2024年 札幌記念の予想 – 競馬予想 – 山崎エリカ –

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予想

2024.08.18
2024年 札幌記念の予想

■前からの一発も

 札幌は洋芝100%。洋芝は野芝よりも耐久性が低く、開催が進むにつれて時計が掛かる。この影響からか、過去10年ではかなりのハイペースが4回も発生している。一方、ややスローペースになったのは2017年ぐらい。このようにペースが上がりやすい舞台ではるが、今年は近年ではもっとも馬場が軽く、平均ペースで流れたら1分59秒を切る可能性もある。

 大外枠の(12)ノースブリッジでもハナを狙えるメンバー構成で、2列目候補は(7)ホウオウアマゾン、(8)アウスヴァール。最内枠を引いたドゥラエレーデの出方次第だが、現時点では逃げ、先行馬が手薄と言える。これは後方からレースを進める(11)プログノーシスにとっては明確にマイナス要素だ。個人的には前からの一発に期待したい。

本日3番 札幌11R 札幌記念 芝2000m
 ◎ (12)ノースブリッジ
 ○ (11)プログノーシス
 ▲ (4)シャフリヤール
 △ (2)ジオグリフ
 △ (9)ステラヴェローチェ
 △ (1)ドゥラエレーデ
 △ (8)アウスヴァール
結論 馬連12-11,4,2,9,1,8 (20:10:8:8:2:2) 複勝12 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (12)ノースブリッジ

 中京芝2000mの新馬戦、葉牡丹賞を連勝し、3勝クラスのアメジストSを逃げ切った馬。そこまでスタートも二の脚も速くないのでオープン入り後はほとんど逃げていないが、3角2列目以内の競馬で大敗したのは、5F通過61秒1のかなりのスローペースで上がりが速くなったオールカマーのみ。2022年エプソムC、2023年AJCCでは優勝している。

2023年AJCCは前後半5F61秒3-60秒2とそれなりに流れていたが、向正面から動いて勝利した内容は優秀。この時点でGⅡなら通用する指数を記録している。このレースから、前半でもっと脚を使っていけば面白いと見ていた。

 前走のQE2世Cは3番枠からまずまずのスタートを切り、押してハナを主張。先頭に立って主導権を握ったが、香港の先行勢に絡まれたため、ペースを落とし切れないまま3角へ。3~4角で最内を通り、1馬身半のリードで直線へ。直線序盤で1馬身半差を維持していたが、残り150mでプログノーシス、ロマンチックウォリアーに差されての3着だった。

 時計の掛かる馬場で前後半5F60秒10-60秒92(暫定で日本の計測方法なら前半があと1秒は速い)とかなりのハイペース。前に行く馬には不利で、ノースブリッジに絡んでいった先行馬は3~4角で手応えを失って大差の9着、11着に敗れている。この内容から逃げ、先行馬が手薄のここでスローペースになってくれれば、(11)プログノーシスとの差は前走時よりも詰まると見ている。もっと時計の掛かる芝がベストではあるが、人気のないここは本命馬だ。

○ (11)プログノーシス

 昨年の札幌記念覇者。当日は札幌開催10日目で雨の影響もあり、「稍重」という発表以上にタフな馬場で行われた。本馬は13番枠から五分のスタートを切り、そこから無理なく後方2列目の内を追走。向正面では中目のスペースに入って位置を押し上げ、3角では好位の内目。そこから外目に誘導しながら4角で2列目の外まで上がり、2番手で直線に向いた。直線序盤で最内から抜け出したトップナイフに並びかけると、ラスト1Fで突き抜け4馬身差で圧勝した。自己最高指数を記録する強い内容だった。

 その後、超高速決着の天皇賞(秋)で3着。極端なスローペースで、3~4角では一気にペースアップする展開だった香港Cで5着。いずれも強豪相手に出遅れて最後方付近からのレースだった。 昨年の金鯱賞はフェーングロッテンが2着に逃げ粘る前有利の展開のなか、出遅れて後方からと厳しい競馬になったが3/4差の勝利。今年の金鯱賞はややハイペースになったこともあり、中団の最内から抜け出して5馬身差で圧勝、昨年の金鯱賞を上回る指数を記録した。このことから昨年よりも地力強化がうかがえる。

 前走のQE2世Cはかなりのハイペースで前に行く馬には不利だったが、勝ち馬のロマンチックウォリアーよりも先に動いてのクビ差2着だから高く評価できる。

 ただ、海外で好走しての始動戦は数々の実績馬が取りこぼしており、危うさもある。また出遅れて後方からレースを進める馬だけに、札幌の芝が昨年よりも軽い状況下で逃げ馬不在となると、ペースが上がらずに仕掛けどころを誤った時に、取りこぼす可能性もゼロではない。単勝オッズ1倍台の断然の人気なら、対抗評価に止めたい。

