2024年 京成杯AHの予想 – 競馬予想 – 山崎エリカ –

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2024.09.08
2024年 京成杯AHの予想

■京成杯AHは内枠の馬が有利

 京成杯AHは内枠の馬が有利。これは中山芝1600mが緩やかなカーブが続く円状コースで、最初の2角で内に入れないと終始外々を追走することになってしまうことが多いからだ。過去10年で馬番13番から外の優勝はない。

 2018年ワントゥワン、2020年スマイルカナの2頭が13番以降から2着に入ったが、スマイルカナは逃げて最短距離を立ち回ったもの。ワントゥワンは最後方列から3~4角を大外から押し上げてはいるが、マクる馬がいて展開に恵まれた面があった。

 この内枠有利の傾向は馬場が高速化するほど顕著になる。1分30秒7のコースレコードだった2012年は、馬番3番のレオアクティブが1着、1番スマイルジャックが2着、2番コスモセンサーが4着、5番ファイアーフロートが5着と、ほぼ内枠で決着した。

 2019年に1分30秒3とレコードが更新されたが、その年は馬番10番のトロワゼトワルが2角で先頭を取り切って逃げ切り勝ち。10番人気で3着に好走したのは内ぴったりの競馬をした馬番2番ジャンダルム。4着は3番カルヴァリオ、5着は1番プロディガルサンだった。

 昨年のダービー卿CTのように3~4角でもペースが上がらず、タイムの遅い決着になれば、3~4角で好位~中団の外々を回ってもそれほど影響はない。しかし、今年は昨日の中山芝1200m戦、汐留特別(2勝クラス)でロードカナロアが記録したレコードタイムと0.1秒差、紫苑Sでコースレコードが出るほどのコンクリート馬場。2018年、2019年レベルの好タイム決着が予想されるだけに、内枠と外枠でも内枠の競馬ができる馬を中心に予想を組み立てたい。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

本日1番 中山11R 京成杯AH 芝1600m
 ◎ (10)アスコリピチェーノ
 ○ (13)セルバーグ
 ▲ (16)コラソンビート
 注 (3)キャットファイト
 △ (5)ショウナンマグマ
 △ (9)エアファンディタ
結論 馬連10-13,16,3,5,9 (15:15:10:5:5) 複勝10 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (10)アスコリピチェーノ

 昨年6月東京の新馬戦はラスト2F11秒6-11秒6で2馬身半差の追い込み勝ち。この時点で次走勝ちにいく競馬で勝利するようなら相当上までいく可能性があるとみていた。次走の新潟2歳Sでは好位の外を追走して勝利と、あっさりミッションをクリアし、暮れの阪神JFも優勝。 2歳牝馬チャンピオンとなった。

 今春のGⅠ・桜花賞、NHKマイルCではともに2着。前走は14番枠から五分のスタートを切り、そこから押して挽回し好位の中目を確保した。道中はコントロールしながら動かずに3角へ。3~4角でも好位の中目で我慢した。4角出口でマスクオールウィンの後ろから2列目付近に上がったが、直線序盤でジャンタルマンタルに蓋をされた。

 そこで内を狙ったが、そのタイミングでマスクオールウィンが内に斜行して進路を失ったこともあり、内のキャプテンシーと激しく衝突。ラチ沿いのボンドガールなど、数々の内の馬に不利を与え、自身も躓いて立て直すロスがあった。ラスト2Fで置かれて3列目に下がったが、ラスト1Fでようやく内に進路を取って伸びた。結果はロジリオンを捉えてクビ差の2着まで。ジャンタルマンタルには2馬身半差で完敗したが、ヒヤヒヤする内容で本来の能力を出し切れていない。

 この馬は新馬戦が芝1400mと距離が短く能力を出し切れていなかったことから、成長曲線は大きく、まだ上昇が見込める。前走で能力を出し切れていなかったことからも、疲れを残さないという意味での加点材料で、相手強化のここでも最有力だ。

