■昨年のマーキュリーCの再現はあるのか?
昨年のこのレースはメイショウフンジンが逃げたが、向正面でテリオスベルが捲ってペースアップ。結果、前が苦しくなって差し馬が台頭する流れになった。昨年は調子を落としていたメイショウフンジンが、序盤からかなり押してノーヴァレンダのハナを叩いて逃げたのが敗因のひとつ。向正面でテリオスベルとやり合ったことで消耗し、7着と大敗してしまった。
今回は昨年とそこまで大きく変わらないメンバーだが、前に行きたいノーヴァレンダやケイアイパープルは不在。メイショウフンジンの状態もいいので、昨年と似たような展開になったとしても、同じような結果にはならない可能性が高いと見ている。
盛岡12R マーキュリーC ダ2000m
◎ (13)メイショウフンジン
〇 (7)バーデンヴァイラー
▲ (9)ウィルソンテソーロ
△ (2)サンライズホープ
△ (3)ヴァケーション
△ (4)テリオスベル
結論 馬連13-7,9,2,3,4 (16:16:6:6:6) 複勝13 (50)
■有力馬とそのコメント
◎ (13)メイショウフンジン
今年に入ってアルデバランS、仁川Sを1~2番手でレースを進めて連勝と、地力強化を感じさせる馬。前々走の平安Sも9番枠から五分のスタートを切ったが、出ムチを入れてかなり押して2番手を追走。ハナへ行けなかった時は向正面から動く、外枠のテリオスベルを意識して、すぐに外に進路を切り替えられるように内を開けて追走していたが、これが裏目。
そこにグロリアムンディに入られ、そこからペースアップ。3~4角で2頭分外を回るロスが生じたばかりではなく、ペースが厳しくなって5着に敗れた。逃げたロードヴァレンチが13着に大敗したことを考えると、負けて強しの競馬だった。
休養明けの前走・三宮Sは14番枠。ここでも五分のスタートを切ったがハンデ戦で斤量が57.5Kgと重く、前々走以上に前に行くのに苦労していた。しかし、それでも逃げ馬の外2番手を追走。4角で外からニホンピロスクーロやコルテジアが早めに上がって来たので、被されないように本馬も早めに動いて直線序盤で先頭。ラスト1Fで甘くなって、そこを4頭に差されて5着に敗れた。
昨年のマーキュリーカップ時はその前走でハイペースの逃げ切り勝ちと、能力を出し切ってお釣りがなく7着と大敗の結果だったが、今年は余力がある。また今回のメンバーならば楽に前に行けるだけに、ここでのがんばりが期待できる。
〇 (7)バーデンヴァイラー
昨年3月の総武S勝利時にすでにダートグレード通用レベルの指数を記録し、昨夏のマーキュリーCで初重賞制覇を達成した馬。マーキュリーCでは8番枠から五分のスタートを切って、前4頭からやや離れた中団の内を追走。向上面序盤で外に誘導し、テリオスベルが3角手前で捲って先頭に立つと、それを追い駆けるように3~4角の外からじわっと進出し、3番手で直線へ。序盤でノーヴァレンダをかわして2番手に上がり、ラスト1Fでテリオスベルを捉え切ってクビ差で勝利した。
昨年のマーキュリーCは(4)テリオスベルが向正面で捲って先頭に立ち、一気にペースアップ。それにより前が崩れて本馬は展開に恵まれる形となったが、今年も恵まれる可能性はある。
その後のシリウスS、チャンピオンズCでは2桁着順大敗と不甲斐ない結果だったが、休養させたことで本来の調子を取り戻し、3走前の佐賀記念では復活のV。前々走の名古屋大賞典はその反動で3着に敗れたが、そこから立て直された前走・目黒記念では実績のない長距離の芝で18着大敗も、好スタートを切ってハナを主張する行きっぷりの良さは見せていた。調子は良さそうなだけに、ここでの巻き返しの期待が高まる。
▲ (9)ウィルソンテソーロ