▲ (4)シャフリヤール

 2021年のダービー馬で、2022年はドバイシーマクラシック勝ち、ジャパンCでも2着。昨年はBCターフ3着、そして今春のドバイシーマクラシックで2着に善戦しているように、国内外を問わず大レースで着実に実績を積んでいる。大レースに強いと言うよりは、藤原英昭厩舎が大レースに向けて計画的に体を作っているという印象だ。

 この馬が自己最高指数を記録したのは2022年のドバイシーマクラシック優勝時。8番枠から好スタートを決め、コントロールしながら序盤はオーソリティとのハナ争いになったが、最終的には同馬を行かせて2列目の最内に収めた。直線ではオーソリティの外に誘導。そこからしぶとく伸び、ラスト1Fでオーソリティを競り落とし、外から迫るYibir(米GⅠの2021年BCターフ優勝馬)を振り切ってクビ差で勝利した。

 この馬はダービー優勝時が超高速馬場で、道悪の神戸新聞杯では4着に敗れたことから、高速馬場巧者という扱いだったが、ここである程度、時計の掛かる馬場でもやれることを証明した。そこから海外の大レースを中心に活躍してきた。

 昨年の札幌記念は重度のノド鳴りを発症して11着と大敗したが、その後に手術し、前走のドバイシーマクラシックでも2着に入った。前走は前有利の展開に恵まれた面はある。しかし好位で流れに乗れると、しぶとく崩れないのがこの馬の魅力だ。

 今回は始動戦で、目標はおそらくこの先だろう。しかし、2022年下半期の始動戦となった天皇賞(秋)は控えすぎて位置取りが悪くなりながらも、小差の5着にまとめたことから侮れない。

△ (2)ジオグリフ

 2022年の皐月賞でイクイノックスを撃破して優勝した馬。同レースでは14番枠から五分のスタートを切り、そこからコントロールして好位の外目を追走。1角で前にスペースを作って折り合い重視で乗られていたが、2角で折り合い欠いたイクイノックスが上がってくると、それを行かせて同馬を目標に動いていく形になった。3~4角で同馬の後ろから外に誘導して直線へ。そこからイクイノックスに食らいついていき、ラスト1Fで抜け出した同馬を差し切って1馬身差で勝利した。

 本馬は皐月賞後に突然「デビュー前からノド鳴りだった」と報道された。ノド鳴りの影響があるかどうかはわからないが(酷ければ手術をするので、大きな影響はないと見ている)、その後の上昇したところを見せていない。ライバルだったイクイノックスはどんどん成長して世界最強馬と言われるほどになったが、本馬は皐月賞を上回る指数を未だに記録していないのだ。

 3走前の中山記念は稍重発表だったが、8R頃には雨足が強まって発表よりもタフな馬場だったと見ている。ハイペースのなか好位の中目で進めて3着。2走前の大阪杯もマクる馬がいて先行馬には厳しい流れだったが、好位の中目で進めて5着に善戦している。前走の安田記念は大阪杯から2Fの距離短縮で、押して前の位置を取りにいったことも多少影響していると見ているが、ここでも6着と善戦止まりだった。

 今回は逃げ、先行馬が手薄の状況下で2番枠。A→Cコース替わりの内有利の馬場で、好位の内をロスなく立ち回れる点で優位だ。成長力に疑問はあるが、ここで自己最高指数を記録する可能性もあると見ており、警戒しておきたい。

△ (9)ステラヴェローチェ

 2021年のクラシックでは皐月賞3着、日本ダービー3着、神戸新聞杯1着など世代トップ級の能力を示してきた馬。菊花賞は休養明けかつ不良馬場の神戸新聞杯で自己最高指数を記録した反動で、勝ち馬タイトルホルダーから5馬身以上離された4着に敗れた。

 次走の有馬記念は9番枠から出遅れたが、そこから促して中団やや後方まで挽回。エフフォーリアを徹底的にマークしながら進めた。4角大外から動いて最後はクロノジェネシスに食らいついていくという強い内容で4着だった。

 パンサラッサがかなりのハイペースで逃げたことで、中団やや後方でレースを進めたステラヴェローチェは展開に恵まれた面はあった。

 その後、屈腱炎を発症し、1年7ヵ月の休養明けを余儀なくされたが、3走前の大阪城Sで復活の勝利を果たし、前々走の大阪杯でも4着に入った。大阪城S時のようにスローなら先行しても悪くはないが、ベストは中団から差してこそ。前々走の大阪杯はマクる馬がいて3角から一気にペースアップする、前に厳しい展開。好位の内で進めた1番人気のタスティエーラが11着に敗れた一方、2番手で進めたべラジオオペラは次走の宝塚記念でも3着に健闘した。

 これを考えると本馬は3歳時と比べると物足りない内容だった。前走の安田記念は距離が短く、追走に忙しかったので巻き返して来るとは見ているが、今の状況では安定しているとは言えない。ただ、逃げ、先行馬が手薄の状況下で、前走でマイル戦を使われている優位性を生かして好位で流れに乗れれば通用する余地はある。

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