2024年 プロキオンSの予想 – 競馬予想 – 山崎エリカ –

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予想

2024.07.07
2024年 プロキオンSの予想

■展開の振れ幅が大きい小倉ダ1700m

 今年のプロキオンSは京都競馬場の改修工事による変則日程となった2021年と2022年以来、2年ぶりに小倉ダ1700mで行われる。このコースは発走地点から初角までが平坦で約343mあり、外枠の馬でもハナを主張することが可能。よって逃げたい馬が多数いればハイペースに、少なければスローペースになる。

 21年は雨の影響でかなり軽い馬場。スローペースで逃げた12番人気メイショウウズマサが3着、2番手の14番人気トップウイナーが2着に粘り込んだ。

 また、22年も雨の影響で馬場が軽くなり、前半のペースは遅くなったが、勝ったゲンパチルシファーのマクリで緩みのない流れとなり、結果的には逃げ先行馬が総崩れとなった。

 このように展開の振れ幅が大きなコースだが、小回りで最後の直線が291mと短いだけに、勝ち負けを意識するならば3角である程度前の位置にいないと厳しい。

 今回は(13)ブルーサンや(6)レガーメペスカ、(7)バスラットレオンといった逃げたい馬が多数出走。この3頭の隊列が決まるまではレースが流れそうだ。ややハイペースで流れ、先行馬や向正面で好位を取りに行くことができる馬が有利になるとみる。このラインより上のエリアが無料で表示されます。

本日1番 小倉11R プロキオンS ダ1700m
 ◎ (11)ヤマニンウルス
 ○ (12)デシエルト
 ▲ (7)バスラットレオン
 △ (2)ヴァンヤール
 △ (5)スレイマン
 △ (14)ブラックアーメット
 △ (15)グロリアムンディ
結論 馬連11-12,7,2,5,14,15 (10:10:10:10:7:3) 複勝11 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (11)ヤマニンウルス

 2歳夏の新馬戦では2番手外から3角手前で早々と先頭に立ち、2着馬に4.3秒の大差を付けてレコード勝ちした馬。当時の2着馬は後にJBC2歳優駿を制するゴライコウだからとても価値の高い勝利で、指数は同世代の2歳時におけるNo.1だった。

 しかし、新馬戦でそれだけの走りをしてしまうと大きな疲労が残り、故障しやすくなりやすい。それを考慮して、その後は休ませながら大事に使われてきた。

 前走の雅S(3勝クラス)も完勝。6番枠からまずまずのスタートだったが、二の脚が速く楽に2番手に上がって先頭に立とうかという勢い。そこから外のレガーメペスカを行かせて、その外に誘導した。

 道中もコントロールしながらレガーメペスカのペースに付き合って3角へ。3~4角でも2番手外から楽な手応えで4角で先頭に立ち、3/4差ほど前に出る。最後の直線はほぼ追うところなく差を広げ、ラスト1Fでバハルダールが差し脚を伸ばしてきたが、余裕を持って1馬身1/4差で完勝した。

 2着馬とはそこまで大きな差がつかなかったが、3着馬には4馬身1/4差。また、バハルダールは次走で3勝クラスを勝利して現在はOP馬となっている。

 上昇一途でここまで4戦4勝。相手強化のここも通過して、体が万全となったところでGⅠ獲りを期待したくなる素質馬だ。

○ (12)デシエルト

 かなりの高速馬場で行われた昨秋のグリーンチャンネルCを休養明けながらレコード勝ちした素質馬。この時は15番枠から好スタートを切り、内から主張する2頭を行かせて2列目の外を追走した。

 3~4角でもコントロールしながら2頭分外を回り、直線序盤は3番手。ラスト2Fで追われるとグンと伸び、逃げるノーブルシルエットを捉え、ラスト1Fで抜け出して後続に3/4差で完勝した。

 ラスト1Fで抜け出したところをギルデッドミラーには詰め寄られたが、3着タガノビューティーには2馬身以上と決定的な差をつける完勝。この2頭はともにその後、ダートマイル路線でトップ級の活躍をした馬たちである。デシエルトはこの時点で新星誕生をうたわれ、筆者自身もダートマイル路線でGⅠ級の馬になることは必至と見ていた。

