から進出し、4角でかなり外を回って大外から直線へ。内のダノンラスターとの追い比べになったが、クビ差で敗れた。しかし、3着馬に7馬身差をつけており、ここではダートグレードでも通用する指数を記録している。

 本馬は前有利の馬場&展開だった4走前のスレイプニルSでは勝ち馬にダノンラスターに離された6着に敗れているが、平均ペースで流れた前々走のブラジルCでは再び同馬を2着に下しており、平均ペース以上ではほぼ崩れていない。

 ただ本馬はテンが速くないので、浦和記念ではそこが弱点となる可能性を感じていたが、案の定と言うべきか、前半5F63秒0の前が有利な流れを出遅れたこともあり、勝ち馬ディクテオンに離される形での3着となった。4走前に近い負け方である。今回はタフな馬場。前がペースを引き上げて上がりの掛かる展開になればチャンスはあるが、そこまでペースが上がるかどうかが課題だ。

△ (6)ドゥラエレーデ

 UAEダービー以来のダート戦となった前走のチャンピオンズCで3着と好走した馬。前走は5番枠から五分のスタートだが、しっかりと促されての先行策。外のレモンポップが内に切って来たので外に誘導して、同馬の外2番手を確保する。道中もレモンポップをマークして追走。3~4角で軽く仕掛けて同馬と半馬身差で直線へ。序盤で追われたが、レモンポップに差を広げられ、内から迫るテーオーケインズは退けたが、外の(9)ウィルソンテソーロに差されて同馬とクビ差の3着となった。

 前走はやや速い流れだったが、そこでスムーズに流れに乗れたことは大きく、末脚に特化させたウィルソンテソーロよりも強いレースをしている。本馬も休養明けの前走で自己最高指数を記録した後の一戦だけに不安はあるが、ダートのキャリア3戦にしてトップクラスと互角以上に戦えたことはこの先の見通しが明るいもの。ダート2戦目野UAEダービーで、後にBCクラシック2着と好走したデルマソトガケの2着に入線した素質の高さに期待してみたい。

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