■今年も後半勝負が濃厚
新潟2歳Sの過去10年で平均ペースになったのは、時計の掛かる馬場で行われた2020年の1回のみ。残る9回はスローペースで、特に2020年を除く2017年度以降は連続で超絶スローペースが発生している。
また今夏の開催は例年よりも広範囲(Aコース全面とBコースの一部)が張り替えられたことと、開催日が雨に見舞われることが少なかった影響で、昨日の時点でも馬場の3分処が伸びてはいるが、内もそれほど悪化していない。
現時点でも高速馬場といえる馬場状態だけに、ぶっ飛ばし屋の永島まなみ騎手が騎乗するとて、スローペースが濃厚。当然、“超絶”スローペースになる可能性も十分にある。今年も後半勝負に強い馬を中心に予想した。
本日1番 新潟11R 新潟2歳S 芝1400m
◎ (6)コートアリシアン
○ (4)シンフォーエバー
▲ (1)ジョリーレーヌ
注 (3)スターウェーブ
△ (5)モジャーリオ
△ (8)マジカルフェアリー
△ (9)トータルクラリティ
結論 馬連6-4,1,3,5,8,9 (15:10:10:5:5:5) 複勝6 (50)
■有力馬と評価ポイント
◎ (6)コートアリシアン
6月の東京芝1600mの新馬戦では、大外8番枠から出遅れ。直後に内の馬に寄られて外へ逃げ、態勢を立て直すロスがあったが、徐々に位置を取りに上がっていった。3角手前では前を射程圏に入れた中団中目。3~4角ではコントロールして我慢し、直線で外に誘導するとラスト2Fで一気に先頭列に並びかけ、そこからは独走。結果、5馬身差で圧勝した。
ラスト2Fは10秒9-11秒4。最後にギュンと伸びた感じではなかったところは数字にも出ているが、評価できるのは上がり3Fタイムの33秒3。この日の東京芝では古馬を含めて最速タイの数字だった。
新馬戦としては優秀な指数。出遅れを挽回していくロスのある競馬だったことから、全能力を出し切った競馬ではないだろう。『2歳馬ジャッジ』でも「次走以降の上積みが期待できる」「重賞での好走が楽しみ」と綴ったが、実際に新馬戦の内容はここでは一枚上。よって本命馬とした。
○ (4)シンフォーエバー
前走の新潟芝1600mの新馬戦では、7番枠からまずまずのスタート。二の脚が速く、ハナを主張して先頭に立った。そこからはコントロールしてマイペースの逃げ。3角で2番手と1馬身差。3~4角でじわっと2番手を離して、4角でやや外に膨らみながらも2番手と2馬身差。直線序盤でまたやや外にヨレたが踏ん張って3馬身差。ラスト1Fで2着馬に少し差を詰められたが、3着に6馬身差をつけて完勝した。
上がり3Fタイム33秒3はまずまず。ラスト2F10秒7-11秒0もなかなか良いと言えるだろう。マル外で筋肉の張りがとても良い馬ではあるが、逃げ戦法が合っているようには見えない。今回、差す競馬でどのくらい上積みを見せるかが注目点だが、今回で逃げる可能性も当然ある。しかし、ぶっとばし屋が騎乗する(2)スルールミニョンが逃げてくれると面白いので対抗評価とした。
▲ (1)ジョリーレーヌ
東京芝1600mの新馬戦では、7番枠から五分のスタートを切り、中団馬群の中目を追走。道中はペースが上がらず、掛かり気味だったが前の馬を壁にして我慢。3~4角で外目に誘導しながらもまだ我慢、直線序盤で大外に持ち出して進路を確保すると一気に好位まで上がり、ラスト1Fで抜け出して1馬身差で勝利した。
このレースは3F通過39秒2、5F通過65秒4とかなりのスローペース。こうなると上がり勝負となり、ジョリーレーヌは瞬発力の違いで差し切った。
上がり3Fタイム33秒9は、この日の東京芝ではかなり優秀な数字。ラスト2Fは11秒4-10秒9。以前の水準ならラスト1Fは11秒2か11秒3秒くらいの価値ではあるが、それでも評価できる。この新馬戦は大きく疲れを残すような内容ではないので、ここっで順当な上積みが見込める。
注 (3)スターウェーブ
