■東京芝1800mの毎日王冠は前へ行く馬が有利
天皇賞(秋)の前哨戦の毎日王冠は、東京芝1800m戦で行われるもっとも格が高いレース。開幕週らしい超高速馬場で行われるこのレースは、1998年サイレンススズカ、2002年マグナーテン、2015年エイシンヒカリ、2018年のアエロリットとなどの数々の馬が逃げ切りVを決めてきました。2019年のアエロリットの逃げ粘り2着も記憶に新しいところですが、2014年に11番人気のサンレイレーザー(田辺)が逃げて2着に粘り、大波乱の立役者となったことも……。
これまでに数々の馬が逃げ切り、また逃げ馬が穴メーカーとなっているように、東京開幕週で行われる毎日王冠は、平均からやや遅いくらいのペースで逃げれば、逃げ馬を始め前に行ける馬が有利となります。他馬からマークを受ける「逃げ」は本来、不利な戦法ですが、他レースでもっと厳しいレースを経験している逃げ馬にとって、毎日王冠を逃げ切るのは、そこまで難しくないということ。今秋の東京も超高速馬場ですから、前有利の前提で予想を組み立てたいです。
本日1番 東京11R 毎日王冠 芝1800m
◎ (1)レッドベルオーブ
〇 (5)レイパパレ
▲ (9)ジャスティンカフェ
△ (2)ノースブリッジ
△ (4)ダノンザキッド
■有力馬の紹介
◎ (1)レッドベルオーブ
デビュー3戦目にデイリー杯2歳Sを優勝した素質馬ですが、皐月賞後に骨折し、長期休養を余儀なくされました。復帰緒戦となった今年3月の六甲Sでは7着と本来の走りからは遠く、その後のマイラーズCや安土城Sでも6着に敗れました。
しかし、そこから立て直された前走、小倉日経賞では大逃げを打って3馬身差の完勝。距離を1800mに延ばしてハナへ行くことで持ち味が出たよう。本馬はスタートがそれほど速くありませんが、同型馬がノースブリッジなら、ここもハナに行けるはず。ここも上位争いが期待できるでしょう。
○ (5)レイパパレ
デビューから無敗の6連勝で昨年の大阪杯を優勝した馬。大阪杯当日は6レースの後から土砂降りになり、メインレースでは芝の馬場状態が良から重まで悪化。不良馬場と言ってもいいほどタフな状態のなかで、コントレイルやグランアレグリアらを相手にハイペースの逃げを打ち、今回のメンバーではNO.1の指数で優勝しました。
その時点ではどこまで強くなるのかと大きな期待を集めましたが、結果的に休養明けの大阪杯であまりにも強い走りをしたため、大きな疲労が残ったのかもしれません。昨年は大阪杯以降、勝ち星からも見放され、精彩を欠きました。
しかし、昨年暮れの香港遠征から約3ヵ月休養し、疲労がとれたようで、今年に入ってからの金鯱賞、大阪杯の2戦はようやくこの馬らしい走りが見せられました。前走のヴィクトリアマイルでは12着に敗退しましたが、これは明確に距離不足でしょう。
前走は13番枠から出遅れて後方から、押して位置を挽回し、何とか先行させる競馬でした。本馬は下級条件時代から出遅れ癖があるので、特に高速決着のマイル戦は向いていません。今回の芝1800m戦ですら距離が短いと感じていますが、前走よりは条件が良く、ペースが緩めばよりチャンスが出てきます。
▲ (9)ジャスティンカフェ
3走前の小豆島特別より横山典騎手に乗り替わり、超後半型の競馬をすることで良さが出た馬。前々走の湘南Sは14番枠から五分のスタートを切ったものの、二の脚が遅く、後方2番手からの競馬。そこから折り合い重視で乗られ、4角で外を回って直線序盤で大外に出されると、ラスト2Fで一気に突き抜けました。当時の指数は重賞通用レベルの指数でした。
前走のエプソムCでは重馬場でも11番枠から最後方まで下げて乗られましたが、先団からあまりに離されており、4角で外に差す余裕がなく、馬場の悪い内を付いたために前々走から1pt指数ダウンの4着に敗れました。今回は福永騎手に乗り替わりますが、同騎手も積極的に位置を取らない騎手ですし、近2走同様に外枠なのもいいでしょう。追い込み馬だけに、逃げ馬が楽に逃げ切る展開は合いませんが、ここではトップスピードNO.1だけに、上がり勝負にも対応できるでしょう。
△ (2)ノースブリッジ
前々走のアメジストSではマイペースで逃げ切り、前走のエプソムCは3番手からしぶとく粘って、初重賞制覇を達成した馬。前々走は重馬場からの馬場回復で稍重。4番枠からまずまずのスタートでしたが、同型馬が不在だったこともあり、楽にハナを取って主導権を握っての逃げ切りでした。
前走は重馬場。6番枠から五分のスタートを切って、そこから押して前2頭の先行争いに加わって行きましたが、外のトーラスジェミニが引かすに行くので控えて3番手外から、4角で3列目の中目から前のコルテジアに並びかけ、直線序盤は2列目。そこから早め先頭に立って、押し切っての優勝でした。
本馬はこのように逃げても、先行策でもOKの馬。岩田康騎手は無駄な競り合いは好まない騎手ですから、内の◎レッドベルオーブがハナを主張すれば行かせて2列目の競馬をする可能性が高いでしょう。前が有利の展開になれば、上位争いに加われるでしょう。
△ (4)ダノンザキッド
新馬戦、東京スポーツ杯2歳S、ホープフルSを連勝し、2歳中距離王の座に君臨した馬。皐月賞は休養明けでハイレベルの弥生賞で3着と好走した反動や向正面から3角途中までしつこく外からアサマノイタズラにぶつけられる不利もあり、15着大破を喫しましたが、昨秋に復帰して以降は安田隆厩舎の所属馬らしく、マイル路線を使われるようになりました。
本馬は4走前のマイルCSで3着。同レースは前半4F47秒6-後半4F45秒0とマイルGⅠとしては相当ペースが遅く、後半勝負となったなか、13番枠から五分のスタートを切って、中団中目で折り合わせ、3~4角から徐々に加速して3着。ここでは強豪グランアレグリア、シュネルマイスターの決め手に屈したものの、それらと0.2秒差以内のレースが出来たことは褒められます。
また前々走の安田記念は、レースが緩みなく流れて外差し馬が上位を独占する競馬になりましたが、本馬は4番枠から促して好位の内目を上手く立ち回り、最終的には2番手外と位置を取りに行っての6着。結果的にペースが厳しかったし、それで上位3頭と0.2秒差なら上々でしょう。
前走の関屋記念は4走前以上の超絶スローペースで前残りの競馬でしたが、ここでは8番枠からまずまずのスタートを切って、無理せず好位の直後の外で我慢しながら4角へ。ここではメンバー最速の上がりを駆使して勝ち馬と0.1秒差の3着に好走しています。本馬はマイルも意外と悪くないですが、コーナーでやや置かれ気味で忙しい競馬になっているので、もっと距離があったほうがいいでしょう。
結論 馬連1-5,9,2,4 (20:10:10:10) 複勝1 (50)