○ (13)セルバーグ

 デビュー4戦目の白梅賞で逃げて3着。その後は差す競馬で結果が出なかったが、3歳秋の1勝クラスを逃げて勝利。そこからは前に行く競馬で好成績を残すようになった。2勝クラス勝ち時、3勝クラスの武庫川S勝ち時ともに、オープン通用レベルの指数を記録しており、いずれ重賞で好走する馬だとみていたが、昨夏の中京記念では逃げて能力をフルに発揮して優勝した。

 その中京記念は6番枠からまずまずのスタート。外のアナゴサンが競ってくると、内からハナを取り切って主導権を握った。道中も淡々とレースを引っ張り、1馬身半のリードで3角へ。3~4角でアナゴサンらが食らいつこうとしてきたが、楽な手応えでその差を詰めさせず、直線序盤で抜け出して2馬身半のリードを奪った。さすがにラスト1Fで甘くなり、ディヴィーナにじわじわ詰められたが、1馬身半差で押し切った。

 中京記念で記録した指数は、ここではNo.1のもの。緩みないペースで逃げるとしぶとく、昨年2月の小倉大賞典でも緩みないペースで逃げて3着と善戦している。

 休養明けだった3走前の新潟大賞典はやや出遅れて躓き、中団中目から2列目の外まで押し上げていく競馬で12着敗退。前々走のエプソムCは外差し有利の馬場で最短距離を通って逃げたものの、ラスト1F手前で苦しくなって失速し7着。前走の中京記念は同型のテーオーシリウスと競り合ってオーバーペースの激流となり、12着に敗れた。

 今回は(12)オーキッドロマンスの出方にもよるが、同馬は競り合いを嫌いそうな内田博幸騎手が鞍上。距離延長の一戦でもあり、セルバーグに行かせる可能性が高い。昨夏の中京記念時のように時計が掛かる馬場だと理想的ではあるが、自分の得意の型に持ち込める公算が高く、人気薄でもあるここは一考の価値がある。

▲ (16)コラソンビート

 ボンドガールが勝利した6月東京の新馬戦では、離された3着だったが、その後は京王杯2歳S優勝を含む3連勝。同レースでは7番枠からやや出遅れたが、そこから促されてじわっと中団外目まで挽回。3~4角では前のミルテンベルクの外に誘導し、直線序盤で追い出されると一気に3番手まで上がる。ラスト1Fでは先頭と3馬身はあった差をしっかり詰めてクビ差で勝利した。

 京王杯2歳Sはコンクリート馬場で前後半3F34秒2-34秒9の緩みない流れ。中団で脚を温存したとはいえ、ラスト1F11秒5と加速する流れを一気に差し切った内容は高評価できる。それを考えると前々走フィリーズレビューは勝って当然の立場だった。

 しかし、その前々走は2着に敗退。1番枠から五分のスタートを切り、そこから楽に2列目の最内を取り最短距離を立ち回っての2着。このレースぶりは一見、完璧に映る。しかし、前走は時計の掛かる馬場で前後半3F33秒8-35秒1とかなりのハイペースだった。本来、末脚を生かしてこそのこの馬がスタミナが不足しがちな休養明けにもかかわらずレースの流れに乗り過ぎてしまったということになる。

 前走の桜花賞は8番枠から好しタートを切って、外からショウナンマヌエラに進路をカットされると酷く掛かって16着大敗。これは休養明けのフィリーズレビューで好走した疲れによるものが大きい。3走前の阪神JFでは、けっしてスムーズなレースではなかった中で3着に健闘していることからも、距離が短いということはない。

 コラソンビートはピッチ寄りの走法だが、自在性が生かせるという意味ではマイルの方がよく、今回は大外18番枠とかなり不利な枠ではあるが、そのぶん人気もないので狙ってみたい。鞍上は外枠からの内に目に入れるのが上手い丹内祐次。(12)オーキッドロマンス、○(13)セルバーグについていく形で、好位の中目に入れていく形でのチャンスがありそうだ。

