●小倉2歳S
小倉2歳Sが行われる小倉芝1200mは、2コーナー奥のポケット地点からスタートして、ゴールに向かって坂を下って行くコース。しかも、芝1200mなら息を入れたいポイントの3~4コーナーが“スピードを落とさずに回れる”ことがウリのスパイラルカーブのため、逃げ、先行馬が息を入れるスポットががありません。
小倉芝1200mのレコードタイムが1分06秒6と、他場と比べて次元が違うのは、コース形態上、先行争いが激化しやすい舞台だから。スピードのある馬ほど、コーナーでスピードを落とし切れないため、上級条件ほどウルトラハイペースが発生します。
つまり、前に行った馬がバテやすいということ。小倉芝1200mで行われる、最上級条件の北九州記念史上、逃げ馬の3着以内がゼロというのも、このコースの恐ろしさを物語っています。言葉を選ばずに言わせてもらえば、このコースを考案した人は、頭が悪いか、性格が悪いかのどちらかでしょう。強い馬ほど自滅することになるんだもの!
もちろん、小倉2歳Sも問答無用に例年、「超」のつくハイペース。ただし、こちらはまだ体力がついていない2歳馬がレースメイクすることになるので、古馬と比べれば、それほど速いペースにはなりません。また、永遠の1勝馬から将来のG1馬が集う舞台設定のため、2012年のベルカント(2着)のように、強ければ逃げ馬でも残れるし、先行馬でも通用します。
しかし、逃げ、先行馬が押し切るには、ワンランク上の馬であることを踏まえて予想する必要はあるでしょう。また、そこまで強くなくても、2010年のに逃げて2着入線したシゲルキョクチョウのように通用することもありますが、この場合は、今回のメンバーにおいてキャリアが豊富である必要があります。なぜ、キャリアが豊富である必要があるのかは、昨日の札幌2歳Sの傾向でも綴ったとおりです。
●新潟記念
新潟記念は、距離2000mでありながらワンターンコースで行われます。芝2000mでワンターンコースなのは、当然、ストレートが日本一長い新潟だけ。最初の3コーナーまでの距離は約948mもあるので、先行争いが激化することもあれば、各馬が長い直線を意識して序盤でペースが落ち着くこともあります。つまり、非常に展開の振れ幅が広いということ。
一般的に逃げ、先行馬が多ければハイペースになる、逃げ、先行馬が少なければスローペースになると考えますが、ことストレートの長いコースの中距離以上では、騎手の意志によるものも大きく、それがキレイに当てはまりません。
例えば、2007年のこのレースは逃げ馬不在でしたが、内枠から好スタートを切ったトリリオンカットに外枠からトップガンジョーが競り掛け、この争いが3コーナーまで縺れたために、前半5F58秒1のハイペースになったこともありました。逃げ馬が不在だからと言って、スローペースになるとは限らないのです。
確かに近年はスロー~平均ペース化の傾向で、過去10年でハイペースになった年は一度もありません。しかし、スローペースだったとしても先行勢は、新潟の高速馬場を利して、4コーナーからスパートを開始。ラスト4F目からハロン11秒台が刻まれ、ラスト2F目が最速となることが多いため、“行った、行った”が決まることは滅多にありません。先行勢が速めに動いて、ラスト1Fで減速することで、差し馬や追い込み馬が台頭することもあります。
つまり、新潟記念はハンデ戦ではありますが、比較的に能力どおりに決まっていることが多いということ。特化した先行力や瞬発力があっても、それを持続させるスタミナがない馬は、通用しないことが多いです。
今回は恐らく逃げなければ持ち味が生きないブラックスピネルがレースメイクする形。不良馬場の前走・ジューンSを逃げ切り勝ちしているジナンボーは、二の脚が速いタイプではないので、ブラックスピネルに競り掛けて行かず、スローペースが濃厚の組み合わせと見ていますが、それでも結局、強い馬が勝ち負けすることになるでしょう。