●フィリーズレビュー
フィリーズレビューが行われる阪神芝1400mは、先々週の「阪急杯の傾向」でもお伝えしたように、差し、追い込み馬が有利なコース。スタートしてすぐ最初の3コーナーを向かえる阪神芝1200mよりも最初の直線が1F長く、約443mもあるため、逃げ、先行馬が多く出走しているほど、ポジション争いが激化し、ペースが上がりやすくなります。
実際にこのレースの過去10年、全て平均ペース以上で決着しており、ハイペースが3度、超絶ハイペースが5度も出現。昨年は前走のさざんか賞を逃げて圧勝し、メンバー中NO.1のPP指数をマークしていた指数上の主役イベリスでさえも、このレースでは先行して4着に敗れています。(次走のアーリントンCで巻き返しV)
もっともイベリスが敗れた背景には、同馬は前走の芝1200mで結果を出したこともあり、距離延長を懸念して、逃げなかったのもあるでしょう。実際に前走で芝1200mを使っていた馬というのは、過去10年で29頭出走し、3着以内だった馬はゼロという成績。
これは前走芝1200m組はそのスピードに任せて前に行くか、距離延長を懸念して脚をタメるかというように、立ち回りに制約がついてしまうのが一番の理由でしょう。もちろん、展開にマッチすれば馬券圏内に突入しても不思議ありませんが、レース運びに制約がつくという意味では不利です。
逆に先行策から押し切って優勝した馬は、2012年のアイムユアーズ、2014年のベルカント、2016年のソルベイグなど後々の重賞、特にスプリント戦で活躍した馬ばかり。また、どの馬も前走で距離1400m以上のレースに出走しており、迷いのない位置取りができたことも勝因でしょう。
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さて、今回は、逃げることで素質が開眼した最内枠のカリオストロがハナを主張する可能性が高いと見ていますが、外からさざんか賞を逃げ切り勝ちしたヴァラークラウンが競りかけていく公算大。フェアレストアやケープゴッドなどの先行馬も出走しているだけに、やはりハイペースが濃厚でしょう。カリオストロやケープゴッドが強いのは重々承知の上で、やっぱり前走で芝14100m以上を使割れている差し馬を中心視したいです。
●金鯱賞
金鯱賞は2017年から大阪杯へのトライアルレースとして生まれ変わり、今年より中京開幕週から2週繰り下げて行われるようになりました。2017年以降、ステファノス、ヤマカツエース、スワーヴリチャード、アルアインがここをステップにして大阪杯で3着以内に好走しているだけに、要注目でしょう。
さて、このレースの傾向はというと、中京芝2000mは前半でゴール前の直線の坂を上って、後半で坂を下るコースのため、前半スローの上がり勝負が発生しやすいコース。しかし、古馬一線級が集うこのレースは、大半の馬が3コーナーの下り坂で勢いに乗せて動くため、単調な前残りになることは稀。
前に行く馬も3コーナーからもうひと脚使えなければ厳しいものがあり、結局のところ、ある程度持久力も問われていることになります。つまり、前に行ったことにこしたことはなく、差しでも十分届きますが、3~4コーナーで差し馬の外から動かなければならない追い込み馬は苦戦するでしょう。
実際にこのレースが芝2000mで行われるようになった過去8年を見ても、追い込み馬の3着以内は一度もありません。この傾向は2週繰り下がって馬場が悪化したとしても、大きくは変わらないはず。しかも、今回で逃げるのは、まず、ダイワキャグニーですから、なおさらスローペースが濃厚でしょう。つまり、サートゥルナーリアは出遅れ癖いのある馬で、出遅れた場合が怖いのですが…楽に先行なら有力でしょう。