かなりの文字数になってしまったので、その他の予想は別途ページを設けますm(__)m。
■良馬場なら3角中団にいないと勝ち負けは難しい
菊花賞は全頭が初の長距離となるため、2週目の3角まで脚を溜めることがほとんどだ。過去10年では歴代屈指の極悪馬場で、芝3200mでも遅いレベルの走破タイムだった2017年こそ、かなりのハイペースだったが、それ以外は平均ペースよりも遅い流れで決着している。
また良馬場の菊花賞は3角の下り坂からペースアップする傾向があり、3角で中団くらいの位置にいないと厳しい。3角でもっとも後ろの位置10番手から優勝したのが2015年のキタサンブラック。しかし、本馬は先行していたが、捲り馬の出現により3角の位置取りが瞬間的に下がったもの。追込馬のワールドプレミアも2019年に3角8番手で優勝していることから、勝ち負けするには中団にいないと難しい。
本日1番 京都11R 菊花賞 芝3000m
◎ (17)ドゥレッツァ
○ (5)パクスオトマニカ
▲ (6)リビアングラス
注 (14)ソールオリエンス
△ (1)トップナイフ
△ (7)タスティエーラ
△ (15)ファントムシーフ
△ (9)ノッキングポイント
△ (3)シーズンリッチ
△ (16)ショウナンバシット
結論 馬連17-5,6,14,1,7,15,9,3,16 (10:10:10:6:5:5:2:1:1) 複勝17 (50)
■有力馬とそのコメント
◎ (17)ドゥレッツァ
現在4連勝中の馬。6月のホンコンJCT(2勝クラス)は超絶スローペースでラスト2F11秒2-11秒2の流れを強烈な末脚で差し切った。当時の上がり3Fタイム32秒7は同日に行われた安田記念で鬼脚を見せたシュネルマイスターの32秒8を上回り、記録した指数は前週に行われた日本ダービーでも上位入線に値するものだった。
前走の日本海S(3勝クラス)も前半5F60秒5-後半5F58秒9の前有利の流れ。それを4番枠からまずまずのスタートを切って、後方馬群の中目を追走。道中は折り合い重視で乗られ、3~4角でも前が壁。4角で最内を通り、出口で上手く中目のスペースから外に出して直線へ。序盤でスッと反応して3番手に上がり、ラスト1Fで先頭のレッドラディエンスから3馬身ほどあった差を、一気に差し切って半馬身差で勝利した。
本馬が前走で記録した指数は、神戸新聞杯と同等なもの。つまり、春の実績馬たちに劣るところは何もない。4月の遅生まれでキャリアも5戦と浅く、まだまだ伸びる。今回は大外17番枠に入ったが、末脚型の本馬にとってはソールオリエンスなど、内の馬の出方を窺いながら動けるこの枠は悪くない。鞍上がルメール騎手だけに、4角で大外を回ることもないだろう。
〇 (5)パクスオトマニカ
デビュー2戦目の新潟芝2000mの未勝利戦は逃げて5馬身差の圧勝。この勝利は潜在的なスタミナが相当なものであることを感じさせる勝利だった。しかしその後の若竹賞では逃げて外からマイネルカーライルに絡まれ、ペースを上げたり、下げたりしながらも3着馬に4馬身差を付けて完勝と、器用な一面も見せた。
そして3走前のプリンシパルSも3番枠からまずまずのスタートを切り、そこから押して先手を主張し、ハナを取り切った。向正面ではかなりペースを落として息を入れ、3~4角でもペースを上げずに団子状態。4角では外から並びかけられたが、4角出口で軽く仕掛けられるとすっと伸び、半馬身差のリードで直線へ。ラスト2Fで外からアヴニールドブリエが迫ってきたが、そこでもじわっと放して1馬身半差。最後に詰め寄られたが1馬身差で完勝した。
前々走の日本ダービーは16番枠からのスタートで、ひとつ外ドゥラエレーデのスタート直後の落馬の影響を受け、後手を踏んでしまう形。そこから無理やりハナを奪いに行き、後続を引き離す逃げ。リズムの悪い逃げでスタミナが持たず崩れたが、ラスト1F標まで先頭と見せ場はあった。この一戦だけでは距離の影響と言い切れない。前走はダートで前に行けず度外視。今回で本馬の器用さを生かしたマイペースの逃げが打てれば、粘り込みの可能性は十分ある。
▲ (6)リビアングラス
