2024年 スプリンターズSの予想 – 競馬予想 – 山崎エリカ –

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2024.09.29
2024年 スプリンターズSの予想

■ペース上がりやすい舞台も、逃げ候補は競り合わない

 スプリンターズSが行われる中山芝1200mは、外回りの坂の頂上付近からスタートし、約4.5mの坂を下っていくコース。3~4角のカーブが緩いため、下り坂で加速がついたまま4角に進入することになるが、もうひと押しのところで失速し、差し馬が台頭するというパターンが多い。

 スプリンターズSも、中山開催の過去10回で逃げ馬は2着3回、3着1回と一度も勝利がなく、同様の傾向が見てとれる。この傾向は前半からスピードが乗ってしまう超高速馬場でより顕著となる。

 しかし、今年は最終週にして時計が掛かり出しており、逃げ馬候補のピューロマジックとビクターザウィナーが極端に競り合っての前がかりの展開にはならないと想定している。

※昨日のシリウスSはお休みさせて頂きましたm(__)m。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

中山11R スプリンターズS 芝1200m
 ◎ (14)ビクターザウィナー
 ○ (10)ピューロマジック
 ▲ (13)ルガル
 注 (5)ナムラクレア
 △ (3)ウインマーベル
 △ (7)マッドクール
 △ (8)モズメイメイ
 △ (12)サトノレーヴ
結論 馬連14-10,13,5,3,7,8,12 (10:10:10:5:5:5:5) 複勝14 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (14)ビクターザウィナー

 今春の高松宮記念は逃げながらも最後の直線で伸びない外を選択する形で3着に敗れた。しかも、この高松宮記念はセンテナリースプリントCを大目標とし、結果を出した後の一戦である。

 前々走のチェアマンズSPでも抜群のスタートを決めてハナを主張したが、前半は外からハウディープイズユアラブに競られて息を入れられず、3角手前で今度はマッドクールが迫ってきたので抵抗し、ペースを引き上げて苦しくなった。完全なオーバーペースだったが、マッドクールには先着している。

 前走のシャティンヴァーズでは6着敗退。ここではシーズンオフを前に一度使っておきたかったのか、斤量61kgの酷量を背負っての出走だった。ややスローペースで逃げながらも最後の直線で伸びあぐねた辺り、本調子ではなかったと考えられるが、それでも残り300mまで先頭に立っており、見せ場はあった。

 今回は立て直されての一戦。現状、香港馬と日本馬のトップクラスの対決では香港馬が優勢の勢力図がうかがえるだけに、ここは本命馬としたい。

 斤量61kgを背負っても抜群のスタートを決めるほど一完歩目が速いが、昨年の香港スプリントでは外のジャスパークローネを行かせて2番手の外から小差の4着に善戦しているように、控えてもやれる馬。大方の予想に反し、ピューロマジックとそこまで競り合いにならないパターンもあり得るとみている。

○ (10)ピューロマジック

 3歳馬ながら北九州記念を優勝。同レースでは12番枠からまずまずのスタートだったが、スピードの違いで内に切れ込み、同型馬を制すると、そのままペースを緩めずに3角へ。3~4角でも最内を通って2馬身差を維持。直線序盤でヨシノイースターに1馬身3/4差まで詰められた。ラスト1Fでは同馬にさらに詰め寄られたが、しぶとく踏ん張り、半馬身差で振り切った。

 北九州記念当日は時計の掛かる稍重馬場かつ強風で、ハイペースで逃げ切るのは楽ではなかった。それでも、前後半3F32秒3-35秒6の相当なハイペースで逃げ切り勝ち。斤量53kgと恵まれた面はあったが、初速の速さにものを言わせての横綱競馬で新星誕生を予感させた。

 前走のセントウルSは休養明けで好走した疲れで13着敗退。それほど速くないペースので逃げだったが、前々走では消耗戦に持ち込んでの優勝だったことから、大敗しても当然だった。今回は前走で凡走したことで疲れが取れて、変わり身が見込める。

 今回は(14)ビクターザウィナーとの競り合いが予想されるが、ピューロマジックは初速が非常に速い上に、ビクターザウィナーよりも内枠を引いたので、本馬が逃げて、ビクターザウィナーがその外2番手という形で隊列が落ち着く可能性が高いとみている。対抗評価だ。

▲ (13)ルガル

 デビュー当初はダートを使われていたが、芝路線に転向して本格化。芝2戦目、不良馬場で行われた昨年の橘Sを5馬身差で圧勝し、3歳春の時点で古馬OPでも十分に通用する指数を記録した。その後は出遅れやレース中の不利が続いて善戦止まりだったが、前々走のシルクロードSで重賞を初制覇した。

 前々走は4番枠から好スタートを決めてハナを主張したが、最終的には外のテイエムスパーダを行かせて、離れた2番手を追走した。3~4角ではコントロールしながらテイエムスパーダとの差を詰め、4角では持ったままで同馬と半馬身差で直線へ。直線序盤で馬場状態の良い外に誘導してテイエムスパーダをかわし、1馬身半ほど前に出た。ラスト1Fでそのまま抜け出し、アグリの追撃を問題にせず、3馬身差で完勝した。

 シルクロードSで記録した指数は、ここでは1位タイ。昨秋のスプリンターズS出走なら優勝、今春の高松宮記念出走なら(7)マッドクールや(5)ナムラクレアと接戦レベルのものだった。