6走前の初ダートの未勝利戦では、3番手から最後の直線早めに抜け出して、3勝クラス通用域の指数で勝利した素質馬。その後2勝クラス、3勝クラスを連勝。前々走の名古屋城Sは、8番枠からまずまずのスタートを切ったが、内の馬が外によれて、タックルされる不利。そこから狭いところを通って位置を上げ、好位外まで挽回して追走。最後の直線序盤でしぶとく伸びてはいたが、ラスト1Fで甘くなっての9着に敗れた。
前々走時はダ1800mで1分50秒2の好タイム決着となったように、超絶高速馬場。スタート直後の不利を挽回するのに脚を使ったことや終始3頭分外を回るロスを考えれば、崩れても仕方のない内容だった。しかし、能力を切れずに敗れれば巻き返すのが競走馬の宿命。前走のかきつばた記念では初重賞制覇を達成した。
前走は8番枠から五分のスタートを切って、好位外を追走。2周目向正面では外からルーチェドーロが捲って来たが、それをやり過ごして4角で外に出して先頭列で直線へ。直線では本馬が上がってくるのを待っていたドライスタウトと追い比べになったが、それをハナ差で制した。今回はそこから楽をさせての一戦。休養明けで距離延長となると楽な条件ではないが、ダートのキャリアが浅い馬だけにさらなる伸びしろがあっても不思議ない。
△ (2)サンライズホープ
昨秋のみやこSでは、一昨年のシリウスS以来の重賞制覇を達成した馬。本馬は揉まれ弱い馬で、それまでは前でレースを進めていたが、楽に2列目の外を狙えるほどのスピードはなく、同レースでは14番枠から出遅れ。後方外から向正面で中団まで上がって行く競馬となった。3~4角でも中団外からかなり押して4角大外と相当ロスを作りながらも直線序盤で好位まで押し上げ、一気に先頭。内からハギノアレグリアスに食いつかれたが、アタマ差振り切って勝利した。
みやこSは平均ペースで、けっして前が失速していないことを考えると強い内容だった。揉まれずに行けるならば、当然、ここでも有力だが、今回は内枠。また前2頭が競り合って、差し馬有利の展開となった前々走のアンタレスSでは、出遅れて後方から上手く外に出して追走しながらも10着に敗れたことから、本調子にない可能性もあるが、今回、先行勢が手薄な点は好ましく、買い目に加えた。
△ (2)ヴァケーション
昨年のマーキュリーCの3着馬。昨年のこのレースは1番枠から好スタートを切ったが意図的に控えて、外の各馬に行かせる形。中団の最内を追走し、向正面で(13)メイショウフンジンと(4)テリオスベルがやりあってペースアップする中、ワンテンポ待って、3~4角で中目に誘導して動いて行く形。直線でバテた馬を交わして3着に浮上した。3着と言っても前2頭に6馬身離されての3着だった。
今年も赤松杯から始動して、シアンモア記念、みちのく大賞典と昨年と同じ臨戦過程。昨年同様に展開に恵まれれば、ここでも通用の余地があるが、今年は昨年より先行馬が手薄なだけに、昨年ほどペースが上がらない可能性が高いと見ている。
△ (4)テリオスベル
これまでの6勝中5勝が逃げ切り勝ちという、前に行って持久力を活かしてこその馬。特に前半4F48秒3-後半4F53秒4の超絶ハイペースで逃げ、後続を失速させて2着馬グランブリッジに2馬身、3着馬ショウナンナデシコに9馬身差を付けて逃げ切った4走前のクイーン賞の内容が強かった。
しかし、本馬は昨年のこのレースのように、向正面で動いて捲る競馬もダメではない。昨年は2番枠から好スタートを切りながらもハナを切れず、早々と外に進路を切り替え、中団外から3角でハナを取り切る競馬。そのまま押し切りを図ってのクビ差2着だった。今回で昨年のような競馬が出来ればここもチャンスがあるが、当時と比べるとテンの速力が落ちてきているのが不安な材料である。