■超高速馬場で追込は苦しいか?
馬場で追込は苦しいか? 過去10年のうち、外差し有利の馬場だった2018年と、稍重でややハイペースだった23年は差し・追込馬が優勝しているが、それ以外は逃げ~中団までが8勝と前目が有利。
2着や3着には差し・追込馬が計9回突っ込んできているが、東京芝は緩みなく流れた昨日のエプソムC(稍重)でレコードタイムが記録されたように、超高速馬場。1分32秒前後の高速決着が予想されるだけに、追込は苦しいと見る。
東京11R NHKマイルC 芝1600m
◎ (1)モンドデラモーレ
○ (8)アドマイヤズーム
▲ (15)アルテヴェローチェ
注 (14)ティラトーレ
△ (9)マイネルチケット
△ (7)トータルクラリティ
△ (2)ショウナンザナドゥ
△ (3)チェルビアット
△ (17)ヴーレヴー
結論 馬連1-8,15,14,9,7,2,3,17 (16:15:8:5:3:1:1:1) 複勝1 (50)
■有力馬と評価ポイント
◎ (1)モンドデラモーレ
デビュー1~2戦は中距離を使われていたが、マイル路線で素質が開花した。8月の札幌2歳S4着以来となった2走前のジュニアCでは馬体重20kg増で出走すると2着で、一気に指数を上昇。勝ち馬ファンダムは次走の毎日杯で強い勝ち方をした。
2走前は10番枠から五分のスタートを切り、コントロールしながら好位の中目を追走。道中は好位の中目で我慢させて前のスペースを維持していたが、かなり掛かって3角手前で前のスペースを詰め切ってしまった。
3~4角では進路がなくなりブレーキ気味。4角で外に誘導し、ファンダムの後ろから追われて3列目で直線へ。それまでがブレーキ気味だったこともあって直線序盤の伸びは地味だったが、追われて2列目に上がり、ラスト1Fでファンダムとの差を3/4馬身差まで詰めた。
高速馬場で前後半4F47秒2-46秒3のややスローペース。やや前が有利な展開だった。折り合いを欠くことなく、スムーズにレースができていればファンダムを逆転した可能性もあったと感じさせる内容だった。
そこから再び休養明けとなった前走のファルコンSでは2着。ここでは大外18番枠から出遅れ、中団の外目からの追走となった。道中で好位列が横に広がっていく展開を押し上げて好位の5頭分外から3角へ。
3~4角でも好位列が雁行している状態の一番外。それを嫌って4角でやや追っつけて4角で内に切ったが、それでも4頭分外から2列目に上がって楽な手応えで直線へ。直線序盤で追われての反応は地味で外から一気に(4)ヤンキーバローズにかわされたが、ラスト1Fで意外と食らいついてクビ差に迫った。
ここは標準馬場で前後半3F34秒4-35秒0。中盤で緩んでおらず、ややハイペースだったこともあり、ここでは折り合いもついていた。また、大外枠から3~4角でペースが落ちてはいないのにかなり外を回す距離損の大きい競馬で、並みの馬ならば大敗のパターンだった。
本馬はここ2戦のレースぶりに反して人気がないが、強い相手とも戦っており、地力上位は明らか。ややスローペースの2走前はかなり掛かっていたが、GⅠのペースならば折り合いもつきやすいだろう。ここは本命に推す。
○ (8)アドマイヤズーム
昨年の朝日杯FSを勝利し、2歳マイル王となった馬。同レースでは2番枠からまずまずのスタートを切り、軽く促して楽に先行。ペースが遅かったが、我慢させながら2番手外を追走した。道中も逃げ馬を見ながらコントロールして2番手外で折り合わせ、3角手前で強烈にペースが落ちても我慢させた。
