■ここが目標の中央馬は不在
前走の鳳雛S(L)を勝利して、目下3連勝の(4)カシマエスパーダは今回が始動戦で次走のジャパンダートクラシックが大目標。休養明けの前走、レパードSの2着馬(1)サトノフェニックスは休養明け好走の反動が懸念される。
(7)サンライズジパングも芝路線で通用しなかったから、JBC2歳優駿で2着の実績があるダート路線に矛先を変えており、芝のレースを使われている間の成長がカギとなる。(10)タイセイミッションは前走で条件戦を勝って惰性でここを使ってきているところがあり、ここが目標の中央馬は不在。地方勢にチャンスはあるが…。
盛岡10R 不来方賞 ダ2000m
◎ (8)フジユージーン
○ (4)カシマエスパーダ
▲ (1)サトノフェニックス
注 (7)サンライズジパング
△ (10)タイセイミッション
△ (5)パッションクライ
△ (6)ブラックバトラー
結論 馬複8-4,1,7,10,5,6 (20:10:6:6:4:4) 複勝8 (50)
◎ (8)フジユージーン
地元水沢、盛岡で無傷の8連勝馬。前々走のダイヤモンドSでは2番枠からトップスタートを決め、コントロールしながらハナを主張。1角でしっかり先手を取ると、リードを広げて5馬身ほどの差で向上面へ。3角では2番手のエドノバンザイに3/4差まで詰め寄られたが、3~4角で馬なりのまま振り切って2馬身ほどのリードで直線へ。序盤で追い出されると2番手に上がったオオイチョウに4馬身ほどの差。ラスト1Fでも差を詰めさせることなく、4馬身差で完勝した
前々走では3走前のスプリングCや前走の東海優駿のように大差勝ちはできなかったが、前記2レースは岩手の馬が相手で2着馬は(2)サクラトップキッド。前々走ではそのサクラトップキッドに2.9秒差を付け、次走の北海優駿の3着馬オオイチョウに4馬身差、3着のエドノバンザイには12馬身差を付けている。
また前走は逃げ馬を突いて失速させ、早々と先頭に立つレースぶりで楽勝しており、能力を出し切っていない辺りに好感が持てる。中央馬が相手の今回は近走から前進する必要があるのだが、前走が余力残しのレースぶりだったので、ここでの前進が少なからずとも見込めるということだ。中央馬はここが目標の馬は不在だけに、フジユージーンに一考してみたい。
○ (4)カシマエスパーダ
前走の鳳雛S(L)を勝利して、目下3連勝。前走は6番枠から五分のスタートだったが、軽く促されると行き脚がついて逃げ馬ブルーサンの外2番手を追走。道中は楽な手応えでブルーサンを突いていく。3~4角でもブルーサンが抵抗し、同馬と3/4差で直線へ。ラスト1F標地点で同馬をかわして追い出されると、突き抜けて4馬身差で完勝した。
前走はカシマエスパーダがブルーサンを突いていったことで緩みない流れとなったが、後のレパードSの3着馬ミッキークレストの追撃を待ったく問題にしなかった。前走でこの馬が記録した指数はミッキーファイトと同等でここではトップ。前走の能力が出し切れればここも勝ち負けとなるが、今回が始動戦で次走のジャパンダートクラシックが大目標となると、ここは取りこぼす危険性もある。
▲ (1)サトノフェニックス
休養明けの前走、レパードSの2着と健闘した馬。前走はまずまずのスタートを切って、そこからは先行策。わりと楽に逃げるブルーサンの外2番手まで上がり、道中も同馬をマークしながら3角へ。3角でブルーサンがペースダウンするとそこで並びかけ、4角では先頭列。直線序盤ですっと加速して先頭に立ち、半馬身のリードを奪う。
ラスト1Fでこの馬をマークしていたミッキーファイトに1馬身差ほど前に出られたが、3着ミッキークレストを寄せ付けることなく、3馬身差で楽に2着を確保した。
サトノフェニックスは4走前の兵庫ジュニアGPで、3~4角で前2頭を捲りに動いたイーグルノワールに対し、外から並びかけて行く大味な競馬で2着に善戦していることから、短距離よりも中距離でこそと見ていた。前走のレパードSでは本命◎-対抗○のド本線で的中したが、前走で狙ったのは前走が目標だったというのも大きい。
今回は休養明けで好走した反動が出る可能性が高いと見ているが、デビュー2戦目のヤマボウシ賞で後の東京ダービー優勝馬ラムジェットトなど、強豪を下して勝利した素質の高さを考えると、大きく印を落とせなかった。
△ (7)サンライズジパング
昨秋のJBC2歳優駿であのフォーエバーヤングと1馬身半差に好走した馬。同レースでは大外12番枠から五分のスタートだったが、じわっと上がって好位の外を追走。3角で前の(5)パッションクライが進出すると、同馬を目標にその外々から動いて4角で先頭。直線序盤でしぶとく伸びていたが、ラスト1Fでフォーエバーヤングに差されて2着となった。
このレースはゲートを出ずに大出遅れをしたブラックバトラーが3着までこれる展開。フォーエバーヤングに向く展開で、3~4角から勝ちに行ったパッションクライやこの馬には厳しい展開だったが、ここでフォーエバーヤングと小差のレースができたことはダート適性の高さを示すもの。
その次走の2歳馬唯一のOP・カトレアSでは、JBC2歳優駿で激戦を強いられた疲れで15着に大敗。この敗戦で賞金不足で全日本2歳優駿への出走が叶わず、芝のホープフルSへ。ここで3着と結果を出したことでその後は芝路線を選択したが、このホープフルSは芝がタフだったことが好走に繋がった面が大きい。実際に重馬場の若駒Sも後方外々からスドンを追い込み勝利している。
芝の重馬場巧者は本質的にはダート馬であることが多いが、今回はカトレアS以来のダート出走。芝のレースを使われている間の成長がカギとなる。また今回は日本ダービー以来の休養明けの一戦であり、ここが大目標ではないだろう。そこを割り引いた。
△ (10)タイセイミッション
前走の3歳上1勝クラスを圧勝し、地方交流重賞のここに名乗りを挙げた馬。前走は8番枠から五分のスタートを切り、押して位置を取りに行ったが、外から被されて好位の内目を追走。1~2角で砂を被って行きっぷりが悪くなったが、2角の出口から向上面序盤にかけて外に誘導し、向正面でじわっと位置を押し上げた。3~4角では3頭分外から先頭に並びかけて直線へ。ラスト1F標地点でクビほど前に出ると、そこからは後続を離す一方。最終的には5馬身差で完勝した。
ただし、前走は前後半4F48秒3-51秒5のかなりのハイペース。圧勝してはいるが、ラスト3F目から減速する消耗戦となっており、展開に恵まれた面も大きい。今回は外枠に入ったことで揉まれない競馬は可能だが、今回は(5)パッションクライがハナを切って、(4)カシマエスパーダがその外2番手を狙う可能性が高く、そこまでペースが上がりそうもない。
また、高速ダートの前々走で15着に大敗していることからも、盛岡の馬場は好ましくないと見ているが、印上位の中央馬が本来の能力を出し切れなければチャンスはありそうだ。