デビューから3戦2勝で迎えた京都新聞杯は、12番枠からまずまずのスタートを切って、内に切り込みながらハナを主張。ハナを取り切ると、道中でかなりペースを落としたが、向正面でマキシが捲って来たため3角手前からペースを引き上げ、1馬身差のリードで直線へ。そこからしぶとく粘り、いったんは1馬身半差までリードを広げたが、最後にサトノグランツらに差され、クビ+アタマ差の3着だった。ここでは成長力と距離延長に対する適応力の高さを感じた。
前走の阿賀野川特別(2勝クラス)は休養明けで古馬との初対決。休養明けでスタミナ切れが懸念される一戦だったが、7番枠からまずまずのスタートを切り、そこからは促してハナを主張。二の脚が速くないので、ハナを取り切るのに時間がかかり、さらに外からプレッシャーをかけられ、ペースを上げざるを得なくなってしまった。
1~2角で何とか息を入れ、向正面で再びペースを引き上げ、3~4角で再び少し息を入れた。すると今度は外からハイエスティームが並びかけ、絡んできた。本馬は直線序盤では苦しそうな手応えだったが、そのわりにすっと伸び、1馬身とリードを広げた。そのまましぶとく伸び続け、ラスト1Fでは外から伸びて来たウインオーディンを振り切り、半馬身差で完勝した。
前走は緩みない流れ。このレースは潜在的なスタミナの豊富さを裏付けるものだった。また後続にしっかり差をつけてのなかなか優秀な指数での勝利で、前々走からの成長力も感じた。本馬はステイヤーで距離延長は好材料のはず。前走の疲れが出なければ、ここも怖い存在だ。
注 (14)ソールオリエンス
3戦3勝で皐月賞を制した馬。皐月賞当日は外から差す馬が有利な馬場状態。1番枠から好スタートを切ったが、そこからコントロールして最後方付近まで位置を下げて外へ誘導。道中も最後方に近い位置で外目を追走し、3角手前で外から進出。そのまま追い出されたがそこまで上がって行けず、スピードに乗ったのが4角だったため、大きく外に振られるロスが生じた。しかし、直線ではしぶとく伸びて中団まで上がり、ラスト1Fでグンと伸びて並ぶ間もなく早めに抜け出していた(7)タスティエーラを捕らえ、1馬身1/4差で完勝した。
その次走の日本ダービーでは、惜しくもクビ差の2着。レースは超絶高速馬場で実質かなりのスローペース。本馬は好位のメタルスピード直後の最内と位置を取りに行き過ぎたのもあるが、休養明けの皐月賞で好走した反動が出たようで、皐月賞から指数をダウンさせた。本馬が能力を出し切れなかったことで、日本ダービーが凡戦となり、菊花賞戦線は上がり馬たちに勢力図を塗り替えられる形となった。
前走セントライト記念は14番枠から五分のスタートを切って、中団やや後方の外でコントロールしながら折り合い重視の競馬。道中は後方の外で前にスペースを作りながら追走し、3角手前でじわっと促して3角へ。3~4角でもじわっと差を詰め、4角のきついコーナーのところで大外に膨らみ、それでも何とか中団を維持した。直線序盤でジリジリと3列目付近まで上がり、ラスト1Fで先頭のレーベンスティールとは3馬身くらいあった差を1馬身3/4差まで詰め、2着となった。
前走は3~4角でロスなく進出できていれば、もっとレーベンスティールとの差を詰めていた可能性はあるが、ここでも京成杯や皐月賞と同様に4角で外に膨らんでしまった。菊花賞での差し馬は3~4角の下り坂で勢いをつけ、いかに4角をロスなく立ち回れるかがポイントとなる。しかし、そこで外に膨らんでしまったら、2012年天皇賞(春)のオルフェーヴルのようにもなりかねない。
当時のオルフェーヴルは3角の位置取りが絶望的だった。ただ本馬はそこまで悪い位置にはならないぶん、大崩れはないと見ているが、怖い要素を持つ1番人気であるのは確か。ただ、3~4角の手前から外に出さずに内目に入れるなど、何か工夫があれば当然ここでも通用の余地はある。
△ (1)トップナイフ
昨年のホープフルSでは、逃げてドゥラエレーデとクビの上げ下げでハナ差2着に善戦した馬。存在感を見せながらも、皐月賞、ダービーでは出遅れて後方からの競馬となり7着、14着と本来の能力を出し切れずに終わった。しかし、そこから立て直された前走の札幌記念では、プログノーシスには4馬身離されたが3着ソーヴァリアントに3馬身差を付けて2着と好走した。
