2024年 新潟記念の予想 – 競馬予想 – 山崎エリカ –

お問い合わせ

予想

2024.09.01
2024年 新潟記念の予想

■昨日から馬場回復の影響は?

 野芝100%の新潟芝は衝撃吸収性能が弱く、開催が進むにつれ内側が悪化する。このため連続開催12日目となる新潟記念の最後の直線は外目が伸びるため、各馬が内を空けて走る。マイネルファンロンが優勝した2021年のように、外ラチ沿い強襲が正解という年もあるほどだ。

 過去10年で逃げ切りはゼロ。先行2勝、中団4勝、追い込み4勝となっている。逃げは2着が1回あるが、これは2020年のジナンボーが出遅れたあと、後方最内から進出し、3角手前で先頭に立った特殊な例。序盤から先頭に立って逃げると、最後の直線で外に出せず、苦しくなってしまうことが多い。

 先週土曜日時点では高速馬場で内の先行馬でも押し切れていたが、日曜日には最後の直線で内を避けた馬が活躍していた。昨日は馬場悪化で、最後の直線で外に出すほど伸びる馬場で外差しが顕著だったが、本日は晴れ予報。馬場回復に伴い、昨日よりも先行馬が押し切れている。

本日1番 新潟11R 新潟記念 芝2000m
 ◎ (11)エーデルブルーメ
 ○ (7)セレシオン
 ▲ (2)ライトバック
 △ (3)ジューンアヲニヨシ
 △ (5)ファユエン
 △ (8)アリスヴェリテ
 △ (9)キングズパレス
 △ (12)レッドラディエンス
結論 馬連11-7,2,3,5,8,9,12 (13:12:5:5:5:5:5) 複勝11 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (11)エーデルブルーメ

 全4勝を芝2000mで挙げた馬。デビューからほとんど芝2000mを使われ続け、徐々に地力をつけてきた。前々走のダイワスカーレットCでは15番枠からやや出遅れたが、軽く促して中団の外まで挽回。前2頭が後続を引き離していく展開を向正面から進出して、3~4角では外から好位まで上がって直線へ。序盤で一気に伸びて先頭に立つと、食らいつくシェイクユアハートをラスト1Fで振り切り、1馬身半差で完勝した。

 前々走はそれなりにレースが流れて、3~4角でペースダウンする展開。外から仕掛けたことで噛み合った面はある。それでも2着馬には1馬身半差、3着馬には3馬身半差をつけており、OP級の自己最高指数を記録した。条件戦の流れで優秀な指数を記録することは難しく、3勝クラスで記録したことには瞬発力を図るうえで大きな価値がある。

 前走のマーメイドSは、軽ハンデの(8)アリスヴェリテの大逃げの形ではあったが、超高速馬場で前後半5F58秒3-58秒9の平均ペース。不利な15番枠から出遅れてしまい、後方の外々からロスを作りながらも勝ちにいく競馬で2着を確保できたことは高評価できる。

 今回は外差し馬場想定のなか、11番枠と枠にも恵まれており、直線が長い舞台を得意とする川田将雅騎手というのも心強い。今回の本命候補だ。

○ (7)セレシオン

 デビュー当初は出遅れ癖があるばかりではなく、二の脚が遅い面もあってクラシック路線に乗り遅れてしまった。しかし、立て直された3歳夏の新潟芝2200m、阿賀野川特別で一変。

 5番枠から五分のスタートを切ったが、他馬と少し接触してしまい、3列目の3番手に下げて折り合いに専念。2番手に上がって3角へ入ると、そこから軽く促されて4角出口で逃げ馬に取り付き、並ぶ間もなくかわして先頭に。一気に抜け出して2馬身半差、ラスト1Fでさらにリードを広げて3馬身半差で圧勝した。

 このレースの2着馬はそのあと2連勝でOP入りしたシルブロン。同じく次走で勝ち上がった3着馬ウォルフズハウルには8馬身半差をつけ、ここでOP級の指数を記録した。条件戦でOP通用レベルの指数を記録したという点は◎(11)エーデルブルーメと同じだ。

 長期休養から復帰後の近5走は芝1800m~2200mを使われ安定した成績を残しているが、芝1800mで前半の入りが速いと、置いていかれる面を見せている。菊花賞では11着に大敗したが、休養明けだった前記の阿賀野川特別を好走した後の疲労が残る一戦かつ、大外18番枠から終始外々を回るロスがあってのもの。

