函館芝は、タフな馬が活躍する」と、いわれています。理由は、函館と札幌では寒冷地対策として欧州と同じ洋芝が使われているからです。洋芝は緑が鮮やかですが、他場で使われている野芝より耐久性が低いのが弱点。つまり、開催が進むほど馬場の傷みが進行し、時計を要するようになります。函館は蝦夷梅雨の時期の開催ですからなおさらでしょう。時計を要する=馬場が「重い」ですから、非力な馬では通用せず、タフさも必要になるのです。
当然、2連続開催後半の函館記念も、前半と比べれば時計を要することが多いです。近年は馬場の維持や向上技術が進み、かつてほどではありませんが、それでもひと雨降れば、決着タイムが2分を超えることもしばしば。昨日も少し前の影響があったにせよ、1000万下のSTV杯(芝1200m)で、ハイペースで1分09秒3の決着でした。標準よりはタフな馬場状態です。今年の函館記念は良馬場だけに、さすがに2分は切ってくるでしょうが、それでも1分59秒台の決着にはなるでしょう。そうなると前走でタフな競馬を経験し、心肺機能が強化された状態で挑める馬が優勢となります。
函館記念は、2005~2007年に巴賞を経由したエリモハリアーが3連覇し、その後もしばらく巴賞が活躍したことから、「函館記念は巴賞組を狙え!」という格言がブームになった時期がありました。しかし、近年はすっかり影を潜めました。これは函館芝コースが高速化し、巴賞が高速馬場で行われることが多くなったことで、それほどタフさが要求されなくなってしまったからです。巴賞が超高速馬場で行われ、函館記念が重馬場で行われた2017年度などは、巴賞組全滅、巴賞の勝ち馬サトノアレスは断然の1番人気を背負ってドボンしました。
一方、エリモハリアーが3連覇した年の巴賞は時計を要していました。函館記念も同様に時計の掛かる馬場で行われたために、巴賞で時計の掛かる馬場を経験している強みが生きたのです。現在の函館もまあまあタフな馬場状態。また、今年の巴賞当日は断続的に雨が降り続いた影響で時計を要し、巴賞自体が逃げた3番人気のサトノフェイバーが大失速するハイペース。こうなると巴賞組に優位性が増すでしょう。