■逃げ宣言のベリーヴィーナス。アリスヴェリテはそのハナを叩くか? 控えるか?
ベリーヴィーナスは逃げて目下2連勝。同馬は昨年3月の中京芝2000mの1勝クラスで、向正面の中間で先頭に立つと、そのまま最後まで止まらず3馬身半差で圧勝。ここで2勝クラス級の指数を記録し、豊富なスタミナを証明した。
その後は脚をタメる競馬で徐々に成績が下降してしまったが、重馬場で行われた四国新聞杯(2勝クラス)では、5番枠から五分のスタートながら押して出鞭も入れて、内のアリスヴェリテを制してハナを主張。ここではアリスヴェリテが控えたことで、重馬場ながら前後半5F62秒3-59秒4のスローペースに持ち込み、逃げ切ることができた。
一方、四国新聞杯のアリスヴェリテはその前走の1勝クラスを逃げて5馬身差の圧勝した疲れからか、ここでは掛かって行ってしまうような元気を見せなかった。しかし、3走前の1勝クラスで前半3F34秒7、前々走でも前半3F34秒5で通過しているように、本質的にアリスヴェリテの方がテンが速い。
今回はベリーヴィーナスは1番枠。一方、アリスヴェリテは13番枠と外枠。アリスヴェリテは斤量50Kgということもあり、本気でハナを主張すれば叩けるが、今回は柴田裕一郎騎手から永島まなみ騎手に乗り替わり。前走でオーバーペースの大逃げを打って、かなり強い内容で勝利しているだけに、今回は前々走のように行きっぷりがあまり良くないことが予想される。
アリスヴェリテのようなキレる脚が使えない馬でも、常識の範囲内に収めたがるのがキャリアを積んだ騎手の習性。アリスヴェリテが2番手に控える可能性もありそうだが、ベリーヴィーナスがペースを落とし過ぎるとアリスヴェリテにハナを叩かれることになるので、ここは平均ペースよりも速くなり、内枠の差し馬が有利になると見て予想を組み立てた。
本日2番 阪神11R マーメイドS 芝2000m
◎ (3)ピンハイ
○ (5)ラヴェル
▲ (9)コスタボニータ
△ (6)ホールネス
△ (10)ゴールドエクリプス
△ (4)ミッキーゴージャス
△ (12)タガノパッション
△ (15)エーデルブルーメ
△ (2)ジューンオレンジ
△ (13)アリスヴェリテ
結論 馬連3-5,9,6,10,4,12,15,2,13 (10:10:7:7:4:4:4:2:2) 複勝3 (50)
■有力馬と評価ポイント
◎ (3)ピンハイ
デビュー2戦目のチューリップ賞でいきなり2着に食い込いこむ離れ業を演じた素質馬。その後は期待されたほど走っているわけではないが、昨秋は古馬OPのカシオペアSで2着、続く中日新聞杯で3着に善戦。
3走前の中日新聞杯では15番枠から出遅れて後方からの追走になったが、そこから中団の外まで進出。道中もスローの団子気味で内には入れられず、中団の外々を追走した。3~4角ではロスを顧みず、外から勢いに乗せて直線へ。序盤でじわじわ伸びて好位まで上がると、ラスト1Fで外からハヤヤッコにはかわされたが、3/4+クビ差で3着となった。
中日新聞杯は後ろの位置になって早仕掛けをしたため、最後に伸びあぐねたが、無理なく追走すれば芝2000mでも問題ないはずだ。また、前走の都大路Sでは4着に敗れているが、このレースでは超絶高速馬場かつ前後半4F47秒6-45秒0のかなりのスローペースで、ラスト3F33秒6の上がりの速い決着となり、伸び負けしたもの。
思い返せばデビュー2戦目のチューリップ賞も、例年と比べると緩みなく流れており、1番枠を利して中団の最内を立ち回ったものだった。ピンハイが好走している時は、ほとんど高速馬場で平均ペースよりも速くなった時で、カシオペアS2着時もショウナンマグマが大逃げを打って、前後半4F45秒6-47秒1のかなりのハイペースを中団外から差し切ったものだ。
今回は(1)ベリーヴィーナスと(13)アリスヴェリテの出走により、平均よりもペースが速くなりそうな組み合わせ。(4)ミッキーゴージャスがハンデ56.5Kgなど、実績馬が軒並みハンデを課せられている中で、ピンハイは54Kgを恵まれている。また3番枠と内枠にも恵まれ、チューリップ賞時のように中団の内目を立ち回れるのも好ましく、ここは一発に賭けたい。
○ (5)ラヴェル
小倉芝1800mの2歳新馬戦で派手に出遅れながらも、位置取りを最低限リカバリーすると、ラスト2Fを11秒7-11秒3の好ラップで勝利した素質馬。その次走のアルテミスSでも大外10番枠から出遅れて後方からの追走になったが、3~4角でリバティアイランドに蓋をしながら先に動いて、最後の直線で一気の伸びを見せた。リバティアイランドを完封したあの走りは素晴らしいものだった。
