●北九州記念
小倉芝1200mは、コース最高部の2コーナー奥のポケット地点からスタートして、ゴールに向かって坂を下って行くコース。芝1200mなら息を入れたいポイントの3~4コーナーがスパイラルカーブで下りとなっているため、スピードのある馬ほどスピードを落とし切れません。つまり、上級条件ほどハイペース上等。「超」がつくほどのハイペースが発生することもあります。
実際に北九州記念の過去10年を振り返っても、全てハイペース。これには、当然、前走アイビスサマーダッシュ組が多く出走していることも関係していますが、短距離戦でありながら、過去10年で逃げ馬の3着以内がゼロというのは珍しいこと。馬場の内側が荒れて、時計の掛かる馬場状態になると、2016年のバクシンテイオーのように大外直線一気が決まることがあります。
今年の小倉は、例年よりも時計を要しており、昨日の戸畑特別(2勝クラス)では、前半3F33秒4のハイペースで1分08秒7で決着。また、4コーナーの大外を回った馬のワン、ツーだったように、外のほうが伸びていました。
今回はアイビスサマーダッシュ組のラインスピリットやラブカンプー、逃げ馬のイエローマリンが内枠に入りましたが、おそらモズスーパーフレアがレースメイクする可能性が高いでしょう。同馬は今年のオーシャンSで前半3F32秒3の超オーバーペースで逃げて完勝したほどの馬。その時のパフォーマンスを再現できればここも勝てますが……。展開と馬場状態を考えると、有利なのは外差しでしょう。
●札幌記念
札幌芝2000mは、4コーナー奥のポケット地点からのスタートで、最初の1コーナーまでの距離は385mと札幌コースとしてはストレートが長いため、逃げ馬の出方次第ではスローペースにもハイペースにもなるレース。2013年のトウケイヘイローや前に壁が作れず、折り合い欠いて逃げた一昨年ネオエアリズムのような、テンがそれほど速くない馬でも、ハナへ行く気になれば逃げられます。
昨年のようにマルターズアポジー、アイトーン、マイスタイルと逃げ馬が集い、それらが競り合うと一転して超ハイペースが発生します。また、全体的にペースが緩みずらいのは、開幕週からどんどん馬場が悪化する洋芝で、札幌記念が行われる頃には時計が掛かるようになるのも理由でしょう。
さて、今回はというと、昨秋のエリザベス女王杯で逃げてリスグラューのハナ差に粘ったクロコスミアは大外枠に入ったこともあり、、無理にはハナへ行かないのではないでしょうか。関屋記念で3着の実績があるように、逃げたほうがパフォーマンスが高いエイシンティンクルが逃げて、クロコスミア、ロードヴァンドールが2列目という展開が濃厚。
どの逃げ馬候補も前半からペースを上げたくないタイプなので、平均ペース前後でレースが流れる可能性が高いと見ています。馬場も内外の差が生じていないので、どの位置からでも脚を出し切れるでしょう。実績馬は始動戦でこの先が目標という弱点はありますが、ほぼ能力どおりに決着する可能性が高いと見ています。