前走は10番枠から出遅れ最後方から、内に行きながら中団の最内につけた。1~2角のコーナーワークで前のスペースを拾い、単独4番手ジャックドールの後ろのスペースを維持して追走。3角手前で外に行く同馬の内からスペースを潰しながら押し上げ、3~4角の最内からワープするように4角で半馬身差のリードで先頭。直線では外からプログノーシスに突き抜けられたが、最後までしぶとく粘っての2着だった。
前走は3角で各馬が外に出して行くのに対して、本馬は最内を選択。一見、これが嵌ったようにも見える。しかし、他にもダノンベルーガとラーグルフが最内を追走しており、ダノンベルーガは最後の直線で本馬との差をほとんど詰められていない。またラーグルフも最内から押し上げ、最後の直線で中目に出したが、伸びあぐねた。このことから内より外のほうが伸びる馬場だったことが分かる。
ただ、逃げたユニコーンライオンが最下位17着に敗れ、前3頭から離れた4番手を追走した1番人気のジャックドールも6着に敗れた。レースとしてはややタフな馬場でオーバーペースとなり、前半で脚を使った馬には最後の直線でどこを通っても苦しい展開だった。つまり、出遅れた本馬は馬場の悪化した内を走ってはいるが、展開上は恵まれたことになる。
それでもメンバーNO.1の指数を記録したのも確か。前走は自身の指数を大幅に上昇させているので、今回でさらなる上昇は期待しにくい。またホープフルS以降、派手に出遅れており、日本ダービー時のように、絶望的な位置になってしまう可能性もある。外枠でペースが上がらなければ、1周目のスタンド前で位置を押し上げる機会はあるし、向正面でも動くタイミングがあるかもしれない。今回17頭立ての最内枠から後手を踏んだ場合は怖いが、3列目くらいまでの位置が取れればチャンスはある。
△ (7)タスティエーラ
皐月賞の2着、日本ダービー1着と今春のクラシックでもっとも活躍した馬。皐月賞は14番枠から五分のスタートを切り、そこからコントロールされていたが、やや掛かり気味に好位直後の外を追走し、ダノンタッチダウンの後ろでレースを進めた。皐月賞は9R時にまとまって降った雨の影響で、8R前よりも馬場が悪化。不良馬場に近い状態で前後半5F58秒5- 62秒1の超絶ハイペースだった。
3角では前にいたダノンタッチダウンが仕掛けようとするも、超絶ハイペースの影響で動けなくなっていたので、その外から仕掛けてすっと好位外まで上がった。4角でそのまま馬場の良い外々を走りながら2列目で直線へ。序盤ですっと伸びて先頭に立ちラスト1Fでも粘っていたが、外から一気に注(14)ソールオリエンスに差し切られ、1馬身1/4差で2着に敗れた。
一転して、前走の日本ダービーは超絶高速馬場。12番枠から五分のスタートだったが、二の脚が速く、軽く促す程度で先行争いに加わって行く。外の(5)パクスオトマニカを行かせて好位の外。道中もパクスオトマニカから離れた5番手で好位の外目でコントロールしながら追走。3~4角でパクスオトマニカがさらに後続を引き離して行くが、好位の中目で我慢。直線序盤で追われると、3列目から抜け出し、ラスト2Fでは先頭に並びかける。ラスト1Fで抜け出したが、そこをソールオリエンスに強襲され、これをクビ差で制した。
本馬は春の時点では間違いなくNO.1だった。しかし、かつては休養明けで3000m級のレースを使うのはタブーとされており、1996年にサクラローレルが有馬記念1着から、翌年の天皇賞(春)にぶつける際にもブーイングの嵐だったものだ。(結果は、天皇賞(春)・2着) 私の競馬歴30年くらいの歴史の中で、日本ダービーから直行して菊花賞を制した馬は知らないが、2018年にフィエールマンがラジオNIKKEI賞1着→菊花賞を制していることから、ステイヤーならばこなしても不思議ではない。
△ (15)ファントムシーフ
前走の神戸新聞杯の3着馬。同レースでは7番枠からまずまずのスタートだったが、そこから促されると楽にハナへ。2番手の(3)シーズンリッチが控えたので、1~2角でじわっと後続を離して1馬身半差のリードを奪い、向正面でも少し息を入れる。3~4角で2列目の2頭が並びかけてきたので、ここで抵抗して3/4差ほどのリードで直線へ。序盤ですっと伸びてここで1馬身差ほどリードを奪ったが、ラスト1Fで甘くなり、そこを本馬を徹底マークで距離ロスなく乗った(8)サヴォーナに捕らえられ、サトノグランツにも強襲され3着となった。
