●福島記念
この時期は芝の中距離のハンデG3が少ないこともあり、福島記念は案外と好メンバーが集います。福島は東京や京都と比べると時計を要すこともあり、夏の北海道や福島で活躍した馬が力のいる馬場を求めて出走してくることもしばしば。過去5年の優勝馬を見てもミトラ、ヤマカツエース、ウインブライト、スティッフェリオなど、後のG2勝ち馬やG1でも通用している馬が多いです。今後を占う意味でも、注目の一戦でしょう。
また、福島記念は夏の七夕賞と同じ福島芝2000mが舞台。このコースは最初の1コーナーまでの距離が約505mと長く、更にテンから2度の坂を下るために、福島芝1800mよりも前半が速くなる傾向があります。最初の下り坂で競り合うと、必要以上にペースが上がることになるので、その結果、ハイペースとなり、差し、追い込み馬が台頭することもあります。
マルターズアポジーが逃げ切った3年前のように、逃げ馬が1コーナーまでに楽々とハナを奪えれば、スローペースになる場合もありますが、そのようなレースは稀。大半は逃げ馬や積極歴にレースを運びたい馬が出走しているので、福島記念はかなりの確率で平均ペースよりも速い流れになります。
今年も逃げ馬はリリックドラマのみ。ただし、この馬はマルターズアポジーのようにテンのスピードがないので、他先行馬に競られる危険性はあります。外枠のアロハリリーやウインイクシード、マイネルファンロンやステイフーリッシュと先行馬が案外と多いだけに、スローペースと見せかけて、平均ペースくらいまで上がりそう。場合によってはハイペースになる可能性も視野に入れて予想を組み立てたいです。
●エリザベス女王杯
エリザベス女王杯は、秋の牝馬の大一番。しかし、近年は牝馬の大型化と超高速馬場(高速馬場ほど、牡馬よりも斤量2kg減が生きる)により、牝馬の一線級は牡馬一線級と互角、あるいはそれ以上に戦えるようになったことで、エリザベス女王杯のメンバー質が低下しました。
特に近年はスローペース化で、過去3年とも中盤まで脚をタメて、3コーナーの下り坂でスピードに乗せての下がり勝負が目立っています。つまり、昨年、クロコスミアがハナ差2着に粘ったように、逃げ、先行馬が有利であるということ。差し切るにはリスグラシューのようにメンバー最速クラスで上がって来れる脚力がないと厳しいものがあります。
今年も逃げ馬がクロコスミアと、テンの遅いサラキアのみなので、スローペースになる可能性大。昨年のフロンティアクイーンのように内枠の差し馬は前が壁になったり、スムーズに進路を確保できない馬もいそうで不気味なほど。それだけになおさら、先行馬主体で馬券を組み立てたいです。
また、今回1番人気のラヴズオンリーユーは現状ではやや能力不足。今回で通用するには休養中の成長力が必要とされます。それだけに荒れる可能性が高いでしょう。