■内枠逃げ天国、外枠差し地獄
川崎は日本一小回りでコーナーがきついコース。トラックバイアスが生じていないとするならば、内が断然有利なコースだが、ダートが軽いとこの傾向に拍車が掛かる。特に差し馬はコーナーの外を回ることになるのでタイムロスが大きくなり、結果的に前を残してしまうという構造だ。また、コーナーロスを作りたくない差し馬が、早めに動いて失速してしまうパターンもある。
昨日の川崎は逃げ馬の成績が【6・2・1・3】。馬番1番は1着1回、2着1回、3着1回。馬番2番は1着3回、2着1回、3着1回。馬番3番は1着1回、2着1回、3着1回。本日は馬場回復化の傾向だが、川崎は粘土質が高く、一気には回復しないので、昨日の傾向は踏襲する可能性が高いと見ている。
川崎11R クラウンC ダ1500m
◎ ライゾマティクス
○ (5)アジアミッション
▲ (8)ゴールデンブザー
注 (2)シシュフォス
△ (3)アムクラージュ
△ (6)クニノトキメキ
△ (1)パンセ
△ (4)ツキシロ
結論 馬連11-5,8,2,3,6,1,4 (14:12:8:6:6:2:2) 複勝11 (50)
■有力馬と評価ポイント
◎ (11)ライゾマティクス
昨年の鎌倉記念の2着馬。同レースでは10番枠から好スタートを切ったが、テンの速いモンゲースパイ、内から前を主張するサントノーレを行かせて3番手を追走。3角で2番手のサントノーレが先頭に立ったが、4角外から同馬に並びかけて直線へ。序盤は並走状態だったが、最後にサントノーレがもうひと伸びして2馬身半ほど離された。
しかし、サントノーレはその後、中央馬が相手の全日本2歳優駿3着、雲取賞3着、そして先々週の京浜盃で7馬身差で圧勝してしまうような馬。それを考えれば強い内容であり、3走前のニューイヤーCでも3角から2頭分外を回って前のギガース、クルマトラサンにプレッシャーをかけていく競馬で、2着クルマトラサンに半馬身差まで迫っている。
前走のネクストスター東日本は2番枠。外から被されたくないライゾマティクスは積極的な逃げ。ここではギガースに早めにプレッシャーをかけられる形となり、苦しくなって6着に失速した。しかし、今回はニューイヤーC時よりも相手弱化。今回11番枠で内からハナを主張する(4)ツキシロをマークしていける点も好ましく、本命馬とした。
○ (5)アジアミッション
前走のネクストスター東日本の3着馬。前走は前々走から1Fの距離短縮だったこともあり、9番枠からスタートでせかすと内にヨレ、中団やや後方から追走。1角で上手く最内に入れ、向正面でじわっと動いて3角に入ったが、前も外の馬も手応えが悪く、包まれてしまう形。4角で外に誘導して進路を作り、そこから追い出されると、しぶとく伸びて前に迫り、3着と好走した。
前走は前後半3F37秒8-41秒1のかなりのハイペース。展開に恵まれた面はあったが、そこまでスムーズなレースでもなかったのも確か。今回も川崎を知り尽くした山崎誠騎手が鞍上。前走同様に1角で内に入れてくる可能性が高いことと、今回も逃げ、先行馬多数でペースが速くなりそうな組み合わせだけに、対抗評価とした。
▲ (8)ゴールデンブザー
前走のスターバーストCの2着馬。前走は逃げ馬不在。5番枠から好スタートを切って、「他が行くなら2番手てもいい」というゆったりとした逃げ。3~4角で外からマッシャーブルムが並びかけてくると、同馬に抵抗してスパート。4角ではマッシャーブルムに前に出られたが、直線序盤で差し返し、最後はまたマッシャーブルムが差し返してのクビ差だった。
マッシャーブルムは次走の京浜盃で中央馬を相手に果敢に逃げて6着と見せ場を作った馬。同馬を相手にしぶとさを見せてクビ差ならば、ここはチャンスがある。今回は前走から2Fの距離短縮となるがスタミナを生かしたいタイプなので大井よりも時計が掛かる川崎は歓迎だろう。ハナに行かなくても問題ない馬なので、ここは期待する。
注 (2)シシュフォス