3~4角で外の各馬が我慢できずに絡んできたが、本馬はコントロールしながら先頭に並びかけて直線へ。直線序盤で追われて突き抜け2馬身半差。ラスト1Fで後の皐月賞馬ミュージアムマイルの追撃を許さず2馬身半差で完勝した。
ここは標準馬場で前後半4F48秒0-46秒1とかなりのスローペース。前有利の展開に乗じての勝利ではあったが、2番手からメンバー最速の上がり3Fを記録しての勝利は高評価できる。
復帰戦となった前走のニュージーランドTは朝日杯FSと比べると高速馬場でハイペース。逃げ馬から離れた好位の外目で進め、ラスト1Fでやや甘くなったところをイミグラントソングに差され、クビ差の2着に惜敗した。しかし、順当に体調面が上昇すれば通用するはず。
▲ (15)アルテヴェローチェ
デビュー2戦目に東京芝1600mのサウジアラビアRCを優勝。休養明けで馬体重14kg増の朝日杯FSでは、先行勢が雁行状態の中目を追走したが、ペースが上がらずコントロールに苦労して中団まで下げ、包まれて3角では後方についた。結果、前有利の展開に泣く形で5着に敗れた。
体が絞れた2走前のシンザン記念では2着。ここでは8番枠からまずまずのスタートを切って軽く促されていたが、内と外から来られたため、中団に下げて外に誘導した。そこから折り合い重視で進めて3角に入った。
3角手前でさらに外に誘導し、3~4角で仕掛けて4角では外から押し上げながら2列目外で直線へ。直線序盤で大外に誘導して追われて伸びたが、内のリラエンブレムに来られてクビほど前に出られる。ラスト1Fでは同馬に離されたが、後続には2馬身半差をつけた。
ここはややタフな馬場で前後半4F46秒8-47秒8のややハイペース。やや大味な競馬ではあったが、差し有利の展開に恵まれた面もあった。
前走のチャーチルダウンズCでも休養明けながら2着。ここでは6番枠から駐立が整わず、2馬身も出遅れてしまった。そこから後方外目まで挽回し、道中では中団馬群の後ろで流れに乗って3角に入った。
3~4角でも中団外から動いて、4角出口で大外に誘導して3列目で直線へ。直線序盤で追われてじわじわ伸びて2列目付近に上がり、ラスト1Fでは(5)ランスオブカオスには離されたが1馬身3/4差で2着に入った。
大きく後手を踏んだ時点で後方からの追走に徹してもよかったが、急かして位置を取り過ぎた面があり、敗因の一つといってもいい。またこの日はBコース替わりで内がやや有利だったが、外から位置を挽回し、3~4角の外からも動いた時はさすがに苦しいかとも思ったが、案外がんばった。
本馬は2走前に挟まれかけ、前走は出遅れて先行できていないが、サウジアラビアRC時のようにある程度、位置を取りに行っても問題のないタイプ。前走は駐立不良による出遅れで癖ではないので、ここはスタートを決める可能性が高いと見ている。これまでの実績は十分なだけに、叩かれての前進に期待する。
注 (14)ティラトーレ
今年1月のフェアリーSでエリカエクスプレスの2着に健闘した馬。ここでは13番枠からまずまずのスタートを切って、外のニシノラヴァンダを行かせ、その後ろから押し上げて同馬の外2番手を追走。道中でもある程度は同馬を追い駆け、2番手の外を維持した。
3~4角でも同馬の外から押し上げ、ニシノラヴァンダの手応えが怪しくなるとワンテンポ待って4角出口で仕掛けて先頭。ここで外からエリカエクスプレスに並ばれ、直線序盤で2番手に食い下がる。ラスト1Fでも踏ん張ったが2着までだった。
ここは高速馬場で前後半4F45秒5-47秒3のかなりのハイペース。ここでは強豪エリカエクスプレスに完敗だったが、オーバーペースで逃げるニシノラヴァンダを追い駆けたわりにはよく踏ん張っていた。
