■フェブラリーSとは逆よりの展開が予想される
今年のフェブラリーSは逃げるドンフランキーにウィルソンテソーロが狂ったように競り掛けて、前後半4F45秒6-50秒1の超絶ハイペースになった。今回は一転して何が何でも逃げたい馬は不在。さらに重~不良馬場。タフな馬場の船橋でペースは上がるにせよ、フェブラリーS時よりもかなり前が楽な展開になると見て予想を組み立てた。
ただし、フェブラリーSで先行策から押し切って優勝した(10)ペプチドナイルに関しては、2016年のモーニン、2018年のノンコノユメ、2021年のカフェファラオにようなパターンにいなる可能性も十分あると見ている。
船橋11R かしわ記念 ダ1600m
◎ (7)クラウンプライド
○ (6)ミックファイア
▲ (13)キングズソード
注 (1)ウィリアムバローズ
△ (5)シャマル
△ (9)ギャルダル
△ (11)ギガキング
結論 馬複7-6,13,1,5,9,11 (12:12:12:6:4:4) 複勝7 (50)
■有力馬と評価ポイント
◎ (7)クラウンプライド
デビュー3戦目のヒヤシンスS以来のマイル戦出走。当時は成長途上で内と前有利の馬場&展開を9番枠からスタート後に挟まれて後手を踏み、後方外からの追走。結果6着に敗れ、以降はマイル戦を使われていないが、山崎的には中距離よりもマイルがベストの馬と見ている。
本馬は昨年のチャンピオンズCも10番枠から五分のスタートを切りながらも、コントロールして外のレッドソルダードを行かせてからその外を追走するなど、大半のレースで2列目でコントロールして追走しており、スピードがある。
3走前のコリアCでも大外14番枠から好スタートを切り、内からハナを主張した馬を行かせて2番手を追走。道中はペースが遅く、コントロールして追走していたが、向上面では先頭に立ってしまった。3~4角も馬なりのまま進めて、4角で外からグロリアムンディが上がってくるのを待って直線へ。序盤で一気に加速して4馬身差。ラスト1Fで流しながら差を広げて大差で勝利した。
韓国はJRAよりもダートが軽い国。前後半4F50秒3-48秒9とクラウンプライドにとっては遅いペースだったようで、ここでは抜群のスピードを見せている。3走前がとても強い内容だっただけに、前々走のチャンピオンズCは疲れが出たようで、前に行くスピードを見せることもなく11着大敗。
前走のサウジCは9着に敗れたが、前走は馬群から離れた後方1,2番手で進めたセニョールバスカドールとウシュバテソーロがワン、ツーを決めたようにかなりの激流。序盤から2列目の好位馬群が広がっていく展開の中目を追走して9着に敗れたもの。さすがにペースが速すぎたために4角ですでに手応えがなかったが、スピードの復活は見せた。今回は何が何でも逃げたい馬が不在で、前走ほど先行馬に厳しい流れにならないと見て、巻き返しを期待した。
○ (6)ミックファイア
デビューから無敗でダート三冠馬となった馬。3走前のジャパンダートダービーでは6番枠から好スタートを切って、そこから押して行ったが、外のミトノオーの方が速く、同馬を行かせてその外を取りに行く。しかし、内のテーオーリカードやユティタムらが速く、好位の外5番手を追走する形。道中のペースは速かったが、3角で3頭分外から位置を押し上げ、3番手で直線へ。ミトノオーとの差は大きかったが、ラスト1F手前でユティタムを交わし、最後ミトノオーを交わして2馬身半差で完勝した。
ミックファイアはジャパンダートダービーで記録した指数は、古馬相手のダートグレードでも通用するもの。この激走でかなり疲れが出たようで、JBCクラシックを狙うプランを変更して同世代相手のダービーGPに出走。そこでは何とか勝ったが、東京大賞典では8着大敗。しかし、前走のフェブラリーSでは、序盤が芝で前半3F33秒9と前半が速かったこともあり、中団最内からに追走となったが着差0.8秒差(7着)に善戦しており、復調の兆し。道悪でも時計が掛かる船橋での巻き返しに期待する。
▲ (13)キングズソード
3走前の大井2000mmのJBCクラシックは、自身にとって初距離だったが、JpnⅠの舞台で初重賞制覇を達成。同レースは9番枠からまずまずのスタートを切って、楽な手応えで先行策。道中は3列目の外を2列目のテーオーケインズをマークして追走した。3~4角でペースダウンすると外から押し上げ、4角で仕掛けながら3番手で直線へ。序盤ですっと加速して先頭に立ち、1馬身ほど前に出る。ラスト1Fではさらに差を広げて4馬身差で完勝した。
