2024年 秋華賞の予想 – 競馬予想 – 山崎エリカ –

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予想

2024.10.12
2024年 秋華賞の予想

■緩みなく流れやすいGⅠ

 秋華賞の舞台となる京都・芝2000mの内回りは最初のコーナーまでの距離が約309mと短く、上級条件になると2コーナー過ぎまでハナ争いが続くこともある。一方、最後の直線も約328mと短いため、差し追込馬は3コーナーの下り坂から仕掛けていくことが多い。

 2コーナー過ぎまでペースを上げていく先行勢と、最後の短い直線を意識して3コーナーから仕掛ける後方勢。この関係からレースは緩みなく流れやすい。

 秋華賞も例外ではなく、京都開催の過去10回で極端なスローペースになったのは2012年と2023年の2回だけ。ジェンティルドンナとリバティアイランド、末脚型の二冠馬が出走していた年だ。

 ヴィブロスが優勝した2016年もややスローペースではあったが、それ以外の年は平均ペースよりも速く、逃げ馬は2着こそ2回あるものの優勝はゼロである。今年も中団以降の馬が有利と見て予想したい。


京都11R 秋華賞 芝2000m
 ◎ (10)ボンドガール
 ○ (11)ランスオブクイーン
 ▲ (14)ステレンボッシュ
 注 (6)ラビットアイ
 △ (5)チェルヴィニア
 △ (8)コガネノソラ
 △ (9)アドマイヤベル
 △ (2)ミアネーロ
結論 馬連10-11,14,5,6,8,9 (14:10:4:10:4:4) 複勝10 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (10)ボンドガール

 古馬と初対戦のクイーンSで2着。同レースでは1番枠から好スタートを決めたが、そこから位置を下げて控える形を選択。道中は後方最内で脚を溜めた。

 3~4角では中目に誘導、スペースを見つけて中団まで進出して直線へ。序盤で好位列まで上がり、ラスト1Fで馬群を捌いて(8)コガネノソラとの差を詰めたが、アタマ差届かなかった。この時は斤量51kgの恩恵はあったものの、コガネノソラと並ぶトップタイの指数を記録している。

 前走の紫苑Sは、クイーンSで自己最高指数を記録した後の一戦。疲れもあったようで、レコード決着となる速い馬場で痛恨の出遅れ。後方2列目から最内を距離ロスなく立ち回ったが、4角で前が壁になり、外への誘導も難しく、中目で仕掛けを待たされるロスも受けた。それでも、ラスト1Fで外に出し切ってからはしっかり伸びて3着と善戦した。

 昨年6月の新馬戦では、のちのオークス馬チェルヴィニアなどの強豪を破った素質馬。その後はやや順調さを欠き、ようやくたどり着いた大舞台・NHKマイルCでも、最後の直線で最内から先頭を狙ったところをアスコリピチェーノに寄せられて窮屈になり、安全確保のために位置を下げて流して終わるという出来事もあった。

 しかし、近走の内容から、ここに来てようやく軌道に乗ったとみる。

〇 (11)ランスオブクイーン

 オークスでは大外18番枠からやや出遅れたが、楽に挽回して好位の外を追走。道中は離れた2列目の外で進めて3角へ。3~4角で前が苦しくなって下がってくる状況で、ひとつ外からかわして4角先頭で直線を迎える。

 序盤で馬場の中目に誘導して追われたが、そこで外から(2)クイーンズウォークが並びかける。ラスト2Fでも2列目付近を維持していたが、ラスト1Fで甘くなり、クビ+ハナ差の3着争いに敗れた。

 しかし、オークスは前へ行った馬には厳しい流れになった。実際、好位から早めに仕掛けて4着に敗れたクイーンズウォークは次走でローズSを優勝。それを考えるとランスオブクイーンの競馬も強い内容だった。

 その後は1勝クラスを勝ち、前走・夕月特別は3着。前走は単騎で逃げたタケトンボが8番人気2着と好走したように、ややスローペースのなかでランスオブクイーンは逃げ馬から離れた好位の外を追走。ラスト1Fでは3頭の叩き合いとなるも、内の2頭にハナ+アタマで敗れた。

