2024年 ジャパンCの予想 – 競馬予想 – 山崎エリカ –

お問い合わせ

予想

2024.11.24
2024年 ジャパンCの予想

■内枠有利の舞台

 過去10年で馬番1番が【3-3-1-3】、2番が【3-1-1-5】。馬番1~6番までで9勝している。中盤でもペースが落ちにくく走破タイムが速くなるので、外枠の馬は海外馬で最後にジャパンCを勝ったアルカセットのように、1角で内に入れないと勝ち負けするのは難しい。

 ただ、今回は逃げ馬不在で一昨年のように5F通過61秒前後のスローペースが予想されるだけに、ゲートが甘く、後方からの追走になる(3)ドウデュースや(4)ジャスティンパレスは良くない枠に入ったと見ている。

東京12R ジャパンC 芝2400m
 ◎ (9)チェルヴィニア
 ○ (1)ゴリアット
 ▲ (7)シンエンペラー
 注 (4)ジャスティンパレス
 △ (5)シュトルーヴェ
 △ (6)ダノンベルーガ
 △ (10)ドゥレッツァ
 △ (4)スターズオンアース
結論 馬連9-1,7,4,5,6,10,4 (10:10:10:5:5:5:5) 複勝9 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (9)チェルヴィニア

 長期休養明けの桜花賞では13着に敗れたが、オークスと秋華賞を連勝。秋華賞では5番枠から五分のスタートを切り、コントロールしながら中団中目を追走。道中ではセキトバイースト、そこから離れてクリスマスパレードと前2頭が後続を離していく展開。向正面でクイーンズウォークが上がってきたが、そこでも中団中目を維持した。

 3~4角では3番手以下の鞍上の手が動いて前を追いかけたが、本馬はほぼ馬なりでその流れに乗って仕掛けを待つ。4角でようやく鞍上のC.ルメール騎手の手が動いたが、進路を作り切れずにワンテンポ待って直線へ。直線序盤で中目のスペースを拾って2列目まで上がり、ラスト1Fで先頭列をさばいて突き抜け、1馬身3/4差で完勝した。

 超高速馬場で前後半5F57秒1-60秒0の激流。上がりが掛かって差し、追い込み馬に向く展開ではあったが、ラスト1Fで加速したことから、距離が延びてこそ良さを感じさせる。

 桜花賞では出遅れて追走に忙しさを見せ、そこから大幅距離延長となったオークスで一変したことからも、今回くらいの距離がベストなのだろう。トップクラスが相手となるとやや実績不足だが、3歳馬の成長力と軽斤量54kgに期待して本命馬とした。

○ (1)ゴリアット

 今夏のKG6世&QESで1番人気の(8)オーギュストロダンを破って優勝し、大波乱を起こした馬。KG6世&QESでは6番枠から五分のスタートを切ったが、コントロールしながら位置を下げて中団の外を追走。道中は前に壁を作って2角を過ぎる。

 次の直線の上り坂では馬なりで上がって3角で中目を通って壁を置いたまま直線へ。ラスト2Fで外に誘導して追い出されると、しぶとく伸びて先頭に1馬身半差、ラスト1Fでさらに差を広げて2馬身1/4差で完勝した。

 ここは前後半5F60秒30-62秒80のかなりのハイペース。アスコットの芝2390mはスタートから約800mで約22mも坂を下るため、どうしてもハイペースになる。序盤でハイペースに巻き込まれないように位置を下げていったにせよ、ラスト2Fで先頭に立って、後の凱旋門賞馬ブルーストッキングや後のBCターフの覇者レベルスロマンスの追撃を振り切ったことは評価できる。

 その後、脚元の膿瘍(うみがたまった状態)でオイロパ賞を回避したが、休養明けで不良馬場の前走コンセイユドパリ賞でも勝利。ここではKG6世&QESとは全く流れが違う、極端なスローペースを2列目の内を追走し、3角の下りで外に誘導。直線序盤ですっと先頭に立って半馬身差で押し切っており、幅広い展開に対応できたことも収穫だ。

 本馬は折り合いに課題があって出世が遅れたが、その能力は確か。また前走はかなりのスローペースで能力を出し切っておらず、叩かれての前進が期待できる。

 確かに日本の馬場に対応できる保証はない。しかし、実質、欧州最強馬であり、今回は1番枠に恵まれた。ここ2戦はC.スミヨン騎手に乗り替わって上手く前に馬を置く形でレースを進めて結果を出しており、ここで外の何かを行かせて上手く好位の内を追走できればチャンスがありそうだ。

