■1400m施行時ほど前が有利ではない
2020年、2021年と連続で(3)ラプタスがこのレースを逃げ切り勝ちしているように、旧・名古屋競馬場は直線距離が日本一短く、1,2番手馬が断然有利のコースだった。しかし、2022年に競馬場を弥富トレーニングセンターへ移設。これにより直線距離が長くなり、施行距離も100m延長された。結果、かつてほど前へ行く馬は有利ではなくなっている。
しかし、それでも2022年にこのレースでラプタスが逃げて3着に粘っているように、前へ行く馬がそこまで不利なわけではない。前へ行く馬はシンプルに強い場合もあるが、現在の競馬場のように内側の砂厚が深いコースでは、前に行くことで楽に砂厚の浅い外に出して行くことができるからだ。また、こういったコースは外枠も有利で、過去3年連続で8番枠の馬が連対している。さて、今年はどうなるか? とても楽しみな一戦となった。
名古屋10R かきつばた記念 ダ1500m
◎ (3)ラプタス
○ (11)シャマル
▲ (2)スマイルウィ
△ (4)サンライズホーク
△ (8)ヘリオス
△ (13)ペリエール
結論 馬複3-11,2,4,8,13 (各10) 複勝3 (50)
■有力馬と評価ポイント
◎ (3)ラプタス
1400mのダートグレードで5勝中、4勝が逃げ切りだった馬。本馬はマイペースで逃げられると強く、2021年のサマースプリントでは2着サクセスエナジーや3着コパノキッキングに7馬身差の大楽勝を飾ったこともある。しかし、昨年の兵庫GTでは1番枠から好スタートを切って積極的に出して行ったものの、外のオーロラテソーロやオヌシナニモノのほうが速く、それらに被されながらも、最後の直線でその2頭の間をこじ開けて伸び、ラスト1Fで外から迫る(11)シャマルにも差を詰めさせず、メンバー最速の上がり3Fで1馬身差のゴールイン。ここでは折り合う競馬ができている。
次戦の黒船賞では、2番枠から躓いて後手を踏み、後方外々を回る競馬で5着に敗れ、その次走のオーバルSでは2番枠からかなり押して逃げたが、(2)スマイルウィにプレッシャーをかけられて、前後半3F35秒2-38秒1のオーバーペースで逃げて6着敗退。その後の2戦は1200m戦で、忙しい競馬となり、5着、7着に敗退した。
ラプタスは1400mがベスト。最近は1400mでもやや追走が忙しくなっているので、1500mへの距離延長は歓迎と見ている。今回はスマイルウィのほうが内枠なので、同馬にプレッシャーをかけていくことも可能だ。今回は同型馬の(4)サンライズホークや(8)ヘリオスはテンが速くないので、ハナへ行く気になれば逃げられるが、2列目でも悪くないと見ている。本馬の前でレースの流れに乗っての体勢逆転を期待する。
○ (11)シャマル
短距離のダートグレードで4勝の実力馬。昨年の黒船賞では4番枠から五分のスタートを切って、好位の内を前の馬とのスペースを作って追走。3~4角でそれを詰めて4角で砂厚の深い最内から抜け出し、直線序盤で外に誘導しながら一気に先頭。そこから後続との差をじわじわ広げ、3馬身差で完勝した。
シャマルは一昨年のマイルCS・南部杯3着やチャンピオンズC5着の実績もあるが、昨年の黒船賞では自己最高指数を記録しており、やはりダ1400mがベスト。本馬は前走の根岸Sでは好位の最内をスペースを作って追走。3~4角で前との差を詰めて、前の馬の砂を被る場面でも我慢が利いていたが、砂を被らない競馬がベスト。そういう意味でも今回の外枠は好ましく、長期休養明けをひと叩きされての前進を期待したい。
▲ (2)スマイルウィ
一昨年の京成盃グランドマイラーズで、当時の南関東トップクラスのカジノフォンテン、ギガキング、モジアナフレイバーを降して優勝すると、その後、1400mから1600mの南関重賞やダートグレード競走で10戦連続で連対。昨年はさきたま杯、オーバルスプリントでも2着と好走した。