前走はレコード決着と言っても、超絶高速馬場で前有利の展開に恵まれたものだが、初めての逃げで好結果を出したのは成長の証。本馬は2列目以内の競馬をした2歳時の野路菊Sや今年2月の共同通信杯が当時としては指数が高く、今回でそういうレースが出来れば、ペース次第で上位に食い込めても不思議ない。
△ (9)ノッキングポイント
昨年6月の東京芝1600mの新馬戦で、ラスト2F11秒2-11秒1を記録。この時期の2歳馬でラスト1Fを加速しながらの11秒1は驚きの数字で、記録した指数も優秀だった。普通にいけば重賞勝ち当確と見ていたが、その後に伸び悩み、皐月賞にも出走できなかった。しかし、日本ダービーでは15番人気ながら、最後の直線は中団中目からしぶとく伸び続け、見せ場のある5着に善戦した。
そればかりでなく、前走の新潟記念では古馬を相手に初重賞制覇を達成。前走は3番枠からまずまずのスタートだったが、二の脚で楽に先行。そこからじわっと好位に下げ、外から各馬を行かせて3列目の最内を追走。3~4角も最短距離を通って直線へ。序盤でスッと反応してすぐに2列目に上がり、ラスト2Fでは半馬身差で先頭。そのまま踏ん張り、外から伸びるユーキャンスマイルを振り切って1馬身差で完勝した。
毎日杯→日本ダービー5着→新潟記念1着といえば、2018年のブラストワンピースを思い出す。同馬は休養明けの新潟記念で優勝した反動で、菊花賞では指数ダウンの4着。しかし、その次走の有馬記念を優勝した。本馬も始動戦が新潟記念だっただけに、ここで反動が出る可能性が高い。というか、ここではなく有馬記念辺りが目標だろう。ただし、ブラストワンピースが優勝した新潟記念よりも今年はレベルが低かったことから、同馬よりも余力を残せている可能性はある。
△ (3)シーズンリッチ
馬場が渋った今年3月の毎日杯の覇者。同レースでは3番枠からやや出遅れたが、そこから二の脚で挽回して3列目の最内を追走。3~4角では中目を通したが、やや窮屈で進路がない状態で直線へ。序盤は2列目で前が壁だったが、エヌマーレの外まで出して進路を確保すると、ラスト1Fでしぶとく抜け出し、(9)ノッキングポイントの追撃も振り切って半馬身差で完勝した。
本馬は毎日杯から日本ダービーに直行。日本ダービーでは13番枠で前に壁が作れず、やや掛かり気味に先行。2列目の外まで上がってしまったが、最後の直線でも止まりそうで止まらず、ジリジリと脚を延ばして1~4着馬と0.4秒差の7着に善戦。スタミナを持っていることを感じさせる走りだった。
本馬は共同通信杯でも引っ掛かって位置を取りに行き過ぎた前科があるが、復帰戦の前走・神戸新聞杯では2番手から許容範囲の折り合いで気性面の成長を見せていた。脚をタメた毎日杯では最後の直線で伸びていたことから、叩かれた今回で上手く折り合えれば変わる可能性がある。
△ (16)ショウナンバシット
皐月賞TR・若葉Sの覇者。同レースでは8番枠からやや出遅れたが、そこからじわっと先行し、3番手の外を付近を追走。ラスハンメルが逃げて、スーパースローペースになったが、3番手の外で折り合いに専念。3~4番でじわっとペースが上がっていく中で、楽な手応えで2列目まで上がって直線へ。序盤でラスハンメルとは1馬身半差ほどあったが、その差を徐々に詰めて、最後にハナ差で捉えて勝利した。
本馬は休養明けで3Fの距離延長となったゆきやなぎ賞でも、(8)サヴォーナを撃破して勝利しているように、潜在的なスタミナがあって長距離でこそのタイプ。また若葉Sでは(12)ハーツコンチェルトを寄せ付けずに撃破している。若葉Sのハーツコンチェルは「キレ負け」したとされ、ここでは穴人気に支持されている。しかし、本馬も決め手勝負だったから、ハナ差の辛勝であった可能性もあると見ている。
休養明けの前走・神戸新聞杯は、前項目でも紹介したように、前が断然有利の展開。後方からの競馬で最後の直線でジリジリとしか伸びて来れず、それこそキレ負けの勝ち馬と0.4秒差(7着)だった。しかし、若葉Sや神戸新聞杯よりもスタミナが活かせるこの舞台で一考してみたい。