▲ (7)シンエンペラー

 今夏の愛チャンピオンSの3着馬。ここでは3番枠から五分のスタートだったが、二の脚が速く好位の外を追走。道中も外目を追走していたが、外からエコノミクスとオーギュストロダンに蓋をされ、包まれてしまう。

 3~4角でも包まれて、直線序盤でも進路がない状態。ラスト1Fで進路を確保するといい脚で前に迫ったが、クビ+3/4差の3着だった。ここは前後半5F60秒83-62秒05のかなりのハイペースで、ラスト1Fでは前がやや甘さを見せているが、さすがにラスト1Fで仕掛けたのでは遅かった。

 この愛チャンピオンSは好内容だったと見ている。本馬も折り合いに課題があって、ホープフルSや日本ダービーで2着、3着と善戦するものの勝ち切れなかった面はあるが、そこが解消された感のある内容だった。

 前走の凱旋門賞は休養明け好走後の一戦で、馬場がタフになった影響もあり12着に大敗。凱旋門賞後の日本のレースで好走するのは厳しいという意見もあるが、それは凱旋門賞で好走した馬の話だ。敗退した馬は、タップダンスシチーなど数々の馬が一変している。かつてジャパンCで好走した外国馬も、凱旋門賞敗退からの巻き返しがとても多い。シンエンペラーは現状ではやや能力が足りないが、3歳馬の成長力を見せることができれば通用していい。

注 (4)ジャスティンパレス

 昨年の天皇賞(春)で悲願のGⅠ制覇を達成。このレースはタイトルホルダーが逃げて主導権を握り、前半~中盤が速かったが2周目の3角手前で同馬が故障して下がったことで13秒台前半と大きくペースが緩んだ。

 本馬は1番枠から五分のスタートを切り、積極的に促していったが、ひとつ外のディープモンスターの方が速く、そこで控えて中団やや前目を追走。1~2角でディープボンドの後ろを選択し、そこから同馬をマーク。

 3角手前で一気にペースダウンすると、そこでディープボンドを追い駆け、楽な手応えで進出。4角では同馬の外に誘導して2列目。直線序盤ですっと加速して先頭に立って1馬身差、ラスト1Fでディープボンドとの差を広げて2馬身差で完勝した。

 ここでは3角手前から上手く押し上げたことが功を奏しての優勝で、自己最高指数を記録した。その後は中距離路線に矛先を向け、宝塚記念3着、天皇賞(秋)は2着、そして暮れの有馬記念では小差の4着に善戦。

 今年はドバイ遠征後の宝塚記念こそ10着と崩れたが、前走の天皇賞(秋)では巻き返して4着。ただし、ここでは11番枠から出遅れて後方からの追走となり、最後の直線序盤では後方中目で進路がない状態。ラスト2Fでやや外に誘導しても進路を確保できず、そこから内目に進路を切り替え、ラスト1Fでしぶとく伸び始めたがさすがに厳しく、ホウオウビスケッツにクビ差に迫ったところがゴールだった。

 本馬はゲートにも二の脚にも甘さがあるので、逃げ馬不在で内枠だとまた最後の直線で進路取りに苦労する可能性が高い。同じことが(3)ドウデュースにも言えるが、前走で不完全燃焼だっただけに、同馬よりも余力を残せているだろう。警戒したい。

△ (5)シュトルーヴェ

 今年に入って3勝クラスのJCベストレース記念とG2の日経賞、目黒記念を3連勝した馬。目黒記念では後の京都大賞典の覇者シュヴァリエローズを撃破しているが、特にGⅡの上位常連馬が集った日経賞勝ちが強かった。

 日経賞では6番枠から出遅れ後方2番手を追走。スタンド前でも最内で我慢。向上面でアドマイヤハレーが動いてペースアップすたが、ここでワンテンポ待って、中団中目に上がって3角へ。

 3~4角でも中団中目を通し、直線序盤で中団馬群の中目から伸びる。伸び始めは地味だったが、ラスト1Fで前が苦しくなったところを、しぶとく伸びて半馬身差で勝利した。

 このレースでは前半が遅く、スタンド前ではマテンロウレオが後続に10馬身ほど離していたが、向上面ではあまり差がなくなっているように、中山芝2500mとしては仕掛けが速かった。結果、前後半5F60秒0-60秒7でまとめており、逃げ馬にも、追い込み馬にもチャンスがある展開だった。

