2024年 オークスの予想 – 競馬予想 – 山崎エリカ –

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予想

2024.05.19
2024年 オークスの予想

■スローペースでも逃げ、先行馬は苦戦傾向

 過去10年でオークスがハイペースになったことは一度もない。大半の馬が大幅距離延長になることが影響し、平均~かなりのスローペースで決着している。それでも前へ行く馬は脚をタメても最後に甘さを見せてしまう。この10年の間に逃げ馬の3着以内はゼロ、先行馬は1勝、2着5回と、前に行く馬は苦戦傾向にある。

 また先行馬の1勝は過去10年でもっともスローになった2017年で、勝ち馬は1番人気のソウルスターリングだった。ここはできるだけ後半型の馬を中心に予想を組み立てたい。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

本日1番 東京11R オークス 芝2400m
 ◎ (15)サフィラ
 ○ (7)ステレンボッシュ
 ▲ (17)タガノエルピーダ
 △ (10)アドマイヤベル
 △ (12)チェルヴィニア
 △ (14)ライトバック
 △ (2)クイーンズウォーク
 △ (5)コガネノソラ
 △ (18)ランスオブクイーン
結論 馬連15-7,17,10,14,2,5,18 (13:8:8:8:8:2:2:1) 複勝15 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (15)サフィラ

 前後半4F48秒0-45秒6のかなりのスローペースの上がり勝負だったアルテミスSの2着馬。同レースでは8番枠からまずまずのスタートを切り、好位の外で進めていたが、道中で中団の外まで下がってしまった。3~4角で動いて4角出口で外。直線序盤で追われても反応がなく、ラスト1Fでチェルヴィニアに抜け出されてしまったが、最後までジリジリ伸び続け1馬身3/4差の2着と好走。追走にやや忙しく、直線で完全にキレ負けする形だった。

 前々走の阪神JFでも追走に苦労し、終始外々を回りながらも4着と善戦しているように、しぶとさが強み。距離が長いオークスの舞台はベストに近いと見ている。

 前走のクイーンC9着後に桜花賞をスキップしたのは、前走で大幅に減らした体を回復させる目的もあったかもしれないが、桜花賞よりもオークスで使いたいという陣営の強い思いもあったからだそう。このパターンを見ると、一昨年のオークスで10番人気2着と好走したスタニングローズを思い出す。同馬もサフィラと同じく決め手不足の馬だった。

 今回は能力が足りるかが焦点になるが、個人的にオークスでは桜花賞で末脚を生かす競馬で強烈な勝ち方をした馬か、距離延長が吉と出るタイプを本命にすることに決めている。今年の桜花賞馬ステレンボッシュが昨年のリバティアイランド級の勝ち方ではなかったことから、サフィラの馬体重が増えて(調教前馬体重で+22kg)、ここで激走することに期待したい。

○ (7)ステレンボッシュ

 阪神JF2着、桜花賞1着の実績はここでは最上位。前々走の阪神JFでは中団中目でアスコリピチェーノをマークし、最後の直線でも同馬の後ろを狙ったが、進路を作れずにまごついて仕掛けが遅れ、結果クビ差の2着だった。

 前走の桜花賞は12番枠から出遅れて後方からの追走。3~4角でも中団馬群の中目で進め、4角では包まれかけたが、やや外に膨らんだアスコリピチェーノを外に弾くやや強引な形ながら内から抜け出して直線へ。序盤で追われると4列目から一気に先頭列まで上がり、ラスト1Fでもしぶとく踏ん張り、アスコリピチェーノを寄せ付けずに3/4差で完勝した

 ステレンボッシュはゲートが甘い末脚型のため、進路を取り切れない面はある。先行タイプの桜花賞馬はオークスでも積極策をとり、苦しい競馬になることが多いが、差しタイプは結果を残せている。芝1600mよりも芝2400mのほうが出遅れのリスクは小さく、ここも崩れずに走ってくる可能性が高いと見る。

