2023年 天皇賞(秋)予想 – 競馬予想 – 山崎エリカ –

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2023.10.29
2023年 天皇賞(秋)予想

今回もかなりの文字数になってしまったので、その他の予想は別途ページを設けますm(__)m。

■35年間も逃げ切りが決まっていない

 天皇賞(秋)は1987年のニッポーテイオー以来、35年間も逃げ切りが決まっていない。歴史上は1991年にプレクラスニーが逃げ切り勝ちを収めているが、これは1着入線したメジロマックイーンの降着によるもの。

 1998年にサイレンススズカは5F57秒4の驚異的なタイムで通過したものの、大欅の向こう側に消え、2015年のエイシンヒカリはデビュー戦以来の折り合う競馬を選択。また2017年は逃げると思われたキタサンブラックは出遅れ、デビュー以来初の後方から道中追い上げる形となった。サイレンススズカで逃げた武豊騎手がその後、天皇賞(秋)で積極的に逃げなくなったのは、東京芝2000mは良馬場でも逃げ切るのが難しいと知っているからだろう。

 なぜ難しいのかというと、Bコース替わりで馬場の内側が良くないのも影響しているが、スタート直後にコーナーがあるため、外枠のテンの速い馬はすぐに内に切り込み、内枠の逃げたい馬はそれに抵抗して序盤から加速、2角で先頭を奪うという意識で騎乗しなければならないからだ。

 序盤からスピードに乗せて行かせたうえに、さらに次の3角までの距離が長いとなると、逃げ馬は容易に息を入れられない。レースの前半3F目までが速くても、4F目で息を入れられれば、最後の直線で余力を残せる。しかし、4F目でしっかり息を入れられなければ、最後の失速に繋がる。

 しかし、10年以上前は5F通過57秒台があたりまえで、56秒台が出る年もあった。しかし、近年は高速馬場の影響もあり、かなりスローペースになる傾向だ。このため過去5年で逃げ馬の2着が1回、3着が2回と善戦している。逃げ切りが決まる日もそう遠くはない。

 ただ、過去10年で5F通過がもっとも速い年で57秒4まで上がっており、展開の振れ幅が広いのも確か。展開を決め打って予想を組み立てるのもひとつの手段だろう。個人的に今年は昨年同様に超高速馬場となっているだけに、ペースが上がらず、前に行ける馬と、決め手ある馬が上位を独占するような形になると見ている。

本日1番 東京11R 天皇賞(秋) 芝2000m
 ◎ (4)ダノンベルーガ
 ○ (7)イクイノックス
 ▲ (10)ジャックドール
 注 (3)ドウデュース
 △ (5)ガイアフォース
 △ (6)ジャスティンパレス
 △ (9)プログノーシス
結論 馬連4-7,10,3,5,6,9 (17:12:12:3:3:3) 複勝4 (50)

■有力馬とそのコメント

◎ (4)ダノンベルーガ

 前々走のドバイターフの2着馬。前々走は4番枠から五分のスタートを切って促していたが、窮屈になって下がり、後方2列目の中目からの追走。3~4角では包まれて最後方まで下がったが、4角で必死に追いながら中目を通って直線へ。直線序盤でも進路が作れずバタバタしていたが、中団中目を捌いて残り300mで外に出されると、そこから一気に前に迫り、ロードノースに3/4差まで迫った。

 本馬は中団内々で脚をタメた4走前の天皇賞(秋)で、大半の馬が上がり3F33秒半ばだったなか、(7)イクイノックスに次ぐ上がり3F32秒8を記録しているように、末脚を生かしてこその馬。前々走は3走前で芝2400mのジャパンCを使われ、中団からレースを進めた影響もありテンに置かれ気味で、ややスムーズさを欠いた。しかし、位置取りも本仕掛けも本馬の適性を生かすには悪くなかった。