休養明けの前走アクアマリンCでは、馬体重14kg増と成長した姿を見せて快勝した馬。前走は3番枠から好スタートを切って、楽にハナを主張。マイペースで逃げていたが、3角でキタノヒーローが半馬身差まで迫ると、そこからスパート。徐々に差を広げ、最後の直線序盤で2番手に上がったマコトロクサノホコにも差を詰めさせることなく、2馬身半差で完勝した。
前走は自身の逃げで上がり3F 最速 タイムを記録。3着馬には7馬身半差をつけており、文句なしの勝ちっぷりだった。前走から前進があれば、重賞のここでも勝ち負けになるが、今回はその疲れが懸念されるところである。よって、評価を下げた。
△ (3)アムクラージュ
5走前の浦和1400m戦、ルーキーズサマーCの優勝馬。5走前は大外12番枠から五分のスタートを切って1角では3番手。そこから位置を上げ、2角出口では2番手。向上面では先頭ライゾマティクスにプレッシャーをかけていき、3角ではもう先頭。そこから徐々に後続との差を広げて、最終的には5馬身差で圧勝した。
アムクラージュはマイル戦では案外な結果だが、前々走のニューイヤーC、前走のネクストスター東日本ともに4着に善戦。前走は稍重の川崎らしく、4角まで内を通した馬が1~3着と独占する結果。しかし、本馬は11番枠から好スタートを切りながらも外から前に行く馬を行かせて中団中目を追走。これにより展開には恵まれたが、上位馬に対してコーナーロスが大きく、3着の○(5)アジアミッションから4馬身離される結果となった。
前走時は序盤で内に入れる選択もあったが、それをやらなかったのは砂を被らせたくなかったからだと推測される。前々走時に向上面の半ばから前3頭との差を詰めようとした際、キックバックを嫌がって差を詰められず、最後の直線で外に誘導するとそこからしっかり伸びて勝ち馬ギガースに3馬身差まで迫っている。これを考えると今回の距離自体はいいのだが、内有利の川崎1400mは減点材料だ。
△ (6)クニノトキメキ
前走のOP・椿賞の勝ち馬。前走は10番枠から五分のスタートを切って中団外目を追走。向正面でかなり追って3角の外から徐々に進出開始し、2列目の外4番手で最後の直線へ。バテた馬をかわして3/4差で勝利した。
前走はタフな馬場で前後半4F51秒7-後半54秒9のかなりのハイペース。展開に恵まれての勝利であり、最後まで逃げ粘った(4)ツキシロのほうが強かったといえるが、逃げ馬は好走後のダメージが大きいことから、クニノトキメキのほうを上の評価にした。
△ (1)パンセ
3走前の鎌倉記念の3着馬。4走前は1番枠から五分のスタートを切って、序盤は無理なく中団やや後方を追走。最内からじわっと上がって3角では中団。3~4角で外に誘導しながら好位まで押し上げて直線へ。そこからしぶとく伸びて2着◎(11)ライゾマティクスにアタマ差まで迫った。
3走前は3角1,2番手馬のワン、ツー決着だったように、前有利の流れをメンバー最速の上がり3Fを駆使しての3着。1番人気に支持された前々走のインテリパワーMは、スローペースを意識して逃げ馬にプレッシャーをかけに行き、自身も苦しくなって5着に失速。また、前走のネクストスター東日本は9着だったが、12番枠でコーナーロスが大きい競馬になってしまったことが、主な敗因。今回は最内枠を利して上手く立ち回れれば一発ありそう。
△ (4)ツキシロ
前走のOP・椿賞の2着馬。前走は6番枠から五分のスタートだったが、押して押してハナを主張しての逃げ。向正面からバハマフレイバーにプレッシャーをかけられ、オーバーペースの逃げとなり、外からの差しが台頭する展開となったが、最後までしぶとく粘り通し、3/4馬身差に好走した。
前走はタフな馬場でかなり厳しい展開を逃げ粘る強い内容だったが、消耗度の高いレースになってしまったことがネック。3走前の初夢賞を勝利した後の、前々走・青鵐賞で12着と大敗しているように、差し馬よりも逃げ馬のほうが連続好走が難しいもの。よって、評価を下げた。