 芝3000mがベストかはともかく、芝1800mでは距離が短いのだろう。外差し有利馬場で行われる新潟記念は、テンの入りが遅く、長距離適性も求められる舞台。実際に阪神大賞典で1、2着の実績があるユーキャンスマイルが2年連続で2着に善戦している。つまり、ここで近走以上の走りを見せる可能性もあると見て対抗評価とした。

▲ (2)ライトバック

 初戦の内容がその後の成長曲線を作ることを常々提唱している。新馬戦で能力を出し切ると早熟馬にもなるし、無理をさせなければその後に著しい成長が見られ、晩成型になる場合もある。実際、今回の能力値上位馬を見ても新馬戦で敗れている馬が多い。(8)アリスヴェリテと○(7)セレシオンは新馬戦を勝利しているが、アリスヴェリテは自分の型に持ち込めず能力を出し切れていないし、セレシオンは出遅れてテンでもたつきを見せて本来の能力を出し切れていない。

 今回で過剰人気気味のライトバックの新馬戦はどうだったかというと、新潟芝1800mで10番枠から出遅れて後方を追走。ペースは5F通過63秒9と遅かったが、4角を迎えても後方列の中目のままだった。最後の直線では前が壁で、ラスト2Fで後方に下げ切り、外に進路を求めて、そこからグイグイ伸びて差し切った。勝ちはしたがその後、未勝利の逃げ馬相手に半馬身差で、能力を出し切ったようなレースではなかった。

 新馬戦で能力全開とはならず、ダメージが少なく新馬戦を終えたことが幸いし、その後は著しい成長力を見せている。今年に入ってからはエルフィンS1着、桜花賞、オークスでそれぞれ3着と上昇一途だ。

 新馬戦で素質の一端を見せながらも能力を出し切れなかった馬というのは、やや指数不足でも成長力で補う場合も多い。今回は秋の牝馬GⅠ戦線に向けての始動戦で、状態面がピークということはないだろうが、このタイプは底を見せるまで注目した方がいい。

△ (3)ジューンアヲニヨシ

 休養明けの前々走の鳥丸S(3勝クラス・芝2400m)で成長を見せ、なかなかの好指数で勝利した馬。前々走は2番枠から五分のスタートだったが、そこから促して3列目を追走。3~4角でペースが上がったが、徐々に進出してエメヴィベールの後ろから外に誘導して直線へ。序盤で2列目まで上がり、残り100mで先頭。そこでやや内に寄れたが、そのまま押し切った。

 前々走はややハイペースで中団有利の展開に恵まれ、自己最高指数を記録。前走の目黒記念は休養明けで好走した疲れで12着敗退。前走は超絶高速馬場で前後半5F61秒9-58秒7のかなりのスローペース。前へ行った馬と瞬発力がある馬が有利な展開だったが、1番枠から出遅れて先頭からかなり離れた中団内目の追走となり、能力を出し切ることができなかった。

 今回はそこから立て直されての一戦。芝2000mだと差す形になる可能性が高く、最後の直線で上手く外に出していければチャンスがありそうだ。

△ (5)ファユエン

 前々走のマーメイドSで◎(11)エーデルブルーメと同タイムの4着に健闘した馬。前々走は大外12番枠からやや出遅れ、そこから押していっても進まずに最後方からの追走になった。道中も最後方列での外で位置を上げられないまま3角へ。3~4角で中目から外々に誘導し、4角ではかなり大外を回して直線へ。直線序盤でもまだ後方だったが、ラスト1Fで(8)アリスヴェリテが失速したところを最後までしぶとく追い上げて2着争いに食い込んだ。

 前々走は15番人気という低評価でエーデルブルーメとクビ+クビ差の4着。紙一重で大波乱の決着まであり、ファユエンの好走がマーメイドSの評価を惑わせている面がある。しかし、けっして追い込み有利の展開ではなく、本来は4角でかなり大外を回してしまっては2着争いに持ち込むのも難しい展開だった。

 この馬はOP昇級後にことごとくスローペースの展開を後方からの追走で結果を出せなかったが、前々走では平均ペースまで上がったことで4着に好走することができたという評価になる。

