1987年のニッポーテイオー以来、31年間も逃げ切りが決まっていない天皇賞(秋)。歴史上は1991年にプレクラスニーが一応の逃げ切り勝ちを収めていますが、これは1着入線したメジロマックイーンの降着によるもの。
あのサイレンススズカも5F57秒4の驚異的なタイムで通過したものの、大欅の向こう側に消え、逃げ馬エイシンヒカリも一度目の出走では、2番手を選択。また、大方から逃げると思われていた一昨年のキタサンブラックは意図的な出遅れ(?)から、道中で位置を上げてのVでした。
エイシンヒカリやキタサンブラックの鞍上、武豊騎手が逃げない選択をしたのは、特に天皇賞・秋が行われる東京芝2000mは、良馬場でも逃げ切るのは厳しいことを知っているからでしょう。
なぜ、厳しいのかというと、東京芝2000mは専用ポケット地点からのスタート。このため各馬の出脚が良く、すぐに2コーナーを迎えるため、外枠の馬は内に切り込んで来ます。このため逃げたい馬は序盤からスピードに乗せる必要があるからです。
序盤からスピードに乗せて行かせた上に、更に3コーナーまでの距離が長いとなると、逃げ馬は容易に息が入れられません。レースの前半3Fが速くても4F目で息を入れれば再加速も可能ですが、4F目で息を入れきらないと、どうしても最後が苦しくなってしまいます。
これが逃げ馬が逃げ切れない理由ですが、不良馬場だった一昨年を除く過去5年は、レースが極端にスロー化。昨年の天皇賞(秋)でも逃げたキセキが3着に粘りました。これを考えると逃げ馬が逃げ切る日も近いのかもしれません。かつての天皇賞(秋)であれば、逃げ馬受難で、先行馬は苦戦でしたが、今後は逃げ、先行馬の一発に注意する必要があるでしょう。
また、断然の1番人気馬アーモンドアイは2番枠。これまで一度も馬群を割るレースをしていないこの馬にとって、決していい枠順ではないはず。しかも、目標は次走のJC。外を回しての差し損ねも考慮の上で予想を組み立てたいです。