3走前のオーバルスプリントは、3番枠から好スタートを切ったが、内から◎(3)ラプタスがハナを主張したので、競らずにその2番手を追走。外からドライスタウトがプレッシャーをかけてきたので、結果的にスマイルウィはラプタスにプレッシャーをかけて行く形。3角で外からドライスタウトが並びかけてくると、それに抵抗して4角先頭。直線でしぶとく粘っていたが、最後に差されて3/4馬身で敗れた。
しかし、前後半3F35秒2-38秒1の超絶ハイペースの2番手を追走しての2着は好内容。南関東の1400m~1600mでは無敵だが、中央馬が相手のここでも能力上位の存在だ。しかし、今回は2番枠。1400mだとそこまでテンが速くないので、砂厚の深い内に押し込められる危険性もある。また、外に出すには早仕掛けしていく必要性がある。スマイルウィは地方馬だからなのか舐められた人気だが、連対を外すとすれば、アウェイのここである気がしてならない。
△ (9)サンライズホーク
芝のデビュー戦は大敗したが、ダートに転じて怒涛の4連勝で一気にオープン入りを達成した馬。オープンに昇格後の1200m戦ではペースが速くなって追走に苦労していたことから、1Fの距離延長となった前々走サマーチャンピオンでは本命◎に推した。
前々走は12番枠から五分のスタートを切って、ペースをコントロールしての逃げ。向正面で(8)ヘリオスが上がってくると、そこでペースを引き上げ、2馬身差のリードで直線へ。ラスト1Fではさらに後続との差を広げて2馬身半差でゴールした。
本馬は距離を伸ばして前に行くことで、さらに前進。ここでは自己最高指数を記録している。サンライズホークハナにこだわる馬ではなく、前走の兵庫GTでは2番手外でレースを進めて3/4で勝利している。今回もハナを狙って行ける組み合わせではあるが、前々走ほど楽には逃げられない可能性が高いこと、相手も強くなることから評価を下げた。
△ (8)ヘリオス
2021年の秋に東京ダ1400mのグリーンチャンネルCと、霜月Sを逃げて連勝した馬。本馬は一昨年秋のマイルCS南部杯で2着、JBCスプリントで3着の実績もあるが、前記のグリーンチャンネルCが自己最高指数で、一昨年の根岸Sでも2着に善戦しているようにダ1400mがベスト。昨年も黒船賞2着、かきつばた記念2着、そして前々走のペルセウスSでも重賞通用レベルの指数で勝利している。
前走の根岸Sでは4着。前走はまずまずのスタートを切って、そこからは促して内からスッとハナを主張。外からアームズレインが上がってくるのをチラ見して、「ハナへ行くならどうそ」とばかりにペースを上げずに牽制し、楽にハナを取り切る。3~4角でさらに息を入れても、後続も面白いようにペースを落として追い抜こうとしない。結果、後半勝負となり、まさかのキレ負けで4着。
ヘリオスはかつてと比べるとテンの速力が落ちてきているので、前半の入り方は前走くらい遅くても良かったかもしれないが、決め手不足で前半からポジションを取っていく馬となった本馬にとってはやや不本意な結果だった。3~4角でペースを落とさなければもう少し上の着順は狙えていた可能性はある。しかし、今回は逆に同型馬多数で、ペースを上げ過ぎた場合の不安がある。マイペースで1~2番手でレースを進められれば、チャンスありということでまとめたい。
△ (13)ペリエール
昨年のユニコーンSの覇者。3番枠からやや出遅れたが、様子を見ながら好位の中目まで挽回して追走。道中は好位馬群の中でコントロールしながら3角へ。3~4角では前のサンライズジークをマークし、直線序盤で同馬の外に出されると、ラスト2F地点で3馬身差ほどあった先頭との差をじわっと詰めて、ラスト1F地点で先頭に並びかける。ラスト1Fでそのまま突き抜けて3馬身差の完勝だった。
ペリエールは秋の2戦が振るわなかったが、今回はそこから立て直されての一戦。今回はデビュー2戦目のオキザリス賞以来の1400m戦となるが、そこでは勝利しているし、1600mで先行するスピードがあるので、この距離でも問題ないだろう。調子を取り戻せていれば上位争いが期待できる。