△ (3)キャットファイト

 デビュー3戦目のアスター賞では、2歳重賞で勝ち負けになる指数を記録した馬。同レースでは6番枠からまずまずのスタートを切り、すっと最内に入れて3番手を追走。道中は2番手のバスターコールをマークしながら3角へ。そこから仕掛けて3~4角の中間で2列目の最内まで上がり、4角出口では半馬身差の2番手。直線序盤ですっと先頭に立ちラスト1Fでは半馬身差のリード。そこから突き抜けると5馬身差で完勝した。

 このレースは昨秋の中山開幕日で超高速馬場。2歳レコード決着となった中、最短距離を立ち回れたことが好走要因ではあるが、ラスト4F目から仕掛けてぶっち切った内容は高評価できる。キャットファイトはエンジンが掛かってからが強く、長くいい脚が使える馬。本質的に距離はもっとあったほうがいいタイプだ。

 アスター賞後に休養し、復帰してからは調子を崩していたが前々走のアネモネSで復活。内空け馬場で外差し有利なレースだったが、1番枠から馬場の悪化した最内を積極的に先行していく形で勝利と再度の上昇気配を見せた。前走の桜花賞は4番枠から積極的に出してポジションを取りに行ったが、被されると頭を持ち上げるほど折り合いを欠いて終了となった。

 今回はそこから再び立て直されて、軽ハンデ52Kgで挑める一戦。この中間の追い切りでは追われてからの反応も良く、キビキビした走りが見せられており、3番枠と内枠でもある今回は巻き返しに期待したい。

△ (5)ショウナンマグマ

 一昨年のディセンバーSで圧勝した馬。同レースは2番枠からまずまずのスタートだったが、そこから押してハナを窺う形。最終的には外のノルカソルカを行かせて、やや離れた2番手を追走した。3~4角では2列目の外から動き、4角で一気に先頭から半馬身差まで詰めて、直線序盤で先頭。そこから抜け出しを図った。最後に馬群を捌いて伸びてきた2着馬に3/4差まで詰め寄られたが、年末のややタフな馬場でかなりのハイペースを考慮すると好内容だった。

 今年も大阪城S3着、福島民法杯4着とリズテッド競走で善戦を見せている。前記の大阪城Sでは5番枠から五分のスタートを切って、じわっと先行策。最終的に先頭列2頭の間を割って淡々としたペースで逃げ、ラスト1Fでやや甘くなっての3着。

 福島民法杯では2番枠から五分のスタートを切り、そこから押して2番手を追走し、4角でテーオーシリウスのハナを叩いて先頭に立ったが、ここでもラスト1Fで甘くなって4着に敗れている。この内容から芝2000mは明確に距離が長く、ハナにこだわる馬でもないので芝マイルでもやれると見ている。この馬はディセンバーS時のように、ある程度、時計の掛かる馬場がベストではあるが、内枠を利してコーナーロスの小さい競馬ができればチャンスがある。

△ (9)エアファンディタ

 昨年5月の都大路Sを勝利した馬。同レースでは8番枠から五分のスタートを切ったが、そこからコントロールして後方2列目の外を追走。向正面で中団の外まで上がって、3~4角ではルペルカーリアの後ろまで押し上げ、4角出口で同馬の外へ。直線序盤で軽く追われると4番手まで上がり、ラスト1Fでそのまま伸びて最後にアドマイヤハダルにクビ差で勝利した。

 アドマイヤハダルはパンサラッサが優勝した2022年の中山記念の3着馬で、昨年の鳴尾記念の3着馬。それに先着した本馬も重賞で通用する実力はある。ただゲートが甘く、そのあとの進みも悪く、いつも後方からの追走になってしまうのが弱点。