次走のクロッカスSでも2番枠から好スタートを決めて外の2頭を行かせ、コントロールして3番手を追走。3~4角でじわっと差を詰めて、4角で前2頭の外に誘導。直線序盤でじわっと仕掛け、ラスト2Fで追われるとしぶとく伸び、ラスト1Fで逃げ粘るクラスペディアに迫ったが、半馬身差までだった。
ここは標準馬場で前後半3F36秒7-33秒6のかなりのスローペースで前有利の展開。フェアリーSから一転して脚をタメたことで、クラスペディアを捉えそこなった面がある。
前走のフローラSはスタミナが不足しがちな休養明けで2Fの距離延長。緩みない流れをかなり掛かって好位の内目を追走したために15着に失速したが、叩いて最適距離のここは要注意だ。
△ (9)マイネルチケット
昨秋の京王杯2歳Sの2着馬。ここでは11番枠からまずまずのスタートを切り、コントロールしながら2列目の外を追走。3角手前でやや位置を下げて前にスペースを作って4番手で3角に入った。
3~4角で好位の中目で仕掛けを待って、中目を通し切って直線へ。序盤でしぶとく伸びて3番手に上がり、ラスト2Fで先頭。ラスト1Fでも踏ん張っていたが、外からパンジャタワーに差されてクビ差の2着となった。
ここは高速馬場で前後半3F34秒9-34秒9。緩みなく流れており、前へ行った馬には厳しい展開だったが、先行策で3着(4)ヤンキーバローズに1馬身半差をつけたことは評価できる。
本馬は3走前のサウジアラビアRCで3着、シンザン記念でも4着の実績があるように、マイルも許容範囲内の距離。休養中に成長していればここも通用するはず。
△ (7)トータルクラリティ
京都芝1600mの新馬戦と新潟2歳Sを連勝した馬。その新潟2歳Sでは9番枠からまずまずのスタートを切り、コントロールして好位の外目を追走。道中は我慢させ、折り合いに専念した。
3~4角でペースが落ちたが、ここでもコントロールして3列目の外。直線序盤で2列目から馬なりで上がり、ラスト2Fで追い出されると先頭。そこでややささり、この隙に外から(18)コートアリシアンに半馬身ほど前に出られてしまった。しかし、一騎打ちとなったラスト1Fで同馬を差し返して半馬身差で勝利した。
ここは標準馬場で前後半4F47秒7-46秒5のかなりのスローペース。新潟開催10日目で外差し有利の馬場ではあったが、2歳8月の時点としては指数が高く、後に行われたサウジアラビアRCを上回る指数での勝利だった。
秋に復帰してからは順調さを欠いて朝日杯FSでは13着、そこから立て直されたファルコンSでも10着と結果を出せていないが、この中間の追い切りではキビキビ動いており、初めてのブリンカー着用、休養明け2戦目で一変する可能性がある。驚くほど人気がないここは一考したい。
△ (2)ショウナンザナドゥ
2走前のフィリーズレビューの勝ち馬。ここでは13番枠からやや出遅れれ、促して進めたが、外から被されて中団中目からの追走。道中も促して中団中目で進めていたが、3角で減速してブレーキする場面。
3~4角でペースダウンしたがワンテンポ仕掛けを待って4角出口で外に誘導して直線へ。序盤ですっと伸びて3列目に上がり、ラスト1Fで前が甘くなったところを差し切って3/4差で勝利した。
ここは高速馬場で前後半3F33秒2-35秒8の激流。先行馬壊滅の展開に恵まれての勝利だった。
しかし、前走の桜花賞では逃げた1番人気のエリカエクスプレスが5着に敗れる逃げ、先行馬には厳しい流れを、好位で進めて10着大敗。2走前で1400m戦を使っていたことで、前にいったことが仇となっての敗戦だった。また、2走前に自己最高指数を記録した疲れもあったのだろう。