 ただし、その前走が行われた神戸新聞杯当日の中京芝は中>内>外の順で伸びる馬場。そのなかを終始外々から進め、最後の直線も外を選択したことも敗因のひとつだ。前走では全能力を出し切ったような内容ではなかったことから、今回は前進が期待できる。

▲ (14)ステレンボッシュ

 桜花賞1着、オークス2着の実績馬。オークスは12番枠からまずまずのスタートを切り、中団馬群の中目を追走。道中は中団中目で包まれ、我慢を強いられながら3角へ向かう。

 3~4角では前が失速して下がり、進路もスペースもない状態となって4角では位置が下がったが、直線序盤で追われて内の進路を確保するとすっと反応。ラスト2F目で2列目から先頭列に上がり、ラスト1Fで抜け出したが、外のチェルヴィニアに捉えられて半馬身差で敗れた。

 オークスは前の2頭が飛ばし、前後半5F57秒7-61秒4というかなりのハイペースで差し馬有利の展開。また、内が伸びない馬場でもあり、 外から差したチェルヴィニアよりも伸びない内から早めに先頭に立ったステレンボッシュのほうが強い内容だった。

 デビュー3戦目の赤松賞まではコントロールの難しさを見せながら、それでも連対を外すことがなかった素質の高い馬。阪神JFで壁を作るレースを経験して以降は折り合うことを覚え、レースぶりにも安定感がでてきた。出遅れた桜花賞でも中団中目まで挽回して勝利しているように、幅広い距離をこなせるタイプ。ここもマークを外すことはできない。

注 (6)ラビットアイ

 1勝クラスの身だが、デビュー戦から強豪と戦って素質の片鱗を見せてきた馬。前々走のフラワーCは10番枠からまずまずのスタートを切ったが、促してもあまり進んでいかずに後方に下げる形を選択。道中は淡々とした流れの中で後方2番手で進めた。

 3~4角でも最後方列の内目で我慢。徐々に中目に誘導したが、進路を作れず、切り替えて再び内へ。直線では最内からしぶとく伸びて3列目まで上がり、ラスト1Fでもじわじわ伸びていたが、3着争いでクビ差見劣っての4着だった。

 ここでは逃げ切り勝ちした4走前の未勝利戦の再現を狙ったが、外枠で前の位置が取れず、時計の掛かっていた中で後半が速くなり、キレ負けする形での4着だった。

 ラビットアイは逃げてこその馬。4走前では3番枠からまずまずのスタート。内のダノンアルムの方がテンが速くハナを主張したが、外から徐々にハナを主張し、2F過ぎで先頭に立った。

 先頭に経ってからも緩みないペースを刻み、3角で顕著にペースを落として息を入れ、4角で後続を引きつけて直線へ。直線序盤では外にモタれ気味だったが、すっと2馬身半差をつけ、ラスト1Fでさらに差を広げて5馬身差で圧勝した。

 当時の『2歳馬ジャッジ』の評価は「かなりのスタミナを感じさせる強い内容で、1クラス上でも勝ち負けになる指数を記録した。混戦でスタミナが問われそうな牝馬限定重賞などで穴を開けるタイプ」。この見解は今でも替わりはない。

 当時は完成度が低かったが、その後は成長したレースぶりが見せられている。今回は外枠に逃げ、先行馬が入っているだけに、「ひょっとしての逃げ」を予感させる。行き脚さえつけば、横山典弘騎手ならそう乗ると見ている。

△ (5)チェルヴィニア

 デビュー3戦目でアルテミスSを優勝し、5戦目でオークスを優勝した馬。前走のオークスでは12番枠からやや出遅れ、やや窮屈になりながらもコントロール重視で進めた。道中は前2頭が飛ばしていくかなりのハイペースの中で、中団馬群の中で我慢しながら3角へ。

 3角では外目に誘導しながらサフィラの後ろを通して4角出口で同馬の外に出されると、前のホーエリートの外から手応え良く上がって、ラスト2Fで追われる。するとしぶとく伸び始めて2列目に上がり、ラスト1Fでステレンボッシュを捉えて半馬身差で勝利した。

 桜花賞では出遅れ、前半のペースが遅くもないのに無理に脚を使わせて好位の直後まで押し上げ、3角でペースが落ちると我慢するというレースの流れに逆らった酷い乗り方で13着大敗。しかし、オークスでは展開に噛み合った乗り方で、外が伸びる馬場だったことも後押ししての勝利だった。