その後、オークスでは1番枠からまずまずのスタートを切って、2列目の最内を追走。3~4角でも最短距離を通してラスト2Fでは一旦抜け出し、あわやの場面を作って4着に善戦。この走りからも同世代の牝馬としては潜在能力がトップクラスと言えるだろう。
3歳秋以降は気性も災いして伸び悩んでいたが、立て直された前々走の京都記念では5着と復調の兆し。同レースでは6番枠から五分のスタートを切り、そこからコントロールしながら中団外目を追走。道中は我慢させ、3角手前で外に誘導してじわっと押し上げていく。3~4角ではかなりロスを作りながら仕掛けを待って、好位の直後から直線へ。序盤で追われるとそれなりに伸びたが、ラスト1Fではキレがなくなってしまった。結果、3着争いに迫る5着だった。
このレースでは、かなり折り合い重視で乗られており、タフな馬場で致命的なロスではなかったとは言え、3角、4角で大外を回るロスも生じた。突き詰めると距離が長かったのだろうが、このロスの影響もあって、最後の直線ではこの馬らしいキレを見せることができなかった。
ただ、クビ差の4着だったシュヴァリエローズは、2走後の目黒記念で2着に好走しているように、ここで通用する実力はあるはず。また、前走の中山牝馬Sは前有利の展開を16番枠から好位の外で追走していたが、雁行状態のため中団中目へと一列下げた結果、4角で出口が狭くなって押し込められるロスがあり、能力を出し切れなかった。
今回はハンデが54kgと魅力的で枠番も5番枠。内で脚をタメて持ち味の瞬発力を生かせば、京都記念時の指数にプラスαを期待できそう。チャンスは十分あると見る。
▲ (9)コスタボニータ
牝馬重賞の中距離路線で安定勢力として活躍し、前走の福島牝馬Sで重賞初制覇を達成した。前走は1番枠から好スタートを切り、外から前を主張する馬たちを行かせて、3列目の最内を楽に確保。道中のペースは遅かったが、前のスペースを維持して追走した。3~4角でそのスペースを潰して2列目に上がり、4角出口では逃げるウインピクシスの直後。直線序盤は進路を作り切れず、外のフィールシンパシーに先手をとられたが、ラスト1Fで外に誘導して追われると、同馬を捉え切ってクビ差で勝利した。
前走はスローペースで上がりの速い決着。1~4角の全てで最短距離を完璧に立ち回っており、直線序盤で仕掛けを待たされなければ、もっと着差が付いていた可能性が高い内容だった。
コスタボニータはゲートも二の脚も速い馬。昨年のクイーンSや3走前の愛知杯など、これまでも内枠を引いてしまえば高確率で好走している。レース巧者なので外枠が苦手というわけではないが、内枠を引くと枠の利を生かした乗り方で100点に近いレースができるということだ。よって、今回の9番枠は減点材料ということになるが、ここも崩れずには走れるだろう。
△ (6)ホールネス
キャリア4戦で3連勝、前走の熊野特別(2勝クラス)も完勝した上がり馬。前走は10番枠から五分のスタートを切り、そこからコントロールして好位の外で折り合い重視。折り合いにやや苦労していたが、好位の中目で進めていった。3~4角で包まれて、4角では仕掛けを待たされたが、直線序盤で馬群を捌いてしぶとく伸びて逃げ馬と半馬身差の2番手。ラスト1Fでそのまま逃げ馬を競り落として抜け出し、1馬身3/4差で完勝した。
前走は重馬場だったが、そこまで時計が掛かっておらず、前後半5F63秒3-59秒9のかなりのスローペース。好位のつけて、最後までしぶとく伸びたレースぶりからは、時計が掛かる馬場のほうが良さそうだが、前々走では中京開幕週のパンパンの良馬場で、差す形ではあったが結果を出している。今回は相手強化で休養明けの一戦だが、休養中の成長次第ではチャンスがある。
△ (10)ゴールドエクリプス
昨夏の小倉記念の3着馬。同レースでは7番枠から出遅れ。そこから窮屈になり、馬群の間を割ろうとしたが、割れずに結局中団の中目。3角手前で内目に入れて3角へ。3~4角でも中団の内目で我慢を強いられたが、4角で中目に誘導し、出口で上手く外に出して直線へ。序盤で追われるとすっと伸びて好位列まで上がり、ラスト1Fでそのまましぶとく伸びて前のマリアエレーナを捉え、3着を確保した。