 本馬は内田博幸騎手のダメ騎乗(出遅れをかなり押して挽回するが、1角を結局ブレーキしながら入り、さらに4角で外へ誘導する際に蓋をされ、直線序盤で馬のバランスが崩れて後方に下がるロス)だった5走前の日本海特別を除けば、ほとんどのレースでメンバー最速の上がり3Fを記録している。目黒記念のようなかなりのスローペースでも、後方から差し切れるトップスピードがある点が魅力だ。前走の宝塚記念では状態が悪く11着に大敗したが、立て直しに成功していればここも通用していい。

△ (6)ダノンベルーガ

 2走前のドバイターフでは3着。10番枠から出遅れ、押して挽回して行く形に。道中は中団中目でコントロールして我慢させ、3~4角では包まれる格好になったが、直線序盤で狭い内のスペースを突くとラスト2Fは馬群をさばきながら中目に誘導。その間に外のファクトゥールシュヴァルとナミュールに抜け出された。ラスト1Fでその2頭に食らいついたが、3/4馬身差で敗れた。

 前半5Fを58秒ほど(日本の計測法なら、あと1秒ほど速い)で通過するかなり速い流れ。3~4角のペースダウンで内の馬は包まれる形となり、そこで外から挽回した2頭がワンツーという結果。

 本馬は一線級相手の中距離戦では最後に甘さを見せて勝ち切れない面もあったが、ここではラスト2F11秒2-11秒3ほどの流れを残り100mでも前2頭にしぶとく食らいついており、甘さを見せていない。昨年のドバイターフでも2着と好走しているが、今年は当時よりも前で進めており、しぶとさという意味では今年の内容の方が上だった。

 そこから長期休養明けの前走、天皇賞(秋)では、戦前の段階から堀宣行調教師が「仕上がりが遅れている」とコメントしていた。実際に10番枠から五分のスタートを切ったが、外にヨレて接触し、2角でもつまずくなど、リズムの悪い競馬で14着に敗れた。

 この中間も美浦ウッドで必死に追われてもピッチは上がってこなかったが、陣営は「フルカップのヴァイザー(ブリンカーの一種)を着用したが、逆効果だった」と述べており、今回はブリンカーを外すようだ。近2走のように前半でポジションを取りにいく競馬でなければ巻き返しがあって不思議ない。

△ (10)ドゥレッツァ

 未勝利勝ちから破竹の5連勝で菊花賞を制した上がり馬。菊花賞は大外17番枠からやや出遅れたが、そこから先行して1周目の3角手前でじわっとハナを取り切った。スタンド前でペースを落として外をチラッと見て、1~2角でさらに1F13秒台までぺースを落とし、2角で外から並びかけてくるパクスオトマニカを行かせた。向正面で外からリビアングラスも上がって2列目に最内で3角へ。

 3~4角でペースアップして行く中で最短距離を通って4角で前2頭の間を縫ってスッと外に出し、先頭のリビアングラスと3/4差で直線へ。直線では同馬もしぶとかったが、ラスト1F手前でかわし、外から迫るタスティエーラも突き放して3馬身半差で完勝した。

 菊花賞はC.ルメール騎手の天才的な騎乗が光った。また、あれだけの出入りの激しい競馬をノーブレーキでやれてしまう技術にも感服した。ただステイヤー色の強い、スタミナが豊富な馬でなければああいう競馬はできないだろう。

 近走は不振ではあるが、ここは立て直されての一戦。逃げ馬不在のここで逃げ、先行して展開に恵まれれば一発がありそうだ。

△ (4)スターズオンアース

 昨年のジャパンCの3着馬。17番枠からまずまずのスタートを切って、しっかり先行。3番イクイノックスの直後をリバティアイランドと併走した。3~4角でペースが落ちない状況でリバティアイランドのひとつ外からイクイノックスを追いかけ、直線序盤で追われると伸びが地味。リバティアイランドにすぐに前に出られたが、徐々に差を詰めて同馬に1馬身差に迫った。

 超高速馬場で前後半57秒6-60秒7のかなりのハイペース。外枠だったので終始リバティアイランドの外を追走する形になったが、枠が逆でキレあるリバティアイランドよりも先に動いていれば、逆転の可能性もあったと感じさせる内容だった。

 続く有馬記念ではドウデュースから半馬身差の2着。同レースでは大外16番枠からトップスタートを決め、2番手を追走して結果を出した。大外16番枠は絶望的であることで有名な有馬記念で、抜群のスタートを切ってイン前の競馬。例年は中盤の1~2角でペースが落ちるが、昨年は緩まなかった。それでもスターズオンアースはしっかりペース落として息を入れ、平均ペースに対応できた。

