紫苑Sは秋の中山開幕初日に行われる、秋華賞トライアル。オープン特別時代は、上がり馬vs春のクラシックで通用しなかった馬の対戦図式でしたが、3年前より重賞に格上げとなった途端、オークスの上位馬も出走してくるようになりました。何たる現金さ!(笑)
2016年はビッシュ、2017年はディアドラとオークス上位(4着以内)馬が優勝しましたが、昨年はフローラSから直行のノームコアが成長力を見せつけて勝利しました。今年も春の勢力図を覆せる馬が出走しているのか? 今年もここが重要ポイントとなるでしょう。このあたりはPP指数からしっかりと見極めたいです。
また、中山開催でもっとも馬場が高速化するのは、例年、野芝がメインのこの開催。近年はエアレーションやシャッタリング作業で一時期と比べると時計を要すようにはなりましたが、それでも超高速馬場で内枠の逃げ、先行馬が有利のイメージが強くあります。
しかし、中山で行われた過去10年で逃げ馬が3着以内だったのは、2008年のデヴェロッペ・2着、2013年のセキショウ・1着、昨年のランドネ・3着のみ。(2014年は新潟開催) 先行馬も昨年のノームコアの優勝他、2着2回、3着2回ですから、中団より後方でレースを運ぶ馬が有利と言えます。
この理由として、紫苑Sが行われる中山芝2000mはレースが淀みなく流れることが多いからでしょう。中山芝2000は、前半が上り坂のため、前半3Fのペースはそこまで速くなりませんが(紫苑Sならば34秒台後半~35秒台前半)、向こう上面で下り坂があるために、上級条件ほどそこでペースが上がります。
3年前のビッシュ(戸崎騎手)やファータグリーン(田辺騎手)などのような、決め手に欠ける馬&ベテラン騎手のコンビは、向こう上面の下りで動いて、位置を上げてくる傾向。他馬もそれに合わせて仕掛けて行くので、中盤のペースがそれほど緩まないのです。
確かに過去2年は、実績馬がトライアルに徹していることもあり、前半5F60秒台~61秒台前半のスローペースで通過してはいるのですが……。それでも普段、末脚を生かす競馬ばかりしている牝馬、それも3歳馬ではけっして前から押し切るには楽なペースではありません。今年も何が何でも逃げたい馬が不在で前半5F通過が60秒台となる可能性が高いのですが、前から押し切るには実力がないと厳しいでしょう。