今週初めに安田記念の出馬表を見た時、不気味さを感じました。それは全ての実績馬がここ4走以内に出遅れの前科があったことです。もっともダノンプレミアムは、昨年の安田記念は外のロジクライに進路妨害をされたもの。決してスタートは下手ではありませんが、それ以外の実績馬は全て出遅れ癖があります。
比較的にスタートが安定していたインディチャンプでさえも、昨秋の香港マイルでは、マイルCSで好走した疲れもあったようで、3番枠から出遅れて後方から。そのため内から位置を押し上げたものの包まれて位置を下げ、直線ドン詰まりとなって7着に敗れました。
そのうえで今回は昨年のアエロリットのように、最後までしっかりとレースを引っ張れる逃げ馬が不在。馬群が縦長になる可能性が低いとなると、実績馬が内枠に入って出遅れた場合には、インディチャンプの二の舞となる危険性が高まります。どんな実力馬でも包まれて進路を失ったらThe end。だからこそ欧州競馬ではラビットを用意するし、先週の日本ダービーでも前田軍が率いるコントレイルがチームプレーを見せたのです。
日本ダービーのコントレイルは、しっかりとした逃げ馬不在のうえで5番枠。それよりも内枠にテンの速い馬がおらず、本来であれば外から切り込まれて進路確保に苦労するのが見え見えの状況下でした。しかし、逃げるウインカーネリアンの外にコルテジア、ディープボンドを配して、進路確保に努めました。何かに捲られた場合には、コントレイルがディープボンドの直後につけて外に出す、捲られなければディープボンドが道中でハナに立ってペースを引き上げる計画だったのでしょう。さすがは日本一を誇るチームプレイヤーです。
さて、話は元に戻しますが、今週初めに「出遅れ癖のある実績馬が、揃って内枠に入ったらどうなるのか?」と考えたら、気味が悪くなったのですが、それらが本当に内枠に入ってしまったという話です。特に5番枠のアーモンドアイは出遅れたらかなり苦しい枠に入ったと感じます。
今回それよりも内枠のダノンプレミアム、ダノンキングリーには、ダノンスマッシュというアシスト役がいます。ダノンスマッシュが外から内に切り込み同馬が逃げてペースを引き上げるか、逃げ宣言をしているミスターメロディの外につけて進路を確保するか…。しかし、アーモンドアイにはそういう馬がいません。実際にノーザンF軍は、他よりもチームプレーにうるさくないし、騎手の配慮によって進路を開けるくらいと騎手から聞いています。
だからと言って、勝ちに行けば、競られたり、後続にガンガン突かれたりするでしょう。大本命馬を破滅へと導けば、騎手にとってこのうえない手柄。それを出柄を得て次の騎乗馬の交渉をする者もいます。実際に昨年の有馬記念のアーモンドアイは、嫌がらせのようにスタンド前の壁を作りたいところで外に弾かれ(それが理由で前に馬が置けずに折り合いを欠いたもの)、さらに3~4コーナーでは先頭列に並びかけたものの、本来、同チームであるはずのフィエールマンに外から蓋をされ、馬場の良い外に出せずにThe endとなりました。
そういったことを考えたうえで、今回ではアーモンドアイは本命にしたくないという結論に達しました。これまで「一戦ごとの消耗度が大きい」ということでレース間隔を開けることに徹していた同馬が、中2週で使ってくることも狙い下げたい理由のひとつです。そのうえヴィクトリアマイルよりも相手強化となるだけに、△まで印を落とすことにしよう。これは私がアーモンドアイに印を打ってきた中で、一番低い評価です。