 ところが、休養明けで激走したダメージは大きく、骨折により長期休養へ。復帰してからの近4走は以前のような走りができていないが、前走の三宮Sでは激流の2番手を追走し、4角で勝ち馬オメガギネスが上がってくると、これに抵抗して仕掛けて3着と復活の兆しを見せた。そろそろ怖く、対抗評価だ。

▲ (7)バスラットレオン

 2022年のGⅡ・ゴドルフィンマイルを逃げ切って勝利すると、同年秋には武蔵野Sでも逃げて3着と好走した馬。その武蔵野Sでは8番枠から好スタートを切ると、押してハナを主張。楽に主導権を握り、2列目が競りかけてくることもなく平均ペースに持ち込んだ。

 3~4角で脚を溜め、4角出口では強気に仕掛けて2馬身差のリードで直線へ。残り300mで3馬身ほどまで差を広げたが、そこから徐々に甘くなり、レモンポップに2馬身弱まで迫られる。ラスト1Fではレモンポップにかわされ、さらに外からギルデッドミラーに差しきられてハナ+半馬身差の3着だった。

 しかし、ギルデッドミラーは次走の根岸Sで2着、レモンポップはその根岸SとフェブラリーSを連勝。GⅠ級3勝、国内では負けていないという強豪で、かなりのハイレベル戦だった。

 芝とダートの二刀流だが、これまでの5勝はすべて逃げ切り勝ちであるように、ベストは逃げで、スムーズに前に行くほど指数を上昇させる馬だ。

 近走はテンから逃げられず大敗が続いているが、前走でダ1400mのさきたま杯を使い、序盤からかなり気合をつけて行ききったことで今回はダッシュがつきやすいはず。ダ1700mのここなら逃げる可能性が高いと見ている。

△ (2)ヴァンヤール

 2022年の名古屋グランプリで2着、昨年もアンタレスSで2着、平安Sは3着の実績馬。1800mから2100mと幅広い距離に対応しているが、2100mの名古屋グランプリはメンバーがやや手薄で、最高指数を記録したのは1800mのアンタレスSになる。

 同レースでは9番枠からやや後方外目を追走。道中で前5頭が飛ばして行く中、やや離れた6番手の外で進め、3角手前から前に取りついて行った。

 3~4角で中目から外目に誘導し、3列目で直線へ。序盤では4馬身半ほどあった差をじわじわと3馬身差まで詰め、ラスト1Fでもしぶとく伸びて逃げたプロミストウォリアに半馬身差まで迫った。

 このレースは重馬場で前後半4F47秒5-50秒1という激流。それでもいつもより位置を取りに行き、最後までしぶとく伸びていた。また、22年の九州スポーツ杯(3勝クラス)では中団外から向正面でポジションを押し上げて行く競馬で勝利していることから、この舞台にも問題はない。

 ただし、休み明けのBSN賞で3着に敗れているように、3走前の平安S以降は休養前の指数で走れていない。今回も疝痛の手術などで9カ月ぶりの休養明けとなる。中間の追切はやや物足りなさも感じたが、もともとの能力の高さから侮れない存在。立て直したことで本来の能力を出し切れれば通用するだろう。

△ (5)スレイマン

 3走前に小倉ダ1700mのOP・門司Sを圧勝した馬。同レースでは12番枠から五分のスタートを切り、そこからかなり押して好位の中目に食らいついていった。

 道中では好位の中目で流れに乗って3角へ。3~4角で前の馬が動けず、その分少し仕掛けを待たされたが、4角へ誘導するとすっと伸びて一気に仕掛ける。

 直線序盤では1馬身のリードを奪い、ラスト1Fでそのまま突き抜けて4馬身差の完勝。離した2着馬がOPで上位常連のペースセッティングだから実力があるのは確かだ。

 前走も馬体重546kgという超大型馬で、レース間隔を開けて好走するタイプ。これまで中4週よりも短い間隔で使われた時を振り返ると、1番人気に支持された一昨年の三宮Sで5着に敗れ、前走の平安Sでも10着に敗れるなどことごとく走れていない。

 今回はその平安Sから中6週。さらに門司Sなどハイペースで好走するタイプで、逃げ、先行馬揃いでそれなりにペースが上がりそう。雨が降らず、プロキオンSが3走前同様に標準的な馬場で行われるのも好ましい。

