■鬼の居ぬ間の賞金加算を狙う馬に期待
2024年の南関東重賞路線が開幕。昨年までは距離2100mの報知オールスターCが年初の重賞レースだったが、今年からは川崎マイラーズからスタートする。今回はエースのスマイルウィこそ不在だが、マイル路線の上位馬が揃っており、波乱が見込めるレースとなった。
今回は昨年1月の大師OP、2月の多摩川OPを勝って、川崎1600mでは2戦2勝のギャルダルが1番人気に支持されているが、同馬はデュードヴァンを前記2レースで下してはいるが、スマイルウィとは戦ったことがない。ここはスマイルウィの存在によって泣かされてきた馬の巻き返しを期待したい。
川崎11R 川崎マイラーズ ダ1600m
◎ (10)アイウォール
○ (1)デュードヴァン
▲ (6)アランバローズ
注 (2)フォーヴィスム
△ (3)ギャルダル
△ (5)アマネラクーン
△ (14)カジノフォンテン
△ (7)ディアセオリー
△ (11)エアアルマス
結論 馬複10-1,6,2,3,5,14,7,11 (8:8:8:6:6:6:4:4) 複勝10 (50)
■有力馬とその評価
◎ (10)アイウォール
3走前に川崎マイラーズを逃げ切り勝ちした馬。同レースでは3番枠から好スタートを切って、そこから押してハナを主張。外から(6)アランバローズがハナを主張して来たので、そこからペースを引き上げ、向正面でも食らいつく同馬を振り落とし、約2馬身差のリードで最後の直線へ。いったんは約3馬身まで差を広げたが、ラスト1Fで14秒2と鈍化したところで、スワーヴアラミスらに2馬身半差まで迫られたが、踏ん張って完勝した。
前々走は前半4F49秒8-後半4F52秒6の厳しい流れ。その流れを自身で持ち込んで、(1)デュードヴァンを3着に下したことは評価できる。前々走のマイルGPでは6着に敗れたが、南関東のエース、スマイルウィに2番手外からプレッシャーをかけていく競馬での失速なので仕方ない。
また前走のビオラ賞は距離1400mと短く、序盤から追っつけて行って4着に失速。しかし、無理に行かせたことで、今回はテンの速力が強化されるはず。ここも同型馬アランバローズや(14)カジノフォンテンが出走しているが、2番手でも好走実績があるし、3番手でも悪くない馬なので、ここは期待したい。
○ (1)デュードヴァン
一昨年夏ののJRAオープン・阿蘇S(ダ1700m)を逃げ切り勝ちした実績馬。南関東移籍後の川崎1600mのオープンで連続2着に善戦し、4走前の川崎マイラーズや前々走のマイルGPでも3着に好走している。
◎(10)アイウォールとの対決になった4走前の川崎マイラーズCでは、1番枠からまずまずのスタートを切って、いったんアイウォールの直後まで出し、そこから位置を下げて中団最内を追走。3角手前で外に誘導し、仕掛けて3列目の外で最後の直線へ。そこからしぶとく伸び続けて前の2頭をかわしたが、最後に外からスワーヴアラミスに差されてクビ差の3着に敗れた。
また前々走のマイルGPでは、大外8番枠から五分のスタートを切って、中団を追走。3角の一気のペースアップで後方2番手まで下がって最後の直線で外へ。そこからもう一度伸びて前に迫り、勝ち馬スマイルウィと3馬身差に善戦した。前々走は前有利な流れだったが、スマイルウィ、アイウォール、(6)アランバローズらが競って行く展開なら、2着はあったレース内容だった。
本馬はあまりスピードがある馬ではないので、前半が速ければそこで置かれて、3角で速くなればそこで置かれてと、勝ちに行く競馬ができないぶん、常に善戦できている。このタイプは馬群を馬群を捌いていく競馬が苦手なので内枠よりも外枠のほうがいいが、4走前のような競馬ができればこの枠でも善戦が可能だ。
▲ (6)アランバローズ
3年前の全日本2歳優駿で、逃げてランリョウオーに5馬身差をつけて優勝した実績馬であり、その後の東京ダービーも制した馬。古馬になってからはやや伸び悩み気味ではあるが、4走前のサンタアニタTではスマイルウィの外2番手を追走し、最後の直線で馬体を合わせてのマッチレースを演じるなど、実力はある。
5ヵ月の休養明けとなった前々走の川崎マイラーズCは、逃げる◎(10)アイウォールを突きバテして大差の10着に大敗。休養明けで13Kg減という事象が示すように、まともな状態ではなく、心房細動だった。
前走・マイルGPではスマイルウィや◎(10)アイウォールに競り掛けることなく、無理をさせずの2列目の外を追走。心房細動明けだったため、無理をさせていなかったが、ひと叩きされての今回はアイウォールよりも内枠を引いたことで積極的に出して、逃げることも視野に入れてくると推測される。上手く逃げられればチャンスがあるだろう。
注 (2)フォーヴィスム
5走前のJRA3勝クラス・鎌倉Sの勝ち馬。5走前は9番枠から好スタートを切って、先行争いに加わったが、そこで下がって好位の直後を追走。道中は前2頭が飛ばして行ったため、やや離れた5番手を追走し、最後の直線でしぶとく伸び続けて、1馬身3/4差で完勝した。
5走前はパサパサダートで前半3F34秒6-後半3F37秒5のかなりのハイペース。前に行った2頭がフォルツァエフとレイニーデイがブービーと最下位に敗れる流れを、好位から押し切ったことは評価できる。
