●毎日王冠
天皇賞(秋)の前哨戦の毎日王冠は、東京芝1800m戦で行われるもっとも格が高いレース。開幕週らしい超高速馬場で行われるこのレースは、サイレンススズカ(武豊)、マグナーテン(岡部)、エイシンヒカリ(武豊)、そして昨年のアエロリット(モレイラ)となどの数々の馬が逃げ切って来ました。また、2014年に11番人気のサンレイレーザー(田辺)が逃げて2着に粘り、大波乱の立役者となったことも……。
個人的に馬券で美味しい思いをさせてもらったのは、8番人気のトーヨーリファール(松永昌)が逃げて2着に粘り、アヌスミラビリスという怪しい名前のゴドルフィンの馬が優勝した1996年の毎日王冠ですが!! (笑)
これまでに数々の馬が逃げ切り、また逃げ馬が穴メーカーとなているように、東京開幕週で行われる毎日王冠は、平均からやや遅いくらいのペースで逃げれば、逃げ馬が優位になります。他馬からマークを受ける「逃げ」は本来、不利な戦法ですが、他レースでもっと厳しいレースを経験している逃げ馬にとって、毎日王冠を逃げ切るのは、そこまで難しくないと表現するのが正しいでしょうか。
毎日王冠を逃げ切るに相応しいペースは、超高速馬場ならばF47秒台。しかし、東京芝1800mが未経験の騎手や下手な騎手だとペース配分を間違いやすいのがポイント。走りやすい馬場状態で前半で坂を下るUターンコースだけに、大抵はペースを上げ過ぎてしまうのです。
それもシルポートなど、出走馬中逃げ馬1頭、単騎逃げ確定という年ほど、前半4F6秒台のオーバーペースで飛ばし過ぎる傾向。確かにサイレンススズカは前半4F46秒0で通過しても逃げ切れましたが、通常はアウトでしょう。つまり、今年も超高速馬場で行われる毎日王冠のポイントは、津村騎手は昨年のモレイラ騎手と同じことができるかってこと。また、昨年のアエロリットはPP指数の能力値が1位でしたが、今年は2位。昨年よりも相手が強いことがどうか?
●京都大賞典
毎日王冠は逃げ馬が活躍する舞台ですが、京都大賞典は開幕週ながら逃げ切りが決まりにくい舞台。過去10年で一度も馬券に絡んでいません。15年遡ってもいません。確かに、キタサンブラックが2番手につけて、それをマークする形でレースが進んだ一昨年など、本来は逃げ馬が好走できても不思議ないペースだった年も過去に何度かあります。
しかし、それでも逃げ馬が活躍できないのは、ステイヤー路線の衰退により、長距離で強い逃げ馬が存在していないことや、このレースは実績馬が休養明けで挑んてくることが多いのが理由でしょう。スタミナが不足する休養明けで、芝2400mを克服するのはなかなか厳しいものがあります。
ただし、実は逃げ馬有利のペースであることを証明するかのように、特に近年は追い込みが決まらず、先行~中団が活躍しています。確かに京都芝2400mは、ストレートが長いため、騎手の意識ひとつでペースを上げることもできますが、ネコパンチやテイエムプリキュアくらいの持久力を持っていないと、ハイペースにすることすらも厳しいものがあります。
今回で逃げたいのは、逃げなければ持ち味が生きないパリンジェネシスでしょう。逃げの松山騎手に乗り替わっている時点で、陣営からそうオーダーが出ている感があります。ただし、前走・目黒記念でもハナに行けなかったように、そこまで行きっぷりがいいタイプではないので、内枠のトレッドノータスが抵抗してハナをいうことも考えられます。
京都の芝コースも東京芝コースと同じくらいの超高速馬場。そこで格下の馬がレースメイクするとなると、ペースは速くなるはず。先行力があるか、瞬発力があるタイプを中心に馬券を組み立てたいです。