 前走の小倉記念はマーメイドSで自己最高指数を記録した後の疲れ残りの一戦。変に色気が出て後方待機策に徹しきれなかった面もあり、直線では伸びあぐねて8着に凡退。しかし、再び後方待機策に徹した場合が怖く、一考の価値がある。

△ (8)アリスヴェリテ

 デビュー2戦目の野路菊Sで2歳牡馬世代上位だったファントムシーフの2着に入り、3着馬には6馬身差をつけた。次走アルテミスSでは逃げてリバティアイランドとクビ差の3着に好走した実力馬。しかし、前で粘り込むレースができないと能力を出すことができず、その後は折り合う競馬で不振が続いた。

 転機は4走前の1勝クラス。減量騎手の柴田裕一郎騎手に乗り替わり、逃げにこだわる競馬で久々に勝利した。前走のマーメイドSは13番枠からまずまずのスタートだったが、押してハナを主張し先頭に立った。向正面では後続を引き離して単騎の形で3角へ入ると、再びペースアップして6馬身ほどのリードで直線へ。ラストはさすがに甘くなったが、それでも2馬身差で完勝した。

 前走は大逃げの形ではあったが、超高速馬場で前後半5F58秒3-58秒9の平均ペース。ハンデは50kgと恵まれており、正攻法で逃げ切ったというよりは「まんまと逃げ切った」という表現がピッタリくる。

 今回も自身の競馬はできそうだが、自己最高指数を記録した後の一戦となり、余力面が心配。外が有利な馬場となると苦戦する可能性は高いが、昨日よりも先行馬が押し切れており、警戒することにした。

△ (9)キングズパレス

 前々走は今回と同舞台の新潟大賞典で2着。13番枠から五分のスタートを切ったが、二の脚が遅く、下がって後方からの追走。道中はペースが上がらず、ゆったりとした流れ。そこで中団の外まで進出、3~4角で外から押し上げていった。直線序盤では追われても伸びが地味だったが、ラスト2Fで徐々に伸び始めて2列目に、ラスト1Fでは逃げ切りを図るヤマニンサルバムを強襲したが、ハナ差及ばなかった。

 このレースは、次走で鳴尾記念を勝つヨーホーレイクが最内を立ち回って3着に敗れたように、外の方が伸びる馬場状態だった。よって、外々を回った3~4角のロスは致命的というわけでもなかった。道中で動いて勝ちに行ったことは好内容だった。

 前走の七夕賞では(12)レッドラディエンスをマークして進み、3~4角で同馬の外から仕掛けて行ったが、最後まで2馬身差を詰めることができなかった。この差は決定的なように映るが、終始モタれた(斜行する)ことが要因にある。過去に中山コースでもモタれる癖を見せており、馬群に入れてそれを修正しているシーンがあった。

 そのため、この馬はスムーズに走れる左回りがベスト。ただし、前走の七夕賞は上でも触れたように、前半から前が飛ばす流れのため展開に恵まれていた。レッドラディエンスと甲乙はつけがたいが、両馬とも好走しても不思議はないことは確かだ。

△ (12)レッドラディエンス

 前走の七夕賞で待望の重賞初制覇を達成。その前走は4番枠からまずまずのスタートだったが、外の各馬が競り合いながら内に切りこんできたので控える形。道中は縦長の隊列の中、先頭から離れた中団を追走した。3~4角では中団中目から徐々に進出すると、直線序盤で3列目まで上がり、ラスト1Fでそのまま突き抜けて2馬身差で完勝した。

 このレースは前後半5F57秒3-60秒6のかなりのハイペースで、後半で最速だったのがラスト4F目。前半から前が飛ばし、4角で甘くなった展開を、本馬は3~4角から仕掛けており、展開はドンピシャにハマったとみている。

 例外こそあるが元々は後半型の馬で、勝ちに行くと甘くなる面がある。下級条件ではペースが遅く、自らポジションを取って勝ちに行く必要があったが、上級条件で逃げ馬が飛ばす展開となれば、後半に特化させることができるので合いそうだ。

 今回は△(8)アリスヴェリテが逃げる展開を想定。さらに、枠も大外12番枠と恵まれた。2022、23年の新潟記念で2着だった友道康夫厩舎の先輩、ユーキャンスマイルのような競馬ができれば、ここでも通用していい。

記事一覧へ戻る