2019年 京阪杯・ジャパンC – 競馬予想 – 山崎エリカ –

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2019.11.24
2019年 京阪杯・ジャパンC

●京成杯

年内最後の芝1200m重賞となる京阪杯。このレースは2月のシルクロードSと同じ京都芝1200mが舞台で、前が有利な展開になることが多いのが特徴。京都芝1200mは、スタートしてから3コーナーにかけて坂を上がって行くコースのため、前半ペースが上がりづらく、スローペースが発生しやすいからです。

過去10年の前半3F-後半3Fのアベレージは、34秒12-34秒13。更に重馬場で行われた2016年度を除くと34秒12-33秒90ですから、芝1200m戦としてはペースが遅いことを理解して頂けるでしょう。実際に過去10年で逃げ馬の1着が4回、2着が1回と、半数も馬券に絡んでいます。当然、先行馬も1着が5回、2着が1回、3着が3回と活躍しています。

こうなると逃げが確定的な実績馬モズハイパーフレアと狙いたくなりますが……。実は、前走スプリンターズS出走馬、特に好走馬が苦戦しているのもこのレースのポイントだったりします。

過去10年では、2010年のスプリンターズS・2着降着のダッシャーゴーゴー(1番人気・10着)、2013年のスプリンターズS・3着のマヤノリュウジン(3番人気・9着)、2014年スプリンターズS・3着のレッドオーヴァル(1番人気・9着)、2018年のスプリンターズS・6着のワンスインザムーン(3番人気・16着)。ちなみにワンスインザムーンは逃げ馬です。

スプリンターズS組は、相手が格下だから「あわよくば本賞金を加算」とばかりに出走してくるのでしょうが、スプリンターズSを大目標にした馬にはおつりがないのでしょう。このために上がり馬が浮上するパターンもしばしばあります。確かにスプリンターズSで凡走した馬ならば、3年前のこのレースの覇者ネロのようにチャンスがありますが…基本的にスプリンターズSの好走馬は割引が必要でしょう。これを踏まえて予想を組み立てたいです。

●ジャパンC

一流の外国馬不在どころか、外国馬が一斉不在の今年のジャパンC。近年、ジャパンC出走の外国馬陣営の口から飛び出す本音が、「自国が競馬シ―ズン終わりでレースを使うところがないから」や「香港国際競走へ向けての叩き台」だったことから、こうなる日も近いことを理解はしていました。

ジャパンCの1着賞金が米・ブリーズCターフとさほど変わらないのなら、相手が弱く、他ブリーダーズC出走馬とまとめて馬を連れて行けるブリーダーズCターフに出走しようと考えるのが調教師として懸命でしょう。かつてのジャパンCの賞金は他国と比べて非常識に高額だったこともあり(日本が好景気時に創設)、海外から多くの一流馬を集めることが出来ました。

しかも、近年は香港も中距離指向が高まり、香港Cや香港ヴァーズも賞金を増額していく中で、もはやジャパンCの1着賞金3億円は特別な魅力がないのです。しかも、一昨年にステークス形式(馬主が賭け金stakeを出し合い、それを集めたstakesを勝者、あるいは事前に定められた入着馬に分配する方法)ではありますが、米国で世界最高賞金額のペガサスワールドCが創設され、今年はペガサスワールドカップターフも創設されたとなると、ますますジャパンCに外国馬が集まらなくなるでしょう。

私は米国や香港と賞金増額合戦を繰り返すよりも、ジャパンCの賞金をドカーンと2倍レベルまで引き上げて、世界の注目かっさらうほうが得策と考えます。米国や香港にショックを与えて、しっかりと「ターフ大国・日本」を打ち出し、ジャパンCを勝つこと=ホースマンの名誉になれば、長らくジャパンCの安泰が続くでしょう。本当にかつてのジャパンCは、凱旋門賞の上位馬やブリーダーズCターフの上位馬など、世界の一流馬が揃って参戦し、とても華やかでした。

また、ジャパンCは得体の知れない者同士が「我こそは最強」という意識を持って挑むため、序盤から激しい攻防が繰り広げられ、レースはほとんど消耗戦。凱旋門賞やブリーダーズCターフで勝ち負けした馬はおつりなく凡退し、そこで能力を出し切れなかった自国最強クラスの馬が勝つか、日本の最強馬が勝つかという決着。ジャパンCは前走で凱旋門賞やブリーダーズCターフを勝っていない実績馬を狙えば馬券が当たることもあり、私は、1995~2000年の6年連続でジャパンCを当てました。

しかし、近年はほとんど力関係を把握した日本馬同士の対決になるため、有力各馬がマークしあってのスローペースになることがほとんど。雨の影響を受けて時計を要した3年前(優勝馬キタサンブラック)こそは、ほぼ実力どおりの結果になったものの、ディープインパクトが優勝した2006年以降、先行馬と内々をロスなく立ち回った馬と、直線で上手く馬群を捌いてきた馬が上位入線することがとても多いです。

特に4年前のジャパンCは、直線団子状態となり、騎手の直線での進路取りの上手さが結果を大きく左右したところがあり、ショックを受けました。このショックは、ジャパンCの格落ち感です。優勝したショウナンパンドラが一番強かったというよりは、直線で詰まる馬が多い中で、池添騎手が一番上手く捌いて優勝したレース。2着も上手く最内に入り込み、そこから追い通しのラストインパクト&ムーア騎手でした。これは中盤でペースが上がり切らなかったことによるもの。勝ちに行って勝てる実力馬がいないから、起こったものです。

しかし、今週の東京芝コースは、雨の影響を強く受けてかなりタフな馬場。昨日のキャピタルSがコスモイグナーツの単騎逃げて前半4F46秒9-後半4F48秒9のスローペースだったにせよ、1分35秒8も要しました。ここまで時計が掛かると、ほぼ実力どおりの決着となるでしょう。タフな馬場になると、何が何でも逃げたい馬が不在でも、超スローペースにコントロールするのが難しく、距離不安がありながらも、スピードで押し切って来たような馬が通用しないからです。近走成績「?」でも、もともと強い馬(総合力の高い馬)の巻き返しには要弔意です。

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