▲ (17)タガノエルピーダ

 京都芝1600mの新馬戦は、前半3Fが36秒4、同4F48秒8と超スローペースを逃げ馬の直後で我慢して進め、ラスト2F11秒0-11秒0の流れを差し切って勝利した。同日の京都芝1600mの2歳未勝利と比較しても4F通過が1秒4も遅いペースでありながら、走破タイムが0秒2速い後半勝負を好指数で勝利していることから朝日杯FSでは本命馬とした。

 朝日杯FSは前半3Fが34秒1、同4F46秒1のかなりのハイペース。前半からレースが流れている中で、前のセットアップの最内から並びかけそうになった時は、失速してしまうのではないかと見ていたが、シュトラウスが押し上げてくれたことで悪くない位置で進めることができた。結果は2着とクビ差の3着だったが、もう一列下げていれば逆転もあった内容。阪神JFに出走していれば3着コラソンビートに先着の指数を記録した。

 そこからの復帰戦となった前々走のチューリップ賞では、朝日杯FSの疲れが残っていたのか4着に敗れたが、前走の忘れな草賞では復活V。なかなかの好指数での勝利だったが、ラスト1F12秒1と明確に甘さを見せた。

 デビューからチューリップ賞までマイル戦を使われており、中距離よりは短距離寄りの馬。前走からさらに距離が長くなるのは好ましくないだろう。前走時にのように前の馬がしっかりレースを引っ張ってくれればいいが、今回のメンバーだと先行することになりそうだ。

 ただし、デビュー2戦目にGⅠで好走できるのは潜在能力が高くなければ難しい。デビュー2戦目でGⅠレースを好走すると、しばらくスランプになる馬が多いなか、早々と復活を果たせた辺りに体質の強さを感じさせる。今回はそこに賭けたい。

△ (10)アドマイヤベル

 デビューから上昇一途で、前哨戦のフローラSを優勝した。フローラSは8番枠から五分のスタートを切り、そこからコントロールしながら好位の直後を追走。向正面でエルフストラックが好位の外まで上がると、そこで一列下げた。3~4角では中団中目で仕掛けを待って4角出口で外に誘導し、4列目付近で直線へ。直線序盤でもまだ仕掛けず、ラスト2Fで追われるとここからしぶとく伸びて先頭列付近まで上がった。ラスト1Fでもうひと伸びして抜け出し、1馬身差で完勝した。

 末脚一閃というレースぶりではなかったが、ある程度前の位置からいい脚を長く使っていた。またデビューから一貫して中距離路線を使われており、前走の桜花賞から大幅に距離が延びる馬たちよりも距離適性の面でアドバンテージがある。

 2016年のこのレースの2着馬チェッキーノのように、桜花賞とフローラSの指数が同等レベルな年や桜花賞の上位馬が不在時にフローラSの勝ち馬が活躍することが多いが、今年は桜花賞の上位馬にやや見劣るものだった。ただし、桜花賞3着、4着馬は最後方付近で脚を溜め、距離を持たせた馬たち、それらに対して、逆転の余地は十分にあると見ている。

△(12)チェルヴィニア

 デビュー3戦目でアルテミスSを優勝した馬。同レースでは4番枠から出遅れたが、押して中団馬群の中目まで挽回して追走。道中では好位の中目まで上がって2番手のシュシュトディエスを後ろからマーク。3~4角ではコントロールしていたが、前のシュシュトディエスが動いたのでその後ろから馬なりで上がって4角では2列目。直線序盤では外のスティールブルーの後ろに誘導して2番手まで上がり、ラスト2F目で追われるとじわじわ伸びて同馬と半馬身差。ラスト1Fで捉え切ると突き抜けて1馬身3/4差で完勝した。