 直線で早め先頭に立ったなら、ラスト2Fで先頭に立った3走前のジャパンC時のように、甘さを見せていた可能性が高い。実際、自身のラスト2Fも10秒88-11秒10とやや減速しており、1着ロードノースと3着ネーションズプライドが抜け出しかかったタイミングで動いたことが2着好走に繋がったと言える。

 前走の札幌記念は本馬を管理する堀調教師の「目標は秋のレースですし、一度使っておくと仕上げやすいので、今回は馬の状態に合わせて調整していきます」といったコメントを各社が報道していたように、叩き台だったはず。ただレースは中団の中目から向上面で馬場が悪化した内に入れ、そこから上がって行く競馬で4着に善戦。前走まで末脚を生かす競馬ばかりしてきた本馬が積極的な競馬で善戦したことは価値が高い。

 ドバイターフの指数を算出していないためPP指数の能力値5位以内にランクインしていないが、ドバイターフの指数はけっこう高く、厳密には能力値5位以内と推測される。また本馬はライバルたちが休養明けに対して、夏場に使われた強みもある。末脚を存分に生かせる舞台のここは本命馬だ。

○ (7)イクイノックス

 昨年の天皇賞(秋)でGⅠ初制覇を達成すると、そこから何とGⅠを4連勝。その実績は現役世界最強馬である。本馬が自己最高指数を記録したのは昨年暮れの有馬記念。同レースは9番枠から五分のスタートを切って、そこからの行きっぷりが良かったが、折り合い重視で中団馬群の外目、エフフォーリアをマークして追走。3~4角で同馬をアオるように馬なりで並びかけ、先頭列で直線を向かえると、すっと抜け出して2馬身半差の完勝だった。

 有馬記念当日は馬場の良い外をスムーズに走れたのは確かだが、早めに動いて3角後方2番手の2着ボルドグフーシュに次ぐ、メンバー2位の上がり3Fタイムを記録したのは強いの一言だ。ただ、前走の宝塚記念は2着スルーセブンシーズにクビ差まで迫られたように、昨年の天皇賞(秋)や有馬記念と比較すると指数ダウンしている。

 前走は5番枠からまずまずのスタートを切ったが、躓き加減で挟まれそうになったため、ブレーキを掛けて中団、最終的に最後方付近まで下がって、そこからの追走。向正面で外に誘導して3角。3~4角では大外から(6)ジャスティンパレスに蓋をしながら位置を押し上げ、4角でやや膨れてロスが生じた。ただ直線序盤で追われるとすっと先頭列まで上がり、ラスト1Fで抜け出しかけたが、内から食らいついて伸びてきたスルーセブンシーズにクビ差まで迫られる、ギリギリの優勝だった。

 前走は超高速馬場で外枠から逃げるユニコーンライオンにドゥラエレーデがプレッシャーをかけたことで、前半3F通過34秒0と短距離レベルの速さ。5F通過も58秒9と速く、先行馬が壊滅する展開。その流れを最後方付近まで下げたことで、展開に恵まれる形での優勝だった。前走で指数をダウンさせたのは、前々走ドバイSCを圧勝した後の一戦で疲れが残っていたと推測されるが、先行力を喪失していた点が不安材料である。

 またドバイSCを優勝している本馬にとって、昨年のシャフリヤール同様に1着賞金約2億円のここよりも、1着賞金5億円+報奨金約3億円のジャパンCが目標だろう。昨年の天皇賞(秋)もその先が目標の始動戦でありながら優勝しているが、今回出走の◎(4)ダノンベルーガに1馬身差、(10)ジャックドールに1馬身半差だった点を考慮すれば、他馬に逆転される可能性もある。全能力を出し切れなくても勝たれる可能性もあるが、配当に見合わない死角があるので対抗に止めたい。