 上手く乗られてはいたが、ジャパンCで好走した後の有馬記念でも好走できるのは地力があればこそ。ただ有馬記念では気合が乗ってこない本馬に対して、鞍上が過剰なほど返し馬を行なっていたことから、無理をさせてしまったのでないか。もし、そうならこの後、不振になると見ていて、復帰戦の前走ドバイシーマクラシックでは見せ場のない8着に敗れた。今回は長期休養明けの一戦だが、まだ復調していない可能性もある。

 また内枠有利のジャパンCで大外14番枠を引いてしまった。今回は逃げ馬不在の一戦だけに、有馬記念のように積極的に出していけば逃げる形になってしまうはず。逃げることを嫌う川田将雅騎手なら、それはやらないだろう。そうなると外々を回るロスを作りかねないが、状態さえ戻っていればそれでも上位争いに加われるだろう。

迷って消しの馬 (12)ソールオリエンス

 クラシック三冠で活躍しながらも、古馬になってからの成長力を欠いていたが、2走前の宝塚記念では皐月賞馬の意地を見せて2着と健闘した。

 宝塚記念は9番枠から五分のスタートを切り、促しながら無理なく中団外目からの追走。向正面ではペースが上がらなかったが、後方2番手まで下げ、3~4角の下り坂でペースが上がっていくなか、中目を通って外に誘導しながら直線へ。直線序盤で大外のブローザホーンの内から3列目まで上がり、ラスト1Fでは先に抜け出したブローザホーンが内にササって進路がやや狭くなる場面もあったが、立て直してベラジオオペラ、プラダリアとの2着争いをクビ差で制した。

 重馬場で外差し有利の馬場。本馬はコーナリングが苦手なところがあり、向正面で位置を下げ切って3~4角のロスを小さくし、直線で馬場の良い外へと上手く乗られていた。皐月賞、宝塚記念と重馬場で連対しているが、宝塚記念では上がり3F34秒5でも対応していることから道悪巧者ではないだろう。また、菊花賞や有馬記念の敗戦から長距離よりも中距離でこそと見る。

 休養明けの前走、天皇賞(秋)ではレース上がり3F33秒5と極端に上がりが速く、前に有利な競馬となって能力を出し切れなかったが、ひと叩きされての前進が期待できる。

 ただ、レベルが高いとは言えない4歳世代。今秋の天皇賞(秋)で同世代のライバルタスティエーラが2着に好走したが、今回は当時よりも相手が強い。チャンスがあるとすれば、休養明けの実績馬が復活しなかった時だろう。

推定1番人気馬 (3)ドウデュース

 昨年の有馬記念の覇者。有馬記念では5番枠から出遅れて後方からの追走。スタンド前でもペースが遅かったが、前のヒートオンビートを壁にして後方の外で折り合う。向正面で動いた前のヒートオンビートをコントロールしながら追いかけ、3角で同馬の外に誘導した。

 3~4角で4頭分外から楽に押し上げて2列目の外から直線へ。直線序盤で△(4)スターズオンアースの外からしぶとく伸びて2馬身差まで追い詰めた。ラスト1Fで先に逃げたタイトルホルダーを競り落とし、食らいつくスターズオンアースに半馬身差をつけて勝利した。

 この有馬記念は前半5F60秒4と速くはないが、タイトルホルダーが中盤で緩めなかったことで後半が速くならなかった。差し馬にも十分チャンスがある展開だったが、3~4角でロスを作りながらも最後までしぶとかったことは評価できる。

 今春のドバイターフは4番枠から出遅れて中団まで挽回し、3~4角で窮屈になってブレーキを掛けながら進出。ラスト1Fまでは進路がなく、脚を余す形で5着。2走前の宝塚記念は4番枠からスタートを決めたことで外から被せられて後方列の中目を追走。3角までに位置を下げ切れず、直線まで馬場の悪化した内を通って6着と連敗した。

 前走の天皇賞(秋)では、直近の2戦で不利が重なり、能力を出し切っていないことや相手が楽な点から、ベストな距離ではないが本命候補とした。7番枠からやや出遅れて挟まれかけ、後方2番手まで下げ、3角では外に誘導し直線勝負の形。ラスト1Fで前が甘くなったところを一気に差し切って1馬身1/4差で勝利している。

 前走ではある程度の能力を出し切っているが、超高速馬場で前後半5F59秒9-57秒4とかなりのスローペースで前有利の展開になったことで、有馬記念時ほどの指数では走っていない。目標はあくまでも有馬記念だろうが、ここもある程度は走れそうだ。ただし今回は3番枠。ドバイターフのようになりかねない枠の並びなので消すことにした。

記事一覧へ戻る