2023年 かしわ記念の予想 – 競馬予想 – 山崎エリカ –

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2023.05.04
2023年 かしわ記念の予想

■レベル疑問のかしわ記念

トップクラスのサウジC遠征やギルデッドミラーの直前回避などで、レベルが疑問視された今年のフェブラリーSから派生する今回のメンバー構成。今年のフェブラリーSはレモンポップが例年の水準レベルの指数で優勝して、何とか「GⅠ」としての面目は保たれたが、そのレモンポップは昨年の武蔵野Sから2pt(0.2秒差)、根岸Sから指数を1pt(0.1秒)上昇させただけのものだった。

つまり、今年のかしわ記念は、今年の根岸S辺りとそう変わらないメンバー構成であるということ。今年もカジノフォンテンが勝った一昨年のように、レベルが低年になりそうだ。

船橋11R かしわ記念 ダ1600m
 ◎ (13)タガノビューティー
 〇 (7)ハヤブサナンデクン
 ▲ (3)スピーディキック
 △ (2)メイショウハリオ
 △ (4)シャマル
 △ (1)ヴァレーデラルナ
 △ (12)イグナイター
 △ (6)カジノフォンテン
結論 馬複13-7,3,2,4,1,12,6 (12:12:8:8:4:4:2) 複勝13 (50)

■有力馬の紹介

◎ (13)タガノビューティー

 初めてブリンカーを着用した前々走の根岸Sで勝ち馬レモンポップと0.3秒差の4着に善戦した馬。1回東京開催はタフな馬場、さらに根岸Sではオーロラテソーロとヘリオスが競り合って、かなりペースが速くなり、前が崩れる展開。その展開を利して後方外からじわっと位置を押し上げ、3~4角で3着馬バトルクライの外から動いて直線序盤で同馬と叩き合いでしぶとく伸びて4着に食い込んだのが本馬である。

 前走時は長くいい脚を使えているだけに、マイル戦でも問題ないし、実際にオープンとしては超ハイレベル戦となった、昨秋の東京ダ1600m戦グリーンチャンネルC(1着馬はダートでは3戦3勝のデシエルト、2着馬は次走・武蔵野S勝ちのギルデッドミラー)では、上位2頭にやや離されたが、3着に善戦している。

 また、前走のコーラルSは前々走ほど走っておらず、今回に向けての余力を残せている。船橋は外差し有利な馬場状態で今回は13番枠と外枠にも恵まれただけに、本馬を中心視した。

〇 (7)ハヤブサナンデクン

 わずかな差ではあるが最高指数、近走指数ともにここでNO.1の馬。本馬が最高指数を記録したのは、6走前の三宮S(OP)時になる。同レースでは10番枠から五分のスタートを切り、外から内に切れ込む2頭を上手く行かせて好位の外を追走。このレースはトップウイナーが2角の内からハナを奪って緩みない流れになったが、本馬は向正面で徐々に位置を上げ3角では2列目の外。3~4角でも持ったまま先頭列に並びかけ、直線序盤で楽に先頭に立って6馬身差というインパクト大の競馬だった。当時の2着馬が後の川崎記念で3着となるニューモニュメントである。

 本馬は復帰戦の昨秋のシリウスSでは、4角で好位の中目で包まれ、直線ではしばらく前が壁になる場面もあり7着に凡退したが、そこからレースを使われるごとに良化。近走では東海S・3着、マーチS1着と復調している。

 本馬はキレる脚はないがバテない強さのある馬。スマイルウィが予定どおりに出走し、前走の京成盃グランドマイラーズのように消耗戦に持ち込んでくれれば、かなりチャンスがあると見ていたが、同馬の回避により、一転して逃げ馬不在。今回はさすがにそこまでペースが上がらない可能性が高い。よって、対抗評価とした。

▲ (3)スピーディキック

 一昨年末の東京シンデレラマイル以降、敗れたのは中央馬が相手の関東オークスと前走のフェブラリーSのみ。昨秋は戸塚記念とロジータ記念を連勝。そこから2.5F距離が短くなった、前々走の東京シンデレラマイルでも、2番枠からまずまずのスタートを切り、外の各馬に行かせて中団最内を追走。3角内から動いて4角で好位の外に出されると、直線一気に突き抜けて3馬身半差で楽勝した。

 前走のフェブラリーSは、13番枠から五分のスタートを切ったが、そこから位置を下げて3角の内を狙う形。3~4角をロスなく立ち回り、最後の直線で馬群の内に突っ込み、そこから捌いて行く競馬。レース後に御神本騎手が、「外に出すほどの手応えがなく、内を狙っていきました」とコメントしているように、まさにそういう競馬だった。スムーズに捌けていればもうひとつくらいは着順を上げていた可能性はあるが、外を回っていたらもっと崩れていた可能性はある。

 ただし、今回のメンバーが相手だと能力上位の存在であり、今回も前走時のように序盤は後方の内で脚をタメ、4角で外に出していければ通用しそうだ。乗り難しい船橋のタフな馬場で、南関東所属騎手が乗るアドバンテージもある。

△ (2)メイショウハリオ

 昨年の帝王賞は5番人気ながらテーオーケインズらを撃破し、優勝した馬。同レースは大外9番枠からやや出遅れたが、前半のペースがかなり遅かったこともあり、わりと楽に好位の外を確保。テーオーケインズをマークしながらの追走になった。