 このレースは出遅れを挽回し、ラスト2F11秒2-11秒0と加速して勝利するとても強い内容。ここではクイーンC優勝時の(2)クイーンズウォーク、チューリップ賞優勝時の(13)スウィープフィート、フローラS優勝時の(10)アドマイヤベルと同等の指数を記録している。これをキャリア3戦目、2歳10月時点で記録しているのだから間違いなく素質が高い。

 そこからの復帰戦となった前走の桜花賞は7番枠からやや出遅れ。そこから促して好位の直後まで押し上げて行く形。3角で我慢して外へ。4角で外を回しながらじわっと進めて3列目で直線へ。序盤追われたが伸びあぐねて中団、進路が狭くもなり13着に完敗した。

 前走は前半のペースが遅くもないのでにでこれ無理に脚を使わせて、3角でペースが落ちると我慢する。レースの流れと真逆の酷い乗り方。レースの流れに逆らわずに、前半で脚を溜めて、3~4角で動く、(14)ライトバックやスウィープフィートの乗り方ならば、桜花賞では前記2頭以上に走れていたと見ている。

 また、デビュー戦から1Fの距離延長となった、新潟芝1800mの未勝利戦で、2番手からラスト2Fで先頭に立ち、グングン伸びて6馬身差で圧勝していることから距離が延びても問題ないことを確信している。ただし、前哨戦を使わず、前走が大目標だったことは確か。それに対しての割引は必要だ。

△ (14)ライトバック

 新馬戦は出遅れ、折り合い重視で前に壁を作って後方からレースを進めていたが、最後の直線半ばまで進路がなかった。残り300mくらいで外に持ち出すと、グングン伸びて着差以上の強さを感じさせた。続くアルテミスSでも1番枠から出遅れて、頭を持ち上げるほど掛かって前の馬とのスペースを詰め切ってしまい、結果的に自ら包まれにいく形に。直線序盤でも進路がなく、直線で中目を捌きながらなんとか伸びてきたが、前も止まらず4着が精一杯だった。

 このように折り合いにかなり課題のある馬だが、前走の桜花賞ではデビューからこれまでのレースでもっともペースが速くなったこともあり、2着アスコリピチェーノにクビ差まで迫る3着と善戦した。

 前走はエルフィンSの内容がそこまで強調できるものでもなかったため軽視したが、強さを再認識させられた。ただ前走は上手く折り合って末脚勝負に徹することができた面もある。今回もペースが上がって上手く折り合えればいいが、前に行きたくて仕方ない馬が、控えて末脚を生かしたい鞍上と戦いながらレースをすることになる可能性もあるので、馬の気性が勝って暴走しても不思議はない。勝ちにいくと失速の可能性もあるが、後半に徹する競馬ができれば、当然、チャンスはある。

△ (2)クイーンズウォーク

 前々走のクイーンCの勝ち馬。前々走は大外13番枠から五分のスタートを切ったが、じわっと下がって中団やや後方を追走。道中も後方2列目の外で進めて、3~4角でもそのまま外から直線へ。序盤で追い出されると中団付近まで上がり、ラスト1Fでは1馬身半差ほどあった先頭との差をしっかり詰めてかわし、内から捌いて上がったアルセナールをクビ差で振り切った。前後半4F47秒1-46秒0のややスローペースで内と前有利の流れ。それを3~4角で大外を回るロスを作って、上がり最速で勝利した点は評価できる。

 前走の桜花賞は前々走で好走した疲れがあったようで、最後の直線で伸び切れずに8着に敗退。また前走は結果的に外から被されて中団まで位置を下げる形になったが、2番枠だったこともあり、五分のスタートから思い切って前を狙っていったことが祟った面もある。

