新旧フェブラリーSを制したカフェファラオとレモンポップはどちらが強く、どちらがここへ向けての本気度が高いのか? 初ダートのサウジCで4着に善戦したジオグリフなど、進行勢力はどこまで地力を付けているのか? とても楽しみな一戦となりました。
盛岡12R マイルCS南部杯 ダ1600m
◎ (2)カフェファラオ
○ (3)レモンポップ
▲ (9)ジオグリフ
注 (7)ノットゥルノ
△ (1)タガノビューティー
△ (6)レディバグ
△ (12)イグナイター
結論 馬連2-3,9,7,1,6,12 (18:12:8:4:4:4) 複勝2 (50)
■有力馬とそのコメント
◎ (2)カフェファラオ
2021年、2022年のフェブラリーSの覇者であり、昨年の南部杯も優勝した砂のマイル王者。特に2021年のフェブラリーSは3番枠からやや出遅れたが、そこからかなり押して2列目の一角に加わっていく形。逃げ馬から離れた好位の最内を追走した。3~4角で前のスペースを詰めて、4角でやや外に出し、直線序盤で先頭列2頭の外に出されるとラスト2Fで2番手に上がり、ラスト1Fで抜け出したところで、外からエアスピネルに3/4まで詰められたが、余裕を持って振り切った。
本馬が2021年のフェブラリーSで記録した指数は、(3)レモンホップが優勝した今年のフェブラリーSの指数と同等なもの。昨年のフェブラリーSも南部杯も低調だったが、当時の能力を出し切れれば突破できるはず。
レモンホップも強いが過去10年を見ても、6月以降のレースに出走していない同年のフェブラリーSの優勝馬、は、2013年のグレープブランデー・4着、2018年のノンコノユメ・4着とこの舞台でことごとく敗れているだけに(ちなみに同年のかしわ記念の優勝馬や、前年の南部杯の優勝馬も、同年の6月以降に不出走だった馬は敗れている)昨年同様に芝の安田記念を叩いてここが目標の本馬を本命馬とした。
○ (3)レモンポップ
3走前の根岸Sで初重賞制覇を達成すると、前々走のフェブラリーSをも優勝。前々走では7番枠からまずまずのスタートを切って、そこから促されるとハナへ行くかのような勢いで先頭に立ったが、スッと控えて好位の外目を追走。3~4角のペースが落ちたところで馬なりで4角2列目まで上がって直線へ。追い出されるとスッと加速してラスト2Fで抜け出し、後続と2馬身1/4差。ラスト1Fで甘くなってレッドルゼルらに詰め寄られたが、1馬身差で振り切った
今年のフェブラリーSは、出遅れて最後方から一気のメイショウハリオが3着に食い込んでいるように、前半4F46秒6-後半4F49秒0のかなり速い流れ。この流れを先行策から押し切ったことは評価できる。指数も申し分なく、「東京1400m専用機」の汚名を返上することが出来た。
しかし、フェブラリーS時にラスト1Fで失速しかかった辺りから、高いレベルでは1600mはやや距離が長いように思う。それでも昨年のこのレースの2着馬ヘリオスなど、1400m路線馬が活躍する軽いダートの盛岡なら、そこに不安はない。ただただ前記したように今年3月以降、レースを使われていない点を嫌った。
▲ (9)ジオグリフ
休養明け&初ダートとなった3走前のサウジCで4着と好走した馬。同レースでは12番枠から五分のスタートだったが、そこから押して好位の中目まで上がって行く形。最終的にはオーバーペース逃げるパンサラッサの外2番手を追走した。残り50mで甘くなって、そこをカントリーグラマーや◎(2)カフェファラオに差されたが、勝ちに行く競馬でカフェファラオとアタマ差だった点は高い評価ができる。
その次走のドバイワールドCは休養明け好走の反動で11着に大敗したが、初ダートで世界を相手にそれなりの結果を出せたのは、ダートでの素質が高いということ。前走で芝の宝塚記念を叩いて、おそらくここが目標だけに、3番手評価とした。
△ (1)タガノビューティー
初めてのブリンカー着用で挑んだ今年初戦の根岸Sで4着と善戦すると次走のコーラルSで1着。そして前々走のかしわ記念(JpnⅠ)でも2着と好走した。前走は13番枠から五分のスタートを切って、そこから押しながら中団外を追走。向正面では中目からハヤブサナンデクンの後ろまで押し上げ、3~4角では先に動いた同馬の直後から進出し、直線で外に誘導。外のメイショウハリオと併せて3番手まで上がり、ラスト1Fでハヤブサナンデクンを競り落として、メイショウハリオとはクビ差だった。
前走のプロキオンSは前々走を大目標にした後の一戦らしく、昨年の南部杯時の(8)ソリストサンダーのように崩れたが、本馬は芝スタートだとテンに置かれすぎてしまう面があるので、道中で位置を挽回できる東京1600mならともかく、小倉1400mはとても向かない。
そういう意味でダートスタートの盛岡1600mは合うが、船橋のようにタフな馬場ではない点が減点材料。盛岡は前へ行った馬が簡単には止まらないので、評価を下げた。
△ (6)レディバグ
昨夏のスパーキングレディーCの2着馬。同レースでは8番枠から軽く躓いてやや出遅れたものの脚の速さで楽に前へ。外からショウナンナデシコらが内に切り込んで来たので、それを行かせて好位馬群からやや離れた6番手を追走。このレースはショウナンナデシコがサルサディオーネを突いて行ったことでペースが速くなったが、それを「待ってました」という待機策で、直線一気の競馬で早め先頭に立ったショウナンナデシコにクビ差の迫った。
しかし、前々走となる今年のスパーキングレディCーでは、初重賞制覇を達成。同レースでは7番枠から好スタート、好ダッシュで押し出されるように2列目の外を追走。1角では単独2番手。3角手前から逃げ馬ノーブルシルエットがペースを引き上げた中で、それに食らい付いてラスト1Fで同馬を捉える。外からスピーディキックが一気に迫って来たが、それをクビ差振り切った。
前々走は長くいい脚が使えており、強くなったことを思い知らされた。本馬は1400mは追走に忙しく、前走のサマーチャンプインは善戦するも3着だったが、マイルならばいい走りが見せられるはず。ただここは相手が強いのも確か。前へ行く馬が楽な展開になればチャンスありと言った評価になる。
△ (12)イグナイター
昨年の黒船賞とかきつばた記念の覇者。本馬はヘリオスに1馬身差をつけたかきつばた記念が自己最高指数になるが、当時は開催前に内に砂が足されて内の砂厚が深い状態。1番枠から好発を切ってうまく中目に出して3番手を追走し、3~4角で進出しながら4角で外に出されると、そこからしぶとく伸びて優勝した。黒船賞もかきつばた記念も中目から4角で上手く外に出す、インが深い馬場状態の勝ち方を知り尽くした、田中学騎手の手腕によるものもあった。
しかし、スタミナが不足する休養明けで距離延長となった昨秋の南部杯でもシャマルと1馬身差の4着に善戦。シャマルは15番枠で外々を回るロスが生じたが、本馬も休養明けという不利な条件を克服し、好位の内からしぶとく伸びていた。
本馬はその後がひと息だったが、前々走のさきたま杯では3番枠から好スタートを切って好位の最内から、最後の直線で抜け出して優勝と完全復活。クビ差2着は南関のスマイルウィだが、指数上は昨年の南部杯と同等のもので、なかなかのレベルだった。本馬はおそらく距離が延びる点は好ましくないが、軽いダートならこなせないこともない。休養明けを叩かれてのここは警戒しておきたい。