 しかし、1番人気に支持された前走の高松宮記念では10着敗退。この敗因を悪化した馬場に求める見解もあるが、この馬は不良馬場でも実績がある。となると、シルクロードSで自身がこれまでにないレベルの走りをした疲れによるものが大きいと考えられる。レースからしばらくたった頃に骨折が判明し、今回は休養明けのぶっつけ本番になるが、巻き返して当然の実力がある。

△ (3)ウインマーベル

 前走の京王杯SCを始め、芝1400mの重賞で3勝を挙げた馬だが、2022年のスプリンターズSで2着の実績がある。同レースでは7番枠から五分のスタートを切り、そこからは押しながらの追走で中団中目で落ち着いた。3~4角でも中団中目でややロスを作ったが、直線序盤でしぶとく伸びて2列目まで上がり、ラスト1Fで抜け出したジャンダルムにクビ差まで迫った。

 ここでは前後半3F32秒7-35秒1のかなりのハイペースに恵まれての2着だった。本馬は芝1200mでは先行できないこともあり、今年の高松宮記念のような内と前が有利な馬場&展開の大外枠だと苦しいが、今回はさすがに高松宮記念時よりはペースが速くなるだろう。また今回は内枠というのも好ましい。

△ (7)マッドクール

 今春の高松宮記念の覇者。同レースでは2番枠からまずまずのスタートを切り、そこから押して先行策をとった。外からハナを主張するビクターザウィナーにある程度は抵抗しながらも最終的には行かせ、2列目の3~4角で最内を通り直線へ。直線序盤ですっと伸びて半馬身ほど前に出て、ラスト1Fでそのまま抜け出したところをナムラクレアに急追されたが、ハナ差でしのいだ。

 中京芝1200mは道悪になっても外差しは決まりにくく、前走時も圧倒的に内が有利な馬場。ここでは最短距離を通るスマートな立ち回りで自己最高指数を記録した。

 前走のチェアマンズSPは、休養明けで高松宮記念を好走した疲れからか大外11番枠からやや出遅れてしまった。そこから押してハナを狙ったが、3角までに取り切れなかったことで、3角で外に膨らんで位置が下がり、11着に大敗。今回はそこから立て直されての一戦で巻き返しは期待できる。

 高松宮記念時ほどの指数では走れないと見ているが、国内では熱中症に近い状態で体を絞り切れなかったCBC賞以外は馬券圏内を外していない。昨秋のスプリンターズSでも10番枠から上手く好位の最内に入れてハナ差2着に善戦したこともあり、軽視できない。

△ (8)モズメイメイ

 デビュー4戦目のチューリップ賞を優勝し、桜花賞出走後の初めての芝1200m戦となった葵Sでは、フライング気味のスタートを切って逃げ切り勝ちした馬。その後は2桁着順の繰り返しと調子を落としていたが、今夏の北九州記念で3着と復調を見せると、次走のアイビスSDを優勝。前走のセントウルSでも3着と上昇一途だ。

 前走は1番枠から五分のスタートだったが、そこから押して枠の利とペースも上がってこないということもあり、楽に2列目の最内を追走。3~4角でもスムーズに最内を通して、2列目で直線へ。序盤で進路がなく、ややまごつく場面もあったが、最内を狙って2列目に食らいつく。ラストFではそのまま最内から踏ん張って先頭に立ったが、そこを外から2頭に差されて3着となった。

 ここでは(2)トウシンマカオ、(6)ママコチャに敗れたが、前記2頭は休養明けで好走した後の一戦。おそらく目標はこの先だろう。一方、モズメイメイはレースを順調に使われ、前進を見せている。相手強化のここでも侮れない。

△ (12)サトノレーヴ

 △ (12)サトノレーヴ

 3歳4月と遅いデビューになった芝1600mの未勝利戦を勝利。その後は条件戦で一度も連対を外すことなく芝1200mで順調にキャリアを積み、今年2月の阪急杯では、重賞初挑戦ながら4着とOPでも通用する能力をアピールした。3走前の春雷Sを勝利すると、重賞の函館スプリントS、キーンランドCを連勝し、サマースプリント王者に輝いた。

 前走のキーンランドCでは、10番枠から五分のスタートだったが、二の脚が速く楽に先行。他馬の出方をうかがいながら2列目の中目で進めた。3~4角で先頭のセッションの後ろを進み、4角出口でセッションの後ろから外に出て、2列目付近で直線へ。直線序盤ですっと伸びて先頭列に並びかけると、ラスト1Fでそのまま抜け出して1馬身半差で完勝した。

 折り合いがスムーズで、仕掛けを我慢できる点が魅力のレース巧者だ。また前々走では最後の直線で1頭分だけ開いたスペースを突いて抜け出しており、この辺りに素質の高さも窺える。しかし、秋の頂点を目指す馬は夏場を休養にあてるのが一般的だ。

 サマースプリントを二連覇したベルカントが、スプリンターズSで2桁着順に終わったのは、そこにも理由があったとみているし、2022年のサマースプリント王者となったナムラクレアも同年のスプリンターズSでは5着と、初めて芝1400m以下で連対を外す結果となっている。また、〇(10)ピューロマジックや◎(14)ビクターザウィナーが前に行く形での12番枠となると、3~4角で外々を回るリスクもあすが、本馬に関してはまだキャリアが浅く、上昇一途なので警戒はしたい。

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