 今回はオークスから休養明けの一戦。夏場を休養されたことで成長している可能性もあるが、前走ほど走れない可能性が高いと見ている。

△ (8)コガネノソラ

 勝ち上がるまでに4戦を要したが、そこから3連勝でスイートピーSを勝利。前走は古馬相手のクイーンSを優勝した。

 その前走は12番枠からやや出遅れたが、そこから促して中団の外まで挽回。道中も中団外目で仕掛けを待って3角へ。3~4角で前のキタウイングが仕掛けると、それを追いかけるように4角で同馬の外に誘導し、4番手で直線に向く。

 序盤で食らいつき、ラスト1Fではしぶとく伸びて先頭に立つと、外から迫るボンドガールを振り切りアタマ差で勝利した。上述したボンドガールと同様に斤量51kgに恵まれた面はあるが、好指数を記録している。

 前走で自己最高指数を記録しているだけに、スイートピーS好走後のオークス時のように疲れが出る危険性もないわけではない。しかし、オークス時と違って今回はローテーションに余裕を持たせており、ある程度疲れが取れている可能性もある。警戒が必要だ。

△ (9)アドマイヤベル

 デビューから上昇一途で、フローラSを優勝した馬。フローラSは8番枠から五分のスタートを切り、コントロールしながら好位の直後を追走。向正面でエルフストラックが好位の外まで上がると、そこで一列下げた。

 3~4角では中団中目で仕掛けを待って4角出口で外に誘導し、4列目付近で直線へ。直線序盤でもまだ仕掛けず、ラスト2Fで追われるとここからしぶとく伸びて先頭列付近まで上がった。ラスト1Fでもうひと伸びして抜け出し、1馬身差で勝利した。ここでは末脚一閃というレースぶりではなかったが、ある程度前の位置からいい脚を長く使っていた。

 前走のオークスは9着敗退。前走では前の2頭が飛ばし、前後半5F57秒7-61秒4というかなりのハイペースで差し馬有利の展開。中団でレースを進めていたアドマイヤベルは完敗と言える内容だった。しかし、ここはフローラSを大目標とし、そこで好走した疲れもあったと見ている。立て直されての巻き返しを警戒したい。

△ (2)ミアネーロ

 デビュー3戦目でフラワーCを優勝し、5戦目の紫苑Sで2着。前走の紫苑Sでは1番枠からやや出遅れ。二の脚もひと息で中団中目からの追走となった。道中は好位列から前にスペースを作って中団最内で3角へ。

 3~4角では前のスペースを維持しながら最内を通し、4角で徐々にそのスぺースを詰めて4各柄は進路がない状態。直線序盤で何とか捌いて3列目まで上がり、ラスト1Fで急追して2馬身半ほど前にいた(13)クリスマスパレードにクビ差まで迫った。

 ミアネーロはオークスで14着と大敗したが、1番枠からやや出遅れて馬場の悪化した最内から中団まで挽回していく形。4角まで最内を通して、最後の直線序盤で外に出したが、結局進路がなく最内を突いて敗れたもの。この敗戦は情状酌量の余地がある。

 前走はレコード決着となる速い馬場で上手く3~4角の最内を立ち回れたことが好走要因。この好走を鵜呑みにはできないが、あまり底を見せた感がないのも確か。警戒しておきたい。

推定3番人気 (3)クイーンズウォーク

 秋華賞トライアルのローズSを優勝した馬。同レースでは2番枠からまずまずのスタート。やや掛かり気味だったが、コントロールして中団内目に控える形をとる。

 1角で内がごちゃついたので中目に誘導し、向正面で外に出しながら3角へ。3~4角では中団外目から徐々に進出し、直線でさらに外へ持ち出す。序盤で3列目に上がると、ラスト1Fで前を一気に捉え、1馬身半差で完勝した。

 ローズS当日は馬場の内が悪化しており、外が伸びる馬場を上手く外に誘導できた。しかし、逃げた11番人気(11)セキトバイーストが3着に粘る前有利の展開を3~4角の外から早めに仕掛け、末脚の違いを見せつける形で勝利したことは高評価できる。

 とはいえ、今回は休養明けで自己最高指数を記録した後の一戦。余力の面で不安があり、評価を下げたい。

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