 反面、トップスピードを長く維持できる点が長所。このタイプは道中で相手の出方を窺いながら動いていくことが可能なので、近2走のように善戦はする。今回はトモの炎症で10ヵ月の休養明けとなり、この中間、併走馬に追い抜かれてからの反応が悪く、下がってしまったのが不安な材料。しかし、重賞挑戦で高斤量60Kgから解放されたここは人気もないので警戒しておきたい。

推定2番人気馬 (4)ディオ

 昨年暮れから3連勝で4走前の東風Sを勝利した馬。同レースは12番枠から五分のスタートを切り、好位の外目を追走。道中ではセッタレダストが2番手以下を離して逃げたが、離れた好位の外で動かず3角へ。3~4角では2番手以下がセッタレダストとの差を詰めていったが、本馬は動かず、4角で外から上がったノースザワールドの仕掛けを受けて3列目に上がって直線に入った。序盤でしぶとく伸びて2列目に上がり、ラスト1Fでしっかり抜け出して1馬身半差で完勝した。

 4走前は前日の7Rまでが重馬場というややタフな馬場で、前後半4F45秒9-47秒5のかなりのハイペース。先頭からかなり離れた好位の外で実質差し競馬になった。上手く馬場の良い外を走らせていたこともあり、自己最高指数を記録した。

 近2走の米子S、関屋記念でも2着に善戦し、ここを勝てばサマーマイルシリーズ優勝が確定する立場。しかし、米子Sも関屋記念もトゥードジボンが逃げ切る展開でペースが遅かった。

 前走の関屋記念はやや出遅れたが、ひとつ外枠から逃げるトゥードジボンを追いかけて2列目を確保し、3~4角で一列下げ脚をタメての2着。岩田康誠騎手は前半で位置を取るのに無理をさせたら、3~4角で脚を溜めさせるという他の騎手にはない上手さがあると感じているが、ここもそういう騎乗だった。

 近2走とも80点を上回る騎乗をしたことから、ここで大きな前進は期待しにくい。また、この馬は4走前のようにかなりのハイペースで上がりが掛かる展開がベスト。開幕週の上がりの速い決着でも悪くはないが、ベストではない。近走よりも相手が強化されることを考えると、掲示板くらいで終わる可能性が高いと見ている。

推定4番人気 (8)サンライズロナウド

 デビューから7戦はダートを使われ、1勝クラスで伸び悩んでいたが、芝に転向すると一気に上昇。芝2000mの1、2勝クラスを勝利した。その後、今年1月の芝1400mの新春S(3勝クラス)を見事に差し切ると、次走のシルクロードSで4着、続く阪急杯では3着と健闘した。

 その阪急杯では2番枠から五分のスタートを切るが、軽く促されると行きたがってブレーキをかけられる場面があるなど、ややチグハグな入り方で中団の最内を追走。道中では位置を押し上げて行ったが、3~4角ではワンテンポ我慢させると、かかってしまい苦労しながら3列目で直線へ向いた。直線序盤で中目に誘導し、ラスト1Fで前2頭に並びかけるところまで迫ったが、ハナ+クビ差の3着だった。

 前々走のチェアマンズSPは、前が残る流れで出遅れて後方からの競馬になったので参考外だが、この馬は距離が短いとコントロールしやすい反面、ワンパンチ足りない。芝2000mの長久手特別(2勝クラス)では、暴走して前後半5F57秒6-後半61秒1という、かなりのハイペースで逃げ切った実績がある。

 本質的には中距離の逃げ先行でスタミナを生かす競馬が向いているが、現状の気性を考えるとマイルくらいがちょうどいいだろう。前走の関屋記念は前に行ければ面白いとみていたが、スタート後にしっかり抑えて最後方でじっくり構える形。結果、メンバー最速タイの上がり3Fで猛追しながらも6着と、スローペースに泣く形になった。

 今回で前に行ければ好走する可能性は十分あるが、前走でかなり後方からのレースをしていることから、今回で先行すること自体が難しそうだ。

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