 しかし、向正面でスワーヴアラミスが外から捲って一気にペースアップ。これに抵抗して速度を上げたテーオーケインズ、クリンチャー、オーヴェルニュは最後の直線で余力がなく、苦しくなり潰れた。一方、本馬はここでワンテンポ待ち、脚をタメることを選択したことで、最後の直線で余力を残せた面が大きい。帝王賞は本馬が強かったというより、前記した馬たちが自滅したことが大きかったレース。指数も今年の根岸SやフェブラリーSを下回る凡戦で、昨秋の武蔵野Sと同等だった。

 また、前走のフェブラリーSは、大きく出遅れて鞍上もバランスを崩すレベルだったが、押して何とか挽回し、最後方から内を通して、4角出口でちょうど外に誘導する形。序盤の伸びは地味だったが、最後まで伸び続けて優勝した。本馬が3着に食い込めた理由は2つ。【1】タフな馬場でショウナンナデシコが緩みないペースで逃げたことで、前がバテてしまったこと。【2】大きく出遅れたことでスピードに乗せるのが楽で、スピードが乗った状態を維持しながら(ノーブレーキ)で3~4角で最短距離を回って、4角でそのまま外に出せていること。

 つまり、前走のフェブラリーS・3着は過大評価は出来ないということだが、それでも武蔵野Sで勝ち負けできるレベルの力はあるので侮ってもいけない。

△ (4)シャマル

 昨年の東京スプリント、サマーチャンピオン、オーバルスプリントと今年の1200m~1400mの重賞で3勝した馬。さらに距離を延ばしたマイルCS南部杯でも3着に善戦した。マイルCS南部杯では15番枠から好スタートを切って一旦先頭に立ったものの、内の(11)ヘリオス等が抵抗したため、好位の外からの競馬。3角で4頭分、4角で3頭分外を回るロスを作りながらも、しぶとく食らいついてへリオス、カフェファラオの叩き合いの半馬身差まで詰め寄っての3着は、十分に見せ場のある内容だった。

 休養明けの前走・黒船賞は、4番枠から五分のスタートを切って、好位の内目をスペースを開けて追走。3~4角で前のスペースを詰めて4角内から抜け出して直線序盤で一気に先頭に立つと、後続との差をじわじわ広げて2着ヘリオスに3馬身差で圧勝した。前走時は陣営が「休養明けのぶん、いくらか緩さがある」とコメントしているように、実際に追い切りで早い時計が出せていなかったが、その中での勝利だった。

 前走は叩き台だったはずだが、ここでの勝利をどう捉えるかが今回のテーマ。緩かったのに勝利したのは地力強化なのか、鞍上が無理させたのか…。地力強化だったとするならば、ここをアッサリと突破しても不思議ない。

△ (1)ヴァレーデラルナ

 昨秋のJBCレディスクラシックの覇者。JBCレディスクラシックは2番枠から五分のスタートを切り、内を見ながらじわっと上がって2番手の外を追走。3角手前で外からテリオスベルが並びかけてくると、それに抵抗して並走。4角出口で仕掛けて直線で早々と先頭に立つと、しぶとく粘り、外から迫るグランブリッジをクビ差退けた。

 JBCレディスクラシックは、逃げ馬サルサディオーネがペースを引き上げなかったことで前有利の流れ。その流れに上手く乗っての優勝だった。本馬は今年に入ってからもTCK女王盃2着、エンプレス杯2着と順調であり、ここでも展開の後押しがあれば通用するが、今回は1番枠。テンがそこまで速くないので、4角で上手く外に出せない可能性もある。

△ (12)イグナイター

 昨年の黒船賞とかきつばた記念の覇者。本馬はヘリオスに1馬身差をつけたかきつばた記念が自己最高指数になるが、当時は開催前に内に砂が足されて内の砂厚が深い状態。1番枠から好発を切ってうまく中目に出して3番手を追走し、3~4角で進出しながら4角で外に出されると、そこからしぶとく伸びて優勝した。黒船賞といいMかきつばた記念といい、中目から4角で上手く外に出す、インが深い馬場状態の勝ち方を、知り尽くした田中学騎手の好騎乗による勝ち方だった。

 本馬はスタミナが不足する休養明けで距離延長となった昨秋のマイルCS・南部杯でも△(4)シャマルと0.1秒差の4着。シャマルは15番枠で外々を回るロスが生じたが、本馬も休養明けという不利な条件を克服し、好位の内からしぶとく伸びていた。ただし、その後がひと息の内容。今回は12番枠と外枠に恵まれたが、近走内容からは推しにくい。

△ (6)カジノフォンテン

 一昨年はGⅠ・川崎記念を逃げ切り、かしわ記念でも内の逃げ馬に行かせて、その外3番手を追走し、向正面でじわじわ位置を上げ、3角で先頭に並びかけ、4角先頭から押し切る競馬で優勝した馬。同馬はその後にスランプになったが、そもそも前記2レースとも例年と比べると、レベルが低かったことも背景としてある。

 しかし、昨年度は川崎記念では2着エルデュクラージュと0.2秒差の5着に善戦し、京成盃グランドマイラーズでは本来ここに出走予定だったスマイルウィに0.1秒差に迫るなど、ある程度は調子を取り戻せている。前走の東京大賞典はサンライズホープらの捲りで前がとても厳しい流れになっており、10着大敗でも仕方のない内容。今回はそこから立て直されて、追い切りでも本来の姿に近いものを見せられている。

 ただし、かしわ記念の過去10年の3着以内馬30頭中、29頭が同年のフェブラリーS以降に出走していた馬たち。ぶっつけ本番で通用するほど甘くもないのが現状だ。今回は逃げ馬不在、先行馬手薄という状況下で展開に恵まれる可能性が高いが、休養明けを考慮して評価を下げた。

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