▲ (10)ジャックドール

 今春の大阪杯勝ち馬。同レースは9番枠からまずまずのスタートを切り、「2番手でもいいよ」という入り方でじわっとハナを主張。前半はそこまで速くなかったが、向正面でペースを引き上げ5F通過58秒9の淡々とした流れ。3~4角でもペースを緩めず、2馬身差のリードで直線へ。ラスト2F11秒4-12秒5。ラスト1Fで失速しかかったが他馬も甘くなり、唯一、突っ込んで来たのがスターズオンアースだったが、それをハナ差で振り切った。

 本馬は昨年の金鯱賞でも向上面からペースを引き上げる形で、2馬身半差の完勝。とても強い勝ち方をしている。前走の札幌記念はトップスタートを切りながらも、馬場の悪化した内を走ることを嫌って、外に誘導しながら他馬に行かせての先行策。稍重で馬場がタフな状況で3~4角で外から押し上げるロスも生じ、直線では苦しくなって失速した。

 本馬は前々走の安田記念で超絶高速馬場も意外とこなせており、すんなり先手を取れそうな今回は怖い。能力値1~4位の馬と◎(4)ダノンベルーガが末脚型であり、それらが牽制し合って仕掛けが遅れるようであれば、一発がありそうだ。

注 (3)ドウデュース

 昨年の日本ダービーでは○(7)イクイノックスを撃破して優勝した馬。同レースは13番枠からやや出遅れ、そこからコントロールして◎(4)ダノンベルーガをマークするように、イクイノックスより2列前の後方馬群の中目を追走。道中もダノンベルーガをマークしていたが、3~4角の外から押し上げるジオグリフを目標に切り替え、直線で同馬の外に出されるとラスト2Fでグンと伸び、ラスト1Fで楽に先頭。最後はイクイノックスに迫られたが、クビ差で振り切った。

 また、京都記念は12番枠から出遅れて後方からの追走。そこから余裕のある入り方で、後方で我慢。1~2角でペースダウンして向正面で馬群が凝縮したところを、コントロールしながら中団の外まで上がって3角へ。3~4角では外から押し上げるマイネルファンロンを目標に動いて、4角では3列目。直線序盤で同馬の外に出されると、グンと伸びて一気に先頭。ラスト1Fでそのまま突き抜けて3馬身半差の圧勝だった。

 日本ダービーも京都記念も逃げ馬がしっかりレースを引っ張り、平均ペース以上の流れ。今回も逃げ馬▲(10)ジャックドールがしっかりレースを引っ張れば、本馬にチャンスが巡ってくる。またイクイノックスは逃げ馬不在のドバイSCこそ押し出されるようにして逃げたが、昨年の有馬記念辺りと比較すると前に行けなくなっている。同馬は総合力が高いが、決め手は本馬のほうが上。超高速馬場の今回で末脚比べの形になれば、日本ダービー同様に逆転のチャンスもある。

△ (5)ガイアフォース

 2歳新馬戦ではラスト2F11秒4-11秒1の流れで、3着馬に3馬身差をつけて2着と好走した馬。当時の勝ち馬は注(3)ドウデュース。4角で外から本馬に並びかけてきたドウデュースとのマッチレースをクビ差で敗れた。この時点で後の活躍は必然で、セントライト記念を優勝するまで出世した。

 今春はマイル路線を使われ、初戦のマイラーズCは2着。芝2200mを使われた後の一戦で7番枠から出遅れたが、二の脚で置かれることなく中団馬群の中目につける形。道中もスムーズにキングエルメスの後ろ辺りを走って3角へ。3~4角ではペースが上がっていく中で進路を作れず、直線序盤では外からソウルラッシュに進路をカット気味に前に入られ、外に誘導。ラスト1Fでもまだ3列目付近だったが、ラスト1Fでしぶとく伸びて同馬を捕らえ、そこをシュネルマイスターに差し切られてのクビ差2着だった。