3走前はとても強く、今回のメンバーではNO.1の指数を記録。潜在的なスタミナの豊富さを感じさせるかなり強い内容だった。前々走の東京大賞典は、休養明けでJBCクラシックを激走した後の疲れ残りの一戦。1番枠で中団から最短距離を回って、直線で外に誘導したが、ジリジリとしか伸びてこれなかったのは仕方ない。しかし、5着と大きくは崩れなかったように能力は高い。
前走のフェブラリーSでは、本馬はスタミナを生かす競馬がベストで、後方からの追走になるということで危険な人気馬としたが、11番枠から好スタートを切りながらも、じわっと下がって中団やや後方の外を追走する形となり、5着に敗れた。思ったよりもやれた印象だが、ウィルソンテソーロが狂ったように逃げ馬ドンフランキーに競り掛けて行ったのもある。
しかし、今回は東京よりも時計の掛かる船橋1600mが舞台。かしわ記念はフェブラリーSよりも長距離色が強く、帝王賞、JBCクラシック、東京大賞典組が活躍の舞台であり、そこに期待した。ただし、砂厚を2㎝深くし、砂を入れ替えたばかりのタフな馬場の大井で一変した馬だけに、道悪になってしまったのは減点材料だ。
注 (1)ウィリアムバローズ
前走の東海Sで初重賞制覇を達成した上がり馬。前走は14番枠からやや出遅れたが、二の脚ですっと2番手に上がって、バビットを見ながらコントロールして追走。3~4角でバビットが下がって、ここで押し出されるようにして先頭。4角でオメガギネスが上がってくると、そこで仕掛けてクビ差のリードで直線へ。序盤はオメガギネスとの叩き合いとなったが半馬身差のリードを維持。ラスト1Fですっと抜け出して1馬身差で完勝した。
前走は超高速ダートで、前後半48秒9-後半4F48秒1のややスローペース。内と前が有利な流れを内目、前目でレースを進めたことが好走の要因ではあるが、近走の勢いを考えると侮れない。また今回も何が何でも逃げたい馬が不在でそこまでペースが上がらないことが予想されるだけに、内枠から前に行ける優位性を考慮して特注馬とした。
△ (5)シャマル
短距離のダートグレードで5勝の実力馬。昨年の黒船賞では4番枠から五分のスタート。好位の内を前の馬とのスペースを作って追走し、3~4角でスペースを詰めて4角で砂厚の深い最内から抜け出し、直線序盤で外に誘導しながら一気に先頭。そこから後続との差をじわじわ広げ、3馬身差で完勝した。
前走となる今年は昨年ほどの強さは見せられなかったが、2番枠から好スタートを切って、そのままハナを主張してマイペースで逃げ。3角からペースを上げて馬場の良い外に誘導しながら3馬身差で直線へ。3~4角の内から2列目に上がったヘルシャフトに1馬身ほど詰め寄られたが、余裕を持って2馬身差で勝利した。
シャマルは一昨年のマイルCS南部杯3着やチャンピオンズC5着の実績もあり、マイル戦でもある程度やれる馬。何が何でも逃げたい馬が不在、道悪の今回で前に行ける優位性があるので警戒した。
△ (9)ギャルダル
前々走のフジノウェーブ記念で南関東初重賞制覇を達成した上がり馬。前々走は7番枠からトップスタートを切ったが、内から前を主張する馬を行かせて、好位外6番手を追走。3角手前で2列目の外4番手まで上がり、3~4角の外から前3頭に並びかけていく。直線序盤では早め先頭に立ったオメガレインボーを追い駆け、ラスト1Fでは2番手。ラスト1Fっで同馬との差をじわじわ詰めて、最終的にはアタマ差で勝利した。
前走の東京スプリントは前後半3F34秒5-37秒8のかなりのハイペース。中団最内から4角で外に誘導と展開には恵まれたが、追走に忙しく、5着が精一杯だった。1600mでは3走前の川崎マイラーズCで接戦の2着に善戦しており、この距離ならもう少しやれるはず。相手は強化されるが、近走の勢いから警戒した。
△ (11)ギガキング
前走の京浜盃マイラーズCで地方重賞5勝目を挙げた馬。前走は9番枠から五分のスタートを切ってじわっと先行、前の3頭からやや離れた好位の外4番手を追走した。3~4角で前のフォーヴィスムとアランバローズが後続を引き離しにかかったが、ここで一気に仕掛けて3番手に上がる。スピードに乗せたまま4角出口で外に誘導すると、ラスト1Fでは2番手。ラスト1Fで失速しかけたアランバローズをかわし、外から迫るナニハサテオキに差を詰めさせることなく3馬身差で完勝した。
ギガキングは長くいい脚が使える馬。3走前の報知グランプリC時のように前半から位置を取りに行くと甘くなる面があるが、前走のように3~4角から進出していく競馬はベストオブベスト。今回も前半で脚をタメられれば、相手強化のここでも一発あっても不思議ない。