 前々走の内容から今回の距離延長で好転する可能性がかなり高い。さらなる成長があればチャンス十分だが、末脚型の桜花賞上位馬よりも前の位置を取りたいところではある。

△ (5)コガネノソラ

 勝ち上がるのに4戦とやや苦労したが、そこから3連勝でスイートピーSを制した馬。前走のスイートピーSは5番枠からやや出遅れて後方からの追走になったが、押して中団やや後方まで挽回。道中では中団列が壁になってなかなか動けなかったが、4角出口で外に出して直線へ向いた。直線序盤で追われ伸び始めは地味だったが、ラスト2Fでグンと伸び、ラスト1Fで先頭のニシノティアモを詰め切ってクビ差で勝利。3着馬には3馬身差をつけた。縦長の隊列、前後半4F45秒6-48秒1のかなりのハイペースのレースだった。

 前走はラスト2F11秒9-11秒6。ラスト1Fで加速するニシノティアモをその2馬身後ろから捉えたことになるが、同馬も中団最内で脚をため、4角出口で中目に誘導して、ラスト2Fで仕掛けた馬。展開に恵まれたのは否めない。しかし、距離延長が吉と出るタイプであることを証明した。今回は前走のように展開に恵まれるのは難しいと見ているが、2021年のオークス馬ユーバーレーベンのように道中でじわっと動いて行く展開なら一発がありそうだ。

△ (18)ランスオブクイーン

 これまでのキャリア4戦。デビュー2戦目の未勝利戦では4角でサウンドトリオンフの斜行もあって能力を出し切れなかったが、それ以外は全て勝ち馬と0.1秒差以内の競馬をしており、崩れていない馬だ。

 今年4月に復帰すると芝2000m戦を使われるようになり、ここで一気にパフォーマンスを上昇させた。前走は3番枠から好スタートを切って先行したが、最終的には外から内に切れ込んでくる馬たちを行かせて中団4番手を追走。向上面で外目に誘導し、3~4角の外から進出して行く。4角で出口で軽く仕掛けて2列目付近に上がって直線へ。そこからしぶとく伸びて先頭に立つと、そこから突き抜けて2馬身半差で完勝した。

 前走はラスト2F12秒0-12秒0と減速していなかったことから、まだ余力もあり、さらなる距離延長も好ましい。今回は前走から一気に相手が強化される、前走から成長を見込んでも5着くらいまでが精一杯かもしれないが、現時点で14番人気と人気もないので、ほんの少し買ってみたい

推定4番人気 (13)スウィープフィート

 武豊騎手に乗り替わった前々走のチューリップ賞で重賞を初制覇し、前走の桜花賞でも4着と好走した。前走は7番枠から五分のスタートを切って、中団中目から最後方まで下げ切った。3角で最内を通って4角で外に誘導したが、外のライトバックに蓋をされて出せず、進路を作りきれないまま直線へ。直線序盤で外をあきらめ中目を割って伸び始めたが、まだ後方。ラスト1Fでもしぶとく伸びたが、3着ライトバックと半馬身差の4着となった。

 前々走では最後の直線で中団の大外から伸び、ラスト1Fで先頭に立ち、そこから抜け出して1馬身1/4差で完勝。末脚一閃の内容だったが、稍重のやや時計が掛かる馬場状態で1分33秒1の好タイムが出ているように、レースが緩みなく流れた差し有利の展開だった。実際に中団中目を上手く捌いて上がった15番人気のハワイアンティアレが3着に好走している。

 前々走の内容から桜花賞では無印だったが、結果的には意外とがんばれた。鞍上が前々走時のように、展開を読んで後方からレースを進めたのが良かったと見ている。最後方まで下げる必要があったかはともかく、脚をタメたことで、ラスト1Fで苦しくなった馬たちを差して着順を上げた。前走は(14)ライトバックに先に動かれたのが敗因である一面もあるが、スウィープフィートは一連の実績からも(14)ライトバックほどの決め手が使えない。超高速馬場の東京芝で後方からの競馬になると苦しいと見る。また、前に行った場合には、距離が持たない可能性もあるし、折り合いとの戦いにもなる。

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