 前走オールカマーはあくまで叩き台。5着と言っても悲観するものではなく、むしろ能力を出し切らなかったことで今回に向けては順当に上昇が見込める。今回は能力を出せそうだが、問題は能力を出し切ったとして今回のメンバー相手に勝ちきれるほどの能力、瞬発力があるかどうか。後方勢の仕掛けが遅れるなど、展開の助けが欲しいところだ。

△ (6)ジャスティンパレス

 今年の天皇賞(春)で悲願のGⅠ制覇を達成した馬。同レースは1番から五分のスタートを切ったが、そこから押して枠なりで中団まで上がって追走。スタンド前で中目に誘導し、向正面ではディープボンドをマーク。3~4角では同馬を追い駆けてじわっと進出し、4角では2列目の外。直線序盤ですっと伸びて早めに抜け出したディープボンドの外に出されると、楽に同馬を交わしてどんどんリードを広げ、2馬身半差で完勝した。

 天皇賞(春)は逃げたタイトルホルダーの故障の影響もあり、3角手前から大きくペースが緩んだ。そこを外から上手く押し上げたことが功を奏した面はある。しかし、本馬が記録した指数は(9)プログノーシスの札幌記念、○(7)イクイノックスの有馬記念に次いで3番目のもの。

 前走の宝塚記念は9番枠から五分のスタートを切って、レースの流れに乗せていこうとしたが、挟まれそうになったので控えて中団、最終的には後方付近からの追走。道中は中団やや後方を追走していたが、3角手前で前のモズベッロの後ろから外に出して3角へ。3~4角では外々から進出したが、その外からイクイノックスに蓋をされ、それに抵抗して一緒に上がって直線へ。序盤の伸びはイクイノックスに見劣ったが、それでも伸び続けて2列目付近。ラスト1Fで同馬に食らいついてジェラルディーナを競り落とし、3着を確保した。

 前走は前々走を最大目標にした後の一戦だったことを考えると、上々の内容だった。しかし、イクイノックスには完敗。前走は前半3F34秒0とテンが速い流れだったとはいえ、同馬以上にテンに置かれており、この距離だと前走同様に後方からの競馬でレースの流れに乗れない可能性が高い。展開に恵まれればチャンスはあるが、前からでも押し切れるような流れになると連対圏内突入は苦しい。

△ (9)プログノーシス

 これまで10戦6勝2着2回3着1回と3着以内率90%。4走前の中日新聞杯は4着と初めて馬券圏外に敗れたが、このレースは極端なスローペースで、3角手前の下り坂から一気にペースアップ。3~4角で内を回った馬が1、2、3、5着と上位入線する流れだった。本馬は6番枠から好スタートを切りながらもブレーキを掛けて後方2番手を追走し、4角で大外をぶん分回すロスがあった。直線序盤でも進路を作れなかったが、外に出されると1頭だけ違う末脚で伸び、勝ち馬とキラーアビリティからクビ+クビ+ハナ差。ペースが上がらない中、絶望的な位置から距離ロスの大きい競馬でも崩れなかったあたりに強さを感じた。

 前走の札幌記念は今回のメンバーではNO.1の指数で優勝。前走は13番枠から五分のスタートを切って、序盤は無理をさせず後方に近い位置から追走。1角で内に入れ、向正面では内目のスペースを拾って位置を押し上げ、3角では好位。そこから外目に誘導しながら2列目まで上がり、4角2番手で直線へ。序盤で最内から抜け出したトップナイフに並びかけ、そこからは突き抜けて4馬身差の圧勝だった。

 前走はタフな馬場。今回は一転して超高速馬場で行われる。本馬はデビュー2戦目の毎日杯を除いて、国内ではすべてメンバー最速の上がり3Fを記録している。しかし、これまで超高速馬場を使われたことがない点が人気の盲点となる。またタフな馬場の前走で自己最高指数を記録した後の一戦となると、疲れが出る可能性もある。ただし、4走前のような苦しい位置からでも脚力の違いを見せつけていることから、ここも大崩れしない可能性が高い。

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