2024年 宝塚記念の予想 – 競馬予想 – 山崎エリカ –

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2024.06.23
2024年 宝塚記念の予想

■京都芝2200mは先行馬が有利 

 今年の宝塚記念は阪神競馬場のスタンドリフレッシュ工事で、京都芝2200mに舞台を移して開催される。阪神芝2200mは1角までの距離が525mと長く、スタート後が下り坂でペースが上がりやすいが、京都芝2200mは1角までの距離は約400mと阪神よりは短く、3角の上り坂までは平坦でペースが上がりにくい。上級条件では3角まで脚をタメて、3角過ぎの下り坂で勢いに乗せて一気にペースアップする傾向にある。

 スローペースになりやすく、京都芝2200mを舞台に行われた京都記念の直近10回を見ても、逃げ馬の1勝を含めて3角5番手以内が9勝と、平均出走頭数が11.4頭と少ないことを考慮しても先行馬が活躍している。重馬場で行われた2018年もペースが上がらず、かなりのスローだった。

 それ以上に馬場が悪化した2020年はアメリカズカップが大逃げを打ったこともあり、2着に追い込み馬のカレンブーケドールが入ったがこれは例外で、ペースが上がりにくいことの方が多い。

 今年の宝塚記念も当日は雨予報で馬場悪化が予想されるが、大逃げ馬は不在。よって先行馬を中心視したい。

本日2番 京都11R 宝塚記念 芝2200m
 ◎ (7)プラダリア
 ○ (4)ドウデュース
 ▲ (10)ローシャムハーク
 注 (2)ジャスティンパレス
 △ (8)カラテ
 △ (3)ベラジオオペラ
 △ (6)ヒートオンビート
 △ (9)ソールオリエンス
 △ (12)ブローザホーン
結論 馬連7-4,10,2,8,3,6,9,12 (13:10:10:5:3:3:3:3) 複勝7 (50)

■有力馬と評価ポイント

◎ (7)プラダリア

 3歳時に青葉賞を優勝し、日本ダービーでも5着と善戦したプラダリアに注目だ。古馬になってからさらに力をつけ、昨年の宝塚記念では6着。昨秋は京都大賞典、今年は京都記念を制した。

 京都大賞典は秋の開催3日目だったが、重のタフな馬場。7番枠から五分のスタートで、楽に先行して2列目の最内を追走した。道中は前のスペースを広げて3番手。3~4角では最短距離を通って仕掛けを待ち、アフリカンゴールドと2馬身差で直線へ。

 直線序盤で内のボッケリーニに弾かれる場面はあったが、そこからも伸びてラスト1Fでアフリカンゴールドを捉え、最後はボッケリーニにクビ差先着。タフな馬場が得意で、このレースでは自己最高指数を記録している。

 また、今回と同舞台の前々走・京都記念では、先行馬が有利な傾向に沿って好走できると見て本命馬に推奨した。3番枠からまずまずのスタートを切って好位直後の内目を追走。道中は中団中目で我慢し、3~4角で馬場の良い外に誘導しながら好位まで上がり、直線に入った。

 直線序盤で軽く仕掛けると2列目まで上がり、ラスト1Fで内から伸びる(3)ベラジオオペラを振り切って3/4差で勝利。京都大賞典優勝時と同等の指数を記録した。

 今年の京都記念は例年と比較して馬場が悪いなかでの開催となった。想定よりも緩みなく流れたが、それでも3~4角でペースが上がらず、先行馬が有利な展開だった。

 つまり、京都芝2200mのタフな馬場はプラダリアにとって最高の条件。今回は京都記念時よりも相手が手強いが、適性の高さで一発逆転を期待する。

○ (4)ドウデュース

 強力な現5歳世代、日本ダービーではあのイクイノックスを倒した馬。その年の秋はフランス遠征、2戦ともかなりタフな馬場だったこともあり結果を出すことができなかった。

 しかし、全く能力を出せなかったことからエネルギーは溜まっていた。帰国初戦、阪神芝2200mで行われた高速馬場の京都記念では3~4角で位置を上げ、直線序盤でグンと伸びて一気に先頭に立つという競馬。2着に3馬身半差をつけて圧勝した。

 前々走の有馬記念は平均ペースのなか、3角から仕掛けて抜群の末脚で差し切り勝ち。GⅠ・3勝目を挙げた。今回は実績、実力ともに上の存在で距離も問題ない。

 フランスの重馬場では別馬のように力を発揮することができなかったが、凱旋門賞はまるでダートのような馬場だっただけに、こなせなくて当たり前だろう。

 前走のドバイターフは4番枠から出遅れ、最後方付近から中団の最内まで挽回していく競馬で5着。ある程度レースが流れていたところで出して行った分、折り合いを欠いてしまったことや、最後の直線で狭い内から捌くロスもあったのが敗因と考えられる。