本馬は桜花賞同様、緩みなく流れた阪神JFで先行して小差の4着に健闘しているように、マイルも許容範囲内の距離。ここで巻き返しがあっても不思議ない。
△ (3)チェルビアット
2走前のフィリーズレビューの2着馬。ここでは14番枠から出遅れ、軽く促しながらも無理なく後方からの追走。道中ではやや掛かってはいたが、コントロールして後方中目で脚をタメた。
3~4角でも後方中目から外に誘導し、上手く△(2)ショウナンザナドゥの後ろを取って直線へ。序盤で中団まで上がり、ラスト1Fでもしぶとく伸びてショウナンザナドゥに3/4差まで迫った。
ここは高速馬場で前後半3F33秒2-35秒8の激流。先行馬壊滅の展開で、ここではショウナンザナドゥよりも展開に恵まれての2着だった。しかし、ここでは前半で追走に苦労しており、本馬はマイルがベストの感がある。
前走の桜花賞は標準馬場で緩みなく流れて差し有利の展開。出遅れて後方馬群の中目を追走していたが、3角のペースダウンで進路を失って一列下がる不利。4角出口で大外に誘導したが、最後の直線で後方2番手ではさすがに苦しく、6着に敗れた。ここでは能力を出し切っていないだけに、巻き返しを警戒する。
△ (17)ヴーレヴー
デビューから長らく芝1200~1400mを使われていたが、芝1600mのエルフィンSで一変して勝利した馬。エルフィンSでは8番枠からまずまずのスタートを切り、二の脚ですっと先頭に立ったが、コントロールされ内のラージギャラリーを行かせ、2番手の外を追走。道中もペースが遅く、やや掛かっていたが、我慢させながらやや位置を下げて1馬身ほど後ろの2番手外で3角に入った。
3~4角でも持ったまま追走し、4角で軽く促して半馬身差ほどの差で直線へ。序盤で追い出されるとじわっと伸び、先頭に立ってクビ差ほど前に出る。ラスト1Fでそのまましぶとく伸び、外から食らいつくグローリーリンクを振り切って3/4差で勝利した。
ここは雨と雪の影響による代替開催でタフな馬場ではあったが、前後半3F35秒3-34秒8のスローペース。前有利の展開に恵まれる形での勝利だった。しかし、りんどう賞やファンタジーSではテンに置かれていた本馬が、ポンとスタートを切って先頭に立った前進気勢に地力強化を感じさせた。
前走の桜花賞は緩みない流れの中団最内と悪くない位置で進めていたが、8着に敗退。前走は休養明けのエルフィンSで好走した疲れもあったのだろう。本馬もここでの巻き返しを警戒したい。
推定2番人気 (6)イミグラントソング
前走のニュージーランドTで○(8)アドマイヤズームを2着に下して勝利。前走では13番枠から五分のスタートを切り、無理なく中団の外目を追走。道中で後方の外に下げてプリティディーヴァをマークしながら3角に入った。
3~4角でプリティディーヴァは動いていったが、本馬は仕掛けを待った。4角でややペースが落ちるとプリティディーヴァの外に誘導し、仕掛けて中団で直線へ。直線序盤でじわじわ伸びて3列目に上がり、ラスト1Fでしぶとく伸び続け、先に仕掛けたアドマイヤズームを競り落としてクビ差で勝利した。
ここは高速馬場で前後半4F45秒7-46秒7のややハイペース。差し馬有利の展開のなか、ラスト1Fでアドマイヤズームが休養明けでやや甘くなったところを差し切ったもの。一方、こちらはレースを順調に使われ、後方からでも4角でややペースが落ちたところで動いて、それほど脚も使わずに押し上げることができた。
本馬は2走前の1勝クラス(東京芝1600m)では好位の外で進め、ラスト1Fで甘くなって3着。前走は末脚特化でかなり上手く乗られていただけに、さらなる相手強化となると不安はある。