△ (14)ブラックアーメット

 昨年、今年と福島ダ1700mの吾妻小富士Sを連覇した馬。今年のレースでは12番枠から五分のスタートを切り、無理をさせずに中団の外目を追走。向正面に入ってすぐに外からライラボンドが進出してきたが、それをやり過ごして3~4角の3頭分外から進出して直線へ。

 直線序盤ではライラボンドが外に逃避したことで外のサンマルレジェンドに接触して外に膨れ、それを避けたため2頭分外に出してラスト1F地点でもまだ3列目付近だったが、そこからしぶとく伸びて1馬身3/4差で完勝した。

 OPクラスでは先行するスピードがなく、後方からレースを進める馬。前走は最後の直線序盤で接触を避けるために外に出すロスがあったが、ライラボンドが捲ってくれたことでレースが緩みなく流れ、展開には恵まれた形になった。

 かなりのハイペースとなった4走前の福島民友カップでも中団の内目を立ち回って2着と善戦しているように、やはり展開次第のところがある。今回は前走で展開に恵まれて好走した後の一戦とあって、余力の面で不安はあるが、ここもある程度は展開に恵まれそうなだけに警戒した。

△ (15)グロリアムンディ

 昨年のダイオライト記念では9馬身差で圧勝した馬。同レースでは1番枠から五分のスタートを切り、軽く促されて好位の内目を追走。そこからじわっと控えて道中は中団中目。2周目の向正面で徐々にペースが上がって行く中で、わりと楽な手応えで内から3角へ。

 3~4角でやや詰まったが、ワンテンポ待って砂の深い最内から押し上げ、4角ではもう先頭。2馬身差ほどのリードで直線を向かえると、一気に後続を引き離して5馬身。ラスト1Fでさらにぶっちぎって9馬身差で圧勝した。

 昨年のダイオライト記念では自己最高指数を記録している。この馬の持ち味はタフな馬場、タフな展開で他馬が消耗する中、しぶとく脚を使ってくること。長距離でこそのタイプだろう。

 しかし、その次走となった昨年の平安Sでも優勝した実績があるように、けっして中距離がダメなわけではない。昨年の平安Sでは2番枠から好スタートを切って楽々2列目の内を追走し、4出口で逃げ馬のひとつ外に誘導という完璧な立ち回りだったが、改装後の京都でタフな馬場も噛み合ってここでは2馬身半差で完勝している。

 昨年の平安S優勝後はしばらくスランプだったが、前走の平安Sでは、好位の外から終始外々を回る競馬で勝ち馬ミトノオーや2着の(9)ハピと0.6秒差と復調の兆し。ダ1700mで雨が降って馬場が軽ければ軽視する予定だったが、今の小倉ならばノーチャンスではなさそうだ。

推定2番人気 (9)ハピ

 前走は平安Sで2着。6番枠から五分のスタートを切り、そこから押し進めてインコースを取りに行った。道中は中団の最内。向正面でペースが落ち着いたが、ここでは我慢。3~4角で徐々にペースが上がり、3列目の内目を通して直線へ。序盤は前が壁になり、そこで外に持ち出して追われた。

 序盤の反応は甘くジリジリ。ラスト1Fでは4列目付近方だったが、そこからしぶとく伸びて、最後は逃げ粘るミトノオーにクビ差まで迫った。

 ダートグレードでも当たり前のように上位に来るが、重賞タイトルは未だ手にしていない。この馬はエンジンが掛かってからがしぶとく長距離型と見ているが、1800m路線を使われているのが勝ち味に遅い理由だろう。

 実際に1900mの前走ではややハイペースな流れを中団中目から上手く立ち回れていたにせよ、最後の直線で外に持ち出すロスがなければ優勝していた可能性もあった内容だった。

 今回のメンバーでは能力値1位。前走よりも相手が弱化するのは好ましいが、1700mの距離は忙しい。小倉は平坦の小回りで最後の直線も短く、3角である程度前の位置にいないと勝ち負けに持ち込めないのがネックだ。今回も善戦するとは見ているが、配当妙味がまいので今回は消す。

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