 前走で能力を出し切っていないため、今回は前進も見込める。対抗候補だ。

▲ (10)ローシャムハーク

 デビュー4戦目の山藤賞では、中団外から捲って後続に7馬身差をつける圧勝。古馬3勝クラス級の指数を記録した。この指数は翌日の皐月賞(勝ち馬:ジオグリフ)でも上位入線できるほどの数字で、実際この時の山藤賞2~4着馬は現OP馬。つまり、この時点で将来の活躍は必至の存在だった。

 昨年は順調に使われ、函館記念で重賞初制覇。次走はオールカマーに矛先を向けた。13番枠からやや出遅れたが、タイトルホルダーが淡々と逃げて向正面では隊列が縦長になる展開を、外から強気に押し上げて3角では好位の外につけた。3~4角は中目を通って4角出口で外に誘導されると、直線序盤では一気に2列目に並びかけ、ラスト1Fでタイトルホルダーを捉えて1馬身1/4差で完勝した。

 前走は長期休養明けで大阪杯に出走。2番枠からまずまずのスタートを切ったが、窮屈になったため下げて後方からの追走になった。向正面では外から2列目に上がったが、内の(3)ベラジオオペラに抵抗されてしまった。その結果、3~4角でペースが上がっていくなかで2頭分外を回る形となり、4角出口ではやや置かれたが、もう一度盛り返した。ラスト1Fでもベラジオオペラに食らいついたが、クビ差及ばずの2着だった。

 大味な競馬で、決してスムーズとは言えなかったが、ここでも能力の高さを見せている。先週のような超高速馬場で、3角の下り坂からペースアップして3~4角で外を回った場合はロスが大きくなるが、雨が降ってある程度時計が掛かる馬場になれば、外を回っても致命的にはならないはず。3番手評価だ。

注 (2)ジャスティンパレス

 昨年の天皇賞(春)で悲願のGⅠ制覇を達成した。このレースはタイトルホルダーが逃げて主導権を握り、前半~中盤が速かったが、3角手前で同馬が下がったことで大きくペースが緩んだ。

 ジャスティンパレスは五分のスタートから中団やや前目を追走し、3~4角の下り坂でディープボンドを追いかけて進出。4角では2列目の外に出して上手く押し上げたことが功を奏しての優勝だった。しかし、この天皇賞(春)が最高指数で、今回のメンバーではNo.1。そのため長距離がベストの馬といえる。

 昨年の天皇賞(秋)でも2着しているように、芝2000mもこなせない距離ではない。ただ、これは勝ち馬イクイノックスが走破タイム「1分55秒2」というスーパーレコードを記録したレースだったことは留意しておきたい。

 空前絶後の緩みない流れを、ジャスティンパレスは後方2番手から3~4角で仕掛けを待って最内を立ち回り、ロスを抑えて直線序盤では大外に誘導して結果2着。かなり展開に恵まれていた。

 前走のドバイシーマクラシックは折り合いに苦労して2列目の内と先行したこともあり、2着のシャフリヤールから1馬身+クビ差の4着完敗だった。

 とはいえ、先行したことで能力を出し切れていないと考えれば、今回の出走においては好材料。近走はスタートが悪くなっているので位置を取りに行けば追走が忙しくなり、後方のままでは届かない可能性が高いが、馬場悪化で先行馬にとって楽な競馬にならない見込みなのはいい。2、3着ならありそうだ。

△ (8)カラテ

 極悪馬場で行われた昨年の新潟大賞典を優勝した馬。同レースは2番枠から五分のスタートを切って、そこから楽に先行したが、外のセイウンハーデスが大逃げ体勢だったため、好位の内目に収めて追走した。3~4角でも我慢させ、3列目の内で直線へ。序盤で馬場が悪化した最内から徐々に中目に誘導しながら2番手に上がった。ラスト2Fでは追われると粘り込みを図るセイウンハーデスとの一騎打ち。これを3/4差で制した。

 このレースは3角5番手以内馬4頭が11着以下に崩れたなか、5番手から優勝したのがカラテであり、3着馬には3/4+8馬身差を付けており、GⅠ通用レベルの指数で優勝している。つまり、カラテとセイウンハーデスとのスタミナが優ったということだ。

 カラテは長らく追走が忙しい芝1600mを使われ、能力の高さで東京新聞杯を制したこともあったが、中距離戦を使われるとスムーズにレースの流れに乗れるようになり上昇した。

 昨年の宝塚記念で11着に大敗し、休養して以降の成績がひと息だが、前走の鳴尾記念では中団から最短距離を通せていたとはいえ、小差の6着と悪くない走り。ここで完全復活なら通用の余地はある。