東京芝1400mの新馬戦では、3番枠から好スタートを決めて先行したが、内外から前を主張する馬たちがいたので、それらを行かせてすっと折り合った。道中は先団馬群からやや離れた5番手を追走し、脚をタメて3角へ。3~4角では中目から楽々と好位列の直後まで差を詰め、直線序盤では外を狙ったが進路がなく、切り替えて内を突いた。狭い間をすっと割って抜け出すと、ラスト2Fではもう先頭。本馬の後ろから抜け出したカルデライトに内から迫られる苦しい形ではあったが、ラスト1Fでもうひと伸びして1馬身1/4差で押し切った。
この日の東京芝は超高速馬場でスタートしたが、後半になるにつれて徐々に時計が掛かる傾向。5R新馬戦の勝ち馬ミリオンローズもスターウェーブも上がり3Fタイムは33秒4。走破タイムではスターウェーブの方が優秀で、指数評価は必然的にスターウェーブの方が上となる。
また、3着以下にはしっかり差をつけており、当然このような着差をつけた勝ち馬は評価できる。セレクトセールで3億円の馬らしく、なかなか強いようだ。ただこの新馬戦でそこまで余力があったかどうかは現時点で評価が難しい。ここで上昇するかどうかは潜在能力次第となる。ただし、前走後に休ませたことは好感で、差す競馬なら、一段階上の走りを見せる可能性を感じる。
△ (5)モジャーリオ
函館芝1200mの未勝利戦では、6番枠から五分のスタート。新馬戦同様に行きっぷりがあまり良くなく、促されながら中団の外を追走。3~4角で前との差を詰め、4角で外に誘導して直線へ。序盤でしぶとく伸びて内のシュードタキライトとの競り合いになったが、ラスト1Fでこれを制して外から迫るニシノクードクールを振り切ってクビ差で勝利した。
前記の出走馬で前走成績がもっとも良かったのは函館開幕日の芝1000m新馬戦で2着のワイルドゴーア。前走で1000mを使われているだけに、スタートダッシュは抜群に速く、そのまま逃げたが4角手前で失速し、しんがり負け。新馬戦の疲れが出てしまったようだ。
一方、この未勝利戦の1、2着は最後の直線で外から差したモジャーリオとニシノクードクール。ともに新馬戦では出遅れて能力を出し切れていなかった馬たちだ。
この未勝利戦はあまり優秀な指数決着ではなかったので強く推すことはできないが、早期の2歳重賞はキャリアを積んだ馬のほうが有利となりやすい。新馬勝ちの馬を過大評価することなく、地味な未勝利勝ちの馬に注目することが馬券戦術上はとても大事だ。
△ (8)マジカルフェアリー
小倉芝1800mの未勝利戦では、3番枠からややアオって後手を踏んだが、すぐに立て直して先行策。前のギザキズラヴが頭を上げながら下がるのをすっと避けて2列目の中目を追走していたが、1~2角で一列下げて、道中は中団を追走した。3~4角から前との差を徐々に詰めて、4角大外から直線へ。直線序盤では前との差が詰まらなかったが、ラスト1F過ぎからグイグイ伸びると2馬身差で完勝した。
上がり3Fタイム34秒6はこの週の小倉芝中距離では最速。ラスト2Fは11秒9-11秒4で最後に0秒5加速した。以前までのラスト2Fの数字に均せばこれでおおよそ11秒4-11秒4くらいの価値と見ている。それでもそこまで相手が強くないここならチャンスがありそうだ。
△ (9)トータルクラリティ
京都芝1600mの新馬戦では、大外10番枠から好スタートを切ったが、促されてもそこまで進まず、好位の外を追走。前3頭を追いかけるようにして進めていたが、道中のペースが上がらないので楽な手応えで2列目の外まで上がった。3~4角でもコントロールし、4角出口で仕掛けて2列目の外で直線へ向いた。直線序盤で追われると1馬身はあった先頭列との差をすっと詰めて、先頭のラトラースとはクビ差。ラスト1Fで抜け出しかけた同馬をしっかり捉えて半馬身差で勝利した。
例年と比較して今年の2歳芝新馬戦は緩みないペースで流れることが多かったが、このレースは前半3Fが37秒0、5F通過が62秒4の新馬戦らしいスローペースとなった。
そうなると最後は瞬発力比べになり、ラスト2Fは11秒4-10秒9。以前なら即GⅠ級と断言できたレベルの数字だが、映像を見るとやはりそこまでの加速感はない。以前に均すとラスト1F11秒2か11秒3くらいの加速感だろうか。ただ、いずれにしても新馬戦で最後に急加速してゴールしたことは評価できる。重賞のここでも楽しみだ。