このレースは前後半5F58秒7-59秒1と平均ペースで流れた中で、最後の直線ですっと加速して伸びた。ここではハンデ51Kg。当然、ハンデの恩恵もあっただろうが、なかなか強い内容。昨秋のエリザベス女王杯以降が不振だが、前走の阪神牝馬Sは押されるとすっと2番手に行くスピードを見せており、復調の兆し。ペースが上がって展開に恵まれればここもチャンスがあると見る。
△ (4)ミッキーゴージャス
昨秋の夕月特別(2勝クラス)から3連勝で重賞の愛知杯を優勝した馬。前々走の愛知杯では12番枠から五分のスタート。そこから内の馬の出方をうかがっていたが、内の馬が飛ばして行ったため無理なく中団やや後方の中目を追走。このレースは前半3F33秒5と速かったが4F目からペースダウンし、そこで好位の中目まで上がり3角では2列目の外、4角で勢いに乗せ先頭列で直線へ。序盤でややフラフラしながらもラスト1Fで先頭に立ち、外から追撃する(12)タガノパッションを半馬身差で振り切って勝利した。
今年の愛知杯は1回小倉の開幕日に行われ、標準的な馬場で前後半5F57秒4-60秒5の激流だった。前半3F33秒5の区間で脚を温存し、ペースが緩んだ中盤で進出して行く形。勝ちに行く競馬をしていたが、展開が噛み合った面もあった。
前走の大阪杯は前後半5F60秒2-58秒0とかなりのスローペースで前有利の展開。1番枠からまずまずのスタートを切り、そこからは押して好位を狙いに行ったが、最終的に下がって中団の最内で包まれてしまい、後手後手になって14着に大敗した。ただ、向正面で押していっても進んでいかなかったあたり、調子落ちを感じさせる内容だった。
今回はそこから立て直されての一戦。川田騎手が乗らないことや、中間の追い切りからは完調手前を感じさせるが、相手弱化のここは前走よりも走れるだろう。また、今回はトップハンデの56.5kg。ゲートも二の脚も速くないので、内枠を生かせず、3~4角の外から進出するような形になりそうだが、展開次第ではチャンスがあるはず。
△ (12)タガノパッション
3走前の愛知杯では2着と、▲(9)コスタボニータに先着した馬。その愛知杯は3番枠からやや出遅れ、そこから押して行ったがペースが速くてあまり進まず、下がって後方からの追走。1~2角で最内を通しロスなく進めて脚を温存して、向正面でペースが落ちると、徐々に中団まで取り付いていった。3~4角で苦しくなり下がってくる馬をかわして、4角で中目に誘導、コスタボニータの後ろから直線へ。序盤の伸びはやや地味だが、食らいついて4番手に上がる。ラスト1Fでしぶとく伸びて、先頭の△(4)ミッキーゴージャスに半馬身差まで迫った、
このレースは逃げ馬がぶっ飛ばして、前後半5F57秒4-60秒5とかなりのハイペース。本馬は開幕日の内枠で位置を取りに行かずに、1~4角の全てで内目を立ち回れていた。また前半で脚を温存したことで展開に恵まれ、また3角までにコスタボニータの後ろまで持っていったことでその後の進路取りもスムーズだった。
一方、前々走の中山牝馬Sは前後半4F49秒6-後半47秒5のスローペースでコンクシェルが逃げ切る展開。1番枠から中団内目を追走していたが、向正面で内の馬が下がってきた影響で後方に下がり、4角でも仕掛けを待たされて能力を出し切れず6着敗退だった。
前走の福島牝馬Sは11番枠から出遅れて、ここも後方からの追走。向正面でペースが落ち着いたところで、外から動いて行ったが、捲り失敗で3、4角と大外を回らされる形になった。福島競馬場はスパイラルカーブで3角が緩く、内の馬に抵抗されやすいので捲りに行くのはかなりのリスクだった。ここでは6着に敗退した。
タガノパッションはテンが遅い馬。しかし、前2頭がやり合ってくれれば、前に行けないことが強みとなるはず。
△ (15)エーデルブルーメ
未勝利から3勝クラスまで全て芝2000mで勝利した馬で、デビューからほとんど芝2000mを使われ続け、少しずつ地力をつけてきた。前走のダイワスカーレットCでは15番枠からやや出遅れたが、軽く促して中団の外まで挽回。前2頭が後続を引き離していく展開を、向正面半ばからじわっと進出して、3~4角の外から好位まで上がって直線へ。序盤で一気に伸びて先頭に立つと、食らいつくシェイクユアハートをラスト1Fで振り切り、1馬身半差で完勝した。
この前走はそれなりにレースが流れて、3~4角でペースダウンする展開。そこで外から仕掛けたことで、噛み合った感がある。それでも2着馬には1馬身半差、3着馬には3馬身半差をつけており、OP級の自己最高指数を記録した。ここでのダメージが残るかどうかは本馬の潜在能力次第だが、前走の強さから要警戒だ。