△ (3)ベラジオオペラ

 昨春のクラシックでは脇役だったが、古馬になって大きく成長。前走の大阪杯でGⅠ初制覇を達成した。

 前走は11番枠から五分のスタートだったが、促されるとすんなり先行し楽に2番手へ。向正面でペースが上がってもコントロールしながら2番手の外を追走していたが、3角手前で▲(10)ローシャムパークが捲ってくると抵抗して仕掛けた。直線序盤で先頭に立つと、ラスト1Fで食らいつくローシャムパークを振り切ってクビ差勝利。ただし、今年の大阪杯はクビ+ハナ差の3着馬が(13)ルージュエヴァイユだったようにGⅠとしてはレベルが低く、◎(7)プラダリアが優勝した今年の京都記念と同等の決着。前後半5F60秒2-58秒0というスローペースで先行と、展開に恵まれた面もあった。

 今回は前走からさらなる前進が必要。それでも、これまで8戦して大崩れしたのは昨年の皐月賞のみ。この時は重馬場のなか、かなりのハイペースで逃げたグラニットを追いかけてしまったのが敗因だった。他馬と比べると調材料に乏しいが、底は見せておらず、キャリアの浅さからもまだ伸びしろも見込めるので警戒した。

△(6)ヒートオンビート

 昨年の目黒記念の優勝馬。同レースは10番枠から五分のスタートを切り、そこから無理せず、中団中目を追走。道中も折り合い重視で中団中目で進めて3角へ。3~4角ではカントルの後ろの最内を通し、4角同馬の外から中目に誘導。序盤は進路がなく仕掛けを待たされたが、ラスト2Fで中目を捌いて3番手まで上がると、ラスト1Fで逃げ粘るディアスティマを捉え切ってアタマ差で勝利した。

 前記の目黒記念は超絶スローペースで3~4角からペースが上がったが、そこで最内を走り貯金ができたことが大きく、それが最後の末脚に繋がった面がある。

 この目黒記念は戦前の段階から、メンバーの貧弱さが囁かれており、今回と同格&同コースで勝ちながらも昨秋のアルゼンチン共和国杯でも低評価されていたが、けっしてそこまでレベルが低いものでなく、ここでも3着に善戦している。

 14番枠からやや出遅れを挽回して中団馬群の後方中目を追走。道中でポジションを下げて後方の中目で3角へ。3~4角でも後方馬群の中目で包まれて動けず、ポジションダウンして直線へ。序盤で前の馬も下がって外への誘導が難しい状況だったが、何とか捌いてラスト2Fで外に誘導して中団に上がると、ラスト1Fでしぶとく粘って2着マイネルウィルトスとの差もクビ差まで詰めたが、チャックネイトと同着の3着までだった。

 昨秋のアルゼンチン共和国杯は鞍上が3~4角で内に入れてロスなく立ち回ろうとしていたが、それが結果的に失敗で酷い騎乗だった。それでも3着にこれたのは地力があればこそである。休養後はやや振るわないが、休養明け3戦目のここで変われても不思議ない。

△ (9)ソールオリエンス

 かなりタフな重馬場で行われた昨年の皐月賞馬。同レースでは1番枠から好スタートを切ってコントロールし、最後方付近まで位置を下げて外へ誘導。道中も最後方付近の外目を追走し3角手前から進出したが、進みが悪くスピードに乗ったのは4角から。そこで大きく外に振られるロスが生じたが、直線ではしぶとく伸びて中団まで上がり、最後は早めに抜け出していたタスティエーラを並ぶ間もなく捉え1馬身1/4差で完勝した。

 この皐月賞は前後半5F58秒5-62秒1の超絶ハイペースで外が伸びる馬場状態。最序盤から外を選択して上手く外を通せたことが好走要因だ。その後のクラシックでは善戦するものの勝つことができず、昨年のクラシックの低レベルを象徴するように古馬相手の重賞では馬券圏内に食い込めていないが、道悪の中距離ベスト。警戒しておきたい。

△ (12)ブローザホーン

 タフな馬場で行われた昨夏の札幌日経OPの覇者。同レースでは6番枠から五分のスタートだったが、かなり押して先行。前3頭が飛ばして行った中、離れた単独4番手を追走した。

 向正面に入るとややペースが落ち、前との差を詰める。3角手前で仕掛け、3~4角ではもう先頭。4角で再び仕掛けて3馬身差のリードで直線に入り、ラスト1Fで突き抜けて6馬身差で圧勝した。

 実質差し競馬だったが、早めに仕掛けて後続を引き離したことから豊富なスタミナを示す内容だった。また、ここではGⅠでも通用する自己最高指数を記録。タフな馬場がベストということだろう。

 また、前走の天皇賞(春)で2着の実績があるように長距離戦がベスト。今回は3200m戦で後方からレースをした後の一戦。テンで置かれてしまう可能性が高い。超高速馬場の芝2200m戦なら追走が忙しく、苦戦する可能性が高いと見ていたが、前々走・日経新春杯のような時計も上がりも掛かる展開になればチャンスはある。

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