本馬はJRA時代に時計の掛かるハイペースで指数が高かったことから南関東へ行くのは悪くないと見ていたが、前走の神奈川記念でも2番枠からかなり押して2列目の最内で追走し、3角2番手から先頭に立ったヴィブラフォンを追いかけて4着と、悪くない走りを見せた。今回は相手が楽になり、斤量馬も他馬と比較して2Kgも軽くなるだけに要注意だ。
△ (3)ギャルダル
昨年1月の大師OP、2月の多摩川OPを勝って、川崎1600mでは2戦2勝。昨年3月のフジノウェーブ記念では、初重賞制覇を達成した。3走前の多摩川OPでは2着○(1)デュードヴァンに1馬身半差で勝利しているが、同レースはキャッスルトップが大逃げを打って、前半4F49秒7-52秒9の速い流れ。外一気に差し切った本馬よりも、3番手から4角で先頭に立ち、しぶとく粘ったデュードヴァンのほうが強い内容だった。
前々走のフジノウェーブ記念では12番枠から好スタートを切って好位の中目を追走。3~4角では外から2列目まで上がって直線へ。そこからしぶとく伸び続けて、残り100mで逃げ粘るギシギシを捉え、内を突いて上がったアヴァンティストを差し切ってアタマ差で勝利した。
アヴァンティストは昨年1月の中京ダ1400m戦、すばるSでテイエムサウスダンの2着を始め、中央のオープンで活躍していた実績馬だが、南関東に移籍してからは、まだオープンも勝ってはおらず、そこまで強烈な馬ではない。
長期休養明けの前走・ビオラ賞は、7番枠から五分のスタートを切って、好位馬群の中目を追走。頭を持ち上げる場面があるほど掛かっていたが、3角で2列目の最内に入れて、3~4角で我慢させる。特選では前が4頭が横並びの壁となり、仕掛けを待たされたが、ラスト1F手前で前の狭い間を割って抜け出し、外から上がったボンディマンシュとのマッチレースを半馬身差で完勝した。
前走は3着馬に4馬身差をつけているように強い内容だったが、長期休養明けで能力を引き出されてしまっただけに、今回での二走ボケの危険性もある。この一戦は取りこぼしても不思議ないので評価を下げた。
△ (5)アマネラクーン
前々走のプラチナC2着馬。同レースでは2番枠から好スタートを切って、好位の内4番手を追走。向正面で前3頭がペース引き上げ、そこで差を広げられたが、3~4角で前との差をやや詰めて4角出口で前3頭の外へ。そとからしぶとく伸びて、残り100mで抜け出したサヨノグローリーに迫り、アタマ差2着と好走した。
アマネラクーンは次走のゴールドCでも3着に善戦。ここではジョーパイロライトがスマイルウィのハナを叩いて先頭に立ったところで、折り合いを欠いた(12)ジャスティンが競り掛けて、前半3F35秒8-後半3F39秒4の超絶ハイペース。中団やや後方の最内で脚をため、3~4角で仕掛けて外に誘導した本馬は展開に恵まれる形となったが、2着ブラックパンサーよりは先に動いて、勝ち馬スマイルウィと0.3秒差に善戦している。今回は初めての1600m戦になるが、ひと叩きされての前進に期待する。
△ (14)カジノフォンテン
2021年はJpnⅠ・川崎記念を逃げ切り、同年のかしわ記念でも優勝した馬。そのかしわ記念では6番枠から好スタートを切って、内の逃げ馬に行かせ、その外3番手を追走。向正面でじわじわ位置を上げ、4角先頭から踏ん張り、ソリストサンダーの強襲をアタマ差しのいで優勝した。
本馬はその後にスランプになったが、一昨年は強豪相手の川崎記念で5着、一昨秋の勝島王冠でも3着、そして3走前の大井記念では2着に好走するなど、ある程度は復調している。というよりは、かつてと比べるとテンのスピードに衰えを見せているが、現状の能力は出し切れる状態になっているはず。
休養明けの前走・勝島王冠はオーバーペースの逃げ。馬場の内側が伸びない状態だったが、外からライトウォーリアに蓋をされて外には出せず、結果、最下位の15着に大敗した。通常ならさすがにもっと走れるはるなので、ここは巻き返しを警戒しておきたい。
△ (7)ディアセオリー
2023年11月のJRAオープン、霜月S(ダ1400m)で3着に善戦すると、その次走の師走S(ダ1800m)でも3着と好走した馬。師走Sは3番枠から好スタートを切って、かなり押していったんハナから、外からハナを主張する各馬に行かせて位置を下げ、中団の最内を追走。3~4角で内から外目に誘導して、直線序盤では好位の外。そこからしぶとく伸び続けたが、外から一気に来られて、勝ち馬キタノヴジョンと2馬身半差だった。
昨年は一度も3着以内はないが、3走前の大沼Sでは3番手から向正面で内から逃げ馬ペプチドナイルに並びかけて行く競馬で5着に善戦している。休養明けの前々走の太秦Sでも致命的には崩れていないので、相手弱化のここは警戒しておきたい。
△ (11)エアアルマス
2020年の東海Sの優勝馬。同レースでは7番枠からまずまずのスタート切って、押してハナを意識したが、他が速いのでそれらに行かせて好位の外を追走。3~4角ではインティが絡んで来たので、先頭列に並びかけて直線へ。早仕掛けではあったが、そこから押し切って半馬身差で勝利した。
本馬はキックバックが苦手で、包まれると終わる馬。またさすがに東海S優勝時ほどの勢いはないが、それでも前々走の東京スプリントでは5番枠からテンに置かれてそのまま位置を上げ、外を狙う形で5着に善戦している。もともとの実績を考えれば距離が長くなるのは悪くないし、気性面から外枠も好ましい。人気もそれほどないので、警戒しておきたい一頭だ。